JP4302761B2 - 送信機、通信システム及び送信方法 - Google Patents

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Description

本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いるセルラシステムにおいて、伝搬路推定用サブキャリアに符号を乗算して通信を行う送信機、通信システム及び送信方法に関する。
本願は、2005年10月28日に、日本に出願された特願2005−314429号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、複数の送信アンテナを具備する送信機から、送信アンテナ毎に異なる(循環)遅延を与えて同時に送信するCDT(Cyclic Delay Transmit:循環遅延送信)ダイバーシチを用いるマルチキャリア伝送が提案されている(非特許文献1)。この送信ダイバーシチ方式を用いると、常にチャネルの周波数選択性を強くできるため、優れた平均BER(Bit Error Rate)特性を得ることができる。
また、3GPP(3rd Generation Partnership Project)でのEvolved UTRA & UTRANにおいて、複数のセクタを具備する送信機である基地局が、各セクタに属する送信アンテナから、特に、セクタエッジ付近に位置する同一の受信機向けに、同一周波数、同一時間を用いて信号を送信し、受信機側においてその合成波を受信することにより、サイトダイバーシチ効果を得ることのできるソフト・コンバイニング(Soft-combining)と呼ばれる手法に、前記CDTダイバーシチを採用することにより、優れた平均BER特性を得ることが提案されている(非特許文献2)。
図16は、2つの異なるセクタに属する送信機が備える送信アンテナ1a、1bから、受信機が備える受信アンテナ2aへと信号が送信される様子を示す概念図である。図に示すように、送信アンテナ1aと送信アンテナ1bとからそれぞれ信号s1、s2が送信され、受信アンテナ2aによりその合成波が受信される。
図17Aは、送信アンテナ1a(図16)と受信アンテナ2a(図16)との間の伝搬路の時間領域表現である遅延プロファイルh1を示しており、図17Bは、送信アンテナ1b(図16)と受信アンテナ2a(図16)との間の伝搬路の時間領域表現である遅延プロファイルh2を示している。図17A、図17Bにおいて、横軸は時間、縦軸は電力を示している。
図17Aの信号s11、s12は、送信アンテナ1aから送信された信号s1であって、異なる2本の伝搬路を通って受信アンテナ2aに到達した信号を示している。また、信号s21、s22、s23は、送信アンテナ1bから送信された信号s2であって、異なる3本の伝搬路を通って受信アンテナ2aに到達した信号を示している。
送信アンテナ1bから送信される信号s2が、送信アンテナ1aから送信された信号s1を遅延した信号である場合、つまり、送信アンテナ1aと送信アンテナ1bとの間で、CDTダイバーシチを採用した場合には、図18に示すように、送信信号は前記遅延プロファイルh1とh2とを合成した伝搬路を通り、受信アンテナ2a(図16)に到達したとみなすことができる。ただし、図18の時間領域t1は前記遅延プロファイルh1(図17A)に対応し、時間領域t2は前記遅延プロファイルh2(図17B)にそれぞれ対応している。
一方で、送信機が設置されるそれぞれのセクタ間では、伝搬路推定用サブキャリアにセクタ固有の直交符号を掛けることにより、同一周波数、同一時間を用いて伝搬路推定用サブキャリアを送信しながら、受信機側で各セクタからの伝搬路推定用サブキャリアを分離し、伝搬路推定を個別に行うことが提案されている(非特許文献3、4)。
図19Aは、送信アンテナ1a(図16)から送信される信号s1の構成を示している。信号s1は領域r1と領域r2とから構成されている。領域r1には既知シンボルである伝搬路推定用シンボルが配置され、領域r2にはデータシンボルである共用データチャネルが配置されている。
また、図19Bは、送信アンテナ1b(図16)から送信される信号s2の構成を示している。信号s2は領域r3と領域r4とから構成されている。領域r1には伝搬路推定用シンボルが配置され、領域r4には共用データチャネルが配置されている。
領域r2、r4に含まれるデータを復調するために必要となる伝搬路情報を得るために、領域r1、r3に含まれる伝搬路推定用シンボルが用いられる。
図20は、3つの異なるセクタに属する送信機から受信機に送信される信号s3の構成図である。信号s3は、サブキャリアsc1〜sc12から構成されている。サブキャリアsc1〜sc4、sc5〜sc8、sc9〜sc12は、それぞれ周波数範囲f1、f2、f3に含まれている。信号s31〜s33は、それぞれセクタ#1〜#3に配置されている送信機から送信される信号を示している。信号s31〜s33には、それぞれ直交符号C1(1、1、1、1)、C2(1、−1、1、−1)、C3(1、1、−1、−1)が乗算される。
周波数範囲f1において、セクタ#1に配置されている送信機から送信される信号s31は加算結果に含まれるが、セクタ#2、#3にそれぞれ配置されている送信機からの信号s32、s32は0となり、同一周波数、時間を用いて複数の信号s31〜s33の送信を行なっても、各信号を分離することができる。このような状況を「直交性が保たれている」という。
一方で、セクタ#1〜#3間に配置されている送信アンテナに対し、前記CDTダイバーシチを適用する場合においては、前述の通り領域r2、r4(図19A、図19B)を復調するためには伝搬路情報を、領域r1、r3(図19A、図19B)に含まれる伝搬路推定用シンボルから得る必要があるため、通常は送信アンテナから送信される信号は、領域r3、r4に同一の遅延を付加することになる。
しかしながら、セクタ間の送信アンテナに対し、前記CDTダイバーシチを適用した場合には、前記直交符号間の直交性が崩れるため、伝搬路推定用シンボルを用いて各セクタの送信アンテナと受信アンテナ間の伝搬路を分離し推定しようとすると、伝搬路推定結果に誤差が生じる恐れがある。
図21は、図17A、図17Bにおいて遅延プロファイルh1=h2=1とした場合、つまり遅延波が存在せず、直達波に関しても位相回転、振幅の変化がない場合の送信信号s4の構成を示した図である。信号s4は、サブキャリアsc1〜sc12から構成されている。信号s41、s42は、それぞれセクタ#1、#2に配置されている送信機から送信される信号を示している。信号s41、42には、それぞれ符号C4(1、1、1、1)が乗算される。
ここでは、マルチキャリア伝送が行われ、図16の送信アンテナ1a、1bの間でシンボルの半分の遅延が後述の位相回転により付加された場合について説明する。また、ここではソフト・コンバイニング法によるダイバーシチが、送信アンテナ1aと送信アンテナ1bとの間で用いられている場合について説明する。ここでは、暫くの間、送信アンテナ1aと送信アンテナ1bとから送信された信号のみを考えるものとする。ここで、ソフト・コンバイニング法とは、2つのセクタに設置されている送信機から同一の受信機に対して、同一のデータから生成した同一信号を同一タイミングで送信することにより、受信機の信号成分を増大させつつ、干渉成分を抑える方法である。
このとき、送信アンテナ1a(図16)から送信される送信信号は、k番目のサブキャリアに対して、以下の式(1)の位相回転が乗算される。
θ=2πkT/N=2πk・N/2・1/N=kπ ・・・(1)
このとき、送信アンテナ1a(図16)からの信号は図21に示すようになり、送信アンテナ1a(図16)からの送信信号との間の直交性が崩れた状態になる。
なお、上記の式(1)のNはマルチキャリア変調時のIFFT(Inverse Fast FourierTransform:逆高速フーリエ変換)のポイント数、Tは2つの送信アンテナ間の遅延ポイント差(遅延時間差)を示している。
更に、非特許文献5には、セクタ伝搬路推定用の信号はソフト・コンバイニングを行う場合であっても、セクタ間で直交性を保持した形式で送信し、データ部にのみ遅延(回転)を加え送信する方法が示されている。また、同時にその遅延量を基地局から送信機に通知することもできることが記載されている。
この技術は非特許文献5でも示されているように、受信機で遅延処理を施されない伝搬路推定用サブキャリアを受信し、直交性を利用して、各送信機からの伝搬路を推定し、基地局から通知された遅延量に基づいて、データ部におけるソフト・コンバイニング時の伝搬路を推定することを前提としている。
この方法によれば、プリアンブル部の直交性を保持しているため、それぞれの基地局からの電波の強さが正確に測定可能となり、かつ、ソフト・コンバイニングの効果を得ることが可能となる。
信学技報RCS2004-392,"周波数領域等化を用いるDS-CDMAへのCyclic Delay Transmit Diversityの適用効果",社団法人電子情報通信学会2005年3月発行 3GPP寄書,R1-050795,"Intra-Node B Macro Diversity based on Cyclic Delay Transmissions",[平成17年9月7日検索],インターネット(URL: ftp://ftp.3gpp.org/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_42/Docs/R1-050795.zip) 3GPP寄書,R1-050704,"Orthogonal Common Pilot Channel and Scrambling Code in Evolved UTRA Downlink",[平成17年9月7日検索],インターネット(URL: ftp://ftp.3gpp.org/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_42/Docs/R1-050704.zip) 3GPP寄書,R1-050700,"Intra-Node B Macro Diversity Using Simultaneous Transmission with Soft-combining in Evolved UTRA Downlink",[平成17年9月7日検索],インターネット(URL: ftp://ftp.3gpp.org/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_42/Docs/R1-050700.zip) 3GPP寄書,R1-051046,"Further Details on Adaptive Cyclic Delay Diversity Scheme",[平成17年9月7日検索],インターネット(URL: ftp://ftp.3gpp.org/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_42bis/Docs/R1-051046.zip)
しかしながら、非特許文献5で示される方法を用いた場合、ソフト・コンバイニング時は通常のデータ受信時とは別の処理を受信機において行うことによりデータ部の伝搬路を推定する必要がある。また、遅延量を適応的に変化させるようなシステムでは、遅延量も受信機に通知する必要がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で、送信機毎の電力を推定可能とし、伝搬路を精度よく推定することができる既知シンボルを送信する送信機を提供することにある。また、同一の受信機に対し、同じデータを送信するソフト・コンバイニング時に無用な受信処理を必要とせずにデータを送信することができる送信機、通信システム及び送信方法を提供することにある。
本発明の送信機は、上記課題を解決するためになされたもので、OFDM方式を用いる送信機であって、データあるいは既知の信号により変調された連続する複数のサブキャリアで構成されるグループに対し、同一の位相回転量を前記グループ毎に与える位相回転部と、前記位相回転をアンテナ系列毎あるいは送信機毎に設定する回転量決定部とを有する。
本発明の送信機は、複数のサブチャネルで構成される周波数帯域を利用したOFDMA方式を用いる送信機であって、前記サブチャネルの一部あるいは全部において、データあるいは既知の信号により変調された連続する複数のサブキャリアで構成されるグループに対し、同一の位相回転量を前記グループ毎に与える位相回転部と、前記位相回転をアンテナ系列毎あるいは送信機毎に設定する回転量決定部と、データをサブチャネルに振り分け、位相回転の有無を決定するスケジューリング部とを有する。
本発明の送信機は、前記グループには少なくとも1つの伝搬路を推定するための既知の信号で変調されたサブキャリアを含める。
本発明の送信機は、前記グループに含まれるサブキャリアの本数を全ての周波数帯域で同じとする。
本発明の送信機の前記位相回転部は、前記グループ毎に与える位相回転量の隣接するグループ間の差を一定とする。
本発明の送信機の前記位相回転部は、グループのうち1つを基準のグループとし、そのグループの位相回転量の絶対値を受信機の状態により決定する。
本発明の送信機の前記位相回転部は、前記グループ間の位相回転量の差を各送信機毎に固有の値とする。
本発明の送信機は、前記グループを生成するサブキャリア間に直交関係が必要となるサブキャリア変調が施されている。
本発明の送信機はにおける前記直交関係は、伝搬路推定用サブキャリアの直交関係である。
本発明の通信システムは、OFDM方式を用いて送信機と受信機の間で通信を行う通信システムであって、前記受信機は、受信した既知シンボルが含まれるOFDMシンボルに対しFFTにより周波数変換するFFT部と、送信機側で直交性を保った伝搬路推定用サブキャリア単位で送信アンテナとの周波数応答である伝搬路を複数の送信アンテナに対し推定する伝搬路推定部と、電波の品質を送信アンテナ毎に推定する品質推定部と、各送信アンテナの周波数応答から、各送信アンテナから送信されるOFDMシンボルのサブキャリアに所定の位相回転を与えた場合の結合された伝搬路の品質を算出する品質算出部とを有する。
本発明の送信方法は、OFDM方式を用いる送信方法であって、データシンボルあるいは既知シンボルにより変調された連続する複数のサブキャリアで構成されるグループに対し、グループ毎に同一の位相回転量を与え、前記位相回転量をアンテナ系列毎あるいは送信機毎に決定し、変調に加え前記位相回転を加えて送信する。
本発明の送信方法は、OFDMA方式を用いる送信方法であって、データシンボルあるいは既知シンボルにより変調された連続する複数のサブキャリアで構成されるグループに対し、同一の位相回転量を前記グループ毎に与え、前記位相回転量をアンテナ系列毎あるいは送信機毎に決定し、位相回転の有無を決定し、前記位相回転の有無を変調に加え前記位相回転を加えて送信する。
本発明の送信方法は、前記グループ化を行う基準をサブキャリアの直交性とする。
本発明の送信方法における前記直交性は、伝搬路推定用サブキャリアの直交性である。
本発明では、位相回転部によりデータシンボルあるいは既知シンボルにより変調された連続する複数のサブキャリアで構成されるグループに対し、同一の位相回転量をグループ毎に与え、回転量決定部により位相回転量を決定し、スケジューリング部により位相回転の有無を決定するようにした。
これにより、複数のサブキャリアで構成されたグループに対し、同一の位相回転を与えることとなるので、位相回転に必要となる回路規模を軽減できる。
また、伝搬路推定用のシンボルに直交符号を割り当てる場合は、直交符号が割り当てられるサブキャリア数と前記グループを形成するサブキャリア数とを同一とすることで、受信機において受信した伝搬路推定用シンボルの直交性が維持されるため、複数の送信機から送信された直交符号を分離することが可能となり、直交性を利用して伝搬路が推定でき、さらには複数の送信アンテナから同一の信号を送信する場合の、合成された伝搬路についても、位相回転量の事前通知等がなくとも、簡易な演算で求めることが可能になる。
また、直交性を持ったシンボルを送信した送信機あるいは同一の送信機の異なる送信アンテナから送信された電波の品質推定も可能となる。
さらには、データシンボルの位相回転量を既知シンボルである伝搬路推定用シンボルの位相回転量と同一にすることで、循環遅延送信ダイバーシチの効果を得ることができる。
送信機と受信機が通信を行う場合の概略図である。 送信機3aから送信される信号s5の構成を示す図である。 送信機3bから送信される信号s6の構成を示す図である。 送信機3a(図1A)から送信されるOFDM信号s7の構成を示す図である。 送信機3b(図1A)から送信されるOFDM信号s8の構成を示す図である。 本実施形態で割り当てる直交符号とサブキャリアの関係を示す図である。 本発明の第1の実施形態による送信機の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態によるローテーション部14−1(図4)の構成図である。 本発明の第1の実施形態による受信機の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態による伝搬路推定部37(図6)の構成図である。 本発明の第1の実施形態による逆拡散部40−1(図7)の構成図である。 本発明の第2の実施形態における伝搬路推定用サブキャリアの構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態による送信機の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態によるローテーション部141(図10)の構成図である。 本発明の第2の実施形態で用いる信号のフレーム構成を示す図である。 本発明の第3の実施形態による送信機の構成を示すブロック図である。 送信機3a(図1A)の伝搬路を示す図である。 送信機3b(図1A)の伝搬路を示す図である。 送信機3a、3b(図1A)から同じデータを送信した場合の擬似的な伝搬路を示す図である。 本発明の第3の実施形態による受信機の構成を示すブロック図である。 2つの異なるセクタに属する送信機が備える送信アンテナ1a、1bから、受信機が備える受信アンテナ2aへと信号が送信される様子を示す概念図である。 送信アンテナ1a(図16)と受信アンテナ2a(図16)との間の伝搬路の時間領域表現である遅延プロファイルh1を示す図である。 送信アンテナ1b(図16)と受信アンテナ2a(図16)との間の伝搬路の時間領域表現である遅延プロファイルh2を示す図である。 受信アンテナ2aで受信される信号を示す図である。 送信アンテナ1a(図16)から送信される信号s1の構成を示す図である。 送信アンテナ1b(図16)から送信される信号s2の構成を示す図である。 送信機から受信機に送信される信号s3の構成図である。 遅延プロファイルh1=h2=1とした場合の送信信号s4の構成を示した図である。
符号の説明
1a、1b 送信アンテナ
2a 受信アンテナ
3a、3b 送信機
4a〜4e 受信機
10 スケジューリング部
11−1〜11−12 伝搬路推定用シンボル生成部
12−1〜12−12 データマッピング部
13−1〜13−12 マルチプレクス部
14−1〜14−12 ローテーション部
15 IFFT部
16 GI挿入・P/S変換部
17 D/A変換部
18 RF部
19 送信アンテナ
20 回転量決定部
21−1〜21−64 複素乗算部
30 受信アンテナ
31 RF部
32 A/D変換部
33 シンボル同期部
34 FFT部
35 伝搬路推定用シンボル抽出部
36 伝搬路補償部
37 伝搬路推定部
38 サブチャネル抽出部
39−1〜39−12 復調部
40−1〜40−12、41−1〜41−12 逆拡散部
42−1〜42−12、43−1〜43−12 サブチャネル品質推定部
44 選択・合成部
45−1〜45−12 サブチャネル品質推定部
46−1〜46−12 仮想サブチャネル品質推定部
47−1〜47−4 直交符号設定部
48−1〜48−4 複素乗算部
49 和演算部
50 制御信号生成部
60 時間ローテーション部
111 伝搬路推定用シンボル生成部
131 マルチプレクス部
141 ローテーション部
201 回転量決定部
211−1〜211−768 複素乗算部
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の実施形態で使用している周波数サブチャネル数の数値等は一例にすぎない。
本発明の第1〜第3の実施形態では、周波数サブチャネル数を12、サブキャリア数を768、FFTポイント数を1024とする場合のOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)システムについて説明する。また、パス・ダイバーシチを実現する周波数サブチャネルはフレーム毎に異なるものとする。即ち、周波数サブチャネル毎に、ソフト・コンバイニングを行なうか否か、あるいはその遅延量は独立に決定される場合について説明するが、これに限定されるものではない。
(第1の実施形態)
始めに、本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態では2つの異なる送信機がOFDMAを用い、何台かの受信機と通信を行う例を示す。図1Aは送信機と受信機が通信を行う場合の概略図である。説明の対象とするOFDMAフレームが送信される時間においては、送信機3aに対しては、受信機4a〜4cが通信を行う。また、送信機3bに対しては、受信機4b〜4eが通信を行う。即ち、受信機4b、4cは双方の送信機3a、3bから同一の信号をソフト・コンバイニングにより、合成して受信する。
図1B、図1Cは、送信機3a、3bから送信される信号s5、s6の構成を示す図である。これらの図において、縦軸は周波数、横軸は時間を示している。ここでは、信号s5、s6が、それぞれ12個のサブチャネルsch1〜sch12により構成されている場合を示している。
ここでは、一例として、図1Bに示すように、サブチャネルsch1を用いて、送信機3aから受信機4bに信号を送信している場合について説明する。また、サブチャネルsch2〜sch4を用いて、送信機3aから受信機4cに信号を送信している。また、サブチャネルsch5〜sch12を用いて、送信機3aから受信機4aに信号を送信している。
また、図1Cに示すように、サブチャネルsch1を用いて、送信機3bから受信機4bに信号を送信している。また、サブチャネルsch2〜sch4を用いて、送信機3bから受信機4cに信号を送信している。また、サブチャネルsch5〜sch10を用いて、送信機3bから受信機4dに信号を送信している。また、サブチャネルsch11、sch12を用いて、送信機3bから受信機4eに信号を送信している。
従って、サブチャネルsch1の周波数帯では、受信機4bに対して同一の信号が送信機3a、3bから送信される。また、サブチャネルsch2〜sch4では、受信機4cに対して同一の信号が送信機3a、3bから送信される。
図2Aは、送信機3a(図1A)から送信されるOFDM信号s7の構成を示す図である。また、図2Bは、送信機3b(図1A)から送信されるOFDM信号s8の構成を示す図である。これらの図において、横軸は時間であり、縦軸は周波数を示している。
OFDM信号s7、s8に含まれる領域r5、r7は、1OFDMシンボルで構成される伝搬路推定用サブキャリアである。なお、ここでは、伝搬路推定用サブキャリアが1OFDMシンボルで構成されている場合について説明するが、伝搬路推定用サブキャリアを複数のOFDMシンボルで構成するようにしてもよい。また、ここでは、全てのサブキャリアを伝搬路推定用のサブキャリアとしているが、1本おき等、間隔をあけて配置することも可能である。
また、OFDM信号s7、s8に含まれる領域r6、r8は、データを送信するOFDMシンボルであり、通常複数のOFDMシンボルで構成される。領域r5と領域r7には、それぞれが直交する符号である直交符号C5、C6が各サブキャリアに割り当てられる。
図3は、本実施形態で割り当てる直交符号とサブキャリアの関係を示す図である。送信機1a(図1A)では、直交符号C5=(1、1、1、1)が768個のサブキャリアに繰り返し割り当てられる。つまり、1つの直交符号がサブキャリアに繰り返し割り当てられる。また、本実施形態では、直交符号を乗算するグループ毎のサブキャリア数はいずれも4つとなっている。なお、1つあるいは複数のサブチャネル内のグループ毎のサブキャリア数を同一にするようにしてもよい。
また、送信機1b(図1A)では、直交符号C6=(1、1、−1、−1)が768個のサブキャリアに繰り返し割り当てられる。これらの直交符号C5、C6は、C5×C6*(*は複素共役を示す)を計算し加えると0になることから、直交関係にあるといえる。
また、直接これらの直交符号C5、C6を伝搬路推定用サブキャリアに割り当てると生成されるOFDM信号のPAPR(Peak-Average Power Ratio)が非常に高くなるため、同じ特定の符号(例えば10次のM系列の一部)を全てのサブキャリアに更に乗じることも可能である。
なお、p番目(1≦p≦サブキャリアの総数)のサブキャリアに割り当てられる符号をCk、Ck’とした場合に、Ck’=Ck×e−j×2×p×m×πの関係を満たすmが存在するように符号Ck、Ck’を設定するようにしてもよい。
図4は、本発明の第1の実施形態による送信機の構成を示すブロック図である。この送信機は、スケジューリング部10、伝搬路推定用シンボル生成部11−1〜11−12、データマッピング部12−1〜12−12、マルチプレクス部13−1〜13−12、ローテーション部14−1〜14−12、IFFT部15、GI(Guard Interval)挿入・P/S(Parallel / Serial)変換部16、D/A(Digital / Analog)変換部17、RF(Radio Frequency)部18、送信アンテナ19を有する。
スケジューリング部10は、送信機に入力されるデータを各サブチャネルに振り分ける。ここでは、サブチャネルが12個の場合について説明する。また、スケジューリング部10は、ローテーション部14−1〜14−12に制御信号を出力する。
伝搬路推定用シンボル生成部11−1〜11−12は、それぞれのサブチャネルの伝搬路推定用シンボルを生成する。データマッピング部12−1〜12−12は、送信するデータに誤り訂正を行ったり、割り当てられたサブキャリア毎に変調を行ったりする。また、伝搬路推定用シンボル生成部11−1〜11−12の符号割当部(図示省略)は、他の送信機と直交する符号長の符号をサブキャリア毎に割り当てる。
マルチプレクス部13−1〜13−12は、入力されるデータシンボル又は既知シンボルである伝搬路推定用シンボルのいずれかを選択する。
ローテーション部14−1〜14−12は、スケジューリング部10から出力される制御信号に基づいて、各サブキャリアに回転を与える。IFFT部15は、ローテーション部14−1〜14−12から出力される信号に対して、逆高速フーリエ変換の処理を行うことにより、周波数領域の信号を時間領域の信号に変換する。ここで、768個のサブキャリアを扱う場合には、逆高速フーリエ変換のポイント数は1024を用いる。
GI挿入・P/S変換部16は、シンボル間干渉の低減を図るためにガードインターバルを挿入する。また、パラレル信号をシリアル信号に変換する。D/A変換部17は、ディジタル信号をアナログ信号に変換する。RF部18は、アナログ信号を、送信する周波数帯域まで変換し、波形の整形を行う。送信アンテナ19は、受信機に対して電波を送信する。
図5は、本発明の第1の実施形態によるローテーション部14−1(図4)の構成図である。このローテーション部14−1は、回転量決定部20、複素乗算部21−1〜21−64を有する。
回転量決定部20は、スケジューリング部10(図4)から出力される制御信号に基づき、4サブキャリア毎の回転量W1からW16(W1からW16は振幅が1の実数あるいは複素数)を決定する。なお、回転量決定部20は、隣接するグループ間で位相回転量差が同一になるように制御してもよい。また、1つあるいは複数のサブチャネル内の隣接するグループ間で位相回転量差を同一にするようにしてもよい。また、位相回転量差が同一に設定されたサブチャネル内のグループの1つを基準のグループとし、そのグループの位相回転量の絶対値を受信機の伝搬路状態によって決定するようにしてもよい。また、回転量決定部20は、送信機毎に固有の位相回転量差を与え、該回転量を用い全てのOFDMシンボルのサブキャリアに位相回転を与えるようにしてもよい。
また、W1=W2、W3=W4、・・・、W15=W16とすることで、グループを生成するサブキャリア数を変更することが可能である。
複素乗算部21−1〜21−64は、入力信号fk1〜fk64と、回転量W1〜W16とを乗算する。ここで入力信号(fk1〜fk64)が64個あるのは、768サブキャリアを12サブチャネルとして使用するため、1サブチャネルあたりのサブキャリア数が64個となるからである。また、4サブキャリア毎に回転量(W1〜W16)を決定するのは、伝搬路推定用サブキャリアが4サブキャリア毎に直交関係にあるため、4サブキャリア間で同一とすることで直交関係を保つことが可能となるからである。
次に、本発明の第1の実施形態による送信機3a(図1A)の動作について説明する。ただし、受信機4b、4cへ送信する信号は、送信機3bからも送信されるため、送信機3aから送信する信号には回転を与えるものとする。ここでは、受信機4bへ送信する信号の回転量が1、受信機4cへ送信する信号の回転量が2である場合について説明する。
送信機3aにデータが入力されるとスケジューリング部10(図4)により、受信機4bへ送信するデータはデータマッピング部12−1へ出力され、受信機4cへ送信するデータはデータマッピング部12−2から12−4へ出力され、受信機4aへ送信するデータはデータマッピング部12−5から12−12へ出力される。
データの送信に先立ち、図2Aと図2Bの信号の構成に基づき、伝搬路推定用シンボルがマルチプレクス部13−1〜13−12で選択され、ローテーション部14−1〜14−12に出力される。送信機3aの場合、伝搬路推定用シンボル生成部11−1〜11−12で生成される伝搬路推定用シンボルは、直交符号C5を16度繰り返したものとなり、伝搬路推定用シンボル生成部11−1〜11−12まで全て同一の直交符号C5が用いられる。
スケジューリング部10からローテーション部14−1〜14−12に制御信号が出力され、ローテーション部14−1には回転量として1、ローテーション部14−2から14−4には回転量として2、ローテーション部14−5から14−12には回転量として0が入力される。
図5に示すローテーション部14−1では、スケジューリング部10から出力される制御信号に基づいて、回転量W1〜W16を決定する。回転量がmの場合を実現するためには、各サブキャリア間の位相回転量を2×π×m/(IFFTのポイント数)にすればよいので、回転量W1とW2の差は4サブキャリアあるのでさらに4を乗じて、2×π×m×4/1024になるように決定する。
これを先の例に当てはめると、ローテーション部14−1におけるWkおよびWk+1(kは1から15の整数)の位相差は2×π×4/1024、ローテーション部14−2〜14−4(図4)におけるWkおよびWk+1の位相差は2×π×2×4/1024、ローテーション部14−5〜14−12におけるWkおよびWk+1の位相差は0となる。
各ローテーション部の回転量W1の絶対位相については特に限定されるものではない。
ただし、受信機4c(図1A)へ送信する信号のように、複数のサブチャネルを使用する場合には、隣り合うサブチャネルの回転量を同じにすることが望ましい。即ち、ローテーション部14−2の回転量W16とローテーション部14−3の回転量W1の絶対位相差が2×π×2×4/(1024)になることが望ましい。
また、受信機からの情報が取得可能なシステムにおいては、回転量W1の絶対位相を受信機から送信されるデータを参照して決定することもできる。
その後、データについても伝搬路推定用サブキャリアの送信時と同一の回転量がすべてのサブキャリアに与えられる。
この図5において、同一の回転を与えるサブキャリアのそれぞれに、位相回転を与えるための乗算器をサブキャリア数分示したが、これは説明をわかりやすくするためであり、1つの乗算器でシリアルに処理することで回路規模の削減を図ることができる。
次に受信機について説明する。
図6は、本発明の第1の実施形態による受信機の構成を示すブロック図である。この受信機は、受信アンテナ30、RF部31、A/D(Analog / Digital)変換部32、シンボル同期部33、FFT部34、伝搬路推定用シンボル抽出部35、伝搬路補償部36、伝搬路推定部37、サブチャネル抽出部38、復調部39−1〜39−12を有する。
受信アンテナ30は、送信機から送信される信号を受信する。RF部31は、受信アンテナ30が受信した信号を整形し、A/D変換できる周波数帯域まで周波数を下げる。A/D変換部32は、アナログ信号をディジタル信号に変換する。
シンボル同期部33は、OFDM信号に対して同期を取る。FFT部34は、受信したOFDMシンボルに対して、高速フーリエ変換の処理を行う。伝搬路推定用シンボル抽出部35は、周波数変換されたOFDM信号を伝搬路推定用シンボルとデータシンボルとに分離し、伝搬路推定用シンボルを伝搬路推定部37に出力し、データシンボルを伝搬路補償部36に出力する。
伝搬路補償部36は、伝搬路推定情報をもとにデータの伝搬路を補償する。伝搬路推定部37は、伝搬路推定用シンボルから伝搬路情報を推定し、送信アンテナ毎の品質を推定する。サブチャネル抽出部38は図示を省略した制御部からの使用サブチャネル情報をもとに、受信機が復調する信号を抽出する。
復調部39−1〜39−12は、使用されたサブチャネル数をもとに、サブチャネル単位で復調を行う。この受信機はOFDMAで使用される帯域全てを一旦復調し、後に、必要となるサブチャネルのみを抽出する構成になっているが、このような構成に限定されるものではない。
図7は、本発明の第1の実施形態による伝搬路推定部37(図6)の構成図である。伝搬路推定部37は、逆拡散部40−1〜40−12、41−1〜41−12、サブチャネル品質推定部42−1〜42−12、43−1〜43−12、選択・合成部44、サブチャネル品質推定部45−1〜45−12、仮想サブチャネル品質推定部46−1〜46−12を有する。
逆拡散部が2組(逆拡散部40−1〜40−12、逆拡散部41−1〜41−12)設けられているのは、2つの送信機3a、3b(図1A)から信号が送信されるからである。
逆拡散部40−1〜40−12は、送信機3a(図1A)から送信される信号の伝搬路を推定する。逆拡散部41−1〜41−12は、送信機3b(図1A)から送信される信号の伝搬路を推定する。逆拡散部40−1〜40−12、41−1〜41−12で得られた複素信号は、選択・合成部44に入力される。
選択・合成部44は、現在行われている通信が、1つの送信機からのみの場合(図1Aにおける受信機4a、4d、4e)には、通信している側の逆拡散結果を選択する。受信機4aであれば、逆拡散部40−1〜40−12の出力を選択し、受信機4d、4eであれば逆拡散部41−1〜41−12の出力を選択する。
一方、受信機4b、4c(図1A)のように双方の送信機3a、3bからの信号を受信する受信機では、選択・合成部44は受信する信号の合成を行う。これは、逆拡散部40−1〜40−12の出力と逆拡散部41−1〜41−12の出力とをベクトル加算することで得られる。
サブチャネル品質推定部42−1〜42−12は、逆拡散部40−1〜40−12の出力に基づいて、それぞれの送信機3a、3bから送信された信号の品質を推定する。また、サブチャネル品質推定部43−1〜43−12は、逆拡散部41−1〜41−12の出力に基づいて、それぞれの送信機3a、3bから送信された信号の品質を推定する。本実施形態の場合、サブチャネル品質推定部42−1〜42−12、43−1〜43−12にはそれぞれ各サブチャネルで使用される64本のサブキャリアの伝搬路推定結果が入力される。
サブチャネル品質推定部45−1〜45−12は、選択・合成部44の出力に基づいて、送信機3a、3b(図1A)から送信された信号の合成後の品質推定を行う。
仮想サブチャネル品質推定部46−1〜46−12は、送信機側で回転が加えられていない伝搬路推定用サブキャリアを受信した場合に、どちらかの伝搬路情報に回転を与え、回転が行われた場合の、サブチャネルの品質を推定する。これにより、1台の送信機との通信から、2台の送信機との通信へと移行する際、最適なサブチャネルを受信機から要求することが可能になる。
伝搬路推定方法の最も単純な方法は、受信した伝搬路推定用サブキャリアを周波数変換した信号に対し、送信機側で使用した伝搬路推定用サブキャリアの各サブキャリアについての符号の複素共役信号を乗ずる方法である。ただし、ここでは、伝搬路推定用サブキャリアに異なる送信アンテナ間で直交符号を使用しているので、逆拡散による伝搬路推定方法について説明する。
図8は、本発明の第1の実施形態による逆拡散部40−1(図7)の構成図である。逆拡散部40−1は、直交符号設定部47−1〜47−4、複素乗算部48−1〜48−4、和演算部49を有する。
例えば、送信機3a(図1A)から送信された伝搬路推定用サブキャリアを逆拡散する場合には、直交符号設定部47−1に直交符号C1の複素共役である(1、1、1、1)が設定される。また、送信機3bから送信された伝搬路推定用サブキャリアを逆拡散する場合には、直交符号設定部47−2に直交符号C2の複素共役である(1、1、−1、−1)が設定される。
複素乗算部48−1〜48−4では、入力された信号f1〜f4に対して、これらの直交符号を複素乗算し、和演算部49で加算し、4で割ることで、この周波数帯域における伝搬路を得ることができる。
上述したように、本実施形態による送信機及び受信機を用いてOFDM通信システムを構成すれば、送信機側で使用された回転量の情報を受信機側に通知したり、予め決定したりしなくとも、双方からの送信信号を簡単に復調することが可能となる。また、伝搬路推定用サブキャリアが直交性を維持しているため、各送信アンテナからのサブチャネル毎の品質推定、あるいは、合成後の品質推定を簡単に行なうことができる。また、仮想的に合成後のサブチャネル毎の品質を推定する機能を受信機に設けることにより、合成受信を開始する際により、精度よく受信を開始することが可能となる。
上述した第1の実施形態では、複数のサブチャネルより構成される周波数帯域を利用したOFDMA方式を用いる送信機であって、伝搬路推定用シンボル生成部11−1〜11−12の符号割当部により他の送信機と直交する符号長Mkの符号Ckをサブキャリアn本(nは1以上の整数)毎に割り当て、複素乗算部21−1〜21−64(位相回転部)によりn×Mk本のサブキャリアをグループとし、同一の位相回転をグループ毎に与え、回転量決定部20によりサブチャネル単位で該位相回転量を決定し、スケジューリング部10によりサブチャネル単位で位相回転の有無を決定するようにした。
このような構成を採ることにより、OFDMA方式を用いる場合に、回転量決定部20により、1グループのサブキャリアごとに直交する符号を割り当ててグループごとに直交性を保つことができるので、グループ間のサブキャリアが干渉して受信機の受信品質が劣化することを防止することができる。また、グループ毎に直交符号が割り当てられているので、サブキャリア毎に直交符号が割り当てられている場合に比べて、受信機側の処理を簡素化することができる。
なお、OFDM方式を用いる送信機であって、伝搬路推定用シンボル生成部11−1〜11−12の符号割当部により他の送信機と直交する符号長Mkの符号Ckをサブキャリアn本(nは1以上の整数)毎に割り当て、複素乗算部21−1〜21−64(位相回転部)によりn×Mk本のサブキャリアをグループとし、同一の位相回転をグループ毎に与え、回転量決定部20により位相回転量を決定し、スケジューリング部10により位相回転の有無を決定するようにしてもよい。
このような構成を採ることにより、OFDM方式を用いる場合に、回転量決定部20により、他の送信機が送信するグループとは、異なる回転量をグループに割り当てるため、複数の送信機から送信される信号に遅延差を付けることが可能になり、マルチユーザダイバーシチ効果や周波数ダイバーシチ効果を得ることができる。
なお、ここでは、伝搬路推定用符号として符号長Mkの符号をn本のサブキャリア毎に割り当てる例を示したので、同一の位相回転を与えるグループをn×Mkとしたが、直交性を利用しない伝搬路推定方法を使用する場合において上記のような効果を得るためにはこのような限定は必要ない。そのような場合は、n×Mk本のサブキャリアを1グループとせずに、その他の本数のサブキャリアを1グループとして設定してもよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は第1の実施形態に対して、更に受信機の構成の簡素化ができるものである。
図9は、本発明の第2の実施形態における伝搬路推定用サブキャリアの構成を示す図である。本実施形態では伝搬路推定用シンボルが配置されたサブキャリアである伝搬路推定用サブキャリアが、サブキャリア1本おきに割り当てられている。伝搬路推定用サブキャリアを割り当てられないサブキャリアは、制御信号(SA1〜SA384、SB1〜SB384)の通信に使用される。また、伝搬路推定シンボルには、特定の既知シンボル(P1〜P384)が使用され、送信機3a、3bでは既知シンボルにそれぞれ直交符号(1、1、1、1)、(1、1、−1、−1)が乗じられている。
図10は、本発明の第2の実施形態による送信機の構成を示すブロック図である。第1の実施形態で示した送信機(図4)と同じ構成を採る部分については、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。本実施形態による送信機は、制御信号生成部50を有する点において、第1の実施形態による送信機と相違する。
制御信号生成部50を設けたのは、第1の実施形態に対して、伝搬路推定用サブキャリアの構成を変更したからである。また、伝搬路推定用シンボル生成部は、第1の実施形態においては、サブチャネル毎に生成する場合について説明したが、本実施形態では、サブチャネル単位で回転を与えない場合を示すため、伝搬路推定用シンボル生成部11−1〜11−12(図4)を、1つの伝搬路推定用シンボル生成部111で構成している。同様に、マルチプレクス部13−1〜13−12(図4)を、1つのマルチプレクス部131で構成している。また、ローテーション部14−1〜14−12(図4)を、1つのローテーション部141で構成している。
図11は、本発明の第2の実施形態によるローテーション部141(図10)の構成図である。ローテーション部141は、回転量決定部201、複素乗算部211−1〜211−8、211−9〜211−16〜211−761〜211−768を有する。
回転量決定部201は、OFDM通信システムで定義される回転量に基づき、8サブキャリア毎の回転量W1〜W96(W1〜W96は振幅が1の実数あるいは複素数)を決定する。
複素乗算部211−1〜211−768は、入力信号fk1〜fk768と、回転量W1〜W96とを乗算する。例えば、図11に示した受信機のローテーション部141中の各位相回転量W1〜W96の差を0、送信機3b(図1A)の位相回転量の差を2×π×1×8/1024とすると、各送信機3a、3bの同じサブチャネルで、同じ信号を送信すると、受信機では合成された信号を受信することが可能となる。
また、伝搬路推定要サブキャリアの直交性は第1の実施形態と同様に保持されているため、送信機のサブチャネル毎の品質推定が行える上に、合成後の品質推定も行うことができる。即ち、第1の実施形態による受信機で説明した仮想サブチャネル品質推定部46−1〜46−12(図7)を設ける必要がなくなり、合成前の送信機毎の品質、および合成後の品質を簡単に推定することができる。
セクタを構成するセルの基地局にこのシステムを適応する場合は、セクタ毎に回転量をそれぞれ異なるものとすれば、どのセクタエッジにおいても、各セクタからのサブチャネル毎の品質、および合成後の品質を容易に推定することができる。
しかし、本実施形態では、回転量が送信機毎に固定されてしまう可能性がある。回転量が1つでは、全ての受信機にマルチユーザダイバーシチ効果を与えることができるとは限らない。
この問題は、図12の構成を有する信号を用いることにより解決することができる。図12は、横軸が時間、縦軸が周波数を示している。1フレームの構成は、既に述べたフレームの構成(図2A、図2B)と同様であり、先頭に既知シンボルである伝搬路推定用サブキャリア、続いて複数のデータシンボルで構成されている。図12では、9つのフレームF1〜F9で1つのスーパーフレームを構成する場合を示している。
一例として、2つの送信機の回転量の差を1、2、3の3通りに設定する場合について説明する。送信機3a(図1A)の回転量を常に0とすると、送信機3bではフレームF1〜F3では回転量を1、フレームF4〜F6では回転量を2、フレームF7〜F9では回転量を3と設定することで、3つの回転量の差を実現することができる。
受信機ではこれらのフレームから最適となるフレームとサブチャネルを選択することで、更に高性能のOFDM通信システムを実現することが可能となる。
また、上記の回転量を大きくすると、そのフレームは周波数ダイバーシチ効果を期待できる。上述したように、1、2、3に設定した回転量を1、2、16に設定し、フレームF1〜F4の回転量を1、フレームF5〜F8の回転量を2、フレームF9の回転量を16に設定すると、フレームF9のみは周波数ダイバーシチ効果が期待できるので、受信品質の極端に悪い受信機や、高速に移動する受信機等をそのフレームに優先的に割り当てるように設定することで、エリア全体での性能を改善することができる。
また、グループに分けられたサブキャリアごとに直交符号を乗算することにより、直交性を維持することができるため、複数の送信機から送信される信号が干渉により劣化することがなくなり、伝搬路推定精度を向上させることができる。
第2の実施形態で用いる受信機については、第1の実施形態で用いた受信機(図6)とほぼ同様の構成を有するものを用いることができる。異なる点としては、逆拡散に設定される符号がPk(kは1から768の整数)の複素共役にC1あるいはC2を乗じたものであることである。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態及び第2の実施形態では、使用する直交符号に限定を加えていないが、本実施形態では使用する直交符号に限定を加えることで、送信機間を移動する受信機がすみやかにハンドオーバできる場合について説明する。
本実施形態によるOFDM通信システムでは、符号C1を全てのサブキャリアに繰り返し割り当て、256サンプル回転すると、(1、j、−1、−j)が全てのサブキャリアに繰り返し現れる。これを符号C12とする。また、同様に512回転すると(1、−1、1、−1)となり、これを符号C13とする。また、768回転すると(1、−j、j、−1)となりこれを符号C14とする。
また、C1=C11とするとC11〜C14は全てが直交関係にある。本実施形態では、これらの符号を用いた場合について説明する。
上述した第2の実施形態におけるスーパーフレームを構成する例の後者において、送信機3a(図1A)に用いる直交符号をC11、送信機3b(図1A)に用いる直交符号をC12とする。ただし、第2の実施形態では、伝搬路推定用サブキャリアに使用するキャリア間にデータが挿入されているため、回転量は先に示した値の半分になる。
図13は、本発明の第3の実施形態による送信機の構成を示すブロック図である。第2の実施形態による送信機(図10)と同じ構成を採る部分については、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。本実施形態による送信機は時間ローテーション部60を有する点において、第2の実施形態による送信機(図10)と異なる。
時間ローテーション部60は、IFFT部15から出力される信号を回転させる。また、スケジューリング部10は、ローテーション部141と時間ローテーション部60を駆動させるか否かを制御している。9つのフレームで構成されるスーパーフレーム中、8フレーム目までと、9フレーム目の伝搬路推定用サブキャリアまでは、第2の実施形態と同じ動作をする。そして、9フレーム目のデータ部では、ローテーション部141の駆動を停止させ、時間ローテーション部60を駆動させる。
送信機3a(図1A)では時間ローテーションを0、送信機3bでは時間ローテーションを128に設定する。この操作によりそれぞれの送信機でデータシンボルと既知シンボルである伝搬路推定用シンボルの回転量が一致することになる。このフレームにおいて送信機から同じデータを送信すると図14Cに示すような擬似的な伝搬路を得ることができ、周波数ダイバーシチ効果が得られる。図14Aは送信機3a(図1A)の伝搬路であり、図14Bは送信機3b(図1A)の伝搬路である。
このフレームを受信する受信機は逆拡散の構成をとらず、従来のような、伝搬路推定用サブキャリアの複素共役を乗じる形式の復調を行う。これは、伝搬路推定用シンボルが基本的には同じ符号から生成されたものであるため、伝搬路推定用シンボルを含めたデータシンボルの全てが同じデータとなっているためである。
このように直交符号に特殊な符号を用いることで、受信機が送信機間を移動中でも、ハンドオーバを受信機が意識することなく実現することができる。
図15は、本発明の第3の実施形態による受信機の構成を示すブロック図である。第1の実施形態による受信機(図6)と同様の構成を採る部分については、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。本実施形態では、伝搬路推定部70を有する点において、第1の実施形態による受信機と異なる。
伝搬路推定部70は、伝搬路推定用サブキャリアの受信周波数のデータに、伝搬路推定用シンボルを生成するために使用した符号の複素共役を乗ずることで伝搬路を求める。また、周波数ダイバーシチ用のフレームでは、サブチャネル毎の電力を測定する必要性がないので、このフレームは伝搬路を推定し、データを復調するのみである。
なお、受信機に、受信した既知シンボルが含まれるOFDMシンボルに対しFFTにより周波数変換するFFT部34と、送信機側で直交性を保った既知シンボル単位で送信アンテナとの周波数応答である伝搬路を複数のアンテナに対し推定する伝搬路推定部37等の他に、電波の品質をアンテナ毎に推定する品質推定部(図示省略)と、各アンテナ毎の電波の品質から、各アンテナから送信されるOFDMシンボルのサブキャリアに所定の位相回転を与えた場合の結合された伝搬路の品質を算出する品質算出部(図示省略)とを設けるようにしてもよい。
上述した第1〜第3の実施形態では、複数のサブチャネルより構成される周波数帯域を利用したOFDMA方式を用いる送信機であって、複素乗算部21−1〜21−64、又は、211−1〜211−768(位相回転部)によりデータシンボルあるいは既知シンボルにより変調された連続する複数のサブキャリアで構成されるグループに対し、同一の位相回転をグループ毎に与え、回転量決定部20、又は、回転量決定部201によりサブチャネル単位で位相回転量を決定し、スケジューリング部10によりサブチャネル単位で位相回転の有無を決定する。
このような構成を採ることにより、OFDMA方式を用いる場合に、回転量決定部20により、既知シンボルである伝搬路推定用シンボルが乗っているサブチャネルには回転を与えるとともに、データシンボルが載っているサブチャネルには回転を与えないといった処理を行うことが可能になるので、送信機は全てのサブチャネルに対して回転を与える必要がなくなり、送信機の負荷を軽減することができる。
なお、OFDM方式を用いる送信機であって、複素乗算部21−1〜21−64、又は、複素乗算部211−1〜211−768(位相回転部)によりデータシンボルあるいは既知シンボルにより変調された連続する複数のサブキャリアで構成されるグループに対し、同一の位相回転量をグループ毎に与え、回転量決定部20、又は、回転量決定部201により位相回転量を決定し、スケジューリング部10により位相回転の有無を決定するようにしてもよい。
このような構成を採ることにより、OFDM方式を用いる場合に、複数のグループごとに分割したサブキャリアに対して、位相回転を与えることができるので、サブキャリアごとに受信処理を行う必要がなくなり、受信機側での処理の負担を軽減することができる。
なお、以上説明した実施形態において、図4、図10、図13のスケジューリング部10、伝搬路推定用シンボル生成部11−1〜11−12、111、データマッピング部12−1〜12−12、マルチプレクス部13−1〜13−12、131、ローテーション部14−1〜14−12、141、IFFT部15、GI挿入・P/S変換部16、D/A変換部17、RF部18、制御信号生成部50、時間ローテーション部60、図6、図15のRF部31、A/D変換部32、シンボル同期部33、FFT部34、伝搬路推定用シンボル抽出部35、伝搬路補償部36、伝搬路推定部37、サブチャネル抽出部38、復調部39−1〜39−12等の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより送信機又は受信機の制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時刻の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時刻プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
本発明は、OFDM方式を用いる送信機、通信システム及び送信方法に適用することが可能であり、送信ダイバーシチ効果を得ることができる方式である。これは、複数のサブキャリアで構成されたグループに対し、送信機毎に異なる同一の位相回転量を与えることで、位相回転に必要な回路規模を削減しながら実現できる。また、グループ毎に伝搬路推定用サブキャリアを配することで、伝搬路推定精度を高く保つことが可能となる。特に、直交関係にある符号を与えることで、この効果は顕著となる。

Claims (14)

  1. OFDM方式を用いる送信機であって、
    データあるいは既知の信号により変調された連続する複数のサブキャリアで構成されるグループに対し、同一の位相回転量を前記グループ毎に与える位相回転部と、
    前記位相回転をアンテナ系列毎あるいは送信機毎に設定する回転量決定部と、
    を有することを特徴とする送信機。
  2. 複数のサブチャネルで構成される周波数帯域を利用したOFDMA方式を用いる送信機であって、
    前記サブチャネルの一部あるいは全部において、データあるいは既知の信号により変調された連続する複数のサブキャリアで構成されるグループに対し、同一の位相回転量を前記グループ毎に与える位相回転部と、
    前記位相回転をアンテナ系列毎あるいは送信機毎に設定する回転量決定部と、
    データをサブチャネルに振り分け、位相回転の有無を決定するスケジューリング部と、
    を有することを特徴とする送信機。
  3. 前記グループには少なくとも1つの伝搬路を推定するための既知の信号で変調されたサブキャリアを含めることを特徴とする請求項1又は2に記載の送信機。
  4. 前記グループに含まれるサブキャリアの本数を全ての周波数帯域で同じとすることを特徴とする請求項1又は2に記載の送信機。
  5. 前記位相回転部は、前記グループ毎に与える位相回転量の隣接するグループ間の差を一定とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の送信機。
  6. 前記位相回転部は、グループのうち1つを基準のグループとし、そのグループの位相回転量の絶対値を受信機の状態により決定することを特徴とする請求項5に記載の送信機。
  7. 前記位相回転部は、前記グループ間の位相回転量の差を各送信機毎に固有の値とすることを特徴する請求項1又は2に記載の送信機。
  8. 前記グループを生成するサブキャリア間に直交関係が必要となるサブキャリア変調が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の送信機。
  9. 前記直交関係は、伝搬路推定用サブキャリアの直交関係であることを特徴とする請求項8に記載の送信機。
  10. OFDM方式を用いて送信機と受信機の間で通信を行う通信システムであって、
    前記送信機は、請求項9に記載の送信機であり、
    前記受信機は、
    受信した既知シンボルが含まれるOFDMシンボルに対しFFTにより周波数変換するFFT部と、
    送信機側で直交性を保った伝搬路推定用サブキャリア単位で送信アンテナとの周波数応答である伝搬路を複数の送信アンテナに対し推定する伝搬路推定部と、
    電波の品質を送信アンテナ毎に推定する品質推定部と、
    各送信アンテナの周波数応答から、各送信アンテナから送信されるOFDMシンボルのサブキャリアに所定の位相回転を与えた場合の結合された伝搬路の品質を算出する品質算出部と、
    を有することを特徴とする通信システム。
  11. OFDM方式を用いる送信方法であって、
    データシンボルあるいは既知シンボルにより変調された連続する複数のサブキャリアで構成されるグループに対し、グループ毎に同一の位相回転量を与え、
    前記位相回転量をアンテナ系列毎あるいは送信機毎に決定し、
    変調に加え前記位相回転を加えて送信することを特徴とする送信方法。
  12. OFDMA方式を用いる送信方法であって、
    データシンボルあるいは既知シンボルにより変調された連続する複数のサブキャリアで構成されるグループに対し、同一の位相回転量を前記グループ毎に与え、
    前記位相回転量をアンテナ系列毎あるいは送信機毎に決定し、
    位相回転の有無を決定し、
    前記位相回転の有無を変調に加え前記位相回転を加えて送信することを特徴とする送信方法。
  13. 前記グループ化を行う基準をサブキャリアの直交性とすることを特徴とする請求項11又は12に記載の送信方法。
  14. 前記直交性は、伝搬路推定用サブキャリアの直交性であることを特徴とする請求項13に記載の送信方法。
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