JP4301847B2 - 浴槽用排水接続構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽載置型床パンと、浴槽排水口とを接続する排水継手を備えた浴槽用排水接続構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、浴槽用排水接続構造には、浴槽載置型床パンのパン排水口と浴槽排水口とを弾性を有する排水継手で接続した構成のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−241387号公報(第1頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記先行技術は、パン排水口と浴槽排水口との芯ズレ、浴槽と床パンの浴槽載置部との間の寸法変化にその排水継手の弾性機能が対応するものである。
そして、遠隔操作用のレリースをその排水継手を挿通して浴槽排水口に装備される排水部と、浴槽リム等に設けられる操作部とに連絡し、操作部の操作でそのレリースを介して排水部を上下動させて浴槽排水口を交互に開閉するようになっている。
この先行技術で用いられる排水継手は、蛇腹管の下半部に非変形部を備え、その非変形部からレリースを水密状に挿し入れると共に、パン排水口に固定されている排水連結管に排水継手の下端を弾性的に嵌合して締付リングで締結し、その排水連結管を排水口部材に螺嵌して接続構造を構成する。
【0005】
この先行技術の場合、その非変形部が浴槽と床パンの浴槽載置部との間のスペースを占有して弾性変形量を少なく抑制し、浴槽と浴槽載置部との間の寸法変化に対する自由度を小さくする問題の他、洗い場側からのオーバーフロー水等を排水できない問題がある。
【0006】
そこで、図6に示すように、洗濯機パンと同様に、パン排水口bに差込孔15と排水小孔25とを有する排水目皿5を設け、その排水目皿5に排水継手3の下端側を差し入れ、洗い場側からのオーバーフロー水等をその排水小孔25から排水可能とし、排水継手3として今日弾性変位量が大きいと言われている非変形部のない蛇腹管を使用することが提案できる。
【0007】
しかしながら、蛇腹管等のように弾性変形量が大きいと言われている排水継手3にあっては、排水継手3を垂直方向に弾性変形させて浴槽排水口aと、パン排水口bとを水密状に接続した際、浴槽Bと浴槽載置部P1との間のスペースが狭い場合、弾性変形するその蛇腹管が排水目皿5に弾接して排水小孔25を閉孔し、洗い場側からのオーバーフロー水等を排水できなくする。
また、蛇腹管であっても、その複数の襞部によって垂直方向の弾性変形量が制限され、浴槽Bと浴槽載置部P1との間の寸法変化に対する自由度を大きくする主旨からして、決して好適なものでもなかった。
【0008】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたもので、その課題は、パン排水口の排水継手に弾接する排水継手で排水目皿の排水小孔が閉孔されないようにすることである。
更に他の課題は、遠隔操作用のレリースの配線を簡単に行なえるようにすることである。
更に他の課題は、水密性を向上させて浴槽排水口とパン排水口とを接続することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために講じた技術的手段は、浴槽載置型床パンのパン排水口と浴槽排水口とを弾性を有する排水継手で接続し、該排水継手を、パン排水口に設けた排水目皿表面に弾接する形態への変化を許容する所要形状に形成した浴槽用排水接続構造であって、前記排水目皿または排水継手に、排水目皿に弾接する排水継手とその排水目皿との間に排水小孔への排水案内空間を形成する空間形成手段を設けていることを特徴とする浴槽用排水接続構造である(請求項1)。
前記空間形成手段の一例としては、排水目皿表面または排水継手外面に設けた構造簡単な凸部を挙げることができる。その凸部は排水目皿の表面や排水継手の外面に適宜間隔をおいて形成する。排水継手が排水目皿の凸部を弾接面として弾性変形して凸部間に排水小孔への排水案内空間を形成したり、外面の凸部を排水目皿の表面に弾接させて排水継手が弾性変形し、同様に凸部間に排水小孔への排水案内空間を形成する(請求項2)。
【0010】
そして、前記排水継手から外側に向けて一体に設けたレリース遊挿用の小形部を介して非変形性のレリース導入部を設けている場合も有効なものである(請求項3)。前記レリース導入部は、排水継手の弾性変形時の応力を受けて弾性変形しない程度の強度を有する所要の材料で成形する。前記小形部の長さは短尺で、断面視円形のものが好ましいものである。
【0011】
以上の手段にあっては、レリースの接続継手内への導入手段を、排水継手の弾性変形応力(形状変化応力)の影響を受けても難変形性の小形部と、保形性を有するレリース導入部とで構成して、弾性変形時の排水継手が小形部内のレリース遊挿空間を潰さないようにする。
【0012】
更に、レリース導入部に、浴槽上縁面上方の空間に連絡されるガイドチューブのその下端側を接続していると、浴槽設置施工時及びメンテナンス時に浴槽上縁面上方からのレリースの案内を可能にして、配線作業の簡素化に寄与し(請求項4)、また前記排水継手が、下一対の末広がり状部をその大形側を背中合わせに連設して弾性変形部を構成する形状にしてあると、弾性変形量を増大させる上で好適である(請求項5)。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図4は本実施の形態浴槽用排水接続構造の実施の形態を示し、符号Aがその浴槽用排水接続構造である。
この浴槽用排水接続構造Aは、図1、図2に示すように、浴槽排水口aに取付られる排水口部材1と、その排水口部材1に設けられる排水栓装置の排水部2と、前記排水口部材1と浴槽載置型床パンPの浴槽載置部P1に開口されているパン排水口bとを接続する排水継手3と、そのパン排水口bに接続されるトラップ継手4と、そのパン排水口bを被蓋する排水目皿5等とを備えている。
【0014】
浴槽載置型床パンPは、浴槽載置部P1と洗い場(図示せず)とを中途に段設形成された土手P2を介して連設した周知構造のもので、係止鍔16を上端に備えた取付部材6にトラップ継手4上端部を螺嵌することによって、浴槽載置部P1に開口されているパン排水口bにそのトラップ継手4を取り付けるようになっている。
【0015】
前記取付部材6には、前記排水目皿5が水密状に嵌着されている。
前記排水目皿5は、中央部に排水継手3下端の差込筒13を水密状に差し入れる差込口15を開口し、その差込口15の周囲に等間隔をおいて空間形成手段7を設けている。
【0016】
前記空間形成手段7は、凸部であり、図3に示すにように、本実施の形態では排水目皿5の差込口15側に向かって下り勾配の傾斜面を上面に有する正面視三角形状を呈してなり、前記排水小孔25…間の排水目皿5の表面から突設して、排水継手3が排水目皿5の表面に弾接する際、その凸部7、7間にその排水小孔25…に連通する排水案内空間17を形成するようになっている(図2参照)。
【0017】
前記排水部2は、図2に示すように、レリースLの進動側でロックと、ロック解除とを交互に繰り返すスラストロック機構(図示せず)を内蔵したメカボックス12から上下動可能に突出する支持軸22に栓蓋32を支持させて、その栓蓋32で浴槽排水口aを交互に開閉するように構成されており、ブラケット42で排水口部材1に係脱可能に取付られている。
このブラケット42は、排水口部材1の下端内面に設けた段部11に係脱する係止爪42bを下端に形成した短筒部42aの中心にメカボックス12を配置し、メカボックス12の周面から放射状に延設した腕部42cを前記短筒部42aに連設した周知の構成になっており、その腕部42c、42c間を排水スペース8としている。
この実施の形態では、栓蓋32からメカボックス12に外嵌挿するガイド筒32aを垂設して、栓蓋32の上下動時の直進性を維持するように配慮され、該ガイド筒32において、前記腕部42cと干渉する部分には、干渉を避ける凹部を下端側から凹設してある。
【0018】
排水継手3は、ゴム、合成樹脂等の弾性材料を用いて、下一対の末広がり状部(台形状の筒)3a、3aをその大形側(大径側)を背中合わせにし連設して襞によって垂直方向の弾性変形量が制限されない弾性変形部3’を構成してなり、上端側に排水口部材1下端部に接続する筒状の接続部23を、下端側に前記排水目皿5の差込口15に差し入れる差入筒13を各々一体に有しており、接続部23を、一体的に設けたナット部材9で排水口部材1に螺嵌し、差込筒13を差込口15に水密状に差し入れて、浴槽排水口aとパン排水口bとを接続している。
符号33が差込筒13外面に突設されたシール鰭部であり、このシール鰭部33が差込筒13差し込み時に弾圧されて水密性を維持するようになっている。
【0019】
また、排水継手3には、上半部の末広がり状部3aからレリース遊挿用の小形部(断面円形が好ましいものである)43を一体に外側に向けて設け、その先端に非変形性のレリース導入部10を設けている。
【0020】
前記小形部43は、本実施の形態では、レリースLの直径に対して2〜3倍程度の小径、短尺(10mm〜15mm)なもので、外端部にはレリース導入部10が嵌着固定されている。
【0021】
レリース導入部10は、硬質樹脂、硬質ゴム製の管状のもので、外半側を小形部43に比して大径にすると共に、外面中途部に環状突条部10aを突設しており、その突条部10aを位置決め部としてレリースLのガイドチューブG下端側を嵌着により接続するようになっている。
【0022】
前記ガイドチューブGは、レリースLを案内するものであり、上端側を浴槽Bの上縁面に開口した操作口b1に取付られる操作筒Sに嵌着して接続して間接的に浴槽上縁面上方の空間に連絡(連通)してなり、内部に配線されるレリースLの下端は前記レリース導入部10、小形部43を介して排水継手3内に導入して前記メカボックス12に接続し、レリースL上端はその操作筒Sに装設される操作部Cに接続するようになっている。
【0023】
尚、図1中で、符号Dは洗い場側の排水口に連絡する排水トラップTとトラップ継手4とを接続する接続チューブである。
【0024】
以上のように構成されている浴槽用排水接続構造Aは、図4に示す状態から排水継手3下端の差込筒13を排水目皿5の差込口15に水密状に差し込んで施工される。
その際、浴槽Bと排水継手3の弾性変形部3’が有する垂直方向への優れた弾性変形量で浴槽Bと浴槽載置部P1との間の寸法変化に対応する自由度を拡大して浴槽排水口aとパン排水口bとを接続する(図1、図2参照)。
そして、浴槽排水口aとパン排水口bとを接続する弾性変形時の排水継手3が排水目皿5の表面に弾接することがあっても、凸部7、7間に排水小孔25への排水案内空間17を形成し、洗い場側からのオーバーフロー水等を排水する。
また、弾性変形の影響を受け難い小径な小形部43と、その小形部43先端に設けられるレリース導入部10の保形性(剛性)で小形部43のレリース遊挿空間43aが潰されないようになるため、浴槽設置施工時にレリースLの先端側をガイドチューブGを介して浴槽上縁面上方側から挿入する時でもレリース導入部10、小形部43を経て排水継手3内に挿入して、メカボックス12下端に容易に接続することができる。
尚、メカボックス12とレリースLとの接続は、前記ブラケット42を排水口部材1から外して、レリースL先端を浴槽B内まで導き、浴槽B内でメカボックス12下端にその先端を接続後、ブラケット42を前記段部11に再係止する。また、メンテナンス時にも、レリース遊挿空間43aが存在するため、レリースLの抜き取り及び最挿入が浴槽設置施工時の時と同様に簡単に行なえる。
【0025】
図5は、前記レリース導入部10にキャップ状の止水ブッシュ10aを嵌着した変形例を示すものであり、その止水ブッシュ10aに開孔したレリースLと同径もしくは若干小径なレリース挿通孔10bからレリースLを水密状に挿入している。
【0026】
尚、前記スラストロック機構は、操作部S側に内蔵しても良いものである。また排水目皿5は、その排水小孔25…に逆流を防止するフロート弁を付設する構成を採用しても良いものである。
【0027】
【発明の効果】
本発明は以上のように排水目皿または排水継手に、排水目皿に弾接する排水継手とその排水目皿との間に排水小孔への排水案内空間を形成する空間形成手段を設けているので、浴槽排水口とパン排水口を水密状に接続する排水継手が排水目皿の表面に弾接することがあっても、洗い場側からのオーバーフロー水等が排水されずに停滞して浴槽載置部を汚染したり不衛生にすることがない。
そのため、浴槽脚を短くして浴槽への跨ぎ込み高さを低く抑制したバリアフリー対応の浴槽であっても、優れた排水性を具備できる。
【0028】
しかも、レリースの導入手段を、排水継手から外部に向けて突設した小形部と、その小形部先端に設けられる非変形性のレリース導入部とで構成しているため、排水継手の弾性変形応力(形状変化応力)の影響を受け難くした小形部と、レリース導入部の保形性とで、小形部内のレリース遊挿空間が潰れないようになるから、先行技術のように浴槽設置施工時、メンテナンス時にレリースを排水継手内に強制的に挿し入れるような配線作業を強いる必要がなくなり、レリースの配線作業が非常に簡単に行なえるし、例えば排水継手に非変形性のレリース導入部を直接的に設けた場合のようにそのレリース導入部の保形性で排水継手の弾性変形が阻害される虞れもない。
従って、浴槽脚を短くして浴槽への跨ぎ込み高さを低く抑制したバリアフリー対応の浴槽であっても、レリースの配線作業を造作なく行なうことができる。
【0029】
更に、レリース導入部にレリースのガイドチューブを接続しているため、排水継手にレリースを挿入する浴槽用排水接続構造でありながら、浴槽上縁面上方からガイドチューブにレリースを挿入することによって簡単に配線でき、先行技術のようにいちいちエプロン板を外して浴槽バック空間を開け閉めする面倒な前作業、後作業も必要としない。
【0030】
その上、排水継手を下一対の末広がり状部をその大形側を背中合わせに連設して弾性変形部を構成する形状にしているため、蛇腹管からなる排水継手に比べて弾性変形量が増大し、パン排水口と浴槽排水口との密着性を高めて水密性を向上させることができるばかりでなく、浴槽と床パンの浴槽載置部との間の寸法変化に対応する自由度を大幅に拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態浴槽用排水接続構造の使用状態を示す正面断面図で一部省略して示す。
【図2】 図1の要部の拡大図。
【図3】 排水目皿を含む要部の拡大斜視図。
【図4】 排水継手をパン排水口に差し入れる前の状態を示す同正面断面図。
【図5】 浴槽用排水接続構造の変形例の使用状態を示す正面断面図で一部省略して示す。
【図6】 従来例における浴槽用排水接続構造の使用状態を示す正面断面図。
【符号の説明】
A:浴槽用排水接続構造 P:浴槽載置型床パン
a:浴槽排水口 b:パン排水口
3:排水継手 5:排水目皿
25:排水小孔 7:空間形成手段
43:小形部 10:レリース導入部
G:ガイドチューブ 3a:末広がり状部
3’:弾性変形部 17:排水案内空間
P1:浴槽載置部 L:レリース

Claims (5)

  1. 浴槽載置型床パンのパン排水口と浴槽排水口とを弾性を有する排水継手で接続し、該排水継手を、パン排水口に設けた排水目皿表面に弾接する形態への変化を許容する所要形状に形成した浴槽用排水接続構造であって、前記排水目皿または排水継手に、排水目皿に弾接する排水継手とその排水目皿との間に排水小孔への排水案内空間を形成する空間形成手段を設けていることを特徴とする浴槽用排水接続構造。
  2. 前記空間形成手段が、排水目皿表面または排水継手外面に設けた凸部であり、該凸部は排水継手が排水目皿表面に弾接した際、その凸部間に排水小孔への排水案内空間を形成することを特徴とする請求項1記載の浴槽用排水接続構造。
  3. 前記排水継手から外側に向けて一体に設けたレリース遊挿用の小形部を介して非変形性のレリース導入部を設けていることを特徴とする請求項1または2記載の浴槽用排水接続構造。
  4. 前記レリース導入部に、浴槽上縁面上方の空間に連絡されるガイドチューブのその下端側を接続していることを特徴とする請求項3記載の浴槽用排水接続構造。
  5. 前記排水継手は、下一対の末広がり状部をその大形側を背中合わせに連設して弾性変形部を構成していることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の浴槽用排水接続構造。
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