JP4301647B2 - 大型円筒frp部品の脱型方法及び脱型装置 - Google Patents

大型円筒frp部品の脱型方法及び脱型装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は大型円筒FRP部品の脱型方法及び脱型装置に関し、大型成形品を横置き状態のままで容易に脱型を可能としたものである。
【0002】
【従来の技術】
図8(a)は従来の大型円筒形状のCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics) 成形品が利用されている飛しょう体の外観図であり、50は飛しょう体の先端部を示し、51、52はエンジンや燃料の収納部を示している。エンジン収納部52はCFRP成形品で、大型の円筒形状容器からなり、このような円筒形状のCFRP又はFRP大型成形品は、例えば、図8(b)に示すように内側CFRP63、外側CFRP62からなり内部に発泡材64が挿入され、全体で円筒形状に成形されている。
【0003】
図7は、このような大型FRP成形品の脱型を示す図であり、(a)は成形用治具の外観を示す斜視図、(b)は成形品の成形や仕上げ作業を示す図、(c)は脱型のための運搬状態を示す図、(d)は脱型の作業を示す図である。(a)において成形部品42は、車輪43付きの成形型用台車40に回転自在に支持された円筒型41の表面にFRPを積層して円筒形状に成形されており、これを炉内で加熱して硬化させる。FRPを積層する場合には、(b)に示すように、成形型用台車40の側面に移動可能な作業台47を装備し、人手により円筒型41を回転させながら作業を行う。(c)は成形後の大型FRP成形部品42を横置き状態でクレーンの設置されている作業場まで移動してくる。(d)において、台車40から円筒型41を取外し、起立台44に載せて垂直に起立させ、ロープ46で成形部品42の上下を固定してクレーン45で吊り上げて内部の円筒型41と成形部品42とを分離させて脱型を行っている。
【0004】
この場合に大型の成形部品、例えば、径が4m,長さ7m程度の部品となると、円筒型41の厚さは20mm程度にもなり、その重量は約7トン程度にもなり、垂直に持ち上げる場合には少くとも地面から10m程度まで持ち上げる必要があり、クレーンの揚程としては20m位の大型クレーンを設備する必要がある。又、成形部品42は円筒型41に密着しているため端面を掴んで無理に引き抜くと、FRP部品に剥離が生じてしまうので充分な注意が必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、従来の大型円筒FRP部品の脱型方法は、成形品を垂直に起立させ、クレーンにより外側の成形部品を吊り上げて内側の円筒型とを分離させる方法であるが、このような方法では、成形部品が円筒状の型に密着しているので端面を掴んで無理に引き抜くと、FRP部品には剥離が発生してしまう。又、成形部品が大型で、重量物となるため、大型のクレーンが必要となり、室内で脱型するには高い建屋が必要となるので、屋外で行うことになり、この場合には作業が天候に左右されてしまう。
【0006】
そこで本発明は、成形後の大型円筒FRP部品を横置きのままで簡単に円筒状の型から引き抜くことができ、従来のように垂直に起立させたりする作業や、大型のクレーンも不要とする大型円筒FRP部品の脱型方法及び脱型装置を提供することを課題としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述の課題を解決するために、次の(1)の脱型方法及び(2)〜(5)の脱型装置を提供する。
【0008】
(1)表面にFRP成形部品を加熱して硬化し成形された円筒状の型を横向きに、かつ同成形部品を横方向に摺動可能に台車に支持し;前記円筒状型を冷却して収縮させ、表面に成形された成形部品との密着を剥離させて同円筒状型と成形部品との間に隙間を形成させ;同隙間を周方向に均一となるように調節することにより前記成形部品が横方向に移動可能とし;前記円筒状型を固定すると共に同円筒状型の軸方向の一端に成形部品受け用台車を連接して配置し;前記成形部品を他端から押すことにより前記受け用台車に移動させて前記円筒状型から脱型させることを特徴とする大型円筒FRP部品の脱型方法。
【0009】
(2)表面にFRP成形部品を積層する円筒状の成形型を搭載する型用台車と同型用台車の前後に配設され、前記成形型を乗せて回転可能で、かつ水平方向に移動することにより同成形型表面に対し離接可能な左右一対の型支持ローラと、前記型用台車の前後方向両側に配設され、前記成形部品の周面と当接し、これを支持すると共に、同成形部品の径方向に移動して位置調整可能な複数の移動用ローラと、前記型用台車に連接して配置される脱型用台車と、同脱型用台車の前方に片持支持され、後方に伸びて先端部が前記連接する型用台車に搭載される円筒状成形型の内部へ挿入されるアームと、前記脱型用台車の前後方向両側で前記型用台車の移動用ローラとほぼ同一レベルに取付けられると共に、前記成形部品の径方向に移動して位置調整可能な複数の脱型移動用ローラと、前記アームの先端に取付けられ、前記成形型の内壁を支持し、かつ上下動することにより同成形型の支持位置を調整可能な成形型支持手段とを備えてなり、前記アーム先端で前記成形型を支持すると共に、前記前方の型支持ローラを前記成形型及び表面の成形部品から離し、同成形部品を後方から押すことにより前記移動用ローラ及び脱型移動用ローラに沿って前記脱型用台車に移動させ脱型を可能とする大型円筒FRP部品の脱型装置。
【0010】
(3)前記成形型支持手段は、前記成形型の円筒内壁の左右両端を支持する型支持部材と、前記アームの先端部に設けられ前記型支持部材を支持し、上下動して前記成形型の位置調整を可能とするジャッキからなることを特徴とする(2)記載の大型円筒FRP部品の脱型装置。
【0011】
(4)前記型用台車の型支持ローラの水平方向の位置調整は手動ハンドルの回転により行うことを特徴とする(2)記載の大型円筒FRP部品の脱型装置。
【0012】
(5)前記型用台車の移動用ローラ及び脱型用台車の移動用ローラの位置調整は手動ハンドルの回転により行うことを特徴とする(2)記載の大型FRP部品の脱型装置。
【0013】
本発明の(1)は脱型方法の発明であり、成形部品は円筒状の成形型と共に横向きに支持されており、成形作業やオートクレーブで焼結する際にもこの状態でなされ、焼結後には自然冷却か又は必要に応じて送風等により冷却される。成形型はFRPよりも熱膨張差の大きい材料、例えばAl、等から作るのが好ましく、冷却後は型が収縮して表面のFRP成形部品が型から剥離して型表面との間に隙間が生ずる。次に、横向きに支持した成形型に受け用の台車を設置し、成形型が横移動しないように固定した後、隙間を適切に調整し、成形部品を後方より押すと、成形部品は成形型表面を摺動して横移動し、受け用台車に移動して成形型から脱型することができる。
【0014】
本発明の(2)は、脱型装置の発明であり、成形型を搭載する型用台車と、脱型用台車とを連接して配置して構成される。脱型する場合には、成形後に成形型を冷却すると型は収縮するので表面のFRP成形部品が型表面から剥離し、型とその間に隙間が生ずる。成形型の前方側は脱型用台車に連接し、脱型用台車のアーム先端が成形型に連結して、アームはこれを支持する。その後前方の型支持ローラを成形型表面から離して待避させる。この状態で、型用台車の各移動用ローラの位置調整を行って成形型と成形部品との間の隙間を移動可能なように適切に調整して成形部品を後方から人手により押すと、成形部品は成形型から離れて移動用ローラ上に沿って横移動し、前方の型支持ローラが待避しているので脱型用台車に容易に移動することができる。脱型用台車では、脱型移動用ローラが設けられているので、成形部品は内部にアームを挿通させながらローラ上に沿って脱型用台車に容易に乗り移ることができ、成形型はそのまま型用台車に残り、脱型がなされる。
【0015】
本発明の(3)では、アーム先端の成形型支持手段が、型支持部材とジャッキからなるので、アーム先端で成形型を支持できると共に、上下動して成形型の位置を調整し、成形型と成形部品とに生じた隙間を調整することが容易となる。
【0016】
又、本発明の(4)では、型支持ローラを待避させる場合にはハンドルを廻すことにより支持ローラを水平移動させ、外側に待避させるのが人手により容易になされ、又、成形型の径の大小に応じて一対の支持ローラ幅を容易に調整ができる。又、本発明の(5)では、型用台車と脱型用台車の各移動用ローラの位置がハンドルにより容易に調整可能であり、成形部品移動のための隙間の調整が簡単な機構で可能となるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の実施の一形態に係る大型円筒FRP部品の脱型装置における成形用の台車部分を示す斜視図である。図において、1は成形型用台車であり、前後に4個の車輪5を装備し、レール55上を移動可能としている。成形型用台車1には、円筒状の成形型30を回転可能に支持する型受けローラ2a,2bが前後に設けられている。型受けローラ2a,2bはローラ支持部3の両側に回転可能に設けられ、円筒状成形型30が回転可能に搭載される。成形型30は後述するようにFRPよりも熱膨張、収縮差の大きなAlの材料からなる。
【0018】
成形型用台車1には図示省略しているが、図7(b)に示すように作業台43を移動して装備し、人手によりFRP成形作業が実施され、成形型30の表面に成形部品31が成形される。その後、台車1はレール55上を移動して図示省略のオートクレーブの炉内に導かれ、180℃程度の温度で成形部品31を加熱し硬化させる。4はゴムローラであり、図示の例では両側にそれぞれ5個づつ取付けられて成形部品31の支持と軸方向移動のガイドの役目をする。なお、ゴムローラ4は後述するように着脱可能に取付けられ、炉内に搬入する場合には必要に応じて取外し可能となっている。又、この個数は両側に5個づつ設ける例で説明したが、かならずしもこれに限定されず、必要に応じて増減しても良いものである。
【0019】
図2は成形型用台車1と脱型治具10とを連結した状態を示す斜視図である。図において、成形型用台車1は、図1に示す通りの構造であり、型受けローラ2a,2bが前後にそれぞれ設けられ、車輪5によりレール55上を移動可能とし、又、両側には成形部品31を支持するゴムローラ4がそれぞれ5個設けられ、成形型30及びその周囲に成形された成形部品31が搭載されている。
【0020】
10は脱型治具であり、図示してない車輪に支持されてレール上に成形型用台車1と同一軸上に配置されている。11はアームであり、治具10上の前方端のアーム支持基部12に一端が固定された片持ち機構となっている。13は型支持部材であり、後述するように両側が成形型30の内壁に連結され、中央部がアーム先端のジャッキで支持される構成である。14はゴムローラであり、成形型用台車1のゴムローラ4と同じ構成であり、ローラ14とほぼ同一レベルに配置されて横移動してくる成形部品31を受けて支持するものである。
【0021】
図3は上記に説明の成形型用台車1と脱型治具10とを同一軸上に配設した場合の平面図であり、上記に説明したように、台車1と脱型治具10とは同一軸心に配置されている。台車1と脱型治具10とは同一のレール55上を移動するように配設されているので両者が連接すれば、同一軸心上に配置されるようになっている。
【0022】
ガイドローラ4と14とは成形部品31の移動に伴って、その外表面に接触し、回転することにより移動をガイドし又その自重を支持することができる。又、アーム11は中心部に配置されているので、後述するようにその先端部から移動してくる成形部品31を挿通し、成形部品が容易に移動可能とし、又、型支持部材13で成形型30の内壁を支持することができる。
【0023】
図4は図1におけるA−A矢視図であり、型受けローラの状態を示している。図において、成形型30は型受けローラ2a,2bで支持されており、回転可能となっている。型受けローラ2a,2bは軸支持材16a,16bに回転可能に軸15で支持されており、軸支持材16a,16bはローラ支持部3に左右横方向へ移動可能に連結されている。17はハンドルであり、人手により左右に回転すると、その回転に応じて、例えばラック・ピニオン等の機構により、軸支持材16a,16bをそれぞれ左右に移動させ、型受けローラ2a,2bを成形型30の表面から必要に応じて離接可能としている。18は車輪であり、レール55上を移動可能としている。
【0024】
図5は図3におけるB−B矢視図である。図において、脱型治具10は車輪18でレール55上を移動可能であり、アーム11が片持ち支持され、その先端にはジャッキ26が取付けられている。ジャッキ26は型支持部材13の中央部を上方に押し上げて支持しており、型支持部材13の両端は支持片22,23が設けられ、支持片22,23は成形型30の内壁に連結されている。従って、ジャッキ26を上方へ伸張させると、型支持部材13を介して成形型30はアーム11の先端で支持されることになる。
【0025】
脱型治具10の両側には支持腕24が設けられ、支持腕24にはゴムローラ支持部20が着脱可能にネジ等で取付けられている。ゴムローラ支持部20には、ゴムローラ14が成形部品31の軸方向への移動に伴って、その表面に接して成形部品の円筒状表面を支持するように回転可能に取付けられている。又、ゴムローラ支持部20にはハンドル21が設けられており、左右に回転させることにより、そのネジ部を前進、後退させてゴムローラ14を成形部品31の径方向に上下させ、ゴムローラ14の成形部品31への位置を調整可能としている。このようなゴムローラ14が脱型治具10の長手方向両側にそれぞれ5個づつ取付けられている。又、図示省略するが、成形型用台車1のゴムローラ4も同様な構造であり、上下動して位置調整可能となっている。
【0026】
次に、上記構成の脱型装置による脱型の作用について説明する。まず図1に示すように成形型用台車1に成形型30を搭載し、作業台を移動してきて円筒形状の成形型30を型受けローラ2a,2b上で回転させながらFRPの積層を行い、成形部品31を成形する。成形後は作業台を取り払い、成形型用台車1をレール55上で移動させて図示省略のオートクレーブに搬入し、180℃程度の温度で焼き固めて硬化させ、成形を完了する。
【0027】
次に成形型用台車1をレール55上を搬送して図2に示すように脱型治具10と連接して配置する。脱型治具10のアーム11先端部に型支持部材13をセットし、型支持部材13の両端を成形型30の入口内壁に支持片22,23で連結する(図5参照)。この状態で、成形型30を自然冷却か又は送風機等により冷却すると、成形型30はAl製であるので冷却により外側のFRP成形部品31よりも早く冷え、収縮して成形部品31が成形型30から剥がれて成形型30との間に隙間が生ずる。
【0028】
上記の成形型30が剥離した状態では、円筒形の成形型30の一端は脱型治具10のアーム11で支持されており、成形型30の他端は型受けローラ2a,2bで支持されている。この状態で成形部品31を抜く場合には、まずアーム11先端側の成形型用台車1の型受けローラ2a,2bを待避させる。待避の方法は、図4に示すように型受けローラ2a,2bの各々のハンドル17を手動で回転させ、軸支持材16a,16bを外側へ水平移動させて型受けローラ2a,2bを成形型30の表面より離すようにする。
【0029】
次に成形部品31は両側の5個のゴムローラ4で支持されているが、図5に示すように、各ゴムローラのハンドル21を手動で回転し、ゴムローラ4を上下させて調節することにより成形部品31と成形型30との間の隙間を調節し、又、必要に応じてアーム11先端のジャッキ23の上下動を調整し、成形部品31が複数のゴムローラ4上を滑って移動できるようにする。
【0030】
この状態で、成形部品31を後方から人手により押すと、成形部品31はゴムローラ4上を順次滑り、成形型30の周囲から脱型治具10へ向かって移動する。脱型治具10には予め同一レベルとなるようにゴムローラ14のレベルをハンドルで調整し位置合わせを行っておく。脱型治具10のアーム11はアーム支持基部12で片持ち支持であり、前方の型受けローラ2a,2bは待避しているので成形部品31は容易にアーム11の先端部を挿通し、ゴムローラ14に導かれて脱型治具10に移設され、乗り移ることができる。この状態では、成形部品31は円筒状の成形型30から脱型が完了する。
【0031】
上記の作業で成形部品31を後方より人手で押す場合には、例えば、直径が4m、長さが7mで成形品の肉厚20mm程度の製品の場合には、重量が約600kg程度となるが、約50kg程度の力で4人位の人手で容易に押して移動することができる。
【0032】
次に脱型治具10に移動して脱型した成形部品31を後工程の加工のために脱型治具10から移動する場合について、図6に基づいて説明する。図6において、脱型治具10上の成形部品31の周囲にロープ33をまわし、スリング32で吊り上げて成形部品31を脱型治具10から浮かせ、そのまま横移動してアーム11を抜きながらドーリ31上に移し、ドーリ34上に置く。ドーリ34は必要に応じて所定の場所へ成形部品31を運搬することができる。
【0033】
以上説明の実施の形態の脱型装置によれば、成形型用台車1に型受けローラ2a,2b、ゴムローラ4を装備し、脱型治具10には片持ち機構のアーム11、ゴムローラ14を装備し、台車1と治具10とを連接させ、アーム11先端で型支持部材13により成形型30の一端を支持し、成形型30の冷却により生ずる隙間で周囲の成形部品31を剥離させ、成形部品31をローラ4上を滑らせながら横移動させて脱型治具10上に乗り移らせ、治具10上のゴムローラ14に導かれて脱型治具10上に移動して脱型するようにする。このような脱型装置により、従来のように成形型ごと垂直に起立させて吊り上げで脱型する必要がなく、横置き状態で横移動させることのみで大型のFRP成形品が容易に脱型することができる。そのために高い建屋や、揚程の高い大型クレーンも必要なく、又屋外で作業することもなくなる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の大型円筒FRP部品の脱型方法は、(1)表面にFRP成形部品を加熱して硬化し成形された円筒状の型を横向きに、かつ同成形部品を横方向に摺動可能台車に支持し;前記円筒状型を冷却して収縮させ、表面に成形された成形部品との密着を剥離させて同円筒状型と成形部品との間に隙間を形成させ;同隙間を周方向に均一となるように調節することにより前記成形部品が横方向に移動可能とし;前記円筒状型を固定すると共に同円筒状型の軸方向の一端に成形部品受け用台車を連接して配置し;前記成形部品を他端から押すことにより前記受け用台車に移動させて前記円筒状型から脱型させることを特徴としている。このような方法により、大型の成形部品の成形から脱型までがすべて横置きの状態でなされ、従来のように成形型ごとに垂直に起立させて吊り上げで脱型する必要がなく、そのための高い建屋や大型のクレーンも必要なく、作業が著しく改善される。
【0035】
本発明の(2)は脱型装置の発明であり、表面にFRP成形部品を積層する円筒状の成形型を搭載する型用台車と、同型用台車の前後に配設され、前記成形型を乗せて回転可能で、かつ水平方向に移動することにより同成形型表面に対し離接可能な左右一対の型支持ローラと、前記型用台車の前後方向両側に配設され、前記成形部品の周面と当接し、これを支持すると共に、同成形部品の径方向に移動して位置調整可能な複数の移動用ローラと、前記型用台車に連接して配置される脱型用台車と、同脱型用台車の前方に片持支持され、後方に伸びて先端部が前記連接する型用台車に搭載される円筒状成形型の内部へ挿入されるアームと、前記脱型用台車の前後方向両側で前記型用台車の移動用ローラとほぼ同一レベルに取付けられると共に、前記成形部品の径方向に移動して位置調整可能な複数の脱型移動用ローラと、前記アームの先端に取付けられ、前記成形型の内壁を支持し、かつ上下動することにより同成形型の支持位置を調整可能な成形型支持手段とを備えてなり、前記アーム先端で前記成形型を支持すると共に、前記前方の型支持ローラを前記成形型及び表面の成形部品から離し、同成形部品を後方から押すことにより前記移動用ローラ及び脱型移動用ローラに沿って前記脱型用台車に移動させ脱型することを特徴としている。このような脱型装置により、上記(1)の脱型方法が、型用台車と脱型用台車とを連接することにより、横置きの状態で容易に実施できる。
【0036】
本発明の(3)ではアーム先端の成形型支持手段が、型支持部材とジャッキからなるので、アーム先端で成形型を支持できると共に、上下動して成形型の位置を調整し、成形型と成形部品とに生じた隙間を調整することが容易となる。
【0037】
又、本発明の(4)では型支持ローラを待避させる場合にはハンドルを廻すことにより支持ローラを水平移動させ、外側に待避させるのが人手により容易になされ、又、成形型の径の大小に応じて一対の支持ローラ幅を容易に調整ができる。又、本発明の(5)では型用台車と脱型用台車の各移動用ローラの位置がハンドルにより容易に調整可能であり、成形部品移動のための隙間の調整が簡単な機構で可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る大型FRP部品の脱型装置の成形型用台車の斜視図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る大型FRP部品の脱型装置の全体の斜視図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係る大型FRP部品の脱型装置の全体平面図である。
【図4】図1におけるA−A矢視図である。
【図5】図3におけるB−B矢視図である。
【図6】本発明の実施の一形態に係る脱型後のFRP部品を運搬する場合の斜視図である。
【図7】従来の大型FRP部品の成形、脱型を示す図で、(a)は成形型用台車の斜視図、(b)は成形作業中の成形型用台車の正面図、(c)は移動中の成形型用台車の側面図、(d)は成形品を起立させて脱型する場合の側面図である。
【図8】FRP部品の一例を示す図で、(a)は飛しょう体に適用される円筒状部品、(b)はその断面図を示す。
【符号の説明】
1 成形型用台車
2a,2b 型受けローラ
3 ローラ支持部
4,14 ゴムローラ
5,18 車輪
10 脱型治具
11 アーム
12 アーム支持基部
13 型支持部材
15 軸
16a,16b 軸支持材
17,21 ハンドル
20 ゴムローラ支持部
22,23 支持片
24 支持腕
26 ジャッキ
30 成形型
31 成形部品
32 スリング
33 ロープ
34 ドーリ
55 レール

Claims (5)

  1. 表面にFRP成形部品を加熱して硬化し成形された円筒状の型を横向きに、かつ同成形部品を横方向に摺動可能に台車に支持し;前記円筒状型を冷却して収縮させ、表面に成形された成形部品との密着を剥離させて同円筒状型と成形部品との間に隙間を形成させ;同隙間を周方向に均一となるように調節することにより前記成形部品が横方向に移動可能とし;前記円筒状型を固定すると共に同円筒状型の軸方向の一端に成形部品受け用台車を連接して配置し;前記成形部品を他端から押すことにより前記受け用台車に移動させて前記円筒状型から脱型させることを特徴とする大型円筒FRP部品の脱型方法。
  2. 表面にFRP成形部品を積層する円筒状の成形型を搭載する型用台車と、同型用台車の前後に配設され、前記成形型を乗せて回転可能で、かつ水平方向に移動することにより同成形型表面に対し離接可能な左右一対の型支持ローラと、前記型用台車の前後方向両側に配設され、前記成形部品の周面と当接し、これを支持すると共に、同成形部品の径方向に移動して位置調整可能な複数の移動用ローラと、前記型用台車に連接して配置される脱型用台車と、同脱型用台車の前方に片持支持され、後方に伸びて先端部が前記連接する型用台車に搭載される円筒状成形型の内部へ挿入されるアームと、前記脱型用台車の前後方向両側で前記型用台車の移動用ローラとほぼ同一レベルに取付けられると共に、前記成形部品の径方向に移動して位置調整可能な複数の脱型移動用ローラと、前記アームの先端に取付けられ、前記成形型の内壁を支持し、かつ上下動することにより同成形型の支持位置を調整可能な成形型支持手段とを備えてなり、前記アーム先端で前記成形型を支持すると共に、前記前方の型支持ローラを前記成形型及び表面の成形部品から離し、同成形部品を後方から押すことにより前記移動用ローラ及び脱型移動用ローラに沿って前記脱型用台車に移動させ脱型を可能とする大型円筒FRP部品の脱型装置。
  3. 前記成形型支持手段は、前記成形型の円筒内壁の左右両端を支持する型支持部材と、前記アームの先端部に設けられ前記型支持部材を支持し、上下動して前記成形型の位置調整を可能とするジャッキからなることを特徴とする請求項2記載の大型円筒FRP部品の脱型装置。
  4. 前記型用台車の型支持ローラの水平方向の位置調整は手動ハンドルの回転により行うことを特徴とする請求項2記載の大型円筒FRP部品の脱型装置。
  5. 前記型用台車の移動用ローラ及び脱型用台車の移動用ローラの位置調整は手動ハンドルの回転により行うことを特徴とする請求項2記載の大型FRP部品の脱型装置。
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