JP4301247B2 - 球状銀粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、球状銀粉末の製造方法に関し、特にエレクトロニクス用の導体ペースト、導電性塗料及び導電性接着剤等の導電性フィラーとして有用な高分散性の球状銀粉末の製造方法に関する。
銀粉末は導電性が高く優れた特性を有するため、エレクトロニクス分野において、導体回路、電子部品の電極を形成するための厚膜導体ペースト、導電性塗料、導電性インク又は導電性接着剤等(以下、総称して「導体ペースト」と言う。)の導電性フィラーとして広く用いられている。このような用途においては、主として球状銀粉末、多角形状銀粉末、粒状銀粉末、樹枝状銀粉末又はフレーク状の銀粉末が用途や目的に応じて使用される。
近年、電子部品の小型化、高性能化に伴い、高精細な導体パターンや非常に薄く緻密な電極層を高い精度で形成することのできる導体ペーストが要望されている。このため、微細で大きさや形状が揃っており、かつ凝集が少なくペースト中での分散性が優れた球状の銀粉末が求められている。例えばPDP(Plasma Display Panel)等の表示装置の電極をフォトリソグラフィ法で精細に形成するのに使用される感光性銀ペーストの場合、ペースト塗布層への光透過性を改善し光硬化性、パターン解像性を向上させるためには、表面ができるだけ平滑で真球状に近い粒子からなり、かつ平均粒径が0.5〜3μm程度の銀粉末が要求される。
しかしながら、従来化学還元法で製造された銀粉末は、多くの場合凝集性が強く、ペースト中に均一に分散させるのが困難であった。そのため、ペースト中に粗大な凝集粒子や異常に大きな一次粒子が存在している場合、微細な配線あるいは非常に薄い電極層を高い精度で印刷することは困難である。
また、例えば銀粉末を低温焼成ガラスセラミック基板等の多層セラミック基板の導体回路形成用、特にビアフィル用の導体ペーストに用いる場合、セラミック基板と同時焼成されるため、焼成収縮率がセラミック基板に比べて大きいと導体剥れやクラックを生ずる。焼成による収縮を抑制するためには、粉末の充填性が良く、粒子間の空隙が小さくなること、また表面積が小さいこと、分散性が良好であることが望ましい。このため、平均粒径が2〜5μm程度で、また表面が平滑で真球状に近く、かつ充填密度の高い高分散性の銀粉末が要求される。
そこで、例えば特許文献1には、銀アンミン錯体水溶液とヒドロキノン及び亜硫酸のアルカリ金属塩を含有する還元剤水溶液とを混合することにより、微細で分散性が高い球状銀粉を製造すること、また、この銀粉末を用いて微細な配線あるいは非常に薄い電極層を高い精度で形成することのできる導体ペーストを得ることができる銀粉末の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、特定条件下で硝酸銀水溶液をL−アスコルビン酸又はその塩類で還元することにより、粒度分布幅が狭くコントロールされた大きさでかつ単分散した銀微粒子を得ることができる銀微粒子の製造方法が開示されている。
特許文献3には、銀アンミン錯体水溶液をL−アスコルビン酸、D−エリソルビン酸又はこれらの塩で還元することにより、球状の銀粒子を得ることができる銀粒子の製造方法が記載されている。
さらに、特許文献4には、硝酸銀水溶液をL−アスコルビン酸で還元する際、アクリル酸モノマーを存在させることにより、粒径が2〜4μm程度の大粒の単結晶銀粒子を得ることができる銀粒子の製造方法が記載されている。
特開2001−107101号公報 特開昭63−307206号公報 米国特許4863510号公報 特開2000−1706号公報
しかしながら、特許文献1又は特許文献3の方法では、銀アンミン錯体が未反応物として水溶液中に残留しやすく収率が低くなってしまうという問題がある。また銀イオンとアンモニアが共存する溶液では雷銀(窒化銀)が生成しやすく爆発の危険があるという問題がある。また特許文献1で用いられる、ベンゼン環を有するヒドロキノンやSO2基を有する亜硫酸は、銀粒子上に残留した場合焼結性を損なうおそれがあるという問題がある。
また、特許文献2又は特許文献3の方法では、球形に近い単分散銀粉末が得られるものの、形状が不均一で真球性が劣ってしまうという問題がある。また粒子表面が平滑でなく花弁状の凹凸が存在するため、例えば導体ペーストを焼成したとき緻密な焼成体が形成されないという問題がある。
さらに、特許文献4の方法で得られる銀粉末は球状ではなく、角張った多角形形状のものであり、薄く高精細の導体パターンを形成するためには適していないという問題がある。
本発明は、微細で粒子の形状や大きさが揃っており、かつ表面に凹凸が少なく真球に近い導体ペーストの導電性フィラーとして適した球状銀粉末の製造方法を提供することを目的とする。また、銀粉末表面において熱分解しにくい有機物の付着が少なく、かつ粗大な粒子や凝集塊がほとんど存在せず、分散性のよい、平均粒径が0.5〜5μm程度の微細な球状銀粉末を効率よく安定して製造することのできる球状銀粉末の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は粒度や充填密度を任意に調整することが可能な、銀粉末の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、球状銀粉末の製造方法において、
銀化合物溶液と還元剤溶液とを、脂肪族不飽和ジカルボン酸、その無水物及びその塩からなる群のうち少なくとも一つの存在下で反応させることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、球状銀粉末の製造方法において、
銀化合物溶液と還元剤溶液とを、脂肪族不飽和ジカルボン酸、その無水物及びその塩からなる群のうち少なくとも一つ並びに水溶性高分子化合物の存在下で反応させることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の球状銀粉末の製造方法において、
前記脂肪族不飽和ジカルボン酸は、マレイン酸であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の球状銀粉末の製造方法において、
前記還元剤溶液中の還元剤は、L−アスコルビン酸、D−エリソルビン酸又はこれらの塩であることを特徴とする。
本発明に係る球状銀粉末の製造方法によれば、平均粒径が0.5〜5μm程度の大きさの揃った微細な球状銀粉末を簡単に製造することができる。また粒度調整も容易であり、反応温度や反応溶液のpH等の条件により所望の大きさ、粒度分布、充填密度を有する銀粉末を製造することができる。
本発明に係る球状銀粉末の製造方法により製造される球状銀粉末は、微細でペースト中での分散性が極めて優れているので、導体ペースト等に用いた場合、高精細な導体パターンや薄く緻密な電極を形成することができる。また、表面に凹凸が少ない真球性の高い銀粒子からなるので、特に感光性ペーストの導電性フィラーとして用いたとき、ペースト塗布層への光透過性が優れたものとなる。従って、ペースト塗布層への光照射量を低減させることができ、また塗膜の深部まで容易に露光させることもできるので、光硬化性やパターン解像性を向上させることができる。また特定の条件下で得られる、比較的大きく充填性の高い球状銀粉末は、焼成収縮率が小さくなるので、セラミック基板と同時焼成される導体ペースト、特に多層セラミック基板のビアフィル用の導体ペーストの導電性フィラーとして極めて有用である。
本発明に係る球状銀粉末の製造方法において用いられる脂肪族不飽和ジカルボン酸、その無水物及びその塩(以下、「脂肪族不飽和ジカルボン酸類」とする。)は、低分子量で、粉末製造後に洗浄除去しやすいので、粉末表面に残留する有機物を少なくすることができる。ここで、添加剤を完全に除去せず粉末表面に適度に残すことにより、製造された球状銀粉末の凝集を防止することができ、導体ペースト中での分散性をさらに向上させることも可能である。脂肪族不飽和ジカルボン酸類を用いた場合、少量で前記の効果がある上にこれらは熱分解性が高いため、焼成後又は硬化後の導体膜の導電性や緻密性を損なうことがない。
さらに、銀化合物溶液と還元剤溶液とを混合して銀粒子を析出させる際に水溶性高分子分化合物を併用すると、脂肪族不飽和ジカルボン酸類のみを添加する場合に比べて、より分散性が高く、大きさが揃った球状銀粉末を製造することができ好ましい。
以下に、本発明に係る球状銀粉末の製造方法の実施の形態について、詳細に説明する。
まず、本発明にかかる球状銀粉末の製造方法において用いられる化合物についてそれぞれ説明する。
(銀化合物溶液)
本発明において用いられる銀化合物としては、後述する還元剤と反応して銀粉末を生成しうるものであれば特に制限はないが、アンミン錯体を用いる場合は前述したような問題があるため、アンミン錯体以外のものを用いることが望ましい。例えば硝酸銀、炭酸銀、酢酸銀等が挙げられ、コスト面からは硝酸銀を用いることが好ましい。
銀化合物を溶解させる溶媒としては、水及び/又はアルコールを用いることが好ましい。
(還元剤溶液)
本発明において用いられる還元剤としては、前記銀化合物溶液と混合することにより銀化合物を還元して、銀粉末を析出させるものであれば限定されないが、分子中にベンゼン環や、亜硫酸基、硫酸基等の熱分解性が低い官能基を有しないものが望ましい。例えば、L−アスコルビン酸、D−エリソルビン酸、L−アスコルビン酸又はD−エリソルビン酸の塩、ヒドラジン、ヒドラジン化合物、ホルムアルデヒド、蟻酸、グルコース等が挙げられる。特に、L−アスコルビン酸、D−エリソルビン酸又はこれらの塩を用いた場合、大きさの揃った球状銀粉を製造することができるので好ましい。L−アスコルビン酸、D−エリソルビン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが例示される。
還元剤を溶解させる溶媒としては、水及び/又はアルコールを用いることが好ましい。
(脂肪族不飽和ジカルボン酸類)
本発明において用いられる脂肪族不飽和ジカルボン酸類としては、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸、その無水物及びその塩が挙げられる。特に、マレイン酸、マレイン酸無水物が好適に使用される。
本発明において脂肪族不飽和ジカルボン酸類は、銀粉末を真球に近い粒子形状に整え、かつ生成した銀粒子の凝集を防止し、分散性を高める作用があると考えられる。
例えば、硝酸銀水溶液をL−アスコルビン酸溶液で還元する際に脂肪族不飽和ジカルボン酸類が存在しないと、特定の結晶面が成長して表面に花弁状の凹凸を有する粒子となってしまう(図5参照)。しかしながら、銀粒子が還元生成する際に脂肪族不飽和ジカルボン酸類が存在することにより、一次粒子の異方的な結晶成長が抑制されて一次粒子が結晶面の影響を受けずに密に集合し、表面が平滑で真球に近い形状の粒子が生成する(図1参照)。
脂肪族不飽和ジカルボン酸類の量は、用いる脂肪族不飽和ジカルボン酸類の種類によっても異なるが、硝酸銀溶液に含まれる銀量(金属換算量)100重量部に対して、0.5〜25重量部であることが望ましい。0.5重量部よりも添加量が少ない場合、球状銀粉末が得られにくい。25重量部よりも多い場合、銀粉末に付着する有機物量が多くなるため、導体ペーストの特性に悪影響を及ぼすおそれがあり、かつコストも増加するので好ましくない。
(水溶性高分子化合物)
本発明において使用される水溶性高分子化合物としては特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、保護コロイド作用を有するカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース類、デキストリン、デンプンなどの多糖類、アラビアゴムなどの各種天然ゴム、アルブミン、グロブリン、プロラミンなどの単純タンパク質の他、ゼラチン、アルブモース、ペプトン、核タンパク質、糖タンパク質などの各種タンパク質、又はこれらの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、ポリビニルピロリドンなどのビニル系高分子化合物、水溶性アクリル重合体などが挙げられる。
本発明においては、銀粉末の析出時に、脂肪族不飽和ジカルボン酸類とともに水溶性高分子化合物を存在させることにより、より分散性が高く、大きさが揃った球状銀粉末を製造することができる。
水溶性高分子化合物の量は、化合物の種類によっても異なるが、通常硝酸銀溶液に含まれる銀量(金属換算量)100重量部に対して、0.1〜5重量部であることが望ましい。0.1重量部よりも少ない場合、水溶性高分子を併用する効果が現れにくい。5重量部よりも多い場合、銀粉末表面に残存する有機物量が多くなるために、ペースト特性や硬化物又は焼成体の特性に悪影響を及ぼすおそれがあり、コストも増加するので好ましくない。
(銀粉末の製造方法)
次に、前記化合物を用いた本発明に係る球状銀粉末の製造方法について説明する。
まず、脂肪族不飽和ジカルボン酸類と水溶性高分子化合物とを、銀化合物溶液又は還元剤溶液の少なくとも一方に混合する。
ここで、銀化合物溶液又は還元剤溶液の少なくとも一方に、予め多価アルコールを添加するものとしてもよい。多価アルコールは生成する銀粒子の凝集を抑制し、分散性をより改善する作用があると考えられる。多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどが使用される。
その後、銀化合物溶液と還元剤溶液とを混合する。この際の混合方法は特に限定されず、銀化合物溶液と還元剤溶液とを同時に反応容器に添加する方法、銀化合物溶液を母液としこれに還元剤溶液を添加する方法、逆に還元剤溶液に銀化合物溶液を添加する方法のいずれの方法でもよい。
この際、混合前の銀化合物溶液及び還元剤溶液の温度は、60℃以下、特に45℃以下に調整しておくことが好ましい。60℃より温度が高くなると、一次粒子の結晶成長が促進され形状、粒度の揃った球状の銀粉末が得られにくくなると同時に凝集しやすくなってしまう。
また特に、銀化合物溶液と還元剤溶液の温度を10℃以下とし、水溶性高分子化合物の存在下、反応による温度上昇を10℃以下に抑えつつ短時間で反応させることにより、平均粒径2〜5μm程度で充填性が高く、かつ真球性の高い高分散性銀粉末を生成させることができる。
ここで、析出する銀粉末の粒径は溶液のpHによっても調整することができる。例えば、硝酸銀水溶液をL−アスコルビン酸、D−エリソルビン酸、又はこれらの塩類で還元して平均粒径が0.5〜5μm程度の粒度の揃った銀粉末を得るためには、pHが1〜7の範囲となるように調整することが望ましい。
析出した球状銀粉末は、ろ過等により反応溶液から容易に分離することができる。分離後は水やアルコール等で洗浄された後、乾燥される。
このようにして得られた球状銀粉末は、平均粒径が0.5〜5μm程度の微細でかつ表面が平滑な球状銀粉末であり、また、ペースト中での分散性が極めて優れているので、導体ペーストのようなエレクトロニクス分野に用いるのに適しているが、その他装飾用材料、抗菌材料、触媒材料としても好適に用いることができる。
以下に実施例として球状銀粉末の製造及びその評価を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
銀化合物溶液として、硝酸銀25.0gを500mLの純水に溶解し、溶液温度を26℃、pH=4とした。一方、還元剤溶液としてL−アスコルビン酸13.4gを500mLの純水に溶解したものを用意した。この還元剤溶液に、マレイン酸1.0gを加えて溶解し、溶液温度を26℃、pH=2.5とした。そして、前記銀化合物溶液に、前記マレイン酸を溶解した還元剤溶液を添加し、10分間攪拌して反応させた。得られた沈殿をろ過し、洗浄した後、40℃で3時間乾燥して球状銀粉末を得た。
X線回折装置(理学電機株式会社製)を用いて、得られた粉末のX線回折パターンを観察したところ、金属銀と同一のパターンが得られたことから、銀粉末が得られたことを確認した。また走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社日立製作所製)を用いて得られた粉末を観察し、粒径が1.5〜3μmの範囲にあり、平均粒径約2.1μm、標準偏差±0.8μmの、大きさが揃った球状粒子からなる銀粉末であることを確認した。SEM像を図1に示す。ここで、平均粒径及び標準偏差は、SEM像から無作為に選んだ20個の銀粒子の粒径から算出したものである。また、粒子表面には凹凸が極めて少なく、真球状に近い銀粉末であった。粉末のタップ密度を測定したところ、3.8g/cmであった。
[実施例2]
銀化合物溶液として、硝酸銀25.0gを500mLの純水に溶解した。この銀化合物溶液にマレイン酸を1.0gとヒドロキシエチルセルロース0.2gを加えて溶解し、溶液温度を26℃、pH=4とした。一方、還元剤溶液としてL−アスコルビン酸13.4gを500mLの純水に溶解し、溶液温度を26℃、pH=2.5とした。前記マレイン酸を溶解した銀化合物溶液に還元剤溶液を添加し、10分間攪拌して反応させた。得られた沈殿をろ過し、洗浄した後、40℃で3時間乾燥して球状銀粉末を得た。
得られた粉末のX線回折パターンと走査型電子顕微鏡観察から、粒径が1〜2μmの範囲にあり、平均粒径約1.5μm、標準偏差±0.3μmの、大きさが非常によく揃った球状粒子からなる銀粉末であることを確認した。SEM像を図2に示す。タップ密度は4.4g/cmであった。
[実施例3]
マレイン酸の添加量を2.0gとし、また水酸化ナトリウムを用いて還元剤溶液のpHを6.5に調整した以外は実施例2と同様にして球状銀粉末を得た。
得られた粉末のX線回折パターンと走査型電子顕微鏡観察から、粒径が0.5〜2μmの範囲にあり、平均粒径約1.5μm、標準偏差±0.6μmの、大きさの揃った球状粒子からなる銀粉末であることを確認した。タップ密度は4.6g/cmであった。
[実施例4]
還元剤溶液としてL−アスコルビン酸に代えてD−エリソルビン酸ナトリウム16.5gを500mLの純水に溶解したものを用意し、この還元剤溶液に、マレイン酸を1.0gとヒドロキシエチルセルロース0.2gを加えて溶解し、溶液温度を26℃、pH=5.5とした以外は実施例1と同様にして球状銀粉末を得た。
得られた粉末のX線回折パターンと走査型電子顕微鏡観察から、粒径が0.5〜1.5μmの範囲にあり、平均粒径約1.3μm、標準偏差±0.4μmの、大きさの揃った球状粒子からなる銀粉末であることを確認した。タップ密度は4.7g/cmであった。
[実施例5]
硝酸を用いて還元剤溶液のpHを2.5に調整した以外は実施例4と同様にして球状銀粉末を得た。
得られた粉末のX線回折パターンと走査型電子顕微鏡観察から、粒径が1.5〜2.5μmの範囲にあり、平均粒径約2.1μm、標準偏差±0.3μmの、大きさの揃った球状粒子からなる銀粉末であることを確認した。タップ密度は4.3g/cmであった。
[実施例6]
還元剤溶液にさらにエチレングリコール2.5g及びヒドロキシエチルセルロース0.2gを添加した以外は実施例1と同様にして球状銀粉末を得た。
得られた粉末のX線回折パターンと走査型電子顕微鏡観察から、粒径が2.8〜3.2μmの範囲にあり、平均粒径約3.1μm、標準偏差±0.2μmの、大きさのほぼ揃った球状粒子からなる銀粉末であることを確認した。SEM像を図3に示す。タップ密度は4.3g/cmであった。
[実施例7]
銀化合物溶液として、硝酸銀30.0gを300mLの純水に溶解し、溶液温度を5℃としたものを用意した。溶液のpHは約4であった。一方、還元剤溶液としてL−アスコルビン酸18.0gを150mLの純水に溶解した。この還元剤溶液に、マレイン酸1.6g、及びヒドロキシエチルセルロース0.8gを加えて溶解し、溶液温度を5℃に調整した。溶液のpHは約2.5であった。前記銀化合物溶液に、前記マレイン酸を溶解した還元剤溶液を添加し、10分間攪拌して反応させた。銀化合物溶液の入った容器を、反応終了時まで5℃の循環水を用いて冷却し、反応溶液の温度が10℃以下になるようにした。得られた沈殿をろ過し、洗浄した後、40℃で3時間乾燥して、粉末を得た。
得られた粉末のX線回折パターンと走査型電子顕微鏡観察から、粒径がほぼ1.4〜3.1μmの範囲にあり、平均粒径約2.3μm、標準偏差±0.6μmの球状粒子からなる銀粉末であることを確認した。粒子表面には凹凸が極めて少なく、真球状に近いものであった。SEM像を図4に示す。タップ密度は5.6g/cmであった。
[比較例1]
還元剤溶液にマレイン酸を添加しない以外は実施例1と同様にして銀粉末を得た。
得られた粉末のX線回折パターンと走査型電子顕微鏡観察から、粒子形状が花弁状であり、粒径が2〜4μmの範囲にあり、平均粒径約3.2μmの銀粉末であることを確認した。SEM像を図5に示す。タップ密度は2.8g/cmであった。
[比較例2]
銀化合物溶液にヒドロキシエチルセルロース0.2gを加えて溶解した以外は比較例1と同様にして銀粉末を得た。
得られた粉末のX線回折パターンと走査型電子顕微鏡観察から、粒径が0.2〜0.5μmの範囲の凝集性の強い不定形粒状銀粉末であることを確認した。SEM像を図6に示す。タップ密度は3.2g/cmであった。
[比較例3]
還元剤溶液にマレイン酸の代わりにアクリル酸1.0gを添加した以外は実施例1と同様にして銀粉末を得た。
得られた粉末のX線回折パターンと走査型電子顕微鏡観察から、粒径が1.0〜2.0μmの範囲の凝集性の強い不定形銀粉末であることを確認した。タップ密度は2.4g/cmであった。
以上の結果から明らかなように、銀粉末製造の際に脂肪族不飽和カルボン酸類を添加することにより、微細で平滑かつ高分散性の銀粉末とすることができる。また、水溶性高分子化合物の添加により、標準偏差の小さい銀粉末とすることもできる。
実施例1において得られた球状銀粉末のSEM像である。 実施例2において得られた球状銀粉末のSEM像である。 実施例6において得られた球状銀粉末のSEM像である。 実施例7において得られた球状銀粉末のSEM像である。 比較例1において得られた銀粉末のSEM像である。 比較例2において得られた銀粉末のSEM像である。

Claims (4)

  1. 銀化合物溶液と還元剤溶液とを、脂肪族不飽和ジカルボン酸、その無水物及びその塩からなる群のうち少なくとも一つの存在下で反応させることを特徴とする球状銀粉末の製造方法。
  2. 銀化合物溶液と還元剤溶液とを、脂肪族不飽和ジカルボン酸、その無水物及びその塩からなる群のうち少なくとも一つ並びに水溶性高分子化合物の存在下で反応させることを特徴とする球状銀粉末の製造方法。
  3. 前記脂肪族不飽和ジカルボン酸は、マレイン酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の球状銀粉末の製造方法。
  4. 前記還元剤溶液中の還元剤は、L−アスコルビン酸、D−エリソルビン酸又はこれらの塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の球状銀粉末の製造方法。
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