JP4300837B2 - 転動装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業機械等に使用される転がり軸受,直動案内装置,ボールねじ等のような転動装置及びその製造方法に係り、特に、不十分な潤滑環境下においても好適に使用可能な転動装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
転がり軸受が十分な潤滑環境下で使用される場合は、軌道輪と転動体との間には油膜が介在しているため、両者は表面粗さレベルの小さな突起部分においては接触しているが、他の大部分は非接触状態となっている。しかも、潤滑剤による冷却効果も作用するため、軌道輪及び転動体に生じる摩耗はいわゆる微小な定常摩耗のみとなる。そして、このようなことは保持器と転動体との間においても同様に成立する。
【0003】
しかしながら、転がり軸受の潤滑が不十分である場合は、油膜の形成が不十分となるので、軌道輪と転動体とが直接接触することが多くなる。また、潤滑剤による冷却効果も小さいので、放熱しにくい転動体の温度が上昇する。その結果、転動体の摩耗が大きくなることが知られている。そして、保持器の場合も同様に、温度が上昇して保持器の摩耗が大きくなり切断に至る場合もあった。このような現象は、直動案内装置,ボールねじ等のような転がり軸受以外の転動装置にも同様に生じることである。
【0004】
転動体の摩耗を抑制する方法としては、窒化ケイ素等のセラミック材料で転動体を構成する方法や、鋼材製の転動体の表面に硬質膜を形成する方法(特開平11−37158号公報を参照)が従来から知られている。また、保持器の摩耗を抑制する方法としては、樹脂で保持器を構成する方法や、鋼材製の保持器の表面にセラミック等の硬質膜を形成する方法が従来から知られている。
【0005】
一方、転がり軸受等の転動装置を製造する際には、転動面,軌道面等の摺動面に砥石による仕上げ加工を施すが、その際に砥石から遊離した砥粒が前記摺動面に固着することがある。潤滑が十分である場合は油膜が十分に形成されているため、固着された砥粒が接触相手面を損傷させることは少ないが、潤滑が不十分である場合は油膜の形成が不十分となるので、固着された砥粒が接触相手面を著しく摩耗させる場合がある。
【0006】
このような問題を解決する方法として、固着した砥粒を洗浄により除去する方法が特開2002−59096号公報に開示されている。また、固着した砥粒の粒径が小さければ接触相手面への悪影響は小さいと考えられるので、砥石の砥粒の粒径を小さくすることによって、固着する砥粒の粒径を小さくすることが可能であると考えられる。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−37158号公報
【特許文献1】
特開2002−59096号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、窒化ケイ素等のセラミック材料は熱伝導性が低いので、セラミック材料で構成された転動体は高温となって摩耗が生じやすいという問題点を有していた。したがって、転がり軸受の潤滑が不十分である場合に、このような方法を用いて転動体の摩耗を抑制することは困難であった。また、樹脂は高温下で機械的性質が低下しやすいので、樹脂で構成された保持器はかえって切断が生じやすくなるおそれがあった。
【0009】
また、特開平11−37158号公報に開示の転動体の表面に形成した硬質膜は剥離する場合があるので、このことにより転がり疲労寿命が短寿命となるおそれがあった。そして、保持器の表面に形成した硬質膜についても、同様であった。
一方、固着した砥粒を洗浄により除去する方法については、砥粒を完全に除去することができない場合があるという問題があった。また、砥石の砥粒の粒径を小さくすると、仕上げ加工に要する時間が長くなり、加工硬化層が大きくなって剥離するという問題が生じるおそれがあった。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、不十分な潤滑環境下においても摩耗が生じにくく長寿命な転動装置及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の転動装置は、内方部材と、外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置において、#2000メッシュ以上#4000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる1次加工と、#6000メッシュ以上#8000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる仕上げ加工とにより、前記転動体の転動面に、粒径0.5μm以上1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子が1mm 2 当たり50個以上固着しており、粒径1μmを超える粒子は固着していないことを特徴とする。
【0011】
転動体の転動面に上記のような硬質の微粒子が存在すると、不十分な潤滑環境下においても転動体の摩耗が生じにくい。転動面に固着された前記粒子の数が少ないと転動体に摩耗が生じやすくなるので、前記粒子の数は1mm2 当たり50個以上である必要がある。前記粒子の数が1mm2 当たり50個未満であると、50個以上の場合の3倍以上の大きな摩耗が生じることとなる。
【0012】
また、前記粒子の粒径が1μm超過であると、転動体の摩耗は抑制されるものの、内方部材及び外方部材に摩耗が生じてしまう。なお、この粒子は、その一部が転動体内に入り込むことにより転動面に固着されるが、硬さが低いと粒子が転動体内に入り込みにくくなるので、硬さは8GPa以上である必要がある。
粒子の材質は硬さが8GPa以上であれば特に限定されるものではないが、アルミナ(硬さ20GPa),炭化ケイ素(硬さ28GPa),六方晶窒化ホウ素(硬さ28GPa以上),ダイヤモンド(硬さ28GPa以上)等が好ましく使用できる。硬質ガラスや鋼は好ましくない。
【0013】
また、転動体が高温となると摩耗が生じやすくなるので、転動体を鋼材等の金属で構成して、転動体への熱の蓄積を抑制し高温となることを防止すれば、転動体の摩耗をより抑制することができる。
また、本発明に係る請求項2の転動装置は、内方部材と、外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記転動体を前記内方部材と前記外方部材との間に保持する保持器と、を備える転動装置において、#2000メッシュ以上#4000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる1次加工と、#6000メッシュ以上#8000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる仕上げ加工とにより、前記保持器の表面に、粒径0.5μm以上1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子が1mm 2 当たり100個以上固着しており、粒径1μmを超える粒子は固着していないことを特徴とする。
【0014】
保持器の表面に上記のような硬質の微粒子が存在すると、不十分な潤滑環境下においても保持器の摩耗が生じにくい。保持器の表面に固着された前記粒子の数が少ないと保持器に摩耗が生じやすくなるので、前記粒子の数は1mm2 当たり100個以上である必要がある。前記粒子の数が1mm2 当たり100個未満であると、100個以上の場合の3倍以上の大きな摩耗が生じることとなる。
【0015】
また、前記粒子の粒径が1μm超過であると、保持器の摩耗は抑制されるものの、内方部材,外方部材,及び転動体に摩耗が生じてしまう。なお、この粒子は、その一部が保持器内に入り込むことにより保持器の表面に固着されるが、硬さが低いと粒子が保持器内に入り込みにくくなるので、硬さは8GPa以上である必要がある。
【0016】
粒子の材質については、前述の請求項1の転動装置の場合と同様である。
また、保持器が高温となると摩耗が生じやすくなるので、保持器を鋼材等の金属で構成して、保持器への熱の蓄積を抑制し高温となることを防止すれば、保持器の摩耗,強度低下,変形をより抑制することができる。
さらに、本発明に係る請求項3の転動装置は、請求項1に記載の転動装置において、前記転動体の転動面に、粒径0.5μm以上1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子が1mm 2 当たり50個以上97個以下固着していることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明に係る請求項4の転動装置は、請求項2に記載の転動装置において、前記保持器の表面に、粒径0.5μm以上1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子が1mm 2 当たり100個以上188個以下固着していることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項5の転動装置は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の転動装置において、前記両砥粒がアルミナ製であることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明に係る請求項6の転動装置は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の転動装置において、ニードル軸受であることを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明に係る請求項7の転動装置の製造方法は、内方部材と、外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置を製造するに際して、前記転動体の転動面に、#2000メッシュ以上#4000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる1次加工と、#6000メッシュ以上#8000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる仕上げ加工とを施して、粒径0.5μm以上1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子を1mm 2 当たり50個以上固着させ、粒径1μmを超える粒子は固着させないことを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明に係る請求項8の転動装置の製造方法は、内方部材と、外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記転動体を前記内方部材と前記外方部材との間に保持する保持器と、を備える転動装置を製造するに際して、前記保持器の表面に、#2000メッシュ以上#4000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる1次加工と、#6000メッシュ以上#8000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる仕上げ加工とを施して、粒径0.5μm以上1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子を1mm 2 当たり100個以上固着させ、粒径1μmを超える粒子は固着させないことを特徴とする。
【0021】
なお、本発明は種々の転動装置に適用することができる。例えば、転がり軸受,ボールねじ,直動案内装置,直動ベアリング等である。
【0022】
また、本発明における前記内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じく直動案内装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、前記外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じく直動案内装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明に係る転動装置及びその製造方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
〔第一実施形態〕
図1は、本発明に係る転動装置の一実施形態であるスラストニードル軸受の構造を示す部分縦断面図である。
【0024】
このスラストニードル軸受は、図示しない軸に固定される内輪1と、図示しないハウジングに固定される外輪2と、これら両輪1,2の軌道面1a,2a間に転動自在に配設された複数の転動体3と、複数の転動体3を両輪1,2の間に保持する保持器4と、を備えている。軸受の寸法は内径40mm,外径60mm,幅5mmで、転動体3の寸法は直径3.0mm,長さ4.5mmである。
【0025】
転動体3は鋼材(SUJ2)で構成されているが、寸法精度や表面粗さの要求が厳しいため、砥粒を用いた表面加工処理が施されている。この表面加工処理として、#2000メッシュ以下の砥粒(硬さ8GPa以上のアルミナ)を用いたバレル仕上げからなる1次加工と、#6000〜#8000メッシュ以下の砥粒(硬さ8GPa以上のアルミナ)を用いたバレル仕上げからなる仕上げ加工とを行った。
【0026】
このような表面加工処理を施すことにより、前記砥粒のうち粒径が1μm以下のものを転動体3の表面3aに食い込ませて固着させることができるうえ、粒径が1μm超過のものを転動体3の表面3aに残留しないようにすることができる。転動体3の表面3aに食い込んで固着した砥粒は、洗浄処理等を施してもほとんど取り除くことはできない。
【0027】
表面加工処理に使用する砥粒としては、#8000メッシュのものが最も好ましい。これよりも細かい砥粒でも摩耗抑制効果はあるが、表面処理加工に時間を要してしまい高コストとなる。ここで、上記の各メッシュサイズの砥粒の粒径分布を表1に示す。表1には、砥粒の粒径分布の下限値,中央値,及び上限値を記載してある。
【0028】
【表1】
【0029】
転動体3の表面3aに固着した砥粒の大きさと個数を測定したところ、粒径が1μm以下のものの個数は1mm2 当たり50個以上であった。また、粒径が1μm超過のものは存在しなかった。なお、測定方法は以下の通りである。
超純水で洗浄した容器に転動体を入れ、電子工業材料用イソプロパノールを加え、38kHzの超音波をかけて10分間洗浄した。洗浄した転動体の表面を走査型電子顕微鏡で1000倍で観察するとともに、エネルギー分散型X線分析(EDS)を行った。
【0030】
分析条件は、加速電圧15kV、試料電流0.5nA、対物絞り100μmである。また、EDSは、フィリップス社製のS−UTW検出器とDX−4アナライザとを組み合わせたものである。分析対象元素の面分析(カラーマッピング)を、512×400画素で20ms/画素の取り込みを行った。面分析後、同社の粒子解析プログラムを用いて、対象元素の大きさと数を計測した。測定可能な最小粒径は0.5μmである。被検面積は0.0123mm2 であり、任意の10カ所を測定し、得られた結果を単位面積当たりに換算した。
【0031】
このような本実施形態のスラストニードル軸受は、粒径1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子が転動体3の表面3aに1mm2 当たり50個以上固着されているので、不十分な潤滑環境下においても摩耗が生じにくく長寿命である。
次に、このようなスラストニードル軸受と同様の軸受において、転動体に種々の条件で表面加工処理を施したものを用意して、回転試験を行った。
【0032】
この表面加工処理として、前述の場合と同様に1次加工と仕上げ加工とを行い、それぞれの加工においてはコンパウンド(砥粒)とメディアとを用いたバレル仕上げを行った。バレル仕上げは、転動体,メディア,コンパウンド,水,界面活性剤を、1:3:0.1:6:0.1の質量比で混合して行った。そして、5種類のコンパウンドと2種類のメディアとを種々組み合わせて、表面加工処理条件の異なる9種類の試験軸受(後述する表2,3に記載の実施例1〜5及び比較例1〜4の軸受)を製造した。
【0033】
使用するコンパウンドは硬さ20GPaのアルミナ製で、メッシュサイズは#1000,#2000,#4000,#6000,#8000の5種類である。また、メディアは、3/8インチの鋼球メディアと、直径1mm,長さ5mmの棒状のアルミナメディアとの2種類である。
表2,3に、1次加工と仕上げ加工とにおいて使用したコンパウンド及びメディアの種類、並びに仕上げ加工の加工時間を示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
このような条件で表面加工処理を施した後、前述と同様の方法により転動体表面に固着された粒子の大きさと個数を測定したところ、粒径1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子の個数は表2,3に示すような結果であった。また、粒径1μm超過の粒子の存在は確認されなかった。なお、転動体に施した表面加工処理が異なること以外の点、すなわち、軌道輪,転動体,及び保持器の諸元(寸法,材質等)は全て同一である。また、転動体の表面粗さは、表面加工処理が異なっても同一となるようにした。
【0037】
このようなスラストニードル軸受の回転試験を行い、摩耗量を評価した。試験条件は以下の通りである。
回転速度 :2000min-1(外輪回転)
アキシアル荷重:2000N
軸受温度 :50℃
潤滑方式 :白灯油跳ねかけ潤滑
試験時間 :100時間
回転試験が終了したらスラストニードル軸受を分解して転動体の質量を測定し、回転試験前の転動体の質量からの減少量を摩耗量とした。その結果を表2,3に併せて示す。また、これらの結果をグラフ化したものを図2に示す。なお、これらに記載の摩耗量の数値は、比較例1の摩耗量を1とした場合の相対値で示してある。
【0038】
このグラフから、粒径1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子の個数が多いほど摩耗量が小さくなる傾向があり、50個/mm2 以上であれば摩耗量が極めて小さく耐摩耗性が優れていることが分かる。
〔第二実施形態〕
第二実施形態の転動装置の構成は、前述の図1のスラストニードル軸受とほぼ同様であるので、異なる部分のみ図1を参照しながら説明し、同様の部分の説明は省略する。
【0039】
このスラストニードル軸受の保持器4はSUJ2等の鋼材で構成されているが、その表面のうち内輪1,外輪2,転動体3と接触する部分には、砥粒を用いた表面加工処理が施されている。この表面加工処理として、#2000メッシュ以下の砥粒(例えば硬さ8GPa以上のアルミナ)を用いたバレル仕上げからなる1次加工と、#6000〜#8000メッシュ以下の砥粒(例えば硬さ8GPa以上のアルミナ)を用いたバレル仕上げからなる仕上げ加工とを行った。
【0040】
このような表面加工処理を施すことにより、前記砥粒のうち粒径が1μm以下のものを保持器4の表面に食い込ませて固着させることができるうえ、粒径が1μm超過のものを保持器4の表面に残留しないようにすることができる。保持器4の表面に食い込んで固着した砥粒は、洗浄処理等を施してもほとんど取り除くことはできない。
【0041】
表面加工処理に使用する砥粒としては、#8000メッシュのものが最も好ましい。これよりも細かい砥粒でも摩耗抑制効果はあるが、表面処理加工に時間を要してしまい高コストとなる。上記の各メッシュサイズの砥粒の粒径分布は、前述の表1の通りである。
保持器4の表面に固着した砥粒の大きさと個数を測定したところ、粒径が1μm以下のものの個数は1mm2 当たり100個以上であった。また、粒径が1μm超過のものは存在しなかった。なお、測定方法は第一実施形態の場合と同様である。
【0042】
このような本実施形態のスラストニードル軸受は、粒径1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子が、保持器4の表面のうち内輪1,外輪2,転動体3と接触する部分に1mm2 当たり100個以上固着されているので、不十分な潤滑環境下においても摩耗が生じにくく長寿命である。
次に、このようなスラストニードル軸受と同様の軸受において、保持器に種々の条件で表面加工処理を施したものを用意して、回転試験を行った。
【0043】
この表面加工処理として、前述の場合と同様に1次加工と仕上げ加工とを行い、それぞれの加工においてはコンパウンド(砥粒)とメディアとを用いたバレル仕上げ(流動バレル加工)を行った。バレル仕上げは、保持器,メディア,コンパウンド,水,界面活性剤を、1:3:0.1:6:0.1の質量比で混合して行った。そして、5種類のコンパウンドと2種類のメディアとを種々組み合わせて、表面加工処理条件の異なる9種類の試験軸受(後述する表4,5に記載の実施例11〜15及び比較例11〜14の軸受)を製造した。
【0044】
使用するコンパウンドは硬さ20GPaのアルミナ製で、メッシュサイズは#1000,#2000,#4000,#6000,#8000の5種類である。また、メディアは、3/8インチの鋼球メディアと、直径1mm,長さ5mmの棒状のアルミナメディアとの2種類である。
表4,5に、1次加工と仕上げ加工とにおいて使用したコンパウンド及びメディアの種類、並びに仕上げ加工の加工時間を示す。
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
このような条件で表面加工処理を施した後、第一実施形態の場合と同様の方法により保持器表面に固着された粒子の大きさと個数を測定したところ、粒径1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子の個数は表4,5に示すような結果であった。また、粒径1μm超過の粒子の存在は確認されなかった。なお、保持器に施した表面加工処理が異なること以外の点、すなわち、軌道輪,転動体,及び保持器の諸元(寸法,材質等)は全て同一である。また、保持器の表面粗さは、表面加工処理が異なっても同一となるようにした。
【0048】
このようなスラストニードル軸受の回転試験を行い、摩耗量を評価した。試験条件は第一実施形態の場合と同様である。
回転試験が終了したらスラストニードル軸受を分解して保持器の質量を測定し、回転試験前の保持器の質量からの減少量を摩耗量とした。その結果を表4,5に併せて示す。また、これらの結果をグラフ化したものを図3に示す。なお、これらに記載の摩耗量の数値は、比較例11の摩耗量を1とした場合の相対値で示してある。
【0049】
このグラフから、粒径1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子の個数が多いほど摩耗量が小さくなる傾向があり、100個/mm2 以上であれば摩耗量が極めて小さく耐摩耗性が優れていることが分かる。そして、100個/mm2 未満であると摩耗量が非常に大きいことが分かる。
【0064】
なお、前記各実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。
例えば、本実施形態においてはスラストニードル軸受を例示して説明したが、本発明の転動装置は様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、深溝玉軸受,アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
【0065】
また、本実施形態においては、転動装置として転がり軸受を例示して説明したが、本発明の転動装置は、他の様々な種類の転動装置に対して適用することができる。例えば、直動案内装置,ボールねじ,直動ベアリング等の他の転動装置にも好適に適用可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、本発明の転動装置は、転動体の転動面等のような軸受構成部材の表面に固着されている粒子の大きさ及び個数を規定してあるので、不十分な潤滑環境下においても摩耗が生じにくく長寿命である。また、本発明の転動装置の製造方法は、不十分な潤滑環境下においても長寿命な転動装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転動装置の一実施形態であるスラストニードル軸受の構造を示す部分縦断面図である。
【図2】転動体の表面に固着された粒径1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子の数と摩耗量との相関を示すグラフである。
【図3】保持器の表面に固着された粒径1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子の数と摩耗量との相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1 内輪
2 外輪
3 転動体
3a 転動体の表面
Claims (8)
- 内方部材と、外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置において、#2000メッシュ以上#4000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる1次加工と、#6000メッシュ以上#8000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる仕上げ加工とにより、前記転動体の転動面に、粒径0.5μm以上1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子が1mm 2 当たり50個以上固着しており、粒径1μmを超える粒子は固着していないことを特徴とする転動装置。
- 内方部材と、外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記転動体を前記内方部材と前記外方部材との間に保持する保持器と、を備える転動装置において、#2000メッシュ以上#4000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる1次加工と、#6000メッシュ以上#8000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる仕上げ加工とにより、前記保持器の表面に、粒径0.5μm以上1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子が1mm 2 当たり100個以上固着しており、粒径1μmを超える粒子は固着していないことを特徴とする転動装置。
- 前記転動体の転動面に、粒径0.5μm以上1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子が1mm 2 当たり50個以上97個以下固着していることを特徴とする請求項1に記載の転動装置。
- 前記保持器の表面に、粒径0.5μm以上1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子が1mm 2 当たり100個以上188個以下固着していることを特徴とする請求項2に記載の転動装置。
- 前記両砥粒がアルミナ製であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の転動装置。
- ニードル軸受であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の転動装置。
- 内方部材と、外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置を製造するに際して、前記転動体の転動面に、#2000メッシュ以上#4000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる1次加工と、#6000メッシュ以上#8000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる仕上げ加工とを施して、粒径0.5μm以上1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子を1mm 2 当たり50個以上固着させ、粒径1μmを超える粒子は固着させないことを特徴とする転動装置の製造方法。
- 内方部材と、外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記転動体を前記内方部材と前記外方部材との間に保持する保持器と、を備える転動装置を製造するに際して、前記保持器の表面に、#2000メッシュ以上#4000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる1次加工と、#6000メッシュ以上#8000メッシュ以下且つ硬さ8GPa以上の砥粒を用いたバレル仕上げからなる仕上げ加工とを施して、粒径0.5μm以上1μm以下且つ硬さ8GPa以上の粒子を1mm 2 当たり100個以上固着させ、粒径1μmを超える粒子は固着させないことを特徴とする転動装置の製造方法。
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