JP3361159B2 - 真空機器用転がり軸受 - Google Patents

真空機器用転がり軸受

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JP3361159B2 JP24088993A JP24088993A JP3361159B2 JP 3361159 B2 JP3361159 B2 JP 3361159B2 JP 24088993 A JP24088993 A JP 24088993A JP 24088993 A JP24088993 A JP 24088993A JP 3361159 B2 JP3361159 B2 JP 3361159B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオンプレーティング
やスパッタリング処理装置に使用される転がり軸受のよ
うに、真空雰囲気中において耐熱性と通電性とが同時に
必要とされる環境下で使用される転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】イオンプレーティングやスパッタリング
処理装置は、半導体製造に用いられる他、表面処理装置
として例えばドリル等の治工具への硬質被膜処理(Ti
N被膜処理、TiC被膜処理)に適用されている。一般
に、このような硬質被膜処理は、被膜の密着性を高める
ために、ワーク(ドリル等)を高温に加熱しながら行な
う場合が多く、ワーク表面温度は500°C程度にまで
達することがある。
【0003】ところで、上記のようなイオンプレーティ
ング処理装置等では、処理槽内にワーク自転用の機構が
設置されているが、この機構に使用される軸受は、上述
した理由から、高温にさらされるため、その特性として
耐熱性が要求される。一方、被膜処理中、ワーク側はカ
ソード極として電流が流れることが必要であるため、通
電経路となる軸受には通電性が要求される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】軸受の耐熱性を確保す
るための手段として、まず、軸受をオールセラミック製
とすることも考えられるが、コスト的に高くなりすぎる
ため、一般には、転動体をセラミック、軌道輪を耐熱金
属材料で形成したハイブリッド形式とすることが多い。
また、ハイブリッド形式とすることにより、金属同士の
接触による凝着現象が回避できるので、真空中での無潤
滑使用が可能になるという利点もある。その一方で、こ
のようなハイブリッド形式の軸受では、金属・セラミッ
クの接触となるため、通電性を確保することができな
い。
【0005】そこで、本発明は、真空雰囲気中におい
て、耐熱性と導電性とを同時に備えた転がり軸受を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の真空機器用転
がり軸受は、鉄系材料からなる内輪および外輪と、内外
輪間に介在する複数の転動体と、転動体を保持する金属
製の保持器とを備えたものであって、複数の転動体のう
ち、軸受荷重を負荷する負荷転動体をセラミック材で形
成すると共に、軸受荷重を負荷しない非負荷転動体を金
属材で形成し、かつ、保持器の少なくともポケットの壁
面に良電性の金属被膜を形成し、内輪と外輪との間に、
非負荷転動体を介した通電経路と、非負荷転動体および
保持器を介した通電経路とを形成したものである。ここ
で、良電性の金属被膜とは、保持器の形成材料よりも電
気伝導度の高い金属材料からなる被膜を言うものとす
る。
【0007】請求項2の真空機器用転がり軸受は、請求
項1の構成において、非負荷転動体の表面に良電性の金
属被膜を形成したものである。ここで、良電性の金属被
膜とは、非負荷転動体の形成材料よりも電気伝導度の高
い金属材料からなる被膜を言うものとする。
【0008】
【作用】内輪および外輪を鉄系材料で形成し、負荷転動
体をセラミック材で形成することにより、軸受の耐熱性
を向上させることができると同時に、金属同士の接触に
よる凝着現象が回避されるので、真空中における無潤滑
使用を可能にすることができる。また、非負荷転動体
保持器を金属材で形成することにより、非負荷転動体を
介して、あるいは、非負荷転動体と保持器とを介して内
外輪間に通電経路が形成されるので、軸受の通電性を確
保することができる。非負荷転動体は軸受荷重を負荷し
ないので、内外輪との接触部における凝着の問題は生じ
にくい。さらに、保持器の少なくともポケットの壁面に
良電性の金属被膜を形成することにより、非負荷転動体
と保持器との間の通電性が向上するので、軸受の通電性
をより一層向上させることができる。
【0009】非負荷転動体の表面に良電性の金属被膜を
形成することにより、内外輪と非負荷転動体との間、非
負荷転動体と保持器との間の通電性が向上するので、軸
受の通電性をより一層向上させることができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明を深溝玉軸受に適用した実施例
について説明する。
【0011】図1に示す深溝玉軸受は、内輪1および外
輪2、内・外輪間1、2に介在する複数のボール3、ボ
ール3を円周等間隔に保持する保持器4で構成されてい
る。内輪1および外輪2は鉄系材料例えばSUS440
C材に耐熱処理を施した材料、保持器4は金属材例えば
SUS304材で形成されている。
【0012】複数のボール3のうち、半数は軸受荷重を
負荷する負荷ボール31、残りの半数は負荷ボール31
よりも僅かに小径で、軸受荷重を負荷しない非負荷ボー
ル32であり、負荷ボール31と非負荷ボール32とが
交互に配されている。負荷ボール31はセラミック材か
らなるもの、非負荷ボール32は金属材例えばSUS4
40C材からなる金属ボール32aの表面に、良電性の
金属被膜例えば金属のうちで電気伝導度の最も大きい銀
からなる銀被膜32bを形成(イオンプレーティング等
により)したものである。
【0013】この軸受は、負荷ボール31をセラミック
材、内輪1および外輪2を耐熱処理を施したSUS44
0C材で形成してあるので、鉄系材料のみからなる軸受
に比べ耐熱性に優れている。また、負荷ボール31と内
輪1および外輪2とが金属・セラミック接触であるの
で、両者の接触部に凝着現象が生じず、真空中での無潤
滑使用が可能である。さらに、内輪1と外輪2との間
に、内輪1→非負荷ボール32→外輪2、あるいは、内
輪1→非負荷ボール32→保持器4→他の非負荷ボール
32→ 外輪2といった通電経路が形成されるので、通
電性を必要とする箇所に使用することができる。この実
施例では、非負荷ボール32の表面に銀被膜32bが形
成されているので、金属ボール32aのみの場合に比
べ、通電性は良好である。しかも、銀被膜32bは軸受
荷重を直接受けないのでダメージ(摩耗、剥離)が少な
く、良好な通電性が長期にわたって維持される。銀は大
気中での摩耗劣化が著しいので、銀被膜32bのダメー
ジを抑制し得る構成とすることは、大気中での回転が避
けられないような場合に特に有効である。
【0014】図2に示す実施例は、負荷ボール31の表
面に結晶性のPTFEからなる潤滑被膜31bを形成し
たものである。潤滑被膜31bを形成することにより、
負荷ボール21と内・外輪1、2との間の潤滑がなされ
るので、軸受の耐久性をより一層向上させることができ
る。耐熱温度が300°C程度の場合に有効な手段とな
る。尚、結晶性のPTFEからなる潤滑被膜とは、いわ
ゆるスパッタリング被膜のようにPTFEの結晶構造
(分子構造)が細分化されていないものをいい、例え
ば、PTFEの処理液を被処理物にスプレーすることに
より、あるいは被処理物を処理液中に浸漬することによ
り形成することができる。
【0015】図3に示す実施例は、保持器4のポケット
の壁面に銀被膜4bを形成したものである。上述した通
電経路において、非負荷ボール32と保持器4との間の
通電性が向上するので、通電性の不足が予想される場合
に有効な手段となる。
【0016】尚、以上説明した実施例において、非負荷
ボール32の表面に銀被膜32bを形成することなく、
金属ボール32aのみで通電を行なわせる構成とするこ
とも可能である。この場合、金属ボール32aは軸受荷
重を負荷しないので、内・外輪1、2との接触部におけ
る凝着現象は生じにくい。また、銀被膜32bあるいは
4bに代えて、金被膜、銅被膜等を形成するようにして
も良い。さらに、本発明は深溝玉軸受に限らず、ころ軸
受を含む転がり軸受一般に適用することができる。
【0017】
【発明の効果】本発明は、以下に示す効果を有する。
【0018】(1)内輪および外輪を鉄系材料で形成
し、負荷転動体をセラミック材で形成することにより、
軸受の耐熱性を向上させることができると同時に、金属
同士の接触による凝着現象が回避されるので、真空中に
おける無潤滑使用を可能にすることができる。また、非
負荷転動体と保持器を金属材で形成することにより、非
負荷転動体を介して、あるいは、非負荷転動体と保持器
とを介して内外輪間に通電経路が形成されるので、軸受
の通電性を確保することができる。非負荷転動体は軸受
荷重を負荷しないので、内外輪との接触部における凝着
の問題は生じにくい。さらに、保持器の少なくともポケ
ットの壁面に良電性の金属被膜を形成することにより、
非負荷転動体と保持器との間の通電性が向上するので、
軸受の通電性をより一層向上させることができる。
【0019】(2)負荷転動体の表面に良電性の金属
被膜を形成することにより、内外輪と非負荷転動体との
間、非負荷転動体と保持器との間の通電性が向上するの
で、軸受の通電性をより一層向上させることができる。
金属被膜は軸受荷重を受けないので、金属被膜のダメー
ジ(摩耗等)が少なく、良好な通電性が長期にわたって
維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 内輪 2 外輪 3 ボール 31 負荷ボール 32 非負荷ボール 32b 銀被膜 4 保持器 4b 銀被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−164814(JP,A) 実開 昭60−7421(JP,U) 実開 平1−108426(JP,U) 実開 昭60−7422(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16C 19/00 - 19/56 F16C 33/30 - 33/66

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄系材料からなる内輪および外輪と、内
    外輪間に介在する複数の転動体と、転動体を保持する金
    属製の保持器とを備えたものであって、複数の転動体の
    うち、軸受荷重を負荷する負荷転動体をセラミック材で
    形成すると共に、軸受荷重を負荷しない非負荷転動体を
    金属材で形成し、かつ、保持器の少なくともポケットの
    壁面に良電性の金属被膜を形成し、内輪と外輪との間
    に、非負荷転動体を介した通電経路と、非負荷転動体お
    よび保持器を介した通電経路とを形成したことを特徴と
    する真空機器用転がり軸受。
  2. 【請求項2】 非負荷転動体の表面に良電性の金属被膜
    を形成したことを特徴とする請求項1の真空機器用転が
    り軸受。
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