JP5927960B2 - ころ軸受 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、表面仕上げ処理に要する時間を短くし低コストで量産性を高くしながら低速回転域のトルクを小さくすることができるころ軸受を提供することを目的としている。
また、つばのつば面の接触面積と、つば面に接触する前記複数のころのころ端面の接触面積とを比較し、接触面積が大きい面のみに表面仕上げを行なうことで、表面仕上げ処理に要する時間を短くし、低コストで量産性を高くすることができる。
図1は、本発明に係るころ軸受の一実施形態である円すいころ軸受の構造を示す部分縦断面図である。図1の円すいころ軸受は、内輪1と、外輪2と、内輪1及び外輪2の間に転動自在に配された複数の円すいころ3と、内輪1及び外輪2の間に複数の円すいころ3を保持する保持器4と、で構成されており、内輪1の外周面及び外輪2の内周面の間に形成された軸受内部空間には、図示しない潤滑剤(例えば潤滑油,グリース)が封入されている。なお、保持器4は備えていなくてもよい。
大つば5aの内周面には大つば面6a、小つば5bの内周面には小つば面6bが形成されており、大つば面6aには円すいころ3の大端面3aが当接し、小つば面6bには円すいころ3の小端面3bが当接することで、円すいころ3が案内保持されている。
本実施形態では、内輪1の大つば面6a及び小つば面6bと、円すいころ3の大端面3a及び小端面3bとの一方に、ショットブラスト加工により表面仕上げが行なわれている。この表面仕上げを行なうことで、大つば面6a及び円すいころ3の大端面3a、小つば面6b及び小端面3bのすべり摩擦抵抗を小さくし、円すいころ軸受の起動トルクを低くするようにしている。
ここで、大つば面6aと大端面3aの接触面積を比較し、接触面積が大きい方に、ショットブラスト加工を行なっている。これは、接触面積が大きい方にショットブラスト加工を行なうことで、すべり摩擦抵抗を小さくするという効果が持続しやすいからである。
また、内輪1の大つば面6a及び小つば面6bと、円すいころ3の大端面3a及び小端面3bとの大きい方の接触面積をAbとし、小さい方の接触面積をAsとすると、Ab/As≧1.35の関係とすることが好ましい。
なお、内輪1の大つば面6a及び小つば面6bにショットブラスト加工を行なう場合には、大つば面6a及び小つば面6b囲まれている軌道面にはショットブラスト加工を行なわない。内輪1の軌道面にショットブラスト加工を行なわない理由は、クリーン寿命(潤滑剤に水や異物が混入しないクリーンな条件下での寿命)が低下するおそれがあるからである。
また、内輪1の大つば面6a及び小つば面6b、或いは円すいころ3の大端面3a及び小端面3bの表面粗さの分布曲線の対称性を示すゆがみ値(Rsk,ring)は、−1.5以上0.0以下に設定されていることが好ましい。ゆがみ値(Rsk,ring)が0.0を上回ると、油溜まりの効果を発揮することができない。一方、ゆがみ値(Rsk,ring)が−1.5を下回る表面形状を形成するためにはコストアップが上昇するおそれがある。
また、投射材の投射速度は、50m/sec以上とすることが好ましい。さらに、投射材の投射圧力は、0.1MPa以上0.9MPa以下とすることが好ましい。このような投射材の大きさ、投射速度及び投射圧力とすることで、内輪1の大つば面6a及び小つば面6bの表面粗さ(Ra,ring)を0.05μm以上0.25μm以下に容易に形成することができる。
なお、本発明に係るつば面が大つば面6a、小つば面6bに対応し、本発明に係るころが円すいころ3に対応し、本発明に係るころ端面が大端面3a、小端面3bに対応している。
また、本実施形態では、ショットブラスト加工により内輪1の大つば面6a及び小つば面6b、或いは円すいころ3の大端面3a及び小端面3bの表面仕上げを行なっているが、ショットピーニング加工により表面仕上げを行なっても良い。
試験機20は、縦型内輪回転式の試験機である。試験機20では、支持軸受23に回転自在に支持された主軸24の端部24aは、試験軸受としての円すいころ軸受26の内輪26aに内嵌されている。内輪26aの外周面にはつば26dが形成されており、円すいころ26bに対して滑り接触を行う。内輪26a及び円すいころ26bと共に円すいころ軸受26を構成する外輪26cは、本体部28に内嵌されている。本体部28の軸方向上端面には静圧軸受31が設けられており、その上面にはアキシアル荷重が付与される。
このような試験機20に、大つば5aの大つば面6aにショットブラストを施した内輪1、或いは大端面3aにショットブラストを施した円すいころ3を備える円すいころ軸受を試験軸受として装着し、以下の条件でトルク試験を行った。
試験軸受の呼び大きさ:内径40、外径60
アキシアル荷重:4000N
ラジアル荷重:0N
回転速度 :0〜3000rpm
潤滑油 :ISO粘度グレードがISO VG32である鉱油
潤滑油量 :500ml/min
潤滑油温度 :50±5℃
アキシアル荷重:7000N
ラジアル荷重:25000N
回転速度 :0〜3000rpm
潤滑油 :ISO粘度グレードがISO VG32である鉱油(油浴試験)
潤滑油温度 :50±5℃
また、試験条件は上記と同一とし、材質、形状及び粒径が異なる投射材を使用して大つば5aの大つば面6a、或いは円すいころ3の大端面3aにショットブラストを施し、大つば面6a、或いは大端面3aを所定の表面形状(表面粗さRa、とがり度合いRku、ゆがみ値Rsk)とした円すいころ軸受を用いたトルク結果を表1に記載する。
例えば、実施例1に示すように、円すいころ3の数が24個の場合には、大端面3a(表1のころ頭部):大つば面6a(表1のつば部)=2.2:1.0である。この場合には、大端面3aの接触面積が大つば面6aの接触面積と比較して大きいので、大端面3aにショットブラスト加工を行なう。
また、ショットブラストを行なうことで寿命の低下が懸念されるので、下記の条件でクリーンはくり寿命試験を行なった。
試験軸受の呼び大きさ:内径40、外径60
アキシアル荷重:5000N
ラジアル荷重:20000N
回転速度 :3000rpm
潤滑油 :ISO粘度グレードがISO VG32である鉱油
潤滑油量 :油浴潤滑
潤滑油温度 :80±5℃
表1で示した実施形態と比較例の一部のものについて、ワイブル分布の結果から実施例1の基本定格寿命L10を100とした場合の寿命比を、表1の右端に示した。
本実施形態では、内輪1の大つば面6a及び小つば面6bと、円すいころ3の大端面3a及び小端面3bとの一方に、研磨加工による表面仕上げが行なわれている。
本実施形態の研磨加工による表面仕上げは、図4に示すように、アヤメ模様状に多方向性に延在した研磨キズを形成する。
この多方向性の研磨キズを形成した表面仕上げを行なうことで、大つば面6a及び円すいころ3の大端面3a、小つば面6b及び小端面3bのすべり摩擦抵抗を小さくし、円すいころ軸受の起動トルクを低くするようにしている。
ここで、内輪1の大つば面6aに表面仕上げを行う場合には、回転砥石の回転軸を揺動させながら大つば面6aに接触させることで、多方向性の研磨キズを形成する。
接触面積が大きい方に多方向性の研磨キズを形成した表面仕上げを行なうことで、すべり摩擦抵抗を小さくするという効果が持続しやすい。
また、内輪1の大つば面6a及び小つば面6bと、円すいころ3の大端面3a及び小端面3bとの大きい方の接触面積をAbとし、小さい方の接触面積をAsとすると、Ab/As≧1.35の関係とすることが好ましい。
また、内輪1の大つば面6a及び小つば面6b、或いは円すいころ3の大端面3a及び小端面3bの表面粗さの分布曲線の対称性を示すゆがみ値(Rsk,ring)は、−1.6以上−0.4以下に設定されていることが好ましい。ゆがみ値(Rsk,ring)が−0.4を上回ると、油溜まりの効果を発揮することができない。一方、ゆがみ値(Rsk,ring)が−1.6を下回る表面形状を形成するためにはコストアップが上昇するおそれがある。
なお、寿命試験は、第1実施形態と同様のクリーンはくり寿命試験である。
Claims (2)
- 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配置された複数のころと、前記内輪及び前記外輪の一方に形成したつばと、を備えたころ軸受において、
前記つばのつば面の接触面積と、前記つば面に接触する前記複数のころのころ端面の接触面積とを比較し、前記接触面積が大きい面に、アヤメ模様状のキズ、若しくは凹部を持ち、前記接触面積が大きい面の表面粗さ(Ra,ring)が0.05μm以上0.25μm以下であり、前記接触面積が大きい面の表面粗さの分布曲線の中心線に対する上下のとがり程度を示すとがり度合い(Rku,ring)が、3以上7以下であり、前記つばのつば面と、前記複数のころの前記ころ端面とのうち前記接触面積が大きい方の面積をAbとし、前記接触面積が小さい方の面積をAsとすると、Ab/As≧1.35の関係としていることを特徴とするころ軸受。 - 前記接触面積が大きい面にアヤメ模様状の前記キズをもつ場合には、前記接触面積が大きい面の表面粗さの分布曲線の対称性を示すゆがみ値(Rsk,ring)が−1.6以上−0.4以下であり、
前記接触面積が大きい面に前記凹部を持つ場合には、前記接触面積が大きい面の表面粗さの分布曲線の対称性を示すゆがみ値(Rsk,ring)が−1.5以上−0.1以下に設定していることを特徴とする請求項1記載のころ軸受。
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