JP4300191B2 - オカラの保存方法 - Google Patents

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本発明は、食品製造後に副産物として排出される食品残渣(本願ではオカラを示す。)を長期保存するための保存方法に係る。特に、本発明は、保存処理のための設備の簡素化及びエネルギコストの削減を図りながらも食品残渣の長期保存を可能にする対策に関する。
従来より、家畜用飼料等として利用される食品残渣の代表的なものとしてオカラ(豆腐粕)が掲げられる。このオカラは、大豆1kg当たりで、約1.4kg(水分80%程度)も排出され、例えば大阪府内では1日に250tものオカラが豆腐生産業者から排出されている。また、このオカラは、高水分・高栄養価であるため、そのまま放置しておくと早期に腐敗が進み、大量に腐敗してしまった場合には、その後の廃棄処理(焼却処理等)が煩雑になってしまうといった問題点がある。また、廃棄処理する際に輸送段階で腐敗が進み悪臭を放つといった問題もあり、更には、高水分であるために焼却処理した場合にダイオキシンが発生することも懸念される。
この問題点に鑑み、これまでは、例えば下記の特許文献1に開示されているように、オカラに乳酸菌を投入して発酵させることにより雑菌の繁殖を抑制して長期保存可能にすることが行われている。このように乳酸菌の投入による腐敗防止を行うための具体的な処理工程としては、先ず、豆腐生産業者から排出されたオカラを処理施設まで輸送し、この処理施設において、先ず、オカラの水分を80%程度から50%程度まで下げた状態で、オカラ中に乳酸菌を投入して発酵させ、この発酵によって雑菌の繁殖を防止するようにしている。上述の如くオカラの水分を80%程度から50%程度まで下げる理由は、高水分の状態では乳酸菌よりも酪酸菌が優位な環境状態となってしまい、腐敗の進行が懸念されるためである。つまり、オカラの水分を50%程度まで下げて、酪酸菌よりも乳酸菌が優位な環境状態を作り出し、乳酸菌が持つ酵素によって酪酸菌の増殖を抑制できるようにしている。
しかしながら、上述した処理方法では、豆腐生産業者から処理施設までオカラを輸送する段階で腐敗が開始されてしまうことがあり、その後に乳酸菌を投入して発酵させたとしても、十分な効果を得ることができず、腐敗を抑えることができない可能性があった。また、オカラの水分を80%程度から50%程度まで下げるための特別な装置、例えば乾燥装置や乾燥物(小麦の皮屑や乾草など)の混入装置等を必要とし、且つこの装置を駆動するためのエネルギも必要になってしまう。
これらの課題に鑑み、本発明の発明者らはワイン酵母によるエタノール発酵を利用してオカラを長期保存することについて検討を試みた。つまり、オカラにワイン酵母とグルコース等の糖類とを投入し、このワイン酵母が糖類を基質としてエタノール発酵を行ってアルコールを生成し、このアルコールによって雑菌(腐敗菌)の繁殖を防止できるようにするものである。これにより、従来の水分調整を必要とすることなくオカラの保存性を向上できることになる。
特開平9−322729号公報
しかしながら、上述したワイン酵母によるエタノール発酵を利用したオカラの長期保存方法にあっても未だ解決せねばならない課題がある。
(1) 先ず、ワイン酵母では、エタノール発酵が可能となる環境温度の範囲が狭いことが掲げられる。具体的に、ワイン酵母は15℃程度の環境下でしかエタノール発酵を行わないため、この環境を維持するための設備が必要である。例えば温度管理された倉庫内でオカラを保存せねばならないことになる。このため、この種の設備の建設や温度維持のための装置及びその装置を駆動するためのエネルギが必要になってしまう。
(2) また、ワイン酵母は耐熱性が低いため、オカラの温度を十分に低下させた後でなければ投入することができない。具体的には、豆腐生産工程において排出されたオカラの排出直後の温度は90℃程度の高温であるため、先ずこれを冷却して上記エタノール発酵が可能な温度(15℃程度)まで冷却した後にワイン酵母を投入するといった作業が必要になる。従って、オカラを冷却するための特別な冷却装置が必要になると共にこの装置を駆動するためのエネルギも必要になってしまう。また、オカラの冷却工程中に雑菌が侵入しないように、無菌環境下で冷却作業を行う必要があり、その環境管理も煩雑である。
(3) ワイン酵母は高価(例えば500g当たり6000円程度)であり、上述の如く大量排出されるオカラを長期保存するために使用する場合、家畜用飼料の値段の高騰を招いてしまい、実用性に欠ける。
これらの課題は、オカラを長期保存する場合に限らず、その他の食品残渣(ビール粕、あん粕など)を長期保存する場合にも同様に生じる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、オカラ等の食品残渣を長期保存可能とするための処理工程に必要な設備を大幅に簡素化し、またそれに必要なエネルギも大幅に削減することができる食品残渣の保存方法を提供することにある。
−発明の概要−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決手段は、糖類を基質としエタノール発酵を行う酵母としてパン酵母を使用する。パン酵母は、エタノール発酵が可能な環境温度の温度範囲が広く、また、耐熱性が高いといった点でワイン酵母よりも優れた特徴があり、また、価格もワイン酵母よりも低廉であって実用面で優れている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、食品残渣(本願ではオカラを示す。)を長期保存するための保存方法を対象とする。そして、この保存方法として、食品製造工程から排出された直後の食品残渣を、保存用容器に投入して収容する投入工程と、この投入工程の完了後に、上記保存用容器に収容されている食品残渣における外気に晒される面に対して、その全体を覆うようにパン酵母及び糖類を散布する散布工程と、その後、上記保存用容器を密封する密封工程とを備えさせている。
この特定事項により、例えば本解決手段をオカラの保存方法として適用した場合、豆腐生産業者から排出された高温度・高水分のオカラをそのまま保存用容器としての例えば保存用ビニル袋(保存用コンテナであってもよい)に投入して収容する。この作業中に、オカラは自然放熱により45℃程度まで冷却されることになる。その後、この保存用ビニル袋の開口からオカラの上面(外気に晒される面)全体に亘ってパン酵母及び糖類(グルコース等)を散布する。つまり、オカラは、パン酵母及び糖類で成る層によって外気から遮断された状態となる。その後、保存用ビニル袋の開口を閉じて袋内を密閉状態にする(保存用コンテナの場合は蓋を閉めてコンテナ内を密閉状態にする)。このようにしてオカラを保存しておくと、パン酵母が糖類を基質としてエタノール発酵を行ってアルコールを生成し、このアルコールが雑菌の繁殖を防止することになる。このように、温度調整や水分調整を必要とすることなくオカラの保存性を向上することが可能になる。具体的には数ヶ月から2年程度の保存が可能である。また、パン酵母は、ワイン酵母に比べて、エタノール発酵が可能となる環境温度の温度範囲が広く、5℃〜35℃程度の範囲(所謂、常温)の温度環境下でエタノール発酵を行うことができるため、エタノール発酵を行う環境温度を維持するための特別な設備は不要である。また、この設備が不要であることから環境温度を維持するためのエネルギも必要ない。また、パン酵母は、ワイン酵母に比べて、耐熱性が高く、上記自然放熱により低下した温度(上記45℃程度)のオカラに対して散布しても死滅することはない。このため、パン酵母の散布前にオカラの温度を十分に低下させておくための特別な冷却装置は不要である。また、この冷却装置が不要であることから、冷却装置を駆動するためのエネルギも必要ない。更に、パン酵母は、ワイン酵母に比べて安価(例えば500g当たり1000円程度)であり、低コスト(ワイン酵母の1/6程度)でオカラを長期保存することが可能になり、家畜用飼料の値段の高騰を招くこともない。加えて、本保存方法によれば上記パン酵母によるエタノール発酵に伴い芳香族エステルが生成される。このため、保存されたオカラを家畜に与えた場合、その嗜好性が向上し家畜の食欲が増進するので家畜用飼料としての付加価値(良質なサイレージ飼料)を得ることができる。また、この芳香族エステルの生成は、上述したパン酵母によるエタノール発酵に伴うものばかりでなく、保存用容器に存在している乳酸菌が上記エタノール発酵によって生成されたアルコールに接触して発酵することによっても行われる。
上述したように、保存用容器を非通気性の袋体とし、散布工程で、この袋体に収容された食品残渣の上面の全体を覆うようにパン酵母及び糖類を散布するようにした場合には、食品残渣と外気との間を遮断するためのパン酵母及び糖類で成る層の形成が容易であり、作業性が良好になる。また、収容された食品残渣の上面の面積が小さくなる袋体(例えば縦長の袋体)を利用すれば、少量のパン酵母及び糖類で大量の食品残渣の保存を行うこともできる。
また、上記投入工程において保存用容器に投入される食品残渣は、温度調整及び水分調整の工程を経ることなしに保存用容器に投入されるものである。上述した如く、自然放熱によって冷却された程度の比較的高温度の食品残渣に対してもパン酵母は適用することが可能である。また、アルコールによる雑菌繁殖防止効果が得られるため水分調整の必要もない。言い換えると、高水分の状態であっても酪酸菌が増殖してしまうことがない。従って、冷却装置や乾燥装置等の特別な装置を必要とすることなしに食品残渣の長期保存が可能である。
上記散布工程に先立って、パン酵母と糖類とを混ぜ合わせる混ぜ合わせ工程を行い、この混ぜ合わせ工程で混ぜ合わされたパン酵母と糖類とを、散布工程において、食品残渣が外気に晒される面の全体を覆うように散布している。これにより、食品残渣を外気から遮断する層におけるパン酵母と糖類との均一分布化を図ることができ、パン酵母によるエタノール発酵を効率良く行わせることができる。
散布工程においては、パン酵母及び糖類を、粉末状態のまま食品残渣の上面の全体を覆うように散布している。つまり、散布前の状態ではパン酵母及び糖類は乾燥状態にあり、この状態ではパン酵母はエタノール発酵を開始しない。そして、これらパン酵母及び糖類の混合物を食品残渣に散布し、この食品残渣に含まれている水分をパン酵母及び糖類が吸収することによりパン酵母がエタノール発酵を開始する。特に、オカラ等の高水分の食品残渣に適用した場合には散布直後からエタノール発酵が開始されることになる。このように、パン酵母及び糖類を粉末状態にしておくことにより、散布前にエタノール発酵が開始されてしまうことを阻止でき、適切なタイミングでエタノール発酵を開始させることができる。
上記エタノール発酵を行わせるためにパン酵母と共に食品残渣に散布される糖類として具体的には単糖類または二糖類が掲げられる。例えば、単糖類としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等が掲げられ、二糖類としては、マルトース、スクロース、ラクトース、セロビオース等が掲げられる。
保存用容器には、容器外部から内部への気体及び液体の通過を禁止し、容器内部から外部への気体の通過のみを許容する一方弁機能を有する弁体を取り付けている。これは、外部から容器内部への雑菌の侵入を阻止しながらも、上記エタノール発酵に伴って発生する二酸化炭素を保存用容器外に排出するためである。特に、保存用容器として保存用ビニル袋を使用した場合、二酸化炭素の発生に伴って袋内圧が高まって破裂してしまう虞があるので、この二酸化炭素を排出することが重要である。
本発明に利用可能な上記食品残渣として具体的には、オカラ、ビール粕またはあん粕が掲げられる。これらは、共に高水分・高栄養価であり、早期に腐敗が進んでしまう虞があるので、特に本発明に係る保存方法が有効である。尚、これら以外の食品残渣に対しても本発明は適用可能である。
尚、上述した解決手段のうち何れか一つに記載の食品残渣の保存方法により保存された食品残渣も本発明の技術的思想の範疇である。つまり、パン酵母及び糖類が散布されており、このパン酵母のエタノール発酵により生成されたアルコールを含んだ食品残渣(つまり、オカラ)である。
本発明では、食品残渣(つまり、オカラ)を長期保存するための保存方法として、エタノール発酵が可能な環境温度の温度範囲がワイン酵母よりも広く、また、耐熱性がワイン酵母よりも高いパン酵母を使用し、食品残渣を覆うようにパン酵母及び糖類を散布して、保存用容器を密封するようにしている。このため、エタノール発酵を行う環境温度を維持するための特別な設備や、パン酵母の散布前に食品残渣の温度を十分に低下させておくための特別な冷却装置が不要である。また、食品残渣の水分量が高くても、エタノール発酵により生成されたアルコールによって腐敗菌の繁殖は阻止される。このため、温度調整や水分調整を必要とすることがなく、保存処理のための設備の簡素化及びエネルギコストの削減を図りながらも食品残渣の長期保存を可能にできる。
また、パン酵母は、ワイン酵母に比べて安価であり、低コストでオカラを長期保存することが可能になるため、家畜用飼料の値段の高騰を招くこともない。
更に、上記パン酵母によるエタノール発酵に伴い芳香族エステルが生成されるため、保存された食品残渣(オカラ)を家畜に与えた場合の嗜好性が向上し、家畜用飼料としての付加価値を得ることができ、食品残渣のリサイクル性の向上を図ることができる。また、良質サイレージ飼料を作成するにあたって従来必要であった添加剤を不要にすることもできる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明は、食品残渣としてオカラを使用し、このオカラを保存用ビニル袋に袋詰めにした状態で保存する場合について説明する。
先ず、図1(a)に示すように、豆腐生産業者から排出された高温度(90℃程度)で高水分(水分80%程度)のオカラ(食品残渣)1をそのまま保存用容器としての保存用ビニル袋2に投入して収容していく(本発明でいう投入工程)。ここで使用する保存用ビニル袋2としては、例えば20kg用のものを使用する。この保存用ビニル袋2の大きさ及び形状は特に問わないが、縦長形状のもの(上端の開口寸法に対して深さ寸法の大きいもの)が好ましい。何故なら、後述する散布工程において、少量のパン酵母及び糖類でオカラ1の上面全体を覆うことができて大量のオカラ1を保存できるからである。また、このオカラ投入作業は、オカラ1をコンベア搬送し、このコンベアの下流端に保存用ビニル袋2を配置しておくことにより自動連続投入してもよいし、作業者の手作業によって投入してもよい。
この一連の投入作業中に、オカラ1は自然放熱により冷却されていく。例えば、保存用ビニル袋2に投入された時点では45℃程度まで冷却されている。そして、所定量のオカラ1が保存用ビニル袋2に投入された時点で投入作業を終了し、次に、散布工程に移る。この散布工程では、図1(b)に示すように、保存用ビニル袋2の上部開口からオカラ1の上面(外気に晒される面)全体に亘ってパン酵母及びグルコースの混合物3を散布することになる。尚、これらパン酵母及びグルコースは、粉末状態のまま予め混ぜ合わされたものである。つまりこの状態では、パン酵母及びグルコースは乾燥状態にあり、パン酵母のエタノール発酵が開始されないようにしている。また、このパン酵母及びグルコースは、予め所定比率の量が混ぜ合わされている(混ぜ合わせ工程)。これにより、パン酵母とグルコースとの均一分布化を図ることができる。この混合物3の散布により、オカラ1は、パン酵母及び糖類で成る層によって外気から遮断された状態となる(図1(b)の拡大図参照)。このパン酵母とグルコースとの混合物3の散布作業についても、この混合物3をコンベア搬送し、このコンベアの下流端に保存用ビニル袋2を配置しておくことにより自動連続散布するものや、作業者の手作業によって散布するものであってもよい。
尚、このパン酵母及びグルコースの混合物3を散布するにあたり、この混合物3とオカラ1とを混合攪拌させた上で、このオカラ1の上面全体に亘ってこの混合物3を散布するようにしてもよいが、このオカラ1の上面に散布される混合物3のみで後述するエタノール発酵を十分に行うことができ雑菌の繁殖を防止することが可能であるので、必ずしも混合攪拌の必要はない。
このようにしてパン酵母及びグルコースの混合物3がオカラ1の上面全体に亘って散布されると、このオカラ1に含まれている水分をパン酵母及びグルコースが吸収することによりパン酵母がエタノール発酵を開始する。つまり、パン酵母及びグルコースを粉末状態にしておくことにより、散布前にエタノール発酵が開始されてしまうことを阻止でき、適切なタイミングでエタノール発酵を開始させることができるようにしている。
その後、図1(c)に示すように、保存用ビニル袋2の開口を閉じて紐4などによって縛り、外気の導入を阻止するように袋内を密閉状態にする(本発明でいう密封工程)。
また、上記保存用ビニル袋2の上部であって、袋内の上部空間(オカラが詰まっていない空間)に臨む面には、袋外部から内部への気体及び液体の通過を禁止し、袋内部から外部へ向けての気体の通過のみを許容する一方弁機能を有する弁体としてのシール部材(一方向透過膜を有する部材)5が貼り付けられている。具体的には、保存用ビニル袋2の一部分に小径の開口を形成しておき、この開口を塞ぐように一方向透過膜を貼り付けておく。これにより、袋内部から外部へ向けての気体の通過のみを許容するシール構造が得られる。この構成は、外部から袋内部への雑菌の侵入を阻止しながらも、エタノール発酵に伴って発生する二酸化炭素を袋外に排出するためのものである。この二酸化炭素の排出により保存用ビニル袋2の破裂を防止できる。
以上で、オカラを保存するための作業が完了する。このようにしてオカラを保存しておくと、パン酵母が糖類であるグルコースを基質としてエタノール発酵を行ってアルコールを生成し、このアルコールによって雑菌の繁殖を防止することになる。このように、温度調整や水分調整を必要とすることなくオカラの保存性を向上することが可能になる。
尚、上記パン酵母によるエタノール発酵に伴い保存用ビニル袋2の内部では芳香族エステルが生成されている。
本発明の発明者らは、この手法によって複数の保存用ビニル袋にオカラを保存しておき、オカラにカビの発生が認められるまでの期間についての実験を行った。その結果、全ての保存用ビニル袋のオカラについては3カ月経過してもカビの発生は認められなかった。また、半数程度のものは2年が経過してもカビの発生は認められなかった。
以上説明してきたように、本実施形態では、糖類を基質としエタノール発酵を行う酵母としてパン酵母を使用してオカラの長期保存を可能にしている。このパン酵母は、ワイン酵母に比べて、エタノール発酵が可能となる環境温度の温度範囲が広く、5℃〜35℃程度の範囲(所謂、常温)の温度環境下でエタノール発酵を行うことができるため、エタノール発酵を行う環境温度を維持するための特別な設備は不要である。また、この設備が不要であることから環境温度を維持するためのエネルギも必要ない。また、パン酵母は、ワイン酵母に比べて、耐熱性が高く、上記自然放熱により低下した温度(上記45℃程度)のオカラに対して散布しても死滅することはない。このため、パン酵母の散布前にオカラの温度を十分に低下させておくための特別な冷却装置は不要である。また、この冷却装置が不要であることから、冷却装置を駆動するためのエネルギも必要ない。更に、パン酵母は、ワイン酵母に比べて安価であり、低コストでオカラを長期保存することが可能になり、家畜用飼料の値段の高騰を招くこともない。
また、上述した如く、パン酵母によるエタノール発酵に伴い芳香族エステルが生成されているため、保存されたオカラを家畜に与えた場合、その嗜好性が向上し、家畜用飼料としての付加価値を得ることができる。また、特に、オカラの場合、夏と冬には豆腐の需要が急増するために大量に副産されて過剰供給となる一方、春と秋には副産量が減って家畜用飼料が不足してしまうといった現状があった。本実施形態によれば、数カ月以上に亘るオカラの長期保存が可能であるので、夏に副産されたオカラの余剰分を秋に消費するといったことが可能になり、一年を通じて良質の家畜用飼料を安定供給することができる。
−その他の実施例−
以上説明した実施形態では、食品残渣としてオカラを使用し、このオカラを保存用ビニル袋に袋詰めにした状態で保存する場合について説明した。本発明はこれに限らず、食品残渣としてビール粕やあん粕、その他の食品残渣に対しても適用可能である。また、食品残渣の保存用容器としては保存用コンテナを使用してもよい。
また、パン酵母と共に食品残渣に散布される糖類としては単糖類または二糖類が使用可能である。例えば、単糖類としては、上記グルコースの他に、フルクトース、ガラクトース、マンノース等が掲げられ、二糖類としては、マルトース、スクロース、ラクトース、セロビオース等が掲げられる。
食品残渣保存方法の一連の作業を示す図である。
符号の説明
1 オカラ(食品残渣)
2 保存用ビニル袋(保存用容器)
3 パン酵母とグルコース(糖類)との混合物
5 シール部材(弁体)

Claims (5)

  1. オカラを長期保存するための保存方法であって、
    製造工程から排出された直後のオカラを、保存用容器にそのまま投入して収容する投入工程と、
    この投入工程の完了後に、前記保存用容器に収容されたオカラの外気に晒される上面の全体を覆うように、パン酵母及び糖類を乾燥させた粉末状態での混合物を散布する散布工程と、
    その後、前記保存用容器を密封する密封工程とを備えていること
    を特徴とするオカラの保存方法。
  2. 請求項1記載のオカラの保存方法において、
    前記保存用容器は、非通気性としてあり、前記保存用容器は、容器外部から内部への気体及び液体の通過を禁止し、容器内部から外部への気体の通過のみを許容する一方弁機能を有する弁体を備えること
    を特徴とするオカラの保存方法。
  3. 請求項1または2記載のオカラの保存方法において、
    前記散布工程の前に、前記パン酵母と前記糖類とを混ぜ合わせる混ぜ合わせ工程を備えること
    を特徴とするオカラの保存方法。
  4. 請求項1、2または3記載のオカラの保存方法において、
    前記糖類は、単糖類または二糖類であること
    を特徴とするオカラの保存方法。
  5. 請求項1〜4のうち何れか一つに記載のオカラの保存方法において、
    前記保存用容器は、袋体であること
    を特徴とするオカラの保存方法。
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