次に、この発明の破砕装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は木材破砕装置の側面図であり、図2はその背面図である。この木材破砕装置は自走式であって、破砕機1と、軸心O廻りに回転して破砕機1に木材を供給する略円筒状のタブ(回転式タブ)2とを備えたものである。そして、上記タブ2を軸心O廻りに付設するためのタブ受フレーム35及び破砕機1等は機台(機体)3に付設され、この機台3には走行体4が付設されている。また、タブ2の上方開口部2a(図5参照)にはホッパ(固定式ホッパ)5が付設され、このホッパ5に木材を投入することによって、タブ2内に木材が供給される。これにより、木材を破砕機1にて破砕して、その破砕物をこの破砕機1の下方に供給して、搬送コンベア6にて外部へ排出するものである。なお、この木材破砕装置においては、走行体4を履帯式としたが、タイヤ式であってもよい。また、走行体4を設けずに定置式としたり、可搬式の木材破砕装置としたりしてもよい。なお、以下の記載において、搬送コンベア6が突出している方を前方と呼び、その反対側で、搬送コンベア6が突出していない方を後方と呼ぶ。
上記機台3の後方側において、上記タブ2は後述するように駆動手段10にてその軸心O廻りに回転可能とされ、また、ホッパ5は機台3に取り付けたフレーム(タブ受フレーム)35から立設された支柱7・・に支持され、その下端部がタブ2の上端部に遊嵌状に外嵌されている。そして、タブ2の下部側に上記破砕機1が配設されている。この場合、ホッパ5はその投入口8が水平面に対して傾斜しており、さらに、この投入口8には、その一部を覆う飛散防止カバー9が付設されている。
タブ2は、図3と図4と図5に示すように、その外周面11の下端部に上下に相対向する一対のガイド用外鍔部20、21が設けられている。また、タブ2の外周側には、図8に示すように、タブ2の回転をガイドする横ローラ27と、タブ2を支持する縦ローラ28とが配置されている。横ローラ27は、図9に示すように、機台3に取り付けたフレーム(タブ受フレーム)35上に立設された支柱29に、軸受30、30を介して回転自在に支持され、タブ2の外周面11に設けられる上下のガイド用外鍔部20、21間の受板部材31上を転動する。また、縦ローラ28は、図10に示すように、機台3のフレーム35上に立設された支柱32に設けられる支持軸33に、軸受34、34を介して回転自在に支持され、上方のガイド用外鍔部20を受けている。なお、ガイド用外鍔部20、21はそれぞれ平板状の本体20a、21aと、本体20a、21aを支持する支持片20b、21bとからなり、上記縦ローラ28はガイド用外鍔部20の本体20aを受けることになる。なお、各ローラ27、28は4個づつ配設されている。また、図8において、スプロケット12とガイド部材22との図示を省略している。
また、タブ2の内周面には、図5に示すように、投入された木材を引っ掛けて破砕機1に案内する突起部24・・が周方向に沿って所定ピッチで配設されていると共に、上端部に内鍔部25が設けられている。さらに、タブ2の外周面11の上端部には外鍔部26が設けられている。
ところで、駆動手段10は、図3等に示すように、タブ2の外周面11に周方向に沿って所定ピッチ(例えば72度ピッチ)で配設されるスプロケット12・・と、このスプロケット12・・に噛合するようにタブ2の外周面11に沿って配設されるチェーン13(図11等参照)と、このチェーン13を駆動する駆動源14(図14等参照)等を備える。なお、チェーン13は、図6と図7と図11とに示すように、ピンリンク15とローラリンク16とを交互に組み合わせてピン17を介して繋いだローラチェーンである。
タブ2は、図3と図4と図5に示すように、その外周面11の下端部に上下に相対向する一対のガイド用外鍔部20、21が設けられ、上方のガイド用外鍔部20よりも上方において、上記スプロケット12が配置されている。そして、周方向に沿って隣合うスプロケット12、12間に上記チェーン13の走行を案内するガイド部材22が配置されている。この場合、ガイド部材22を、図3(b)で示すように、複数のスプロケット12・・にて形成されるピッチサークルPを上記チェーン13が略維持できる高さに設定している。すなわち、図6に示すように、チェーン13がスプロケット12・・に噛合する際には、そのローラ18がスプロケット12の凹歯12aに嵌合して、ローラ18の外周面が凹歯12aの内面に接触しつつ走行する。そして、図6と図7に示すように、タブ2の外周面11からのスプロケット12の凹歯12aの底までの高さT1と、ガイド部材22の厚さT2とを略同一に設定すると共に、チェーン13の相対面するローラリンク16、16間寸法Sをガイド部材22の上下方向長さWよりも大きくしている。そのため、チェーン13がガイド部材22にガイド(案内)される際には、図7に示すように、チェーン13の対面するリンク15、15(16、16)間にガイド部材22が嵌合し、ローラ18がガイド部材22の外面23を転動又は摺動することになる。
また、駆動源14としては、図8と図11と図14等に示すように、モータ(油圧モータ)36を使用する。すなわち、フレーム35上にモータ支持枠37を立設し、このモータ支持枠37にモータ36を支持し、このモータ36の出力軸38にスプロケット39を取付け、このスプロケット39に上記チェーン13を噛合させている。そして、このモータ36の近傍に、図11〜図13に示すように、チェーン13の張力を付与するテンション付与機構40が配置されている。
テンション付与機構40は、一端側がモータ支持枠37に連結される揺動アーム41と、この揺動アーム41の他端側に連結される弾性部材42等を備える。すなわち、モータ支持枠37に支持軸43が立設されると共に、この支持軸43にボス部44が回転可能に外嵌され、このボス部44に揺動アーム41の一端側が固定されている。このため、揺動アーム41はその一端側(支持軸43の軸心)を中心に揺動する。また、揺動アーム41は上下一対の平板体45a、45bを備え、その他端側において平板体45a、45b間にスプロケット46が介装されている。そして、上方の平板体45aの上方には上連結片47が配置され、下方の平板体45bの下方には下連結片48が配置されている。この場合、ボルト部材49を、上連結片47と平板体45aとスプロケット46と平板体45bと下連結片48等の各貫通孔に挿通し、このボルト部材49のねじ部にナット部材50を螺着する。また、スプロケット46はボルト部材49の軸部に外嵌される軸受51を介して回転自在とされる。
そして、各連結片47、48には係止孔53、53が設けられ、各係止孔53、53に弾性部材42、42の一端側のフック部52、52が係止する。また、弾性部材42、42の他端側のフック部54、54は調整部材55に連結される。調整部材55は、固定枠56に支持されるボルト部材57と、このボルト部材57に螺着されるナット部材58とを備え、このナット部材58にフック部54、54が係止する係止片59、59が付設されている。すなわち、ボルト部材57に対してナット部材58を螺進退させることによって、各弾性部材42、42に付与する引張力を調整することができる。
このテンション付与機構40は、図11に示すように、スプロケット46にチェーン13が外周(外方)側から噛合され、ナット部材58を螺進退させることによって、チェーン13に付与するテンションを調整することができる。すなわち、図11に示す状態において、ナット部材58を固定枠56側に移動させれば、チェーン13が噛合しているスプロケット46が固定枠56に引張られ、チェーン13のタブ2に対する締付力が大となり、逆にナット部材58を反固定枠側に移動させれば、スプロケット46の固定枠56側への引張力が小さくなって、チェーン13のタブ2に対する締付力が小となる。そのため、このように調整することによって、チェーン13に付与するテンションを調整することができる。
ところで、ホッパ5は、その投入口(上方開口部)8が水平面に対して傾斜しており、さらに、この投入口8には、その一部を覆う飛散防止カバー9が付設されている。すなわち、ホッパ5は、図15に示すように、上方開口部である投入口8が水平面に対して所定角度で傾斜するように略円筒状のタブ2に対して傾斜させた略筒状であって、高さ寸法大側と、高さ寸法小側とが形成される。このホッパ5は、上記したように支柱7(3本)にて機台3に取り付けたフレーム(タブ受フレーム)35上に支持されるが、各支柱7は、タブ受フレーム35側の第1部材75と、ホッパ5側の第2部材76とからなる。すなわち、各第1部材75にはその上端に受板部77が設けられると共に、各第2部材76の下端には、上記受板部77に載置される載置板部78が設けられ、第1部材75の受板部77上に第2部材76の載置板部78が載置された状態で、図示省略の固定具(例えば、ボルト部材とナット部材とからなる固定具)にて、受板部77と載置板部78とを連結することによって、ホッパ5をフレーム(タブ受フレーム)35上に支持することができる。この際、ホッパ5の下端部がタブ2の上端部に遊嵌状に外嵌された状態となる。
また、ホッパ5には上記したように飛散防止カバー9が付設されるが、この場合、飛散防止カバー9は揺動が可能とされて、図15の実線で示すような閉状態と、図15の仮想線で示すような開状態とが可能とされる。そして、この飛散防止カバー9の揺動にはシリンダ機構80が使用される。すなわち、ホッパ5の高さ寸法大側において、図17に示すように、このホッパ5の鍔部68に一対の支持片81、81からなる一対の支持部82、82を設けると共に、飛散防止カバー9には、図1と図2と図15に示すように、突出片部83、83を設け、各突出片部83、83を支持部82、82の各支持片81、81間に介在させて、枢支軸84、84を介してこれらを連結する。これによって、飛散防止カバー9は枢支軸84、84を中心とした図15の矢印α、β方向の揺動が可能となる。また、ホッパ5の高さ寸法大側の支柱7の第2部材76の載置板部78に、図17と図18に示すように、一対の支持片85、85からなる支持部86を設け、この支持部86にシリンダ機構80のシリンダ本体80aの支持片87を図示省略の枢支軸を介して連結している。さらに、飛散防止カバー9に、上記突出片部83、83間に図2に示すような支持片部88を設け、この支持片部88にシリンダ機構80のピストンロッド80bの先端を枢結している。
これによって、図15の実線で示す状態から、シリンダ機構80のピストンロッド80bを縮めれば、飛散防止カバー9は枢支軸84、84を中心に矢印β方向に揺動して仮想線で示す開状態となる。また、この仮想線で示す開状態からシリンダ機構80のピストンロッド80bを伸ばせば、飛散防止カバー9は枢支軸84、84を中心に矢印α方向に揺動して実線で示す閉状態となる。
ホッパ5は、上記したように、図15に示すように、上方開口部である投入口8が水平面に対して所定角度で傾斜するように略円筒状のタブ2に対して傾斜させた略筒状であって、高さ寸法大側と、高さ寸法小側とが形成される。具体的には、ホッパ5は、筒状本体66と、筒状本体66の下方に連設される円弧状部材67と、筒状本体66の上端縁に設けられる漏斗状の鍔部68とを備える。そして、筒状本体66は、筒体の上端を斜めにカットして、その下端縁が水平状とすると共に、高さ寸法大側の下端縁に切欠部69を設けた形状である。このため、筒状本体66の軸心O1は鉛直軸に対して所定方向に所定角度で傾斜し、その周壁66aが図16に示すようにL部からH部に向かって順次高くなっている。また、円弧状部材67は、図16と図17とに示すように、平面視略半円弧状体からなり、筒状本体66の下端縁に設けられた切欠部69に嵌合状となって、その外周面が鉛直面に沿って配設される。これによって、この円弧状部材67を設けない場合では、ホッパ5の下端の外径寸法はDとなるが、円弧状部材67を設けた場合、ホッパ5の下端の外径寸法は、Dよりも小さいD1となり、ホッパ5としての外径を小さくすることができる。
また、円弧状部材67の下端縁と、筒状本体66の下端縁(切欠部69を省いた部分)とが、このホッパ5の下端縁70を構成するが、図19に示すように、この下端縁70に沿ってリング状の外鍔部71が付設されている。なお、この外鍔部71には、平板円弧状の蓋部材72(図20参照)を取付けためのナット部材73・・が設けられている。蓋部材72は、3枚の平板体72a、72b、72cからなり、各平板体72a、72b、72cは、図21に示すように、上記ナット部材72にボルト部材89を螺着することによって、ホッパ5の鍔部68に取付けられる。
上記のように構成されたホッパ5を、図15に示すように機台3に取り付けたフレーム(タブ受フレーム)35上に装着すれば、上記したようにホッパ5の下端縁部がタブ2の上端縁部に遊嵌状に外嵌された状態となる。この際、ホッパ5の高さ寸法大側においては、円弧状部材67が設けられており、この円弧状部材67にて、タブ2の上端縁部の外側を包囲している。このため、図20に示すように、タブ2の上端縁部とホッパ5の下端縁部との間に形成される隙間Gを縮小化することができ、この円弧状部材67を、隙間Gを縮小化する縮小部90と呼ぶことができる。すなわち、もし円弧状部材67がない場合、図20の仮想線のように、ホッパ5の高さ寸法大側における下端縁部は仮想線で示す位置となり、この高さ寸法大側の隙間G1は大きくなる。これに対して、円弧状部材67を設けた場合、隙間G1に対応する隙間G2は実線で示すように、極めて小となっている。
また、上記隙間G2の反対側、つまり高さ寸法小側においては、3枚の平板体72a、72b、72cからなる蓋部材72がホッパ5の鍔部68に取付けられるので、隙間G3を縮小化することができる。
上記したように、ホッパ5はその投入口8が水平面に対して傾斜しており、さらに、この投入口8には一部を覆う飛散防止カバー9が付設されている。このため、この木材破砕装置では木材の投入方向が規定される。すなわち、図1において、投入方向は、紙面手前側の装置カバー60の側面61(左側面)と装置カバー60の後面62とのコーナ部63側である。そして、図2に示すように、駆動手段10の駆動用モータ36を、上記左側面61と反対側の装置カバー60の右側面64と、装置カバー60の後面62とのコーナ部65側に配置している。すなわち、この駆動用モータ36やテンション付与機構40等は、コーナ部65側であって、この木材投入時の木材通過位置の下方以外の位置に設けたことになる。
木材を破砕する破砕機1は、図22から図25に示すように、上記機台3に配置される保持枠92と、この保持枠92に支持されて略水平方向軸心廻りに回転する回転式破砕体93と、この回転式破砕体93の外周側を包囲状とするスクリーン部材94等を備える。すなわち、保持枠92は、前壁92aと、後壁92bと、一対の側壁92c、92dとを有し、各側壁92c、92dに取付用の鍔部91、91が外方へ突設している。そして、この鍔部91、91が、上記機台3の機台フレームFにボルト部材等の図示省略の固着具を介して固定されている。また、上記タブ受フレーム35には、平面視矩形状の開口部95(図8等参照)が形成され、この開口部95に対応して上記保持枠92がタブ受フレーム35の裏面側に配置される。この保持枠92を設けることによって、平面視略矩形状の上方開口部95を有する破砕機埋設部96を設け、この破砕機埋設部96に、その一部がこの上方開口部95を介してタブ2内に露出するように、回転式破砕体93を埋設する。
回転式破砕体93は回転ドラム97を備え、両端部が上記保持枠92に支持されている。すなわち、保持枠92の前後壁92a、92bにそれぞれ切欠部109、109を形成し、各切欠部109、109の回転式破砕体93の端部を嵌合させている。そして、この回転式破砕体93の両端部には、それぞれこの回転式破砕体93の軸98を回転駆動させるモータ(油圧モータ)99a、99bが連結されている。この回転ドラム97にはその外周面に、複数の破砕部100・・とプロテクタ101・・とが設けられている。破砕部100は、ビット102と、このビット102を着脱自在に支持するホルダー103とを備え、この回転式破砕体93の回転ドラム97が回転することによって、このビット102が木材に当たって、この木材を破砕することができる。また、プロテクタ101は板状体からなり、その長手方向をドラム97の周方向に沿って配置されている。
また、保持枠92内にはスクリーン部材94が収納されている。このスクリーン部材94は、周壁104に多数の排出孔105・・を有する略筒状体からなり、その軸心を略水平状として長手方向端縁部を上記保持枠92の前後壁92a、92bにそれぞれ取付けている。この場合、周壁104の一部を切り欠いて上方開口部106を形成している。そして、このスクリーン部材94の内面と回転ドラム97の外周面との間に隙間107を形成している。この際、スクリーン部材94の内面の曲率半径は、破砕体93の回転によって、破砕部100のビット102の先端が描く軌跡Kの半径より僅かに大きく設定される。また、スクリーン部材94の開口端縁部108が破砕体93の回転軸心O2よりも上位に配置する。このため、図24に示すように、スクリーン部材94の内面と回転ドラム97の外周面との間に形成される隙間107は、平面視略矩形状の供給側開口部110と、平面視略矩形状の排出側開口部111とを有することになる。しかも、図27と図28等で示した従来の破砕装置のようなデフレクタが設けられず、破砕機埋設部96の上方開口部95の上方側を固定ホッパ5に設けた飛散防止カバー9まで開放している。なお、保持枠92には、回転式破砕体93の外側を包囲するカバー部材112が設けられ、このカバー部材112は、後述するように、回転式破砕体93にて破砕されてなる破砕物のうち、スクリーン部材94の排出孔105を通過したものを搬送コンベア6に案内するものである。
また、上記搬送コンベア6は、破砕機1の下部側に配置される略水平状の第1部6a(図2と図25等参照)と、この第1部6a(図1参照)から前方に向かって斜め上方に延びる第2部6bとを備え、スクリーン部材94の排出孔105を通過した所定粒度の破砕物を、第1部6aにて受けこの第1部6aから第2部6bへ搬送して、この第2部6bから外部へ排出するものである。なお、搬送コンベア6として、1本のベルトを使用して第1部6aと第2部6bとを構成しても、第1部6aと第2部bとで別個のベルト及びモータを使用したものであってもよい。
上記した木材破砕装置では、テンション付与機構40により、チェーン13に付与するテンション力を調整して、図6に示すように、チェーン13を各スプロケット12・・噛合させると共に、図7に示すように、チェーン13のローラ18を案内部材22にする状態として、モータ36を駆動すると、チェーン13がエンドレス状に走行し、このチェーン13の走行力が各スプロケット12・・を介してタブ2に伝達され、タブ2はその軸心O廻りに回転する。これによって、投入口8からホッパ5に投入された木材は、回転しているタブ2内に供給され、タブ2内に入った木材はタブ2の内周面に設けられた突起部24に案内されて、このタブ2の下部の破砕機1に導入される。
すなわち、タブ2は図8に示す矢印C方向に回転し、破砕体93は図22の矢印B方向に回転する。このため、供給側開口部110側において木材が破砕され、隙間107に入った破砕物のうちスクリーン部材94の排出孔105を通過する所定粒度のものが、このスクリーン部材94の排出孔105を介して下方へ排出される。そして、スクリーン部材94の排出孔105を介して下方へ排出される破砕物は、破砕機1の下方側に位置する搬送コンベア6を介して外部へ搬送されることになる。また、排出孔105を介して下方へ排出されない破砕物が排出側開口部111を介してタブ2内へ飛散する。この際、回転ドラム97の回転に伴ってタブ2内へ飛散する破砕物は略上方に飛散するが、スクリーン部材94の開口端縁部108が破砕体93の回転軸心O2よりも上位に配置しているので、固定ホッパ5と回転式タブ2との間の隙間Gからはずれ位置であって、回転式破砕体93に対する真上より偏向した方向に沿って、図22の矢印J方向に上記飛散防止カバー9に向けて排出側開口部111から飛散する。
上記木材破砕装置では、破砕機埋設部96の上方開口部95の上方側を開放しているので、この破砕機埋設部96から破砕物が飛散する場合、飛散を邪魔する部材がなく、破砕機埋設部96の出口部(破砕物飛散側の出口部)に破砕物が溜まるのを防止することができる。このため、回転式破砕体93を回転させるモータ99a、99bに対して過負荷がかからず、モータ99a、99bの回転低下や回転停止を防止して、稼動が停止することを回避することができる。しかも、破砕物が詰りにくいので、破砕物の除去作業等の頻度を少なくすることができる。また、タブ2に供給された木材の引っかかり、木材のはさみ込み等を防止でき、スムーズに破砕機1に案内することができる。これにより、タブ2を回転させるモータ36に対して過負荷がかからず、このモータ36に対しても、回転低下や回転停止を防止して、稼動が停止することを回避することができる。このように、各モータ36、99a、99bの寿命を延ばすことができて、長期にわたって安定した破砕作業を行うことができると共に、作業性の向上を図ることができ、しかも各モータ36、99a、99b等に対するメンテナンス性の向上も図ることができる。さらに下方の破砕機1から飛散した破砕物は、飛散防止カバー9に当たり下方に落下するので、固定ホッパ5と回転式タブ2との間の隙間(破砕体に対して斜め上方に位置する隙間)より、破砕物が流出するのを抑える。このため、装置の外装側の破砕物による汚れを少なくすることができ、破砕作業終了後の破砕装置の清掃や洗浄等が容易となって、メンテナンス性が向上する。
また、スクリーン部材94を介して外部へ排出されない破砕物は隙間107から略上方に向かって飛散することになるが、スクリーン部材94の開口端縁部108を、回転式破砕体93の回転軸心O2よりも上位に配置したので、この場合、固定ホッパ5と回転式タブ2との間の隙間Gからはずれ位置であって、回転式破砕体93に対する真上より偏向した方向に飛散する。したがって、破砕物の外部への飛散を防止する飛散防止カバー9としては、上記方向に沿って飛散してくる破砕物を受ければよいので、小さく設定することができ、ホッパ5の上方開口部である木材投入口8を大きくとくことができる。このためホッパ5への木材の積込性が向上する。
さらに、上記木材破砕装置では、ホッパ5に、タブ2の上端縁部とホッパ5の下端縁部との間の隙間Gを縮小化する縮小部90を設けたので、タブ2の上端縁部とホッパ5の下端縁部との間の隙間Gが小さくなり、この隙間Gからの破砕物の外部への流出(飛散)を減少させることができる。これにより、装置の外装側の破砕物による汚れを一層少なくすることができ、破砕作業終了後の破砕装置の清掃や洗浄等が容易となって、メンテナンス性が向上する。さらに、縮小部90を設けたことによって、この縮小部90における外形寸法を小さくすることができるので、平面視におけるホッパ全体の外形寸法を小さくすることができる。すなわち、上記従来の木材破砕装置と比較した場合、縮小部の外形のみを小さくして、輸送制限幅内で縮小部以外の径寸法を大きくできる。このため、タブ2の径、ホッパ5の上方開口部(木材投入口)8の孔径を大きくすることができて、木材の積込エリアが拡大して積込性の向上を図ることができる。
また、ホッパ5の高さ寸法小側は破砕物の外部への流出(飛散)が少なく、縮小部90を設ける必要がないので、ホッパ5の全体の高さ寸法を低く抑えることができる。これにより、例えば、この木材破砕装置が自走式である場合の車高制限を受けるのを回避することができる。また、縮小部90を設ける場合、縮小部90を構成する部材を溶接等して接続する必要があるので、全周に縮小部90を設けた場合と比較すれば、生産性に優れると共に、コストの低減を図ることができる。
さらに、縮小部90をホッパ5の高さ寸法大側に設けたので、ホッパ5の高さ寸法大側において、タブ2の上端縁部とホッパ5の下端縁部との間の隙間Gを小さくすることができ、また、蓋部材72にて、ホッパ5の高さ寸法小側の隙間Gを小さくすることができる。このため、タブ2の上端縁部の外周側に全周にわたって形成される隙間全体を小さくでき、この隙間Gからの破砕物の外部への流出(飛散)減少の信頼性が向上する。すなわち、タブ2の上端縁部の外周側に全周にわたって形成される隙間Gからの破砕物の外部への流出(飛散)減少がさらに向上する。これによって、装置の外装側の破砕物による汚れを極めて少なくできる。
しかも、上記実施の形態では、タブ2の外周面11に沿って配設されるチェーン13がタブ2の外周面11のスプロケット12・・に噛合するので、チェーン13を介してタブ2に回転力を確実に伝達することができる。また、タブ2の外周面11に配設したガイド部材22にてチェーン13の走行を案内するので、チェーン13は安定して走行できて、タブ2の回転が安定する。このため、木材を、このタブ2の下方に配置される破砕機2に確実に供給できて効率良く破砕作業を行うことができる。また、タブ2の外周面11にガイド部材22が配設されるので、タブ2の剛性が向上して耐久性に優れた破砕装置となる。さらに、タブ2の外周面11の全周にわたってスプロケット12を配置する必要がないので、全周にわたってスプロケット12を配置する場合に比べてコストの低減を図ることができる。
また、チェーン13は、ガイド部材22にて複数のスプロケット12にて形成されるピッチサークルPを略維持できるので、このチェーン13は滑らかに走行して、チェーン13に対して余分な負荷が作用するのを防止できる。このため、チェーン13は滑らかに走行して、チェーン13に対して余分な負荷が作用するのを防止できる。これにより、チェーン13の耐用寿命が延び、長期にわたって安定した破砕作業を行うことができる。
さらに、チェーン13の対面するリンク15、15(16、16)間にガイド部材22が嵌合するので、スプロケット12に対するチェーン13の噛合性の向上を図ることができる。すなわち、チェーン13の噛合効率が向上し、チェーン13がスプロケット12に滑らかに噛合してチェーン13やスプロケット12の損傷を防止できる。
また、駆動手段10の駆動用モータ36を木材投入時の木材通過位置の下方以外の位置に設けたので、木材を投入する際における駆動用モータ36への木材等の落下を防止できる。このため、駆動用モータ36等の駆動の妨げを回避することができて、タブ2を安定して回転させることができると共に、駆動用モータ36等を保護することができて、駆動手段10の耐用寿命を延ばすことができる。また、ホッパ5の投入口8を水平面に対して傾斜させて木材の投入方向を規定したので、木材の投入作業が安定して、作業性の向上を達成できる。
次に、この実施形態の特徴的な部分であるタブ2の駆動源である油圧モータ36の制御と、破砕機1の駆動用油圧モータ99a、99bの制御について、図26〜図32に基づいて説明する。まず、図26には、タブ2側の油圧回路を示している。同図において、2は、回転駆動されるタブ、36は駆動用の油圧モータであって、上記したように、油圧モータ36が、チェーン13を介してタブ2を駆動するようになっている。油圧ポンプ120のポンプライン121とタンクライン122とが上記油圧モータ36に接続されているが、このポンプライン121とタンクライン122とには、比例電磁弁123の付設された流量方向制御弁124が介設されている。また、上記流量方向制御弁124には、流量方向制御弁124の正逆を切換えるためのソレノイド125が接続されている。なお、126は圧力スイッチである。上記タブ2は、図27に示すように、比例電磁弁123への指令電流Itに略比例するような回転速度Ntで回転駆動される。
また、図28には、破砕機1側の油圧回路を示している。同図において、93は、回転駆動される回転式破砕体であり、この回転式破砕体93が、その両端部に接続された一対の駆動用油圧モータ99a、99bによって駆動される。上記一方の第1油圧モータ99aは、可変容量モータであって、モータが自己圧で容量を所定容量と、それよりも大きな大容量とに切換える方式の可変容量モータである。また、他方の第2油圧モータ99bは、容量切換可能モータであって、傾転角の大小切換を行い、容量を所定容量と、それよりも大きな大容量とに切換える方式のものである。油圧ポンプ130のポンプライン131とタンクライン132とが上記第1及び第2油圧モータ99a、99bに接続されているが、両油圧モータ99a、99bは、上記ポンプライン131とタンクライン132とに互いに並列に接続されている。ポンプライン131とタンクライン132とには、比例電磁弁133の付設された流量方向制御弁134が介設されている。なお、135は回転式破砕体93の回転速度を検出する回転検知センサ、136は圧力スイッチである。また、上記ポンプライン131には、リリーフ弁137が介設されており、ポンプライン131の最高圧力を規制している。上記回転式破砕体93は、図29に示すように、比例電磁弁133への指令電流Imに略比例するような回転速度Nmsを目標として回転駆動される。
次に、上記タブ2及び破砕機1の動作制御につき、図30に示すフローチャートに基づいて説明する。まず、ステップS1において、タブ2が動作している(運転スイッチON)ことを確認する。次に、ステップS2において、タブ2の比例電磁弁123への指令電流Itを指令上限値It0に設定し、破砕を開始する(It=It0)。そして、タブ2の回転再開時の指令電流Itmを上記指令上限値It0とする旨をメモリに入力する(ステップS3)。ステップS4では、上記回転検知センサ134で検出した回転式破砕体93の回転速度Nmが、設定回転速度Nms0の70%以上であるか否かの判断を行う。70%以上であれば、その状態(破砕機1の稼動状態)を継続し、70%よりも小さければ、ステップS5に移行して、比例電磁弁123への指令電流Itを0にしてタブ2を停止することで破砕を中断すると共に、その後、所定時間(約1秒間)だけソレノイド125を励磁して、タブ2を逆転させる。所定時間経過後には、ソレノイド125の励磁は停止され、タブ2は停止したまま、流量方向制御弁124がタブ正転位置に切換わる。また、ステップS6においては、上記第1油圧モータ99aと第2油圧モータ99bとを大容量側に切換える。なお、これまでの破砕機1の稼動状態においては、第1油圧モータ99aと第2油圧モータ99bとは、所定容量側において動作しており、この所定容量側において、設定回転速度Nms0(破砕機1の仕様値)が得られるようになっている。次いで、ステップS7において、再度、上記回転検知センサ134で検出した回転式破砕体93の回転速度Nmが、設定回転速度Nms0の70%以上であるか否かの判断を行う。70%未満であれば、その状態を継続し、70%以上であれば、ステップS8に移行して、上記第1油圧モータ99aと第2油圧モータ99bとを所定容量側に復帰させる。なお、上記第1油圧モータ99aの大容量側への切換、及び復帰は自己圧により自動的に行われ、また第2油圧モータ99bの大容量側への切換、及び復帰は圧力検知手段(図示せず)の検知圧力によって行われる。
ステップS9においては、上記回転検知センサ134で検出した回転式破砕体93の回転速度Nmが、設定回転速度Nms0の90%よりも大であるか否かの判断を行う。90%以下であれば、その状態を継続し、90%よりも大であれば、ステップS10に移行して、タブ2の比例電磁弁123への指令電流Itを、ステップS3においてメモリに記憶したタブ2の回転再開時の指令電流Itmとして出力し、タブ2の回転駆動を再開し、破砕を再開する。その後、ステップS11において、タイマをリセット(t1=0)すると共に、次のステップS12において、タイマをスタートさせる。
ステップS13においては、上記回転検知センサ134で検出した回転式破砕体93の回転速度Nmが、設定回転速度Nms0の70%以上であるか否かの判断を行う。70%以上であれば、その状態(破砕機1の稼動状態)を継続しながらステップS14へと移行し、70%よりも小さければ、ステップS15に移行して、タイマをストップして、次のステップS16へと移行する。ステップS16では、上記タイマのカウント値t1が、設定時間t10以下であるのか否かの判断を行う。
ステップS16において、カウント値t1が、設定時間t10以下である場合(t1≦t10)には、ステップS17に移行し、次回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmを、今回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmよりも一定電流値ΔIt0だけ低い指令電流値(Itm=Itm−ΔIt0)としてメモリに書き込む。次に、ステップS18に移行し、上記次回の指令電流Itmが、指令下限値Itminよりも小であるか否かの判断を行い、次回の指令電流Itmが、指令下限値Itminよりも小(Itm<Itmin)である場合には、ステップS19において、次回の指令電流Itmを、指令下限値Itminとして(Itm=Itmin)、上記ステップS5へと移行する。また、小でない場合にはそのまま、上記ステップS5へと移行して、比例電磁弁123への指令電流Itを0にしてタブ2を停止することで破砕を中断すると共に、その後、所定時間(約1秒間)だけソレノイド125を励磁して、タブ2を逆転させる。上記における指令下限値Itminは、タブ2が回転を停止しない回転可能値としている。
その一方、ステップS16において、カウント値t1が、設定時間t10より大である場合(t1>t10)には、ステップS20に移行し、次回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmを、今回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmよりも一定電流値ΔIt0だけ高い指令電流値(Itm=Itm+ΔIt0)としてメモリに書き込む。次に、ステップS21に移行し、上記次回の指令電流Itmが、指令上限値It0よりも大であるか否かの判断を行い、次回の指令電流Itmが、指令下限値It0よりも大(Itm>It0)である場合には、ステップS22において、次回の指令電流Itmを、指令上限値It0として(Itm=It0)、また大でない場合にはそのまま、上記ステップS5へと移行する。
上記ステップS13において、回転検知センサ134で検出した回転式破砕体93の回転速度Nmが、設定回転速度Nms0の70%以上である場合には、その状態(破砕機1の稼動状態)を継続しながらステップS14へと移行したが、このステップS14においては、上記タイマのカウント時間t1が上限設定時間tmax以上であるか否かの判断を行い、上限設定時間tmaxに達していなければ、ステップS13へ移行してその状態を継続し、上限設定時間tmaxに達すれば(t1≧tmax)、ステップS23に移行して、タイマを停止して、上記ステップS2へと移行する。
上記フローチャートに基づく制御では、回転式破砕体93の回転速度Nmが、設定回転速度Nms0の70%未満になり、破砕機1が過負荷状態になると、タブ2の回転を停止すると共に、タブ2を一定時間逆転させる(ステップS5)。また、運転起動時を除き、回転式破砕体93の回転速度Nmが、設定回転速度Nms0の90%よりも大になり、破砕機1が低負荷状態になれば、タブ2の回転駆動を再開し、破砕を再開する(ステップS8、ステップS9)。そして、タブ2の回転駆動の再開から、次のタブ2の回転停止までの破砕継続時間t1をカウントする(ステップS12)。カウント値t1が、設定時間t10以下である場合(t1≦t10)には、次回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmを、今回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmよりも一定電流値ΔIt0だけ低い指令電流値(Itm=Itm−ΔIt0)として(ステップS17)、タブ2の回転速度を低下させる。一方、カウント値t1が、設定時間t10より大である場合(t1>t10)には、次回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmを、今回のタブ2の回転再開時の指令電流Itmよりも一定電流値ΔIt0だけ高い指令電流値(Itm=Itm+ΔIt0)として(ステップS20)、タブ2の回転速度を増加させる。
図31には、具体的な制御例を示している。図において、1回目の破砕(1)、2回目の破砕(2)、3回目の破砕(3)では、それぞれ破砕継続時間t1が設定時間t10以下であるので、2回目の破砕(2)では、指令電流を低く(It=Ito−ΔIt0)、3回目の破砕(3)では、指令電流をさらに低く(It=Ito−2ΔIt0)、4回目の破砕(4)では、指令電流を一層低く(It=Ito−3ΔIt0)している。また、4回目の破砕(4)では、破砕継続時間t1が設定時間t10より大であるので、5回目の破砕(5)では、指令電流を4回目よりもΔIt0だけ高く(It=Ito−2ΔIt0)している。そして、5回目の破砕(5)では、破砕継続時間t1が設定時間t10以下であるので、6回目の破砕(6)では、指令電流を4回目よりもΔIt0だけ低く(It=Ito−3ΔIt0)している。
上記破砕装置では、破砕継続時間t1が設定時間t10よりも大きいとき、すなわち、低負荷状態が長く続くときには、木材の供給不足ぎみであり、次回のタブ回転速度を前回のタブ回転時のときよりも増加させて木材の供給量を増加させることができる。また、破砕継続時間t1が設定時間t10よりも小さいときには、木材の過供給ぎみであり、次回のタブの回転速度を前回のタブ回転時のときよりも減少させて木材の供給量を減少させることができる。このため、次回の木材供給において、破砕機1の破砕能力に応じた木材供給となるように、タブの回転速度を調整することができる。従って上記破砕装置によれば、破砕機の過負荷状態での運転を回避することができ、これにより、作業効率が向上し、破砕機の負担が軽減されて、破砕機が損傷等するのを防止できる。また、破砕継続時間t1に応じてタブの回転速度を変更することができるので、破砕機1への木材の供給量の適正化を図ることができる。これにより、破砕機1の稼動時間を大きく取れて効率のよい破砕作業を行うことができ、全体の破砕量(作業量)の向上を図ることができる。しかも、破砕機1の負荷を瞬時のものとして点状に捉えるものではなく、経過時間として線状に捉えたことにより、一段と精度の高い制御が行える。
また、上記破砕装置では、破砕機1の負荷状態を回転速度に基づいて検知しているので、破砕機1の過負荷状態を簡単に検知することができ、破砕機1への木材の供給量の適正化を確実に図ることができる。破砕機1の負荷状態は、上記の他、破砕機に供給される作動油の圧力を検出することによっても把握でき、この場合にも同様の作用、効果が得られる。また、破砕継続時間t1を、タブ2の回転時間に基づいて検知しているので、破砕継続時間t1を簡単に検知することができ、破砕機への被破砕物の供給量の適正化を確実に図ることができる。
さらに、上記破砕装置では、タブ2の回転再開時の指令電流Itmに指令上限値It0と指令下限値Itminとを設け、タブ回転速度に上限値と下限値とを設定すると共に、上記下限値をタブが回転を停止しない回転可能値としている。従って、タブ2は上限値を越えた回転速度とならないため、破砕機1に対して木材が設定値より過供給状態となるのを防止でき、安全性を確保することができる。また、タブ回転速度の下限値を、タブが回転を停止しない回転可能値とするので、低速であってもタブ2は必ず回転することになる。このため、この装置の制御によって、タブ回転速度が低下しても、木材を破砕機に供給することができて、破砕機による被破砕物の破砕作業を行うことができ、作業量の低下を防止できる。これに対して、タブ2が回転せずに停止した状態となるものでは、装置停止状態(破砕作業停止状態)か、過負荷によるタブ停止状態かが作業者等には分らず、その後の対応が不安定となって、作業性が悪い。
上記破砕装置では、破砕継続時間t1が上記設定時間t10よりも大きい上限設定時間tmaxを超えれば、タブ2の比例電磁弁123への指令電流Itを指令上限値It0にしてタブ回転速度を上限値としている。これは、低負荷状態が長時間継続すれば、破砕機への被破砕物の供給量が不足ぎみであるため、このようなときには、タブの回転速度を上限値とすることによって、破砕機1への被破砕物の供給量の適正化及びタブ用モータ36の負担の軽減を図るためである。
ところで、図28においては、回転式破砕体93が、その両端部に接続された一対の駆動用油圧モータ99a、99bによって駆動されるようになっている。そして、一方の第1油圧モータ99aは、可変容量モータであって、モータが自己圧で容量を所定容量と、それよりも大きな大容量とに切換える方式の可変容量モータであり、また他方の第2油圧モータ99bは、容量切換可能モータであって、傾転角の大小切換を行い、容量を所定容量と、それよりも大きな大容量とに切換える方式のものであるとしている。なお、大容量とは、所定容量よりも、油圧モータ99a、99bの1回転に要する作動油量が多いことを意味する。また、図30のフローチャートにおいては、ステップS4で、破砕機1が過負荷状態である場合に、ステップS5において、タブ2を停止することで破砕を中断すると共に、ステップS6においては、上記第1油圧モータ99aと第2油圧モータ99bとを、通常破砕時の所定容量側から大容量側に切換えることとしている。すなわち、破砕機1が過負荷状態であり、破砕を中断しているときに、第1油圧モータ99aと第2油圧モータ99bとを、通常破砕時の所定容量側から大容量側に切換えるようにしている。なお、この過負荷状態では、ポンプライン131からはリリーフ弁137によるリリーフが生じており、上記第1油圧モータ99aの大容量側への切換は、このリリーフ圧(又はそれよりやや低い圧力)により自動的に行われる。また第2油圧モータ99bの大容量側への切換、及び復帰は圧力検知手段(図示せず)の検知圧力によって行われる。
第1油圧モータ99aと第2油圧モータ99bとを、大容量側に切換えれば、出力トルクが増加する。いま、容量をq(cc/rev.)、圧力をpとすると、トルクTは、
T=p・q/(200π)で与えられ、
回転慣性をG・D2/(4・g)とし、回転数をNとすると、
T=G・D2・N/(375・t) (ただしtはsec.) が成立し、
過負荷復元加速性(N/t)は、
N/t=375T/(G・D2)
として与えられる。すなわち、油圧モータの過負荷復元加速性(N/t)はトルクTに比例する。従って、過負荷で回転式破砕機への被破砕物の供給が開始されるまでの待機状態において、破砕機1が所定の回転速度に回復するまでの時間を短縮することができる。
図32には、上記実施形態と従来例との回転の変化状態を対比して示している。図32において、実線は上記実施形態を、また破線は従来例をそれぞれ示している。回転式破砕体93の回転速度Nmが、設定回転速度Nms0の70%未満になり、破砕機1が過負荷状態になって、タブ2の回転を停止した待機状態に突入(図中X点)した後、回転式破砕体93の回転速度Nmが、設定回転速度Nms0の90%に達して、破砕機1が低負荷状態になり、タブ2の回転駆動を再開するのは、従来例ではY点であるのに対して、実施形態ではZ点となる。具体的にいうと、破砕機1が所定の回転速度に回復するまでの時間は、従来例では約20秒の時間を要するのに対して、実施形態では約8秒と大幅に短縮される。このように、上記破砕装置によれば、過負荷で回転式破砕機への被破砕物の供給が開始されるまでの待機状態において、破砕機1が所定の回転速度に回復するまでの時間を短縮することができる。これによって、作業効率の向上を図って、作業量を増加させることができる。
また、第1油圧モータ99aと第2油圧モータ99bとを大容量側とすることによって、過負荷状態でリリーフ弁137からのリリーフ量を少なくすることができる。これにより、破砕機1への被破砕物の供給を停止していた状態で逃がすことになっていた油圧の一部の利用が可能となり、油圧ロスを減少させることができ、省エネルギを達成できる。
また、上記破砕装置では、上記第1油圧モータ99aと第2油圧モータ99bとは、この油圧モータ99a、99bが過負荷状態を脱すると所定容量側に復帰する。すなわち、図30に示すフローチャートでは、ステップS7において、回転式破砕体93の回転速度Nmが、設定回転速度Nms0の70%以上に回復すれば、ステップS8に移行して、上記第1油圧モータ99aと第2油圧モータ99bとを所定容量側に復帰させるようにしている。これは、油圧モータ99a、99bが過負荷状態を脱した状態においてはトルクを増加させる必要がないので、元の所定容量側に戻すことができるためであり、このようにすれば、無駄な運転を回避することができ、燃料消費が少なくなる。なお、所定容量側に復帰するタイミングとしては、回転式破砕体93の回転速度Nmが、設定回転速度Nms0の90%以上に回復したときとしてもよい。
さらに、上記破砕装置では、1機の油圧モータを使用するのではなく、第1油圧モータ99aと第2油圧モータ99bとの2機の油圧モータを備えている。この結果、個々のモータ99a、99bの小型化を図ることができ、全体としてのコンパクト化を達成できると共に、破砕機1やモータ等のレイアウトの容易化を達成できる。
さらに、上記破砕装置では、第1油圧モータ99aと第2油圧モータ99bとの両方の油圧モータを、大容量側と所定容量側との切換えが可能な可変容量モータと容量切換可能モータとしている。そのため、例えば、第1油圧モータ99aと第2油圧モータ99bの両方の容量を大容量側に切換えることによって、出力トルクを増加させたり、第1油圧モータ99aと第2油圧モータ99bの両方の容量を所定容量側に切換えることによって、出力トルクを減少させたりすることができる。このため、起動時等において、両油圧モータ99a、99bを大容量側に切換えることによって、素早い起動を行うことができる。しかも、第2油圧モータ99bが、高トルク破砕等の他の目的で大容量側に切換っていても、所定容量側に切換っていても、第1油圧モータ99aでは、過負荷で回転式破砕機への被破砕物の供給が開始されるまでの待機状態において、第1油圧モータ99aを大容量側とする制御が可能であり、出力トルクが大きくなり、回転式破砕機1の復元が早い。
上記破砕装置では、上記第1油圧モータ99aは、自己圧で容量を変化させる制御モータであるので、過負荷状態で回転式破砕機1への被破砕物の供給が開始されるまでの待機状態において、油圧モータ99aを自動的に大容量側とするができる。そのため、破砕機が所定の回転速度に回復するまでの時間の短縮を自動的に確実に行うことができ、作業量増加の信頼性が向上する。
上記実施形態においては、破砕機1が過負荷状態となったときにタブ2の回転を停止し、破砕機1が低負荷状態となったときにタブ2の回転を開始するように構成しているが、破砕機1が過負荷状態となったときにタブ2の回転を低下させ、破砕機1が低負荷状態となったときにタブ2の回転を増加させる制御構成を採用することもできる。また、上記実施形態では、回転式破砕体93を有する破砕機1と、回転式タブ2とを備えた木材破砕装置を例示しているが、被破砕物としては木材に限らず、岩等であってもよく、また、被破砕物供給手段とは、上記回転式タブ2に限らず、ベルトコンベアのようなものも含むものであり、さらに、破砕機1も回転式破砕体93を有するものに限らず、ジョークラッシャー等も含むものである。