JP4298039B2 - コア/シェル型無機微粒子及び強誘電体薄膜の製造方法 - Google Patents

コア/シェル型無機微粒子及び強誘電体薄膜の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コア成分が強誘電体酸化物からなり、シェル成分が金属酸化物の前駆体ゲルからなるコア/シェル型二重構造無機微粒子、及びこのコア/シェル型微粒子を用いた強誘電体薄膜の製造方法に関する。この強誘電体薄膜は、例えば、インクジェット記録装置の圧電素子として利用価値が高いものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録ヘッドの圧電素子として、強誘電体薄膜が用いられている。この強誘電体薄膜は、ゾル−ゲル法、スクリーン印刷法、スパッタ法、CVD法、レーザアブレーション法等の方法により形成することができる。
【0003】
これらのうち、ゾル−ゲル法によれば、強誘電体薄膜は、原料の金属アルコキシドを加水分解・重合させて得られる金属酸化物前駆体ゾルを基板上に塗布し、ゲル化させて、その後、500〜1000℃程度の温度で焼成することにより形成される。このようにゾル−ゲル法によれば、比較的低い温度での焼成が可能である。
【0004】
しかしながら、ゾル−ゲル法によれば、1回の塗布、焼成操作では、0.5μm程度の膜厚の薄膜しか得られない。そのため、インクジェット記録ヘッドのアクチュエータとして通常必要とされる1μm〜20μm程度の膜厚を得るために、多数回の塗布、焼成操作が必要となる。結果として、焼成温度自体は比較的低いが、多数回・長時間の焼成を行うために、強誘電体薄膜の周辺部材(例えば、電極、振動板)への熱的悪影響が懸念される。
【0005】
また一方で、厚膜化された強誘電体薄膜を得るために、例えば、特開平6−119811号公報には、金属アルコキシドを加水分解したゾルに強誘電体微粒子を添加することが開示されている。
しかしながら、ゾルに強誘電体微粒子を添加すると、厚膜化には寄与するが、前記粒子を焼結させるためにより高い焼成温度が必要となり、周辺部材への熱的悪影響が問題となる。その上、金属酸化物前駆体ゾルに強誘電体微粒子を添加すると、前駆体ゾル液のポットライフ低下が生じることがある。ポットライフ低下は、実際の製造工程では大きな問題となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決するため、強誘電体薄膜を製造するための新規なコア/シェル型二重構造無機微粒子を提供することにある。
そして、本発明の目的は、このコア/シェル型微粒子を用いた、より低い温度での焼成が可能であり、工業的な製造適性にも優れる強誘電体薄膜の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討した結果、コア成分が強誘電体酸化物からなり、シェル成分が金属酸化物の前駆体ゲルからなる新規なコア/シェル型二重構造無機微粒子を用いることにより、強誘電体薄膜製造用の塗布液の安定化が得られること、及びより低い温度での焼成が可能となることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、コア成分が、強誘電体酸化物からなり、
シェル成分が、金属酸化物の前駆体ゲルからなる、コア/シェル型二重構造無機微粒子である。
本発明において、シェル成分が、強誘電体酸化物の前駆体ゲルからなるコア/シェル型無機微粒子が好ましい。また、インクジェット記録装置の圧電素子用の強誘電体薄膜を得るには、コア成分が、チタン酸ジルコン酸鉛からなり、シェル成分が、チタン酸ジルコン酸鉛の前駆体ゲルからなるコア/シェル型無機微粒子が好ましい。
【0009】
また、本発明は、強誘電体酸化物微粒子を金属酸化物の前駆体ゾルで処理し、前記微粒子表面を金属酸化物前駆体ゾルで被覆し、このゾルをゲル化させることを含む、コア成分が強誘電体酸化物からなり、シェル成分が金属酸化物の前駆体ゲルからなるコア/シェル型二重構造無機微粒子の製造方法である。
この方法において、金属酸化物の前駆体ゾルとして、強誘電体酸化物の前駆体ゾルを用いると、シェル成分が、強誘電体酸化物の前駆体ゲルからなるコア/シェル型無機微粒子が得られるので好ましい。
この方法において、金属酸化物の前駆体ゾルのゲル化を、−100〜300℃の温度範囲で行うことができる。ゲル化温度によって、焼結性を制御することができる。
【0010】
さらに、本発明は、コア成分が強誘電体酸化物からなり、シェル成分が金属酸化物の前駆体ゲルからなるコア/シェル型二重構造無機微粒子と、有機ポリマーと、溶剤とを含む塗布液を、基板上に塗布し、
基板上に前記コア/シェル型無機微粒子を含む薄膜を形成し、
その後、これを焼成することを含む、強誘電体薄膜の製造方法である。
この方法において、焼成を300〜1400℃の温度範囲で行うことができる。
また、インクジェット記録装置の圧電素子用の強誘電体薄膜を得るには、コア/シェル型無機微粒子として、コア成分がチタン酸ジルコン酸鉛からなり、シェル成分がチタン酸ジルコン酸鉛の前駆体ゲルからなる微粒子を用いることが好ましい。
【0011】
本発明において、金属酸化物の「前駆体」とは、ゾル−ゲル法によって原料の金属種含有化合物(例えば金属アルコキシド)を重合させて得られるものであり、実質的に完全な金属酸化物形態に移行させるための前駆体を指す。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、コア成分が強誘電体酸化物からなり、シェル成分が金属酸化物の前駆体ゲルからなるコア/シェル型二重構造無機微粒子について説明する。
このコア/シェル型微粒子は、強誘電体酸化物微粒子表面を金属酸化物前駆体ゾルで被覆し、このゾルをゲル化させることにより得られる。
【0013】
コア成分を構成する強誘電体酸化物としては、公知のいずれの強誘電体酸化物をも用いることができ、例えば、ペロフスカイト構造のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム(BaTiO3 )、チタン酸鉛(PbTiO3 )、PbZrO3 とPbTiO3 の固溶体にLaを添加したPLZT等が代表例として挙げられる。また、その他として、LiNbO3 、LiTaO3 等が挙げられる。
これらの強誘電体酸化物微粒子は、金属アルコキシドや金属塩を出発原料とするゾル−ゲル法、共沈法、水熱法、噴霧熱分解法などの公知の方法により製造することができる。
【0014】
シェル成分を構成する金属酸化物前駆体ゲルは、強誘電体酸化物の前駆体ゲルであることが、強誘電体薄膜を得る目的から好ましい。従って、前記強誘電体酸化物微粒子表面を被覆するための金属酸化物前駆体ゾルとして、強誘電体酸化物の前駆体ゾルを用いることが好ましい。
【0015】
金属酸化物前駆体ゾルは、例えば、金属酸化物を構成する金属のアルコキシドあるいは塩を加水分解・重合させて得ることができる。
例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の前駆体ゾルは、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、鉛アルコキシドあるいは酢酸鉛を加水分解・重合させて得ることができる。
【0016】
チタンアルコキシドとしては、例えば、テトラノルマルプロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラノルマルブトキシチタン、テトライソブトキシチタン等が挙げられる。ジルコニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラノルマルプロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラノルマルブトキシジルコニウム、テトライソブトキシジルコニウム等が挙げられる。鉛アルコキシドとしては、ジノルマルプロポキ鉛、ジイソプロポキシ鉛、鉛2-アミノエトキシ−アセテート〔Pb(NH2 CH2 CH2 O)(CH3 COO)〕等が挙げられる。
【0017】
加水分解・重合反応の溶媒としては、アルコキシド等の原料及び加水分解に供する水がそれぞれ可溶であって、水を添加する温度において凝固しないものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、極性溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールが好ましく用いることができる。また、トルエン等の非極性溶媒を適当な割合で混合してもよい。
【0018】
加水分解・重合反応は、適当な酸触媒存在下、アルコキシド等の原料にもよるが、通常、−100〜300℃で行うことができる。このようにして、強誘電体酸化物の前駆体ゾルを得ることができる。
【0019】
また、本発明においては、金属酸化物の前駆体ゾルとして、強誘電体酸化物の前駆体ゾルの他に、低温焼結が可能な金属酸化物材料の前駆体ゾルを使用することもできる。低温焼結が可能な金属酸化物材料としては、例えば、アルカリ土類金属、遷移金属類、周期表第IIIb族、第IV族、希土類に属する元素(Mg、Ca、Sr、Ba、Y、ランタノイド系、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Bi等)のアルコキシドや塩を加水分解・重合させて得られる金属酸化物が挙げられる。例えば、酸化ニオブNbO等が挙げられる。
【0020】
コア成分の強誘電体微粒子の金属酸化物前駆体ゾルでの処理は、例えば、前記微粒子を金属酸化物前駆体ゾル中に浸漬する方法、前記微粒子に溶剤を添加し、ボールミル等の分散機で分散し、その後、金属酸化物前駆体ゾルを混合し、更にボールミル等で分散する方法などによって行うとよい。後者の場合に用いる溶剤としては、特に限定されるものではなく、公知の各種溶剤から適宜選択される。通常、適当な溶剤として、メタノール、エタノール、プロパノール、2−エトキシエタノール等のアルコール類、カルビトール、ブトキシエトキシカルビトール等のエーテル類などの親水性溶剤を用いる。
【0021】
その後、付着したゾルをゲル化させる。金属酸化物前駆体ゾルのゲル化は、例えば、−100〜300℃、好ましくは−10〜300℃の温度範囲で行うとよい。このときのゲル化温度によって、強誘電体薄膜の製造における焼結性を制御することができる。すなわち、金属酸化物前駆体ゾルの種類にもよるが、一般に、金属酸化物前駆体ゾルのゲル化温度が低い場合、強誘電体薄膜を製造する際の焼結温度を低く又は焼結時間を短く設定することができる。
このようにして、本発明のコア/シェル型二重構造無機微粒子を製造することができる。
【0022】
コア/シェル型二重構造無機微粒子の平均粒子径(BET法)は、特に限定されるものではないが、強誘電体薄膜を製造するという観点からは、一般に5nm〜10μm程度であり、好ましくは5nm〜10μmであり、より好ましくは10nm〜5μmである。通常、シェル(ゲル被覆)の厚みは、30nm〜3μm程度である。
また、コア成分/シェル成分の重量比は、特に限定されるものではないが、コア成分の強誘電体酸化物/シェル成分の金属酸化物前駆体ゲル=100/1〜100/100程度、好ましくは100/5〜100/30程度である。得ようとする強誘電体薄膜の目的、塗布適性等から、適宜決定すればよい。
【0023】
本発明のコア/シェル型二重構造無機微粒子は、シェル成分が金属酸化物前駆体のゲルとなっている。金属酸化物前駆体ゲルは、塗布液中において安定に存在可能であり、コア/シェル型微粒子は、塗布液中において分散性の均一が保たれる。その結果、コア/シェル型微粒子を塗布液中に入れてもポットライフの長期安定化が得られる。
従来技術のような、強誘電体微粒子が添加された金属酸化物前駆体ゾル液のポットライフは短く、そのため、通常は、配位子等の安定化剤の添加、適切な溶剤の選定、低温での保管等さまざまな対策が必要となる。本発明のコア/シェル型二重構造無機微粒子では、塗布液のポットライフの長期安定化という利点が得られる。
【0024】
また、ゲル被覆のために、強誘電体薄膜の製造における焼成温度を低下させる効果がある。それは、焼結が起こるのは、微粒子同士の界面であり、本発明のコア/シェル型微粒子では、その界面にのみ前駆体ゲルが存在しているからである。従って、強誘電体微粒子の表面を金属酸化物前駆体ゲルで被覆することは極めて有効な手段である。
【0025】
インクジェット記録装置の圧電素子用の強誘電体薄膜を得るには、コア成分が、チタン酸ジルコン酸鉛からなり、シェル成分が、チタン酸ジルコン酸鉛の前駆体ゲルからなるコア/シェル型無機微粒子が好ましい。
【0026】
次に、強誘電体薄膜の製造方法について説明する。
この方法では、まず、前記コア/シェル型二重構造無機微粒子と適切なバインダー有機ポリマーと溶剤とを混合し、前記微粒子が分散された塗布液を調製する。
【0027】
溶剤は、特に限定されるものではなく、公知の各種溶剤から適宜選択される。通常、適当な溶剤として、メタノール、エタノール、プロパノール、2−エトキシエタノール等のアルコール類、カルビトール、ブトキシエトキシカルビトール等のエーテル類などの親水性溶剤を用いる。
【0028】
適切な有機ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナイロン又はポリアミド系重合体、ポリウレタン、ポリ尿素、アクリロニトリル系重合体、(メタ)アクリレート系重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン系ポリマー、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルボキシル変性ポリオレフィンなどのポリオレフィン系、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブダジエン−スチレンブロック共重合体などのスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
また、有機ポリマーの配合量も、特に限定されるものではなく、例えば、前記前記コア/シェル型微粒子の100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部程度の範囲から選択できる。
【0029】
また、この塗布液には、必要によりさらに、分散剤、重合促進剤、溶解促進剤、酸化防止剤、染料、顔料などの公知の各種添加剤を適宜配合することもできる。また、この塗布液には、補助的に本発明の利点を損ねない程度に、金属酸化物前駆体ゾルを配合することも可能である。金属酸化物前駆体ゾルの配合量は、特に限定されないが、前記コア/シェル型微粒子の100重量部に対して、金属酸化物換算で、例えば1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部程度(例えば重量部程度)である。
このようにして得られた塗布液中において、前記コア/シェル型微粒子は、安定に存在するので、ポットライフ低下の問題がない。
【0030】
得られた塗布液を、基板上に塗布し、基板上に前記コア/シェル型無機微粒子を含む薄膜を形成する。
基板としては、所望の用途に応じて、金属、ガラス、セラミックス、プラスチックなどから適宜選択でき、シリコンウェハーなどの基板であってもよい。インクジェット記録装置のピエゾヘッドの場合は、通常、酸化ジルコニウムである。基板は、予め適当な表面処理が成されていてもよい。例えば、シランカップリング剤などにより表面処理が成されていてもよい。
塗布方法は、特に限定されるものではなく、慣用のコーティング方法、例えば、スピンコーティング法、ディッピング法、キャスト法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法などにより行うことができる。
【0031】
塗布の後、必要に応じて、薄膜を20〜200℃程度に加熱してもよい。
薄膜を形成した後、これを焼成する。焼成温度は、300〜1400℃の温度範囲が好ましく、500〜900℃の温度範囲がより好ましい。本発明においては、ゲル被覆された前記コア/シェル型微粒子を用いるので、微粒子同士の焼結性に優れ、従来のように強誘電体微粒子そのものを用いるよりも、より低い温度での焼成が可能である。
【0032】
また、焼成は、不活性ガス雰囲気、または酸素含有雰囲気(空気など)など任意の雰囲気下で行えばよく、常圧又は減圧下で行うことができる。通常は、空気下で、室温から300〜1400℃程度まで、2〜24時間かけて焼成するとよい。また、段階的な昇温を行ってもよい。このような焼成により、有機成分がほぼ消失して、緻密な強誘電体薄膜が得られる。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
1.コア/シェル型微粒子の作製
(1)強誘電体前駆体ゾルの調製
酢酸鉛三水和物Pb(CH2 CO2 2 ・3H2 O 37.9g(0.1モル)を2−エトキシエタノール45.16g(0.5モル)に70℃で溶解し、その後120℃まで加熱した。
これに、PbTiO3 :PbZrO3 =47:53モルになるように、チタンテトライソプロポキシドTi((CH3 2 CHO)4 13.36g(0.047モル)と、ジルコニウムテトラn−プロポキシドZr(C3 7 O)4 17.36g(0.053モル)とを攪拌しながら加え、125℃まで加熱した。
この溶液に、PZT濃度 0.5モル/l となるように2−エトキシエタノール163g(1.8モル)を加えた。その後、この溶液に対して 0.001N塩酸水溶液3.1ccを加え、部分加水分解を行い、強誘電体前駆体ゾルを作製した。
また、部分加水分解は、次の(2)の強誘電体微粒子への強誘電体前駆体ゾル被覆時に行ってもよい。
【0034】
(2)強誘電体微粒子へのゲル被膜の作製
強誘電体微粒子として、堺化学製チタン酸鉛ジルコニア Pb(Zr,Ti)O3 (商品名、PZT−LQ、BET法平均粒子径0.5μm)を用いた。この強誘電体微粒子20gに対し、2−エトキシエタノール5gを加え、室温で1時間ボールミルを行った。
次に、上記(1)で作製した強誘電体前駆体ゾル 2g(上記PZT微粒子100重量部に対して、酸化物換算で10重量部)を加え、1時間ボールミルを行い、PZT微粒子表面にPZT前駆体ゾルをコーティングした。このゾル被覆されたPZT微粒子をろ過し、200℃で乾燥して、PZT微粒子表面へのゲル被覆を完了し、コア/シェル型微粒子を得た。この微粒子のコア成分/シェル成分の平均重量比は、100/10であった。
【0035】
(3)ペーストの調製
(2)で得られたコア/シェル型微粒子10gと、溶剤(ターピネオール/ブトキシエトキシカルビトール=1/1)5gと、バインダーとしてのエチルセルロース0.5gと、分散剤イオネットS−85(三洋化成社製)0.1gとを十分に混合し、均一なペーストを調製した。このペーストは安定なものであった。
【0036】
2.強誘電体薄膜の作製
ジルコニア基板上に、白金を厚さ1μmにスパッタ法で形成した。この基板に、上記(3)で調製したペーストをスクリーン印刷法により塗布した。これを空気中で室温から420℃まで7時間、さらに1100℃まで1時間かけて昇温することにより焼成し、極めて緻密な強誘電体薄膜を得た。焼成後の膜の赤外線吸収スペクトルを観察したところ、有機成分に由来する吸収がほとんど観察されず、ほぼ完全に無機化(セラミックス化)していることが確認された。また、焼成後の膜厚を電子顕微鏡で観察したところ約14μmであった。
【0037】
[実施例2]
1.コア/シェル型微粒子の作製
(1)金属酸化物前駆体ゾルの調製
ペンタエトキシニオブNb(OEt)5 31.8g(0.1モル)をエタノール46.07g(1.0モル)に室温で攪拌、溶解した。その後、水1.8gを攪拌しながら加え、加水分解した。
また、部分加水分解は、次の(2)の強誘電体微粒子への強誘電体前駆体ゾル被覆時に行ってもよい。
【0038】
(2)強誘電体微粒子へのゲル被膜の作製
強誘電体微粒子として、堺化学製チタン酸鉛ジルコニア Pb(Zr,Ti)O3 (商品名、PZT−LQ、BET法平均粒子径0.5μm)を用いた。この強誘電体微粒子20gに対し、2−エトキシエタノール10gを加え、室温で2時間ボールミルを行った。
次に、上記(1)で作製した強誘電体前駆体ゾル 2g(上記PZT微粒子100重量部に対して、酸化物換算で10重量部)を加え、3時間ボールミルを行った後、PZT微粒子表面に酸化ニオブ前駆体ゾルをコーティングした。このゾル被覆されたPZT微粒子をろ過し、200℃で乾燥して、PZT微粒子表面へのゲル被覆を完了し、コア/シェル型微粒子を得た。この微粒子のコア成分/シェル成分の平均重量比は、100/10であった。
【0039】
(3)ペーストの調製
(2)で得られたコア/シェル型微粒子10gと、溶剤(ターピネオール/ブトキシエトキシカルビトール=1/1)5gと、バインダーとしてのエチルセルロース0.5gと、分散剤イオネットS−85(三洋化成社製)0.1gとを十分に混合し、均一なペーストを調製した。このペーストは安定なものであった。
【0040】
2.強誘電体薄膜の作製
ジルコニア基板上に、白金を厚さ1μmにスパッタ法で形成した。この基板に、上記(3)で調製したペーストをスクリーン印刷法により塗布した。これを空気中で室温から420℃まで7時間、さらに1100℃まで1時間かけて昇温することにより焼成し、極めて緻密な強誘電体薄膜を得た。焼成後の膜の赤外線吸収スペクトルを観察したところ、有機成分に由来する吸収がほとんど観察されず、ほぼ完全に無機化(セラミックス化)していることが確認された。また、焼成後の膜厚を電子顕微鏡で観察したところ約14μmであった。
【0041】
[実施例3]
1.コア/シェル型微粒子の作製
(1)強誘電体前駆体ゾルの調製
実施例1と全く同様にして、酢酸鉛三水和物、チタンテトライソプロポキシド及びジルコニウムテトラn−プロポキシドを用いて、強誘電体前駆体ゾルを作製した。
【0042】
(2)強誘電体微粒子へのゲル被膜の作製
実施例1と全く同様にして、堺化学製チタン酸鉛ジルコニア Pb(Zr,Ti)O3 (商品名、PZT−LQ、BET法平均粒子径0.5μm)20gと、上記(1)で作製した強誘電体前駆体ゾル 2g(上記PZT微粒子100重量部に対して、酸化物換算で10重量部)を用いて、コア/シェル型微粒子を得た。この微粒子のコア成分/シェル成分の平均重量比は、100/10であった。
【0043】
(3)ペーストの調製
(2)で得られたコア/シェル型微粒子10gと、溶剤(ターピネオール/ブトキシエトキシカルビトール=1/1)5gと、バインダーとしてのエチルセルロース0.5gと、分散剤イオネットS−85(三洋化成社製)0.1gと、(1)で得られた強誘電体前駆体ゾルをペースト内の分散等の安定性を損ねない程度の量として1g(酸化物換算)とを十分に混合し、均一なペーストを調製した。このペーストは安定なものであった。
【0044】
2.強誘電体薄膜の作製
ジルコニア基板上に、白金を厚さ1μmにスパッタ法で形成した。この基板に、上記(3)で調製したペーストをスクリーン印刷法により塗布した。これを空気中で室温から420℃まで7時間、さらに1100℃まで1時間かけて昇温することにより焼成し、極めて緻密な強誘電体薄膜を得た。焼成後の膜の赤外線吸収スペクトルを観察したところ、有機成分に由来する吸収がほとんど観察されず、ほぼ完全に無機化(セラミックス化)していることが確認された。また、焼成後の膜厚を電子顕微鏡で観察したところ約14μmであった。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、コア成分が強誘電体酸化物からなり、シェル成分が金属酸化物の前駆体ゲルからなる新規なコア/シェル型二重構造無機微粒子が提供される。
本発明の強誘電体薄膜の製造方法によれば、このコア/シェル型微粒子を用いるので、低い温度での焼成が可能であると共に、塗布液が安定であり工業的な製造適性にも優れる。そして、本発明の方法によれば、厚膜化が容易であり、インクジェット記録装置の圧電素子としての十分な膜厚を有する緻密な強誘電体薄膜が得られる。

Claims (9)

  1. コア成分が、強誘電体酸化物からなり、
    シェル成分が、金属酸化物の前駆体ゲルからなる、コア/シェル型二重構造無機微粒子。
  2. シェル成分が、強誘電体酸化物の前駆体ゲルからなる、請求項1に記載のコア/シェル型無機微粒子。
  3. コア成分が、チタン酸ジルコン酸鉛からなり、シェル成分が、チタン酸ジルコン酸鉛の前駆体ゲルからなる、請求項1に記載のコア/シェル型無機微粒子。
  4. 強誘電体酸化物微粒子を金属酸化物の前駆体ゾルで処理し、前記微粒子表面を金属酸化物前駆体ゾルで被覆し、
    このゾルをゲル化させることを含む、
    コア成分が強誘電体酸化物からなり、シェル成分が金属酸化物の前駆体ゲルからなるコア/シェル型二重構造無機微粒子の製造方法。
  5. 金属酸化物の前駆体ゾルとして、強誘電体酸化物の前駆体ゾルを用いる、請求項4に記載のコア/シェル型無機微粒子の製造方法。
  6. 金属酸化物の前駆体ゾルのゲル化を、−100〜300℃の温度範囲で行う、請求項4又は5に記載のコア/シェル型無機微粒子の製造方法。
  7. コア成分が強誘電体酸化物からなり、シェル成分が金属酸化物の前駆体ゲルからなるコア/シェル型二重構造無機微粒子と、有機ポリマーと、溶剤とを含む塗布液を、基板上に塗布し、
    基板上に前記コア/シェル型無機微粒子を含む薄膜を形成し、
    その後、これを焼成することを含む、強誘電体薄膜の製造方法。
  8. 焼成を300〜1400℃の温度範囲で行う、請求項7に記載の強誘電体薄膜の製造方法。
  9. コア/シェル型無機微粒子として、コア成分がチタン酸ジルコン酸鉛からなり、シェル成分がチタン酸ジルコン酸鉛の前駆体ゲルからなる微粒子を用いる、請求項7又は8に記載の強誘電体薄膜の製造方法。
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