JP4298018B2 - 養鶏用ササ飼料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、養鶏用飼料に関し、特に、葉緑素、多糖類、リグニン、ビタミン、ミネラル、有機酸等の生体にとって重要な生理活性成分を含有するササ類を主成分とする養鶏用飼料に関する。
【0002】
【従来の技術】
タケ科ササ属のササは、日本国中に広く分布しており、古来からその抗菌効果や消臭効果を利用して、笹寿司や笹団子などの食品に広く利用されてきている。ササは、計画的に採取を行えば、2〜3年サイクルで再び採取可能な大きさまで成長するので、資源枯渇の心配がないし、森林地帯でのササの採取は林木育種、管理面からも必要であることから、毎年、必要量を安定して入手することが可能であるため、ササを原材料とする産業は極めて魅力的であり、食品化または家畜飼料化の試みも多く成されてきている。
しかしながら、笹の茎や葉は繊維質で非常に固く、ササそのものが食用に供されることはないし、また、そのままでは家畜用の飼料にも適さない。
【0003】
実際に、従来からササを乾燥粉砕したり(特開昭52-24882号公報、特開平01-24354号公報)、冷却乾燥粉砕を行ったり(特開昭54-75376号公報)、あるいは粉砕後ペレット化を行う(特開昭54-80888号公報)などの処理を加えて飼料化することも提案されているが、ササは、それを粉砕するだけではその繊維質が短くなるだけで、固い繊維質はそのままであるため、良質の飼料とは言いがたい。
【0004】
また、ササを他の原料と混合して粉砕した後、乳酸発酵させる技術(特開昭62-25939号公報)も知られているが、発酵には通常20日という長時間を要するというから、コスト面からも魅力ある飼料とはいえない。
さらに、ササの乾燥粉砕品にササ熱水抽出物濃縮品を添加して成分を補おうとする技術(特開昭61-28350号公報)も知られているが、熱水抽出だけでは笹の細胞壁中の有効成分を十分に抽出することは難しいことに加えて、ササの乾燥品も硬い繊維質のままであることから良質の飼料化法とは言いがたい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記したような従来の技術では、特に鶏のように腸管の短い、草食ではない動物に対して、消化が良く、しかもササの有効成分を吸収し易くした飼料を低コスト、短時間で製造することは難しい。
そこで本発明は、鶏のような腸管が短く、草食ではない動物に対しても、消化が良く、しかもササの有効成分を安定的に吸収しやすくしたササ飼料を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成することのできる本発明は、基本的には、タケ科ササ属のササの葉および/あるいは茎をアルカリ処理することにより、細胞壁を加水分解することで化学的に繊維質を柔らかくし、消化を良くするとともに、固い繊維質に守られたササの有効成分を十分に利用することができるようにすることによってササを良質の飼料に転化したことを特徴とする発明である。本発明は、以下の各発明を包含する。
【0009】
タケ科ササ属のササの葉および/あるいは茎中に含まれるクロロフィル化合物のマグネシウムイオンを錯化能を有する金属化合物の金属イオンで置換し、次いでアルカリ加水分解処理して得られた、水溶性金属クロロフィリンアルカリ金属塩を含有するタケ科ササ属のササの葉および/あるいは茎を含有することを特徴とする養鶏用ササ飼料。
【0010】
)前記錯化能を有する金属の化合物は、鉄化合物および銅化合物から選ばれた少なくとも1種の錯化能を有する金属化合物であることを特徴とする前記()項記載の養鶏用ササ飼料。
前記(1)又は(2)項に記載の養鶏用ササ飼料に、他の養鶏用飼料を混合し発酵させたことを特徴とする養鶏用ササ飼料。
【0011】
(8) タケ科ササ属のササの葉および/あるいは茎をアルカリ性水溶液中で加熱処理して該葉および/あるいは茎のリグニン、キシラン等の成分を加水分解することを特徴とする、タケ科ササ属のササの葉および/あるいは茎からなる養鶏用ササ飼料の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の養鶏用ササ飼料に使用される笹は、タケ科ササ属のササの葉や茎である。タケ科ササ属のササの葉および/あるいは茎は、アルカリ加水分解処理することによって、従来知られているクマザサ飼料と比較して繊維質が柔らかくなっているため、消化が良く、クマザサの成分がより吸収しやすい形になっている。そのため、繊維質が多いものでもある程度の消化能をもつ牛馬のような大型草食動物だけではなく、鶏のような消化管の短い小動物用の飼料としても十分に利用できるものである。
【0014】
また、ササの有効成分の一つである葉緑素体の中心金属をマグネシウムから鉄あるいは銅に置換することにより、葉緑素体を安定化することができる。中心金属がマグネシウムの状態の葉緑素体は非常に不安定であるため、この安定化処理により、ササ中の有効成分のひとつである葉緑素体を鶏などの動物に安定的に吸収させることができる。安定化された葉緑素体は、その消臭などの効果を十分発揮する。
【0015】
また、アルカリ加水分解処理を行ったササ飼料には、ササ葉または茎中のキシランが加水分解して生成した、キシロオリゴ糖が入っていることが確認されている。キシロオリゴ糖には整腸作用があることが知られている。鶏の腸内環境を整える作用があることも、ササ飼料を使用した鶏の鶏糞は匂いが少ない原因の一つと考えられる。
【0016】
さらに、アルカリ加水分解処理を行ったササ飼料には、ササの葉または茎中のリグニンが分解して生成したリグニン分解物が入っていることが確認されている。リグニン分解物には抗菌作用・免疫賦活作用などがあることが知られており、これらリグニン分解物もササアルカリ加水分解処理飼料の効果の一因と考えられる。
【0017】
ササアルカリ加水分解処理飼料あるいは水溶性金属クロロフィリンアルカリ金属塩含有ササアルカリ加水分解処理飼料は、単独あるいは他の飼料原料と混合して鶏に与えることができる。必要に応じて、通常鶏の飼料として添加されている天然あるいは合成の酸性物質、例えば木酢液や乳酸菌などを添加しても良い。
【0018】
また、ササの発酵物を使用したい場合、前処理としてアルカリ加水分解処理を行うことにより、繊維質が柔らかくなるので、発酵しやすくなる。ササアルカリ加水分解処理飼料と他の原料と混合して発酵させることにより1〜2日程度で十分発酵させることができる。発酵に使用する菌種は、一般的に販売されているものでも土着菌でもいずれのものでも良い。繊維質が分解されているため、菌による発酵が速やかに行われる。また、ササアルカリ加水分解処理飼料を他のものと混合して発酵させることは、発酵により繊維質を柔軟化させるとともにアルカリの緩和にもなる。
【0019】
ササアルカリ加水分解処理あるいは水溶性金属クロロフィリンアルカリ金属塩含有ササアルカリ加水分解処理飼料を鶏に与えると、鶏舎内の匂いや鶏糞の匂いが低減され、鶏糞が良い状態になることが確認できた。
【0020】
また、実験を行った養鶏場では、資源の有効利用を進めるために、スーパーでの賞味期限切れの野菜や肉などを発酵させて飼料に加えている。ダイオキシン問題などの恐れのあるゴミの焼却処理、食糧自給率の低下などの問題は周知の通りであるが、今後、このような衛生的に保管された賞味期限切れ商品などの有効活用は、ゴミ問題・食糧問題の両面から、今後注目されていくべきテーマではないかと考えられる。しかしながら、購入する飼料と異なり、賞味期限切れの野菜や肉・魚などは、その日に何がどれくらい搬入されるのか、正確に把握することは難しい。その結果、購入飼料と使用する場合と比較して、毎日一定の栄養条件を保つことが難しい。冷蔵庫で賞味期限切れの野菜や肉などを保管して、できるだけ毎日の栄養条件に変化が出ないようにする工夫は可能であるが、毎日一定の栄養条件を保つというのは難しい。
【0021】
ところが鶏の腸管は短いため、栄養条件が大きく変化すると、翌日の卵の質にすぐに反映されてしまう。例えば、魚を大量に与えてしまうと、卵が2L玉になったり、卵殻が柔らかくなってしまったりする。2L玉は流通ラインに乗らないため、価格が大きく低下する。また、卵殻が柔らかいと流通過程で壊れてしまいやすくなるため、養鶏家の収入に影響する。
【0022】
これに対して、ササアルカリ加水分解処理飼料あるいは水溶性金属クロロフィリンアルカリ金属塩含有ササアルカリ加水分解処理飼料を添加することにより、多少毎日の栄養状態に変化があっても、毎日安定したM玉がそろうようになる。水溶性金属クロロフィリンアルカリ金属塩含有ササアルカリ加水分解処理飼料を添加することにより、水溶性金属クロロフィリンアルカリ金属塩やササ中の多糖類やリグニン分解物、キシロオリゴ糖などの有効成分が働き、細胞賦活作用・免疫賦活作用・血液浄化作用・抗菌作用などの薬理効果が働いた結果ではないかと考えられる。
【0023】
また、ササアルカリ加水分解処理飼料あるいは水溶性金属クロロフィリンアルカリ金属塩含有ササアルカリ加水分解処理飼料を添加することにより、卵殻も壊れにくくなった。卵殻が丈夫になると、輸送時あるいはパック詰めなどの作業時に破損する卵の数が減少するため、卵殻の固さは養鶏家の収入に直結している。さらに、ササアルカリ加水分解処理飼料あるいは水溶性金属クロロフィリンアルカリ金属塩含有ササアルカリ加水分解処理飼料を添加することにより、鶏卵中の各種ビタミンやミネラルが一般卵よりも多くなっていることが分析の結果確認された。
【0024】
また、ササアルカリ加水分解処理飼料あるいは水溶性金属クロロフィリンアルカリ金属塩含有ササアルカリ加水分解処理飼料を添加することにより、皮膚粘膜および皮膚表皮の形成(皮膚角化治療効果)、成長促進、視覚作用、発癌予防作用などの作用を持つビタミンAや抗酸化作用を有するビタミンEなどを多く含む、高付加価値の卵が得られることが確認された。
【0025】
さらに、ササアルカリ加水分解処理飼料あるいは水溶性金属クロロフィリンアルカリ金属塩含有ササアルカリ加水分解処理飼料を添加して育てた鶏卵のハウユニットの盛り上がりは、一般卵と比較して高くなっており良質の卵であること、また黄身は弾力に富んでいてくずれないし、一般卵と比較して、おいしさでも勝るという評価も得ている。
【0026】
このように、ササアルカリ加水分解処理飼料あるいは水溶性金属クロロフィリンアルカリ金属塩含有ササアルカリ加水分解処理飼料は、ササ中の多糖類やリグニン分解物、キシロオリゴ糖などのすぐれた有効成分を吸収しやすい形で提供できるので、鶏だけではなく、馬牛や豚、あるいはペットなどにも有効な飼料として利用できる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明の詳細な説明をするが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
参考例1:クマザサアルカリ加水分解処理飼料の製造例1
タケ科ササ属のクマザサの葉および茎27kgを熱水290リッターに浸し、沸点まで加熱し、苛性ソーダ38.5%(w/v)を4リッター添加し、20〜30分間煮沸を続け、煮沸後、クマザサを取り出してよく水洗し、クマザサアルカリ加水分解処理飼料を得た。
【0028】
参考例2:クマザサアルカリ加水分解処理飼料の製造例2
タケ科ササ属のクマザサ葉および茎27kgを熱水290リッターに浸し、沸点まで加熱し、苛性ソーダ38.5%(w/v)を4リッター添加し、20分間煮沸を続け、煮沸後、クマザサを取り出してよく水洗した。
次いで、熱水83.0リッターに上記のクマザサを入れて煮沸し、苛性ソーダ38.5%(w/v)を4リッター添加し、さらに90分間煮沸して加水分解処理を行った。次いで、固液分離を行い、固形分として、クマザサアルカリ加水分解処理飼料を得た。液分には、クマザサ中の各種成分が含まれていることから、医薬品原料、化粧品原料、染料などとして使用できる。
【0029】
実施例1:銅クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料の製造例1
タケ科ササ属のクマザサの葉および茎27kgを熱水290リッターに浸し、硫酸銅・5水和物216gを加え、沸点まで加熱した。沸騰させた後、苛性ソーダ38.5%(w/v)を4リッター添加し、20分間煮沸を続け、煮沸後、クマザサを取り出してよく水洗し、銅クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料を得た。
【0030】
実施例2:銅クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料の製造例2
タケ科ササ属のクマザサの葉および茎27kgを熱水290リッターに浸し、硫酸銅・5水和物216gを加え、沸点まで加熱した。沸騰させた後、苛性ソーダ38.5%(w/v)を4リッター添加し、20分間煮沸を続け、煮沸後、クマザサを取り出してよく水洗した。
次いで、熱水83.0リッターに上記のように銅置換したクマザサを入れて煮沸し、苛性ソーダ38.5%(w/v)を4リッター添加し90分煮沸し、加水分解を行った。固液分離を行い、固形分として、銅クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料を得た。液分には、クマザサ中の各種成分が含まれることから、医薬品原料、化粧品原料、染料などとして使用することができる。
【0031】
実施例3:鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料の製造例
タケ科ササ属のクマササの葉および茎50kgを熱水1000リッターに浸し、塩化第一鉄・4水和物800gを加え、沸点まで加熱した。沸騰させた後、苛性ソーダ38.5%(w/v)を17リッター添加し、20分間煮沸を続け、煮沸後、クマザサを取り出してよく水洗した。
次いで、熱水137リッターに上記のように鉄置換したクマザサを入れて煮沸し、苛性ソーダ38.5%(w/v)を8.3リッター添加し90分煮沸し、加水分解を行った。固液分離を行い、固形分として、鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料を得た。液分は、医薬品原料、化粧品原料、染料などとして使用できる。
【0032】
参考例3:クマザサアルカリ加水分解処理飼料添加飼料の調製
参考例2で製造した、クマザサアルカリ加水分解処理飼料を添加して、下記の配合で、飼料を調製した。まず、クマザサアルカリ加水分解処理飼料と米ぬかを混合して、種菌と混合し1日間発酵を行った。その後、トウモロコシ、ムギなどの原料を混合して、飼料を調製した。
【0033】
〔飼料配合割合〕
クマザサアルカリ加水分解処理飼料 5kg
米ぬか 15kg
トウモロコシ、国産ムギ 30kg
くず米 15kg
蠣殻 5kg
魚粉 15kg
その他 15kg
【0034】
参考例4:クマザサアルカリ加水分解処理飼料の鶏への投与
鶏に対して、参考例で作成したクマザサアルカリ加水分解処理飼料を与えた。アルカリ加水分解処理を行わない乾燥クマザサ飼料は鶏の食いつきが良くないが、クマザサアルカリ加水分解処理飼料を与えると鶏の食いつきが良くなった。
また、クマザサアルカリ加水分解処理飼料を与えることにより卵の黄身の色が増した。
アルカリ加水分解処理により、クマザサが鶏にとっても食べやすい形態になったと考えられる。また、クマザサ中の多糖類やリグニン分解物、キシロオリゴ糖などの有効成分が働き、細胞賦活作用・免疫賦活作用・血液浄化作用・抗菌作用などの薬理効果が働いたのではないかと考えられた。
【0035】
実施例:鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料添加飼料の調製
実施例で製造した、鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料を添加して、下記の配合で、飼料の調製を行った。飼料調製には、みのり式菌体飼料製造機を使用した。まず、肉類、魚類、豆腐などを飼料製造機に入れ、70〜90℃程度30分間加温し、さらに鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料と、パン、ふすま、米ぬか、野菜屑、ぼかしを添加して、発酵を行った。発酵物と配合飼料を混合して、さらに、生で与えるレタスや果物を混合した。
【0036】
〔飼料配合割合〕
鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料 6kg
賞味期限切れ肉類 30kg
賞味期限切れ魚類 30kg
賞味期限切れパン、うどん、豆腐、かぼちゃなど 20kg
配合飼料 160kg
ふすま 60kg
米ぬか 15kg
蠣殻 6kg
ぼかし 6kg
なお、賞味期限切れ肉類、魚類、パン、うどん、豆腐、かぼちゃ、レタス、果物などは、毎日その種類や量が変化するため、これは一例である。
【0037】
実施例:鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料の鶏への投与
3000羽の鶏に対して、実施例で製造した鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料添加飼料および、賞味期限切れ食品群の配合の変わった飼料(鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料の添加量には変化なし)を9ヶ月にわたり、毎日与えた。
鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料を与えることで、鶏舎内の匂いが減少し、鶏糞も乾燥して匂いのほとんどない状態になった。
【0038】
また、賞味期限切れ食品群の配合が変わり、その栄養成分が大きく変化すると、鶏の腸管は短いため、翌日の卵にすぐに反映されてしまう。例えば、魚を大量に与えてしまうと、卵が2L玉になったり、卵殻が柔らかくなってしまったりするが、本実施例では、多少毎日の栄養状態に変化があっても、毎日安定したM玉がそろい、卵殻が固くなることが確認された。
【0039】
実施例:鶏卵の分析
実施例で調製した鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料添加飼料を2日間鶏に与えて、平均的なM玉を10個採取し、成分の分析を行った。一般成分の分析を表1に示す。表1から、卵の基本的な成分においては、鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料添加飼料で育てた卵と一般卵との大きな差は認められなかった。
【0040】
また、鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料を添加した飼料で育てた卵とスーパーで購入した一般鶏卵について、各種ビタミン、ミネラルについて分析し比較を行った。図1にはビタミンおよびコレステロールの分析値を、図2にはミネラルの分析値をまとめた。
【0041】
図1から、鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料添加飼料で育てた卵は一般卵と比較して、ビタミンA(レチノール)、ビタミンE、α−トコフェロールともに含量が高いことが確認された。また、コレステロールは一般卵より低いことが確認された。ビタミンAは、皮膚粘膜および皮膚表皮の形成(皮膚角化治療効果)、成長促進、視覚作用、発癌予防作用などの作用を持っている。ビタミンEは、抗酸化作用を有する。
【0042】
図2から、鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料添加飼料で育てた卵は一般卵と比較して、鉄、マグネシウム、ナトリウムともに含量が高いことが確認された。
鉄クロロフィリンナトリウム含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料を添加した飼料で育てた卵は一般卵と比較して、各種ビタミンやミネラル成分の豊富な卵であることが確認された。
【0043】
【表1】
Figure 0004298018
【0044】
【発明の効果】
以上の実施例および比較例からも明らかなように、水溶性金属クロロフィリンアルカリ金属塩含有ササアルカリ加水分解処理飼料またはササアルカリ加水分解処理飼料を鶏に与えることにより、鶏舎内の匂いや鶏糞の匂いが低減され、鶏糞が良い状態になることが確認できた。
また、水溶性金属クロロフィリンアルカリ金属塩含有ササアルカリ加水分解処理飼料またはササアルカリ加水分解処理飼料を添加することにより、多少毎日の飼料配合に変化があっても、毎日安定して卵殻が壊れにくいM玉がそろうようになった。
【0045】
さらに、鶏卵中の各種ビタミンやミネラルなどの成分が一般卵と比較して多くなっていることが確認された。また、ハウユニットは高く、黄身も弾力に富むことがわかった。
これらから、ササアルカリ加水分解処理飼料あるいは水溶性金属クロロフィリンアルカリ金属塩含有クマザサアルカリ加水分解処理飼料を添加することにより、栄養価の高い、卵殻の強いM〜L玉が安定して採取できるようになった。水溶性クロロフィリンアルカリ金属塩やササ中の多糖類やリグニン分解物、キシロオリゴ糖などの有効成分が働き、細胞賦活作用・免疫賦活作用・血液浄化作用・抗菌作用などの薬理効果が働いたのではないかと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鉄クロロフィリンナトリウム含有アルカリ加水分解処理ササ飼料を与えた鶏卵と一般鶏卵のビタミンおよびコレステロール成分比較図。
【図2】本発明の鉄クロロフィリンナトリウム含有アルカリ加水分解処理ササ飼料を与えた鶏卵と一般鶏卵のミネラル比較図。

Claims (3)

  1. タケ科ササ属のササの葉および/あるいは茎中に含まれるクロロフィル化合物のマグネシウムイオンを錯化能を有する金属化合物の金属イオンで置換し、次いでアルカリ加水分解処理して得られた、水溶性金属クロロフィリンアルカリ金属塩を含有するタケ科ササ属のササの葉および/あるいは茎を含有することを特徴とする養鶏用ササ飼料。
  2. 前記錯化能を有する金属化合物は、鉄化合物および銅化合物から選ばれた少なくとも1種の錯化能を有する金属化合物であることを特徴とする請求項1記載の養鶏用ササ飼料
  3. 前記請求項1又は2に記載の養鶏用ササ飼料に、他の養鶏用飼料を混合し発酵させたことを特徴とする養鶏用ササ飼料
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