JP4297492B2 - 移乗装置 - Google Patents
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Description
さらに、座席部が作動する量に対してハンドルを回動する量が大きくなるように、四節リンクを作動させるハンドルを具備した。これにより、座席部に直接力を加えて作動させる場合に比べ、より小さな力にて座席部の作動操作を行うことができる。
また、ベルト及び座席部を利用者の臀部とベッド等の間に差し込むときに、ベルトと臀部との擦れをなくすことができ、利用者に違和感や不快感を実質的に与えることなく、ベルト及び座席部を利用者の臀部とベッド等の間に滑らかに差し込むことができる。
さらに、左右一対の座席部にて利用者の臀部全体を保持可能としたことで、利用者が座席部に座ったときに、通常の椅子や車椅子等に座っている状態で利用者を保持でき、利用者に不安感を与えることなく座らせることができる。
この台車部2は、基部フレーム8の後方に具備された車輪9,9と、基部フレーム8の前部に具備されたキャスター10,10と、基部フレーム8の左右外側に具備された傾斜機構11からなるものである。
基部フレーム8は、詳述すると、平面視及び側面視において略々く字状に曲げられた左右一対の主パイプ8a,8a前端部間に、略々コ字状に曲げられた連結パイプ8bを側面視において連結パイプ8b両端が主パイプ8a,8aより上方に突出するように固着させる。そして、左右の主パイプ8a,8a後端に互いの軸心が一致するようにボス8c,8cをそれぞれ固着させる。また、キャスター10,10取り付け用のネジ部8d,8dを具備した固定体8e,8eを左右の主パイプ8a,8a前部内側にネジ部8d,8dが上下方向を向くようにそれぞれ固着させる。そして、左右の主パイプ8a,8a下側かつ前記固定体8e,8e前方に、互いの軸心が一致するようにボス8f,8fをそれぞれ固着させて、基部フレーム8は構成されている。
さらに、前記基部フレーム8の連結パイプ8b両端部には足受け12,12がそれぞれ具備される。この足受け12,12は、前記基部フレーム8の連結パイプ8bに挿通可能なボス12a,12aに前方へ突出する軸材12b,12bが固着され、足受け12,12に一体的に設けられた空孔部12c,12cに該軸材12b,12bが軸承されて、基部フレーム8に取り付けられている。
13,13は側面視において略々三角形状の軸受プレートである。該軸受プレート13,13の各頂点近傍には空孔部13a,13a,・・・が穿たれている。この軸受プレート13,13に具備した空孔部13a,13a,・・・の一つと、前記基部フレーム8に具備したボス8c,8cを一致させて、軸ピン14,14を軸承させる。このときに、軸受プレート13,13は前記基部フレーム8の外側に位置されるとともに、軸受プレート13,13に具備した残りの空孔部13a,13a,・・・が軸ピン14,14を軸承させた空孔部13a,13aより下方に位置するように取り付けられる。
そして、前記車輪9,9を軸受プレート13,13に具備した残りの空孔部13a,13a,・・・のうち、軸ピン14,14を軸承させた空孔部13a,13aより後方に位置する空孔部13a,13aに車軸15,15にて取り付ける。このときに、車輪9,9は前記基部フレーム8の主パイプ8a,8a後方にそれぞれ位置する。
16,16は平面視において略々L字状の規制ピンである。この規制ピン16,16は、キャスター10,10の取付軸10a,10aが垂直になる位置で軸受プレート13,13の軸ピン14,14を中心とした回動を規制するように、前記基部フレーム8に具備したボス8c,8cの上面それぞれに固着される。
19,19は規制ピンであり、該規制ピン19,19は前記基部フレーム8の主パイプ8a,8a後部下側にそれぞれ固着される。この規制ピン19,19は、傾斜機構11を作動させたときに車軸15,15が軸ピン14,14よりも前方に移動しないように規制するものである。
そして、前記プレート17,17に具備した残りの空孔部17a,17aと、前記軸受プレート13,13に具備した残りの空孔部13a,13aをロッド20,20にて連結させて、傾斜機構11は構成されている。
なお、基部フレーム8の左右それぞれに具備された前記プレート17,17は連結パイプ21にて連結されている。
まず、左右いずれかのフットレバー17bを下方へ回動させると、プレート17,17が軸ピン18,18を中心に回動される。プレート17,17が回動することでロッド20,20が前方へ動く。ロッド20,20が動くことで、軸受プレート13,13が軸ピン14,14を中心に規制ピン19,19に接当するまで回動する。このときに、軸受プレート13,13の回動にて、軸ピン14,14と車軸15,15の上下方向の垂直距離が増加する。また、プレート17,17は連結パイプ21にて連結されているので、左右それぞれの軸受プレート13,13が均等に回動する。したがって、この台車部2は、基部フレーム8の後部が持ち上がり、基部フレーム8を前傾させることができる。
また、基部フレーム8の傾斜を復帰させるには、フットレバー17bを回動させる力を無くせば良い。すると、車軸15,15を軸ピン14,14より前方へ回動させないように規制していることで、移乗装置1の自重にて元の状態に復帰する。
また、図示してはいないが、傾斜機構11のプレート17,17を連結している連結パイプ21をキャスター10,10の取付軸10a,10aが垂直になる位置で基部フレーム8の主パイプ8a,8aに接当するようにすると、規制ピン16,16を除くことができる。また、図示してはいないが、傾斜機構11のプレート17,17を連結している連結パイプ21を、例えば、プレート17,17より左右方向へ突出するようにすれば、連結パイプをフットレバー17b,17bとして利用できるようになる。これによると、フットレバー17b,17bを除くことができる。
さらに、図面においては、左右いずれかのフットレバー17b,17bを踏んでいる間、台車部2を前傾させるように構成しているが、フットレバー17b,17bを所望の位置で保持できるようにして、台車部2の前傾状態を所望の前傾状態で保持できるようにしても良い。例えば、フットレバー17b,17bの略々中間部にて左右方向にフットレバーを回動可能とし、左右方向外側へ突出する係り止め材を前記基部フレーム8の連結パイプ8bに取り付ける。そして、フットレバーを踏み込んだ際に、フットレバーをさらに左右方向へ回動させ、係り止め材にフットレバーを引掛けるようにすれば、前傾状態を保持できるようになる。このときに、基部フレーム8の連結パイプ8bへの係り止め材の取り付け位置を調節することで、所望の前傾状態で台車部2を保持することができる。また、係り止め材を増やしていけば、様々な前傾状態にて台車部2を保持できるようになる。このように様々な前傾状態で台車部2を保持できることで、利用者が所望する姿勢をとりやすくなるとともに、台車部2を前傾させた状態での移乗装置1の移動がより簡便になる。
この側枠部3,3は左右対称構造のものが一対構成される。以下、一方の側枠部3について説明する。
22は台車部2に下端部を固定する支柱パイプである。この支柱パイプ22の上端部に後方向きで桁パイプ23が固着される。この桁パイプ23後端には細軸部23aが一体的に設けられている。そして、この桁パイプ23後部には垂下する状態で縦パイプ24が固着される。
25は肘掛けベースである。この肘掛けベース25は、前記支柱パイプ22と桁パイプ23を覆うように支柱パイプ22上端と桁パイプ23に取り付けられて、側枠部3は構成される。
したがって、この固定筒26,26に側枠部3,3の支柱パイプ22,22を挿通し、締付けプレート26b,26bに具備した空孔部26c,26c,・・・にネジ(図示省略)を挿通させるとともに、ネジ部26d,26d,・・・にネジ(図示省略)を螺着させることで、固定筒26,26に具備したスリット部26a,26aがつぶれ、側枠部3,3の支柱パイプ22,22をしっかりと保持することができる。
この座席部5,5は左右対称構造のものが一対構成される。以下、一方の座席部5について説明する。
5aは所定長さの桁パイプである。この桁パイプ5aの内側両端部に正面視において略々逆へ字状かつ平面視において略々コ字状に曲げられたフレーム棒5bの両端を固着させる。なお、該フレーム棒5bは側面視において前後方向の略々中間部から後方の位置に凹み部5cが設けられている。
5d,5dは薄くかつ柔軟性を持つ座面部材である。この座面部材5d,5dを前記フレーム棒5bの形成する面の上面と下面を覆うようにフレーム棒5bの前後に固定させる。
そして、正面視において略々三角形状の連結板27,28を前記桁パイプ5aの前後端にそれぞれ固着させ、座席部5を構成させる。
なお、薄くかつ柔軟性を持つ座面部材5d,5d,・・・としては、ポリアセタール材あるいはナイロン材または布等がある。
まず、座席部5,5の桁パイプ5a,5aとフレーム棒5b,5bとの間に正面視において略々逆へ字状に曲げたステーを複数本具備させる。そして、側面視において略々コ字状かつ正面視において略々逆へ字状に曲げた座受板を前記フレーム棒5b,5bとステーの下面に隙間ができるようにフレーム棒5b,5bの前後に固定させる。さらに、フレーム棒5b,5bとステーに沿うように曲げた座板をフレーム棒5b,5bとステーを上方から覆うようにフレーム棒5b,5bに固定させる。このときに、座板にはフレーム棒5b,5bに設けた凹み部5c,5cに向かって傾斜する傾斜部を具備させて、座席部を構成させる。
このように座席部を構成することで座席部の耐荷重をさらに向上させることができる。また、前記フレーム棒5b,5bと座板に凹み部5c,5cと傾斜部を設けたことで、座席部を利用者の臀部下部に差し込むときに、利用者の体圧が集中する坐骨周辺部を避けるようにできる。さらに、利用者が座席部に座ったときに、坐骨周辺部の体圧が集中する部分をわずかに低くすることで体圧を分散できるように構成されている。したがって、坐骨周辺部に体圧が集中することによる苦痛を和らげることができる。
なお、座席部のクッション性を向上させるために、座板上面にクッション部材を具備させても良い。このときに、座席部は利用者の臀部下部に差し込み易くするために、なるべく薄く構成することが好ましい。
この四節リンク4,4とハンドル29,29は左右対称構造のものが一対、側枠部3,3と座席部5,5の間にそれぞれ構成される。以下、一方の四節リンク4とハンドル29について説明する。
30は上部と下端部にボス30a,30aを具備した回動アームである。この回動アーム30に具備した下端部側のボス30aと、前記座席部5後方側の連結板27に具備している桁パイプ5a外側の空孔部27aにピン材31を軸承させる。
32は前記回動アーム30とほぼ同様に構成されたものであり、前面上部にガイド部材32aが具備された回動アームである。この回動アーム32に具備させたガイド部材32aは回動アーム32に対して内側下りの斜めの状態で固着されている。そして、この回動アーム32に具備した下端部側のボス32bと、前記座席部5前方側の連結板28に具備している桁パイプ5a外側の空孔部28aにピン材33を軸承させる。
なお、回動アーム30,32を取り付けた空孔部27a,28aの軸心が一致するように、これらの空孔部27a,28aを穿たれている。また、回動アーム30と回動アーム32は、回動アーム30前面下部と回動アーム32後面下部を連結パイプ34にて連結させている。この連結パイプ34は回動アーム30と回動アーム32を同期的に作動させるためのものである。
35は上部に長穴35aが穿たれるとともに、下部に空孔部35bが穿たれた回動板である。この回動板35に具備した空孔部35bと、前記座席部5後方側の連結板27に具備した桁パイプ5a上方の空孔部27bにピン材36を軸承させる。
まず、ハンドル29,29を外側方向に向かって、ハンドル29,29に具備した回動軸29b,29bを中心に回動させる。ハンドル29,29を回動させると、前記回動アーム32,32に具備したガイド部材32a,32a内でハンドル29,29に具備したローラー29f,29fが転動されるとともに、ローラー29f,29fがガイド部材32a,32aを外側方向へ回動させる。ガイド部材32a,32aが回動されることで、ガイド部材32a,32aを具備した回動アーム32,32と座席部5,5後方側の回動アーム30,30及び回動板35,35が外側方向へ回動される。そして、回動アーム30,30,32,32及び回動板35,35が回動されることで、それぞれの部材の下端に軸承された座席部5,5が外側方向へ作動される。よって、左右の側枠部3,3間を利用者が通過可能な状態になる。
そして、座席部5,5が側枠部3,3外側に位置された状態からハンドル29,29を内側方向へ回動させると、座席部5,5は内側方向へ作動される。このときに、四節リンク4,4は座席部5,5を正面視において略々円弧状の軌跡を描くように作動させ、座席部5,5を利用者の臀部とベッド等の間に滑らかに差し込めるようにしている。よって、座席部5,5は利用者が着座可能な状態となる。
さらに、ハンドル29,29は座席部5,5が作動する量に対してハンドル29,29を回動させる量が大きくなるようにして、四節リンク4,4を作動させている。これにより、座席部5,5に直接力を加えて作動させる場合に比べ、より小さな操作力にて座席部5,5の作動操作を行うことができる。
なお、ロック部材39,39の代わりに、以下のようにしても良い。まず、ハンドル29,29と略々同様な構成のハンドル40,40を構成させる。このハンドル40,40は、ハンドル29,29における回動軸29b,29bの下方にレバー29c,29cが位置するときに、ハンドル29,29における軸材29e,29e軸心が回動軸29b,29b軸心より上方に位置するように構成される。すなわち、このハンドル40,40はハンドル29,29と構成部材は同じであるが軸材29e,29eの取り付け位置が異なる。次に、前記ハンドル40,40の回動軸29b,29b下方にレバー29c,29cが位置するときに、回動アーム32,32のガイド部材32a,32aがハンドル40,40のレバー29c,29cと平行となるように回動アーム32,32の前面上部に具備させて、回動アーム41,41を構成させる。すなわち、回動アーム41,41は回動アーム32,32と構成部材は同じであるがガイド部材32a,32aの取り付け方が異なる。このように構成された回動アーム41,41を回動アーム32,32の代わりに配設させるとともに、ハンドル40,40をハンドル29,29の代わりに配設させる(第11図参照)。以上のように構成することにより、座席部5,5に利用者が座れる状態としたときに、ハンドル40,40の軸材29e,29e及びローラー29f,29fの軸心は、回動軸29b,29b軸心より上方に位置するようになるとともに、回動アーム41,41のガイド部材32a,32aとハンドル40,40のレバー29c,29cは平行な状態となる。このようになることで、ハンドル40,40を回動させずに第11図におけるBの方向へ座席部5,5を作動させようとすると、回動アーム41,41に具備したガイド部材32a,32aがハンドル40,40に具備したロ−ラー29f,29fを回動軸29b,29bを中心に第11図におけるCの方向へ回動させるようになる。すると、ハンドル40,40のレバー29c,29cは第11図におけるDの方向へ回動され、レバー29c,29cあるいはグリップ29d,29dが側枠部3,3に接当し、座席部5,5が作動できないようになる。したがって、移乗装置1に利用者を乗せて移動するときに、左右の座席部5,5の間隔が実質的に開かないようにできる。また、図示してはいないが、ロック部材39,39の代わりに、左右の座席部5,5を連結するストッパーを具備しても良い。
例えば、回動板35,35に具備した空孔部35b,35bを長穴としても良い。あるいは、座席部5,5の連結板27,27に具備した空孔部27b,27bを長穴としても良い。このように構成すると、回動アーム30,30,32,32下側に軸承したピン材31,31,33,33を中心に座席部5,5は揺動可能となる。
また、回動アーム30,30,32,32の上部に具備したボス30a,30a,32b,32bを長穴としても良い。または、回動アーム30,30,32,32の下部に具備したボス30a,30a,32b,32bを長穴としても良い。あるいは、座席部5,5の連結板27,27,28,28に具備した空孔部27a,27a,28a,28aを長穴としても良い。このように構成すると、回動板35,35下側に軸承したピン材36,36を中心に座席部5,5は揺動可能となる。
42,42は2本の細軸42a,42a,・・・前端を太軸42b,42bにて一本に束ねたベルト固定棒である。このベルト固定棒42,42は略々金鋏形状をしており、細軸42a,42a,・・・後部は互いに接触されている。このベルト固定棒42,42に具備した太軸42b,42bを前記側枠部3,3の支柱パイプ22,22に具備した固定具43,43と支柱パイプ22,22を共に貫通する座席部5,5より上方に位置する空孔部44,44に挿通させる。
そして、前記座席部5,5の前後方向の長さと略々等しい長さの幅を持つベルト6,6の一端を前記ベルト固定棒42,42の細軸42a,42aの一つに固定させる。次に、前記座席部5,5の座面部材5d,5d表面に沿うようにベルト6,6を配し、座席部5,5のフレーム棒5b,5bに設けた凹み部5c,5c側を介して座席部5,5下面側の座面部材5d,5dとフレーム棒5b,5bとの間にベルト6,6を挿通させる。そして、ベルト6,6を座席部5,5の桁パイプ5a,5a下面に沿うように介して、ベルト6,6他端を前記ベルト固定棒42,42の残りの細軸42a,42aに固定させる。
その後、ベルト固定棒42,42の後部側を前記側枠部3,3の縦パイプ24,24下端に具備した前記空孔部44,44の軸心と一致する軸心を持つ空孔部45a,45aを持つプレート45,45に挿通させる。そして、ベルト固定棒42,42を回転させてベルト6,6を細軸42a,42a,・・・に巻きつけ、ベルト6,6の張り具合を調節させる。その後、前記固定具43,43に具備しているネジ部43a,43aにネジ46,46を螺着させて、ベルト固定棒42,42を固定させる。このようにして、ベルト6,6は側枠部3,3と座席部5,5の間に具備される。したがって、座席部5,5表面はベルト固定棒42,42に両端を固定されループ状となったベルト6,6の内側に配設される。
また、ベルト固定棒42,42を側枠部3,3へ回転可能に具備させたことにより、ベルト固定棒42,42を回転させてベルト固定棒42,42にベルト6,6を巻きつけるだけでベルト6,6の張り具合の調節を簡便に行うことができる。
また、本実施形態においては、ベルト6,6を座席部5,5の表面を覆うように取り付けているが、側枠部3,3及び四節リンク4,4を覆うカバーとして利用できるように、図示してはいないが、以下のようにしても良い。まず、ベルトの一端をベルト固定棒42,42の一方の細軸42a,42aに固定させる。次に、前記座席部5,5の座面部材5d,5d表面に沿うようにベルトを配し、座席部5,5のフレーム棒5b,5bに設けた凹み部5c,5c側を介して座席部5,5下面側の座面部材5d,5dとフレーム棒5b,5bとの間にベルトを挿通させる。そして、ベルトを座席部5,5の桁パイプ5a,5a下面に沿うように介させるとともに、回動アーム30,30,32,32の下端側を介し、さらに、側枠部3,3上面を介して、ベルト固定棒42,42の他方の細軸42a,42aにベルトの他端を固定させる。このようにベルトを配設することで、ベルトは座席部5,5の表面を覆うとともに、側枠部3,3及び四節リンク4,4の左右を覆うことができる。これによると、ベルトは上記の場合と同様に動くとともに、座席部5,5の作動時に作動する四節リンク4,4等の作動部への異物の進入、あるいは利用者等が作動部へ誤って手などを差し込むことを防ぐことができる。
この背凭れ7,7は左右対称構造のものが一対、左右の側枠部3,3にそれぞれ具備される。以下、一方の背凭れ7について説明する。
この背凭れ7は、まず、正面視において略々矩形状の背凭れ7下部に左右方向のアームパイプ7aを固着させる。そして、平面視において略々L字状のレバー7b後部内側に前記アームパイプ7aの背凭れ7取り付け他端を固着させる。さらに、前記レバー7bの前端にグリップ部材7cを具備させて、背凭れ7は構成されている。
この背凭れ7のレバー7bを前記側枠部3の肘掛けベース25に具備した前後方向の溝部25aに配設させる。そして、前記側枠部3の肘掛けベース25より前方へ突出する長さの肘掛け部材47を背凭れ7のレバー7b上方から配設させ、肘掛け部材47を肘掛けベース25に固定させる。なお、肘掛け部材47には前後方向の溝部47aが具備されている。よって、背凭れ7のレバー7bは肘掛けベース25と肘掛け部材47の溝部25a,47aとの間で回動可能に保持される。
また、背凭れ7のレバー7b前部には、肘掛け部材47前部下面と接触することで、背凭れ7が前記側枠部3,3間に位置する状態(利用者が背凭れとして使用可能な状態)と背凭れ7が側枠部3の外側に位置する状態(利用者が側枠部3,3間を通過可能な状態)とで、回動を規制するプレート48,48がそれぞれ固着されている。
なお、背凭れ7,7の前面にはクッション部材7d,7dが具備され、背凭れ7,7の背面には介助者が押し手として利用可能な取っ手部材49,49が具備される。
また、本実施形態においては、移乗装置1に一対の背凭れ7,7を具備させているが、図示してはいないが、左右何れかの側枠部3に背凭れを一つだけ具備させても何ら問題はない。
したがって、ベッド等から利用者を移乗装置1に乗せるときに、ベッド等に移乗装置1を干渉させることなく、座席部5,5の前後幅内に利用者の臀部が位置するように、移乗装置1を移動させることができる。
まず、台車部2に具備させた固定筒26,26への側枠部3,3の支柱パイプ22,22の差し込み量を調節することで、座席部5,5の高さを調節する。このときに、ベッドの上面が硬い場合には、座席部5,5に利用者が座れる状態にて座席部5,5下部がベッドの上面と擦れない程度に座席部5,5の高さを調整する。また、ベッドの上面が軟らかい場合には、座席部5,5を側枠部3,3の外側に位置させた状態にて座席部5,5下部がベッドの上面と擦れない程度に座席部5,5の高さを調節する。
次に、ベッドに横たわっている利用者にベッド側端部等で腰掛け姿勢をとらせる。
そして、ハンドル29,29を外側方向へ回動させて四節リンク4,4を作動させるとともに、ベルト6,6及び座席部5,5を作動させ、背凭れ7,7を外側方向へ回動させて、左右の側枠部3,3間を利用者が通過可能な状態とさせる。その後、側枠部3,3間に利用者が位置するように、かつ、側面視において座席部5,5の前後幅内に利用者の臀部が位置するように、移乗装置1を移動させる(第13図の(a)図参照)。
その後、左右の背凭れ7,7をそれぞれ回動させ、背凭れ7,7を利用者の背後に位置させる。
そして、他方のハンドル29を回動させてベルト6及び座席部5を同様に作動させ、ベルト6及び座席部5を利用者の臀部下部に差し込む。これにより、移乗装置1への利用者の移乗が完了する(第13図の(d)及び(e)図参照)。
そして、移乗装置1をベッドから引き離して、台車部2の前傾を復帰させる(第14図の(c)及び(d)図参照)。
その後、この移乗装置1を車椅子として利用し、利用者を所望する場所まで搬送する。
また、利用者を移乗装置1から降ろすときには、上記手順の逆をたどれば良い。
また、四節リンク4,4を正面視において座席部5,5が略々円弧状の軌跡を描くように作動可能に構成させ、座席部5,5を利用者の臀部とベッド等の間に滑らかに差し込めるようにしている。これとともに、この座席部5,5は座席部5,5表面が側枠部3,3に具備したベルト固定棒42,42に両端を固定してなるループ状のベルト6,6の内側に配設され、座席部5,5の作動に際して、ベルト6,6上面の相対位置が側枠部3,3及びベルト固定棒42,42に対して一定となるように構成し、利用者の臀部とベッド等の間に座席部5,5を差し込むときに、臀部とベルト6,6間に擦れが生じることがないようにした。これにより、利用者にベルト6,6と臀部が擦れるといった違和感や不快感を実質的に与えることなく、ベルト6,6及び座席部5,5を利用者の臀部とベッド等の間に滑らかに差し込むことができる。
そして、四節リンク4,4の回動板35,35に長穴35a,35aを具備したことで、座席部5,5を回動アーム30,30,32,32下側に軸承したピン材31,31,33,33を中心に揺動可能としている。これにより、座席部5,5が利用者やベッド等に接触することで揺動し、ベルト6,6及び座席部5,5が利用者の臀部とベッド等の間に入り込みやすくなり、ベルト6,6及び座席部5,5をさらに滑らかに差し込むことができる。また、座席部5,5の高さ調節に少々の狂いがあっても、ベルト6,6及び座席部5,5を差し込むことができるようになる。
また、座席部5,5一対にて臀部全体を保持可能としたことにより、利用者が座席部5,5に座ったときに、通常の椅子や車椅子等に座っている状態で利用者を保持でき、利用者に不安感を与えることなく利用者を座席部5,5に座らせることができる。
さらに、ベルト固定棒42,42を側枠部3,3へ回転可能に具備したことにより、ベルト固定棒42,42を回転させてベルト固定棒42,42にベルト6,6を巻きつけることで、ベルト6,6の張り具合の調節を簡便に行うことができる。
また、座席部5,5が作動する量に対してハンドル29,29を回動させる量が大きくなるように、四節リンク4,4を作動させるハンドル29,29を具備した。これにより、座席部5,5に直接力を加えて作動させる場合に比べ、より小さな操作力にて座席部5,5の作動操作を行うことができる。
そして、座席部5,5のフレーム棒5b,5bに凹み部5c,5cを設けたことにより、ベルト6,6及び座席部5,5を利用者の臀部下部に差し込むときに、利用者の体圧が集中する坐骨周辺部を避けるようにできる。よって、ベルト6,6及び座席部5,5を利用者の臀部とベッド等の間に差し込み易くなる。
また、台車部2に傾斜機構11を備えたことにより、側枠部3,3と座席部5,5及び背凭れ7,7を前傾させることができる。よって、利用者を座席部5,5に座らせてベッド等から離れるときに、座席部5,5下面とベッド等の上面との接触量を少なくでき、楽に移乗装置1をベッド等から離れさせることができる。また、利用者が移乗装置1から降りて立ちたいときや姿勢変更したいとき等に、利用者を前傾させることができ、立ち上がり動作や姿勢変更動作などをサポートさせることもできる。
2 台車部
3 側枠部
4 四節リンク
5 座席部
5c 凹み部
6 ベルト
7 背凭れ
11 傾斜機構
29 ハンドル
42 ベルト固定棒
S 空間
Claims (1)
- 台車部と、台車部の上方に具備された左右一対の側枠部と、側枠部の少なくとも一方に四節リンクを介して具備された座席部と、側枠部に具備された背凭れから構成される移乗装置において、前記台車部と側枠部及び座席部は、側面視において座席部下方後方側が開放された空間となるように略々凹字状に構成されるとともに、前記四節リンクは正面視において座席部が略々円弧状の軌跡を描くように作動可能に構成し、さらに、この座席部は少なくとも座席部表面が側枠部に両端を固定してなるループ状のベルトの内側に配設され、前記座席部の作動に際して、ベルト上面の相対位置が側枠部に対して一定となるように構成することにより、利用者の臀部とベッド等の間に前記座席部を差し込むときには臀部とベルト間に擦れが生じることがなく、臀部全体を座席部によって保持可能に構成するとともに、前記座席部が作動する量に対してハンドルを回動する量が大きくなるように、四節リンクを作動させるハンドルを具備したことを特徴とする移乗装置。
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