JP4296471B2 - ピーク電力抑圧方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の搬送波を使って信号を変調する方式における、ピーク電力抑圧方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高度な無線通信を実現する手段として、複数の搬送波を使って信号を変調する方式(例えばOFDM;Orthogonal Frequency Division Multiplex )が有望視されている。この方式は、伝送遅延に強いという特徴があり、さまざまな分野で応用が進んでいる。
しかし、この方式では、搬送波の位相が重なり合って大きなピーク電力を持つ信号になることがあり、時間軸上の波形の平均電力と最大瞬時電力(ピーク電力)との比が大きくなる。このため、パワーアンプとしてダイナミックレンジの広いものが要求され、電力効率が悪い。
【0003】
【非特許文献1】
澤海千恵美他「プリコーダを用いたOFDMのダイナミックレンジ軽減方式」信学技報TECHNICAL REPORT OF IEICE. IT97-106, ISEC97-106, SST-97-133, pp121-126 (1998-03)
【非特許文献2】
仁科崇郎他「非線形増幅によるMC-CDMAの特性と改善に関する検討」信学技報TECHNICAL REPORT OF IEICE. SST2001-21, SAT2001-25, pp29-34 (2001-06)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、このピーク電力を抑圧するために、ピーク電力をカットする処理が考えられている。この処理を、図8を用いて解説する。
図8は、OFDM送信装置の要部を示すブロック図である。複数の搬送波f1,f2,...,fNは、逆フーリエ変換回路(IFFT)3によって、時間軸上の互いに直交する直交振幅信号I,Qに変換される。
【0005】
演算回路21において、これらの直交振幅信号I,Qの電力Pを演算(P=I2+Q2)で求め、電力Pがしきい値Pthを超えていれば、超えた分を非線形処理回路22a,22bにおいて切断(クリッピング)する。
具体的には、P<Pthであれば、増幅倍率を1のままとし、P>Pthであれば、増幅倍率を√(Pth/P)とする。この非線形処理は、直交振幅信号I,Qの電力Pをしきい値Pthにすることが目的であり、I,Qの方向は変化しないようにするものである。
【0006】
しかし、非線形処理のため、出力信号には、通信に使用する周波数帯域以外に、不要な周波数成分が含まれてしまう。このため、この不要周波数成分をカットするための低域フィルタ23a,23bを後付けする必要がある。
この低域フィルタ23a,23bの作用により、切断したピークが再現してしまい、もともとのピーク電力は軽減できるものの、目的としたピーク電力に設定することはできなくなる。
【0007】
また、大きくピークを切断した場合には、周波数帯域の中央の搬送波ほど、早く劣化してしまい、通信品質が低下するという問題もある。
そこで、本発明は、しきい値を超えるピーク電力を確実に抑圧でき、不要周波数の輻射もないピーク電力抑圧方法及び装置を実現することを目的とする。
さらに本発明は、しきい値を超えるピーク電力が複数ある場合に、これらを同時に抑圧できるピーク電力抑圧方法及び装置を実現することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のピーク電力抑圧方法は、ピーク電力抑圧の対象とする信号のピーク電力のしきい値を超える分を検出し、搬送波の周波数帯域と同じ帯域又はそれに含まれる帯域を持ち、前記信号のピーク位置にピークを持つ基本関数波形を用いて、前記ピーク電力のしきい値を超える分に、前記基本関数波形を掛け算したものを、前記信号から減算することにより、信号のピーク電力を抑圧する方法であって、前記基本関数波形は、送信に使用する複数の搬送波を、同一振幅、かつ位相を0にして、逆フーリエ変換して得られる直交振幅信号の実部Iの波形から取得される(請求項1)。
【0009】
本発明のピーク電力抑圧装置は、ピーク電力抑圧の対象とする信号のピーク電力のしきい値を超える分を検出する検出部と、搬送波の周波数帯域と同じ帯域又はそれに含まれる帯域を持ち、前記信号のピーク位置にピークを持つ基本関数波形を取得する波形取得部と、前記検出部で検出されたピーク電力のしきい値を超える分に、前記波形取得部から取得した基本関数波形を掛け算した値を生成する抑圧信号生成部と、前記抑圧信号生成部により生成された値を、前記信号から減算する減算部とを備え、前記基本関数波形は、送信に使用する複数の搬送波を、同一振幅、かつ位相を0にして、逆フーリエ変換して得られる直交振幅信号の実部Iの波形から取得される(請求項4)。
【0010】
この方法又は装置によれば、基本関数波形として、搬送波の周波数帯域と同じ帯域又はそれに含まれる帯域を持つ波形を採用し、この波形を減算に用いて、信号のピーク電力をしきい値に達するまで抑圧する。したがって、不要周波数成分を発生することなく、ピーク電力を確実にしきい値まで抑圧することができる。
本発明において、検出されたピーク電力のしきい値を超える分の中から特定の基準で、抑圧したいピークを選択し、この選択されたピークに対して、ピーク電力のしきい値を超える分を検出することとしてもよい(請求項5)。全てのピークについて処理を行うと、処理時間がかかる、ソフト又はハードの回路規模が複雑になるという難点があるからである。
【0011】
抑圧したいピークが複数ある場合は、全てのピークの電力をしきい値まで抑圧することが目標であるが、実際には困難なので、次のような近似手法(1)〜(3)を採用して、信号のピーク電力が極力しきい値に近くなるようにすることができる。
方法(1):抑圧したいピークの数が複数あり、それぞれのピーク位置にピークを持つ複数の基本関数波形を用いて、前記ピーク電力のしきい値を超える分に、前記基本関数波形を掛け算したものを、抑圧したいピークの数だけ総和し、この総和した値を前記信号から減算することにより、前記信号のピーク電力を抑圧する。この方法は、打ち消すピークの数が少ない場合、ピークを正確に打ち消すことができ、計算負荷が小さい。
【0012】
方法(2):抑圧したいピークの数が複数あり、それぞれのピーク位置にピークを持つ複数の基本関数波形を用いて、前記基本関数波形に係数を掛けたものを、抑圧したいピークの数だけ総和し、この総和が、各ピーク位置において、前記ピーク電力のしきい値を超える分に一致するように、係数を求め、前記基本関数波形に前記求められた係数を掛け、抑圧したいピークの数だけ総和したものを、前記信号から減算することにより、前記信号のピーク電力を抑圧する(請求項2)。この方法では、打ち消すピークの数が多い場合でも、ピークを正確に打ち消すことができる。
【0013】
方法(3):抑圧したいピークの数が複数あり、それぞれのピーク位置にピークを持つ複数の基本関数波形を用いて、前記基本関数波形に係数を掛けたものを、抑圧したいピークの数だけ総和し、この総和が、信号の全ての位置において、前記ピーク電力のしきい値を超える分に一致するように、統計的手法で係数を求め、 前記基本関数波形に前記係数を掛け、抑圧したいピークの数だけ総和したものを、前記信号から減算することにより、前記信号のピーク電力を抑圧する(請求項3)。この方法では、ピーク以外の位置において、本来の信号波形を乱さないで、ピークを打ち消すことができる。前記係数を求めるのに、最小二乗法を用いてもよい。
【0014】
ピーク電力抑圧の対象とする信号のピーク位置にピークを持つ基本関数波形f(i-n)を取得するのに、所定の位置でピークを持つ基本関数波形f(i)を記憶し、この記憶した基本関数波形f(i)をシフトさせてもよい(請求項6)。
【0015】
本発明において、ピーク電力抑圧の対象とする信号を、逆フーリエ変換回路のビットリバース前の位置から取得することが好ましい(請求項7)。ビットリバース処理時間の間に、ピーク電力抑圧信号を生成するのに要する演算時間を確保することができるからである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されるOFDM送信装置の要部を示すブロック図である。
入力される信号列は、S/P(シリアルパラレル)変換回路1で複数の信号列に変換され、マッピング回路2で、所定振幅と所定位相の組み合わせからなる搬送波信号f1,f2,...,fNに変換される。搬送波の数をNとする。
【0018】
複数の搬送波信号f1,f2,...,fNは、逆フーリエ変換回路3によって、時間軸上の互いに直交する直交振幅信号I,Qに変換される。
直交振幅信号I,Qは、D/A変換回路5a,5bによってアナログ信号に変換され、増幅、周波数変換を行うアナログ回路6によって無線周波数信号となって、アンテナに給電され、放射される。
一方、直交振幅信号I,Qは、本発明のピーク電力抑圧装置7によって処理され、ここでもともとの直交振幅信号I,Qを減算するための抑圧信号が得られる。
【0019】
このピーク電力抑圧装置7の機能を、図2を用いて説明する。 なお、この機能の全部又は一部は、CD−ROMやハードディスクなど所定の媒体に記録されたプログラムを、OFDM送信装置に設けられたコンピュータ(図示せず)が実行することにより実現される。
図2において、逆フーリエ変換回路3から出力される直交振幅信号I,Qを、それぞれ、入力される信号列の伝送速度と同じ速度で読み出す。読み出されたデータ列を添え字iで表す。iは、1から搬送波数Nまでの値を周期的にとる。
【0020】
コンピュータは、各iについて、次の式により、瞬時電力Piを算出する(ステップS1)。
Pi=Ii2+Qi2
この瞬時電力Piの算出方法を図3に示す。図3(a)は直交振幅信号Iの波形を表し、図3(b)は直交振幅信号Qの波形を表す。図3(c)は、瞬時電力Piの波形を表す。時点i=j,i=kにおいて、瞬時電力Piはしきい値Pthを超えている。
【0021】
瞬時電力Piがしきい値Pthを超える時点の、組(i,Pi,Ii,Qi)を出力する(ステップS2)。ピークが広く分布するときは、複数のピークとみなし、それぞれ出力する。
そのうち切断したいピーク番号を選択し、その添え字を改めて1,2,3,..,m(総称するときはn)と書く(ステップS3)。ピーク番号nの選択基準は任意であり、例えばしきい値Pthを超えるピークの全てをとることにしてもよいし、大きなものから一定数を選択してもよい。消したいタイミングのピークだけを任意に選んでもよい。
【0022】
以下、各nについて処理を行う。
直交振幅信号I,Qのしきい値からの増加分δIn,δQnを求める(ステップS4)。図4は、増加分δIn,δQnの求め方を説明するための座標図である。図4では、切断したいピークの座標を(In,Qn)で示し、In,Qnと位相が同じで、しきい値Pthに相当する長さを持つ点をAで表している。Aの座標は、√(Pth/P)(In,Qn)である。しきい値からの増加分δIn,δQnは、
δIn=(1−√(Pth/P))In
δQn=(1−√(Pth/P))Qn
となる。
【0023】
次に、本発明で使用する基本関数f(i)について説明する。この基本関数f(i)は、送信に使用するN本の搬送波を、全て振幅1/N、位相を0にして、逆フーリエ変換回路3に入力して得る。逆フーリエ変換回路3の出力には、直交振幅信号の実部Iだけが出現し、虚部Qは0になる。この実部Iの波形を関数f(i)で表す。関数f(i)の値は、メモリ(図示せず)に記憶しておく。
基本関数f(i)をグラフで表すと、図5(a)のようになる。f(i)は、i=0において値1をとり、それ以外ではほとんど0となる(Nが大きいほど0に近くなる)。
【0024】
基本関数f(i)をnだけシフトさせた波形f(i-n)を、図5(b)に示す。図5(a)のi=N−nからi=Nまでのデータは、図5(b)に示すように、f(i-n)のピークの手前に移動させる。これにより、データが次の周期に連続するようにしている。
図2に戻り、メモリから基本関数f(i)を読み出し、切断したいピーク番号nに対応する基本関数f(i-n)を、シフトさせて求める(ステップS5)。
【0025】
次に、シフトさせた基本関数f(i-n)に、それぞれδIn,δQnをかける。その結果、直交振幅信号I,Qの番号nのピークを打ち消すための信号
f(i-n)δIn,
f(i-n)δQn
が得られる(ステップS6)。
他にも打ち消したいピークがあるかどうか判定し、あれば、ステップS4〜S6の処理を繰り返す。
【0026】
全てのnについて処理が終われば、いままで求めた番号nのピークを打ち消すための信号の総和をとる(ステップS8,S9)。総和は、打ち消したいピーク番号n=1からmまでにわたる。
Σf(i-n)δIn,
Σf(i-n)δQn
このようにして求めた総和を、もとの直交振幅信号I,Qから減算すれば、ピークが切断された直交振幅信号が得られる。
【0027】
ピークを打ち消すための信号f(i-n)δIn,f(i-n)δQnの周波数帯域は、基本関数f(i-n)の周波数帯域に等しい。本発明によれば、基本関数f(i-n)を逆フーリエ変換により得ているので、基本関数f(i-n)の周波数帯域は、原則として、通信の周波数帯域と同じである。また、加減算回路4a,4bは線形演算を行うのみであり、不要周波数成分は発生しない。
したがって、不要周波数成分をカットするためのフィルタを使用する必要はなくなり、ピークをしきい値まできれいに切断することができる。しかも、放射する電波には、不要周波数成分が含まれないので、電波法の周波数帯域幅規制に抵触するおそれもない。
【0028】
前記総和を求める方法では、基本関数f(i)は、i≠0において0に近い値をとるものの、完全に0とはならない。よって、総和をとるうちにその0に近い値が合算されて無視できない値になることがある。このため、ピークを正確に打ち消すことができなくなってしまう。この誤差を避けるために、次の方法が考えられる。
f(i-n)に係数anをかけて、nについての和をとり、それが直交振幅信号の実部Iの増加分δInに等しくなるように、係数anを決定する。f(i-n)に係数bnをかけて、nについての和をとり、それが直交振幅信号の虚部Qの増加分δQnに等しくなるように、係数bnを決定する。方程式で表現すれば、
Σanf(1-n)=δI1 (総和Σはnが1からmまで。以下同じ)
Σanf(2-n)=δI2
・・・
Σanf(m-n)=δIm
及び
Σbnf(1-n) =δQ1
Σbnf(2-n) =δQ2
・・・
Σbnf(m-n) =δQm
となる。式の数は2m個、未知数はan,bnあわせて2m個であり、この方程式は解ける。
【0029】
この方程式を用いれば、ピークを正しく消すことができる。しかしピーク以外の部分に誤差は残る。
そこで、ピークも打ち消し、ピーク以外の部分もできるだけ正確に再現するために、(1)Σanf(i-n)が、i= 1,2,..,mで、それぞれ、値δI1,δI2,..,δImをとり、i= 1,2,..,m以外の部分で0をとる。(2)Σbnf(i-n) が、i= 1,2,..,mで、それぞれ、値δQ1,δQ2,..,δQmをとり、i= 1,2,..,m以外の部分で0をとる。という条件で、最小二乗法などの統計的手法を用いて解くとよい。
【0030】
これにより、ピークを極力打ち消すことができ、しかもピーク以外の部分の誤差も最小にできる。
次に、直交振幅信号I,Qのピークを切断するための減算値、すなわち抑圧信号を求めるのに要する演算時間の検討をする。
図2において、コンピュータは、逆フーリエ変換回路3の出力端子から直交振幅信号I,Qを読み込み、減算値を求めている。減算値は、加減算回路4a,4bにおいて、もとの直交振幅信号I,Qと加減算されるが、加減算のタイミングをとるためには、もとの直交振幅信号I,Qを、コンピュータが減算値を求めている演算時間だけ、遅延回路8a,8bで遅延させなければならない。
【0031】
このような遅延を避けるには、逆フーリエ変換回路3の中で時間がかかるビットリバース処理(データを出力する前に、メモリを使ってデータを並べ替える処理)以前のデータ(並べ替える前のデータ)を読み込むことが好ましい。
図6は、OFDM送信装置におけるIFFT処理の流れを示す流れ図である。データのビット数を、図示の便宜上4にしている。
入力データは、S/P変換回路1でパラレルデータ列に変換され、これに対して逆フーリエ変換回路3においてIFFT演算が行われる。IFFT演算結果はビットの順番が一部入れ替わっているので、逆フーリエ変換回路3は、メモリを使ってデータを並べ替えるビットリバース処理を行う。
【0032】
そこで本発明では、ピーク抑圧データを演算するのに、並べ替える前のデータを用いて行う。並べ替える前のデータを用いても支障ない理由は、ビットリバース処理は、データによって変化せず、常に一定の処理を行うものであるため、処理前のデータであっても、信号の大きさ及びその信号が出力されるタイミングが検出できるからである。
これにより、ビットリバース後のIFFT出力データが得られる時刻と、ピーク抑圧データが得られる時刻とを揃えることができ、処理の遅延を避けることができる。また、データをビットリバース後の位置から取得する場合に比べて、ピーク電力抑圧装置7の動作時間に余裕ができ、ピーク電力抑圧装置7の消費電力を小さくすることができる。
【0033】
以上で、本発明の実施の形態を説明した。しかし本発明の実施から離れるが、しきい値を超えるピーク信号を、搬送波の周波数帯域内に所定の帯域を持つフィルタに通して、前記信号のピーク位置にピークを持つ基本関数波形を取得するようにしてもよい。
【0034】
図7は、このフィルタを含むOFDM送信装置の要部を示すブロック図である。逆フーリエ変換回路3によって得られた直交振幅信号I,Qは、ピーク検出回路9a,9bによって、しきい値Pthを超えるピークの部分が取り出される(ピーク信号という)。このピーク信号は、搬送波の周波数帯域とほぼ同じ帯域又はそれに含まれる帯域を持つフィルタ回路(例えばFIRフィルタで構成される)10a,10bを通され、増幅回路11a,11bを経て減算信号として加減算回路4a,4bに供給される。一方本来の直交振幅信号I,Qは、遅延回路8a,8bを通して、加算信号として加減算回路4a,4bに供給される。前記遅延回路8a,8bの遅延時間は、フィルタ処理に要する時間とする。加減算された直交振幅信号I,Qは、D/A変換回路5a,5bに供給される。
【0035】
この構成によれば、前記フィルタ回路10a,10bを通った波形は、搬送波の周波数帯域と同じ帯域又はそれに含まれる帯域を持ち、この波形を減算に用いて、信号のピーク電力をしきい値に達するまで抑圧する。したがって、不要周波数成分を発生することなく、ピーク電力を確実にしきい値まで抑圧することができる。
なお、本発明は複数の搬送波を使って信号を変調する方式に適用があり、前記OFDM方式のみならず、第4世代携帯電話などで検討されているMC−CDMA(Multi Carrier CDMA)方式に対しても適用ができる。また、逆フーリエ変換回路の前後に別の変調方式が使用されている場合でも適用がある。
【0036】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、しきい値を超えるピーク電力を確実に抑圧でき、不要周波数の輻射もないピーク電力抑圧方法及び装置を実現できる。
また、しきい値を超えるピーク電力が複数ある場合に、これらを同時に抑圧することができ、従来技術よりも大きなピークを削ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたOFDM送信装置の要部を示すブロック図である。
【図2】本発明のピーク電力抑圧機能の説明図である。
【図3】瞬時電力Piとしきい値Pthとの関係を示すグラフである。
【図4】直交振幅信号I,Qのしきい値からの増加分δIn,δQnを求める方法を説明するための座標図である。
【図5】 (a)は基本関数f(i)の波形を示すグラフ、(b)は基本関数f(i)をnだけシフトさせた波形f(i-n)を示すグラフである。
【図6】OFDM送信装置における処理の流れを示す流れ図である。
【図7】フィルタを含む本発明のOFDM送信装置の要部を示すブロック図である。
【図8】従来のOFDM送信装置の要部を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 S/P(シリアルパラレル)変換回路
2 マッピング回路
3 逆フーリエ変換回路
4a,4b 加減算回路
5a,5b D/A変換回路
6 アナログ回路
7 ピーク電力抑圧装置
8a,8b 遅延回路
9a,9b ピーク検出回路
10a,10b フィルタ回路
11a,11b 増幅回路
Claims (7)
- 複数の搬送波を使って信号を変調する方式において、
ピーク電力抑圧の対象とする信号のピーク電力のしきい値を超える分を検出し、
搬送波の周波数帯域と同じ帯域又はそれに含まれる帯域を持ち、前記信号のピーク位置にピークを持つ基本関数波形を用いて、
前記ピーク電力のしきい値を超える分に、前記基本関数波形を掛け算したものを、前記信号から減算することにより、前記信号のピーク電力を抑圧する方法であって、
前記基本関数波形は、送信に使用する複数の搬送波を、同一振幅、かつ位相を0にして、逆フーリエ変換して得られる直交振幅信号の実部Iの波形から取得されることを特徴とするピーク電力抑圧方法。 - 抑圧したいピークの数が複数あり、
それぞれのピーク位置にピークを持つ複数の基本関数波形を用いて、
前記基本関数波形に係数を掛けたものを、抑圧したいピークの数だけ総和し、この総和が、各ピーク位置において、前記ピーク電力のしきい値を超える分に一致するように、係数を求め、
前記基本関数波形に前記求められた係数を掛け、抑圧したいピークの数だけ総和したものを、前記信号から減算することにより、前記信号のピーク電力を抑圧する請求項1記載のピーク電力抑圧方法。 - 抑圧したいピークの数が複数あり、
それぞれのピーク位置にピークを持つ複数の基本関数波形を用いて、
前記基本関数波形に係数を掛けたものを、抑圧したいピークの数だけ総和し、この総和が、信号の全ての位置において、前記ピーク電力のしきい値を超える分に一致するように、統計的手法で係数を求め、
前記基本関数波形に前記係数を掛け、抑圧したいピークの数だけ総和したものを、前記信号から減算することにより、前記信号のピーク電力を抑圧する請求項1記載のピーク電力抑圧方法。 - 複数の搬送波を使って信号を変調し伝送する送信装置に用いられ、
ピーク電力抑圧の対象とする信号のピーク電力のしきい値を超える分を検出する検出部と、
搬送波の周波数帯域と同じ帯域又はそれに含まれる帯域を持ち、前記信号のピーク位置にピークを持つ基本関数波形を取得する波形取得部と、
前記検出部で検出されたピーク電力のしきい値を超える分に、前記波形取得部から取得した基本関数波形を掛け算した値を生成する抑圧信号生成部と、
前記抑圧信号生成部により生成された値を、前記信号から減算する減算部とを備え、
前記基本関数波形は、送信に使用する複数の搬送波を、同一振幅、かつ位相を0にして、逆フーリエ変換して得られる直交振幅信号の実部Iの波形から取得されることを特徴とするピーク電力抑圧装置。 - 検出されたピーク電力のしきい値を超える分の中から特定の基準で、抑圧したいピークを選択する選択部をさらに備え、
検出部は、この選択されたピークに対して、ピーク電力のしきい値を超える分を検出する請求項4記載のピーク電力抑圧装置。 - 所定の位置でピークを持つ基本関数波形を記憶する記憶部をさらに備え、
前記波形取得部は、この記憶された基本関数波形をシフトさせて、信号のピーク位置nにピークを持つ基本関数波形を取得する請求項4記載のピーク電力抑圧装置。 - 前記検出部は、ピーク電力抑圧の対象とする信号を、逆フーリエ変換回路のビットリバース前の位置から取得する請求項4記載のピーク電力抑圧装置。
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