JP4625434B2 - 送信機 - Google Patents
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Description
図13には、ピーク電力抑圧手段203の内部構成の一例を示してある。
電力算出手段211は、入力信号に対してサンプル毎の電力値を計算する。ピーク電力検出手段212は、入力信号の電力値をサンプル毎に設定されている閾値電力値と比較し、閾値電力値よりも大きな電力値であるサンプルをピーク電力であると判断する。ピーク抑圧率算出手段213は、ピーク電力値と閾値電力値との比を求めてピーク電力を閾値レベルにまで抑圧するための所定の比率(ピーク抑圧率)を計算する。窓関数乗算手段214は、予めメモリに記憶された窓関数をピーク抑圧率に乗算し、ピーク電力とその周辺のサンプルに対する抑圧率を決定する。
また、窓関数w(t)としては、例えば、(式1)に示されるハニング窓や、(式2)に示されるガウス窓や、(式3)に示されるカイザー窓などが知られており、良好な特性が得られる最適なものを選択して使うことができる。
すなわち、ピーク抑圧信号生成手段が、前記送信信号のピーク電力を抑圧するためのピーク抑圧信号を生成する。ピーク抑圧信号合成手段が、前記複数のピーク抑圧信号生成手段により生成されたピーク抑圧信号を合成する。減算手段が、前記ピーク抑圧信号合成手段により得られた合成結果の信号を前記送信信号から減算する。
ここで、複数のピーク抑圧信号生成手段の配置としては、種々な配置が用いられてもよく、例えば、直列の配置が用いられてもよく、或いは、並列の配置が用いられてもよく、或いは、直列と並列を組み合わせた配置が用いられてもよい。
また、各ピーク抑圧信号生成手段によりピーク抑圧信号を生成するための元となる信号としては、種々な信号が用いられてもよく、例えば、前の方の段におけるピーク抑圧信号が減算された送信信号が用いられてもよく、或いは、(このような減算が行われていない)送信信号が用いられてもよい。
すなわち、前記ピーク抑圧信号生成手段は、複数であるN個備えられて、直列に配置されている。(N−1)個の抑圧信号減算手段を直列に配置して備える。1段目のピーク抑圧信号生成手段は、前記送信信号を入力してピーク抑圧信号を生成する。1段目の抑圧信号減算手段は、前記送信信号から前記1段目のピーク抑圧信号生成手段により生成されたピーク抑圧信号を減算する。i[i=2〜N−1]段目の抑圧信号減算手段は、(i−1)段目の抑圧信号減算手段により得られた減算結果の信号からi段目のピーク抑圧信号生成手段により生成されたピーク抑圧信号を減算する。j[j=2〜N]段目のピーク抑圧信号生成手段は、(j−1)段目の抑圧信号減算手段により得られた減算結果の信号を入力してピーク抑圧信号を生成する。
従って、複数のピーク抑圧信号生成手段を直列に配置した構成により、送信信号に発生するピーク電力を効果的に抑圧することができる。
すなわち、前記複数のピーク抑圧信号生成手段のうちの少なくとも1個のピーク抑圧信号生成手段は、フィルタ係数を使用して帯域制限したピーク抑圧信号を生成する。
従って、例えば、直列に配置された複数のピーク抑圧信号生成手段のうちの少なくとも1個(一例として、1段目を含む前の方の段)でフィルタ係数を使用してピーク抑圧信号を帯域制限することにより、ピーク電力の抑圧を良好に行うことができる。
前記送信信号に含まれるキャリアの周波数のパターンとフィルタ係数との対応を記憶する記憶手段と、
前記送信信号に含まれるキャリアの周波数のパターンを検出するキャリア検出手段と、を備え、
前記フィルタ係数を使用するピーク抑圧信号生成手段は、前記記憶手段の記憶内容に基づいて、前記キャリア検出手段により検出されたパターンに対応したフィルタ係数を使用する、
ことを特徴とする。
1キャリアのベースバンド信号に対応するフィルタ係数を記憶する記憶手段と、
前記送信信号に含まれるキャリアの周波数を検出するキャリア検出手段と、を備え、
前記フィルタ係数を使用するピーク抑圧信号生成手段は、前記キャリア検出手段により検出された各キャリアの周波数毎に、前記記憶手段に記憶されたフィルタ係数の帯域を当該各キャリアの周波数に合わせるように変更し、これにより当該各キャリアの周波数毎に生成されたフィルタ係数を合成し、当該合成結果のフィルタ係数を使用する、
ことを特徴とする。
本実施例では、W−CDMA方式を使用して移動局装置と無線通信する基地局装置の送信機にピーク電力抑圧手段を適用した場合を示す。
また、本実施例では、中間周波数(IF:Intermediate Frequency)の信号を処理する場合を示し、信号はI相成分とQ相成分から構成されるが、説明を簡略化するために、特に必要があるところを除いて、I相成分とQ相成分をまとめて1つの信号として図示や説明する。信号のI相成分及びQ相成分を考慮すると、例えば、信号のI相成分の値I及びQ相成分の値Qから算出されるレベル(I2+Q2)に基づいて信号のピークに対するピーク抑圧率が算出され、I相成分とQ相成分のそれぞれに対して同一のピーク抑圧率が乗算される。
例えば、BBリミッタでは全てのキャリアを0MHzで扱って処理し、IFリミッタでは異なる周波数を有する複数のキャリアが含まれる送信信号を扱って処理する。
図1には、本発明の一実施例に係るピーク電力抑圧手段1の構成例を示してある。
本例のピーク電力抑圧手段1は、ピーク抑圧信号生成のための2個の減算器11、12と、3個のピーク抑圧信号生成手段13、14、15と、1個のピーク抑圧信号合成手段16と、ピーク抑圧信号減算のための1個の減算器17を備えている。
ここで、各ピーク抑圧信号生成手段13、14、15の構成としては、任意であってもよく、例えば、全てが同一であってもよく、或いは、全てが異なってもよく、或いは、全てが同一ではないが同一なものもあるような構成が用いられてもよい。各ピーク抑圧信号生成手段13、14、15の構成としては、例えば、図13に示されるのと同様な構成や、図13に示される構成から窓関数乗算手段214を除いたような構成や、図3に示されるような構成などを用いることができる。
送信機による送信対象となる信号が入力され、当該入力信号が1段目のピーク抑圧信号生成手段13と、ピーク抑圧信号生成のための1段目の減算器11と、ピーク抑圧信号減算のための減算器17に入力される。
1段目のピーク抑圧信号生成手段13は、入力信号に対してピーク抑圧信号を生成して、1段目の減算器11及びピーク抑圧信号合成手段16へ出力する。
1段目の減算器11は、入力された送信信号から、1段目のピーク抑圧信号生成手段13から入力されたピーク抑圧信号を減算し、当該減算結果の信号を2段目のピーク抑圧信号生成手段14及び2段目の減算器12へ出力する。
2段目の減算器12は、1段目の減算器11から入力された信号から、2段目のピーク抑圧信号生成手段14から入力されたピーク抑圧信号を減算し、当該減算結果の信号を3段目のピーク抑圧信号生成手段15へ出力する。
3段目のピーク抑圧信号生成手段15は、2段目の減算器12からの入力信号に対してピーク抑圧信号を生成して、ピーク抑圧信号合成手段16へ出力する。
減算器17は、入力された送信信号から、ピーク抑圧信号合成手段16から入力された合成ピーク抑圧信号を減算し、当該減算結果の信号をピーク電力が抑圧された送信信号として出力する。
なお、本例では、ピーク抑圧信号として、送信信号から減算した場合にピークを抑圧することができる信号が生成されており、つまり、ピークの抑圧分に相当する信号が生成されている。
ここで、本例では、ピーク抑圧信号生成手段13〜15の数(段数)が3である場合を示したが、2以上の複数個であれば、種々な数が用いられてもよい。
また、本例のピーク電力抑圧手段1では、N個のピーク抑圧信号生成手段13〜15は連続して配置され、1段目のピーク抑圧信号生成手段13は送信信号を入力信号とし、2段目以降のピーク抑圧信号生成手段14、15はそれぞれの前段に配置されている全てのピーク抑圧信号生成手段により出力されたピーク抑圧信号と送信信号との合成信号(本例では、差信号)を入力信号とする。
図2には、本発明の一実施例に係るピーク電力抑圧手段21の構成例を示してある。
本例のピーク電力抑圧手段21は、ピーク抑圧信号生成のための2個の減算器31、32と、3個のピーク抑圧信号生成手段33、34、35と、1個のピーク抑圧信号合成手段36と、ピーク抑圧信号減算のための1個の減算器37を備えている。
また、1段目のピーク抑圧信号生成手段33は、電力算出手段41と、ピーク電力検出手段42と、ピーク抑圧率算出手段43と、乗算器44を備えている。
また、本例では、他のピーク抑圧信号生成手段34、35の構成や動作も、1段目のピーク抑圧信号生成手段33の構成や動作と同一となっている。
なお、2段の減算器31、32と、3段のピーク抑圧信号生成手段33〜35と、ピーク抑圧信号合成手段36と、減算器37の配置やこれらにより行われる全体的な動作については、第1実施例に係る図1を参照して説明した動作と同様であるため、本例では、ピーク抑圧信号生成手段33の動作について詳しく説明する。
電力算出手段41は、入力信号のI相成分IとQ相成分Qから(式4)によりサンプル毎の電力値Powerを計算する。
ピーク抑圧率算出手段43は、例えばピーク電力値Powerと閾値電力値Threshとの比を求めて、ピーク電力を抑圧するための抑圧率(ピーク抑圧率)を計算する。ピーク抑圧率の算出方法としては、種々な方法が用いられてもよく、一例として、(式5)により算出する方法を用いることができる。
乗算器44は、ピーク抑圧信号生成手段33への入力信号とピーク抑圧率算出手段43から入力されたピーク抑圧率とを乗算し、当該乗算の結果をピーク抑圧信号として出力する。
図3には、本発明の一実施例に係るピーク電力抑圧手段51の構成例及びキャリア検出手段52を示してある。
本例のピーク電力抑圧手段51は、ピーク抑圧信号生成のための2個の減算器61、62と、3個のピーク抑圧信号生成手段63、64、65と、1個のピーク抑圧信号合成手段66と、ピーク抑圧信号減算のための1個の減算器67を備えている。
また、1段目のピーク抑圧信号生成手段63は、電力算出手段71と、ピーク電力検出手段72と、ピーク抑圧率算出手段73と、フィルタ係数乗算手段74を備えている。
また、本例では、他のピーク抑圧信号生成手段64、65の構成や動作としては、例えば、図2に示されるピーク抑圧信号生成手段33の構成や動作と同様である。
なお、キャリア検出手段52の機能は、例えば、送信機に備えられた制御部が有するCPU(Central Processing Unit)により実現され、或いは、リミッタ専用の制御部を備えて、リミッタ専用の制御部が送信機全体の制御部から通知されるキャリアの状態を検出することにより実現されてもよい。
なお、2段の減算器61、62と、3段のピーク抑圧信号生成手段63〜65と、ピーク抑圧信号合成手段66と、減算器67の配置やこれらにより行われる全体的な動作については、第1実施例に係る図1を参照して説明した動作と同様であり、2段目以降のピーク抑圧信号生成手段64、65の動作については、図2に示されるピーク抑圧信号生成手段33の動作と同様であるため、本例では、1段目のピーク抑圧信号生成手段63の動作について詳しく説明する。
フィルタ係数乗算手段74は、ピーク抑圧信号生成手段63への入力信号に基づいて、ピーク電力であるサンプルのI相成分及びQ相成分に対して、ピーク抑圧率算出手段73により算出されたピーク抑圧率を乗算し、更に、(式6)により、複素フィルタ係数を複素乗算して、例えば送信信号と同じ周波数帯域に帯域制限されたピーク抑圧信号を生成して出力する。本例では、複素フィルタ係数としては、キャリア検出手段52から通知されるキャリアの状態に適応する値が用いられる。
一般に、フィルタ係数を使用すると、スペクトル波形と信号品質の劣化が小さいが、ピークを確実に落とせない特徴がある一方、フィルタ係数を使用しないと、スペクトル波形や信号品質の劣化は大きいが、ピークを確実に落とせるという特徴があり、これを考慮して、本例では、フィルタ係数を使用するピーク抑圧信号生成手段63と、フィルタ係数を使用しないピーク抑圧信号生成手段64、65の両方を用いている。また、フィルタ係数は後段の側よりも前段の側で用いられるのが好ましい。
ここで、本例では、帯域制限された複数のピーク抑圧信号を合成して、スペクトル波形を劣化させずに全てのピーク電力を抑圧するような構成とすることも可能である。
図4には、本発明の一実施例に係るピーク電力抑圧手段81の構成例及びキャリア検出手段82を示してある。
本例のピーク電力抑圧手段81は、ピーク抑圧信号生成のための1個の減算器91と、2個のピーク抑圧信号生成手段92、93と、1個の加算器(ピーク抑圧信号合成手段)94と、ピーク抑圧信号減算のための1個の減算器95を備えている。
また、1段目のピーク抑圧信号生成手段92は、電力算出手段101と、ピーク電力検出手段102と、ピーク抑圧率算出手段103と、フィルタ係数乗算手段104を備えている。
また、2段目のピーク抑圧信号生成手段93は、電力算出手段111と、ピーク電力検出手段112と、ピーク抑圧率算出手段113と、窓関数乗算手段114と、乗算器115を備えている。
また、キャリア検出手段82の構成や動作は、図3に示されるキャリア検出手段52の構成や動作と同様である。
なお、1段の減算器91と、2段のピーク抑圧信号生成手段92、93と、加算器(ピーク抑圧信号合成手段)94と、減算器95の配置やこれらにより行われる全体的な動作については、ピーク抑圧信号を生成するための減算器91及びピーク抑圧信号生成手段92、93の段数が異なる点を除いては、第1実施例に係る図1を参照して説明した動作と同様であり、帯域制限されたピーク抑圧信号を生成する1段目のピーク抑圧信号生成手段92の構成や動作については、図3に示される1段目のピーク抑圧信号生成手段63の構成や動作と同様であるため、本例では、2段目のピーク抑圧信号生成手段93の動作について詳しく説明する。
窓関数乗算手段114は、ピーク抑圧率算出手段113から入力されたピーク抑圧率に対して例えば予めメモリに記憶された窓関数を乗算し、当該乗算結果の信号を乗算器115へ出力する。なお、窓関数w(t)としては、特に限定は無く、例えば、(式1)〜(式3)に示されるものを用いることができる。
窓掛けの乗算器115は、窓関数が乗算されたピーク抑圧率と減算器91からの入力信号とをサンプル毎に乗算し、当該乗算結果の信号をピーク抑圧信号として加算器94へ出力する。このような窓掛けにより、2段目のピーク抑圧信号生成手段93では、周波数帯域がキャリア近傍に抑制されたピーク抑圧信号が生成される。
本例では、図4に示される本例のピーク電力抑圧手段81を用いた場合と図13に示される比較技術に係るピーク電力抑圧手段201を用いた場合について、ピーク電力検出のための閾値を同一のレベルに設定して、キャリア周波数を±2.5MHzに設定したW−CDMAの2キャリアの送信信号に対する無線特性を計算機シミュレーションにより取得した。
ACLR(Adjacent Channel Leakage Ratio)は、帯域外の歪のレベル[dBc]を示す。
EVM(Error Vector Magnitude)は、信号の帯域内のエラー成分(歪)の大きさ[%]を示す。
PCDE(Peak Code Domain Error)は、EVMと同様にエラーに関するものであり、受信機で復調したときにおけるW−CDMAのコードの悪さ[dB]を示す。
一例として、設定規格(ここでは、3GPP規格に対してマージンを加えたACLRが−60dBc以下、EVMが10%以下、PCDEが−35dB以下と設定した)を満たす最小のPAPRを計算機シミュレーションにより求めたところ、比較技術に係るピーク電力抑圧手段201では6.7dBとなり、本例のピーク電力抑圧手段81では6.0dBとなり、約0.7dBのPAPRの改善が確認された。
図11には、比較技術に係るピーク電力抑圧手段201からの出力信号と本例のピーク電力抑圧手段81からの出力信号について、上記設定規格を満たす最小のPAPRを実現するときにおける相補累積分布関数(CCDF:Complementary Cumulative Distribution Function)の曲線の一例を示してある。グラフの横軸はPAPR[dB]を示しており、縦軸はピーク発生確率[%]を示している。
具体的には、帯域制限されたピーク抑圧信号と窓掛けを施されたピーク抑圧信号を合成することにより、回路規模の増大を抑えつつ、PAPRの低減効果が大きいピーク電力抑圧を実現することができる。
本例では、図3や図4に示されるピーク電力抑圧手段51、81について更に構成例を示す。
ピーク電力の抑圧処理をIF信号に対して施す場合、ピーク抑圧信号に対して帯域制限を施すためのフィルタ係数は、送信信号に含まれる各キャリアの周波数によって変わる。
本例では、送信信号のキャリア数や各キャリアの周波数について設定し得るパターンの数が予め限定されて決められているような構成において、設定し得る各キャリアパターンに応じたフィルタ係数(本例では、複素フィルタ係数)をメモリに予め記憶させておき、フィルタ係数乗算手段74、104は、当該メモリの記憶内容に基づいて、各時点における送信信号のキャリアパターンの設定に応じたフィルタ係数を選択して使用する。なお、このメモリは例えばフィルタ係数乗算手段74、104に設けられる。
送信信号に複数のキャリアが含まれる場合には、これら複数のキャリアを考慮したフィルタ係数が用いられる。
本例では、図3や図4に示されるピーク電力抑圧手段51、81について更に構成例を示す。
ピーク電力の抑圧処理をIF信号に対して施す場合、ピーク抑圧信号に対して帯域制限を施すためのフィルタ係数は、送信信号に含まれる各キャリアの周波数によって変わる。
本例では、送信信号のキャリア数や各キャリアの周波数について設定し得るパターンの数が限定されていないような構成において、フィルタ係数乗算手段74、104は、ベースバンド信号つまりキャリア周波数が0MHzである1キャリア信号に対するフィルタ係数を元にして、任意のキャリア周波数設定に対応するフィルタ係数を生成して使用する。
なお、キャリア検出手段52、82からフィルタ係数乗算手段74、104へキャリア周波数設定の内容(キャリアの状態)が通知される。
ベースバンドの1キャリア信号に対するフィルタ係数は、通常、複素数ではないが、これはキャリア周波数が0MHzであるという特殊なケースによるものであり、位相が回転しないことから位相を0に固定することにより、フィルタ係数の虚部を0とすることができる。
まず、ベースバンドの1キャリア信号のフィルタ係数tap[k]を(式7)により定義する。ここで、フィルタ係数の長さはLであり奇数であるとする。また、本例では、トランスバーサルフィルタを用いており、フィルタ係数はタップ係数に相当する。
なお、(式9)及び(式10)は直交変調を表す。
周波数fn(=ωn/2π)に対応したフィルタのフィルタ係数を(式11)により定義する。ここで、tapin[k]はフィルタ係数の実部であり、tapqn[k]はフィルタ係数の虚部である。
図6には、本例の手順により生成されたキャリア周波数が±2.5MHzであるW−CDMAの2キャリア信号に対応するフィルタ係数の伝達関数の一例を示してある。グラフの横軸は周波数(Frequency)[MHz]を示しており、縦軸はゲイン(Gain)[dB]を示している。
図1〜図4では、ピーク電力抑圧手段の内部において、複数のピーク抑圧信号生成手段を直列に配置した構成例を示したが、種々な配置が用いられてもよく、他の構成例として、複数のピーク抑圧信号生成手段を並列に配置した構成や、或いは、直列の配置と並列の配置とを組み合わせた構成を用いることも可能である。
本例のピーク電力抑圧手段141は、複数であるz個のピーク抑圧信号生成手段A1〜Azと、1個の加算器(ピーク抑圧信号合成手段)151と、1個の減算器152を備えている。
ここで、複数のピーク抑圧信号生成手段A1〜Azは並列に配置されている。
また、複数のピーク抑圧信号生成手段A1〜Azとしては、例えば、異なる構成を有するものが用いられるのが好ましいが、同一の構成のものが用いられてもよい。
ピーク電力抑圧手段141に入力された送信信号が、各ピーク抑圧信号生成手段A1〜Az及び減算器152に入力される。
各ピーク抑圧信号生成手段A1〜Azは、入力された信号に対してピーク抑圧信号を生成して、加算器151へ出力する。
加算器151は、複数のピーク抑圧信号生成手段A1〜Azから入力されたピーク抑圧信号を総和(合成)し、当該総和結果である1つのピーク抑圧信号(合成ピーク抑圧信号)を減算器152へ出力する。
減算器152は、ピーク電力抑圧手段141への入力信号(送信信号)から、加算器151から入力された合成ピーク抑圧信号を減算し、当該減算結果の信号をピーク電力抑圧後の送信信号として出力する。
図7には、本発明の一実施例に係る送信機の構成例を示してある。
本例の送信機は、デジタル変調手段121と、ピーク電力抑圧手段122と、D/A(Digital to Analog)コンバータ123と、周波数変換手段124を備えている。
ここで、ピーク電力抑圧手段122としては、本実施例において示される種々な構成のものが用いられ、或いは、他の構成のものが用いられてもよい。
デジタル変調手段121は、例えば入力されたマルチキャリア・ベースバンド信号に対して、キャリア毎に帯域制限を施し、希望のサンプリング周波数へとアップサンプリングし、各キャリア信号毎に希望のIF帯へとデジタル直交変調を施し、マルチキャリア合成してピーク電力抑圧手段122へ出力する。このデジタル変調手段の動作はあくまで一例であり、例えばアップサンプリングを行ってから帯域制限を施すなど、他にも様々な方法がとれるため、その詳細な内部動作には拘らない。
ピーク電力抑圧手段122は、デジタル変調手段121から入力された送信信号に存在するピーク電力を閾値レベルにまで抑圧し、ピーク電力抑圧後の送信信号をD/Aコンバータ123へ出力する。
周波数変換手段124は、アナログ直交変調器から構成されており、D/Aコンバータ123から入力された信号を希望の無線周波数(RF:Radio Frequency)帯の信号へ周波数変換して出力する。
図8には、本発明の一実施例に係る送信増幅器の構成例を示してある。
本例の送信増幅器は、デジタル変調手段131と、ピーク電力抑圧手段132と、D/Aコンバータ133と、周波数変換手段134と、電力増幅器135を備えている。
なお、デジタル変調手段131と、ピーク電力抑圧手段132と、D/Aコンバータ133と、周波数変換手段134の構成や動作は、図7に示される対応する各処理部121〜124の構成や動作と同様である。
電力増幅器135は、周波数変換手段134から出力された信号を入力し、当該入力信号に対して電力増幅を行って出力する。一般に、増幅器に入力される信号にピーク電力が存在すると増幅信号に歪が発生するため、本例のように、増幅対象となる信号(送信信号)に含まれるピーク電力を抑圧することが有効である。
本例では、ピーク電力抑圧機能のオンオフ制御を行う構成例を示す。
図14には、ピーク電力抑圧機能のオンオフ制御を行う構成例として、減算器301とスイッチ302を示してあり、これは例えばピーク電力抑圧手段の一部の構成例となる。
ここで、ピーク電力抑圧手段としては、本実施例において示される種々な構成のものが用いられ、或いは、他の構成のものが用いられてもよい。
また、減算器301は、例えば、図1に示される減算器17や、図2に示される減算器37や、図3に示される減算器67や、図4に示される減算器95や、図12に示される減算器152に相当する。
これに対して、本例のようにピーク電力抑圧機能のオンオフ制御を行う構成では、例えば、ピーク電力抑圧手段において、ピーク抑圧信号合成手段や減算器301の後段に1つのスイッチ302を備えてそれを制御するだけで実現することができ、簡易な構成や制御により、ピーク電力抑圧機能のオンオフ切り替えを実現することができる。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
Claims (3)
- 送信信号のピーク電力を抑圧する送信機において、
前記送信信号のピーク電力を抑圧するためのピーク抑圧信号を生成する複数のピーク抑圧信号生成手段と、
前記複数のピーク抑圧信号生成手段により生成されたピーク抑圧信号を合成するピーク抑圧信号合成手段と、
前記ピーク抑圧信号合成手段により得られた合成結果の信号を前記送信信号から減算する減算手段と、
を備え、
前記ピーク抑圧信号生成手段は、3以上であるN個備えられ、
(N−1)個の抑圧信号減算手段を直列に配置して備え、
1段目のピーク抑圧信号生成手段は、前記送信信号を入力してピーク抑圧信号を生成して1段目の抑圧信号減算手段及び前記ピーク抑圧信号合成手段へ出力し、
前記1段目の抑圧信号減算手段は、前記送信信号から前記1段目のピーク抑圧信号生成手段により生成されたピーク抑圧信号を減算してその結果を2段目のピーク抑圧信号生成手段及び2段目の抑圧信号減算手段へ出力し、
i[i=2〜N−1]段目のピーク抑圧信号生成手段は、(i−1)段目の抑圧信号減算手段からの入力に対してピーク抑圧信号を生成してi段目の抑圧信号減算手段及び前記ピーク抑圧信号合成手段へ出力し、
前記i段目の抑圧信号減算手段は、(i−1)段目の抑圧信号減算手段により得られた減算結果の信号から前記i段目のピーク抑圧信号生成手段により生成されたピーク抑圧信号を減算してその結果を(i+1)段目のピーク抑圧信号生成手段へ出力し、
N段目のピーク抑圧信号生成手段は、(N−1)段目の抑圧信号減算手段により得られた減算結果の信号を入力してピーク抑圧信号を生成して前記ピーク抑圧信号合成手段へ出力する、
ことを特徴とする送信機。 - 送信信号のピーク電力を抑圧する送信機において、
前記送信信号のピーク電力を抑圧するためのピーク抑圧信号を生成する複数のピーク抑圧信号生成手段と、
前記複数のピーク抑圧信号生成手段により生成されたピーク抑圧信号を合成するピーク抑圧信号合成手段と、
前記ピーク抑圧信号合成手段により得られた合成結果の信号を前記送信信号から減算する減算手段と、
を備え、
前記ピーク抑圧信号生成手段は、2個備えられ、
1個の抑圧信号減算手段を備え、
1段目のピーク抑圧信号生成手段は、前記送信信号を入力してピーク抑圧信号を生成して前記抑圧信号減算手段及び前記ピーク抑圧信号合成手段へ出力し、
前記抑圧信号減算手段は、前記送信信号から前記1段目のピーク抑圧信号生成手段により生成されたピーク抑圧信号を減算してその結果を2段目のピーク抑圧信号生成手段へ出力し、
前記2段目のピーク抑圧信号生成手段は、前記抑圧信号減算手段により得られた減算結果の信号を入力してピーク抑圧信号を生成して前記ピーク抑圧信号合成手段へ出力する、
ことを特徴とする送信機。 - 請求項1又は請求項2に記載の送信機において、
前記複数のピーク抑圧信号生成手段のうちの少なくとも1個のピーク抑圧信号生成手段は、フィルタ係数を使用して帯域制限したピーク抑圧信号を生成する、
ことを特徴とする送信機。
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