JP4296235B2 - モルタル吹付け機とこれを用いた補修工法 - Google Patents
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Description
左官仕上げは、作業員により表面を「こて」で数回ならすため、特に上向きの施工箇所においては、(1)作業能率が悪いばかりでなく、(2)補修面とモルタルとの付着性能が低い問題点がある。
このコンクリート吹付機は、軸心を中心に高速回転するインペラ2と、該インペラを間隔を隔てて囲むケーシング4と、該ケーシングに設けられインペラの回転中心に向けて生コンクリートを供給するコンクリート供給管5と、該コンクリート供給管に隣接してケーシングに設けられたコンクリート吐出管6と、該コンクリート吐出管の開放端の外側に設けられコンクリート吐出管を通過したコンクリートに向けて液体急結剤を噴射する急結剤供給ノズル7とからなるヘッド部を備えたものである。なお、この図で、8はコンクリート用パイプ、8aは生コンクリート、9は急結剤、2aはブレードである。
(2)モルタルの粘性と粘着力により、「モルタルだれ」(または「ペーストだれ」)が発生しやすく、長時間連続運転ができない。特に補修工事で主となる天端部(上向き)への吹付け(天端吹き)におけるモルタルだれや、ケーシングからのモルタルだれが発生しやすい。
(3)「モルタルだれ」を低減しようとすると、スポット性が低下する。補修吹付けにおいては、溶接金網等の格子状鉄筋の間を吹付けることとなり、そのためには吹付け範囲を極力狭めたスポット性が必要となるが、このスポット性とモルタルだれの対策が相反する関係にあり、両立が困難である。
(4)インペラを高速回転させると騒音を発しやすい。インペラを高速回転させるほど、スポット性を高めることができるが、サイレン音に近い騒音を発しやすく、作業環境が悪化する。
このモルタル吹付け機は、軸心を中心に高速回転するインペラ12と、該インペラを間隔を隔てて囲むケーシング14と、該ケーシングに設けられインペラの回転中心に向けてモルタルを供給するモルタル供給パイプ16とを備えたモルタル吹付け機において、前記インペラ12は、回転軸の軸線方向に間隔を隔てた2枚のインペラリング12aと、その間に周方向に間隔を隔てて取り付けられた複数のブレード13とからなり、前記ケーシング14は、前記インペラで投射されたモルタルと直接接触しないように前記モルタル供給パイプに隣接して設けられた投射口14aを有する、ことを特徴とするものである。
また、このモルタル吹付け機では、吹付け本体を分解して内部を清掃できるものの、駆動モータと一体であるため、水等で丸洗いができず、かつ重いため、吹付け後の清掃がしにくい問題点があった。
さらに、このモルタル吹付け機では、補修用モルタル(ビニロン繊維と硅砂を含むプレミックスモルタルに液体ポリマーを混合して練りまぜたモルタル)を用いる必要があり、液体ポリマー等を含まない安価なモルタルでは、十分な曲げ強度、圧縮強度、および付着強度が得られない問題点があった。
また、本発明の第2の目的は、液体ポリマーを含まない安価なモルタルを用いて、十分な曲げ強度、圧縮強度、および付着強度を得ることができるモルタル吹付機とこれを用いた補修工法を提供することにある。
また本発明の構成により、ケーシングに取り付けられた軸受でインペラを回転可能に支持したままで、カップリングによりフレキシブルシャフトを回転軸から分離することができる。従って、吹付け後にフレキシブルシャフトを回転軸から分離し、吹付け機本体のみを水等で丸洗いすることができ、容易に清掃ができる。
前記ケーシングは、前記インペラで投射されたモルタルと直接接触しないように前記モルタル供給パイプに隣接して設けられた投射口を有する。
また、インペラを間隔を隔ててケーシングで囲み、このケーシングに、インペラで投射されたモルタルと直接接触しないようにモルタル供給パイプに隣接して設けられた投射口を有するので、粘性が高く、粘着力が強い補修用モルタルに適用することができ、配管内の詰りを防ぎ、モルタルだれを防止できる。
さらに、2枚のインペラリングを有し、その間にモルタルが供給され高速回転するブレードで打撃するので、幅方向のスポット性を高めることができ、かつ騒音の発生が少なく、粉塵の低減と共に作業環境を改善することができる。
この構成により、使用者が背負い子を背負うことで、駆動モータを背負いながら自由に移動でき、かつ速度制御器で駆動モータの回転速度を変化させて、作業中に吹付け方向や回転速度等を容易に調整することができる。
この構成により、移動台車をフレキシブルシャフト又は牽引用の紐またはロッドで引き回すことで駆動モータを自由に移動でき、使用者は吹付け本体部のみを保持して作業でき、手持ち部分の重量を大幅に低減できる。
この構成により、急結剤噴射ノズルから外部に吹き付けられるモルタルに向けて液体急結剤を噴射し、壁面等に衝突する前にモルタルと液体急結剤を効率よく混合し、モルタルを短時間に硬化させることができる。従って、液体ポリマーを含まない安価なモルタルを用いて、十分な曲げ強度、圧縮強度、および付着強度を得ることができる。
この工法により、従来の「左官仕上げ」、「圧縮空気による吹付け」、および「コンクリート吹付機」と比較して、粉塵の発生を低減し、モルタルの付着性能を高め、小型・軽量化したヘッド部を作業員が手持ちで移動しながら施工することができ、運転が容易であり、作業能率を高めることができ、粘性が高く、粘着力が強い補修用モルタルに適用することができ、配管内の詰りを防ぎ、モルタルだれを防止できると共に、スポット性を高めることができ、騒音の発生が少なく、粉塵の低減と共に作業環境を改善することができる。
駆動モータ32は、吹付け機本体20と間隔を隔てて位置し、吹付け機本体20内で軸心を中心に回転可能に支持されたインペラ12を回転駆動する。フレキシブルシャフト34は、可撓性を有する細長いシャフトであり、インペラ12と駆動モータ32を連結し、駆動モータ32からインペラ12に回転駆動力を伝達する。このフレキシブルシャフト34は、例えば所望のトルクを伝達可能なワイヤ、コイルバネを用いることができる。またフレキシブルシャフト34として例えば、株式会社昌和発条製作所から市販されているサンエスフレックスシャフトを用いることができる。
背負い子36は、薄肉の軽量金属で構成され、使用者が背負い、その背面に駆動モータ32を取り付けられるようになっている。
また、速度制御器38 は、背負い子36の腰部に取り付けられ、切換スイッチまたは調整ダイヤルで、駆動モータ32の回転速度を制御するようになっている。
この構成により、使用者が背負い子36を背負うことで、駆動モータ32を背負いながら自由に移動でき、かつ速度制御器38で駆動モータ32の回転速度を変化させて、作業中に吹付け方向や回転速度等を容易に調整することができる。
図3乃至図5に示すように、吹付け機本体20は、軸心Z-Zを中心に回転可能なインペラ12と、インペラ12を内部に回転可能に支持しかつその外面を間隔を隔てて囲むケーシング14と、ケーシング14に取り付けられインペラ12の回転中心に向けてモルタルを供給するためのモルタル供給パイプ16とを有する。モルタル供給パイプ16にはフレキシブルパイプ40が連結される。
カップリング26は、この例ではジョースパイダ形カップリングであり、1対の継手本体26aの間に星型の緩衝ゴム26bを把持し、軸方向に3つに分割可能に構成されている。
この構成により、ケーシング14に取り付けられた軸受24a,24bでインペラ12を回転可能に支持したままで、カップリング26によりフレキシブルシャフト34を回転軸22から分離することができる。従って、吹付け後にフレキシブルシャフト34を回転軸22から分離し、吹付け機本体20のみを水等で丸洗いすることができ、容易に清掃ができる。
この構成により、急結剤噴射ノズル28から外部に吹き付けられるモルタルに向けて液体急結剤を噴射し、壁面等に衝突する前にモルタルと液体急結剤を効率よく混合し、モルタルを短時間に硬化させることができる。従って、液体ポリマーを含まない安価なモルタルを用いて、十分な曲げ強度、圧縮強度、および付着強度を得ることができる。
この構成により、使用者が背負い子36を背負うことで、駆動モータ32を背負いながら自由に移動でき、かつ速度制御器で駆動モータの回転速度を変化させて、作業中に吹付け方向や回転速度等を容易に調整することができる。
この構成により、移動台車48をフレキシブルシャフト34又は牽引用の紐またはロッド(図示せず)で引き回すことで駆動モータ32を自由に移動でき、使用者は吹付け本体部のみを保持して作業でき、手持ち部分の重量を大幅に低減できる。
また、インペラ12を間隔を隔ててケーシング14で囲み、このケーシングに、インペラで投射されたモルタルと直接接触しないようにモルタル供給パイプに隣接して設けられた投射口14aを有するので、粘性が高く、粘着力が強い補修用モルタルに適用することができ、配管内の詰りを防ぎ、モルタルだれを防止できる。
図8(A)から、本発明による曲げ強度は、従来の空気吹付けに比較し約13%の強度増が確認された。また、図8(B)から、本発明による圧縮強度は、従来の空気吹付けに比較し約9%の強度増が確認された。さらに、図8(C)から、本発明による付着強度は、従来の空気吹付けに比較し約31%の強度増が確認された。さらに、単位容積質量も従来に比べて約9%増であることが確認された。
従って、本発明によるモルタルは、ポリマーセメントを用いた場合、従来の空気吹付けに比較し、曲げ強度、圧縮強度、付着強度、および単位容積質量のすべてにおいて格段に優れていることが確認された。
図9(A)から、SECモルタルとSEC早強モルタルの曲げ強度は、ポリマーセメントに比較し若干低いが実用可能であることが確認された。また、図9(B)から、SECモルタルとSEC早強モルタルの圧縮強度は、ポリマーセメントに比較し約35%の強度増が確認された。さらに、図9(C)から、SECモルタルとSEC早強モルタルの付着強度は、ポリマーセメントに比較し約20%の強度増が確認された。
従って、本発明によるモルタルは、安価なSECモルタルとSEC早強モルタルを用いを用いた場合でも、ポリマーセメントに比較し、十分な曲げ強度、圧縮強度、および付着強度を有していることが確認された。
4 ケーシング、5 コンクリート供給管、6 コンクリート吐出管、
7 急結剤供給ノズル、8 コンクリート用パイプ、
8a 生コンクリート、9 急結剤、
12 インペラ、12a インペラリング、
13 ブレード、14 ケーシング、14a 投射口、15 サイドフィン、
16 モルタル供給パイプ、16a 吐出口、17 リップシート、18 反射シート、
20 吹付け機本体、21 オイルシール、22 回転軸、
24a,24b 軸受、
26 カップリング(ジョースパイダ形カップリング)、
26a 継手本体、26b 緩衝ゴム、28 急結剤噴射ノズル、
32 駆動モータ、34 フレキシブルシャフト、
36 背負い子、38 速度制御器、
40 フレキシブルパイプ、41 電源、
42 モルタルミキサ、43 モルタルポンプ、
44 液体急結剤ポンプ、45 液体急結剤、
46 電源、48 移動台車
Claims (6)
- 軸心を中心に回転可能なインペラと、該インペラを内部に回転可能に支持しかつその外面を間隔を隔てて囲むケーシングと、該ケーシングに取り付けられインペラの回転中心に向けてモルタルを供給するためのモルタル供給パイプと、前記インペラを一端部に支持し軸心を中心に回転可能な回転軸と、ケーシングに取り付けられ前記回転軸を回転可能に支持する軸受と、前記回転軸の他端部に前記フレキシブルシャフトを着脱可能に取り付けるカップリングとを有する吹付け機本体と、
該吹付け機本体と間隔を隔てて位置し前記インペラを回転駆動するための駆動モータと、
前記インペラと駆動モータを連結し回転駆動力を伝達する可撓性を有する細長いフレキシブルシャフトとを備えことを特徴とするモルタル吹付け機。 - 前記インペラは、回転軸の軸線方向に間隔を隔てた2枚のインペラリングと、その間に周方向に間隔を隔てて取り付けられた複数のブレードとからなり、
前記ケーシングは、前記インペラで投射されたモルタルと直接接触しないように前記モルタル供給パイプに隣接して設けられた投射口を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のモルタル吹付け機。 - 使用者が背負いその背面に前記駆動モータを取り付け可能な背負い子と、該背負い子に取り付けられ駆動モータの回転速度を制御する速度制御器とを備える、ことを特徴とする請求項1に記載のモルタル吹付け機。
- 前記駆動モータを支持し移動可能な移動台車を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のモルタル吹付け機。
- 前記ケーシングに取り付けられ外部に吹き付けられるモルタルに向けて液体急結剤を噴射する急結剤噴射ノズルを備える、ことを特徴とする請求項1に記載のモルタル吹付け機。
- 請求項1乃至5に記載のモルタル吹付け機を用い、圧縮空気なしでコンクリート構造物の補修を行うことを特徴とする補修工法。
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