JP4296099B2 - 免震住宅における外壁部の縁切構造 - Google Patents

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本発明は、免震住宅における基礎と上部構造体との縁切部分の構造に関するものであり、特に、戸建て住宅に設けられる、外壁部における縁切の構造に関するものである。
従来、戸建て住宅等において、積層ゴム支承、転がり支承、滑り支承等により基礎に対して住宅部を相対変位可能にする免震装置を備えた免震建物が知られている。このような免震建物においては、地震発生時に、上部構造体に伝達される振動エネルギーを緩和して、住宅の倒壊並びに、室内の家具等の転倒が防止されるようになっている。そして、このような免震建物に関し、揺れの緩和を図る免震装置に関しては多数の技術が存在しており、多様な手法で免震が行えるようになっている。このため、近年では、基礎と上部構造体との縁切部の構造に着目されるようになってきており、この縁切部の構造に関しては、例えば、水切り部材を配置して床下に水が浸入しないように配慮した技術(特許文献1参照)や、縁切部をカバー等で遮蔽することにより縁切部が外に露出しないようにしたり、縁切部における雨仕舞いとしたりする技術(特許文献2参照)が公開されているものである。
特開2003−293467号公報 特開2001−262864号公報
しかしながら、従来の免震建物における縁切部の構造においては、基礎と上部構造体との縁切部を遮蔽するためにカバーやエキスパンションジョイント等を配置する必要があり、コストの上昇や、施工に手間がかかるという懸念がある。そこで、本発明においては、基礎と上部構造体との縁切部にカバーやエキスパンションジョイント等の遮蔽部材を配置することなく、浸水や昆虫や小動物の侵入を防止することのできる縁切構造を提供するものである。また、特に、戸建て住宅において考慮される、外壁部分について、戸建て住宅としての意匠性を損なわないように配慮した免震住宅を提供するものである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
地盤(10)上に形成された基礎(3)と、該基礎(3)上に配置された免震装置(49)にて免震支承される免震住宅における、住宅部(2)の外壁部の縁切構造において、該外壁部における縁切部(1)に垂れ壁見切り(8)を配置し、該垂れ壁見切り(8)に、床下換気用の換気口(9)と止水部材(6)とを備え、該垂れ壁見切り(8)は、土台梁(4)に取付ボルト(27)にて締結される上板(8b)と、該上板(8b)に固設されるとともに、その下部を屋外側に突出した下板(8a)により管状に形成し、該垂れ壁見切り(8)の下板(8a)の底面に、床下換気用の換気口(9)を開口し、前記止水部材(6)は弾性変形可能な部材により形成され、該垂れ壁見切り(8)の下面であって、該換気口(9)よりも屋内側に、該住宅部(2)の外周に沿って近接した位置に周設され、前記外壁部の下方に位置する基礎(3)の上面より、弾性変形可能な部材により構成した止水板(5)を、該住宅部(2)の外周に沿って鉛直方向に突設配置し、該止水板(5)と止水部材(6)は側面視において重複させ、該止水板(5)は、更に止水部材(6)よりも内側で、近接した位置に周設したものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
地盤(10)上に形成された基礎(3)と、該基礎(3)上に配置された免震装置(49)にて免震支承される免震住宅における、住宅部(2)の外壁部の縁切構造において、該外壁部における縁切部(1)に垂れ壁見切り(8)を配置し、該垂れ壁見切り(8)に、床下換気用の換気口(9)と止水部材(6)とを備え、該垂れ壁見切り(8)は、土台梁(4)に取付ボルト(27)にて締結される上板(8b)と、該上板(8b)に固設されるとともに、その下部を屋外側に突出した下板(8a)により管状に形成し、該垂れ壁見切り(8)の下板(8a)の底面に、床下換気用の換気口(9)を開口し、前記止水部材(6)は弾性変形可能な部材により形成され、該垂れ壁見切り(8)の下面であって、該換気口(9)よりも屋内側に、該住宅部(2)の外周に沿って近接した位置に周設され、前記外壁部の下方に位置する基礎(3)の上面より、弾性変形可能な部材により構成した止水板(5)を、該住宅部(2)の外周に沿って鉛直方向に突設配置し、該止水板(5)と止水部材(6)は側面視において重複させ、該止水板(5)は、更に止水部材(6)よりも内側で、近接した位置に周設したので、基礎と上部構造体との連結部に形成される縁切にカバー等を配置することなく、床下への浸水及び昆虫や小動物の侵入を防止することができる。また、意匠面においても、免震装置を備えていない通常の住宅と遜色のない外観とすることができる。
また、換気口を外部から見えないようにすることができ、免震住宅において外観を向上することができる。
以上のような外壁部における縁切構造により、地震が発生して、基礎に対して住宅部が相対変位した場合においても、前記止水板5及び止水部材6はゴムやスポンジ等の弾性体で構成されているため破損することがなく、元位置に戻った際にも変形したりすることがなく復元する。
また、地震時において基礎に対する上部構造体の相対変位を妨げることもない。
また、地震時による基礎と住宅部の相対変位を妨げることもない。
また、従来のように、縁切部にカバー等を配置することもなく、コスト的にも有利であり、意匠的にも、免震装置を備えていない住宅と遜色のない外観とすることができるのである。
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係る免震住宅の外壁部における縁切構造を示す側面図である。
図2は同じく断面図である。
図3は垂れ壁見切りの構成を示す断面図である。
図4は勝手口における縁切構造を示す正面図である。
図5は同じく側面図である。
図6は勝手口ポーチの構造を示す斜視図である。
図7は玄関ポーチにおける縁切構造を示す断面図である。
図8はピロティにおける縁切構造を示す断面図である。
本発明における免震住宅は、地盤上に形成される基礎上に積層ゴム等のアイソレータからなる免震装置を介して載置され、地盤に対して略絶縁された状態に支承されている。
これにより、上部構造体としての住宅は基礎に対して水平方向に相対変位可能に免震支承されている。
また、本発明において、縁切部とは地盤に形成された基礎及び免震層からなる下部構造体と上部構造体との縁切部であって、地震発生時に地盤とともに振動する基礎部と、該基礎部に対して略絶縁されて振動が緩和される住宅部との連結部を示すものである。
まず、本発明に係る免震住宅における縁切構造に関し、住宅の外壁部における縁切構造について説明する。図1及び図2に示すように、住宅の外壁部においては、地盤10上に形成された基礎3と、図示しない免震装置にて支承された住宅部2の間に縁切部1が形成されている。住宅部2の外壁部は、土台梁4に固定された外壁パネル12と、該土台梁4の下部に取付ボルト27で固設された垂れ壁見切り8から構成されており、前記外壁パネル12と上部外壁パネル15との間の目地には水切板17が取り付けられている。
前記外壁パネル12の左右両端部であって、該パネルの内側(屋内側)方向には固定プレート14を突出しており、該固定プレート14を取付ボルトにより土台梁4に対して締結することで、外壁パネル12が固定されている。また、外壁パネル12の下部は垂れ壁見切り8に対してシール部材13によってシールジョイントされており、浸水が防止される構成としている。
外壁パネル12と上部の外壁パネル15との目地に配される水切板17は、その基部側を土台梁4の上面に固定ボルト29で固定されるとともに、外壁パネル12より外側に向けて下方傾斜して配置されている。また、該水切板17の基部側であって外壁パネル12の内側には止水部材18を配しており、これにより雨水等が外壁内部に侵入することを防止するようにしている。このような水切板17の構成により外壁パネル12を伝って下方に流れる水滴等は、水切板17上面を伝わり、パネル内に滲入することなく外部に排出されるようにしている。
図3に示すように、前記垂れ壁見切り8は土台梁4に取付ボルト27にて締結される断面視L字状の上板8bと、該上版8bに固設されるとともに、その下部を屋外側に突出した下板8aから構成されて管状に形成されている。前記下板8aの底部にはメッシュ状の換気口9が開口されており、該換気口9は住宅部の周囲約0.5mおきに開口されているものであり、該換気口9を介して床下の換気ができるようにしている。また、前記垂れ壁見切り8が固定される土台梁4には通気口4aが設けられており、換気口9から進入した空気は土台梁4の通気口4aを通過して床下に通気して床下の換気が行われるようにしている。また、垂れ壁見切り8の底面の下面であって、換気口9よりも屋内側にはゴムやスポンジ等の弾性を有する材質で形成された止水部材6が住宅部の外周に沿って周設されている。
上記垂れ壁見切り8の下方と、地盤に形成された基礎3の上方との隙間に縁切部1が形成されており、該縁切部1を遮蔽すべく、基礎3の上面には上方向に突設した止水板5を外周に沿って鉛直方向に周設し、側面視において止水板5と止水部材6が重複するように設けている。そして、基礎3上に設けた止水板5と、垂れ壁見切り8の底面に設けた止水部材6によって縁切部1における水切り構造が構成され、これによって、床下への浸水や昆虫等の侵入を防止できるようにしているのである。
以上のような外壁部における縁切構造により、地震が発生して、基礎に対して住宅部が相対変位した場合においても、前記止水板5及び止水部材6はゴムやスポンジ等の弾性体で構成されているため破損することがなく、元位置に戻った際にも変形したりすることがなく復元する。また、地震時による基礎と住宅部の相対変位を妨げることもない。また、従来のように、縁切部にカバー等を配置することもなく、コスト的にも有利であり、意匠的にも、免震装置を備えていない住宅と遜色のない外観とすることができるのである。
次に、勝手口ポーチ部における縁切構造について説明する。図4及び図5に示すように、勝手口ポーチ部における縁切部11は、現場施工により基礎3上に形成されたステップ22と、勝手口25の正面に住宅部の土台梁4から屋外側へ突出して設けられるポーチ部との間に形成されている。
前記ポーチ部ははね出し板23と、該はね出し板23の外側部に固定された化粧カバー30と、はね出し板23の上表面に取り付けられたセメント板24から構成されている。前記セメント板24は押出成形で形成された中空の板状部材で形成されており、軽量且つ十分な重圧に耐え得る剛性を備えているものである。
前記はね出し板23は住宅部に沿って階段部23aを形成しており、該階段部23aの下方にステップ22が位置するように配置されている。図5及び図6に示すように、はね出し板23は、住宅部の土台梁4に対してボルト締結されて外側に突出した3本の腕木32・32・32と、各腕木間に懸架された腕木繋ぎ33・33・・・と、階段部23aを形成する受け板34・34と、該受け板34・34を支持する腕木控え材35・35から構成されている。
前記腕木32・32・32にはそれぞれ腕木繋ぎ33・33・・・を固定するためのステー33a・33a・・・を設けており、該ステーに固定された腕木繋ぎ33・33・・・上に前記セメント板24が配されるようにしている。また、前記受け板34・34は一方側の腕木32に固定されてL字状に形成されており、その屈曲部分と中間位置の腕木32との間に腕木控え材35が懸架されて剛性の強化が図られている。これにより、受け板34上に重圧がかかった場合にも撓むことを防止できるのである。なお、該受け板34上にもセメント板24が配されるものである。
前記化粧カバー30は前記はね出し板23の側部を覆うように設けられており、はね出し板の上下長より長く形成されている。該化粧カバー30の底部と前記ステップ22との隙間は7mm程度に設計されており、外観上では隙間間隔をほとんど感じさせないように構成されている。そして、該隙間部分を勝手口ポーチ部における縁切部11としており、地震発生時においては住宅部とポーチ部とが一体的に動作して、基礎3部分に対して引っ掛かりがなく容易に相対変位できるようにしているものである。
また、前記ポーチ部が形成される位置における住宅部2と基礎3との隙間部の構成は、前述の外壁部における縁切構造と同様に構成されており、該隙間部において、床下換気や床下への浸水及び昆虫等の侵入を防止できる構成としている。また、ポーチ部の上面の高さ位置を水切板17の高さ位置と略一致するよう配置し、ポーチ部を水切板17に対して隙間を設けて配置していることで、外壁パネル15を伝って流れる水滴等は水切板17上を伝い隙間部から地盤上へ流れるのである。
以上のように、勝手口ポーチ部における縁切構造を構成したので、縁切部をカバー等で遮蔽することがなく、通常の住宅と外観上変化ない構成とすることができる。また、地震発生時において、引っ掛かりがなく、地盤に対して住宅部が円滑に相対変位できるのである。
次に、玄関ポーチ部における縁切構造について説明する。図7に示すように、玄関ポーチ部における縁切21は、現場施工により基礎3上に形成されるステップ46と、玄関ドア42の正面外側に設けられる玄関ポーチ45との間に形成されている。
前記ステップ46は基礎3上にモルタルを塗り、その上にタイルを施して形成されており、該ステップ46は地盤上に一体に構成されており、地震発生時には地盤とともに振動するものである。また、前記玄関ポーチ45は、デッキプレート上にコンクリート、モルタル、タイルを施して成形されており、玄関ドア42内の玄関40と一体のデッキ47で構成され、住宅の本体部分に取付けられている。前記玄関ドア42の下方位置におけるデッキ47にはコンクリート部分に支持梁43を内設しており、該支持梁43により玄関ポーチ45と玄関40とを連結して一体に構成できるようにしている。
玄関ドア42内側は、玄関40を介して住宅内のフロア39となっており、該フロア39は土台梁4上に配された合板や断熱材の上部に床板を貼って構成されている。
また、一体のデッキ47で構成された玄関40と玄関ポーチ45とは、住宅本体部分の土台梁4に固定されて支持されるとともに、基礎3上に配置された免震装置49にて玄関ポーチ45下方位置で支承されており、玄関ポーチ45上に重圧がかかった場合にも撓んだりすることがない。前記デッキ47の玄関ポーチ45先端部分には支持梁44が内設されており、該支持梁44によって玄関ポーチ45の補強を図っているものである。
そして、前記玄関ポーチ45と前記ステップ46とは階段状に配置され、前記ステップ46上面と玄関ポーチ45底面との間に僅かな隙間が形成されており、該隙間部において玄関ポーチ部における縁切21が形成されている。なお、玄関ポーチ45は支持梁44と免震装置49によって支持されて撓むことがないため、該縁切21において、玄関ポーチ45とステップ46とが当接することはなく、地震発生時においても円滑に相対変位が可能となるのである。
また、玄関ポーチ45先端部下方における基礎の上面には止水板5が配置されており、免震装置49が配される免震層内に水が浸入しないように配慮されているものである。また、免震装置の土台となる基礎3内には水抜きパイプ37を設けており、免震層内に水が浸入した場合においても、該水抜きパイプ37から地盤上に排水することができるものである。
以上のように、玄関ポーチ部における縁切構造を構成したので、縁切部をカバー等で遮蔽することなく、床下への水の浸入や昆虫や小動物の侵入を防止することができ、また、縁切における隙間間隔が僅かであるため、外観上では目立つことがなく、戸建て住宅としての意匠性を損なうおそれもないものである。
次に、ピロティにおける縁切構造について説明する。図8に示すように、ピロティにおける縁切31は、ピロティ60におけるデッキ53と基礎3との間に形成されている。前記デッキ53はデッキプレート54上にコンクリート層53a、モルタル層53bを設け、その表面にタイル貼り53cを施して形成されている。該デッキ53の基部側は住宅本体の土台梁に支持されるとともに、その外側部は支持梁52によって支持されている。そして、該支持梁52は、前記デッキプレート54を支持するとともに、モルタル受板55を支持することでデッキ53を支持している。
また、前記デッキ53の角部にはピロティ柱50が配されており、該ピロティ柱50は前記支持梁52の上面にボルト等で締結されているものである。該ピロティ柱50の表面上には化粧が形成されており、該ピロティ柱50と前記デッキ53との連結部においてはシール部材56によってシーリングが施されている。また、前記支持梁52の下方位置に配された基礎3の上面には止水板5を配置しており、該止水板5によってピロティ下部への浸水を防止している。
以上のように、ピロティにおける縁切構造を構成したので、縁切部にカバー等を配することなく、床下への浸水を防止することができ、意匠面においても、通常の住宅と変化ない免震住宅とすることができるのである。
本発明に係る免震住宅の外壁部における縁切構造を示す側面図。 同じく断面図。 垂れ壁見切りの構成を示す断面図。 勝手口における縁切構造を示す正面図。 同じく側面図。 勝手口ポーチの構造を示す斜視図。 玄関ポーチにおける縁切構造を示す断面図。 ピロティにおける縁切構造を示す断面図。
1・11・21 縁切
2 住宅
3 基礎
4 土台梁
5 止水板
6 止水部材
8 垂れ壁見切り
9 換気口
10 地盤
23 はね出し板
45 玄関ポーチ
60 ピロティ

Claims (1)

  1. 地盤(10)上に形成された基礎(3)と、該基礎(3)上に配置された免震装置(49)にて免震支承される免震住宅における、住宅部(2)の外壁部の縁切構造において、該外壁部における縁切部(1)に垂れ壁見切り(8)を配置し、該垂れ壁見切り(8)に、床下換気用の換気口(9)と止水部材(6)とを備え、該垂れ壁見切り(8)は、土台梁(4)に取付ボルト(27)にて締結される上板(8b)と、該上板(8b)に固設されるとともに、その下部を屋外側に突出した下板(8a)により管状に形成し、該垂れ壁見切り(8)の下板(8a)の底面に、床下換気用の換気口(9)を開口し、前記止水部材(6)は弾性変形可能な部材により形成され、該垂れ壁見切り(8)の下面であって、該換気口(9)よりも屋内側に、該住宅部(2)の外周に沿って近接した位置に周設され、前記外壁部の下方に位置する基礎(3)の上面より、弾性変形可能な部材により構成した止水板(5)を、該住宅部(2)の外周に沿って鉛直方向に突設配置し、該止水板(5)と止水部材(6)は側面視において重複させ、該止水板(5)は、更に止水部材(6)よりも内側で、近接した位置に周設したことを特徴とする免震住宅における外壁部の縁切構造。
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