JP4295256B2 - 光ファイバデバイス - Google Patents
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Description
このような光ファイバデバイスにおいては光ファイバ端面で反射して光ファイバに再入射する反射戻り光は雑音の原因となることから、そのような反射戻り光を低減することが性能上、重要な問題となっている。
また、特許文献2には特許文献1と同様、可動ミラーにより光路切り替えを行う光ファイバデバイスにおいて、反射戻り光を低減すべく、光ファイバの端面に斜め研磨を施すことが記載されている。
一方、光ファイバ先端間に光機能素子を配置する光ファイバデバイスにおいては、光ファイバ先端にレンズを備えることにより、光機能素子に照射される光スポットサイズを縮小したり、光機能素子までのワーキングディスタンスを変える自由度を持たせることが行われている。特許文献4には光ファイバの端面に屈折率が一様なスペーサを接続し、そのスペーサの他端面にグレーデッドインデックス光ファイバを接続することで、上述の光スポットサイズやワーキングディスタンスを互いに独立して可変できるようにした構成が記載されている。
これに対し、光ファイバ端面の斜め研磨は反射光の光ファイバへの再入射を抑制するものであって、反射結合損失は60dBに達し、光ファイバデバイスにとって十分な値が得られる。しかしながら、光ファイバ端面を斜めに研磨するといった工程が必要であって、この研磨工程のコストに加え、この斜め研磨された光ファイバ端面からは光が斜めに出射するため、それに対応する光結合系の設計や調芯作業が複雑・困難になり、また光が斜めに出射することによって諸制約が生じる不利がある。加えて、透過光の効率の点で上述の反射光そのものを低減する方法に比べて劣るという欠点もある。
なお、光ファイバ端面を斜め研磨せず、反射戻り光の十分な低減作用のある光ファイバ端末構造として、コアを直接球面にした先球光ファイバがあるが、ワーキングディスタンスが極めて短く、また出射光のビームウエスト径も極めて小さく、これらの点で光学系の設計自由度が小さいといった欠点がある。加えて、そのような3次元的形状を正確に制御して形成することは容易ではなく、その点でコストがかかるものとなっている。
この発明の目的は上述したような状況に鑑み、端面斜め研磨を用いることなく、反射戻り光を十分に低減できるようにし、よって良好な性能を有し、かつ安価に構成することができる光ファイバデバイスを提供することにある。
請求項4の発明では請求項1乃至3のいずれかの発明において、ロッドレンズが短尺のスペーサを介してシングルモード光ファイバの先端に接続され、スペーサはシングルモード光ファイバと同一径で屈折率が一様な光ファイバよりなるものとされる。
請求項5の発明では請求項1乃至3のいずれかの発明において、シングルモード光ファイバと、それに具備されるロッドレンズとが間隔を隔てて同一の溝上に搭載固定され、上記間隔に屈折率整合剤が充填されているものとされる。
また、反射戻り光の低減対策として従来用いられていた光ファイバ端面の斜め研磨や先球加工といった面倒でコストがかかり、かつ光結合系の設計に制約が生じる方法と異なり、垂直端面のままで所要の性能を実現できるため、その点で安価な光ファイバデバイスを実現することができる。
図1はこの発明の一実施形態における2本のシングルモード光ファイバの端末構造、配置関係及び光の軌跡を模式的に示したものであり、2本のシングルモード光ファイバ11の先端にはそれぞれ短尺のスペーサ12を介してロッドレンズ13が接続されており、それらロッドレンズ13の先端面が互いに対向配置されている。
スペーサ12はこの例ではシングルモード光ファイバ11と同一径で屈折率が一様な光ファイバよりなるものとされ、ロッドレンズ13はシングルモード光ファイバ11と同一径の短尺グレーデッドインデックス光ファイバよりなるものとされる。対向配置された2つのロッドレンズ13は同一の屈折率分布を有するものとされる。
(1)スペーサ12用の光ファイバとロッドレンズ13用のグレーデッドインデックス光ファイバとをそれぞれ長尺のまま融着接続する。
(2)スペーサ12用の光ファイバを例えば応力切断器を用いて所定の長さに切断し、短尺化してスペーサ12を構成する。
(4)ロッドレンズ13用のグレーデッドインデックス光ファイバを例えば応力切断器を用いて所定の長さに切断し、短尺化してロッドレンズ13を構成する。これにより、図1に示したようなシングルモード光ファイバ11の端末構造が完成する。
この図1に示したような構成において、一方のシングルモード光ファイバ11を伝播してきた光はスペーサ12及びロッドレンズ13を伝播してロッドレンズ13の先端面から出射し、対向する他方のロッドレンズ13の先端面に入射してロッドレンズ13及びスペーサ12を伝播し、他方のシングルモード光ファイバ11に至る。図1中、実線はこのように伝播する透過光の軌跡を示したものであり、破線は透過光の出射側のロッドレンズ13の先端面(出射端面)で反射された反射光1の軌跡を示す。
これに対し、図2は比較例としてロッドレンズ13の先端面から出射する光(透過光)が平行光となるようにロッドレンズ13の長さが規定され、つまりロッドレンズ13の先端面の位置が規定されている場合を示したものであり、この図2の場合、反射光1はほぼ全てシングルモード光ファイバ11に再入射してしまう。
この図3におけるシミュレーション曲線の極大点はロッドレンズ13の先端面が上述した「中点」に位置された場合であり、ロッドレンズ13の先端面をこのように「中点」に位置させた場合、反射光の大きな結合損失を得ることができ、つまり反射戻り光の低減において最適点となる。なお、この図3よりスペーサの長さを長くすることで、より大きな結合損失が得られることがわかる。
即ち、図1では図示を省略しているが、ロッドレンズ13の先端面には無反射多層膜(反射防止膜)が形成されているものとされ、この無反射多層膜と上述したようなロッドレンズ13の先端面の位置規定とを併用することによって、この例では反射戻り光の低減を図るものとなっている。以下、この点について説明する。
一方のシングルモード光ファイバ11の先端に設けられたロッドレンズ13から出射した光は境界条件のない空間を図1に示したように光ビームのフィールド径を縮小させながら伝播してある距離でビームウエストを形成し、そのビームウエストを中心に再び対称にフィールド径が拡大する光ビームを形成する。通常はビームウエストの位置に光機能素子を配置して、ロッドレンズ13からビームウエストまでの距離がワーキングディスタンスとなる。
図4は上述したような構成とされてスペーサ12及び先端面に無反射多層膜が形成されたロッドレンズ13を端末に具備する2本のシングルモード光ファイバ11間に光機能素子として可動ミラー21が配置された光ファイバデバイスを示したものである。可動ミラー21はビームウエスト位置に配置され、光路への挿入位置で光ビームを遮断する際に反射光が光ファイバに戻らないよう、ミラー面は斜めとされている。
図5は光機能素子として光フィルタ22を有する光ファイバデバイスを示したものであり、光フィルタ22は光学多層膜よりなり、基板23上に成膜形成されている。なお、この例では光フィルタ22を形成した基板23を反射対策として光路に対し斜めに固定すると、透過光は軸ズレするので、対向する2つのシングルモード光ファイバ11の端末は一直線上に整合されず、基板23中に偏向を受けて形成されるビームウエストを中心に対称な位置に2つのロッドレンズ13の先端面が図5に示したように配置される。
以上、説明した光ファイバデバイスにおいては、シングルモード光ファイバ11とロッドレンズ13との間にスペーサ12を設けているが、スペーサ12は必ずしも設けなくてもよい。しかしながら、このようなスペーサ12を具備することにより、光スポットサイズやワーキングディスタンスに関して高い自由度を得ることができ、さらにより大きな反射光の結合損失を得ることができる。
さらに、スペーサ12に替え、シングルモード光ファイバ11とロッドレンズ13との間に屈折率整合剤が存在するような構成とすることもできる。この場合は例えばV溝等の位置決め溝を形成した基板を用意し、その溝にシングルモード光ファイバ11の端部とロッドレンズ13とを所定の間隔を隔てて搭載して例えばUV(紫外線硬化型)接着剤で固定し、上記間隔に屈折率整合剤を充填する構造とすればよい。なお、この場合の好適な構成は例えば基板上に両シングルモード光ファイバ11、ロッドレンズ13及び光機能素子その他必要な部品を搭載し、その基板を基板ごと屈折率整合剤に浸漬して光路となる空隙に屈折率整合剤が全て充填されるようにして封止するようにすればよく、これによってロッドレンズ13の先端面の無反射多層膜の形成を不要とすることができる。
Claims (5)
- 先端が互いに対向配置されて光結合される2本のシングルモード光ファイバと、それら先端間に介在される光機能素子とを有する光ファイバデバイスであって、
上記2本のシングルモード光ファイバはそれぞれ先端にロッドレンズを具備し、それらロッドレンズの先端面にそれぞれ無反射多層膜が形成されている光ファイバデバイスにおいて、
上記2つのロッドレンズは同一の屈折率分布を有し、共に、そのロッドレンズを具備する上記シングルモード光ファイバから出射されてロッドレンズの内部を伝播する光のモードフィールド径が極大をなす位置と、そのロッドレンズが軸方向に延長されていると仮定した場合にその伝播光の伝播方向においてモードフィールド径が上記極大の次に極小となる位置との略中点に、上記先端面が上記軸と垂直に形成されており、
上記両先端面は一方の先端面から外部へ出射した光がビームウエストを形成する点に対して対称に配置されており、
上記ロッドレンズは短尺のスペーサを介して上記シングルモード光ファイバの先端に接続され、
上記スペーサは上記シングルモード光ファイバと同一径で屈折率が一様な光ファイバよりなることを特徴とする光ファイバデバイス。 - 先端が互いに対向配置されて光結合される2本のシングルモード光ファイバと、それら先端間に介在される光機能素子とを有する光ファイバデバイスであって、
上記2本のシングルモード光ファイバはそれぞれ先端にロッドレンズを具備し、それらロッドレンズの先端面及び上記光機能素子が屈折率整合剤中に浸漬されている光ファイバデバイスにおいて、
上記2つのロッドレンズは同一の屈折率分布を有し、共に、そのロッドレンズを具備する上記シングルモード光ファイバから出射されてロッドレンズの内部を伝播する光のモードフィールド径が極大をなす位置と、そのロッドレンズが軸方向に延長されていると仮定した場合にその伝播光の伝播方向においてモードフィールド径が上記極大の次に極小となる位置との略中点に、上記先端面が上記軸と垂直に形成されており、
上記両先端面は一方の先端面から外部へ出射した光がビームウエストを形成する点に対して対称に配置されており、
上記ロッドレンズは短尺のスペーサを介して上記シングルモード光ファイバの先端に接続され、
上記スペーサは上記シングルモード光ファイバと同一径で屈折率が一様な光ファイバよりなることを特徴とする光ファイバデバイス。 - 先端が互いに対向配置されて光結合される2本のシングルモード光ファイバと、それら先端間に介在される光機能素子とを有する光ファイバデバイスであって、
上記2本のシングルモード光ファイバはそれぞれ先端にロッドレンズを具備し、それらロッドレンズの先端面にそれぞれ無反射多層膜が形成されている光ファイバデバイスにおいて、
上記2つのロッドレンズは同一の屈折率分布を有し、共に、そのロッドレンズを具備する上記シングルモード光ファイバから出射されてロッドレンズの内部を伝播する光のモードフィールド径が極大をなす位置と、そのロッドレンズが軸方向に延長されていると仮定した場合にその伝播光の伝播方向においてモードフィールド径が上記極大の次に極小となる位置との略中点に、上記先端面が上記軸と垂直に形成されており、
上記両先端面は一方の先端面から外部へ出射した光がビームウエストを形成する点に対して対称に配置されており、
上記シングルモード光ファイバと、それに具備される上記ロッドレンズとが間隔を隔てて同一の溝上に搭載固定され、
上記間隔に屈折率整合剤が充填されていることを特徴とする光ファイバデバイス。 - 先端が互いに対向配置されて光結合される2本のシングルモード光ファイバと、それら先端間に介在される光機能素子とを有する光ファイバデバイスであって、
上記2本のシングルモード光ファイバはそれぞれ先端にロッドレンズを具備し、それらロッドレンズの先端面及び上記光機能素子が屈折率整合剤中に浸漬されている光ファイバデバイスにおいて、
上記2つのロッドレンズは同一の屈折率分布を有し、共に、そのロッドレンズを具備する上記シングルモード光ファイバから出射されてロッドレンズの内部を伝播する光のモードフィールド径が極大をなす位置と、そのロッドレンズが軸方向に延長されていると仮定した場合にその伝播光の伝播方向においてモードフィールド径が上記極大の次に極小となる位置との略中点に、上記先端面が上記軸と垂直に形成されており、
上記両先端面は一方の先端面から外部へ出射した光がビームウエストを形成する点に対して対称に配置されており、
上記シングルモード光ファイバと、それに具備される上記ロッドレンズとが間隔を隔てて同一の溝上に搭載固定され、
上記間隔に屈折率整合剤が充填されていることを特徴とする光ファイバデバイス。 - 請求項1乃至4記載のいずれかの光ファイバデバイスにおいて、
上記ロッドレンズが上記シングルモード光ファイバと同一径の短尺グレーデッドインデックス光ファイバよりなることを特徴とする光ファイバデバイス。
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