JP4294397B2 - イオン除去用カートリッジフィルタ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種液体の精密濾過に使用されるプリーツ型濾過体を備えたカートリッジフィルタに係り、特に液体中に含まれる有害イオンを捕捉除去するイオン除去用カートリッジフィルタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カートリッジフィルタは、図4に示すように、多数の孔を有する円筒形のコア10と、このコアの外周に配したプリーツ型濾過体11と、これらを収納した多孔性の外周カバー12と、外周カバー12の上下端に液密に封着した上エンドプレート13と下エンドプレート14とを備えて成る(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−99307号公報(第2頁第1欄−第2欄)
【0004】
また、イオン除去用カートリッジフィルタは次の方法により製造されている。すなわち、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布等からなる濾過材11aに浸漬処理又はコーティング処理などによりイオン交換樹脂を接着バインダーによって固定した後、内面サポート材11bと外面サポート材11cとを重ね合わせた基材シートを形成する(図5)。次に、この基材シートに一定ひだ幅のプリーツ加工を施し、この基材シートをコアの外径に対応する寸法に裁断して、ひだがコアの径方向になるようにコアの外周に配して合わせ目を液密に接着してプリーツ型濾過体11を形成した後、外周カバー12に収納する。そして、外周カバー12の両端に上、下エンドプレート13、14を液密に封着して、イオン除去用カートリッジフィルタを製造している。
【0005】
従来技術によるカートリッジフィルタは、粒子径の異なるイオン交換樹脂粉体15が、図6に示すように、濾過体11aの内部及び両面全体にわたって混在した状態となる。しかし、カートリッジフィルタで処理される液体(以下、被処理液という)は、プリーツ型濾過体の流入側から流出側に均等に流れず、コア側に位置するプリーツの谷部分に集中して最も多く流れる。
よって、プリーツの山部分にあるイオン交換樹脂粉体はその機能を十分に発揮せず、有害イオンの除去効率がイオン交換樹脂粉体の付着量に比例して向上しないという問題がある。
【0006】
また、従来技術の方法によるときは、イオン交換樹脂粉体をプリコートした基材シートでプリーツ型濾過体を成形しているから、同一の有害イオンを除去するカートリッジフィルタを大量に製造する少品種多ロット生産に適している。
しかし、この種カートリッジフィルタは種々の産業分野において広く使用されており、除去対象有害イオンは被処理液によってそれぞれ異なっている。
よって、除去対象有害イオンが異なるカートリッジフィルタを製造する多品種少ロット生産には適さず、生産効率が非常に悪くなるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、従来技術の問題を解決するためになしたものであり、被処理液の流れに対応して十分に機能を発揮するようにイオン除去粉体を分布して有害イオンを効率的に除去可能にし、また除去対象有害イオンが異なるカートリッジフィルタを生産効率を低下することなく多品種少ロットでも生産可能にすることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明であるイオン除去用カートリッジフィルタは、多数の孔を有する円筒形のコアの外周に、少なくとも二枚のサポート材間に濾過材を挟んでひだ折りして周着したプリーツ型濾過体を備えたカートリッジフィルタであって、上記プリーツ型濾過体は、フィルタ吸引方向からの吸引力によってイオン捕捉粉体を付着させたことにより、流出側に位置するプリーツの谷部分の内部及び表面にはイオン捕捉粉体が密の状態に、かつ流入側に位置する山部分の内部及び表面にはイオン捕捉粉体が粗の状態に固着して成ることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
ここで、イオン捕捉粉体とは、被処理液中の金属イオンを捕捉除去する機能を有する粉体を意味し、具体的には、イオン交換樹脂、活性炭、ゼオライト、光触媒、キレート粉体、帯電物質、有機吸着剤、無機吸着剤などの粉体である。
【0010】
この手段によれば、イオン捕捉粉体が、プリーツ型濾過体を通過する被処理液の流量に対応するように分布しているから、その機能が十分に発揮される。
【0011】
この発明において、濾過材の細孔径分布としては、0.5μm〜50μmの範囲である構成(請求項2)が好適である。というのは、0.5μm未満になるとイオン捕捉粉体の固着による初期圧力損失が大きくなりすぎて実用に不適となり、50μmを越えると被処理液がイオン交換樹脂粉体に接触せずに流れ易くなって、金属イオンの除去効率が低下する傾向になるからであり、より好ましい細孔径分布の範囲としては2μm〜15μmである。なお、細孔径分布はバブルポイント法(JISK3832)に基づいた測定装置(例えば、米国PMI社の製品名Perm−Porometer、以下パームポロメータという)で測定した数値である。
【0012】
また、濾過材の細孔径分布が0.5μm〜50μmの範囲で、かつ流入側から流出側に小さくなる密度勾配であり、イオン捕捉粉体の最小粒子径が濾過材の最小細孔径より大である構成(請求項3)が好適である。このようにすると、比較的大きい粒子径から微小な粒子径のイオン捕捉粉体が濾過体の流入側から流出側にむかってその細孔径分布に対応して固着する。
よって、被処理液が濾過材を略均等に通過して、イオン除去粉体と十分に接触し、有害イオンの除去効率がより一層向上する。また、濾過材が比較的厚いときでも、イオン捕捉粉体を厚さ方向に大から小に整列して固着する。
【0013】
次に、第2の発明であるイオン除去用カートリッジフィルタの製造方法は、多数の孔を有する円筒形のコアの外周に、少なくとも二枚のサポート材間に濾過材を挟んでひだ折りして周着した濾過体を備えたプリーツ型カートリッジフィルタを、イオン捕捉粉体を含有する処理溶液を入れた液槽内に浸漬して、フィルタ吸引方向から処理溶液を吸引して濾過体にイオン捕捉粉体を通過させることで、濾過体にイオン捕捉粉体を付着させる工程を有して成る(請求項4)。
【0014】
この場合、イオン捕捉粉体の付着と固着を同時に行うときは、工程が削減し、生産効率が向上するという利点がある。しかし、処理溶液中にバインダー樹脂を含有すると粘度が高くなり、イオン捕捉粉体がプリーツ型濾過体の山部分と谷部分に所定量分布して付着し難くなる傾向になる。
よって、イオン捕捉粉体の分布状態や付着量の調整の点を考慮すると、イオン捕捉粉体の濾過体への付着工程と固着工程を順次行うほうがより好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1において、カートリッジフィルタFは、多数の孔を有する円筒形のコア1と、このコア1の外周に配したプリーツ型濾過体2と、これらを収納した多孔性の外周カバー3と、外周カバー3の上下端に液密に封着した上エンドプレート4と下エンドプレート5とを備えて成る。なお、図中6は流出口である。
【0017】
上記プリーツ型濾過体2は、濾過材2aの両面に内面サポート材2b(流出側)と外面サポート材2c(流入側)とを重ね合わせて所定寸法に裁断して所定寸法のひだ幅のプリーツ加工を施し、コア1の外径に合わせて必要山数を裁断してひだを径方向にしてコア1の外周に配して合わせ部分を液密に接着して周着して成る。
【0018】
また、プリーツ型濾過体2には、図2に示すように、イオン交換樹脂粉体7が流出側bに位置するプリーツの谷部分の内部及び表面に比較的密の状態に、また流入側aに位置する山部分の内部及び表面に比較的粗の状態に固着して成る。
【0019】
上記濾過材2aとしては、カートリッジフィルタ使用時において、被処理液の流量の減少を抑制して初期圧力損失の上昇を少なくする点を考慮すると、メルトブロー不織布及び/又はスパンボンド不織布が好適である。
また、その細孔径分布は、パームポロメータで測定した数値が0.5μm〜50μmの範囲、好ましくは2μm〜15μmの範囲であり、流入側から流出側に密度勾配でないものでもよいが、イオン交換樹脂粉体の平均粒子径を考慮すると、細孔径が流入側から流出側にかけて漸進的に大から小にした密度勾配のものが好適である。このようにすると、粒子径の異なるイオン交換樹脂粉体がその粒子径に見合った細孔径のところに、濾過材の流入側から流出側にかけて略整列して固定される。
よって、プリーツ型濾過体を通過する被処理液は、流入側から流出側に均整に流れて濾過され、有害イオンの除去効率をより一層高めることができる。
【0020】
内面サポート材2bはスパンボンド不織布で構成し、また外面サポート材2cはネット又はスパンボンド不織布が好適である。外面サポート材はプリーツ加工された濾過材の密着を防止することを目的とするので、その細孔径については特に特に限定されないが、濾過材2aの細孔径分布を考慮すると、外面サポート材2cのスパンボンド不織布の最小細孔径は濾過材2aの流入側の細孔径と同一又は大にするのがより好ましい。
【0021】
メルトブロー不織布、スパンボンド不織布の構成繊維としては、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素、アクリル、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニリデンなどを単独で又は適宜選択した複数種類を混合して用いることができるが、極性溶液に対する耐薬品性などを考慮すると、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維やフッ素繊維を用いるのが望ましい。
【0022】
次に、イオン捕捉除去機能を有するプリーツ型濾過体を備えたカートリッジフィルタの製造方法ついて、図3に基づいて説明する。
図3(a)はイオン交換樹脂粉体を付着するのに用いる第一処理溶液の吸引装置の一例を示す概略構成図である。この吸引装置は、溶剤(例えば、トルエン)にイオン交換樹脂粉体を分散した第一処理溶液S1を入れた液槽Aと、第一処理溶液の循環経路となるように配設したて合成樹脂製の管Tと、循環経路の一部に設けた第一処理溶液を吸引するポンプP(例えば、ダイヤフラムポンプ)と、第一処理溶液を攪拌する攪拌機Uとから成る。
まず、所定形状に成型したカートリッジフィルタF1を第一処理溶液S1中に浸漬し、液中で上エンドプレートの流出口6に管Tの一端を直接又は治具を介して接続した後、電源(図示省略)を入れるとポンプPと攪拌機Uとが作動する。そして、液槽A内の第一処理溶液S1が、攪拌機Uによって絶えず攪拌され、ポンプPの吸引力によって液槽A−プリーツ型濾過体−コア−流出口6−管T−液槽Aを循環して流れる。
よって、第一処理溶液S1中に分散したイオン交換樹脂粉体がプリーツ型濾過体を通過する第一処理溶液の流量に応じてプリーツの谷部分と山部分にムラを生ずることなく付着したカートリッジフィルタF2が得られる。なお、ポンプPの吸引量を変化させることによって、プリーツ型濾過体を通過する第一処理溶液の流量を変化させることができる。
【0023】
次に、図3(b)はプリーツ型濾過体に付着したイオン交換樹脂粉体を固着するのに用いる第二処理溶液の吸引装置の一例を示す概略構成図である。この吸引置は、バインダー樹脂を溶媒(例えば、トルエン)で溶解した第二処理溶液S2を入れた液槽Bと、第二処理溶液を回収する回収槽Cと、これらを接続する管Tと、管路の一部に設けた第二処理溶液を吸引するポンプP(例えば、ダイヤフラムポンプ)とから成る。
上記工程で作製したカートリッジフィルタF2を第二処理溶液S2内に浸漬し、流出口6に管Tの一端を直接又は治具を介して接続した後、電源(図示省略)を入れるとポンプPが作動する。
よって、第二処理溶液S2が液槽B−プリーツ型濾過体−コア−流出口6−管T−回収槽Cに流れて、プリーツ型濾過体に付着したイオン交換樹脂粉体をバインダー樹脂で固着したカートリッジフィルタが得られる。
【0024】
上記工程を経て作製されたカートリッジフィルタは、所定温度(例えば、60℃)に調整された乾燥機に入れて、第二処理溶液が偏らないようにして溶剤を蒸発させる。次に、固定したイオン交換樹脂が、陽イオン交換樹脂のときは、塩酸・硫酸などの酸で処理してイオン形をNa形から99.5%以上H形にし、陰イオン交換樹脂のときは、水酸化ナトリウムなどのアルカリで処理してC1形から99.5%以上OH形に再生形にする。その後、純水にて洗浄した後、乾燥処理により水分を除去して、所望のカートリッジフィルタを製造する。
【0025】
ところで、これらの場合において、イオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂単独又は再生時H形タイプのキレート樹脂との混合もしくは陰イオン交換樹脂単独又は再生時OH形タイプのキレート樹脂との混合を除去対象金属イオンの種類によって適宜選択して用いることができる。また、混合するときの配合比は、被処理液の内容(イオン濃度・除去するイオンの種類など)によって設定し、濾過テストにより決定する。
【0026】
また、粉砕したイオン交換樹脂粉体は,その粒子径の下限が濾過材の最小細孔径より大きくなるように粒子径の範囲を決定し、その平均粒子径としては、細かいほど粉体の表面積が増し、反応性が高くなる点を考慮すると、2μm〜70μm、好ましくは5μm〜40μm、さらに好ましくは10μm〜30μmの範囲である。
【0027】
イオン交換樹脂の種類として、具体的には、次のものを用いることができる。強酸性陽イオン交換樹脂としては、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体でスルホン基(−SO3 - ) を交換基とするタイプである。また、弱酸性陽イオン交換樹脂としては、メタクリル酸・ジビニルベンゼン共重合体でカルボン酸(−COOH)を交換基とするタイプ、アクリル酸・ジビニルベンゼン共重合体でカルボン酸を官能基とするタイプなどである。
キレート樹脂としては、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体にイミノ二酢酸(−N=(CH2 COO)2 M)を持つタイプ、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体に官能基としてポリアミンを持つポリアミンタイプ及びスチレン・ジビニルベンゼン共重合体にグルカミン基を持つグルカミンタイプなどである。
強塩基性陰イオン交換樹脂としては、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体に第四アンモニウム塩基(−N(−CH3 )3 ・X)を持つタイプ及びジメチルエタノールアンモニウム基(−N(−CH3 )2 −C2 H4 OH・X)を持つタイプなどである。
【0028】
バインダー樹脂としては、一般的に熱可塑性樹脂であるエチレン・ブテン共重合体やエチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・アクリル酸エステル・無水マレイン酸3元共重合体、エチレン・グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン・グリシジルメタクリレートターポリマーのようなエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂、フッソ系樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)やスチレン・ブタジエン・スチレン・スチレン(SBBS)のようなスチレン系樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂(脱オキシムタイプ、脱アルコールタイプ及び付加タイプ)を単独又は2種類以上を混合した状態で用いるのが好適である。
【0029】
これらの樹脂によるときは、有機溶媒に可溶であるから、有機溶媒の蒸発に伴ってバインダー樹脂に多数の微細孔が形成され、被処理液が微細孔を通じてイオン交換樹脂と接触し、イオン交換反応を効率的に行うことができる。
また、上記バインダー樹脂の中でも特にオレフィン系樹脂、中でもポリオレフィン樹脂、その中でもポリエチレン樹脂が有利である。というのは、ポリオレフィン樹脂は、フィルム皮膜の柔軟性の点で優れ、またカートリッジフィルタの洗浄工程などで使用する極性溶媒や電子工業用原料の希釈などに用いる有機溶媒、例えばNMP(Nメチル2ピロリドン)やMEA(モノエタノールアミン)、ハイドロフルオルエーテル(住友スリーエム社製)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)及びGBL(γ−ブチロラクトン)に対して、溶解や膨潤などの物理変化が殆どなく、安定した性能を発揮することができるからである。
【0030】
第一処理溶液におけるイオン交換樹脂粉末と溶剤(例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノールなど)との配合比率(重量比)は、溶媒中の粉末の分散性、濾過材への付着均一性、作業性(加工時間)などを考慮すると、イオン交換樹脂粉末を0.5g/l〜3.0g/l、好ましくは1.0g/l〜2.0g/lの範囲である。
また、濾過体に対するイオン交換樹脂粉末の付着量は、プリーツ型濾過体の濾過材の厚み、ピッチ、濾過面積などにより適宜設定するが、実用的な範囲としては、濾過材の繊度や目付によっても異なるが、重量比で、濾過材の不織布100部に対して、イオン交換樹脂粉末を50部〜200部、好ましくは80部〜100部の範囲である。
【0031】
【実施例】
以下、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、各実施例において、プリーツ型濾過体の濾過シートを構成する不織布の細孔径分布は、パームポロメータを用いて測定した。カートリッジフィルタ(径:254mm)は、多孔性コア(径32mm×高さ240mm)、プリーツ型濾過体(ひだ幅10mm、山数125山)、外周カバー(径70mm×高さ230mm)、上部エンドプレート(中央に処理液流出口あり)及び下部エンドプレートとで構成した。
【0032】
(実施例1)
プリーツ型濾過体を次の基材を用いて成形した。
濾過材:目付84g/m2 、厚さ0.30mm、細孔径分布2〜12μmの密度勾配型ポリプロピレン製メルトブロー不織布
流入側サポート材:目開き縦1.8mm×横1.0mm、目付45g/m2 のポリプロピレン製ネット
流出側サポート材:繊度3.3dtex、目付20g/m2 のポリプロピレン製スパンボンド不織布
【0033】
上記プリーツ型濾過体を組み込んだカートリッジフィルタを吸引装置に浸漬して、次の処理を順次施してイオン除去用カートリッジフィルタを作製した。
(1)イオン交換樹脂の付着
第一処理液:平均粒子径22μmの陽イオン交換樹脂(三菱化学製SK1BH、イオン形H形)粉末をトルエン中に均一に分散(濃度:1.5g/l)
通液条件:流量5リットル/分×15分間
イオン交換樹脂付着量:約40g
(2)バインダー樹脂による固着
第二処理溶液:ポリエチレン樹脂+トルエン(濃度:10重量%)
通液条件:流量0.5リットル/分×2分間
ポリエチレン樹脂付着量(ウェット重量):300g
乾燥温度60℃にて溶剤の蒸発
(3)イオン交換樹脂の再生
10%電子工業用塩酸にて洗浄→イオン交換樹脂のイオン形を99.5%以上H形に再生→純水にて洗浄→乾燥処理による水分除去
作製したイオン除去用カートリッジフィルタを、水温20℃、流量10リットル/分の条件で圧力測定を行ったところ、処理前の初期圧力損失が0.010kgf/cm3 であったのに対し、処理後の初期圧力損失は0.034kgf/cm3 であった。
【0034】
(実施例2)
プリーツ型濾過体を次の基材を用いて成形した。
濾過材:実施例1と同一
流入側サポート材:実施例1と同一
流出側サポート材:実施例1と同一
【0035】
上記プリーツ型濾過体を組み込んだカートリッジフィルタを吸引装置に浸漬して、次の処理を順次施してイオン除去用カートリッジフィルタを作製した。
(1)イオン交換樹脂の付着
第一処理溶液:平均粒子径25μmの陰イオン交換樹脂(三菱化学製TSA1200、イオン形OH形)粉末をトルエン中に均一に分散(濃度:1.5g/l)
通液条件:流量5リットル/分×15分間
イオン交換樹脂付着量:約40g
(2)バインダー樹脂による固着
第二処理溶液:ポリエチレン樹脂+トルエン(濃度:10重量%)
通液条件:流量0.5リットル/分×2分間
ポリエチレン樹脂付着量(ウェット重量):300g
乾燥温度38℃にて溶剤の蒸発
(3)イオン交換樹脂の再生
10%電子工業用水酸化ナトリウムにて洗浄→イオン交換樹脂のイオン形を99.5%以上OH形に再生→純水にて洗浄→乾燥処理による水分除去
作製したイオン除去用カートリッジフィルタを、実施例1と同一条件で圧力測定を行ったところ、処理前の初期圧力損失が0.010kgf/cm3 であったのに対し、処理後の初期圧力損失は0.029kgf/cm3 であった。
【0036】
(実施例3)
プリーツ型濾過体を次の基材を用いて成形した。
濾過材:目付45g/m2 、厚さ0.22mm、細孔径分布0.5〜6μmの密度勾配型ポリプロピレン製メルトブロー不織布
流入側サポート材:繊度3.3dtex、目付20g/m2 のポリプロピレン製スパンボンド不織布
流出側サポート材:繊度3.3dtex、目付20g/m2 のポリプロピレン製スパンボンド不織布
【0037】
上記プリーツ型濾過体を組み込んだカートリッジフィルタを吸引装置に浸漬して、次の処理を順次施してイオン除去用カートリッジフィルタを作製した。
(1)イオン交換樹脂の付着
第一処理溶液:平均粒子径8μmの陽イオン交換樹脂(三菱化学製SK1BH、イオン形H形)粉末をトルエン中に均一に分散(濃度:1.5g/l)
通液条件:流量5リットル/分×15分間
イオン交換樹脂付着量:約40g
(2)バインダー樹脂による固着
第二処理溶液:ポリエチレン樹脂+トルエン(濃度:10重量%)
通液条件:流量0.5リットル/分×2分間
ポリエチレン樹脂付着量(ウェット重量):300g
乾燥温度60℃にて溶剤の蒸発
(3)イオン交換樹脂の再生
10%電子工業用塩酸にて洗浄→イオン交換樹脂のイオン形を99.5%以上H形に再生→純水にて洗浄→乾燥処理による水分除去
作製したイオン除去用カートリッジフィルタを、実施例1と同一条件で圧力測定を行ったところ、処理前の初期圧力損失が0.021kgf/cm3 であったのに対し、処理後の初期圧力損失は0.118kgf/cm3 であった。
【0038】
(実施例4)
プリーツ型濾過体を次の基材を用いて成形した。
濾過材:実施例1と同一
流入側サポート材:目開き縦1.8mm×横1.0mm、目付45g/m2 のポリプロピレン製ネット
流出側サポート材:実施例3と同一
【0039】
上記プリーツ型濾過体を組み込んだカートリッジフィルタを吸引装置に浸漬して、次の処理を順次施してイオン除去用カートリッジフィルタを作製した。
(1)イオン交換樹脂の付着
第一処理溶液:平均粒子径18μmの陽イオン交換樹脂(三菱化学製SK1BH、イオン形H形)粉末50重量%と平均粒子径18μmのキレート樹脂(三菱化学製CR−11、イオン形Na形)粉末50重量%とをトルエン中に均一に分散(濃度:1.5g/l)
通液条件:流量5リットル/分×15分間
イオン交換樹脂付着量:約40g
(2)バインダー樹脂による固着
第二処理溶液:ポリエチレン樹脂+トルエン(濃度:10重量%)
通液条件:流量0.5リットル/分×2分間
ポリエチレン樹脂付着量(ウェット重量):300g
乾燥温度60℃にて溶剤の蒸発
(3)イオン交換樹脂の再生
10%電子工業用塩酸にて洗浄→イオン交換樹脂のイオン形を99.5%以上H形に再生→純水にて洗浄→乾燥処理による水分除去
作製したイオン除去用カートリッジフィルタを、実施例1と同一条件で圧力測定を行ったところ、処理前の初期圧力損失が0.010kgf/cm3 であったのに対し、処理後の初期圧力損失は0.042kgf/cm3 であった。
【0040】
次に、実施例1、2のカートリッジフィルタと、濾過材に陽イオン交換樹脂(付着量74g/m2 ) をプレコートした基材シートと、濾過材に陰イオン交換樹脂(付着量74g/m2 ) をプレコートした基材シートとを用いてプリーツ型濾過体を成形した比較例1、2のカートリッジフィルタを用いて、次の評価試験を行った。
【0041】
(評価試験)
試験液Aとして、NMP(N−Methyl−2−pyrrolidone)に鉄イオン(Fe2 +)と銅イオン(Cu2 +)を25ppmと22ppmに調整した液を用いた。そして、実施例1と比較例1のフィルタに流量600ml/分の速度で、合計8.4リットルを通液した。出口から200mlをサンプリングし、イオンクロマトグラフィでそれぞれイオン濃度の測定を行った。
また、試験液Bとして、NMPに硝酸イオン(NO3-)、硫酸イオン(SO4 2- )塩素イオン(Cl- )をそれぞれ30ppm、23ppm、20ppmに調整した液を用いた。そして、実施例2と比較例2のフィルタに流量600ml/分の速度で、合計8.4リットルを通液した。出口から200mlをサンプリングし、イオンクロマトグラフィでそれぞれイオン濃度の測定を行った。
【0042】
上記評価試験の結果、試験液Aについて表1の結果、試験液Bについて表2の結果が得られた。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
表1、2から明らかなように、本発明品は、比較例に比べて有害イオンの除去効率が約20〜30%向上し優れていることが判明した。
【0046】
【発明の効果】
請求項1に記載に発明によれば、イオン捕捉粉体がプリーツ型濾過体を通過する被処理液の流量に対応するように分布するから、従来と同一の付着量でも有害イオンを効率的に除去することができ、除去効率を向上することができる。
【0047】
請求項2に記載の発明によれば、圧力損失の増大と有害イオンの除去効率の低下を防止することができる。
【0048】
請求項3に記載の発明によれば、被処理液が濾過材を略均等に通過して、イオン除去粉体と十分に接触し、有害イオンの除去効率がより一層向上することができ、また濾過材を厚くしてもイオン捕捉粉体を濾過材の密度勾配に応じて付着し、有害イオンの除去効率をより一層向上することができる。
【0049】
請求項4に記載の発明によれば、イオン捕捉粉体を被処理液の流れに対応して固定したイオン除去用カートリッジフィルタを簡単に製造することができ、またユーザーの様々な要望に対応する製品を多品種少ロットでも生産効率を低下することなく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態を示す一部破断斜視図である。
【図2】イオン交換樹脂粉体の付着状態を示す概略拡大模式図である。
【図3】(a)はイオン交換樹脂粉体の付着工程に用いる吸引装置の概略図、(b)はイオン交換樹脂粉体の固着工程に用いる吸引装置の概略図である。
【図4】従来のカートリッジフィルタの一部破断斜視図である。
【図5】基材シートの断面図である。
【図6】従来技術によるイオン交換樹脂の付着状態を示す概略模式図である。
【符号の説明】
1・・・・・コア
2・・・・・プリーツ型濾過体
2a・・・・濾過材
2b・・・・内面サポート材
2c・・・・外面サポート材
3・・・・・外周カバー
4・・・・・上エンドプレート
5・・・・・下エンドプレート
6・・・・・流出口
7・・・・・イオン交換樹脂粉体
A,B・・・液槽
C・・・・・回収槽
F・・・・・カートリッジフィルタ
P・・・・・ポンプ
S1・・・・第一処理槽
S2・・・・第二処理槽
T・・・・・管
U・・・・・攪拌機
Claims (4)
- 多数の孔を有する円筒形のコアの外周に、少なくとも二枚のサポート材間に濾過材を挟んでひだ折りして周着したプリーツ型濾過体を備えたカートリッジフィルタであって、上記プリーツ型濾過体は、フィルタ吸引方向からの吸引力によってイオン捕捉粉体を付着させたことにより、流出側に位置するプリーツの谷部分の内部及び表面にはイオン捕捉粉体が密の状態に、かつ流入側に位置する山部分の内部及び表面にはイオン捕捉粉体が粗の状態に固着して成ることを特徴とするイオン除去用カートリッジフィルタ。
- 濾過材の細孔径分布が0.5μm〜50μmである請求項1に記載のイオン除去用カートリッジフィルタ。
- 濾過材の細孔径分布が0.5μm〜50μmで、かつ流入側から流出側に小さくなる密度勾配であり、イオン捕捉粉体の最小粒子径が濾過材の最小細孔径より大である請求項1に記載のイオン除去用カートリッジフィルタ。
- 多数の孔を有する円筒形のコアの外周に、少なくとも二枚のサポート材間に濾過材を挟んでひだ折りして周着した濾過体を備えたプリーツ型カートリッジフィルタを、イオン捕捉粉体を含有する処理溶液を入れた液槽内に浸漬して、フィルタ吸引方向から処理溶液を吸引して濾過体にイオン捕捉粉体を通過させることで、濾過体にイオン捕捉粉体を付着させる工程を有することを特徴とするイオン除去用カートリッジフィルタの製造方法。
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