JP4292867B2 - ゲル電解質膜の製造方法及びゲル電解質二次電池の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゲル電解質膜の製造方法及びゲル電解質二次電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウム二次電池はエネルギー密度が高く携帯用機器等の高いエネルギー密度が要求される分野に多用されている。リチウム二次電池において水系の電解液は、リチウムとの高い反応性のために用いることができず、リチウム塩を有機溶剤中に溶解させた非水電解液が用いられている。非水電解液は可燃性なので、水系の電解液をもつ電池より電解液の漏出に注意する必要がある。
【0003】
近年、リチウム二次電池の電解質としてゲル電解質をもつ二次電池が提案され実用化されつつある。ゲル電解質二次電池は電解質がゲル状であるので電解質の漏出等のおそれが少なく高い安全をもつ。
【0004】
ゲル電解質二次電池は正負極の間にゲル電解質膜を狭持した構造をもつ。ゲル電解質膜は物理的強度を向上するために不織布をゲルの担持体として用いるものがある(特許文献1)。ゲル電解質を製造する方法は含まれる高分子材料の種類によって適正な方法を選択する。熱可塑性乃至は熱溶解性をもつ高分子材料の場合では、有機溶剤に加熱溶解させた溶液を塗布する方法が採用できる。また、含有する高分子材料に対応するモノマーを塗布乃至は含浸させた後に重合する方法も採用できる。
【0005】
そして、ゲル電解質二次電池の製造方法としては、正負極間にポリエチレン等の多孔質膜からなるセパレータを狭持した後に、ゲル電解質に含まれる高分子を構成するモノマーを溶解させた電解液を注入後、加熱することでモノマーを重合させて電解質をゲル化する方法がある。また、電池電極表面にゲル状の固体電解質層を塗布形成する方法もある(特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−251936号公報
【特許文献2】
特開2000−315526号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ゲル電解質膜は含有される有機溶剤の量によって性能が大きく変化するために製造過程における有機溶剤の蒸発を防止する必要がある。
【0008】
そこで、本発明ではゲル電解質に含まれる有機溶剤の量を精密に制御できるゲル電解質膜の製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0009】
ところで、ゲル電解質膜は粘着性が高く、そのまま正極と負極との間に狭持して巻回することは困難であるので、ゲル電解質膜を巻回型二次電池に適用することは困難である。つまり、巻回型二次電池は、正負極間で互いに滑りながら巻回されることで、しわ発生やセパレータの破損等をすることもなく製造することができるが、ゲル電解質膜は粘着性が高いので正負極間が滑らず、ゲル電解質膜にしわ発生や破損等のおそれがある。
【0010】
そこで本発明では、しわ等が発生することがない巻回型のゲル電解質二次電池を製造する方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決する目的で鋭意研究を行った結果、本発明者らは以下の発明に想到した。すなわち、本発明のゲル電解質膜の製造方法は、帯状の多孔質膜の一面側に帯状の第1シート状部材を重ね合わせた後、有機溶剤とゲル素材との混合物である液体状のゲル電解質素材を該多孔質膜の他面側に塗布・浸透させる塗布工程と、
該多孔質膜の他面側に帯状の第2シート部材を重ね合わせた後に、該ゲル電解質素材をゲル電解質膜に加工するゲル化工程と、を有し、
前記第1シート部材はゲル電解質素材を通過しない膜状の部材であり、
前記第2シート部材は前記有機溶剤の蒸発を抑制できる膜状の部材であることを特徴とする(請求項1)。
【0012】
つまり、有機溶剤を含むゲル電解質素材を帯状の多孔質部材に含浸・担持したものの両面にシート部材を重ね合わせることでゲル電解質素材から有機溶剤が蒸発することを防止でき、最終的に製造されるゲル電解質膜中の有機溶剤の量を精密に制御できる。更に、ゲル電解質膜を製造した後、保管する必要がある場合にもゲル電解質膜中の有機溶剤の量を所定量に保つことができる。そして、使用する第1及び第2シート部材の表面平滑度を制御することで製造されるゲル電解質膜表面の平滑度を制御できる。
【0013】
更に付随的な効果として、製造されるゲル電解質膜はピンホール等の欠陥が少ないものとなる。ピンホール等の欠陥が存在しないと、正負極間で予期せぬ短絡が生じるおそれがなくなる。
【0014】
これは、液体状であるゲル電解質素材を多孔質膜上に塗布する際に第1シート部材を一面側に重ね合わせているので、ゲル電解質素材を多孔質膜上に保持することが充分にできるからである。その結果、多孔質膜として孔径や多孔度が大きいものを採用してもピンホール等の欠陥が発生することが少なくなる。多孔質膜の孔径等を大きくできれば、製造されたゲル電解質膜のリチウムイオン伝導性が高くなる。第1シート部材が存在しないと、多孔質膜に塗布されたゲル電解質素材は多孔質膜から脱落する等により充分に多孔質膜に行き渡らず、欠陥が生じるおそれがある。
【0015】
前記ゲル素材は前記ゲル電解質に含まれる高分子材料を構成するモノマーであって、前記ゲル化工程は該モノマーを重合させる工程が採用できる(請求項2)。
【0016】
また、前記ゲル素材は前記ゲル電解質に含まれ且つ前記有機溶剤に対し所定温度以上で溶解する高分子材料であり、前記多孔質膜に塗布される前記ゲル電解質素材の温度は該所定温度以上であって、前記ゲル化工程は該ゲル電解質素材の温度を該所定温度未満に冷却する工程が採用できる(請求項3)。
【0017】
更に上記課題を解決する本発明のゲル電解質二次電池の製造方法は、帯状の正極及び負極を該正負極間に帯状のゲル電解質膜を狭持して巻回することで電極体を形成する電極体形成工程を有するゲル電解質二次電池の製造方法であって、
該電極体形成工程は、
該正負極及び該ゲル電解質膜が巻回される前に、有機溶剤とゲル素材との混合物である液体状のゲル電解質素材を該正負極及び/又は該ゲル電解質膜の表面に塗布する塗布ステップと、
液体状の該ゲル電解質素材を該正負極及び該ゲル電解質膜の間に介在させて巻回する巻回ステップと、
該ゲル電解質素材をゲル電解質に加工するゲル化ステップと、をもつことを特徴とする(請求項4)。
【0018】
つまり、液体状のゲル電解質素材をゲル電解質膜と正負極との間に介在させることで、潤滑剤としての作用が発揮できる。その結果、正負極及びゲル電解質膜の間が適正に滑るようになる。従って、巻回する際におけるしわ等の発生が抑制できる。
【0019】
ところで、ゲル電解質に含まれる高分子材料の種類によってゲル電解質の特性が変化することが報告されている。リチウムイオンの伝導性の観点から分類すると、バルクにおけるリチウムイオン伝導性に優れた材料、表面におけるリチウムイオン伝導性に優れた材料がある。これらの材料をゲル電解質膜の表面とバルクとで組み合わせてゲル電解質膜を形成することで高い性能をもつゲル電解質二次電池を提供できる。
【0020】
本製造方法によると、材料を選択することで、必要に応じた特性をもつように2種以上の素材を適正な部位に配設したゲル電解質膜を有するゲル電解質二次電池を製造することができる。例えば、上記課題を解決する本発明の他のゲル電解質二次電池の製造方法は、帯状の正極及び負極を該正負極間に第1ゲル電解質を含む帯状のゲル電解質膜を狭持して巻回することで電極体を形成する電極体形成工程を有するゲル電解質二次電池の製造方法であって、
該電極体形成工程は、
該正負極及び該ゲル電解質膜が巻回される前に、有機溶剤とゲル素材との混合物である液体状のゲル電解質素材を該正負極及び/又は該ゲル電解質膜の表面に塗布する塗布ステップと、
液体状の該ゲル電解質素材を該正負極及び該ゲル電解質膜の間に介在させて巻回する巻回ステップと、
該ゲル電解質素材を前記第1ゲル電解質とは異なる第2ゲル電解質に加工するゲル化ステップと、をもつことを特徴とする(請求項5)。この場合に前記第1ゲル電解質を構成するゲル素材はポリエチレンオキサイドの末端部分にアクリロイル基を導入した化合物であり、前記第2ゲル電解質を構成するゲル素材はフッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共重合体であることが望ましい(請求項6)。
【0021】
更に、前記塗布ステップは前記ゲル電解質素材を前記正負極の表面に塗布するステップであることが、正負極とゲル電解質膜との密着性向上の観点から好ましい(請求項9)。正負極表面には微少な凹凸や細孔を有するので、正負極表面に対してあらかじめゲル電解質素材を塗布することにより、その凹凸内にまでゲル電解質膜を形成できる。
【0022】
なお、前記ゲル素材としては前記ゲル電解質に含まれる高分子材料を構成するモノマーであって、前記ゲル化ステップは該モノマーを重合させる工程であることができる(請求項7)。また、前記ゲル素材は前記ゲル電解質に含まれ且つ前記有機溶剤に対し所定温度以上で溶解する高分子材料であり、前記多孔質膜に塗布される前記ゲル電解質素材の温度は該所定温度以上であって、前記ゲル化ステップは該ゲル電解質素材の温度を該所定温度未満に冷却する工程であることができる(請求項8)。
【0023】
更に、前記巻回ステップは、互いの先細部分を対向させた2本のテーパ形状の棒材からなる巻回軸に前記正負極及び前記ゲル電解質膜を巻回するステップであることが好ましい(請求項10)。正負極及びゲル電解質膜を巻回するには何らかの巻回軸を用いることが望ましいが、ゲル電解質は粘着性をもつので巻回軸はゲル電解質膜に張り付き、巻回後に電極体から巻回軸を抜き出すことは困難である。巻回軸を互いの先細部分を対向させた2本のテーパ形状の棒材から構成することで、巻回軸と電極体とを容易に引き離すことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
〈ゲル電解質膜の製造方法〉
[構成]
本実施形態のゲル電解質膜の製造方法は塗布工程とゲル化工程とを有する。塗布工程は多孔質膜にゲル電解質の素材であり液体状のゲル電解質素材を塗布・含浸させる工程である。ゲル化工程は液体状のゲル電解質素材をゲル電解質に加工する工程である。
【0025】
(塗布工程)
塗布工程は帯状の多孔質膜の一面側に帯状の第1シート部材を重ね合わせた後、有機溶剤とゲル素材との混合物である液体状のゲル電解質素材をその多孔質膜の他面側に塗布・浸透させる工程である。
【0026】
多孔質膜と第1シート部材とは密着している。密着した状態で多孔質膜にゲル電解質素材を塗布・浸透する。多孔質膜の一面側に第1シート部材を重ね合わせ密着させながらゲル電解質素材を塗布・浸透させているので、ゲル電解質素材は第1シート部材に付着して多孔質膜から脱落することなく保持できる。
【0027】
多孔質膜にゲル電解質素材を塗布・浸透する方法は特に限定しない。ゲル電解質素材を満たした容器中を多孔質膜を通過させたり(ダム式、ディップ式等)、ダイコータ、コンマコータ等の通常のコータによる塗布方法や、スプレーによる方法等が採用できる。ゲル電解質素材には蒸発しやすい有機溶剤を含有するので多孔質膜に塗布・浸透されるまでは密閉状態にできる方法が好ましい。更に、可能ならば第1シート部材の多孔質膜に接する面の反対側の表面にはゲル電解質素材が接触しないことが望ましい。
【0028】
多孔質膜は膜の両面を貫通する多数の細孔をもつ部材である。多数の繊維を集積した不織布や単純な網を採用することもできる。多孔質膜は帯状の部材であって、長さ方向にゲル電解質素材が連続的に塗布・浸透される。多孔質膜はあらかじめ巻回してロール状とするなどの形態で供給できる。多孔質膜の厚みは特に限定されないが、1〜100μm程度である。多孔質膜は、その細孔の内部にゲル電解質を担持する。そして、担持されたゲル電解質がリチウムイオンの伝導性を発揮する。従って、多孔質膜において細孔の占める割合を高くすること、及び個々の細孔について孔径を大きくすることにより、製造されるゲル電解質膜のリチウムイオン伝導性を高くすることができる。つまり、好ましい多孔質膜の性状としては、有する細孔の径が大きいことと、多孔度乃至は空隙率が高いことが挙げられる。多孔質膜はゲル電解質を補強する作用をもつので、製造されたゲル電解質膜が必要な強度をもつように多孔質膜は選択される。
【0029】
多孔質膜の素材としては電池内の雰囲気において物理的及び化学的に安定な素材であれば特に限定されない。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン等のポリオレフィン、メチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート(PET)が例示できる。多孔質膜は延伸法により通常のフィルムから製造したり、メルトブロー法等の不織布製造方法により製造できる。
【0030】
第1シート部材はゲル電解質素材を通過しない膜状の部材である。第1シート部材はゲル電解質素材に接した状態で、後述するゲル化工程が行われる。第1シート部材の表面は形成されたゲル電解質と親和性があまり高くなく、容易にゲル電解質膜から剥離できることが好ましい。第1シート部材を構成する素材としてはPE、ポリプロピレン等のポリオレフィンや、フッ素樹脂、そしてそれら樹脂に対して表面処理を行った樹脂等が例示できる。第1シート部材の表面の平滑度はそのまま製造されるゲル電解質膜の表面平滑度に影響を与える。製造されるゲル電解質膜が必要とする表面平滑度が得られるように第1シート部材の表面平滑度を調節する。
【0031】
ゲル電解質素材は有機溶剤とゲル素材との混合物である。有機溶剤としては、通常のリチウム二次電池の非水電解液に用いられる化合物であれば特に限定されるものではない。例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、テトラヒドロフラン等及びそれらの混合溶媒が適当である。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの高誘電率の主溶媒と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの低粘性の副溶媒との混合有機溶媒が好ましい。また、副溶媒として、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン及びブチルラクトンなどを用いてもよい。
【0032】
更に、ゲル電解質素材は電解質支持塩を有することができる。電解質支持塩は、その種類が特に限定されるものではない。例えば、一般的なリチウム二次電池に適用される、LiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF3)2、LiN(SO3CF3)2、LiN(SO2C2F5)2及びLiN(SO2CF3)(SO2C4F9)から選ばれる有機塩、並びにその有機塩の誘導体の少なくとも1種が採用できる。
【0033】
ゲル素材は大きく2つに大別できる。
【0034】
〔第1形態〕
第1の形態はゲル素材としてゲル電解質に含まれる高分子材料を構成するモノマーを採用する。このモノマーは重合するとゲル電解質に含まれる高分子材料になる。ゲル電解質素材を多孔質膜に塗布・浸透させた後に、後述するゲル化工程においてモノマーを重合させてゲル化する。
【0035】
第1の形態におけるゲル電解質に含まれる高分子材料は、モノマーの重合により製造でき、且つ電池の使用・保管温度において有機溶剤に膨潤してゲルを形成する材料であれば特に限定されない。ゲル素材としてのモノマーは、それぞれ対応する高分子材料に応じて決定される。なお、「モノマー」とは互いに反応することで高分子材料になる化合物全般を含む。
【0036】
そして、ゲル電解質に含まれる高分子材料は、有機溶剤等との組み合わせにより充分なリチウムイオン伝導性が発揮できる材料であることが望まれる。例えば、分子構造中にポリオキシエチレン鎖を有することで高いリチウムイオン伝導性が発揮できる。
【0037】
具体的な高分子材料としては、ビニル重合体、ポリエステル、ポリアミド等の通常の高分子化合物が例示できる。更に分子間で架橋されていてもよい。特にビニル重合体が、重合反応の容易さの観点から好ましい。ビニル重合体はビニル化合物やジエン化合物の付加重合体であり、熱重合や光重合により重合反応が進行する。重合反応の種類及びモノマーの種類によって適正な重合開始剤や重合触媒をゲル電解質素材に含有させる。
【0038】
ビニル重合体を構成するモノマーであるビニル化合物は、ビニル基、アクリロイル基やメタクリロイル基を有する化合物が例示できる。ポリオキシエチレン鎖を有する具体的なビニル化合物としては、末端に(メタ)アクリロイル基を有する変性ポリオキシエチレンが挙げられる。この変性ポリオキシエチレンを重合開始剤により重合させることでゲル電解質が製造できる。変性ポリオキシエチレンはポリオキシエチレンに塩化(メタ)アクリロイルを反応させることで得られる。
【0039】
〔第2形態〕
第2の形態としてはゲル素材としてゲル電解質に含まれ且つ前述の有機溶剤に対し所定温度以上で溶解する高分子材料を採用するものであり、ゲル電解質素材の温度を所定温度以上に加熱して多孔質膜に塗布した後に、後述するゲル化工程においてゲル電解質素材の温度を所定温度未満に冷却することでゲル化する方法である。
【0040】
この高分子材料は熱可塑性の高分子材料である。この高分子材料は、電池が使用・保管される温度では有機溶剤に溶解せず、それ以上の温度である所定温度以上にまで加熱することで有機溶剤に溶解する。例えば、フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共重合体「P(VdF−HFP)」が例示できる。
【0041】
(ゲル化工程)
ゲル化工程は、前述の多孔質膜の他面側に帯状の第2シート部材を重ね合わせた後に、塗布したゲル電解質素材をゲル電解質膜に加工する工程である。第2シート部材を重ね合わせることで形成されるゲル電解質から有機溶剤が蒸発することが防止できる。第2シート部材は前述した有機溶剤の蒸発を抑制できる膜状の部材である。前述の塗布工程においてゲル素材として採用した第1及び第2形態に応じてゲル化工程も2つの形態に大別できる。
【0042】
〔第1形態〕
塗布工程において第1形態を採用した場合、本工程はゲル電解質素材に含まれるモノマーを重合させる工程である。モノマーの重合は光重合、熱重合等、通常の重合方法が採用できる。ゲル電解質素材にはモノマーの種類、重合機構等に応じて選択される重合開始剤や重合触媒が混合される。
【0043】
光重合を採用する場合には第1シート部材及び第2シート部材の少なくとも一方を光重合に関連する光の波長を透過する材料で構成する。熱重合を採用する場合には、第1シート部材及び第2シート部材は熱重合の温度に耐えられる材料で構成する。
【0044】
ゲル電解質素材を塗布した多孔質膜に第2シート部材を重ね合わせた後、ゲル電解質素材に含まれるモノマーを重合させる。必要に応じて、第2シート部材を重ね合わせた後にゲル電解質素材を含浸させた多孔質膜の厚みを規制する工程をもつことができる。厚みの規制は、例えば、ゲル電解質素材を含浸させた多孔質膜を隙間を調節した一対のローラの間に通過させることで行うことができる。一対のローラの間に狭持されることで余分なゲル電解質素材が除去される。
【0045】
〔第2形態〕
塗布工程において第2形態を採用した場合、本工程はゲル電解質素材を冷却し溶解しているゲル素材を析出させる工程である。冷却は送風等により強制的に行ってもよいし、自然冷却を採用してもよい。
【0046】
[作用効果]
上記構成をもつことから本実施形態のゲル電解質膜の製造方法は、以下の作用効果をもつ。塗布工程において多孔質膜にゲル電解質素材を塗布・浸透する際に、第1シート部材を多孔質膜に重ね合わせて行うことで、液体状のゲル電解質素材が多孔質膜に対して強固に保持される。その結果、多孔質膜に対するゲル電解質の形成を欠陥なく行うことができる。従って、多孔質膜に設けられた細孔の大きさの制限が小さくなり、孔径を大きくしたり細孔を多数設けて空隙率を大きくしても欠陥の少ないゲル電解質膜を得ることができる。更に、多孔質膜からのゲル電解質素材の脱落が少ないことから多孔質膜に対するゲル電解質素材の目付量を適正に制御できる。
【0047】
また、塗布工程においてゲル電解質素材を塗布・浸透した後に、第2シート部材を速やかに重ね合わせることで、ゲル電解質素材に含まれる有機溶剤の蒸発を抑制できる。従って、形成されるゲル電解質膜の性状を適正に制御することが容易となる。更にゲル化工程において第2シート部材が重ね合わされることで、ゲル電解質素材の脱落を防止できる。
【0048】
(ゲル電解質二次電池の製造方法)
本実施形態のゲル電解質二次電池の製造方法はリチウム二次電池に基づき説明する。本実施形態のリチウム二次電池は円筒型電池及び角型電池等の公知の電池構造をもち、発電要素として、ゲル電解質膜を間に狭持した正負極を巻回した電極体をもつ。
【0049】
正負極は、リチウムイオンを吸蔵乃至は脱離できる活物質に導電材、結着材等の必要な添加材を混合し、必要に応じ適当な溶媒を加えて、ペースト状の電極合材としたものを、アルミニウム、銅等の金属箔製の集電体表面に塗布、乾燥し、その後プレスによって活物質密度を高めることによって形成したものである。
【0050】
正極活物質にはリチウム遷移金属複合酸化物等の公知の正極活物質を用いることができる。リチウム遷移金属複合酸化物は、その電気抵抗が低く、リチウムイオンの拡散性能に優れ、高い充放電効率と良好な充放電サイクル特性とが得られるため、本正極活物質に好ましい材料である。例えばリチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物や、各々にLi、Al、そしてCr等の遷移金属を添加又は置換した材料等である。なお、これらのリチウム−金属複合酸化物を正極活物質として用いる場合には単独で用いるばかりでなくこれらを複数種類混合して用いることもできる。
【0051】
負極活物質は、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。例えば、グラファイト又は非晶質炭素等の炭素材料等である。中でも結晶性の高い天然黒鉛や人造黒鉛などからなるものを用いることが好ましい。このような結晶性の高い炭素材を用いることにより、負極のリチウムイオンの受け渡し効率を向上させることができる。
【0052】
導電材は、正極の電気伝導性を確保するためのものであり、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質粉状体の1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものでポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、PE等の熱可塑性樹脂を用いることができる。これら活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
【0053】
ゲル電解質膜は、リチウムイオンの伝導を担保する電解質を内部に分散したゲルで構成される。ゲル電解質膜は前述のゲル電解質膜の製造方法で説明したものとほぼ同様の構成及び製造方法が採用できる。
【0054】
ゲル電解質は高分子材料等の高分子材料を有機溶剤で膨潤させたものである。ゲル電解質膜には強度向上の目的で多孔質膜を内部にもつことができる。多孔質膜はリチウムイオン伝導性のためには多孔質膜が有する細孔や空隙率は大きいことが好ましい。
【0055】
電解質支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF3)2、LiN(SO3CF3)2、LiN(SO2C2F5)2及びLiN(SO2CF3)(SO2C4F9)から選ばれる有機塩、並びにその有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
【0056】
これらの電解質支持塩の使用により、電池性能を更に優れたものとすることができ、且つその電池性能を室温以外の温度域においても更に高く維持することができる。電解質支持塩の濃度についても特に限定されるものではなく、用途に応じ、電解質支持塩及び有機溶剤の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。
【0057】
有機溶剤は、通常リチウム二次電池の非水電解液に用いられる有機溶剤であれば特に限定されるものではない。例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、テトラヒドロフラン等及びそれらの混合溶媒が適当である。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの高誘電率の主溶媒と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの低粘性の副溶媒との混合有機溶剤が好ましい。また、副溶媒として、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン及びブチルラクトンなどを用いてもよい。
【0058】
ゲル電解質に含まれる高分子材料は、ゲル電解質二次電池の使用温度において、有機溶剤に対して溶解せずに膨潤するものが採用できる。有機溶剤に膨潤させるため、種類を変更したり、3次元網目構造をもつことができる。
【0059】
[構成:電極体形成工程]
本実施形態のゲル電解質二次電池の製造方法は帯状の正極及び負極をその正負極間に帯状のゲル電解質膜を狭持して巻回することで電極体を形成する電極体形成工程を有する。電極体形成工程は塗布ステップと巻回ステップとゲル化ステップとをもつ。
【0060】
(塗布ステップ)
本塗布ステップでは液体状のゲル電解質素材を正負極及び/又はゲル電解質膜の表面に塗布するステップである。ゲル電解質素材は前述の電解質膜の製造方法における塗布工程の第1及び第2形態で説明したもののいずれかとほぼ同様の構成をもつ。つまり、このゲル電解質素材は、有機溶剤とゲル素材との混合物である。ゲル素材は、ゲル電解質に含まれる高分子材料を構成するモノマーであるか、有機溶剤に対し所定温度以上で溶解する高分子材料である。詳細は前述のゲル電解質膜の製造方法において説明したゲル電解質素材と同様であるので更に説明は省略する。
【0061】
ゲル電解質素材は正負極の表面に塗布することが、ゲル電解質膜の表面に塗布するよりも好ましい。正負極の表面には微少な細孔がある。リチウムイオンの伝導性向上のためには正負極表面とゲル電解質との密着性を向上する必要があり、所定温度以上にして液体状のゲル電解質素材を細孔をもつ正負極表面に塗布することで、正負極表面にある細孔の内部にまでゲル電解質素材を浸透させることができる。
【0062】
ここで、塗布ステップにおいて塗布されるゲル電解質素材を後述するゲル化ステップにて加工したゲル電解質は、正負極間に狭持されるゲル電解質膜を構成するゲル電解質と異なる性質をもつことが望ましい。(両者が異なる場合には、先に挟持されるゲル電解質膜に含まれるゲル電解質を第1ゲル電解質、ゲル化ステップにて得られるゲル電解質を第2ゲル電解質として区別できる)ゲル電解質にはバルクにおけるリチウムイオン伝導性に優れるものと、界面におけるリチウムイオン伝導性に優れるものとが存在することが知られている。ゲル電解質膜に含まれるゲル電解質(第1ゲル電解質)にはバルクにおけるリチウムイオン伝導性に優れたものを採用し、本塗布ステップにおいて塗布するゲル電解質素材に含まれるゲル素材から得られるゲル電解質(第2ゲル電解質)には界面におけるリチウムイオン伝導性に優れる材料を採用することで、界面及びバルクの双方において高いリチウムイオン伝導性を発揮できる。ゲル電解質素材を塗布する方法としては特に限定されず、前述のゲル電解質膜の製造方法の塗布工程における説明がそのまま妥当する。
【0063】
(巻回ステップ)
本巻回ステップは温度を所定温度以上としたゲル電解質素材の存在下、正負極及びゲル電解質膜を巻回するステップである。ゲル電解質素材は所定温度以上とするか重合反応を行う前とすることで液体状となっており、正負極及びゲル電解質膜の間で潤滑剤の役割を発揮する。塗布ステップでゲル電解質素材が余分に塗布された場合には、本ステップで正負極及びゲル電解質膜が巻回されるに従い余分なゲル電解質素材が除去できる。
【0064】
ここで、巻回ステップにおいて正負極及びゲル電解質膜を巻回する巻回軸として、互いの先細部分を対向させた2本のテーパ形状の棒材を採用することができる。
【0065】
(ゲル化ステップ)
本ステップは前述のゲル電解質膜の製造方法におけるゲル化工程とほぼ同様の方法にて、ゲル電解質素材をゲル電解質に加工するステップであり、詳細な説明は省略する。つまり、ゲル素材として含むモノマーを重合させたり、ゲル素材を所定温度未満とすることでゲル素材を析出させたり、することで、ゲル電解質素材をゲル化する。なお、モノマーは熱重合により重合させることが好ましい。巻回された電極体の中心部近傍には光が到達し難いので、光重合よりも熱重合の方が好ましい。
【0066】
[作用効果]
以上の構成をもつことから本実施形態のゲル電解質二次電池の製造方法は以下の作用効果をもつ。液体状のゲル電解質素材を介して正負極及びゲル電解質膜を巻回しているので、正負極及びゲル電解質膜の間が円滑に滑りゲル電解質膜の破れやしわ発生が効果的に抑制できる。しわが発生すると正負極及びゲル電解質膜の間に隙間が生じ体積が大きくなるとともに、接触面積が小さくなってリチウムイオン伝導性が低下するおそれがある。破れが発生すると正負極間に短絡が生じるおそれがある。
【0067】
また、ゲル電解質膜と異なる種類のゲル素材(ゲル電解質)を含むゲル電解質素材を塗布できるので適正なゲル電解質を適正な部位に選択できる。そして、巻回軸に、互いの先細部分を対向させた2本のテーパ形状の棒材を採用することで、巻回後に電極体から巻回軸を容易に抜き出すことが可能となる。
【0068】
【実施例】
(ゲル電解質膜の製造)
ゲル電解質素材:有機溶剤としてのエチレンカーボネート及びジエチルカーボネートを3:7(体積比)で混合したものに電解質支持塩としてのLiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解させた非水電解液に、ゲル素材としての電解質モノマー(ポリエチレンオキサイド(PEO)の末端部分にアクリロイル基を導入した化合物、PEO部分の分子量は約8000)を0.017mol/Lの濃度で溶解させてゲル電解質素材を調製した。ゲル電解質素材には、光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Aldrich社製)を0.3質量%の濃度で溶解させた。
【0069】
塗布工程:多孔質膜としてのPE製不織布(厚み25μm、平均細孔径5μm、空隙率75%、単位面積あたりの質量81g/m)に対しゲル電解質素材を図1に示した装置を用いて、塗布・浸透させた。まず、ロール状に巻回した多孔質膜11の一面側に第1シート部材としてのPE製のフィルム(ロール状12に巻回してある)を重ね合わせた。その後、他面側にゲル電解質素材を塗布・浸透させた。ゲル電解質素材の塗布はダム式の塗布ヘッド13を用いて行った。ダム式の塗布ヘッド13は内部にゲル電解質素材が満たされており、底部に多孔質膜が通過することでゲル電解質素材が塗布・浸透された。
【0070】
ゲル化工程:多孔質膜の他面側にゲル電解質素材が塗布・浸透されたら、その他面側に第2シート部材としてのPE製不織布を重ね合わせた。第2シート部材は光重合に用いる紫外線領域を概ね通過する。その後、ロールプレス15の間を通過させて余分なゲル電解質素材を除去して均一の厚みとした。そして、紫外線照射装置16内を通過させてゲル電解質素材中のモノマーを重合させた。その後、製造したゲル電解質膜をロール状17に巻き取った。製造されたゲル電解質膜について、必要な幅となるように、スリッター(図略)で幅方向に切断した。
【0071】
ゲル化工程における重合反応は多孔質膜の両面をPE製不織布で狭持して行っているので、ゲル電解質素材に含まれる有機溶剤は蒸発せず、製造されたゲル電解質の組成は一定であった。また、製造したゲル電解質膜はピンホール等の欠陥が全くなかった。更に、ゲル電解質膜の厚みはほぼ均一であり、ばらつきは小さかった。
【0072】
(ゲル電解質二次電池の製造)
図2に示す装置を用いてゲル電解質二次電池の電極体を製造した。製造した電極体を適正なケース内に収納し、正負極に電極端子を取り付けることでゲル電解質二次電池が完成した。
【0073】
電極体形成工程:それぞれロール状とした、正極81、負極82及び2組のゲル電解質膜83、84をロール状として所定の位置23、24、25及び26に取り付け、それぞれを巻回軸(図略)に巻き付け巻回体20を形成した。巻回体20は、図3に示すように、巻回軸91、92に正負極81、82及びゲル電解質膜83、84を巻回した構造をもつ。巻回軸91、92は互いの先細部分を対向させた2本のテーパ形状の棒材である。
【0074】
正負極81、82の両面にはゲル電解質素材塗布手段21、22にてゲル電解質素材が塗布された(塗布ステップ)。ゲル電解質素材塗布手段21、22は、内部に満たされたゲル電解質素材内を潜らせることで表面に塗布する装置である(ディップ式)。ゲル電解質素材は、有機溶剤としてのエチレンカーボネート及びジエチルカーボネートを3:7(体積比)で混合したものに電解質支持塩としてのLiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解させた非水電解液にゲル素材としてのP(VdF−HFP)を12.5質量%の濃度及び80℃で溶解させたものである。
【0075】
ゲル電解質膜83、84は巻回体20に巻回される前に両面に重ね合わせたPE製不織布を剥がした。剥がしたPE製不織布はロール状27a〜dに巻き取った。正負極81、82及びゲル電解質膜83、84をそれぞれ巻回体20に巻き取った(巻回ステップ)。正負極81、82は、その両面に塗布したゲル電解質素材によって潤滑性を付与され、ゲル電解質膜83、84との間で滑ることができるので巻回体20に巻き取る際の巻き強さを常に一定にすることができた。その結果、巻回体20におけるゲル電解質膜には、しわの発生及び破れの発生は認められなかった。なお、ゲル電解質素材は、巻回体の巻回後、温度が低下することでゲル素材が析出してゲル化した(ゲル化ステップ)。
【0076】
製造された巻回体20から巻回軸91、92を抜くことで電極体とした。巻回軸91、92はテーパ形状であるので、ゲル電解質膜が張り付いても容易に抜き取ることができた。
【0077】
なお、ゲル電解質膜の製造方法において、第1シート部材及び第2シート部材は繰り返し使用することができる。特に、ゲル電解質膜を保存せず、すぐにゲル電解質二次電池を製造する場合(図1に示した装置において巻き取り装置17でゲル電解質膜を巻き取らず、そのまま図2における装置におけるゲル電解質膜供給ロール26、27の代わりにゲル電解質膜を供給する場合)、剥がした第1シート部材及び第2シート部材をそのまま再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例におけるゲル電解質膜を製造する装置の模式図である。
【図2】実施例における正負極及びゲル電解質膜を巻回する装置の模式図である。
【図3】実施例における正負極及びゲル電解質膜を巻回した巻回体の模式図である。aは巻回軸の側面図、bはaに示した巻回軸のb−b断面図、cは正負極等を巻回した巻回体の側面図、dはcに示した巻回体のd−d断面図である。
【符号の説明】
11…PE製不織布供給手段
13…ゲル電解質素材塗布手段
15…ロールプレス
16…紫外線照射装置
17…巻き取り装置
20…巻回体
21、22…ゲル電解質素材塗布手段
81…正極
82…負極
83、84…ゲル電解質膜
91、92…巻回軸
Claims (10)
- 帯状の多孔質膜の一面側に帯状の第1シート状部材を重ね合わせた後、有機溶剤とゲル素材との混合物である液体状のゲル電解質素材を該多孔質膜の他面側に塗布・浸透させる塗布工程と、
該多孔質膜の他面側に帯状の第2シート部材を重ね合わせた後に、該ゲル電解質素材をゲル電解質膜に加工するゲル化工程と、を有し、
前記第1シート部材はゲル電解質素材を通過しない膜状の部材であり、
前記第2シート部材は前記有機溶剤の蒸発を抑制できる膜状の部材であることを特徴とするゲル電解質膜の製造方法。 - 前記ゲル素材は前記ゲル電解質に含まれる高分子材料を構成するモノマーであって、
前記ゲル化工程は該モノマーを重合させる工程である請求項1に記載のゲル電解質膜の製造方法。 - 前記ゲル素材は前記ゲル電解質に含まれ且つ前記有機溶剤に対し所定温度以上で溶解する高分子材料であり、前記多孔質膜に塗布される前記ゲル電解質素材の温度は該所定温度以上であって、
前記ゲル化工程は該ゲル電解質素材の温度を該所定温度未満に冷却する工程である請求項1に記載のゲル電解質膜の製造方法。 - 帯状の正極及び負極を該正負極間に帯状のゲル電解質膜を狭持して巻回することで電極体を形成する電極体形成工程を有するゲル電解質二次電池の製造方法であって、
該電極体形成工程は、
該正負極及び該ゲル電解質膜が巻回される前に、有機溶剤とゲル素材との混合物である液体状のゲル電解質素材を該正負極及び/又は該ゲル電解質膜の表面に塗布する塗布ステップと、
液体状の該ゲル電解質素材を該正負極及び該ゲル電解質膜の間に介在させて巻回する巻回ステップと、
該ゲル電解質素材をゲル電解質に加工するゲル化ステップと、をもつことを特徴とするゲル電解質二次電池の製造方法。 - 帯状の正極及び負極を該正負極間に第1ゲル電解質を含む帯状のゲル電解質膜を狭持して巻回することで電極体を形成する電極体形成工程を有するゲル電解質二次電池の製造方法であって、
該電極体形成工程は、
該正負極及び該ゲル電解質膜が巻回される前に、有機溶剤とゲル素材との混合物である液体状のゲル電解質素材を該正負極及び/又は該ゲル電解質膜の表面に塗布する塗布ステップと、
液体状の該ゲル電解質素材を該正負極及び該ゲル電解質膜の間に介在させて巻回する巻回ステップと、
該ゲル電解質素材を前記第1ゲル電解質とは異なる第2ゲル電解質に加工するゲル化ステップと、をもつことを特徴とするゲル電解質二次電池の製造方法。 - 前記第1ゲル電解質を構成するゲル素材はポリエチレンオキサイドの末端部分にアクリロイル基を導入した化合物であり、前記第2ゲル電解質を構成するゲル素材はフッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共重合体である請求項5に記載のゲル電解質二次電池の製造方法。
- 前記ゲル素材は前記ゲル電解質に含まれる高分子材料を構成するモノマーであって、
前記ゲル化ステップは該モノマーを重合させる工程である請求項4又は5に記載のゲル電解質二次電池の製造方法。 - 前記ゲル素材は前記ゲル電解質に含まれ且つ前記有機溶剤に対し所定温度以上で溶解する高分子材料であり、前記多孔質膜に塗布される前記ゲル電解質素材の温度は該所定温度以上であって、
前記ゲル化ステップは該ゲル電解質素材の温度を該所定温度未満に冷却する工程である請求項4〜6のいずれかに記載のゲル電解質二次電池の製造方法。 - 前記塗布ステップは前記ゲル電解質素材を前記正負極の表面に塗布するステップである請求項4〜8のいずれかに記載のゲル電解質二次電池の製造方法。
- 前記巻回ステップは、互いの先細部分を対向させた2本のテーパ形状の棒材からなる巻回軸に前記正負極及び前記ゲル電解質膜を巻回するステップである請求項4〜9のいずれかに記載のゲル電解質二次電池の製造方法。
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