JP4292280B2 - 浸炭処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は,鋼材料の浸炭処理方法に関する。
鋼材料の浸炭処理方法としては,炭化水素系ガスと空気との混合ガスを原料として吸熱型変成ガス発生炉を用いて変成することで得られる変成ガス(エンドサーミックガス)をキャリアガスとし,このキャリアガスと共に所定のカーボンポテンシャルを得るためのエンリッチガスとして炭化水素系ガスを浸炭室内に供給して浸炭処理する方法(キャリアガスを用いたガス浸炭処理方法)が広く普及している。このガス浸炭処理方法では,浸炭室内雰囲気を構成するガス成分の濃度もしくは分圧を測定することにより,間接的に炭素ポテンシャルを算出し,その結果を元にエンリッチガスの供給量を調節することにより浸炭の制御が可能である。
通常,このようなキャリアガスを用いたガス浸炭処理方法では,目標とする表面炭素濃度よりも高い雰囲気炭素ポテンシャルに設定することで,単位時間当たりの炭素侵入量を高めて処理時間の短縮を図っている。そして,続く拡散工程で炭素の拡散を行い,表面炭素濃度と浸炭深さの調整を行う。しかし,浸炭中の炭素ポテンシャルを高くするためにエンリッチガス(炭化水素系ガス)を浸炭室内に供給し過ぎるとスーティング発生(煤の発生)の危険性を生じるので,処理時間の短縮には限界がある。現在では,キャリアガスを用いたガス浸炭処理方法は,数ある浸炭方法の中で比較的確立された技術であるといえるが,エネルギーや地球環境の観点からはまだ十分であるとは言い難く,更なる改善が望まれている。その取り組みの一つとして,処理時間短縮が挙げられる。そして,処理時間短縮は,使用ガス量やエネルギーの低減にもつながる。
一方,最近では,真空浸炭処理方法(もしくは減圧浸炭処理方法)と呼ばれる浸炭処理方法が普及しつつある。通常,真空浸炭処理方法では,キャリアガスを使用することなく,減圧下の浸炭室内に直接メタンガスやプロパンガスなどの炭化水素系ガスを添加する。こうして添加された炭化水素系ガスが,高温の鋼材品の表面上で分解することで生じた活性な炭素が鋼材品料に侵入するものと考えられている。かような真空浸炭処理方法は,前述のキャリアガスを用いたガス浸炭処理方法と比べて鋼材品への炭素流入速度が速く,短時間で所望の浸炭深さを得ることが可能である。
従来,この真空浸炭処理方法としては,飽和炭化水素系ガスを直接炉内に供給し,10〜70kPaの圧力で処理する方法の他,特開平8−325701号に開示されているように,アセチレンガスを用いて,1kPa以下の圧力で処理する方法,特開2000−1765号に開示されているように,エチレンガスまたはエチレンガスとアセチレンガスとの混合ガスを用いて,1〜10kPaの圧力で処理する方法が知られている。
特開平8−325701号公報 特開2000−1765号公報
しかしながら,真空浸炭処理方法には,浸炭室内雰囲気の炭素ポテンシャル制御が困難であると言う問題が残されている。前述のキャリアガスを用いたガス浸炭処理方法と異なり,真空浸炭処理方法では,浸炭深さと表面炭素濃度の調整は,浸炭と拡散の時間制御によって行われるのが一般的であり,その操業条件は,経験(ノウハウ)によるところが大きい。
従って,本発明の目的は,処理時間を短くでき,かつ,炭素ポテンシャルの制御も可能な浸炭処理方法を提供することにある。
この目標を達成するために,本発明によれば,鋼材品を浸炭室内に収納して浸炭処理する方法であって,炭化水素系ガスとしてC ガスを浸炭室内に供給し,浸炭室内圧力を0.1kPa〜10kPaとして鋼材品を浸炭する前期浸炭工程と,キャリアガスと炭化水素系ガスであるエンリッチガスを浸炭室内に供給し,前期浸炭工程よりも高い大気圧下で鋼材品を浸炭する後期浸炭工程とを有することを特徴とする,浸炭処理方法が提供される。この浸炭処理方法によれば,前期浸炭工程でより短時間で鋼材品の表面に高炭素濃度層を形成させ,後期浸炭工程では,浸炭ポテンシャルを制御しながら,鋼材品表面の高炭素濃度層を拡散させる。これにより,従来のキャリアガスを用いた浸炭処理方法よりも短時間で所望の浸炭特性を得ることができる。後期浸炭工程で浸炭室内に供給される前記エンリッチガスは,例えばCガス,Cガス,C10ガス,Cガス,Cガス,Cガス,CHガスの1種又は2種以上である。また,前期浸炭工程は,例えば5〜30分間である。また,後期浸炭工程において,空気,Oガス,COガスの1種又は2種以上からなる酸化性ガスを浸炭室内に供給しても良い。更に,後期浸炭工程後,拡散工程を行っても良い。
本発明によれば,従来のキャリアガスを用いたガス浸炭処理方法に比べて処理時間を短くすることができ,しかも,炭素ポテンシャルの制御も可能な浸炭処理方法を提供することができる。本発明によれば,セメンタイトの析出も無く良好な浸炭を施すことができるようになる。また,炭素ポテンシャル制御によって安定した炉内雰囲気が得られ,これにより二次的効果として,製造ロット間の浸炭ばらつきを少なくすることも期待できる。
以下,本発明の好ましい実施の形態を図面を参照にして説明する。図1は,浸炭焼処理装置1の概略的な配置図である。図2は,浸炭室11の説明図である。
図1に示すように,浸炭焼処理装置1にあっては,搬送室10の左右に,浸炭室11と油焼入れ室12が設けてあり,搬送室10の背部にガス冷却室13が設けてある。浸炭室11は,鋼材品Wの表面に浸炭処理を施す熱処理設備である。搬送室10の前面には,開閉自在な挿入扉15が設けてある。搬送室10と浸炭室11との間,搬送室10と油焼入れ室12との間,及び,搬送室10とガス冷却室13との間には,それぞれ開閉自在な仕切り扉16,17,18が設けてある。また,油焼入れ室12において,仕切り扉17と対向する側面には,開閉自在な取出し扉20が設けてある。
図2に示すように,浸炭室11のケーシングとなる炉殻25の内部には,低放散熱量かつ低蓄熱量のセラミックファイバ等からなる断熱材26で囲まれた加熱ヒータ27が配置されている。このヒータ27の内方には,浸炭処理の対象となる鋼材品Wが挿入される。こうして,ヒータ27の内方に挿入された鋼材品Wの上方には,浸炭室11の内部雰囲気を攪拌するためのファン28が装置してある。
炉殻25の内部には,炭化水素系ガス供給部30から送られた炭化水素系ガスが,マスフローコントローラ31で供給量を制御されながら,管路32を介して供給される。また同様に,炉殻25の内部には,エンリッチガス供給部33から送られたエンリッチガスとしての炭化水素系ガスが,マスフローコントローラ34で供給量を制御されながら,管路35を介して供給される。炭化水素系ガス(エンリッチガスとしての使用されるものも含む)としては,例えば,Cガス,Cガス,C10ガス,Cガス,Cガス,Cガス,CHガスのうちの1又は2種以上が用いられる。また同様に,炉殻25の内部には,酸化性ガス供給部36から送られた酸化性ガスが,マスフローコントローラ37で供給量を制御されながら,管路38を介して供給される。酸化性ガスとしては,例えば,空気,O,COのうちの1又は2種以上が用いられる。また同様に,炉殻25の内部には,キャリアガス供給部39から送られたキャリアガスが,流量調節バルブ40で供給量を制御されながら,管路41を介して供給される。キャリアガスとしては,例えば,炭化水素系ガスと空気との混合ガスを原料として吸熱型変成ガス発生炉を用いて変成することで得られる変成ガス(エンドサーミックガス)が用いられる。その他,図示はしないが,搬送室10,浸炭室11,油焼入れ室12及びガス冷却室13には,適当なN供給部から送られたNガスが,供給量を制御されながら供給されるようになっている。
炉殻25(浸炭室11)の内部は,管路45を通じて,真空ポンプ46によって,所望の圧力に減圧される。浸炭室11の内部雰囲気の圧力は,圧力計50で検出され,コントローラ51に入力される。また,浸炭室11の内部雰囲気の温度は,熱電対52で検出され,コントローラ51に入力される。
浸炭室11の内部雰囲気は,管路53を通じてサンプリング装置54にサンプリングされる。サンプリング装置54でサンプリングされた浸炭室11の内部雰囲気は,2つの雰囲気分析装置55,56でそれぞれ分析される。一方の雰囲気分析装置55は,COガス分圧計あるいはCOガス濃度計であり,この雰囲気分析装置55で検出されたCOガス分圧あるいはCOガス濃度が,コントローラ51に入力される。他方の雰囲気分析装置56は,COガス分圧計あるいはCOガス濃度計であり,同様に,この雰囲気分析装置56で検出されたCOガス分圧あるいはCOガス濃度も,コントローラ51に入力される。また,浸炭室11の内部雰囲気は,管路60を通じて雰囲気分析装置61にサンプリングされる。雰囲気分析装置61は,Oガス分圧計あるいはOガス濃度計であり,同様に,この雰囲気分析装置61で検出されたOガス分圧あるいはOガス濃度も,コントローラ51に入力される。
コントローラ51は,このように,入力された温度,圧力(各分圧),各濃度によって,浸炭室11の内部雰囲気の炭素ポテンシャルを演算する。そして,その演算値に基づいて,調節計62を介して各マスフローコントローラ31,34,37,40を制御すると共に,ヒータ27及び真空ポンプ46を制御し,浸炭室11の内部雰囲気の炭素ポテンシャルを所望の値にする。
以上のように構成された浸炭焼処理装置1においては,最初は,挿入扉15,各仕切り扉16,17,18及び取出し扉20が,いずれも閉じられている。そして,前期状態として,浸炭室11の内部雰囲気の温度を,ヒータ27により,所定の温度(好ましくは850℃〜1050℃)に加熱保持しておき,浸炭室11の内部雰囲気の圧力を,真空ポンプ46により,0.1kPa以下に減圧しておく。また,焼入室12のの内部雰囲気の圧力も,図示しない真空ポンプにより,0.1kPa以下に減圧しておく。また,焼入れ室12に配置される焼入れ油の温度は,後述する鋼材品Wの焼入れ時に所定の温度になる温度まで加熱しておく。一方,搬送室10の内部雰囲気の圧力は,大気圧としておく。
そして先ず,搬送室10前面の挿入扉15を開き,鋼材品Wを搬送室10内に挿入する。そして,挿入扉15を閉じ,搬送室10内を図示しない真空ポンプによって0.1kPa以下にまで減圧する。その後,搬送室10と浸炭室11の間の仕切り扉16を開き,鋼材品Wを浸炭炉11に搬入し,仕切り扉16を閉じる。なお,このような搬送室10と浸炭室11の間における鋼材品Wの移動,及び,後述する搬送室10と焼入れ室12の間における鋼材品Wの移動は,図示しないが,モーター駆動のチェーン搬送装置,ローラーハースなどの搬送装置によって行われる。
仕切り扉16を閉じて浸炭室11を密封した後,浸炭室11内において,ヒータ27により,所定の時間(例えば15分間),減圧下で鋼材品Wを加熱する。その後,浸炭室11内にNガスを供給し,内部雰囲気を所定圧力(例えば100kPa)に復圧する。こうして,N雰囲気下で処理材Wの昇温・均熱工程が行われる。そして,処理材Wが浸炭温度まで十分に昇温・均熱された後,真空ポンプ46により,浸炭室11の内部雰囲気の圧力を,0.1kPa以下に再び減圧する。
次に,マスフローコントローラ31を開き,例えばCガス,Cガス,C10ガス,Cガス,Cガス,Cガス,CHガスの1種又は2種以上などからなる炭化水素系ガスからなる浸炭ガスを浸炭室11内に供給し,浸炭室11内の内部雰囲気を所定の圧力(例えば,0.1〜10kPa)まで復圧させる。なお,浸炭室11内の内部雰囲気を0.1kPa未満に減圧した場合には浸炭能力が失われ,一方,浸炭室11内の内部雰囲気を10kPaより大きくすると,スーティング発生の問題が生じる。なお,炭化水素系ガスとしてCガスを用いる場合,浸炭室11内の内部雰囲気を0.1〜0.7kPaの範囲に復圧させるのが好ましい。こうして,浸炭室11内の内部雰囲気を所定の圧力に保持しつつ,浸炭室11内に炭化水素系ガスからなる浸炭ガスを所定の流量(例えば,Cガスを2リットル/min)で供給しながら,減圧下で鋼材品を浸炭する前期浸炭工程(真空浸炭処理工程)を所定時間施す。
ここで,前期浸炭工程に要する時間は,被処理品である鋼材品Wの表面炭素濃度を十分に上昇させる時間(好ましくは5分以上)とし,また,セメンタイトの析出および粗大化が起こらない時間(好ましくは30分以内)とすることが好ましい。
こうして前期浸炭工程を終了した後,流量調節バルブ40を開き,例えば変成ガス(エンドサーミックガス)からなるキャリアガスを浸炭室11内に供給し,浸炭室11内の内部雰囲気を,前述の前期浸炭工程よりも高い圧力(例えば,大気圧)まで復圧させる。そして,浸炭室11の復圧が完了後,その圧力を維持しつつキャリアガスを,例えば50リットル/minで浸炭室11に供給すると共に,マスフローコントローラ34を開いて,例えばCガス,Cガス,C10ガス,Cガス,Cガス,Cガス,CHガスの1種又は2種以上などといったエンリッチガスとしての炭化水素系ガスからなる浸炭ガスを浸炭室11内に供給することにより,後期浸炭工程(ガス浸炭処理工程)を行う。
また一方で,この後期浸炭工程においては,マスフローコントローラ37を開き,例えば空気,Oガス,COガスの1種又は2種以上からなる酸化性ガスを浸炭室11内に供給する。
そして,この後期浸炭工程では,マスフローコントローラ31,34,37,ヒータ27が制御され,所定の浸炭圧力(例えば大気圧)を維持しつつ浸炭室11の内部雰囲気の炭素ポテンシャルを所望の値で制御することが可能である。即ち,後期浸炭工程では,浸炭室11の内部雰囲気の圧力が圧力計50で検出され,コントローラ51に入力される。また,浸炭室11の内部雰囲気の温度は,熱電対52で検出され,コントローラ51に入力される。また,浸炭室11の内部雰囲気が,管路53を通じてサンプリング装置54にサンプリングされる。そして,サンプリング装置54でサンプリングされた浸炭室11の内部雰囲気は,2つの雰囲気分析装置55,56でそれぞれ分析され,雰囲気分析装置55で検出されたCOガス分圧あるいはCOガス濃度と,雰囲気分析装置56で検出されたCOガス分圧あるいはCOガス濃度が,コントローラ51にそれぞれ入力される。また,浸炭室11の内部雰囲気は,管路60を通じて雰囲気分析装置61にサンプリングされる。そして,雰囲気分析装置61で検出されたOガス分圧あるいはOガス濃度が,コントローラ51に入力される。コントローラ51は,このように,入力された温度,圧力(各分圧),各ガス濃度によって,浸炭室11の内部雰囲気の炭素ポテンシャルを演算する。そして,その演算値に基づいて,調節計62を介して各マスフローコントローラ31,34,37を制御して,浸炭室11内への各ガスの供給量を調整する。また,必要があれば,更にヒータ27,真空ポンプ46も制御する。こうして,浸炭室11の内部雰囲気の炭素ポテンシャルを所望の値にする。
そして,後期浸炭工程を終了した後,浸炭後の拡散工程を行う。この場合,各マスフローコントローラ31,34,37を制御することにより,浸炭室11への炭化水素系ガス,酸化性ガスの供給量を調節し,浸炭室11の内部雰囲気を所望の炭素ポテンシャルに制御することで,鋼材品Wの表面炭素濃度を調節することができる。また,浸炭室11への各ガスの供給を止め,浸炭室11内を真空ポンプ37により再び真空排気し,鋼材品Wを減圧下に保持して表面炭素濃度を調整しても良い。
そして,所定時間の拡散工程を完了させた後,浸炭室11の内部雰囲気の温度を所定の温度に下げる。その後,搬送室10と浸炭室11の間の仕切り扉16を開き,更に,搬送室10と焼入れ室12の仕切り扉17も開き,減圧下において,鋼材品Wを,浸炭室11から搬送室10を経由して焼入れ室に12に搬送し,油焼き入れを行う。
そして,焼入れ終了後,取出し扉20が開かれ,焼入れ室12から鋼材品Wが取り出される。なお,表面炭素濃度の調整と焼入れ温度への温度制御は同時に行うことも可能である。
かくして,従来のキャリアガスを用いたガス浸炭処理方法に比べて処理時間を短くすることができ,しかも,炭素ポテンシャルの制御も可能な浸炭処理を行うことが可能となる。こうして浸炭処理された鋼材品Wは,セメンタイトの析出も無く良好な浸炭を施されたものとなる。
なお,後期浸炭工程において,浸炭室11内の炭素ポテンシャルの制御は,各雰囲気分析装置55,56,61で検出されるCOガス分圧あるいはCOガス濃度,COガス分圧あるいはCOガス濃度,Oガス分圧あるいはOガス濃度に基いて行う他,浸炭室11の内部雰囲気のHガス分圧あるいはHガス濃度,浸炭室11の内部雰囲気のHO分圧あるいは露点,浸炭室11の内部雰囲気のCHガス分圧あるいはCHガス濃度等に基いて行っても良い。その際の炭素ポテンシャルは,浸炭温度で決まる炭素固溶限を参考に煤の析出の発生しない範囲で設定すれば良い。
(実施例1)
浸炭室内での浸炭結果を見るために,鋼材品として,材質SCR420H,直径φ18mm,長さ40mmの棒状試片を,浸炭室内において図3に示す1〜5の位置にそれぞれ設置した。即ち,グロスが浸炭室の最大積載量である直方体形状からなる鋼材品を浸炭室内に挿入した場合における,該鋼材品のコーナー部及び中央部に相当する位置に,各棒状試片をそれぞれ設置した。この鋼材品(各棒状試片)を,圧力0.1kPa以下,温度950℃に保持された浸炭室にて,浸炭温度950℃まで昇温加熱した。
図4は,実施例1にかかる処理工程(昇温・均熱工程,浸炭工程(前期浸炭工程及び後期浸炭工程),拡散工程)を経過時間に従って示した説明図である。最初の15分間,浸炭室内を真空排気しながら加熱を行った後,Nガスを供給して浸炭室内を100kPaに復圧し,950℃で鋼材品の昇温・均熱を行った。鋼材品を浸炭室内に搬入してから90分後,浸炭室内を再び排気し,浸炭室内の圧力を0.1kPa以下とした。その後,Cガスを浸炭室内に供給し,前期浸炭工程(真空浸炭処理)を鋼材品に10分間施した。前期浸炭工程中,Cを2リットル/minで浸炭室内に供給し,真空ポンプの排気速度を制御することで浸炭室内圧力を0.67kPaに保持した。
こうして10分間の前期浸炭工程を施した後,Cの供給を停止した。続いて,キャリアガス(エンドサーミックガス)を50リットル/minで供給することで浸炭室内を大気圧まで復圧し,後期浸炭工程(ガス浸炭)を開始した。後期浸炭工程中は,キャリアガスを50リットル/minで浸炭室内に流し続け,浸炭室内圧力を大気圧に保った。また,浸炭室へのCとCOの供給量を調節することで,浸炭室内雰囲気の炭素ポテンシャルを1.2%に制御した。
150分間の後期浸炭工程を施した後,拡散工程を開始した。この拡散工程では炭素ポテンシャルを0.9%に制御した。50分間の拡散工程を施した後,再び浸炭室内を真空排気し,搬送室を経由して焼入室にて鋼材品に油焼入を施した。
こうして浸炭焼入処理を完了した実施例1における,前述の浸炭室内5箇所に設置された鋼材品の平均炭素濃度分布を図5に示す。その結果,有効浸炭深さ(0.36%C)は0.94mmであり,表面炭素濃度はほぼ0.8wt%Cとなった。この実施例1と,従来のキャリアガス(エンドサーミックガス)を用いたガス浸炭処理方法(浸炭工程炭素ポテンシャル1.2%制御)とで,浸炭工程に要した時間を比較したところ,実施例1の浸炭工程時間が160分であるのに対し,従来のガス浸炭処理方法の場合は190分となり,30分の時間短縮となった。つまり約16%の浸炭工程時間短縮が達成できた。
このように,実施例1によれば,従来のキャリアガス(エンドサーミックガス)を用いたガス浸炭処理方法に比べて,短時間で必要とする深さの浸炭処理層を得ることができた。更に,従来のガス浸炭処理方法と同様に炭素ポテンシャルの制御が容易であり,また,煤の発生,セメンタンイトの析出も無く良好な浸炭処理を施すことができた。
(実施例2)
実施例1と同様に,浸炭室内での浸炭結果を見るために,鋼材品として,材質SCR420H,直径φ18mm,長さ40mmの棒状試片を,浸炭室内において図3に示す1〜5の位置にそれぞれ設置した。即ち,グロスが浸炭室の最大積載量である直方体形状からなる鋼材品を浸炭室内に挿入した場合における,該鋼材品のコーナー部及び中央部に相当する位置に,各棒状試片をそれぞれ設置した。この鋼材品(各棒状試片)を,圧力0.1kPa以下,温度950℃に保持された浸炭室にて,浸炭温度950℃まで昇温加熱した。
図6は,実施例2にかかる処理工程(昇温・均熱工程,浸炭工程(前期浸炭工程及び後期浸炭工程),拡散工程)を経過時間に従って示した説明図である。最初の15分間,浸炭室内を真空排気しながら加熱を行った後,Nガスを供給して浸炭室内を100kPaに復圧し,950℃で鋼材品の昇温・均熱を行った。鋼材品を浸炭室内に搬入してから90分後,浸炭室内を再び排気し,浸炭室内の圧力を0.1kPa以下とした。その後,Cガスを浸炭室内に供給し,前期浸炭工程(真空浸炭処理)を鋼材品に30分間施した。前期浸炭工程中,Cを2リットル/minで浸炭室内に供給し,真空ポンプの排気速度を制御することで浸炭室内圧力を0.67kPaに保持した。
こうして30分間の前期浸炭工程を施した後,Cの供給を停止した。続いて,キャリアガス(エンドサーミックガス)を50リットル/minで供給することで浸炭室内を大気圧まで復圧し,後期浸炭工程(ガス浸炭)を開始した。後期浸炭工程中は,キャリアガスを50リットル/minで浸炭室内に流し続け,浸炭室内圧力を大気圧に保った。また,浸炭室へのCとCOの供給量を調節することで,浸炭室内雰囲気の炭素ポテンシャルを1.2%に制御した。
80分間の後期浸炭工程を施した後,拡散工程を開始した。この拡散工程では炭素ポテンシャルを0.9%に制御した。50分間の拡散工程を施した後,再び浸炭室内を真空排気し,搬送室を経由して焼入室にて鋼材品に油焼入を施した。
こうして浸炭焼入処理を完了した実施例2における,前述の浸炭室内5箇所に設置された鋼材品の平均炭素濃度分布を図7に示す。その結果,有効浸炭深さ(0.36%C)は0.89mmであり,表面炭素濃度はほぼ0.8wt%Cとなった。この実施例2と,従来のキャリアガス(エンドサーミックガス)を用いたガス浸炭処理方法(浸炭工程炭素ポテンシャル1.2%制御)とで,浸炭工程(前記浸炭工程及び後期浸炭工程)に要した時間を比較したところ,実施例2の浸炭工程時間が110分であり,従来のガス浸炭処理方法の場合の190分と比べて80分の時間短縮となった。つまり約58%の浸炭工程時間短縮が達成できた。このように,実施例1と同様に,従来のキャリアガス(エンドサーミックガス)を用いたガス浸炭処理方法に比べて,短時間で必要とする深さの浸炭処理層を得ることができた。更に,従来のガス浸炭処理方法と同様に炭素ポテンシャルの制御が容易であり,また,煤の発生,セメンタンイトの析出も無く良好な浸炭処理を施すことができた。
本発明は,各種部品などの鋼材品の浸炭処理に適用できる。
浸炭焼処理装置の概略的な配置図である。 浸炭室の説明図である。 実施例1及び2における,浸炭室内での鋼材品の配置を示す説明図である。 実施例1にかかる処理工程の説明図である。 実施例1の鋼材品の平均炭素濃度分布図である。 実施例2にかかる処理工程の説明図である。 実施例2の鋼材品の平均炭素濃度分布図である。
符号の説明
W 鋼材品
1 浸炭焼処理装置
10 搬送室
11 浸炭室
12 油焼入れ室
13 ガス冷却室
25 炉殻
26 断熱材
27 加熱ヒータ
28 ファン
30 炭化水素系ガス供給部
31,34,37 マスフローコントローラ
33 エンリッチガス供給部
36 酸化性ガス供給部
39 キャリアガス供給部
46 真空ポンプ
50 圧力計
51 コントローラ
52 熱電対
54 サンプリング装置
55,56,61 雰囲気分析装置
62 調節計

Claims (5)

  1. 鋼材品を浸炭室内に収納して浸炭処理する方法であって,
    炭化水素系ガスとしてC ガスを浸炭室内に供給し,浸炭室内圧力を0.1kPa〜10kPaとして鋼材品を浸炭する前期浸炭工程と,
    キャリアガスと炭化水素系ガスであるエンリッチガスを浸炭室内に供給し,前期浸炭工程よりも高い大気圧下で鋼材品を浸炭する後期浸炭工程とを有することを特徴とする,浸炭処理方法。
  2. 後期浸炭工程で浸炭室内に供給される前記エンリッチガスが,Cガス,Cガス,C10ガス,Cガス,Cガス,Cガス,CHガスの1種又は2種以上であることを特徴とする,請求項1に記載の浸炭処理方法。
  3. 前期浸炭工程が5〜30分間であることを特徴とする,請求項1または2に記載の浸炭処理方法。
  4. 後期浸炭工程において,空気,O ガス,CO ガスの1種又は2種以上からなる酸化性ガスを浸炭室内に供給することを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の浸炭処理方法。
  5. 後期浸炭工程後,拡散工程を行うことを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載の浸炭処理方法。
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