JP2005105396A - 浸炭処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 処理時間を短縮し生産性を高め,かつエネルギーコストを低減できる浸炭処理方法を提供する。
【解決手段】 鋼材品を浸炭処理するに際し,減圧下の浸炭室内において,鋼材品の昇温を開始後,遅くとも鋼材品の昇温を終了する前に,浸炭室内に浸炭ガスを供給することにより,鋼材品を浸炭性雰囲気中で昇温させる。鋼材品を浸炭性雰囲気中で昇温させることにより,昇温中にも鋼材品に対して浸炭を施すことができ,昇温工程に要する時間を短縮し生産性を高めることができる。従来排気していたNガスが不要となるので,コスト削減になる。
【選択図】 図1

Description

本発明は,鋼材品の浸炭処理方法に関するものである。
鋼材品の表面を硬化する方法として,浸炭処理方法が広く利用されている。浸炭処理方法に関しては,従来,浸炭ガスとしてアセチレン等の飽和炭化水素系ガスを用いて真空浸炭処理する方法が,特開平8−325701号公報に開示されている。また,特開2000−1765号公報には,エチレンガス等の浸炭ガスを用い,圧力を1〜10kPaの範囲で調整する真空浸炭処理が開示されている。更に,本出願人は,浸炭室内の圧力を0.1〜101kPaとし,炭化水素系ガスに加え炭酸ガスなどの酸化性ガスを浸炭室内に供給することで,炭化水素系ガスの直接分解による炭素の鋼への侵入を制限し,鋼表面の炭素濃度を制御する浸炭処理方法を,特開2002−363727号公報に開示している。
特開平8−325701号公報 特開2000−1765号公報 特開2002−363727号公報
一般に,真空浸炭処理方法では,850〜1050℃に加熱された浸炭室に,トレーに積載した鋼材品を真空(減圧)雰囲気下で挿入する。その後,処理品を浸炭処理温度まで昇温する。その際,例えばNガスなどの鋼材品に対して不活性なガスを浸炭室内に導入し,更に浸炭室内に設けられたファンにより浸炭室内の雰囲気を攪拌させることで,鋼材品への熱伝達効率を上げ,鋼材品が浸炭処理温度に到達するまでに要する時間を短縮させるようにしている。
図7は,従来法に係る処理工程の一例を示す説明図である。先ず,850℃,圧力0.1kPa以下に保持された浸炭室に被処理品である鋼材品を挿入し浸炭温度950℃までの昇温を開始する。最初の15分間は浸炭室内を真空排気しながら昇温し,その後,浸炭室にNガスを導入することで浸炭室内圧力をほぼ大気圧にする。圧力が大気圧に達した時点でNガスの導入を停止し,その状態で65分間保持する。その間,浸炭室内に設けられたファンにより雰囲気を撹拌しながら,鋼材品の浸炭処理温度までの昇温と均熱を行う。鋼材品の昇温を開始してから80分経過した後,浸炭室を10分間真空排気することで圧力を0.1kPa以下にする。その後,炭化水素系ガス(例えばCガス)と酸化性ガス(例えばCOガス)を浸炭室内に供給しながら所定圧力および所定時間で浸炭処理を行う。
しかしながら,鋼材品を早く昇温させるためにNなどの不活性ガスを用いた場合,昇温工程を終了した後,浸炭工程に移る前に,再度浸炭室内を真空排気する操作が必要となる。このため,昇温工程を終了後,すぐに浸炭工程に移行できず,処理時間が長くなってしまう。また,真空排気に要するエネルギーも必要となる。
従って本発明の目的は,処理時間を短縮し生産性を高め,かつエネルギーコストを低減できる浸炭処理方法を提供することにある。
この目的を達成するために,本発明にあっては,鋼材品を浸炭処理する方法であって,減圧下の浸炭室内において,鋼材品の昇温を開始後,遅くとも鋼材品の昇温を終了する前に,浸炭室内に浸炭ガスを供給することにより,鋼材品を浸炭性雰囲気中で昇温させることを特徴としている。
前記浸炭ガスとしては,例えば炭化水素系ガスまたは炭化水素系ガスと酸化性ガスの混合ガスを炉内に供給する。その場合,前記炭化水素系ガスは,例えば,C,C,C10,C,C,C,CHのうちの1又は2種以上である。また,前記酸化性ガスは,例えば,空気,O,COのうちの1又は2種以上である。
また,前記鋼材品を浸炭性雰囲気中で昇温させるにあたり,浸炭室内の圧力を10kPa〜101kPaとしても良い。
本発明によれば,鋼材品を浸炭性雰囲気中で昇温させることにより,昇温中にも鋼材品に対して浸炭を施すことができる。昇温中に,例えば,浸炭室内に炭化水素系ガスとCOのような酸化性ガスを供給した場合,浸炭室内雰囲気は主にCO及びHで構成されることになる。非常に熱伝達率の高いHの存在により,鋼材品に対してN大気圧雰囲気で昇温させる場合と同等もしくはそれ以上の熱伝達効率が得られ,昇温工程を開始するに要する時間を短縮し生産性を高めることができる。加えて,従来排気していたNガスが不要となるので,コスト削減になる。
また,本発明によれば,浸炭工程を開始するにあたり,浸炭室から浸炭に不要な窒素ガスを排気することなく,引続き所定の温度で浸炭を継続できるため,全体の処理時間(リードタイム)が短縮され生産性が向上する。また,真空排気に要するエネルギーも要らなくなる。
以下,本発明の好ましい実施の形態を図面を参照にして説明する。図1は,浸炭焼処理装置1の概略的な配置図である。図2は,浸炭室11の説明図である。
図1に示すように,浸炭焼処理装置1にあっては,搬送室10の左右に,浸炭室11と油焼入れ室12が設けてあり,搬送室10の背部にガス冷却室13が設けてある。浸炭室11は,鋼材品Wの表面に浸炭処理を施す熱処理設備である。搬送室10の前面には,開閉自在な挿入扉15が設けてある。搬送室10と浸炭室11との間,搬送室10と油焼入れ室12との間,及び,搬送室10とガス冷却室13との間には,それぞれ開閉自在な仕切り扉16,17,18が設けてある。また,油焼入れ室12において,仕切り扉17と対向する側面には,開閉自在な取出し扉20が設けてある。
図2に示すように,浸炭室11のケーシングとなる炉殻25の内部には,低放散熱量かつ低蓄熱量のセラミックファイバ等からなる断熱材26で囲まれた加熱ヒータ27が配置されている。このヒータ27の内方に,浸炭処理の対象となる鋼材品Wが挿入されるようになっている。こうして,ヒータ27の内方に挿入された鋼材品Wの上方には,浸炭室11の内部雰囲気を攪拌するためのファン28が装置してある。
炉殻25の内部には,炭化水素系ガス供給部30から送られた炭化水素系ガスが,マスフローコントローラ31で供給量を制御されながら,管路32を介して供給される。炭化水素系ガスとしては,例えば,C,C,C10,C,C,C,CHのうちの1又は2種以上が用いられる。また同様に,炉殻25の内部には,酸化性ガス供給部33から送られた酸化性ガスが,マスフローコントローラ34で供給量を制御されながら,管路35を介して供給される。酸化性ガスとしては,例えば,空気,O,COのうちの1又は2種以上が用いられる。
炉殻25(浸炭室11)の内部は,管路36を通じて,真空ポンプ37によって,所望の圧力に減圧される。この場合,炉殻25の内部は,例えば,10kPa〜101kPaに減圧される。浸炭室11の内部を10kPa未満に減圧した場合には本発明による効果は充分得られず,また,101kPaより大きい場合は大気圧に近く従来のガス浸炭法と同様の問題を抱えることになるためである。
浸炭室11の内部雰囲気の温度は,熱電対40で検出され,コントローラ41に入力される。また,浸炭室11の内部雰囲気の圧力は,真空ポンプ37の減圧度に基き,圧力計42で検出され,コントローラ41に入力される。
浸炭室11の内部雰囲気は,管路43を通じてサンプリング装置44にサンプリングされる。サンプリング装置44でサンプリングされた浸炭室11の内部雰囲気は,2つの雰囲気分析装置45,46でそれぞれ分析される。一方の雰囲気分析装置45は,COガス分圧計あるいはCOガス濃度計であり,この雰囲気分析装置45で検出されたCOガス分圧あるいはCOガス濃度が,コントローラ41に入力される。他方の雰囲気分析装置46は,COガス分圧計あるいはCOガス濃度計であり,同様に,この雰囲気分析装置46で検出されたCOガス分圧あるいはCOガス濃度が,コントローラ41に入力される。また,浸炭室11の内部雰囲気は,管路50を通じて雰囲気分析装置51にサンプリングされる。雰囲気分析装置51は,Oガス分圧計あるいはOガス濃度計であり,同様に,この雰囲気分析装置51で検出されたOガス分圧あるいはOガス濃度が,コントローラ41に入力される。
コントローラ41は,このように,入力された温度,圧力(分圧),濃度によって,浸炭室11の内部雰囲気の炭素ポテンシャルを演算する。そして,その演算値に基づいて,各マスフローコントローラ31,34,ヒータ27及び真空ポンプ37を制御し,浸炭室11の内部雰囲気の炭素ポテンシャルを所望の値に保つようになっている。
以上のように構成された浸炭焼処理装置1においては,最初は,挿入扉15,各仕切り扉16,17,18及び取出し扉20が,いずれも閉じられている。また,浸炭室11の内部雰囲気の温度は,ヒータ27により,所定の温度(好ましくは850℃〜1050℃)に加熱保持しておき,浸炭室11の内部雰囲気の圧力は,真空ポンプ37により,0.1kPa以下に減圧しておく。また,焼入れ室12に配置される焼入れ油の温度は,後述する焼入れ時に所定の温度になる温度まで加熱しておく。一方,搬送室10の内部雰囲気の圧力は,大気圧としておく。
そして先ず,搬送室10前面の挿入扉15を開き,鋼材品Wを搬送室10内に挿入する。そして,挿入扉15を閉じ,搬送室10内を0.1kPa以下にまで減圧する。その後,搬送室10と浸炭室11の間の仕切り扉16を開き,鋼材品Wを浸炭炉11に搬入し,仕切り扉16を閉じる。なお,このような搬送室10と浸炭室11の間における鋼材品Wの移動,及び,後述する搬送室10と焼入れ室12の間における鋼材品Wの移動は,図示しないが,モーター駆動のチェーン搬送装置,ローラーハースなどの搬送装置によって行われる。
仕切り扉16を閉じて浸炭室11を密封した後,浸炭室11内において,ヒータ27により,所定の時間(例えば1分間),減圧下で鋼材品Wを加熱する。そして,引続きヒータ27によって鋼材品Wを昇温させながら,遅くとも鋼材品Wの昇温を終了する前に,マスフローコントローラ31,34をそれぞれ開き,例えばCなどの炭化水素系ガスと例えばCOなどの酸化性ガスの混合ガスからなる浸炭ガスを,所定の流量(例えばCを5リットル/min,COを17リットル/min)で,浸炭室11内に供給する。こうして,遅くとも鋼材品Wの昇温を終了する前に,浸炭ガスを浸炭室11内に供給することにより,鋼材品Wを浸炭性雰囲気中で昇温させる。
そして,浸炭室11の内部雰囲気を所望の浸炭温度(好ましくは850℃〜1050℃)に昇温させた後は,浸炭室11の内部雰囲気を浸炭温度に維持し,鋼材品Wの昇温および均熱を図る。一方で,浸炭室11の内部雰囲気の圧力を,20kPa〜101kPa(例えば40kPa)に復圧したら,マスフローコントローラ31,34をそれぞれ閉め,浸炭室11内への浸炭ガスの導入を一端停止する。その後,所定時間(例えば,浸炭室11内においてヒータ27により鋼材品Wを加熱開始してから60分)が経過したら,昇温・均熱工程を終了し,その後,浸炭工程を開始する。この浸炭工程では,マスフローコントローラ31,34,ヒータ27及び真空ポンプ37が制御され,所定の浸炭圧力を維持しつつ浸炭室11の内部雰囲気の炭素ポテンシャルを所望の値で制御することが可能である。
そして,浸炭工程を終了した後,浸炭後の拡散工程として,炭化水素系ガスと酸化性ガスの供給を止めて,浸炭室11内を真空ポンプ37により再び真空排気し,鋼材品Wを減圧下に保持して表面炭素濃度を調整しても良いし,あるいは,浸炭室11内を真空排気せずに,炭化水素系ガスと酸化性ガスの供給量を調節し,浸炭室11の内部雰囲気の炭素ポテンシャルを変えることで,鋼材品Wの表面炭素濃度を調節しても良い。
そして,焼入れ温度まで浸炭室11の内部雰囲気の温度を下げた後,搬送室10と浸炭室11の間の仕切り扉16を開き,更に,搬送室10と焼入れ室12の仕切り扉17も開き,減圧下において,鋼材品Wが,浸炭室11から搬送室10を経由して焼入れ室に12に搬送され,油焼き入れが行なわれる。焼入れ終了後,取出し扉20が開かれ,焼入れ室に12から鋼材品Wが取り出される。なお,表面炭素濃度の調整と焼入れ温度への温度制御は同時に行うことも可能である。
(実施例1)
鋼材品として,材質SCM420H,直径φ20mm,長さ40mmの棒状試片を用い,その鋼材品を,浸炭室内の各箇所における浸炭結果を観るために,浸炭室内の9箇所(直方体形状の浸炭室内の各コーナー部と浸炭室の中央部)に配置した。鋼材品のグロス重量は炉(浸炭室)の最大積載量とした。浸炭室内に直接CとCOを導入して作成した浸炭性雰囲気中で鋼材品を950℃まで昇温させた。
図3は,実施例1にかかる処理工程(昇温・均熱工程)を経過時間に従って示した説明図である。先ず,鋼材品を搬送室へ挿入し,挿入扉を閉めた後,搬送室内を減圧した。圧力が0.1kPa以下になった後,仕切り扉を開けて,温度850℃,圧力0.1kPa以下に保持されている浸炭室に鋼材品を搬入した。その後,仕切り扉を閉め,浸炭室内にて鋼材品を昇温させた。昇温開始から1分後,Cガスを5リットル/min,COガスを17リットル/minの流量で浸炭室に供給し,浸炭室内の圧力が40kPaに到達した時点でガス供給を停止した。また,浸炭室温度が950℃に到達した時点で昇温を停止し,その温度で鋼材品の昇温および均熱を行った。ガス供給を停止してから49分,つまり浸炭室へ処理品を挿入してから60分経過するまでその状態で保持し,その後,浸炭室内を真空排気し鋼材品の焼入れを行った。なお,本実施例における処理条件(ガス量,温度,圧力および時間)は一例である。通常,被処理品とその狙いとする浸炭特性に合わせた処理条件を任意に設定することが可能である。
焼入れ後の鋼材品の外観を調べたところ,煤の発生は確認されなかった。浸炭室内9箇所に配置した各鋼材品の表面の平均炭素濃度分布を図4と表1に示す。表面炭素濃度は0.47wt%となり,炭素濃度が0.36wt%となる表面の距離(深さ)は0.2mmとなった。この結果は,従来法(特開2002−363727号公報)において炭素ポテンシャル1.3%で13分の浸炭処理に相当する。つまり,鋼材品の昇温・均熱工程に浸炭室内へ浸炭ガスを供給することにより,浸炭に寄与しないN雰囲気で昇温を行う従来法よりも浸炭処理時間を短縮できることが分かる。炭化水素系ガスと酸化性ガスの導入量によっては,昇温・均熱の浸炭室内雰囲気の炭素ポテンシャルを被処理品である鋼材品以上に設定することが可能であり,昇温・均熱工程の初期の段階から浸炭を施すことが可能である。その結果,浸炭工程に要する時間を短くし,リードタイムを短縮できる。
Figure 2005105396
(実施例2)
実施例1と同様の鋼材品を,浸炭室内の9箇所(直方体形状の浸炭室内の各コーナー部と浸炭室の中央部)に配置し,同様に,浸炭室内に直接CとCOを導入して作成した浸炭性雰囲気中で鋼材品を950℃まで昇温させた。図5は,実施例2にかかる処理工程(昇温・均熱工程,浸炭工程,降温工程)を示す説明図である。先ず,鋼材品を搬送室へ挿入し,挿入扉を閉めた後,搬送室内を真空に排気した。圧力が0.1kPa以下になった後,仕切り扉を開けて,温度850℃,圧力0.1kPa以下に保持されている浸炭室に鋼材品を搬入した。その後,仕切り扉を閉め,鋼材品を昇温させた。昇温開始から1分後,Cガスを5リットル/min,COガスを17リットル/minの流量で浸炭室に供給し,浸炭室内の圧力が40kPaに到達した時点でガス供給を停止した。また,浸炭室温度が950℃に到達した時点で昇温を停止し,その温度で鋼材品の昇温および均熱を行った。ガス供給を停止してから49分,つまり浸炭室へ処理品を挿入してから60分経過するまでその状態で保持した(昇温・均熱工程)。その後,浸炭室内の雰囲気の圧力を40kPaに保ちつつ,C及びCOの添加流量を調節することで,実施例2では浸炭室内の雰囲気の炭素ポテンシャルを1.2%に制御し,浸炭工程を行った。鋼材品の昇温を開始してから168分経過した時点つまり108分の浸炭工程を完了後,浸炭室内を真空排気し降温工程を開始した。降温工程開始から82分後,つまり浸炭室内の雰囲気温度が850℃になった時点で鋼材品の焼入れを行った。
焼入れ後の鋼材品の外観を調べたところ,煤の発生は確認されなかった。浸炭室内9箇所に配置した各鋼材品の表面の平均炭素濃度分布を図6と表2に示す。平均表面炭素濃度は0.61wt%となり,このときの表面炭素濃度ばらつき範囲は0.053wt%となった。また,炭素濃度が0.36wt%となる最表面からの距離(深さ)の平均は0.66mmとなり,このときの深さのばらつき範囲は0.071mmであった。なお,実施例2において,鋼材品の昇温開始から焼入までに要した時間は250分である。
Figure 2005105396
(比較例)
次に,実施例2に対する比較例(従来法)について述べる。実施例1および2と同様の鋼材品を,浸炭室内の9箇所(直方体形状の浸炭室内の各コーナー部と浸炭室中央部)に配置し浸炭させた。昇温・均熱工程は図7に示した通りに実施し,続く浸炭工程は122分とした。なお,浸炭工程では,炭素ポテンシャルを1.2%で制御した。降温工程は実施例2と同じ時間つまり82分とした。処理後の鋼材品を調べたところ,各鋼材品の表面の平均炭素濃度は0.61wt%,炭素濃度が0.36wt%となる最表面からの距離(深さ)は0.69mmとなり,実施例2とほぼ同等の浸炭結果が得られた。本比較例において鋼材品の昇温開始から焼入までに要した時間は294分である。つまり,本発明により,実施例2は本比較例(従来法)と比べ44分の処理時間短縮がなされたといえる。
浸炭焼処理装置の概略的な配置図である。 浸炭室の説明図である。 実施例1にかかる処理工程(昇温・均熱工程)を経過時間に従って示した説明図である。 実施例1の鋼材品の表面の平均炭素濃度分布を示すグラフである。 実施例2にかかる処理工程(昇温・均熱工程,浸炭工程,降温工程)を示す説明図である。 実施例2の鋼材品の表面の平均炭素濃度分布を示すグラフである。 従来法に係る処理工程の一例を示す説明図である。
符号の説明
W 鋼材品
1 浸炭焼処理装置
10 搬送室
11 浸炭室
12 油焼入れ室
13 ガス冷却室13
25 炉殻
27 加熱ヒータ
30 炭化水素系ガス供給部
33 酸化性ガス供給部
37 真空ポンプ
40 熱電対
41 コントローラ
42 圧力計
44 サンプリング装置
45,46,51 雰囲気分析装置

Claims (5)

  1. 鋼材品を浸炭処理する方法であって,
    減圧下の浸炭室内において,鋼材品の昇温を開始後,遅くとも鋼材品の昇温を終了する前に,浸炭室内に浸炭ガスを供給することにより,鋼材品を浸炭性雰囲気中で昇温させることを特徴とする,浸炭処理方法。
  2. 前記浸炭ガスとして,炭化水素系ガスまたは炭化水素系ガスと酸化性ガスの混合ガスを炉内に供給することを特徴とする,請求項1に記載の浸炭処理方法。
  3. 前記炭化水素系ガスが,C,C,C10,C,C,C,CHのうちの1又は2種以上であることを特徴とする,請求項2に記載の浸炭処理方法。
  4. 前記酸化性ガスが,空気,O,COのうちの1又は2種以上であることを特徴とする,請求項2又は3に記載の浸炭処理方法。
  5. 前記鋼材品を浸炭性雰囲気中で昇温させるにあたり,浸炭室内の圧力を10kPa〜101kPaとすることを特徴とする,請求項1,2,3又は4に記載の浸炭処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009185349A (ja) * 2008-02-07 2009-08-20 Ihi Corp 多室型熱処理炉
JP2019119892A (ja) * 2017-12-28 2019-07-22 エア・ウォーター株式会社 ガス浸炭方法

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