JP4292065B2 - 光ファイバ着色心線、及び光ファイバテープ心線 - Google Patents

光ファイバ着色心線、及び光ファイバテープ心線 Download PDF

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Description

本発明は、光ファイバ着色心線及び光ファイバテープ心線に関する。
光通信に利用される光ファイバは、コアとクラッドからなるガラスファイバが、紫外線硬化型樹脂等からなるプライマリ層及びセカンダリ層によって被覆された構造となっている。さらにこの2層に被覆された光ファイバの外周面には、通常、紫外線硬化型インク等から形成された着色層が設けられている。このように着色剤を含有する着色層を設けると個々の光ファイバの識別が容易となる。この着色層が設けられた光ファイバは、「光ファイバ着色心線」と呼ばれる。
この光ファイバ着色心線は、ボビン等に巻いた状態でその伝送特性を検査すると、局部的に急激な伝送損失が観察されることがある。この急激な伝送損失は、光ファイバ着色心線をボビン等に巻き取る際の巻き取り不良が原因であると考えられる。
巻き取りによる急激な伝送損失を防止するには、ボビンと光ファイバ着色心線との摩擦あるいは光ファイバ着色心線同士の摩擦を小さくすることが有効とされている。このため、着色層に、末端にアクリロイル基を有するオリゴマーと、このオリゴマーと相溶性の高い変性シリコーン油とを含有させることにより、光ファイバ着色心線間の摩擦係数を小さくする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、光ファイバ着色心線を光ケーブルとして使用する場合、複数の光ファイバ着色心線を平行に並べて樹脂等により一括被覆し、平面状の光ファイバテープ心線の形態とすることが多い。この光ファイバテープ心線の各光ファイバの末端を接続する時に、一括被覆用樹脂を剥離して各光ファイバに分離することが一般的に行われている。一括被覆用樹脂を光ファイバ着色心線の着色層から剥離しやすくするために、光ファイバ着色心線の着色層に有機ポリシロキサン化合物を含有させる技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2000−193855号公報 特開平1−152405号公報
しかしながら、特許文献1又は特許文献2のように、着色層表面の動摩擦係数を低下させたり、着色層と一括被覆用樹脂との密着性を低下させようとすると、着色層とその下層(セカンダリ層)との密着性をも低下させてしまうことになる。このため、光ファイバテープ心線の一括被覆用樹脂を剥離するときに、着色層がセカンダリ層から剥がれる、いわゆる色ハガレが生じることがある。色ハガレが起きると光ファイバ着色心線を色によって識別しにくくなるため、著しく作業性が低下することになる。
本発明の目的は、巻き取りによる伝送損失が少なく、かつ、光ファイバテープ心線を形成したときにも色ハガレが生じることなく単心分離可能な、光ファイバ着色心線を提供することである。
上記課題を解決するための手段として、本発明の光ファイバ着色心線は、下記一般式(1)で表される変性ジメチルポリシロキサンを含有する紫外線硬化型インクから形成された着色層を有し、前記着色層表面の動摩擦係数が0より大きく0.25以下であることを特徴としている。
Figure 0004292065
(式中、Rはエーテル結合又はエステル結合を有する2価の連結基を示す。Xはアクリロイル基又はメタアクリロイル基を示す。l、m及びnは、それぞれ1〜100の整数を示す。)
このように、本発明の光ファイバ着色心線は、式(1)で表される側鎖にアクリロイル基又はメタアクリロイル基末端を有する変性ジメチルポリシロキサン(以下、式(1)の化合物という)を紫外線硬化型インクに含有させ、着色層表面の動摩擦係数を0.25以下とすることにより、表面の滑性に優れ、着色層表面と他の樹脂層との密着性を低減できるので、光ファイバ着色心線をボビン等に巻き取った時にも、巻き取り不良による伝送損失の発生を低減できる。
また、式(1)の化合物は、着色層において重合性基(ビニル基)が下層方向に向けて配向して重合していると考えられ、これにより、着色層とその下層との密着性を向上できる。よって、本発明の光ファイバ着色心線は、光ファイバテープ心線を形成した時にも、色ハガレすることなく単心分離可能である。
また、本発明に係る光ファイバ着色心線は、前記紫外線硬化型インクが、前記変性ジメチルポリシロキサンを8〜20重量%含有することが好ましい。
また、本発明に係る光ファイバ着色心線は、前記紫外線硬化型インクが、少なくとも2種以上の光重合開始剤を7〜10重量%含有することが好ましい。
このような光ファイバ着色心線は、着色層に含まれる水溶性成分(例えば、未反応の重合性成分や着色層の外からしみ込んできた水分、着色剤成分等)が、着色層とその下の被覆層の間に溜まることがなく、ブリスタが発生しにくい。よって、本発明の好ましい形態によれば、上記作用効果に加え、耐水性に優れ、光ファイバ着色心線が水に浸漬された時でもブリスタによる伝送損失の発生を防止できる。
さらに、本発明に係る光ファイバテープ心線は、本発明に係る光ファイバ着色心線を複数配列して、一括被覆用樹脂で被覆してなるものである。
本発明によれば、着色層が式(1)の化合物を含有する紫外線硬化型インクから形成され、着色層表面の動摩擦係数を特定範囲内とすることにより、巻き取り時にも摩擦による伝送損失が少なく、かつ、色ハガレが生じることなく単心分離可能な、光ファイバ着色心線を提供できる。さらには、本発明の好ましい形態によれば、耐水性に優れた光ファイバ着色心線を提供できる。
また、本発明の光ファイバ着色心線を用いて光ファイバテープ心線を形成すれば、色ハガレが生じることなく単心分離可能な光ファイバテープ心線を提供できる。さらに、本発明の好ましい態様の光ファイバテープ心線は耐水性に優れており、屋外で使用しても、雨水等が前記光ファイバテープ心線にしみ込んでブリスタが生じることが少ないので、ブリスタによる伝送損失が発生しにくい。
本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の光ファイバ着色心線の好適な一実施形態を示す断面模式図である。図1に示すように、光ファイバ着色心線1は、石英を主成分としたコアおよびクラッドからなるガラスファイバ3を有し、ガラスファイバ3の外周が、熱硬化性樹脂等からなるプライマリ層4及びセカンダリ層5によって被覆された構造となっている。この2層被覆構造の光ファイバの外周には、通常、紫外線硬化型インク等から形成された着色層6が設けられている。
ここで、光ファイバ着色心線1は、着色層6が下記一般式(1)で表される変性ジメチルポリシロキサンを含有する紫外線硬化型インクから形成され、着色層6表面の動摩擦係数が0より大きく0.25以下である。
Figure 0004292065
(式中、Rはエーテル結合又はエステル結合を有する2価の連結基を示す。Xはアクリル基又はメタアクリル基を示す。l、m及びnは、それぞれ1〜100の整数を示す。)
このように、式(1)の化合物を紫外線硬化型インクに含有させることにより、着色層表面の滑性に優れ、しかも着色層とセカンダリ層との密着性に優れた光ファイバ着色心線とすることができる。
また、表面の滑性に優れ、かつセカンダリ層との密着性にも優れる理由としては、式(1)の化合物を含有する紫外線硬化型インクをセカンダリ層の外周面に塗布した時に、Si原子が塗膜表面に配向し、ビニル基末端側がセカンダリ層側に配向するためと考えられる。即ち、この塗膜を硬化させると、着色層表面にSi原子が多く配向し、一方、紫外線硬化型インクに含まれる重合性成分の重合により形成されたポリマー成分と式(1)の化合物のビニル基とが結合して、着色層のセカンダリ層側に炭化水素が多く配向するものと推定される。
例えば、下式(2)で表される「両末端にビニル基を有する変性ジメチルシロキサン」を紫外線硬化型インク中に含有する場合、Si原子が表面に配向すると考えられるため、着色心線間の動摩擦係数を低下させるのには有効である。しかしながら、セカンダリ層側に対してもSi原子が配向してしまうために、セカンダリ層との密着性が弱くなってしまう。
Figure 0004292065
(式中、R2はエーテル結合又はエステル結合を有する2価の連結基を示す。X2はアクリロイル基を示す。l2、m2及びn2は、それぞれ1〜100の整数を示す。)
また、本発明に係る光ファイバ着色心線の着色層表面の動摩擦係数は0より大きく0.25より小さい。
光ファイバ着色心線の製造時や使用時において、光ファイバ着色心線をボビン等に巻き取る際、光ファイバ着色心線を隙間なく整列させて巻き取る必要があるが、光ファイバ着色心線の整列が乱れ、巻き崩れが発生することがある。そして、この巻き崩れにより光ファイバに伝送損失が発生してしまう。
着色層表面の動摩擦係数を上記範囲とすると、巻き取り時の巻き崩れ防止に効果があり、本発明の光ファイバ着色心線は、ボビン等に巻き取っても伝送損失の少ないものとなる。
着色層の動摩擦係数が小さすぎると、かえって巻き取りが行いにくくなる恐れがあるため、着色層表面の動摩擦係数は、0.15より大きいことが好ましい。着色層表面の動摩擦係数の調整するには、紫外線硬化型着色インクに含まれる式(1)の化合物の配合量を調整することによって行うことができ、配合量を多くすると動摩擦係数が小さくなる。
なお、光ファイバ着色心線の巻き取った状態での伝送特性は、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)によって測定できる。OTDRは、光ファイバの片端から光パルスを入射して、光ファイバ中で生じる散乱光又は反射光を解析することで、光ファイバの破断点や局部的な伝送損失等を測定できる計測器である。
以下、式(1)の化合物について説明する。式(1)において、Rはエーテル結合又はエステル結合を有する2価の連結基を示す。このようにジメチルポリシロキサンをポリエーテル変性又はポリエステル変性することにより、モノマーやオリゴマーに対する相溶性が向上し、着色層組成物の液安定性が向上する。
Rが示すエーテル結合を有する2価の連結基としては、アルキレンオキシド基等が挙げられる。アルキレンオキシド基としては、炭素数1〜6のアルキレンオキシド基が好ましい。エステル結合を有する2価の連結基としては、下式(3)で表わされる連結基等が挙げられる。
Figure 0004292065
(式中、R31及びR32は、炭素数1〜6の炭化水素基を示す。)
また、式(1)において、Xはアクリロイル基又はメタアクリロイル基である。l、m及びnは、それぞれ1〜100の整数を示す。lは1〜20が好ましく、mは1〜15が好ましく、nは10〜90が好ましい。
式(1)においては、下記繰り返し単位(4)及び(5)がジメチルポリシロキサン中にランダムに存在してもよいし、ブロックで存在してもよい。
Figure 0004292065
また、式(1)の化合物を合成するには、例えば、下式(6)で表される化合物(ポリメチルハイドロゲンシロキサン・ポリジメチルシロキサンの共重合体)と、下式(7)で表わされるポリエーテル化合物、又は(8)で表わされるポリエステル化合物とを付加反応させることによって行うことができる。
Figure 0004292065
(式中、R31及びR32は前記と同じ意味を示す。R71及びR81は水素原子又はメチル基である。R72は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
紫外線硬化型インクにおける式(1)の化合物の配合量としては、インクの全重量に対して8〜20重量%であることが好ましく、9〜12重量%であることがより好ましい。
有機変性ジメチルポリシロキサンの含有量が8重量%未満であると、着色層表面の動摩擦係数を低減させにくくなり、巻き取り時の摩擦による巻き乱れが起こるために光ファイバの伝送特性が低下する恐れがある。また、20重量%を超えると、紫外線硬化型インクによる着色層を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)が低くなる傾向になり、光ファイバを温水中に浸漬させた時に吸水しやすくなるため、着色層被膜が劣化する恐れがある。
本発明に係る紫外線硬化型インクは、前記式(1)の化合物の他に、重合性モノマー及び重合性オリゴマー等の重合性成分、重合開始剤、着色剤等を含有することができる。
本発明に係る紫外線硬化型インクに用いられるモノマーとしては、ラジカル共重合性モノマーが挙げられ、具体的には、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、本発明に係る紫外線硬化型インクに用いられるオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリオールとポリイソシアネート反応物に対して、さらにヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートを反応させた反応物等を利用することができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物である。エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸を付加反応させたもので、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレート、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレート及びポリエーテルのジグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート等が挙げられる。
他に、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート又はそのアルキレンオキシド変性体等が挙げられる。
紫外線硬化型インクにおける重合性モノマー又は重合性オリゴマーの配合量は、紫外線硬化型インクの固形分に対して65〜87重量%が好ましい。
本発明に係る紫外線硬化型インクに用いられる光重合開始剤としては、紫外線を照射することにより、ラジカルやイオンを発生して重合を開始させる化合物であればよい。
光重合開始剤としては、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノンおよびベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジルおよびベンジル誘導体、ベンゾインおよびベンゾイン誘導体、ベンゾインアルキルエーテル、2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン及びキサントン誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。
着色剤として顔料を使用する場合、光重合開始剤の少なくとも1種が吸収波長が長い光重合開始剤を用いると、特に深部までの硬化により有効である。
本発明において、光重合開始剤は、少なくとも2種以上の光重合開始剤を組み合わせて使用することが好ましい。異なる2種以上の光重合開始剤を組み合わせて使用する際には、表面硬化性に優れた光重合開始剤(例えば、イルガキュア907(チバガイギー社製))と深部硬化性に優れた光重合開始剤(例えば、イルガキュア369(チバガイギー社製))とを組み合わせて使用することが好ましい。これにより、着色層の表層部から深部まで充分に硬化させることができる。
従来の光ファイバ着色心線や光ファイバテープ心線では、高湿環境下においたり水中に浸すと伝送特性が悪化することがある。この現象は、以下のようなメカニズムで起こると推測される。光ファイバ着色心線や光ファイバテープ心線を水(特に温水)に浸すと、一括被覆用樹脂と着色心線の着色層との境界面や着色層とセカンダリ層との境界面に水が浸入する。ここで、境界面に存在する気泡や微小ゴミ等を核として水滴が溜まり、境界面にブリスタ(水分による膨れ)を形成する。着色層の水溶性成分(着色剤、未反応成分等)がブリスタ内に溶け出し、浸透圧によって次第にブリスタが成長する。この成長したブリスタからガラスファイバに対して応力が加えられ、マイクロベンドが生じ、伝送特性の悪化を招くことになる。
しかし、表面硬化性に優れた光重合開始剤と深部硬化性に優れた光重合開始剤とを組み合わせて使用すれば、前記のように着色層の表層部から深部まで充分に硬化できるので、着色層中の水溶性成分を低減して、高湿環境下や水中においてもブリスタが生じにくいという耐水性に優れた光ファイバ着色心線又は光ファイバテープ心線を提供できる。また、前記の組み合わせにおいて、表面硬化性に優れた光重合開始剤により、着色層の表面がよく硬化して、着色層の上面に上層(一括被覆用樹脂等)が設けられた時に、上層との密着性が過度に大きくなるのを防止できる。そして、深部硬化性に優れた光重合開始剤により、着色層が硬化する時に、着色層の下面と下層(セカンダリ層等)とに結合が生じて、下層との密着性を大きくできる。よって、このような2種の光重合開始剤を用いると、上層との密着性及び下層との密着性のバランスが良く、色ハガレの発生をより確実に防止できる。
このような本発明の好ましい形態に係る紫外線硬化型インクは、インクを硬化させた被膜からの水溶性成分の溶出が少なく、60℃温水中に24時間おいた時の重量変化が3重量%未満となる。本発明の光ファイバ着色心線及び光ファイバテープ心線は、60℃温水中に24時間おいた時、波長1.55μmの光の伝送損失の増加量が0.1dB/km未満となり、耐水性に優れる。
なお、吸収波長の異なる2種の光重合開始剤を使用する場合、2種の光重合開始剤の配合比率は、使用する重合性モノマー、重合性オリゴマー、着色剤等の種類又はその使用量に応じて適宜変更することができる。
紫外線硬化型インクにおける光重合開始剤の配合量は、紫外線硬化型インクの固形分に対して7〜10重量%が好ましく、8〜10重量%がより好ましい。
光重合開始剤が紫外線硬化型インクの固形分に対して7重量%未満であると、特に着色層の深層部が硬化しにくくなる。また、10重量%を超えた場合、着色層中の光重合開始剤が過多になり、照射した紫外線が光重合開始剤に吸収されるため、硬化に必要な紫外線量が深部まで十分に届かず、着色層の硬化が不均一となることがある。
光重合開始剤による光重合反応を促進させるために、光増感促進剤を光重合開始剤と併用してもよい。この光増感促進剤としては、3級アミン系、トリフェニルホスフィン等のアルキルホスフィン系、β−チオジグリコール等のチオエーテル系化合物等を使用することができる。
紫外線硬化型インクに含まれる着色剤としては、顔料を用いることが好ましい。顔料としては、カーボンブラック、二酸化チタン、亜鉛華などの着色顔料、γ-Fe2O3、γ-Fe2O3とγ-Fe3O4の混晶、CrO2、コバルトフェライト、コバルト被着酸化鉄、バリウムフェライト、Fe-Co、Fe-Co-Ni等の磁性粉、MIO、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、トリポリリン酸アルミニウム、亜鉛、アルミナ、ガラス、マイカ等の無機顔料が挙げられる。また、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料を用いることもできる。
顔料には、各種表面改質や複合顔料化等の処理が施されていてもよい。また、着色剤に、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維などのフィラー等を添加してもよい。
紫外線硬化型インクにおける着色剤成分の配合量は、紫外線硬化型インクの固形分に対して1〜5重量%の範囲が好ましい。
以上に挙げた、重合性モノマー又は重合性オリゴマー、光重合開始剤、着色剤の他に、添加剤として、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、保存安定剤、可塑剤、溶剤、老化防止剤、濡れ性改良剤などの添加剤を適宜配合することができる。
次に、本発明に係る光ファイバ着色心線のプライマリ層及びセカンダリ層を構成する成分について説明する。プライマリ層及びセカンダリ層は、熱、紫外線、その他の放射線により硬化する硬化性樹脂組成物から形成するのがよい。この硬化性樹脂組成物には、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合開始剤、添加剤等を含有することができる。
プライマリ層を形成する硬化性樹脂組成物には、通常の光ファイバ着色心線のプライマリ層に用いられる重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合開始剤、添加剤を含有することができる。また、プライマリ層の硬化性樹脂組成物には、ウレタン(メタ)アクリレート、エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートから選ばれる重合性オリゴマーを含有することが好ましい。
セカンダリ層に用いられる硬化性樹脂組成物としては、着色層との密着性の観点から、以下に挙げる重合性オリゴマー(B)、重合性モノマー(C)、重合開始剤(D)を含有することが好ましい。
重合性オリゴマー(B)としては、例えば、ポリオール化合物、ジイソシアネート化合物および水酸基含有(メタ)アクリレートの反応生成物あるいはジイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートの反応生成物を用いることができる。すなわち、この反応生成物は、ジイソシアネートのイソシアネート基を、ポリオール化合物の水酸基または水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基と反応させることにより製造される。
ポリオール化合物、ジイソシアネート化合物および水酸基含有(メタ)アクリレートの反応生成物である重合性オリゴマー(以下「重合性オリゴマー(B1)」という)を合成する場合、ポリオール化合物に含まれる水酸基1当量に対してジイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基が 1.1〜2当量、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基が0.1〜1当量となるように、これらの反応剤を用いるのが好ましい。ジイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応生成物である重合性オリゴマー(以下「重合性オリゴマー(B2)」という)を合成する場合、ジイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基と水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基が当量となるように、これらの反応剤を用いるのが好ましい。また、ポリオール化合物、ジイソシアネート化合物、水酸基含有(メタ)アクリレートの量を適当に調整することにより重合性オリゴマー(B1)と重合性オリゴマー(B2)を同時に合成することもできる。
この反応を実施する具体的方法としては、例えばポリオール化合物、ジイソシアネート化合物および水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を一括して仕込んで反応させる方法;ポリオール化合物およびジイソシアネート化合物を反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させる方法;ジイソシアネート化合物および水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させ、次いでポリオール化合物を反応させる方法;ジイソシアネート化合物および水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させ、次いでポリオール化合物を反応させ、最後にまた水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させる方法などが挙げられる。
ここで重合性オリゴマー(B)の合成で用いられるジイソシアネート化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物、及びポリオール化合物の具体例としては、特開2001−302928号公報に記載の化合物が挙げられる。
セカンダリ層の硬化性樹脂組成物には、さらに重合性モノマー(C)を含有させることができる。その例として、単官能性化合物および/または多官能性化合物を挙げることができる。ここで用いられる単官能性化合物および多官能性化合物の具体例としては、特開2001−302928号公報に記載の化合物が挙げられる。
前記硬化性樹脂組成物には重合開始剤(D)を含有させることができる。重合開始剤(D)としては、熱重合開始剤または光重合開始剤を用いることができる。本発明の液状硬化性樹脂組成物を熱硬化させる場合には、通常、過酸化物、アゾ化合物等の熱重合開始剤を用いることができる。具体的には、例えばベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−オキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。ここで用いられる熱重合開始剤及び光重合開始剤の具体例としては、特開2001−302928号公報に記載の化合物が挙げられる。
また、前記硬化性樹脂組成物には、上記成分以外に各種添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、炭化水素化合物以外の滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、塗面改良剤等を必要に応じて配合することができる。
図1に示す本実施形態に係る光ファイバ着色心線1を製造する方法を以下に例示する。まず、光ファイバ母材を線引きして細径のガラスファイバを形成する。そして、ガラスファイバの外周面にプライマリ層用硬化性樹脂を塗布して、紫外線等を照射して硬化させ、プライマリ層4を形成する。次に、プライマリ層4の外周面にセカンダリ層用硬化性樹脂を塗布して、紫外線等を照射して硬化させ、セカンダリ層5を形成する。このガラスファイバにプライマリ層4及びセカンダリ層5が形成された光ファイバを「光ファイバ素線」という。この光ファイバ素線を巻き取りボビン等に一旦巻き取る。
次に、この巻き取りボビンに巻き取られた光ファイバ素線に着色層を形成する。図2は、光ファイバ素線に着色層を形成する装置の概略構成図を示している。
図2に示すように、この装置は、着色層用の紫外線硬化型インクを塗布するインク塗布用ダイス11と、塗布したインクに紫外線を照射して硬化させる紫外線照射装置12と、引取り張力を与えて光ファイバ素線をボビン13から繰出す引取装置17が設けられている。
この装置に、光ファイバ素線が巻き取られているボビン13をセットする。光ファイバ素線14をインク塗布用ダイス11に通過させ、光ファイバ素線14の外周にインクを塗布してインク塗布膜を形成する。その後、紫外線照射装置12を通過させることによって、インク塗布膜を硬化させ、光ファイバ着色心線15を形成する。この着色層が形成された光ファイバ着色心線15を引取装置17によって引取り、再びボビン16に巻き取る。なお、ボビン13,16はABS樹脂等からなるものがよい。
本実施形態に係る光ファイバ着色心線1の直径は240〜260μmであることが好ましい。また、ガラスファイバ3の直径は123〜127μm、プライマリ層4の厚みは30〜50μm、セカンダリ層5の厚みは15〜35μm、着色層6の厚みは2〜10μmの範囲であることが好ましい。
本発明の光ファイバ着色心線は、複数配列して一括被覆用樹脂により被覆した光ファイバテープ心線として好適に用いることができる。
図3は、本発明の光ファイバテープ心線の好適な一実施形態を示す断面模式図である。図3に示す光ファイバテープ心線8は、ガラスファイバの外周面がプライマリ層、セカンダリ層、及び着色層で被覆された4本の光ファイバ着色心線1a〜1dが相互に並列となるように配置されている。光ファイバ着色心線1a〜1dは一括被覆用樹脂7で被覆されて一体化されており、4心型光ファイバテープ心線8を構成している。
図4に、光ファイバテープ心線8を製造する装置の概略構成図を示す。図4に示すように、この装置は、一括被覆用樹脂を塗布する一括被覆用ダイス21と、塗布した一括被覆用樹脂に紫外線を照射して硬化させる紫外線照射装置22と、引取り張力を与えて光ファイバ着色心線24a〜24dをボビン23a〜23dから繰出す引取装置27とが設けられている。
この装置に、光ファイバ着色心線が巻き取られているボビン23a〜23dをセットする。光ファイバ着色心線24a〜24dを一括被覆用ダイス21に通過させ、光ファイバ着色心線24a〜24dの外周に一括して樹脂を塗布して塗布膜を形成する。その後、紫外線照射装置22を通過させることによって、塗布膜を硬化させ、光ファイバテープ心線25を形成する。この光ファイバテープ心線25を引取装置27によって引取り、再びボビン26に巻き取る。
このようにして製造した光ファイバテープ心線において単心分離作業を行う時には、光ファイバ着色心線の着色層表面と一括被覆用樹脂との密着力が、着色層とセカンダリ層との密着力に比べて大きすぎると、着色層表面と一括被覆用樹脂との境界面で剥離されず、光ファイバ着色心線の着色層がセカンダリ層から剥がれてしまい、色ハガレが生じる。
しかしながら、本発明の光ファイバテープ心線によれば、表面滑性に優れ、かつ着色層とその上下の層との密着性のバランスに優れた光ファイバ着色心線から形成されているので、色ハガレが発生することなく、容易に一括被覆用樹脂を剥離することができる。
また、本発明の好ましい形態に係る光ファイバ着色心線は耐水性に優れているので、本発明の光ファイバ着色心線からなる光ファイバテープ心線も耐水性に優れるものである。
光ファイバテープ心線の一括被覆用樹脂としては、光ファイバの損傷防止性、分断容易性等の観点から、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化型樹脂や、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂等の紫外線硬化型樹脂がよい。中でも、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂等の紫外線硬化型樹脂が好ましく、ウレタンアクリレート樹脂がより好ましい。
一括被覆用樹脂を形成する硬化性樹脂組成物としては、樹脂の構成成分である重合性モノマー及び/又は重合性オリゴマーを含有することができる。重合性オリゴマーとしては、例えば、ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加ジオール、トリレンジイソシアネート及びヒドロキシエチルアクリレートを反応させて得られるウレタンアクリレート;ポリテトラメチレングリコール、トリレンジイソシアネート及びヒドロキシエチルアクリレートを反応させて得られるウレタンアクリレート;トリレンジイソシアネート及びヒドロキシエチルアクリレートを反応させて得られるウレタンアクリレート等が挙げられる。
また、重合性モノマーとしては、トリシクロデカンジアクリレート;N−ビニルピロリドン;イソボニルアクリレート;ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加ジオールジアクリレートラウリルアクリレート;ビスフェノールAエポキシジアクリレート;エチレンオキサイド付加ノニルフェノールアクリレート等が挙げられる。これらの構成成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの構成成分にポリシロキサン化合物を添加して用いることもできる。
また、一括被覆用樹脂の硬化性樹脂組成物には、光重合開始剤を配合することができる。光重合開始剤としては、特に限定されないが、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンと、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドとを配合することが好ましい。これらの化合物の配合量は、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンが0.5〜0.9重量%、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが1.0〜1.5重量%が好ましい。
なお、図3には4心型光ファイバテープ心線の一例を示したが、本発明の光ファイバテープ心線が備える光ファイバ心線の本数は特に制限されず、用途に応じて2心型、8心型又は12心型としてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。
〔変性ジメチルポリシロキサン(a)の製造例〕
50%のトルエン溶液800部をフラスコに仕込み、下式(11)で示されるポリシロキサン(KF−9901(信越化学工業社製、商品名))100部と、下式(12)で示される化合物(ブレンマーAE−200(日本油脂社製、商品名))100部とを加え、さらに触媒としてオクチル錫10部を加え、80℃にて3時間反応させて、下式(13)で示される変性ジメチルポリシロキサン(a)を得た。
Figure 0004292065
〔重合性オリゴマー(a1)の製造例〕
グリコール酸213部、触媒としてテトラエチルアンモニウムブロマイド0.7部、及び有機溶剤としてメチルイソブチルケトン489部を反応容器に入れ、100℃に加熱した。この溶液を100℃に保持し、撹拌しながらグリシジルメタクリレート397部を滴下して反応させ、不飽和基含有ジオールの溶液を得た。
次に、この溶液にジメチロールブタン酸414部、イソホロンジイソシアネート932部を添加して攪拌した。赤外分光分析によりイソシアネート基がほとんどなくなったのを確認した後、有機溶剤350部を入れ冷却し、重合性オリゴマー(a1)を得た。
〔重合性オリゴマー(a2)の製造例〕
無水フタル酸666部、イソフタル酸747部、エチレングリコール310部、及びネオペンチルグリコール520部を反応容器に入れて反応させ、樹脂固形分100%の水酸基含有ポリエステル樹脂を得た。
次に、上記で得られた水酸基含有ポリエステル樹脂1000部、4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート182部、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル5部、ハイドロキノンモノメチルエーテル1部、及び有機溶剤507部をフラスコに入れて反応させ、重合性オリゴマー(a2)を得た。
〔紫外線硬化型インク〔A〕〜〔E〕の調製〕
下記組成物を4口フラスコに入れ、空気を吹き込みながら80℃まで加熱して30分攪拌した。得られた混合液にチタン白3部を加えて、50℃に保持して20分攪拌し、その後常温に冷却して紫外線硬化型インク〔A〕を得た。
組成物:
変性ジメチルポリシロキサン(a) 10部;
光重合開始剤(a)(イルガキュア907 チバガイギー(株)社製) 3部;
光重合開始剤(b)(イルガキュア369 チバガイギー(株)社製) 7部;
重合性オリゴマー(a1) 30部;
重合性オリゴマー(a2) 7部;
ビスフェノールAEO変性ジアクリレート(アロニックスM−211B 東亜合成(株)社製) 20部;
ポリエステルアクリレート(アロニックスM9050 東亜合成(株)社製) 20部
上記組成物の組成を下記表のように変更して、紫外線硬化型インク〔A〕〜〔E〕を作成した。
Figure 0004292065
〔光ファイバ着色心線〔A〕〜〔E〕の製造〕
上記のようにして製造した紫外線硬化型インク〔A〕を用いて、図1に示す光ファイバ着色心線1を以下の手順で作製した。
ガラスファイバ3として、コアにGeをドープしたシングルモードガラスファイバを使用した。ガラスファイバ3の外周に、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂(ヤング率:1MPa)を含有する樹脂組成物を塗布、硬化させて、プライマリ層4を形成した。このプライマリ層4の外周に、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂(ヤング率:800MPa)を含有する樹脂組成物を塗布、硬化させて、セカンダリ層5を形成した。
さらに、図2に示す装置を用いて、セカンダリ層の外周に紫外線硬化型インク〔A}を塗布、硬化させて、光ファイバ着色心線〔A〕を製造した。
同様にして、紫外線硬化型インク〔B〕〜〔E〕を用いて、光ファイバ着色心線〔B〕〜〔E〕をそれぞれ作製した。
〔光ファイバテープ心線〔A〕〜〔E〕の製造〕
上記のようにして製造した光ファイバ着色心線〔A〕を4本用意し、下記組成の一括被覆用樹脂組成物を用いて、4心型の光ファイバテープ心線〔A〕を製造した。なお、光ファイバ着色心線の線速を600m/分とした。光ファイバテープ心線の厚さは310μmであった。同様にして、光ファイバ着色心線〔B〕〜〔E〕から光ファイバテープ心線〔B〕〜〔E〕をそれぞれ製造した。
一括被覆用樹脂組成物:
ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加ジオール1mol、トリレンジイソシアネート2mol及びヒドロキシエチルアクリレート2molを反応させて得られるウレタンアクリレート 18部;
ポリテトラメチレングリコール1mol、トリレンジイソシアネート2mol及びヒドロキシエチルアクリレート2molを反応させて得られるウレタンアクリレート 10部;
トリレンジイソシアネート1mol及びヒドロキシエチルアクリレート2molを反応させて得られるトリシクロデカンジアクリレート(b) 15部;
N−ビニルピロリドン 10部;
イソボニルアクリレート 10部;
ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加ジオールジアクリレート 5部;
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン(イルガキュア907、チバスペシアリティケミカルズ社製) 0.7部;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(ルシリンTPO、BASF社製) 1.3部
〔光ファイバ着色心線表面の動摩擦係数測定〕
図5に示す要領で、以下のようにして光ファイバ着色心線の着色層表面の動摩擦係数を求めた。
(a):光ファイバ着色心線を30本並列に密着して並べたものを2組用意し、両者の外側の間隔がスライドガラス41の横幅程度になるようにそれぞれ貼りつける。
(b):光ファイバ着色心線を30本並列に並べたものを2組用意し、スライドガラス41の横幅程度の間隔を空けて並行に並べる。
(c)及び(d):(b)の光ファイバ着色心線の上に、(a)のスライドガラス41を光ファイバ着色心線を貼った面を下にして、垂直に重ねる。スライドガラス41の上に50gの分銅42を乗せて、スライドガラス41を引張速度6cm/分で引っ張り、移動しているときの力を動摩擦力(kgf)とする。この値をスライドガラス41及び分銅42を合計した質量で割ったものを動摩擦係数とする。
〔評価試験〕
上記で得られた紫外線硬化型インク〔A〕〜〔E〕、光ファイバ着色心線〔A〕〜〔E〕、及び光ファイバテープ心線〔A〕〜〔E〕について、以下の試験を行った。
1.紫外線硬化型インクの評価
1−1.60℃温水溶出率
ガラス板上に、紫外線硬化型インク〔A〕〜〔E〕をスピンコーターで膜厚10μmとなるように塗布し、大気中で紫外線をエネルギー線量5000J/m2で照射して硬化させた。このサンプルをガラス板から剥がし、プラスチックの吸水率のJIS規格(JIS K 7209 (2000) A法)に準じた方法にて60℃温水中の吸水率(%)を算出した。なお、浸漬時間は24時間であった。
1−2.ピール強度(対一括被覆用樹脂)
ポリエステル合成紙上に、紫外線硬化型インク〔A〕〜〔E〕をスピンコーターで膜厚10μmとなるように塗布し、大気中で紫外線をエネルギー線量5000J/m2で照射して硬化させた。その上に、前記の一括被覆用樹脂組成物をスピンコーターで膜厚50μmとなるように塗布し、大気中で紫外線をエネルギー線量5000J/m2で照射して硬化させた。このようにして樹脂サンプルを作製した。
この樹脂サンプルを1cm幅の短冊状に切断し、オートグラフ(島津製作所製)でロードセルの荷重を1kg重で、紫外線硬化型インクの被膜と一括被覆樹脂組成物の被膜との間を20℃で180°の方向にピールさせ、ピール強度(N/m)を測定した。
1−3.ピール強度(対セカンダリ層用樹脂)
ガラス板上に、前記したセカンダリ層用樹脂組成物を膜厚50μmになるように塗布し、2000ppm酸素含有の窒素雰囲気下で、紫外線をエネルギー線量1000J/m2で照射し硬化させた。次に、紫外線硬化型インク〔A〕〜〔E〕をスピンコーターにて膜厚10μmとなるように塗布し、大気中で紫外線をエネルギー線量1000J/m2で照射し硬化させた。さらに、一括被覆樹脂をスピンコーターにて膜厚50μmとなるように塗布し、大気中で紫外線をエネルギー線量5000J/m2で照射し硬化させた。このようにして樹脂サンプルを作製した。
上記で得られた樹脂サンプルをガラス板から剥がして、1cm幅の短冊状に切断した。オートグラフ(島津製作所製)用いロードセルの荷重1kg重で、セカンダリ層用樹脂の被膜と紫外線硬化型インクの被膜との間を20℃で180°の方向にピールさせ、ピール強度(N/m)を測定した。
2.光ファイバ着色心線・光ファイバテープ心線特性の評価
2−1.OTDR段差発生頻度
巻き取りボビンに光ファイバ着色心線を巻いたまま、OTDR(安藤電気社製)によって、波長1.55μmの光の波形を観察し、波形の段差(波形の傾きが急激な階段状に変化する箇所)を計測した。光ファイバ着色心線の総巻き替え長(230km)に対する波形の段差(200mの長さで0.02dB以上の変化がある箇所)の総個数を算出し、これをOTDR段差発生頻度(個/230km)とした。
2−2.単心分離性試験
1mの光ファイバテープ心線を手作業で単心分離し、光ファイバ着色心線の色ハガレの有無を観察した。これを12回繰り返して、全試行数に対して色ハガレが起きた試行数を計測した。
2−3.耐水性試験
4心型光ファイバテープ心線を全長約700m、直径約30cmの束とし、この束を60℃の温水に浸漬させた。束の両端を水面上に出しておき、4本の光ファイバ着色心線の伝送損失(dB/km)を測定し、24時間後と2週間後の伝送損失の増加量の最大値を記録した。
以上の試験結果を表2に示す。
Figure 0004292065
以上の結果より、本発明の光ファイバ着色心線及び光ファイバテープ心線(実施例1〜3)は、OTDR段差の発生が極めて少なく、しかも光ファイバテープ心線を各光ファイバ着色心線に単心分離するときに色ハガレが起りにくく、単心分離性に優れていた。これに対し、比較例1の光ファイバ着色心線はOTDR段差の発生は少なかったが、光ファイバテープ心線としたときに単心分離性が劣っていた。これは、ピール強度のデータから、着色層と一括被覆用樹脂との密着性と、着色層とセカンダリ層との密着性とが同程度であり、密着性のバランスが悪く、単心分離時に必ずしも一括被覆用樹脂と着色層とが剥離しないためと推測される。また、比較例2においては、光ファイバ着色心線表面の動摩擦係数が大きすぎるのでOTDR段差の発生頻度が高く、さらに密着性のバランスが悪いので単心分離性でも劣っていた。
なお、実施例1〜3のうち、特に実施例1は、単心分離性及び耐水性において最も優れていた。これは、実施例1では、表面硬化性のよい光重合開始剤(イルガキュア907)と深部硬化性のよい光重合開始剤(イルガキュア369)とを併用しているためと推測される。
本発明の光ファイバ着色心線の一実施形態を示す断面模式図である。 光ファイバ素線に着色層を形成する装置の概略構成図である。 本発明の光ファイバテープ心線の一実施形態を示す断面模式図である。 光ファイバテープ心線を製造する装置の概略構成図である。 光ファイバ着色心線の動摩擦係数を計測する説明図である。
符号の説明
1 光ファイバ着色心線
3 ガラスファイバ
4 プライマリ層
5 セカンダリ層
6 着色層
7 一括被覆用樹脂
8 光ファイバテープ心線

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表される変性ジメチルポリシロキサンを含有する紫外線硬化型インクから形成された着色層を有し、前記着色層表面の動摩擦係数が0より大きく0.25以下であることを特徴とする光ファイバ着色心線。
    Figure 0004292065
    (式中、Rはエーテル結合又はエステル結合を有する2価の連結基を示す。Xはアクリロイル基又はメタアクリロイル基を示す。l、m及びnは、それぞれ1〜100の整数を示す。)
  2. 前記紫外線硬化型インクが、前記変性ジメチルポリシロキサンを8〜20重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ着色心線。
  3. 前記紫外線硬化型インクが、少なくとも2種以上の光重合開始剤を7〜10重量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバ着色心線。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光ファイバ着色心線を複数配列して、一括被覆用樹脂で被覆してなる光ファイバテープ心線。

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