JP4290856B2 - 折戸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バリアフリーに対応させるために、下レールを設けることなく取り付けられる折戸に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、洋服タンス等の収納家具またはクローゼット等の収納建具に使用される折戸および間仕切り戸は、図8に示されるように、複数枚の扉50,50の側縁部分をお互いに蝶番51、51などにより連結して折り畳み自在とするとともに、取付け枠の上下枠部にそれぞれ上レール52および下レール53を取付け、たとえば折戸の戸元側上下部に前記上下レール52,53に嵌合され固定機構によりレールの所定位置に位置固定される軸受け金具54,55を設け、これら軸受け金具54,55によって折戸の上下端側ピボットを夫々回転自在に支持させるようにし、一方折戸の戸先側上下部には開閉に伴って上下レール52,53に沿って移動自在とされるランナ56,57を取付けて開閉自在としたものである。
【0003】
近年のバリアフリー化の傾向により、前記下レール53は床面より突出しない構造または突出量を僅かとした構造が採用されているが、バリアフリーのためには当然に下レールを設けずに、床面に境目のない構造とするのが望ましいことは言うまでもない。この場合の折戸の固定支持構造としては、床面に対して直接的に軸受け金具を固定し、折戸のピボットを嵌合させて回転自在に支持し、かつ戸先側の上縁部に吊り戸車を設け上レール内を走行させる構造が採用されている。
【0004】
しかしながら、一般的に収納家具や収納建具の組立精度にも製作誤差があり、また床面と鴨居との間の距離が一定ではないため、隣接する扉間で高さ調整を必要としたり、回転軸位置の調整を必要とすることが多い。もちろん、これらの調整は折戸を建込みした状態で行えることが施工性の点から望ましい。
【0005】
そこで本出願人は、先の特願2000-145930号において、折戸を建て込みした状態で折戸の高さ調整および回転軸位置調整を容易に行い得るようにした折戸類の固定用軸受け金具を提案した。この軸受け金具は、図9に示されるように、取付け枠の無目に上レール60を取付け、折戸61の戸元側下端部に設けられた下部ピボット62を床面に直付けされた下部固定用軸受け金具63によって回転自在に支持するとともに、折戸61の戸元側上端部に設けられた上部ピボット64を前記上レール60に固定された上部固定用軸受け金具65によって回転自在に支持した折戸である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記固定用軸受け金具63,65による折戸支持構造の場合には、折戸を言わば片持ち状態で支持するものであるため、折戸重量が重いと、高さ調整時に上部固定用軸受け金具65から上部ピボット64が抜け出すなどの問題が発生した。すなわち、図10に示されるように、折戸61の重心Oは戸の中心に位置し、回転中心軸Lから距離Sだけ離れた位置に折戸重量Wが掛かるようになるため、上部固定用軸受け金具65には常時、水平方向力Hが作用するようになる。一方、ピボット軸64aは図11に示されるように、内挿されたバネ66により上方向に向けて付勢されているが、前記折戸重量Wがある程度の重量以上になると、前記水平方向力Hも比例的に増大し、ピボット軸64aの底板64bと筒体67の内壁67aとが強く接触するようになり、ピボット軸64aが摺動不能となる事態が生じた。ピボット軸64aが摺動不能な状態のまま、たとえば折戸61を低く位置調整しようとすると、図12に示されるように、折戸61が下降してもピボット軸64aが外方に突出することなく、その突出状態のまま折戸61と共に下降し、上部固定用軸受け金具65の嵌合凹部65aから抜け出すことがあった。
【0007】
そこで本発明の主たる課題は、バリアフリーに対応させるために、下レールを設けることなく取り付けられる折戸において、折戸の高さ調整時に、上レールに固定される上部固定用軸受け金具から上部ピボットが抜け出ないようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明は、無目に上レールを取付け、折戸の戸元側下端部に設けられた下部ピボットを床面に直付けされた下部固定用軸受け金具によって回転自在に支持するとともに、折戸の戸元側上端部に設けられた上部ピボットを前記上レールに移動不能に固定された上部固定用軸受け金具によって回転自在に支持し、かつ戸先側上端部に設けた吊り戸車のみを上レールに沿って走行自在とした構造の折戸において、
前記上部固定用軸受け金具は、折戸の戸元側上端部に設けられた前記上部ピボットの先端ブシュを嵌合させる嵌合凹部を有し、該嵌合凹部の外側に段状に連続して、嵌合凹部をレール方向に挟んで戸先側周壁と戸元側周壁とを形成するか嵌合凹部の全周を囲むように環状周壁を形成するとともに、前記戸先側周壁又は環状周壁の戸先側部分に前記先端ブシュが係合する顎部を形成し前記上部ピボットが抜け出ないように保持したことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は本発明に係る折戸1の取付け状態を示す斜視図であり、図2は折戸1を上部側で支持する上部固定用軸受け金具3の側面図、図3はその底面図、図4は断面図である。
【0010】
折戸1は、図1に示されるように、取付け枠の無目9に上レール5を取付け、折戸1の戸元側下端部に設けられた下部ピボット7を床面6に直付けされた下部固定用軸受け金具2によって回転自在に支持するとともに、折戸1の戸元側上端部に設けられた上部ピボット8を前記上レール5に移動不能に固定された上部固定用軸受け金具3によって回転自在に支持し、かつ戸先側上端部に設けた吊り戸車4を上レール5に沿って走行自在とした構造の折戸である。なお、前記吊り戸車4に代えて摺動ピボットを用いることもできる。
【0011】
前記上部固定用軸受け金具3(以下、単に受け金具ともいう。)は、詳細には図2に示されるように、折戸1の戸元側上端部に設けられた上部ピボット8を回転自在に支持する受け金具本体部10Aと、上レール5に対して固定を図るレール固定部10Bと、前記レール固定部10Bで緩みが生じても受け金具3が移動しないように無目9に対してネジ止めを図るネジ固定部10Cとから構成され、両側部に部材全長に亘って上レール5の水平突片5a、5aに係合する側部スリット溝11が形成された部材で、図4に示されるように、上レール5にスライド可能に嵌合された後、所定の位置に固定される。
【0012】
以下、具体的に詳述すると、
前記受け金具本体部10Aの下面側には、下方に開口を臨ませて前記上部ピボット8、実際には前記上部ピボット8の先端部に軸芯回りに回動自在に取着された先端ブシュ12が嵌合されるピボット嵌合凹部10aが形成されている。前記先端ブシュ12は、嵌合突部12aと、これに連続するフランジ部12bとからなり、中心に上下方向に貫通する挿通孔12cが形成された部材で、上部ピボット8のピボット軸部8aを挿通した後、軸部先端をカシメて軸芯回りに回動自在に取着されている。前記先端ブシュ12の下側には、ピボット軸部8aの回転を円滑にするために摺動リング13が外嵌されている。
【0013】
前記ピボット嵌合凹部10aの外側には、前記嵌合凹部10aを間に挟んで上レール5方向にそれぞれ略弧状の戸先側周壁14と、戸元側周壁15とが形成されている。前記戸先側周壁14の内側弧線と、戸元側周壁15の内側弧線とに挟まれた空間内には、前記先端ブシュ12のフランジ部12bが位置するようになっており、前記戸先側周壁14には、図5に詳細に示されるように、ほぼ中心位置に外方側に突出する突部14aが形成され、前記フランジ部12bが係合する顎部16が形成されている。したがって、折戸1の建込み状態時には、前述のように(図10参照)、上部固定軸受け金具3には常時、水平方向力Hが作用している結果、前記顎部16に先端ブシュ12のフランジ部12bが係合するようになり、上部ピボット8が抜け出ないように確実に保持されるようになるのはもちろんのこと、建付け時の折戸高さ調整時において、折戸1を下方側に移動調整しても、前記フランジ部12bが顎部16に係合しているため、折戸1と共に下方側に移動することはなく、抜け出しを確実に防止できるようになる。なお、本例では、受け金具3の幅寸法からの制約から上レール5方向に対向させて、一対の戸先側周壁14と戸元側周壁15とを形成するようにしたが、フランジ部12bの全周を囲むように環状に形成するようにしてもよい。
【0014】
一方、前記レール固定部10Bは、前記側部スリット溝11よりも上部側部分を切り欠いて段状凹部17とするとともに、前記段状凹部17のほぼ中央に上下方向に貫通するネジ通孔18を形成し、下面側から前記ネジ通孔18に固定ボルト19を挿入し、裏面側に配設された方形状のネジ板20に螺合させている。前記ネジ板20の四隅端部20a、20a…はそれぞれ、側部スリット溝11側に浅く屈曲され、上レール5に嵌合させた状態で前記固定ボルト19を時計回り方向に回転させると、前記ネジ板20が引き込まれ、図4に示されるように、前記四隅端部20a、20a…が上レール5の水平突片5a、5aに刻入し、前記受け金具3を上レール5の所定位置に固定できるようになっている。
【0015】
前記レール固定部10Bに隣接するネジ固定部10Cには、上下方向に貫通して2本のビス通孔21a,21bが形成されており、これらビス通孔21a、21bの内の一つに、木ねじ22を挿通し無目9に螺入させて受け金具3を堅固に固定する。なお、ビス通孔21a、21bの内の他方は、将来の固定位置変更のための予備孔である。
【0016】
かかる上部固定用軸受け金具3による折戸1の建込みは下記の要領によって行う。
【0017】
図6に示されるように、床面Fの端部に下部固定用軸受け金具2を固定する一方、上レール5に上部固定用軸受け金具3を挿入するとともに、上レール5の端部から若干戸先側に移動させた状態としておく。そして、折戸1を傾けながら、折戸1の下部ピボット7を前記下部固定用軸受け金具2の嵌合凹部に嵌合させるとともに、上部固定用軸受け金具3の嵌合凹部10aに対し上部ピボット8の先端ブシュ12を嵌合させる。なお、図7に示されるように、前記嵌合凹部10aの内径および戸先側周壁14と戸元側周壁15との間の挿入幅は、前記折戸1を傾けた状態で先端ブシュ12を挿入できる寸法としておく。
【0018】
上部ピボット8を上部固定用軸受け金具3の嵌合凹部10aに嵌合させたならば、上部固定用軸受け金具3を上レール5に沿って戸元側に移動させ、上部ピボット8の位置が下部ピボット7の鉛直線上に位置したならば、固定ボルト19を時計方向に回転させて上部固定用軸受け金具3を固定するとともに、木ねじ22を螺入し堅固に固定する。
【0019】
【発明の効果】
以上詳説のとおり本発明によれば、平常時はもちろんのこと、折戸の高さ調整時において、上部固定用軸受け金具から上部ピボットが抜け出すのを確実に防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る折戸1の取付け状態を示す斜視図である。
【図2】 折戸の上部固定用軸受け金具3を示す側面図である。
【図3】 その底面図である。
【図4】 横断面図(図2のIV−IV線矢視)である。
【図5】 ピボット嵌合凹部12の要部拡大横断面図である。
【図6】 折戸1の建込み要領図である。
【図7】 折戸建込み時の上部ピボット嵌合状態を示す要部拡大断面図である。
【図8】 上下レール52,53を用いた折戸支持構造の斜視図である。
【図9】 直付け型固定用軸受け金具63,65による折戸支持構造図である。
【図10】 折戸自重によって上部固定用軸受け金具65に対する水平力発生状況の説明図である。
【図11】 上部ピボット64の嵌合支持状態図である。
【図12】 折戸の高さ調整時に上部ピボット64の抜け出し状況図である。
【符号の説明】
1…折戸、2…下部固定用軸受け金具、3…上部固定用軸受け金具、4…吊り戸車、5…上レール、7…下部ピボット、8…上部ピボット、10A…受け金具本体部、10B…レール固定部、10C…ネジ固定部、11…側部スリット溝、12…先端ブシュ、12a…嵌合突部、12b…フランジ部、14…戸先側周壁、15…戸元側周壁、16…顎部、19…固定ボルト、20…ネジ板、22…木ねじ
Claims (1)
- 無目に上レールを取付け、折戸の戸元側下端部に設けられた下部ピボットを床面に直付けされた下部固定用軸受け金具によって回転自在に支持するとともに、折戸の戸元側上端部に設けられた上部ピボットを前記上レールに移動不能に固定された上部固定用軸受け金具によって回転自在に支持し、かつ戸先側上端部に設けた吊り戸車のみを上レールに沿って走行自在とした構造の折戸において、
前記上部固定用軸受け金具は、折戸の戸元側上端部に設けられた前記上部ピボットの先端ブシュを嵌合させる嵌合凹部を有し、該嵌合凹部の外側に段状に連続して、嵌合凹部をレール方向に挟んで戸先側周壁と戸元側周壁とを形成するか嵌合凹部の全周を囲むように環状周壁を形成するとともに、前記戸先側周壁又は環状周壁の戸先側部分に前記先端ブシュが係合する顎部を形成し前記上部ピボットが抜け出ないように保持したことを特徴とする折戸。
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