JP4290271B2 - 経皮透過方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は電流密度を時系列的に複数の通電工程で段階的に低下させて通電することを特徴とするイオントフォレシスによるGPIIb/IIIa拮抗物質の経皮透過方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、血小板のリセプターの一つであるGPIIb/IIIaに対する競合阻害により血小板の凝集を抑制し抗血栓作用を示す物質が種々合成され、(1)狭心症、(2)不安定狭心症、(3)PTCA(経皮的冠動脈内血管形成術)もしくは冠動脈血栓溶解法施行時の虚血性合併症又は冠動脈の再閉塞もしくは再狭窄等の予防または治療への適用が期待されている。とりわけ2-ピペラジノン-1-酢酸誘導体からなるGPIIb/IIIa拮抗物質には高い抗血小板凝集活性を示すものが見出されている(特開平6−25285号公報、特開平9−316059号公報)。しかし、一般にGPIIb/IIIa拮抗物質には共通して以下に示す三つの大きな問題点が指摘されている。第一の問題点は副作用である出血時間の延長を示す血清薬物濃度の下限が、主作用を示す血清濃度域に近接しているため、いかに血清濃度を一定に制御して主作用と副作用を乖離させるかという点である。第二の問題点は、GPIIb/IIIa拮抗物質の作用機構によれば、一定した有効血清薬物濃度を長期間(例えば、約3日間以上、好ましくは約3〜100日間、より好ましくは約7〜100日間、さらに好ましくは約7〜30日間、最も好ましくは約7〜14日間)維持させることにより、初めて治療効果が発揮できる点である。第三の問題点は化合物の親水性が高く粘膜透過性が低いため、簡便な自己投与法である経口投与が期待できず、一般に入院時にのみ可能な静脈点滴注射が唯一、安全で有効な投与法となっていることである。
第一および第二の問題点から、GPIIb/IIIa拮抗物質の好ましい血清薬物濃度パターンは速やかに一定の治療域濃度に達した後、その濃度を長時間維持するパターンであると考えられる。
また第三の問題点に関して、自己投与可能な投与方法としては吸収促進剤を併用させることにより経鼻投与や経肺投与において可能と考えられるが、これらの投与方法に共通する投与初期の一時的血清濃度の上昇は副作用をもたらす点から好ましくない。自己投与可能な別の投与方法として経皮投与が挙げられるが、通常の経皮投与においては吸収促進剤や他の添加剤を配合しても、このような水溶性の高い化合物の吸収性は一般的に極めて低く、現実的に使用可能な投与方法とはいえない。仮に何らかの手段により吸収させることができたとしても、吸収のラグタイムが大きく(貼付後、血中に薬物が吸収されるまでの時間は一般的には数時間がかる)理想的な投与形態とはいえない。
【0003】
ところで、経皮吸収促進システムとして電気の力を借りてイオン性の薬物を皮膚透過させるイオントフォレシスが古くから知られている〔ジャーナル・オブ・コントロールド・リリース(Journal of Controlled Release)18巻、1992年、213−220頁;アドバンスト・ドラッグ・デリバリー・レビュー(Advanced Drug Delivery Review)9巻、1992年、119頁;ファルマシュウティカル・リサーチ(Pharmaceutical Research)3巻、1986年、318−326頁参照〕。このシステムは、例えば陽電荷を持った水溶性化合物を陽極パッチに配合し、皮膚に貼付して電気を流すと、その陽電荷化合物は電気反発力に従い、本来透過しない角質を透過して経皮吸収されるというのがその原理である。現在、このシステムはカルシトニンや副甲状腺ホルモンのような塩基性ペプチドの自己投与法に応用・着目されており、効率良い皮膚透過に関する多数の技術もすでに開示されている(特開平6−16535号公報、特開平9−103494号公報)。GPIIb/IIIa拮抗物質のイオントフォレシス経皮投与に関してはWO 97/49382号公報、WO 97/48395号公報、WO 97/49382号公報、特開平9−103494号公報、特開平9−56827号公報に開示されている。しかし、GPIIb/IIIa拮抗物質をイオントフォレシスにより投与する際の適切な通電条件に関しては十分に検討されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、(1)狭心症、(2)不安定狭心症、(3)PTCA(経皮的冠動脈内血管形成術)もしくは冠動脈血栓溶解法施行時の虚血性合併症又は冠動脈の再閉塞もしくは再狭窄等の予防または治療において、有効薬物血清濃度を長期間にわたって安定に持続させ、副作用が少なく、優れた薬理効果をもたらし、在宅でも患者が自己投与できるイオントフォレシスによるGPIIb/IIIa拮抗物質の経皮透過方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、イオントフォレシスによるGPIIb/IIIa拮抗物質の経皮透過方法において、通電条件を制御することを着想し、かかる着想に基づいて研究した結果、電流密度を時系列的に複数の工程で段階的に低下させて通電することにより、さらには、電流密度を時系列的に複数の通電工程で段階的に低下させて通電することを特徴とする第一の経皮透過に続いて、有効血清濃度に維持するための通電を複数回繰り返すことを特徴とする追加の経皮透過を行うことにより(1)狭心症、(2)不安定狭心症、(3)PTCA(経皮的冠動脈内血管形成術)もしくは冠動脈血栓溶解法施行時の虚血性合併症又は冠動脈の再閉塞もしくは再狭窄等の予防または治療において、副作用が少なく、優れた薬理効果をもたらすイオントフォレシスによるGPIIb/IIIa拮抗物質の経皮透過方法を見出し、さらに検討を重ね、本発明を完成した。
すなわち、本発明は
(1)電流密度を時系列的に複数の通電工程で段階的に低下させて通電することを特徴とするイオントフォレシスによるGPIIb/IIIa拮抗物質の経皮透過方法、
(2)2回の通電工程で段階的に低下させて通電する前記(1)記載の経皮透過方法、
(3)第1の通電工程の電流密度が約0.005〜0.5mA/cm2である前記(1)記載の経皮透過方法、
(4)第1の通電工程の通電時間が約1〜240分である前記(1)記載の経皮透過方法、
(5)最後の通電工程の電流密度が第1の通電工程の約10〜80%である前記(1)記載の経皮透過方法、
(6)最後の通電工程の通電時間が約1分〜約72時間である前記(1)記載の経皮透過方法、
(7)GPIIb/IIIa拮抗物質が一般式:
【化2】
〔式中、A1及びA2はそれぞれプロトン受容基を、Dはヘテロ原子及び/又は5又は6員環を介していてもよい2ないし6の原子鎖のスペーサー(但し、5又は6員環は結合位置により2又は3原子鎖と換算する)を、R1は水素原子又は炭化水素基を、R2は水素原子又はα−アミノ酸から−CH(NH2)COOHを除いた残基を示すか、又はR1とR2は結合して5又は6員環を形成してもよく、Pはヘテロ原子及び/又は5又は6員環を介していてもよい1ないし10の原子鎖のスペーサー(但し、5又は6員環は結合位置により2又は3原子鎖と換算する)を、nは0ないし8の整数を示す。〕で表される化合物又はその塩である前記(1)記載の経皮透過方法、
(8)A1及びA2がそれぞれ無置換のアミノ、アミジノ又はグアニジノ基である前記(7)記載の経皮透過方法、
(9)R1が水素原子である前記(7)記載の経皮透過方法、
(10)GPIIb/IIIa拮抗物質が(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸又はその塩である前記(1)記載の経皮透過方法、
(11)電流密度を時系列的に複数の通電工程で段階的に低下させて通電することを特徴とするイオントフォレシスによるGPIIb/IIIa拮抗物質の第一の経皮透過に続いて、該拮抗物質を有効血清濃度に維持するための通電を複数回繰り返すことを特徴とする追加の経皮透過を行うことを特徴とするイオントフォレシスによるGPIIb/IIIa拮抗物質の経皮透過方法、
(12)追加の経皮透過が、約2〜99回の通電からなる前記(11)記載の経皮透過方法、
(13)追加の経皮透過におけるそれぞれの通電前に、非通電期間を有することを特徴とする前記(11)記載の経皮透過方法、
(14)非通電期間が約0.1〜120分である前記(13)記載の経皮透過方法、
(15)追加の経皮透過における電流密度と、第一の経皮透過の最後の通電工程の電流密度とが、実質的に同じである前記(11)記載の経皮透過方法、
(16)GPIIb/IIIa拮抗物質の経皮透過速度が約0.01〜50mg/時間である前記(11)記載の経皮透過方法、および
(17)第一の経皮透過開始後、約240分以内にGPIIb/IIIa拮抗物質の血清濃度を約10〜500ng/mlに維持することを特徴とするイオントフォレシスによるGPIIb/IIIa拮抗物質の経皮透過方法に関する。
本明細書において、アミノ酸、ペプチドなどに関する略号は、IUPAC−IUB コミッション・オン・バイオケミカル・ノーメンクレーチャー(Commission on Biochemical Nomenclature)による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づく。また、アミノ酸の光学的異性体があり得る場合、特に明示しない限り、L体を示す。
【0006】
本発明における複数の通電工程とは1回の投与当り、好ましくは2〜10回、より好ましくは2〜6回、さらに好ましくは2〜4回、最も好ましくは2もしくは3回の通電工程を示す。それぞれの通電工程は「時間的間隔なしに」もしくは「時間的間隔をおいて」いずれの方法で行ってもよい。好ましくは時間的間隔なしに電流密度を変えて通電を連続的に行う。
第1の通電工程における電流密度は通常約0.005〜0.5mA/cm2、好ましくは0.01〜0.5mA/cm2、より好ましくは約0.05〜0.3mA/cm2である。第1の通電工程に続く次の通電工程、即ち第2の通電工程における電流密度は第1の通電工程より低ければ特に限定されない。但し、第2の通電工程が最後の通電工程となる場合は第1の通電工程における電流密度の好ましくは約10〜80%、より好ましくは約20〜60%になるように設定される。第2の通電工程が最後の通電工程ではない場合は、電流密度を直前の通電工程より低下させる条件で、1ないし複数回繰り返すことができる。このような通電工程の繰り返しの結果、最後の通電工程における電流密度は好ましくは第1の通電工程の約10〜80%、より好ましくは約20〜60%になるように設定される。
第1の通電工程における通電時間は電流密度により適宜選択されるが、例えば約1〜240分、好ましくは約1〜120分、さらに好ましくは約30〜120分である。第1の通電工程に続く次の通電工程以降、即ち第2の通電工程以降における通電時間は特に限定されないが、例えば約1分〜約72時間、好ましくは約1分〜約36時間、さらに好ましくは約1分〜約24時間、より好ましくは約2〜24時間、最も好ましくは約20〜24時間になるよう設定される。第一の経皮透過の総通電時間は、例えば、約4〜72時間,好ましくは約10〜36時間,さらに好ましくは約20〜24時間である。
それぞれの通電における電流の種類は特に限定されるものではなく、例えば直流電流および特開平8−317997号公報により開示されるようなパルス直流電流等、好ましくはパルス直流電流が用いられる。パルス直流電流の周波数は好ましくは約0.1から200kHz、より好ましくは約1から100kHz、さらに好ましくは約5から80kHzの範囲より適宜選択される。パルス直流電流のオン/オフ(on/off)の比は好ましくは約1/100から20/1、より好ましくは約1/50から15/1、さらに好ましくは約1/30から10/1の範囲より適宜選択される。
例えば、パルス直流電流の周波数とそのオン/オフ(on/off)の比は30kHz,30% duty〔パルス直流電流のオン/オフ(on/off)比に換算して3/7〕、又は50kHz,50% duty〔パルス直流電流のオン/オフ(on/off)比に換算して1/1〕が用いられる。
それぞれの通電工程における印加電圧は、生体の皮膚を損傷せず、経皮吸収率を損なわない範囲から選択でき、例えば、約0.5〜30V、好ましくは約2〜20V、さらに好ましくは約5〜10Vの範囲から選択される。
【0007】
さらに、上記した電流密度を時系列的に複数の通電工程で段階的に低下させて通電することを特徴とするイオントフォレシスによるGPIIb/IIIa拮抗物質の第一の経皮透過に続いて、該拮抗物質を有効血清濃度に維持するための通電を複数回繰り返すことを特徴とする追加の経皮透過を行うことができる。追加の経皮透過における通電は、好ましくは約2〜99回、より好ましくは約6〜99回、さらに好ましくは約6〜29回、とりわけ好ましくは約6〜13回繰り返す。追加の経皮透過のそれぞれの通電時間は特に限定されないが、例えば約1分〜72時間、好ましくは約1分〜36時間、より好ましくは約1分〜24時間、さらに好ましくは約2〜24時間、最も好ましくは約20〜24時間になるよう設定される。
追加の経皮透過のそれぞれの通電における電流の種類は、前記の「第一の経皮透過」における電流と同様のものが挙げられる。また、追加の経皮透過のそれぞれの通電における印加電圧は、前記の「第一の経皮透過」における印加電圧と同様のものが挙げられる。
追加の経皮透過のそれぞれの通電の前には非通電期間を有することが好ましい。非通電期間は、好ましくは約0.1〜120分、より好ましくは約0.5〜120分、さらに好ましくは約0.5〜60分である。第一の経皮透過と、追加の経皮透過におけるそれぞれの通電とを加えた回数は、好ましくは約3〜100回、より好ましくは約7〜100回、さらに好ましくは約7〜30回、とりわけ好ましくは約7〜14回である。本発明において、第一の経皮透過、および追加の経皮透過のそれぞれの通電を1日のGPIIb/IIIa拮抗物質の投与に対応させることが好ましい。従って、第一の経皮透過、および追加の経皮透過のそれぞれの通電を加えた、GPIIb/IIIa拮抗物質の投与日数は、好ましくは約3〜100日、より好ましくは約7〜100日、さらに好ましくは約7〜30日、とりわけ好ましくは約7〜14日である。それぞれのGPIIb/IIIa拮抗物質の投与は、次に示すデバイスまたは、陽極部パッチあるいは陰極部パッチをそれぞれの投与ごとに交換して行うことが好ましい。
参考までに本願発明の通電条件の模式図を〔図1〕に示す。
また、第一の経皮透過の前処理として、第一の通電工程よりも低い電流密度の通電工程を、第一の通電工程の前に設定してもよい。また、第一の経皮透過における各通電工程および追加の経皮透過における各通電において、望ましい通電密度を得るために、最初から望ましい電流密度に設定しても、または各通電工程あるいは各通電における電流密度を望ましい電流密度まで徐々にあるいは段階的に高めてもよい。電流密度を徐々にあるいは段階的に上昇させる場合は、短時間に行うことが好ましい。
【0008】
本発明に用いることができるイオントフォレシスにより経皮投与(経皮透過)するためのデバイスは特に限定されるものではなく、例えば特開平9−103494号公報又は特開平9−56827号公報等により開示されるデバイスを用いることができる。例えば〔図2〕に示すような箔型の銀電極1,寒天等のハイドロゲルと電解質等とを含む導電部2,1と2とを保持するカップ状の支持体3,デバイスを皮膚に貼付し固定するための粘着部4,およびGPIIb/IIIa拮抗物質を乾燥保持する多孔性薄膜(薬物保持膜)5からなる陽極部パッチ、さらに箔型の塩化銀電極および寒天等のハイドロゲルからなる陰極部パッチからなるデバイス等を用いることができる。なお、好ましくは多孔性薄膜は使用時に導電部に貼付して用いる。また、GPIIb/IIIa拮抗物質を多孔性薄膜に乾燥保持させる代わりに、導電部のハイドロゲルに溶解あるいは分散させ配合したパッチ等を用いることができる。GPIIb/IIIa拮抗物質を導電部に配合した場合、前記多孔性薄膜を省くことができるが、導電部を支持するために多孔性薄膜を用いることが好ましい。
【0009】
前記ハイドロゲルとしては寒天に加えて、皮膚に悪影響(刺激,腐食等)を及ぼさず、皮膚密着性に富み、且つ導電性を示すハイドロゲルであれば、いかなるものも用いることができる。該ハイドロゲルの好ましい例としては、例えば、親水性樹脂または高分子化合物あるいはその混合物が用いられる。親水性樹脂としては、例えば、ポリアクリルアミド,ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩またはそのエステル等のアクリル系樹脂,ポリビニルピロリドン,ポリビニルアルコール,ポリビニルエチルエーテルおよびそのコポリマー等のビニル系樹脂,トラガントガム,カラヤガム等の天然多糖類などを、また高分子化合物としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒアルロン酸またはそのアルカリ金属塩,アガロース,カードラン(curdlan)などを、好ましくは寒天,ポリビニルアルコール,アガロース,カードラン(curdlan)を用いることができる。
該ハイドロゲルにはさらに、保存剤、抗酸化剤、可塑剤、浸透圧増強剤、溶解補助剤、薬物吸収促進剤、酵素阻害剤、薬物の放出を調整できる物質、保水剤、増粘剤、pH調整剤等の添加剤を配合することができる。
保存剤としては、例えば塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)、セトリミド(臭化セチルトリメチルアンモニウム),安息香酸,ベンジルアルコール,パラベン(p−ヒドロキシ安息香酸のメチル−,エチル−,プロピル−およびブリル−エステルに対する商標),クロルヘキシジン,クロロブタノール,酢酸フェニル水銀,ホウ酸フェニル水銀,硝酸フェニル水銀,ソルビン酸カリウム,安息香酸ナトリウム,ソルビン酸ならびにチオメルサール(thiomersal)(メルクリチオサリチレート)またはそれらの混合物等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えばメタ重亜硫酸ナトリウム,ブチルヒドロキシアニソール(butylated hydroxyanisole)、ブチルヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene)、ビタミンCおよびビタミンEもしくはそれらの混合物等が挙げられる。
可塑剤としては、例えばフタル酸ジエチル,フタル酸ジブチルおよびクエン酸トリブチルまたはそれらの混合物等が挙げられる。
【0010】
浸透圧増強剤としては、例えばジメチルスルホキシド,N,N−ジメチルアセトアミド,N,N−ジメチルホルムアミド,2−ピロリドン,N−メチル−2−ピロリドンおよび1−ドデシルアザシクロ−ヘプタン−2−オンまたはそれらの混合物等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えばαCD、βCD、γCDなどのシクロデキストリン類またはそれらの混合物などが挙げられる。
薬物吸収促進剤としては、脂肪酸またはその誘導体、界面活性剤、アルコール類、ポリプレニルアザシクロアルカン類およびそれらの混合物等が挙げられる。前記脂肪酸類としてはオレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。前記脂肪酸誘導体としては脂肪酸エステル類、多価アルコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸アミド類等が挙げられる。前記脂肪酸エステル類としてはミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエステル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル等が挙げられる。前記多価アルコール脂肪酸エステル類としては、モノオレイン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノステアリン酸ジエチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル等が挙げられる。前記ポリグリセリン脂肪酸エステル類としてテトラグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、オレイン酸テトラグリセリル、ラウリン酸テトラグリセリル、ステアリン酸テトラグリセリル等)、ヘキサグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、オレイン酸ヘキサグリセリル、ラウリン酸ヘキサグリセリル、ステアリン酸ヘキサグリセリル等)、デカグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、オレイン酸デカグリセリル、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル、ステアリン酸デカグリセリル等)等が挙げられる。前記脂肪酸アミド類としてはラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。前記界面活性剤としてはラルリル硫酸ナトリウム、モノパルミチン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、オキシエチレンヒマシ油誘導体、ブロックポリマー型非イオン界面活性剤等(例えば、プルロニック類)が挙げられる。前記アルコール類としてはエタノール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、L-メントール、DL-メントール等が挙げられる。前記ポリプレニルアザシクロアルカン類としては1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン等が挙げられる。この他に薬物吸収促進剤としてリモネン等が挙げられる。
酵素阻害剤としては、例えばアプロチニン(aprotinin)、カモスタット(camostat mesilate)、キモスタチン(chymostatin)またはそれらの混合物などが挙げられる。
薬物の放出を調整できる物質としては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタール酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルファー化デンプン、アミノアクリルメタアクリレートコポリマー(オイトラギットE、オイトラギットRS)、メタアクリル酸コポリマー(オイトラギットL、オイトラギットS)、アルギン酸プロピレングリコールエステル(キミロイド)、精製セラック、白色セラック、各種分子量のポリエチレングリコール(例、PEG-6000)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニールポリマー、アルブミン、コラーゲン、各種アミノ酸、しょ糖、ぶどう糖が挙げられる。
【0011】
保水剤としては、例えば(1)多価アルコール,(2)糖アルコール,(3)アミノ酸,(4)酸性ムコ多糖などが含まれる。さらには、例えば尿素、レシチン、セラミドまたは合成の脂質などを用いて調製されたリポソームなどが挙げられる。これらの保湿剤は単独で又は二種組合わせて使用できる。
(1)多価アルコールには、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、これらの多価アルコールにエチレンオキサイドが付加した付加体(例えば、ジオキシエチレングリコール、トリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体,グリセリン−エチレンオキサイド付加体、ペンタエリスリトール−エチレンオキサイド付加体など)が含まれる。これらの多価アルコールは単独で又は二種以上混合して使用できる。好ましい多価アルコールには、分子中に2ないし4個のヒドロキシル基を有する多価アルコール,特にグリセリンが含まれる。
【0012】
(2)糖アルコールには、例えば、キシリトールなどのペンチトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトールなどのヘキシトールなどが含まれる。これらの糖アルコールも単独で又は二種以上混合して使用できる。
【0013】
(3)アミノ酸には、例えば、(i)蛋白質を構成するアミノ酸,(ii)微生物代謝産物あるいは動植物成分として天然界から得られるアミノ酸,(iii)有機合成法によって得られるアミノ酸などが含まれる。
(i)蛋白質を構成するアミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンなどの脂肪族モノアミノモノカルボン酸、セリン、スレオニン等の脂肪族オキシアミノ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性のアミノ酸、アスパラギン、グルタミンなどの酸性のアミノ酸アミド、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンなどの芳香族アミノ酸、プロリン、ヒドロキシプロリンなどのピロリジン環を有するアミノ酸、ピログルタミン酸(ピロリドンカルボン酸)などのピロリドン環を有するアミノ酸、メチオニン、シスチン、システインなどの硫黄含有アミノ酸などが含まれる。これらのアミノ酸も単独で又は二種以上混合して使用できる。
【0014】
(ii)微生物代謝産物あるいは動植物成分として天然界から得られるアミノ酸としては、例えば、L−α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、β−アミノイソ酪酸、β−アラニン、ホモセリン、α−メチル−D−セリン、O−カルバミル−D−セリン、δ−ハイドロキシ−γ−オキソ−ノルバリンなどの脂肪族モノアミノモノカルボン酸、L−α−アミノアジピン酸、L−β−アミノアジピン酸、L−テアニン、L−γ−メチレングルタミン酸、L−γ−メチルグルタミン酸などのモノアミノジカルボン酸、L−オルニチン、β−リジン、α,β−ジアミノプロピオン酸、L−α,γ−ジアミノ酪酸などのジアミノモノカルボン酸、ジアミノピメリン酸などのジアミノジカルボン酸、システイン酸などの含スルホン酸モノアミノモノカルボン酸、タウリンなどの含スルホン酸アミノ酸、キヌレニン、3,4−ジオキシフェニル−L−アラニンなどの芳香族アミノ酸、2,3−ジカルボキシアジリヂン、[S]−2−アミノ−3−(イソキサゾリン−5−オン−4−イル)−プロピオン酸、アンチカプシンなどの複素環アミノ酸、ランチオニン、S−メチル−L−システインなどの含硫黄アミノ酸、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、[1R,2S]−2−アミノシクロペンタン−1−カルボン酸などの環状アミノ酸、シトルリン、アラノシン、L−アザセリンなどの特殊官能基置換アミノ酸などが例示できる。
【0015】
(iii)有機合成法によって得られるアミノ酸には、例えば、トリメチルグリシン、6−アミノヘキサン酸、8−アミノオクタン酸、12−アミノドデカン酸などの脂肪族アミノカルボン酸、4−アミノ安息香酸、4−(アミノメチル)安息香酸、4−(N−(カルボキシメチル)アミノメチル)安息香酸などの芳香族アミノカルボン酸などが含まれる。
【0016】
アミノ酸は塩として使用してもよい。アミノ酸の塩には、例えば、塩基[アンモニア、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムなど)などの無機塩基、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの有機塩基]との塩、酸[塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸]との塩が含まれる。
【0017】
好ましいアミノ酸には、含窒素複素環を有するアミノ酸(例えば、プロリン、ヒドロキシプロリンなどのピロリジン環を有するアミノ酸、ピロリドンカルボン酸、ヒスチジン,トリプトファンなどの蛋白質を構成するアミノ酸)又はその塩が含まれる。特に非芳香族性含窒素5員複素環を有するアミノ酸(例えば、プロリン、ヒドロキシプロリンなどのピロリジン環を有するアミノ酸、ピロリドンカルボン酸など)又はその塩が含まれる。
(4)酸性ムコ多糖には、例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などの他、それらの塩[例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)などとの塩)]などが含まれる。
これらの保湿剤のうち、多価アルコール(特にグリセリン)、アミノ酸又はその塩(特にプロリンなどの含窒素複素環を有するアミノ酸)が好ましい。アミノ酸(特にプロリンなどの含窒素複素環を有するアミノ酸)又はその塩を用いると、通電に伴う皮膚刺激性を大きく低減できるとともに、時間的に間隔をおいて複数回経皮吸収させるとき、第1回目の通電に後続する通電時の通電量を高めることができ、経皮吸収効率を改善できる。
【0018】
増粘剤としては、例えば、ローカストビーンガム、キサンタンガム等の1種または2種を配合することが好ましい。
さらに、GPIIb/IIIa拮抗物質が塩酸塩で、該拮抗物質をハイドロゲルに配合する場合、薬物の配合によるpHの低下防止のためにpH調整剤を配合しても良い。該pH調整剤としては、例えば、塩基性アミノ酸(例、リジン,アルギニンン,ヒスチジン、L−4−オキサリジン、L−4−オキソリジン、[3R,5R]−3,6−ジアミノ−5−ハイドロキシヘキサン酸、等)、核酸構成要素の塩基類(例、プリン,ピリミジン,グアニン等)、分子量100以上のアミン類(例、モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,トリエタノールアミン,メチルグルカミン,カフェイン,コレスチラミンに付加したクロルイオンを水酸イオンに置換したコレスチラミンの水酸化体)等を用いることが出来る。
【0019】
上記電解質としては例えば安息香酸、クエン酸およびその塩(例えば、ナトリウム塩等)が用いられる。
【0020】
上記多孔性薄膜としては、水に対する濡れ性の高い薄膜、例えば、親水化された疎水性(又は撥水性)ポリマー薄膜、親水性物質を含有する疎水性ポリマー薄膜などが含まれる。
親水化された疎水性ポリマー薄膜には、例えば、親水化フッ素樹脂で形成された薄膜(例えば、親水性基が導入されたフッ素含有モノマーを構成成分とする単独又は共重合体の薄膜、例えば日本ミリポア社製、親水性デュラポア等や、フッ素含有モノマーを構成成分とする単独又は共重合体の薄膜の表面を親水性に改質したもの、例えば、東洋濾紙(株)製、親水性ポリテトラフルオロエチレンなど)、親水化ポリスルフォンなどで形成された薄膜(例えば、ゲルマンサイエンス社製,スーポアなど)、親水化セルロース誘導体(例えば、親水化セルロースモノアセテート、親水化セルローストリアセテートなど)などで形成された薄膜(例えば、東洋濾紙(株)製、各種の濾紙やイオン交換濾紙など)などが挙げられる。親水性基が導入されたフッ素含有モノマーとしては、親水性基が導入されたフルオロエチレン(1−フルオロエチレン)、親水性基が導入されたフッ化ビニリデン(すなわち、1,1−ジフルオロエチレンであるビニリデンフルオライド)、1,2−ジフルオロエチレンなどが含まれる。これらのモノマーの重合体としては、親水化ポリフルオロエチレン、親水化フルオロエチレン−テトラフルフオロエチレン共重合体、親水化フルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、親水化エチレン−フルオロエチレン共重合体、親水化エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、親水化ポリビニリデンフロオライド、親水化フルオロエチレン−ビニリデンフルオライド共重合体、親水化エチレン−ビニリデンフルオライド共重合体などが挙げられる。前記フッ素含有モノマーに導入された親水性基の種類は特に制限されず、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、N−置換アミノ基(モノ又はジC1-4アルキルアミノ基など)、(ポリ)オキシアルキレン基などのエーテル基、親水性アルキル基(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基などのヒドロキシ−C1-4アルキル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基などのカルボキシ−C1-4アルキル基、アミノメチル、アミノエチル基などのアミノ−C1-4アルキル基、メチルアミノメチル、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル基などのモノ又はジ−C1-4アルキルアミノ−C1-4アルキル基など)などが挙げられる。これらの親水性基は、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライドの水素原子と置換して炭素原子に結合している場合が多い。
【0021】
親水化フッ素樹脂は、例えば、下記式で表される繰返し単位で構成されている場合が多い。
【化3】
(式中、R' ,R'' は同一又は異なる親水性アルキル基を示す)。親水性アルキル基には、例えば、ヒドロキシアルキル基(特にヒドロキシ−C2-3 アルキル基)、(ポリ)オキシアルキレン基(特に(ポリ)オキシ−C2-4アルキレン基)などが含まれる。ヒドロキシアルキル基は、ヒドロキシル基を有する重合性化合物[例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなど]などに由来してもよい。(ポリ)オキシアルキレン基は、エーテル基を有する重合性化合物、例えば、(ポリ)オキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート[例えば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど]、(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート[例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]などに由来してもよい。これらの親水性アルキル基は、細孔を含めた多孔質フッ素樹脂薄膜の表面に、前記重合性化合物がグラフト重合することにより導入してもよく、前記重合性化合物の重合体によるコーティングなどにより導入してもよい。
【0022】
親水性物質を疎水性ポリマー薄膜に含ませ親水化した膜には、適当な湿潤剤(例えば、グリセリン、ポリビニルピロリドンなど)を添加した種々のポリマー、例えば、親水処理酢酸セルロース膜(例えば、ザルトリウス社製,アシンメトリックウルトラフィルター、東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメンブレンなど)、親水処理ポリカーボネート膜(例えば、ミリポア社製,アイソポアメンブレンなど)、親水処理ポリテトラフルオロエチレン膜(例えば、ミリポア社製,オムニポアメンブレンなど)、親水処理ポリスルフォン膜(ゲルマンサイエンス社製,HTタフリンなど)、親水処理不織布(例えば、ポリエステル不織布を酢酸セルロースで被覆した膜(東洋濾紙(株)製のコーティッドタイプメンブレンなど)などが挙げられる。
【0023】
これらの多孔性薄膜は、生理活性ペプチド及び蛋白質に対する吸着性が極めて低く、薬物溶液の浸透性が高いとともに、薬物の膜内への移動速度、薬物の溶解速度が大きい。好ましい薄膜には、蛋白質に対する吸着性が小さく、薬物の保持性の高い薄膜、例えば、親水化フッ素樹脂薄膜、親水処理セルロース誘導体膜(例えば、親水処理酢酸セルロース、親水処理メチルセルロース、親水処理エチルセルロース、ハイドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースフタレートなどの膜)特に好ましくは親水化ポリビニリデンフルオライド膜(例えば、ミリポア社製,ハイドロフィリックデュラポアなど)、親水処理酢酸セルロース膜(例えば、東洋濾紙(株)製、セルロースアセテートタイプ膜など)、親水処理ポリエステス不織布(例えば、東洋濾紙(株)製、コーティッドタイプ膜)などが含まれる。
【0024】
これらの多孔性薄膜の細孔径は、薬物の保持量、放出性などを損なわず、薬物が溶解液と接触した後、速やかに膜から放出され、皮膚接触面に高濃度の薬物溶解層を形成することが可能な範囲から選択でき、例えば、平均孔径約0.01〜20μm、好ましくは約0.1〜15μm(例えば、約0.1〜10μm)、さらに好ましくは約1〜10μm(例えば、約2〜8μm)程度である。また、薄膜の空隙率は、例えば、約60〜90%、好ましくは約65〜90%、さらに好ましくは約65〜85%程度である。なお、薄膜の細孔は、慣用の方法、例えば、フィルム成形工程で延伸する延伸法、流延法、相分離法、溶出法、高エネルギー線照射法などにより形成できる。
【0025】
多孔性薄膜の厚みは、薬物の保持量などに応じて選択でき、例えば、約0.1〜500μm、好ましくは約1〜300μm、さらに好ましくは約10〜200μm程度であり、約20〜150μm程度である場合が多い。
多孔性薄膜と皮膚との接触面積は、特に制限されず、例えば、約0.5〜100cm2、好ましくは約1〜50cm2程度であり、約2〜25cm2(例えば、約2〜20cm2)程度である場合が多い。また、前記薄膜は非変形性であってもよいが、柔軟性や可撓性を有する場合が多い。
【0026】
前記多孔性薄膜は、蛋白質の吸着をさらに抑制するため、イオン性界面活性剤で処理されていてもよい。イオン性界面活性剤には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が含まれる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩(例えば、ナトリウム塩など)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩など)、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩など)、N−アシルアミノ酸塩(例えば、ナトリウム塩など)、2−スルホコハク酸ジアルキル塩(例えば、ナトリウム塩など)などが挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤は一種又は二種以上使用できる。カチオン性界面活性剤には、例えば、N−エチルアルカンアミドアンモニウムハライド(例えば、N−エチル−C8-20アルカンアミドアンモニウムクロライド)、アルキルピリジニウムハライド(例えば、N−C10-20アルキルピリジニウムブロミドなど)、4級アンモニウム塩などが含まれ、4級アンモニウム塩には、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムハライド(例えば、C8-20アルキルトリメチルアンモニウムクロリドなど)、ジアルキルジメチルアンモニウムハライド(例えば、ジ−C8-20アルキルジメチルアンモニウムクロリドなど)、下記式
[C6H5CH2N(CH3)2R]+X-
(式中、Rはアルキル基、Xはハロゲン原子を示す)
で表されるアルキルベンジルジメチルアンモニウムハライド[例えば、C8-20アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド(塩化ベンザルコニウム)、4−C1-10アルキルフェニルオキシエトキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド(例えば、塩化ベンゼトニウムなど)]などが含まれる。これらのカチオン性界面活性剤も一種又は二種以上混合して使用できる。両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルジエチレントリアミノ酢酸などが例示できる。
【0027】
好ましいイオン性界面活性剤には、カチオン性界面活性剤、特に4級アンモニウム塩、なかでも前記式で表されるアルキルベンジルジメチルアンモニウムハライド(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなど)が含まれる。多孔性薄膜に対するイオン性界面活性剤の処理量は、例えば、薄膜1cm2 当たりイオン性界面活性剤約0.10〜50μg、好ましくは約0.10〜30μg、より好ましくは約0.12〜12μg程度である。イオン性界面活性剤による処理量は、多孔性薄膜に対して、約0.001〜10重量%、好ましくは約0.005〜5重量%、さらに好ましくは約0.01〜1重量%程度であり、約0.005〜1重量%程度である場合が多い。
【0028】
前記陽極パッチにおいて、箔型の銀電極(箔型銀電極)に換えて、例えば、箔型銀/塩化銀電極,プリント銀電極,プリント銀/塩化銀電極等を用いることができる。箔型銀電極とは銀箔からなる電極である。箔型銀/塩化銀電極とは箔型銀電極の表面を化学的に部分的に塩化銀とした電極である。プリント銀電極とはシートの表面に銀をプリントしたものである。プリント銀/塩化銀電極とはシートの表面に銀および塩化銀の混合物をプリントしたものである。
また、前記陰極パッチにおいて、箔型の塩化銀電極(箔型塩化銀電極)に代えて、例えば、箔型銀/塩化銀電極,プリント銀/塩化銀電極等を用いることができる。
陽極および/又は陰極パッチに用いられる、箔型銀/塩化銀電極およびプリント銀/塩化銀電極の銀と塩化銀の割合は、好ましくは銀/塩化銀=約1/0.1〜1000(重量比)である。
好ましくは陽極パッチおよび陰極パッチに、比較的安価に入手できるプリント銀/塩化銀電極を使用することが挙げられる。
【0029】
本発明におけるGPIIb/IIIa拮抗物質は特に限定されるものではなく、公知のGPIIb/IIIa拮抗物質およびその塩から適宜選択することができる。このような公知のGPIIb/IIIa拮抗物質としてはGPIIb/IIIa拮抗作用を有する蛇毒ペプチド、例えば、バルブリン(barbourin)、Arg−Gly−Asp配列を有するペプチド、例えば、Arg−Gly−Asp−Ser,Gly−Arg−Gly−Asp−Ser−Pro,SK&F−106760(シクロ−S,S−[Ac−Cys(Nα−メチル)Arg−Gly−D−Asn−ペニシラミン]−NH2)、さらに同様の活性を有する化合物、例えば、シブラフィバン(Sibrafiban)、レフラダフィバン(Lefradafiban)、(S)−4−[(4−アミジノベンゾイル)グリシル]−3−メトキシ−カルボニルメチル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸・HCl、MK−383(2−S−(n−ブチルスルホニルアミノ)−3−[4−(N−ピペリジン−4−イル)ブチルオキシフェニル)]−プロピオン酸・HCl)、L−700462(L−Tyr−N−(ブチルスルホニル)−O−[4−(ピペリジニル)ブチル)]モノハイドロクロライド)、SC−56484(エチル[[4−(アミノイミノメチル)フェニル]アミノ]−1,4−ジオキシブチル]アミノ−4−ペンチノエート)、ラミフィバン(Lamifiban)〔Ro−44−9883([1−[N−(p−アミジノフェニル)−L−Tyr]−4−ピペリジニル]酢酸)〕、DMP728(サイクリック[D−2−アミノブチリル−N−2−メチル−L−Arg−Gly−L−Asp−3−アミノメチル−安息香酸]メタンスルホン酸塩)、WO 97/49382号公報記載の化合物(例、{4−[6−(2−ピペリジン−4−イル−(E)−ビニル)−1H−インダゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル}酢酸等)、WO 97/49385号公報記載の化合物(例、N3―[2−{3−(4−ホルムアミジノフェニル)−イソオキサゾリン−5(R)−イル}アセチル]−N2−(n−ブチルオキシカルボニル)−2,3−(S)−ジアミノプロピオン酸、又はメチル−N3―[2−{3−(4−ホルムアミジノフェニル)−イソオキサゾリン−5(R)−イル}アセチル]−N2−(n−ブチルオキシカルボニル)−2,3−(S)−ジアミノプロピオン酸 メタンスルホン酸塩等)、イントリフィバン(Intrifiban)
【化4】
チロフィバン(Tirofiban)
【化5】
フラダフィバン(Fradafiban)
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
ペンタミジン(Pentamidine)
【化10】
ゼミロフィバン(Xemilofiban)
【化11】
オルボフィバン(Orbofiban)
【化12】
等が挙げられる。
【0030】
本発明におけるGPIIb/IIIa拮抗物質は水溶性化合物であることが好ましい。また、化合物中に「プロトンを放出しうる基」および「プロトン受容基」の両者を有し、「プロトンを放出しうる基」が放出するプロトン数を上回る「プロトン受容基」が受容するプロトン数を有する化合物が好ましい。プロトンを放出しうる基とは、すなわちブレンステッドの酸を示し、例えば、カルボキシル基、リン酸基又はスルホン酸基等、好ましくはカルボキシル基が挙げられる。プロトン受容基とは相手からプロトンを受け取る基、すなわちブレンステッドの塩基を示し、例えば、正に荷電し得る窒素原子を含む基等が挙げられる。さらにプロトン受容基の具体的な例として、それぞれ置換されていてもよいアミノ、アミジノ又はグアニジノ基等があげられる。プロトン受容基としてはそれぞれ無置換のアミノ、アミジノ又はグアニジノ基、又はC1-4アルキルで置換された2級又は3級のアミノ(とりわけ、エチルアミノ)、アミジノ又はグアニジノ基が好ましい。
【0031】
本発明におけるGPIIb/IIIa拮抗物質として、好ましくは2−ピペラジノン−1−酢酸骨格を有する化合物が、より好ましくは一般式:
【化13】
〔式中の記号は上記式(I)記載と同意義〕で表される化合物(I)又はその塩が挙げられる。
上記式(I)において、A1及びA2はプロトン受容基を示す。プロトン受容基とは相手からプロトンを受け取る基、すなわちブレンステッドの塩基を示し、例えば、正に荷電し得る窒素原子を含む基等が挙げられる。さらにプロトン受容基の具体的な例として、それぞれ置換されていてもよいアミノ、アミジノ又はグアニジノ基等があげられる。プロトン受容基としてはそれぞれ無置換のアミノ、アミジノ又はグアニジノ基、又はC1-4アルキルで置換された2級又は3級のアミノ(とりわけ、エチルアミノ)、アミジノ又はグアニジノ基が好ましい。
【0032】
それぞれ置換されていてもよいアミノ、アミジノ又はグアニジノ基の置換基としては、例えば、C1-6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等)、C2-6アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル等)、C2-6アルキニル基(例えば、プロパルギル、エチニル、ブチニル、1−ヘキシニル等)、C3-6シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、C6-14アリール基(例えば、フェニル、トリル、キシリル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニル、2−インデニル、2−アントリル等、特にフェニル基)、C7-16アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等、特にベンジル基)等の鎖状又は環状の炭化水素基;C1-4アルキルで置換されてもよいカルバモイルオキシ(例えば、N,N−ジメチルアミノカルボニルオキシ等)、C2-5アルカノイルオキシ(例えば、ピバロイルオキシ等)又は5又は6員環の複素環基(例えば、2−又は3−チエニル、2−又は3−フリル、1−、2−又は3−ピロリル、1−、2−、又は3−ピロリジニル、2−、4−又は5−オキサゾリル、2−、4−又は5−チアゾリル、3−、4−又は5−ピラゾリル、2−、4−又は5−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1H−又は2H−テトラゾリル等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子等から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む5員環基、例えば2−、3−又は4−ピリジル、N−オキシド−2−、3−又は4−ピリジル、2−、4−又は5−ピリミジニル、N−オキシド−2−、4−又は5−ピリミジニル、チオモルホリニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピラニル、チオピラニル、1,4−オキサジニル、1,4−チアジニル、1,3−チアジニル、ピペラジニル、トリアジニル、3−又は4−ピリダジニル、ピラジニル、N−オキシド−3−又は4−ピリダジニル等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子等から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む6員環基、好ましくは、ピロリジン−1−イル、モリホリノ等)で置換されたC1-4アルキル基(例えば、メチル等);C2-8アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、n−オクチルオキシカルボニル等);C1-8アルキルアミノカルボニル(例えば、n−ヘキシルアミノカルボニル、n−オクチルアミノカルボニル等);C2-8アルコキシカルボニルオキシ(例えば、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ、ペンチルオキシカルボニルオキシ、n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ、n−オクチルオキシカルボニルオキシ等、好ましくはメトキシカルボニルオキシ等);5又は6員の複素環基(例えば、2−又は3−チエニル、2−又は3−フリル、1−、2−又は3−ピロリル、1−、2−又は3−ピロリジニル、2−、4−又は5−オキサゾリル、2−、4−又は5−チアゾリル、3−、4−又は5−ピラゾリル、2−、4−又は5−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1H−又は2H−テトラゾリル等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子等から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む5員環基、例えば2−、3−又は4−ピリジル、N−オキシド-2−、3−又は4−ピリジル、2−、4−又は5−ピリミジニル、N−オキシド−2−、4−又は5−ピリミジニル、チオモルホリニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピラニル、チオピラニル、1,4−オキサジニル、1,4−チアジニル、1,3−チアジニル、ピペラジニル、トリアジニル、3−又は4−ピリダジニル、ピラジニル、N−オキシド−3−又は4−ピリダジニル等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子等から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む6員環基、好ましくは、テトラヒドロフラン−2−イル等)等があげられる。また、アミノ、アミジノ又はグアニジノ基への置換基が2つ以上存在する場合、互いに結合して5又は6員の複素環(ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、イミダゾリン等)を形成していてもよい。
A1及びA2としては、(1)C2-8アルコキシカルボニルオキシで置換されていてもよいアミジノ又はグアニジノ基又は(2)▲1▼オキソ、もしくは、▲2▼ハロゲンで置換されていてもよいC1-4アルキルで置換されていてもよいオキサジアゾリル基で置換されていてもよいアミノ基が好ましく、中でも、それぞれ無置換のアミノ、アミジノ又はグアニジノ基が好ましい。
【0033】
上記式(I)において、Dはヘテロ原子及び/又は5又は6員環を介していてもよい2ないし6の原子鎖のスペーサー(但し、5又は6員環は結合位置により2又は3原子鎖と換算する)を示す。
【化14】
本発明においては、その間に2ないし6個の原子が直線に連なっている間隔を有していることを意味する。
上記式(I)においてDで表されるヘテロ原子及び/又は5又は6員環を介していてもよい2ないし6の原子鎖のスペーサー(2ないし6員鎖)におけるヘテロ原子としてはN,O,S等の原子があげられる。5又は6員環としては、炭素環であっても又N,O,Sから選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含有するヘテロ環であってもよく、又飽和の環であっても芳香環等不飽和の環であってもよい。このような5又は6員環としては例えば、
【化15】
等があげられる。
又、上記5又は6員環は、環上の隣接する位置に結合手を有しない方が好ましい。上記5又は6員環は、環上の互いに2原子乃至3原子目の位置に結合手を有するのが好ましいが、通常飽和環であっても不飽和であっても2乃至3原子鎖(2又は3員鎖)とみなし、D全体として、2ないし6の原子鎖である基が好ましい。Dで表わされるスペーサー中に介在するヘテロ原子としてはとりわけ窒素が好ましく、特に−NH−基を介して隣接するアミジノ基等のA1で表わされる基に結合するDが好ましい。又、上記5又は6員環は、隣接するアミジノ基に直結していても、−NH−基を介してアミジノ基等のA1で表される基に結合していてもさらにメチレン鎖を介してアミジノ基等のA1で表される基に結合していてもよい。
【0034】
又、Dは隣接するカルボニル基と上記5又は6員環が直結していても、メチレン鎖を介して結合しても、ヘテロ原子を介して結合していてもよい。D中のメチレン鎖は、
【化16】
〔式中、R3は水素又は置換されていてもよいフェニル基で置換されていてもよい低級(C1-4)アルキル基を、R4は置換されていてもよいフェニル基で置換されていてもよい低級(C1-4)アルキル基、置換されていてもよいフェニル基又はベンジルオキシ基を示す〕で置換されていてもよい。
R3又はR4における低級(C1-4)アルキル基の置換基としての置換されていてもよいフェニル基の置換基としては、低級(C1-4)アルキル基(例えばメチル、エチル等)、低級(C1-4)アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ等)、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素等)、水酸基等があげられる。
R3又はR4における低級(C1-4)アルキル基としては、例えばメチル、エチル等があげられる。
【0035】
Dで表される基の代表的な基としては、例えば式
【化17】
で表わされる基が好ましい。
とりわけEとしては、5又は6員環である場合が好ましい。 又hとしては0又は1が、mとしては0、1又は2が、kとしては0がそれぞれ好ましい。Eで表わされる5又は6員環のうちベンゼン環及びシクロヘキサン環が好ましく、更にはベンゼン環が特に好ましい。
上記式(I)中、A1−D−は、例えば
【化18】
〔式中、R3、R4及びmは前記と同意義〕で示されるアルギニン、ホモアルギニンから誘導される置換基を示してもよい。
【化19】
(これらは、いずれの結合手がA1と結合していてもよい)
【0036】
上記式(I)において、R1は水素原子又は炭化水素基を示す。
R1で示される炭化水素としてはC1-6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等)、C2-6アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル等)、C2-6アルキニル基(例えば、プロパルギル、エチニル、ブチニル、1−ヘキシニル等)、C3-6シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、C6-14アリール基(例えば、フェニル、トリル、キシリル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニル、2−インデニル、2−アンスリル等、特にフェニル基)、C7-16アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等、特にベンジル基)等の鎖状又は環状の炭化水素基があげられるが、R1としては水素、低級(C1-4)アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル等)又はベンジル(中でも水素)が好ましい。
【0037】
上記式(I)において、R2は水素原子又はα−アミノ酸から−CH(NH2)COOHを除いた残基を示す。
R2で表される基としてはα−アミノ酸から−CH(NH2)COOHを除いた残基であればいずれでもよい。又、R1とR2は結合して5又は6員環を形成していてもよく、このような5又は6員環としては
【化20】
のような環が好ましい。
通常、R2としては必須アミノ酸の残基が好ましい。とりわけ、R2としては水素,低級(C1-4)アルキル基、置換されていてもよいフェニル基で置換された低級(C1-4)アルキル基、水酸基で置換された低級(C1-4)アルキル基,カルバモイル基で置換された低級(C1-4)アルキル基等が好ましい。より具体的な基としては、例えば、水素,メチル,イソプロピル,sec−ブチル,イソブチル,ヒドロキシメチル,ベンジル,p−ヒドロキシベンジル,p−メトキシベンジル,カルバモイルメチル,カルバモイルエチル等が代表例としてあげられる。上記R2における低級(C1-4)アルキル基の置換基としての置換されていてもよいフェニル基のベンゼン環上に置換されていてもよい置換基としては、低級(C1-4)アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル基等)、低級(C1-4)アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ基等)、ハロゲン(例、塩素、フッ素、臭素等)、水酸基等があげられ、中でも低級(C1-4)アルコキシ基が好ましい。
R2で表される基又は原子としては水素原子又はC1-4アルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基で置換されたC1-4アルキル基が好ましく、中でもp−ヒドロキシベンジル、p−メトキシベンジル又は水素原子(中でもp−メトキシベンジル又は水素原子、とりわけ水素原子)が好ましい。
【0038】
上記式(I)中、nは0ないし8(好ましくは1ないし4、特に好ましくは2又は3)の整数を示す。
上記式(I)において、Pはヘテロ原子及び/又は5又は6員環を介していてもよい1ないし10の原子鎖のスペーサー(但し、5又は6員環は結合位置により2又は3原子鎖と換算する)を示す。
ここで、Pで示されるスペーサーとは、(CH2)nとA2の間の直線の間隔を意味し、本発明においては、その間に1ないし10個の原子が直線に連なっている間隔を有していることを意味する。Pで表されるヘテロ原子及び/又は5又は6員環を介していてもよい1ないし10の原子鎖のスペーサー(1ないし10員鎖)としては
【化21】
から選ばれた1ないし4個(好ましくは1又は2個)及び/又は5又は6員環(5又は6員環としては、炭素環であっても又N,O,Sから選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含有するヘテロ環であってもよく、又飽和の環であっても芳香環等不飽和の環であってもよい。炭素環としては、例えば
【化22】
等があげられ、ベンゼン環及びシクロヘキサン環が好ましく、更にはベンゼン環が特に好ましい。ヘテロ環としては、例えば2−又は3−チエニル、2−又は3−フリル、1−、2−又は3−ピロリル、1−、2−、又は3−ピロリジニル、2−、4−又は5−オキサゾリル、2−、4−又は5−チアゾリル、3−、4−又は5−ピラゾリル、2−、4−又は5−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1H−又は2H−テトラゾリル等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子等から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む5員環基、例えば2−、3−又は4−ピリジル、N−オキシド−2−、3−又は4−ピリジル、2−、4−又は5−ピリミジニル、N−オキシド−2−、4−又は5−ピリミジニル、チオモルホリニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピラニル、チオピラニル、1,4−オキサジニル、1,4−チアジニル、1,3−チアジニル、ピペラジニル、トリアジニル、3−又は4−ピリダジニル、ピラジニル、N−オキシド−3−又は4−ピリダジニル等の炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子等から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む6員環基等があげられ、ピペラジン又はピペリジンが好ましい。)を介してもよい2価の炭化水素基があげられる。
【0039】
Pで表されるヘテロ原子及び/又は5又は6員環を介していてもよい1ないし10の原子鎖のスペーサーとして、さらに好ましくは、例えば
【化23】
から選ばれた1ないし4個(好ましくは1又は2個)を介してもよい2価の炭化水素基があげられる。
また、上記式(I)中、Pは例えば式
−Z−B−
〔式中、Zは
【化24】
(これらは、いずれの結合手がBと結合していてもよい)
又は結合手から選ばれる一種を示し、Bは
【化25】
(a及びbは0ないし2(好ましくは0又は1)の整数を、cは1ないし5の整数を示す)又は結合手を示す(但し、ZとBが共に結合手である場合を除く)〕で表わされる基等があげられる。
【0040】
上記Zのうち
【化26】
(いずれの結合手がBと結合していてもよい)
で表されるものが好ましい。
また上記Bは
【化27】
〔式中、bは0ないし2(好ましくは0又は1)の整数を、dは1ないし4の整数を示す〕であるものが好ましい。
さらに上記Bは
【化28】
又は−(CH2)d−〔式中、dは1ないし4の整数を示す〕であるものが好ましい。
【0041】
上記式(I)で表される化合物又はその塩のなかでも、式
【化29】
〔式中、A1及びA2はそれぞれ置換されていてもよいアミノ、アミジノ又はグアニジノ基、酸素原子上に置換基を有していてもよいアミドキシム基、又は置換基を有していてもよいオキサジアゾリル又はチアジアゾリル基を、R2は水素、低級(C1-4)アルキル基、置換されていてもよいフェニル基で置換された低級(C1-4)アルキル基、水酸基で置換された低級(C1-4)アルキル基又はカルバモイル基で置換された低級(C1-4)アルキル基を、Pは
【化30】
から選ばれた1ないし4個を介していてもよい2価の炭化水素を、mは0ないし2の整数を、nは0ないし8の整数を示す。〕で表される化合物(Ia)又はその塩が好ましい。
【0042】
より好ましくは、上記化合物(Ia)又はその塩として、例えば
A1及びA2はそれぞれ無置換のアミノ、アミジノ又はグアニジノ基、又はそれぞれ置換基を有していてもよい1,2,4−オキサジアゾール−3−イル又は1,2,4−チアジアゾール−3−イル基、
R2はp−ヒドロキシベンジル、p−メトキシベンジル又は水素原子、
Pは式
−Z−B−
〔式中、Zは
【化31】
(これらは、いずれの結合手がBと結合していてもよい)
又は結合手から選ばれる一種を示し、Bは
【化32】
(a及びbは0ないし2(好ましくは0又は1)の整数を、cは1ないし5の整数を示す)又は結合手を示す(ただし、ZとBが共に結合手である場合を除く)。〕で表される基、
mは0ないし2の整数を、
nは1ないし4の整数を示す化合物又はその塩である。
【0043】
さらに好ましくは、上記化合物(Ia)又はその塩として、例えば
A1及びA2はそれぞれ無置換のアミノ、アミジノ又はグアニジノ基、又はそれぞれ置換基を有していてもよい1,2,4−オキサジアゾール−3−イル又は1,2,4−チアジアゾール−3−イル基、
R2はp−ヒドロキシベンジル、p−メトキシベンジル又は水素原子、
Pは式
−Z−B−
〔式中、Zは
【化33】
を示し、Bは
【化34】
(bは0ないし2(好ましくは0又は1)の整数を示す)を示す。〕で表される基、
mは0ないし2の整数を、
nは1ないし4の整数を示す化合物又はその塩である。
【0044】
また、化合物(I)又はその塩として、例えばA1及びA2が
(1)C2-8アルコキシカルボニルオキシで置換されていてもよいアミジノ又はグアニジノ基、
(2)▲1▼オキソ、若しくは、▲2▼ハロゲンで置換されてもよいC1-4アルキル
で置換されていてもよいオキサジアゾリル基で置換されていてもよいアミノ基
又は
(3)▲1▼オキソ、若しくは、▲2▼ハロゲンで置換されてもよいC1-4アルキル
で置換されていてもよいオキサジアゾリル基、
Dが式
【化35】
で表される基、
R1が水素原子、
R2が水素原子又はC1-4アルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基で置換されたC1-4アルキル基、
Pが式−Z−B−(式中、Zは
【化36】
(式中、bは0又は1を、cは1ないし5の整数を示す。)を示す。)で表される基及びnが1ないし4の整数である化合物又はその塩も好ましい。
化合物(I)又はその塩としては、A1及びA2が(1)メトキシカルボニルオキシで置換されていてもよいアミジノ又はグアニジノ基又は(2)5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル若しくは5−トリフルオロメチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イルで置換されていてもよいアミノ基、
【0045】
Dが
【化37】
R1が水素原子、
R2が水素原子又はp−メトキシベンジル基、
Pが
【化38】
Yがカルボキシル基及び
nが2又は3である化合物又はその塩がもっとも好ましい。
【0046】
化合物(I)及び(Ia)は分子内に1ないしそれより多い不斉炭素を有するがこれら不斉炭素に関しR配置、S配置のいずれも含まれる。
【0047】
化合物(I)及び(Ia)の塩(好ましくは薬学的に許容され得る塩)としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機塩、例えば酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩等の金属塩、例えばトリエチルアミン塩、グアニジン塩、アンモニウム塩、ヒドラジン塩、キニーネ塩、シンコニン塩等の塩基との塩等の薬学的に許容されうる塩があげられる。
具体的に好ましい化合物としては 4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[3−(4−アミジノベンゾイル)アミノプロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[4−(4−アミジノベンゾイル)アミノブチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[2−(4−アミジノベンゾイル)アミノエチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[2−(4−アミジノフェニルアミノカルボニル)エチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[3−(4−アミジノフェニルアミノカルボニル)プロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[4−(4−アミジノフェニルアミノカルボニル)ブチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−グアニジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[2−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)エチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−グアニジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)プロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−グアニジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)ブチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[2−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)エチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)プロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−(4−アミジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)ブチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−[4−(2−アミノエチル)ベンゾイルアミノ]アセチル−3−[2−(4−アミジノベンゾイルアミノ)エチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−[4−(2−アミノエチル)ベンゾイルアミノ]アセチル−3−[3−(4−アミジノベンゾイルアミノ)プロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、4−[4−(2−アミノエチル)ベンゾイルアミノ]アセチル−3−[4−(4−アミジノベンゾイルアミノ)ブチル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S,S)−[3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)プロピル]−4−[3−(4−メトキシフェニル)−2−[4−(5−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルアミノ)ベンゾイルアミノ]プロピオニル]−2−オキソピペラジン−1−イル]酢酸、(S,S)−[4−[3−(4−メトキシフェニル)−2−[4−(5−トリフルオロメチル[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルアミノ)ベンゾイルアミノ]プロピオニル]−2−オキソ−3−[3−[4−(5−トリフルオロメチル[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルアミノベンゾイルアミノ]プロピル]ピペラジン−1−イル]酢酸、(S,S)−[4−[3−(4−メトキシフェニル)−2−[4−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルアミノ)ベンゾイルアミノ]プロピオニル]−2−オキソ−3−[4−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルアミノ)ベンゾイルアミノ]プロピル]ピペラジン−1−イル]酢酸もしくは(S,S)−4−[2−(4−グアニジノベンゾイル)アミノ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオニル]−3−[3−(4−グアニジノベンゾイル)アミノプロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸又はその塩等があげられる。
【0048】
中でも(S)−4−(4−アミジノベンゾイル)アミノアセチル−3−{3−(4−アミジノベンゾイル)アミノ}プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−アミジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[2−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]エチル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−[4−(2−アミノエチル)ベンゾイルアミノ]アセチル−3−[3−(4−アミジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S,S)−[3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)プロピル]−4−[3−(4−メトキシフェニル)−2−[4−(5−トリフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルアミノ)ベンゾイルアミノ]プロピオニル]−2−オキソピペラジン−1−イル]酢酸、(S,S)−[4−[3−(4−メトキシフェニル)−2−[4−(5−トリフルオロメチル[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルアミノ)ベンゾイルアミノ]プロピオニル]−2−オキソ−3−[3−[4−(5−トリフルオロメチル[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルアミノベンゾイルアミノ]プロピル]ピペラジン−1−イル]酢酸、(S,S)−[4−[3−(4−メトキシフェニル)−2−[4−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルアミノ)ベンゾイルアミノ]プロピオニル]−2−オキソ−3−[4−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルアミノ)ベンゾイルアミノ]プロピル]ピペラジン−1−イル]酢酸もしくは(S,S)−4−[2−(4−グアニジノベンゾイル)アミノ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオニル]−3−[3−(4−グアニジノベンゾイル)アミノプロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸又はその塩等が好ましく、とりわけ(S)−4−(4−アミジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−{3−(4−アミジノベンゾイル)アミノ}プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−アミジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[2−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]エチル−2−オキソピペラジン−1−酢酸もしくは(S)−4−[4−(2−アミノエチル)ベンゾイルアミノ]アセチル−3−[3−(4−アミジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸又はその塩等が好ましく、特に(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸又はその塩が好ましく、さらに好ましくは(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸又はその酸付加塩、もっとも好ましくは(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸 塩酸塩等である。とりわけ好ましくは(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸 二塩酸塩等である。
また、4−(4−グアニジノベンゾイル)アミノアセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)プロピル]−2−オキソピペラジン−1−酢酸又はその塩も好ましい。
【0049】
化合物(I)及び(Ia)は例えば特開平9−316059号公報記載の方法に従って製造することができる。化合物(I)が遊離体で得られた場合は常法によりその塩に変換し、また化合物(I)の塩で得られた場合はその塩を化合物(I)に常法により変換することができる。このうち、(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸 二塩酸塩は、具体的には製造例1に示す方法等により製造することができる。
【0050】
本発明の経皮透過方法はヒトを含む哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ウサギ、ヒト等)の狭心症、不安定狭心症、急性心筋梗塞、川崎病、急性及び慢性の心不全、一過性脳虚血発作(TIA)、脳卒中、脳血栓症急性期の脳虚血障害、解離性動脈瘤、クモ膜下出血後の脳血管攣縮、急性又は慢性の腎疾患(例えば蛇毒及び免疫病のごとき過剰凝集による急性又は慢性の腎疾患)、慢性及び急性糸球体腎炎、糖尿病性腎炎及び神経障害、ネフローゼ症候群、肝疾患、肺塞栓、気管支喘息、肺水腫、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、閉塞性動脈硬化症、末梢動脈閉塞、深部静脈血栓、振動病、糖尿病に合併する末梢動脈閉塞、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、汎発生血管内凝固(DIC)、敗血症、外科又は感染症ショック、術後及び分娩後外傷、胎盤早期剥離、不適合輸血、全身性エリトマトーデス、レイノー病、炎症、動脈硬化症、溶血性尿毒症性症候群、対象性抹消動脈壊死、辱創、痔疾患の治療又は予防に用いることができる。また、本発明の経皮透過方法は心肺バイパスの外科手術、人工心肺、心房細動、股関節骨折に伴う手術、弁置換術、人工血管及び臓器等による血栓防止や人工透析による血小板減少の防止、さらには心筋梗塞の2次予防に用いることができる。ここで、人工透析による血小板減少の防止は血液透析体外循環回路の凝血・残血防止も意味する。
さらに本発明の経皮透過方法は、冠動脈血栓溶解療法(例えば組織プラスミノーゲンアクチベータ(TPA)等血栓溶解剤の作用増強と再閉塞防止)、PTCA(経皮的冠動脈内血管形成術)やステント留置及びアテレクトミー後の冠動脈の再閉塞及び再狭窄防止、冠動脈バイパス術後の再閉塞及び再狭窄防止、PTCA又は冠動脈血栓溶解療法施行時の虚血性合併症(例えば心筋梗塞、死亡)の防止に用いることができる他、癌転移の阻害に使用できる。
【0051】
前述した疾患を抑制又は防止する活性化合物の投与量は、広範囲な限界内で変化することができる。そして勿論それぞれ特定の場合における個々の状況に適合するように調節しなければならない。投与量は対象疾患、症状、投与対象等によっても異なるが、例えば、化合物(I)を用いて不安定狭心症患者、PTCA又は冠動脈血栓溶解療法施行時の虚血性合併症又は冠動脈の再閉塞もしくは再狭窄発症患者に本発明の経皮透過方法を適用する場合、通常成人(60kg)に対し、好ましくは血清中の血清濃度が約10〜500ng/ml、より好ましくは約50〜300ng/mlに維持される程度に投与される。本発明の経皮透過方法によれば、前記血清濃度は経皮透過開始後、好ましくは約240分以内、より好ましくは約120〜240分、さらに好ましくは約120〜180分で達成される。さらに、それに続き、一定した皮膚透過または血清薬物濃度が維持することができる。1回の投与における多孔性薄膜、または導電部のハイドロゲルへのGPIIb/IIIa拮抗物質の適用量は電流密度及び通電時間等の通電条件に応じて適宜選択できるが、例えば、化合物(I)の場合、好ましくは約10〜1000mg、より好ましくは約30〜1000mg、さらに好ましくは約30〜500mgである。
本発明におけるGPIIb/IIIa拮抗物質の経皮透過速度は、好ましくは約0.01〜10mg/時間,より好ましくは約0.1〜10mg/時間,さらに好ましくは約0.2〜2mg/時間である。
【0052】
【発明の実施の形態】
本発明はさらに下記の製造例、参考例及び実施例で詳しく説明されるが、これらは単なる例であって本発明を限定するものではない。
【0053】
【実施例】
製造例1
(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸 二塩酸塩の製造
【化39】
(S)-4-アミノアセチル-3-(3-アミノプロピル)-2-オキソ-ピペラジン-1-酢酸(GAPA)水溶液にアセトニトリル 7.0L、水 6.6L、炭酸水素ナトリウム 448g (5.33mol)を仕込み、ついでN-(4-グアニジノベンゾイルオキシ)-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド(GBNB) 1607g (4.27mol)を加えて室温で4時間撹拌した。反応液を2N-HClでpH3に調整し、酢酸エチルエステル抽出(30L×3)した。水層を約10L迄減圧濃縮した。水 10Lを加え重曹でpH5.0に調整し、樹脂(SP-207, 30L充填カラム)に吸着させた後、純水150Lで洗浄後、0.003N-HCl/5%アセトニトリル250Lで溶出した。有効画分(約200L)を合わせ、減圧濃縮(約10L迄)した。濃縮液を濃塩酸(約117ml)でpH1.5に調整し、更に3L迄濃縮後、エチルアルコール24Lを加えた。室温で19時間氷冷下2時間撹拌し、析出結晶を濾取した。89%エチルアルコール900mlで洗浄後、一夜風乾、50℃で9時間真空乾燥して819gの化合物Aの粗結晶を得た。化合物Aの粗結晶を水 2.05Lに溶解し、活性炭16.5gを加えて室温で30分撹拌後濾過した。濾液を0.2μのメンブランフィルターに通し、20.5Lのエチルアルコールを加えた。室温で6時間、氷冷下に2時間撹拌し、析出した結晶を濾取した。結晶を89%エチルアルコール(1.0L)で洗浄し、50℃で9時間真空乾燥、一夜加湿(RH100%)、再び50℃で9時間真空乾燥後RH60〜70%で約3日間放置した。含水率5%(約2mol)の化合物A(2塩酸塩)の精製した結晶 753g を得た。
融点:245−251.5℃
元素分析 C27H34N10O6・2HCl・1.5H2O として
計算値:C, 46.69; H, 5.66; N, 20.17;Cl,10.21
実測値:C, 46.15; H, 5.62; N, 19.94;Cl,10.65
【0054】
参考例1
イオントフォレシス投与用デバイスとして陽極部パッチと陰極部パッチからデバイスを作製した。
陽極部パッチは〔図2〕に示すような箔型の銀電極1、イオン交換樹脂である約5%(w/w)コレスチルアミン,添加剤(5%(w/w)尿素、10%(w/w)プロリン、0.1%(w/w)安息香酸ナトリウム、0.03%(w/w)クエン酸)及び増粘剤(0.25%(w/w)キサンタンガム,0.25%(w/w)ローカストビーンガム)を含む1.0%(w/w)寒天ゲルからなる導電部2、1および2を保持するカップ状の支持体3(内径:約30mm; 厚さ:約1.5mm; 内容積:約1.3mL; 重量:約1.3g)、デバイスを皮膚に貼付し固定するための粘着部4、並びに薬物を保持する多孔性薄膜(薬物保持膜)〔親水性デュラポア(商品名)、日本ミリポア社製〕5から構成される。なお、陽極部パッチにおける皮膚と接触する部位の面積は約9cm2である。
また、陰極部パッチはプリント銀/塩化銀電極、及び10%PVAゲルから構成される。
薬物投与対象には7週齢の雄性SDラットを用いた。前記ラットの腹部をシェイブし、その部位に製造例1で得た化合物の薬物保持膜への適用量が29μgである陽極部パッチと前記化合物を含まない陰極部パッチとからなるイオントフォレシス用デバイスを貼付した。さらに前記デバイスを電気発信装置(50kHz,50% duty)に接続し、定透過電流(0.1mA/cm2)を60分間流す条件でイオントフォレシスによる経皮投与を行った。投与開始後、経時的に採血を行い、血清中の前記化合物濃度をエンザイムイムノアッセイにより測定した。
【0055】
参考例2
製造例1で得た化合物の薬物保持膜への適用量が609μgであること以外は参考例1と同様にしてイオントフォレシスによる経皮投与及び血清中の前記化合物濃度の測定を行った。
【0056】
参考例3
製造例1で得た化合物の薬物保持膜への適用量が2494μgであること以外は参考例1と同様にしてイオントフォレシスによる経皮投与及び血清中の前記化合物濃度の測定を行った。
【0057】
参考例1〜3における投与開始後の血清中の製造例1で得た化合物濃度の時間推移は図3に示す通りである。その結果、通電応答型血清濃度が得られた。図3に示されるように、前記化合物は通電に応じて経皮吸収され、血清中の前記化合物濃度の上昇が認められた。また、イオントフォレシスによる前記化合物の吸収量は適用量に依存した。
【0058】
参考例4
参考例1で用いた導電部2の寒天ゲルの代わりに1%(w/w)のアガロースゲルを用いた。該アガロースゲルには製造例1で得た化合物を4.32%(w/w)(56.13mg),コレスチラミンの水酸化体を5%(w/w),プロリンを10%(w/w)配合した。さらには、参考例1で用いた多孔性薄膜(薬物保持膜)5の代わりに薬物を保持していない多孔性薄膜〔親水性デュラポア(商品名)、日本ミリポア社製〕を用いて、皮膚と接触する部分の面積を約17.3cm2とした。導電部2および多孔性薄膜5を変更する以外は、参考例1で得たデバイスと同じデバイスを作製した。
薬物投与対象には体重約15kgの雄性ビーグル犬を用いた。該ビーグル犬の背部をシェイブし、その部位にアガロースゲルを用いた前記イオントフォレシス用デバイスを貼布した。さらに該デバイスを電気発信装置(50kHz,50% duty)に接続し、定透過電流(0.05mA/cm2)を24時間流す条件でイオントフォレシスによる経皮投与を行った。なお、陰極部パッチは通電による消耗時間を考慮して4時間おきに取り換えた。投与開始後、経時的に採血を行い、血清中の該化合物濃度をエンザイムイムノアッセイにより測定した。
参考例4における投与開始後の血清中の製造例1で得た化合物濃度の時間推移は図4に示す通りである。その投与の結果、通電応答型血清濃度が得られた。図4に示されるように、該化合物は通電に応じて24時間連続的に経皮吸収され、血清中の該化合物濃度のは約8時間で一定の高いレベルに達し、その後24時間まで持続することが示された。このときに推定される薬物吸収速度は静脈内への持続点滴投与時の定常状態に達したときの血清中の該化合物濃度と比較することより約1mg/時間と見積もられた。
【0059】
実施例1
製造例1で得た化合物の薬物保持膜への適用量が609μgであること及び次に示す通電条件を適用すること以外は、参考例1と同様にしてイオントフォレシスによる経皮投与及び血清中の前記化合物濃度の時間推移の測定を行った。
通電は2回の工程で構成され、第1の通電工程は通電開始後45分まで0.1mA/cm2の通電密度で、それに続く第2の通電工程は通電開始後45〜255分まで0.05mA/cm2の通電密度で行った。
【0060】
実施例2
製造例1で得た化合物の薬物保持膜への適用量が609μgであること及び次に示す通電条件を適用すること以外は、参考例1と同様にしてイオントフォレシスによる経皮投与及び血清中の前記化合物濃度の時間推移の測定を行った。
通電は2回の工程で構成され、第1の通電工程は通電開始後15分まで0.1mA/cm2の通電密度で、それに続く第2の通電工程は通電開始後15〜585分まで0.025mA/cm2の通電密度で行った。
【0061】
実施例3
製造例1で得た化合物の薬物保持膜への適用量が1218μgであること及び次に示す通電条件を適用すること以外は、参考例1と同様にしてイオントフォレシスによる経皮投与及び血清中の前記化合物濃度の時間推移の測定を行った。
通電は2回の工程で構成され、第1の通電工程は通電開始後15分まで0.1mA/cm2の通電密度で、それに続く第2の通電工程は通電開始後15〜585分まで0.025mA/cm2の通電密度で行った。
【0062】
実施例1〜3のイオントフォレシス投与後の血清中の製造例1で得た化合物濃度の時間推移を図5に示す。
図5より、実施例1〜3のいずれの条件においても長時間に亘り通電に応答する前記化合物の吸収が認められ、点滴静注時と同様に定常状態血清中濃度を持続した。また実施例1と実施例2との比較より、定常状態の前記化合物の血清中濃度は電流密度に比例することを示した。また実施例2と実施例3との比較より、定常状態の前記化合物の血清中濃度は適用量に比例することを示した。そのため、実施例3は実施例1と比較して、第2の通電工程の電流密度は1/2の設定であるが、前記化合物の適用量が2倍であるため、定常状態の前記化合物の血清中濃度は両者で同等となった。つまり、前記化合物適用量と電流密度を調節することで任意の前記化合物の血清中濃度を得ることができ、かつ長時間持続させることが示された。
【0063】
【発明の効果】
本発明のイオントフォレシスによる経皮透過方法は特定の条件で通電するので、皮膚に刺激を与えることなく、GPIIb/IIIa拮抗物質を投与(経皮透過)後、短時間で血清薬物濃度を一定治療域に到達させることが出来、さらには同じ血清濃度を長時間維持することができる。これにより効率よく、さらには副作用域に達しないようにGPIIb/IIIa拮抗物質を経皮的に吸収させることができることから、優れた薬理効果をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本願発明の通電条件の模式図である。
【図2】図2はパッチの断面図である。
【図3】図3は参考例1〜3における血清中の製造例1で得た化合物濃度の時間推移を示すグラフである。
【図4】図4は参考例4における血清中の製造例1で得た化合物濃度の時間推移を示すグラフである。
【図5】図5は実施例1〜3における血清中の製造例1で得た化合物濃度の時間推移を示すグラフである。
【符号の説明】
図1における各記号は以下に示す意である。
1 第一の経皮透過
2 第1の通電工程
3 第2の通電工程
4 第一の経皮透過における最後の通電工程
5 追加の経皮透過
6 追加の経皮透過におけるそれぞれの通電
7 非通電期間
図2における各記号は以下に示す意である。
1 電極
2 導電部
3 支持体
4 粘着部
5 多孔性薄膜
Claims (17)
- GPIIb/IIIa拮抗物質を経皮透過させるためのデバイスであって、電流密度を時系列的に複数の通電工程で段階的に低下させて通電するイオントフォレシス投与用デバイス。
- 電流密度を時系列的に2回の通電工程で段階的に低下させて通電する請求項1記載のデバイス。
- 第1の通電工程の電流密度が約0.005〜0.5mA/cm2である請求項1記載のデバイス。
- 第1の通電工程の通電時間が約1〜240分である請求項1記載のデバイス。
- 最後の通電工程の電流密度が第1の通電工程の約10〜80%である請求項1記載のデバイス。
- 最後の通電工程の通電時間が約1分〜約72時間である請求項1記載のデバイス。
- GPIIb/IIIa拮抗物質が一般式:
- A1及びA2がそれぞれ無置換のアミノ、アミジノ又はグアニジノ基である請求項7記載のデバイス。
- R1が水素原子である請求項7記載のデバイス。
- GPIIb/IIIa拮抗物質が(S)−4−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グアニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペラジン−1−酢酸又はその塩である請求項1記載のデバイス。
- GPIIb/IIIa拮抗物質の第一の経皮透過に続いて、追加の経皮透過を行うためのデバイスであって、第一の経皮透過において、電流密度を時系列的に複数の通電工程で段階的に低下させて通電を行い、追加の経皮透過において、GPIIb/IIIa拮抗物質を有効血清濃度に維持するための通電を複数回繰り返すイオントフォレシス投与用デバイス。
- 追加の経皮透過において、約2〜99回の通電を繰り返す請求項11記載のデバイス。
- 追加の経皮透過におけるそれぞれの通電前に、非通電期間を有する請求項11記載のデバイス。
- 非通電期間が約0.1〜120分である請求項13記載のデバイス。
- 追加の経皮透過における電流密度と、第一の経皮透過の最後の通電工程の電流密度とが、実質的に同じである請求項11記載のデバイス。
- GPIIb/IIIa拮抗物質の経皮透過速度が約0.01〜50mg/時間である請求項11記載のデバイス。
- 第一の経皮透過開始後、約240分以内にGPIIb/IIIa拮抗物質の血清濃度を約10〜500ng/mlに維持する請求項11記載のデバイス。
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