JPH0956827A - イオントフォレシス用インターフェイス - Google Patents

イオントフォレシス用インターフェイス

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JPH0956827A
JPH0956827A JP16853496A JP16853496A JPH0956827A JP H0956827 A JPH0956827 A JP H0956827A JP 16853496 A JP16853496 A JP 16853496A JP 16853496 A JP16853496 A JP 16853496A JP H0956827 A JPH0956827 A JP H0956827A
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勝美 伊賀
Yukihiro Matsumoto
行浩 松本
Shigeto Higo
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオントフォレシス用インターフェイス(皮
膚接触体)により、薬物を高い生物学的利用率及び高い
再現性で経皮的に投与する。 【解決手段】 皮膚接触面に、インターフェイスとして
親水性の低蛋白吸着性薄膜を配設し、イオントフォレシ
スを利用して、生理活性ペプチドなどの薬物を経皮的に
投与する。前記薄膜の蛋白質吸着能は1cm2 当たり1
0μg以下である。また、薄膜の厚さは10〜200μ
m程度であり、薄膜の空隙率は60〜90%である。こ
のような薄膜には親水化フッ素樹脂膜、親水化ポリスル
フォン膜やセルロース誘導体膜が含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオントフォレシ
スを利用して薬物を経皮投与する上で有用なインターフ
ェイス(皮膚接触体)に関する。
【0002】
【従来の技術】イオントフォレシス(Iontophoresis)
は電気を用いた経皮吸収促進システムであり、その原理
は、主に通電による陽極と陰極との間の電界中を、正に
チャージした分子が陽極から陰極へ、負にチャージした
分子が陰極から陽極へ移動する力に基づいて、薬物分子
の皮膚バリヤー透過を促進することにある[ジャーナル
・オブ・コントロールド・リリース(Journal of Conto
rolled Release)18巻、1992年、213〜220
頁;アドバンスト・ドラッグ・デリバリー・レビュー
(Advanced Drug Delivery Review)9巻、1992
年、119頁;ファルマシュウティカル・リサーチ(Pha
rmaceutical research)3巻、1986年、318〜3
26頁参照]。
【0003】最近の合成技術、遺伝子工学の進歩によ
り、天然に存在するペプチド又は蛋白質、若しくはこれ
らのアミノ酸組成を変化させたペプチド又は蛋白質や、
化学的に修飾した誘導体を、純粋にかつ大量に生産する
ことが可能となるとともに、これらのペプチドや蛋白質
を医薬品として応用することが期待されている。一方、
微量で多様な生理活性を有するこれらのペプチドや蛋白
質を限定された疾病で薬効を最大限に発揮させるととも
に副作用を最小限に抑制するためには、厳密な投薬コン
トロールが要求される。
【0004】さらに、生理活性ペプチド又は蛋白質は、
通常、胃腸管内で消化液によって分解されるとともに、
消化管壁の分解酵素によって加水分解されるため、吸収
効率を有効に高めることが困難である。従って、十分な
薬効を期待するため、生理活性ペプチド又は蛋白質は、
通常、経口投与ではなく注射による投与が行われてい
る。しかし、注射剤として投与すると、患者に与える苦
痛が大きいだけでなく、自己投与ができないため、患者
には大きな負担となる。
【0005】製薬分野において、新しい薬物送達システ
ム(ドラッグデリバリーシステム)として、イオントフ
ォレシスが精力的に研究がされている。すなわち、この
イオントフォレシスを利用することにより、注射剤とし
て投与されていた薬物を、患者自身が自己投与すること
により、在宅治療の可能性が広がるだけでなく、通電時
間の精密な制御により、薬物の吸収時間を制御すること
ができる。特に内因性化合物の補充療法においては、生
体のサーカディアンリズムを考慮して、より効果的な薬
物治療が実現できると考えられる。
【0006】このような利点を有するイオントフォレシ
スを利用した投与システムでは、通常、直流電源により
電圧を印加するための電極と、この電極と導通可能であ
るとともに皮膚に対して接触可能な薬物保持体(皮膚接
触体としてのインターフェイス)と、対照電極とが使用
される。前記インターフェイスとしては、有機質の薬物
保持層(例えば、紙材、織布、不織布などの布材、繊維
材、合成樹脂連続発泡体又は吸水性樹脂などのスポンジ
又は多孔質体などで構成された薬物保持層)で構成され
た非導電性インターフェイス、無機質の保持体(例え
ば、セラミック多孔体、多孔質又は毛細管構造を有する
セラミックなど)で構成された非導電性インターフェイ
スが報告されている。しかし、これらの薬物保持体に薬
物をコーティングや含浸により担持したり、半乾燥又は
乾燥してイオントフォレシスに利用すると、薬物の経皮
吸収量が十分でない。そのため、薬物の生物学的利用率
を高めることが困難である。経皮吸収率が小さな理由と
して、生理活性ペプチドや蛋白質などの薬物が薬物保持
体に吸着し、利用効率が低下することが考えられる。
【0007】特開平6−16535号公報には、非導電
性材料で構成された多孔性乃至毛細管構造体を、牛血清
アルブミン、人血清アルブミン、ゼラチンなどの高分子
蛋白によりコーティング処理したイオントフォレシス用
インターフェイス(皮膚当接体)を用いることにより、
薬物の吸着を抑制し、少量の薬物で効果的に経皮吸収性
を高めることが提案されている。この文献には、多孔性
乃至毛細管構造体としてナイロン多孔体(例えば、バイ
オダイン)が好ましいと記載されている。
【0008】しかし、インターフェイスの基材となる構
造体に対する薬物の吸着に起因するためか、時間の経過
にともなって有効薬物量が著しく減少し、薬物を有効に
吸収させることが困難である。また、前記吸着に起因す
るためか、イオントフォレシスによる薬物放出性が小さ
い。そのため、高い再現性及び高い利用効率で薬物を経
皮的に有効かつ精度よく投与することが困難である。特
に、生理活性ペプチドや蛋白質を安定かつ高い保持率で
保持し、高い生物学的利用率で薬物を経皮的に投与する
ことが困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、薬物を高い生物学的利用率及び高い再現性で経皮的
に有効かつ精度よく投与できるイオントフォレシス用イ
ンターフェイス(皮膚接触体)を提供することにある。
本発明の他の目的は、有効薬物の保持量の低下を抑制す
るとともに、放出性が高く、薬物を有効に投与できるイ
オントフォレシス用インターフェイスを提供することに
ある。本発明のさらに他の目的は、生理活性ペプチド又
は蛋白質であっても放出性および生物学的利用率を高め
ることができるイオントフォレシス用インターフェイス
を提供することにある。本発明の別の目的は、前記イン
ターフェイスを用いる薬物の経皮吸収促進方法を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討したところ、皮膚との接触面
に、親水性を有するとともに低い蛋白吸着性の薄膜を配
設すると、生理活性ペプチド及び蛋白質であっても、薬
物が溶解液に接触した後、速やかに放出され、著しく高
い利用効率で再現性よく経皮的に投与できることを見い
だし、さらに鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成し
た。すなわち、(1)本発明のイオントフォレシス用イ
ンターフェイスは、蛋白質低吸着性薄膜を備えている。
このイオントフォレシス用インターフェイスにおいて、
(2)薄膜の蛋白質吸着能は、1cm2 当たり10μg
以下であってもよく、(3)薄膜の厚さは10〜200
μmであってもよく、(4)薄膜の空隙率は60〜90
%であってもよい。(5)前記薄膜には、親水化フッ素
樹脂膜、親水化セルロース誘導体膜、親水化ポリスルフ
ォン膜などが含まれる。なお、本明細書において、「蛋
白質低吸着性」とは、例えば、ヒト型PTHのN末端
(1→34位)のペプチドフラグメント(hPTH(1
→34)と略称する)に対する吸着量が10μg/cm
2 以下であることを意味する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、必要に応じて図面を参照
しつつ本発明を詳細に説明する。イオントフォレシス用
インターフェイスを構成する親水性で蛋白質低吸着性薄
膜(以下、単に親水性薄膜又は薄膜と称する場合があ
る)の素材としては、薬物を乾燥状態で保持でき、薬物
が透過可能であるとともに、蛋白質に対して低吸着性の
親水性材料が使用できる。このような親水性材料で形成
された親水性薄膜には、水に対する濡れ性の高い薄膜、
例えば、親水化された疎水性(又は撥水性)ポリマー薄
膜、親水性物質を含有する疎水性ポリマー薄膜などが含
まれる。
【0012】親水化された疎水性ポリマー薄膜には、例
えば、親水化フッ素樹脂で形成された薄膜(例えば、親
水性基が導入されたフッ素含有モノマーを構成成分とす
る単独又は共重合体の薄膜、例えばミリポア社製、親水
性デュラポア等や、フッ素含有モノマーを構成成分とす
る単独又は共重合体の薄膜の表面を親水性に改質したも
の、例えば、東洋濾紙(株)製、親水性ポリテトラフル
オロエチレンなど)、親水化ポリスルフォンなどで形成
された薄膜(例えば、ゲルマンサイエンス社製,スーポ
アなど)、親水化セルロース誘導体(例えば、親水化セ
ルロースモノアセテート、親水化セルローストリアセテ
ートなど)などで形成された薄膜(例えば、東洋濾紙
(株)製、各種の濾紙やイオン交換濾紙など)などが挙
げられる。親水性基が導入されたフッ素含有モノマーと
しては、親水性基が導入されたフルオロエチレン(1−
フルオロエチレン)、親水性基が導入されたフッ化ビニ
リデン(すなわち、1,1−ジフルオロエチレンである
ビニリデンフルオライド)、1,2−ジフルオロエチレ
ンなどが含まれる。これらのモノマーの重合体として
は、親水化ポリフルオロエチレン、親水化フルオロエチ
レン−テトラフルフオロエチレン共重合体、親水化フル
オロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、親
水化エチレン−フルオロエチレン共重合体、親水化エチ
レン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、親水化ポ
リビニリデンフロオライド、親水化フルオロエチレン−
ビニリデンフルオライド共重合体、親水化エチレン−ビ
ニリデンフルオライド共重合体などが挙げられる。前記
フッ素含有モノマーに導入された親水性基の種類は特に
制限されず、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル
基、アミノ基、N−置換アミノ基(モノ又はジC1-4
ルキルアミノ基など)、(ポリ)オキシアルキレン基な
どのエーテル基、親水性アルキル基(例えば、ヒドロキ
シメチル、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基
などのヒドロキシ−C1-4アルキル基、カルボキシメチ
ル基、カルボキシエチル基などのカルボキシ−C1-4
ルキル基、アミノメチル、アミノエチル基などのアミノ
−C1-4アルキル基、メチルアミノメチル、ジメチルア
ミノメチル、ジメチルアミノエチル基などのモノ又はジ
−C1-4アルキルアミノ−C1-4アルキル基など)などが
挙げられる。これらの親水性基は、フルオロエチレン、
ビニリデンフルオライドの水素原子と置換して炭素原子
に結合している場合が多い。
【0013】親水化フッ素樹脂は、例えば、下記式で表
される繰返し単位で構成されている場合が多い。
【0014】
【化1】 (式中、R1 ,R2 は同一又は異なる親水性アルキル基
を示す) 親水性アルキル基には、例えば、ヒドロキシアルキル基
(特にヒドロキシ−C2-3 アルキル基)、(ポリ)オキ
シアルキレン基(特に(ポリ)オキシ−C2-4アルキレ
ン基)などが含まれる。ヒドロキシアルキル基は、ヒド
ロキシル基を有する重合性化合物[例えば、ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート,ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート,4−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレートなど]などに由来してもよい。(ポリ)オキシ
アルキレン基は、エーテル基を有する重合性化合物、例
えば、(ポリ)オキシアルキレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート[例えば、ジエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレートなど]、(ポリ)オキシアルキ
レングリコールジ(メタ)アクリレート[例えば、エチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)
アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アク
リレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリ
レートなど]などに由来してもよい。これらの親水性ア
ルキル基は、細孔を含めた多孔質フッ素樹脂薄膜の表面
に、前記重合性化合物がグラフト重合することにより導
入してもよく、前記重合性化合物の重合体によるコーテ
ィングなどにより導入してもよい。
【0015】親水性物質を疎水性ポリマー薄膜に含ませ
親水化した膜には、適当な湿潤剤(例えば、グリセリ
ン、ポリビニルピロリドンなど)を添加した種々のポリ
マー、例えば、親水処理酢酸セルロース膜(例えば、ザ
ルトリウス社製,アシンメトリックウルトラフィルタ
ー、東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメ
ンブレンなど)、親水処理ポリカーボネート膜(例え
ば、ミリポア社製,アイソポアメンブレンなど)、親水
処理ポリテトラフルオロエチレン膜(例えば、ミリポア
社製,オムニポアメンブレンなど)、親水処理ポリスル
フォン膜(ゲルマンサイエンス社製,HTタフリンな
ど)、親水処理不織布(例えば、ポリエステル不織布を
酢酸セルロースで被覆した膜(東洋濾紙(株)製のコー
ティッドタイプメンブレンなど)などが挙げられる。
【0016】これらの親水性薄膜は、生理活性ペプチド
及び蛋白質に対する吸着性が極めて低く、薬物溶液の浸
透性が高いとともに、薬物の膜内への移動速度、薬物の
溶解速度が大きい。好ましい薄膜には、蛋白質に対する
吸着性が小さく、薬物の保持性の高い薄膜、例えば、親
水化フッ素樹脂薄膜、親水処理セルロース誘導体膜(例
えば、親水処理メチルセルロース、親水処理エチルセル
ロース、ハイドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロースフタレートなどの膜)特に好ましく
は親水化ポリビニリデンフルオライド膜(例えば、ミリ
ポア社製,ハイドロフィリックデュラポアなど)、親水
処理酢酸セルロース膜(例えば、東洋濾紙(株)製、セ
ルロースアセテートタイプ膜など)、親水処理ポリエス
テス不織布(例えば、東洋濾紙(株)製、コーティッド
タイプ膜)などが含まれる。前記親水性薄膜は、蛋白質
に対する吸着性が低く、蛋白質の吸着量が小さいという
特色がある。薄膜に対する蛋白質の吸着量は、例えば、
10μg/cm2 以下、好ましくは8μg/cm2 以下
(例えば、0〜6μg/cm2 )、さらに好ましくは6
μg/cm2 以下(例えば、0〜4μg/cm2 )であ
る。なお、蛋白質の吸着量は、慣用の方法、例えば、h
PTH(1→34)40μg(125Iでラベルされたh
PTH(1→34)をトレーサー量含む)を含む蒸留水
300μlに、薄膜を、室温下で2時間浸漬した後、水
溶液を吸引除去し、蒸留水1mlで3回水洗した後、残
存放射活性を測定することにより測定することができ
る。
【0017】これらの親水性薄膜は多孔質構造を有して
いる。薄膜の細孔径は、薬物の保持量、放出性などを損
なわず、薬物が溶解液と接触した後、速やかに膜から放
出され、皮膚接触面に高濃度の薬物溶解層を形成するこ
とが可能な範囲から選択でき、例えば、平均孔径0.0
1〜20μm、好ましくは0.1〜15μm(例えば、
0.1〜10μm)、さらに好ましくは1〜10μm
(例えば、2〜8μm)程度である。また、薄膜の空隙
率は、例えば、60〜90%、好ましくは65〜90
%、さらに好ましくは65〜85%程度である。なお、
薄膜の細孔は、慣用の方法、例えば、フィルム成形工程
で延伸する延伸法、流延法、相分離法、溶出法、高エネ
ルギー線照射法などにより形成できる。
【0018】親水性薄膜の厚みは、薬物の保持量などに
応じて選択でき、例えば、約0.1〜500μm、好ま
しくは1〜300μm、さらに好ましくは10〜200
μm程度であり、20〜150μm程度である場合が多
い。さらに、薄膜の面積は、薬物の保持量などに応じて
適当に選択でき、例えば、約1〜100cm2 、好まし
くは約2〜50cm2 程度である。また、前記薄膜は非
変形性であってもよいが、柔軟性や可撓性を有する場合
が多い。
【0019】前記親水性薄膜は、蛋白質の吸着をさらに
抑制するため、イオン性界面活性剤で処理されていても
よい。イオン性界面活性剤には、アニオン性界面活性
剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が含まれ
る。アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸金
属石鹸、アルキル硫酸塩(例えば、ナトリウム塩な
ど)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、ナトリ
ウム塩など)、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−
オレフィンスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩な
ど)、N−アシルアミノ酸塩(例えば、ナトリウム塩な
ど)、2−スルホコハク酸ジアルキル塩(例えば、ナト
リウム塩など)などが挙げられる。これらのアニオン性
界面活性剤は一種又は二種以上使用できる。カチオン性
界面活性剤には、例えば、N−エチルアルカンアミドア
ンモニウムハライド(例えば、N−エチル−C8-20アル
カンアミドアンモニウムクロライド)、アルキルピリジ
ニウムハライド(例えば、N−C10-20アルキルピリジ
ニウムブロミドなど)、4級アンモニウム塩などが含ま
れ、4級アンモニウム塩には、例えば、アルキルトリメ
チルアンモニウムハライド(例えば、C8-20アルキルト
リメチルアンモニウムクロリドなど)、ジアルキルジメ
チルアンモニウムハライド(例えば、ジ−C8-20アルキ
ルジメチルアンモニウムクロリドなど)、下記式 [C65CH2N(CH32R]+- (式中、Rはアルキル基、Xはハロゲン原子を示す)で
表されるアルキルベンジルジメチルアンモニウムハライ
ド[例えば、C8-20アルキルベンジルジメチルアンモニ
ウムクロリド(塩化ベンザルコニウム)、4−C1-10
ルキルフェニルオキシエトキシエチルベンジルジメチル
アンモニウムクロリド(例えば、塩化ベンゼトニウムな
ど)]などが含まれる。これらのカチオン性界面活性剤
も一種又は二種以上混合して使用できる。両性界面活性
剤としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルジエ
チレントリアミノ酢酸などが例示できる。
【0020】好ましいイオン性界面活性剤には、カチオ
ン性界面活性剤、特に4級アンモニウム塩、なかでも前
記式で表されるアルキルベンジルジメチルアンモニウム
ハライド(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼ
トニウムなど)が含まれる。
【0021】親水性薄膜に対するイオン性界面活性剤の
処理量は、例えば、薄膜1cm2 当たりイオン性界面活
性剤約0.10〜50μg、好ましくは約0.10〜3
0μg、より好ましくは約0.12〜12μg程度であ
る。イオン性界面活性剤による処理量は、親水性薄膜に
対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.00
5〜5重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%程
度であり、0.005〜1重量%程度である場合が多
い。
【0022】前記薄膜をインターフェイスとして皮膚接
触面に配すると、薄膜を介して、一定の面積で薬物溶液
を皮膚と接触させることができ、薬物を有効かつ再現性
よく経皮的に吸収させることができる。前記薄膜(イン
ターフェイス)を通じて投与される薬物は経皮吸収可能
であるとともに水溶性である限り特に制限されず、種々
の生理活性ペプチドもしくは蛋白質、核酸、または低分
子量の非ペプチド性生理活性化合物が使用できる。生理
活性ペプチド又は蛋白質の分子量は、例えば、100〜
30000(好ましくは200〜20000、さらに好
ましくは500〜10000、特に500〜8000)
程度であり、低分子量の非ペプチド性生理活性化合物の
分子量は、例えば、約1000以下(例えば、100〜
1000)である。
【0023】低分子量の非ペプチド性生理活性物質とし
ては、中枢神経系用薬、アレルギー用薬、循環器官用
薬、血管収縮薬、鎮痛薬、呼吸器官用薬、消化器官用
薬、ホルモン剤、代謝性薬、抗腫瘍剤、抗生物質、化学
療法剤などの種々の低分子量の生理活性化合物(例え
ば、分子量約1000以下の化合物)が使用できる。好
ましい薬物には、生理活性ペプチド又は蛋白質が含ま
れ、生理活性ペプチド又は蛋白質の分子量は、例えば、
100〜30000、好ましくは約8000以下である
場合が多い。
【0024】生理活性ペプチドとしては、例えば、次の
ようなペプチドが挙げられる。黄体形成ホルモン放出ホ
ルモン(LH−RH),LH−RHと同様な作用を有す
る誘導体、例えば、ナファレリン及び下記式(I): (Pyr) Glu-R1-Trp-Ser-R2-R3-R4-Arg-Pro-R5 (I) [式中、R1はHis,Tyr,Trpまたはp-NH2-Phe、R2はTyrま
たはPhe、R3はGlyまたはD型のアミノ酸残基、R4はLeu,I
leまたはNle、R5はGly-NH-R6(R6は水素原子または水酸
基を有していてもよい低級アルキル基)またはNH-R6(R
6は前記と同意義)を示す]で表されるポリペプチド又
はその塩(米国特許第3853837号明細書、同第4
008209号明細書、同第3972859号明細書、
英国特許第1423083号明細書、プロシーデイング
ス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
(Rroceedings of the National Academy of Science)
第78巻、6509〜6512頁(1981年)参
照]。前記式(I)において、R3 で表されるD型のア
ミノ酸残基としては、例えば、炭素数9までのα−D−
アミノ酸(例えば、D−Leu,Ile,Nle,Va
l,Nval,Abu,Phe,Phg,Ser,Th
r,Met,Ala,Trp,α−Aibu)などが挙
げられ、これらのアミノ酸は、保護基(例えば、t−ブ
チル、t−ブトキシ、t−ブトキシカルボニル基など)
を有していてもよい。R6 で表される低級アルキル基に
は、例えば、炭素数1〜6程度のアルキル基(例えば、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t
−ブチル基など)などが挙げられる。なお、前記式
(I)で表されるペプチドの塩(例えば、酸との塩)、
金属錯体化合物もペプチド(I)と同様に使用できる。
前記式(I)で表されるポリペプチドにおいて、R1
His,R2 =Tyr,R3 =D−Leu,R4 =Le
u,R5 =NHCH2−CH3であるポリペプチド(TA
P−144)が好ましい。
【0025】LH−RH拮抗物質、例えば、下記式(I
I): N-α-t-ブトキシカルボニル-O-ベンジル-Ser-Trp-Ser-Tyr-X1 -Leu-Arg-Pro -GlyNH2 (II) (式中、X1 は D-Ser 又は D-Trp を示す)で表される
ポリペプチド又はその塩(米国特許第4086219号
明細書、同第4124577号明細書、同第42539
97号明細書、同第4317815号明細書参照)。
【0026】GPIIb/IIIa拮抗作用を有する蛇
毒ペプチド、例えば、バルブリン(barbourin)、Ar
g−Gly−Asp配列を有するペプチド、例えば、A
rg−Gly−Asp−Ser,Gly−Arg−Gl
y−Asp−Ser−Pro,SK&F−106760
(シクロ−S,S−[Ac−Cys(Nα−メチル)A
rg−Gly−D−Asn−ペニシラミン]−N
2)、さらに同様の活性を有するペプチド様化合物、
例えば、(S)−4−[(4−アミジノベンゾイル)グ
リシル]−3−メトキシ−カルボニルメチル−2−オキ
ソピペラジン−1−酢酸、(S)−4−(4−グアニジ
ノベンゾイルアミノ)アセチル−3−[3−(4−グア
ニジノベンゾイルアミノ)]プロピル−2−オキソピペ
ラジン−1−酢酸・HCl、MK−383(2−S−
(n−ブチルスルホニルアミノ)−3−[4−(N−ピ
ペリジン−4−イル)ブチルオキシフェニル)]−プロ
ピオン酸・HCl)、L−700462(L−Tyr−
N−(ブチルスルホニル)−O−[4−(ピペリジニ
ル)ブチル]モノハイドロクロライド)、SC−564
84(エチル[[4−(アミノイミノメチル)フェニ
ル]アミノ]−1,4−ジオキシブチル]アミノ−4−
ペンチノエート)、Ro−44−9883([1−[N
−(p−アミジノフェニル)−L−Tyr]−4−ピペ
リジニル]酢酸)、DMP728(サイクリック[D−
2−アミノブチリル−N−2−メチル−L−Arg−G
ly−L−Asp−3−アミノメチル−安息香酸]メタ
ンスルホン酸塩)。
【0027】さらに、インスリン;ソマトスタチン、ソ
マトスタチン誘導体、例えば、下記式(III):
【0028】
【化2】 [式中、YはD-Ala,D-SerまたはD-Val,ZはAsnまたはAla
を示す]で表されるポリペプチド又はその塩(米国特許
第4087390号明細書、同第4093574号明細
書、同第4100117号明細書、同第4253998
号明細書参照)、成長ホルモン;成長ホルモン放出ホル
モン(GRH);プロラクチン;副腎皮質刺激ホルモン(ACT
H);メラノサイト刺激ホルモン(MSH);甲状腺刺激ホル
モン放出ホルモン(TRH)、その誘導体、例えば、下記式
(IV):
【0029】
【化3】 [式中、Xaは4〜6員複素環基を、Yaはイミダゾール
−4−イルまたは4−ヒドロキシフェニル基を、Za
CH2またはSを、R1a,R2aは同一または異なって水
素原子又は低級アルキル基を、R3aは水素原子または置
換基を有していてもよいアラルキル基を示す]で表され
る化合物又はその塩(特開昭50−121273号公
報、特開昭52−116465号公報参照)。
【0030】甲状腺刺激ホルモン(TSH);黄体形成
ホルモン(LH);卵胞刺激ホルモン(FSH);副甲
状腺ホルモン(PTH)、副甲状腺ホルモンと同様な作
用を有する誘導体、例えば、下記式(V) R1b−Val−Ser−Glu−Leu−R2b−His−Asn−R3b−R4b −R5b−His−Leu−Asn−Ser−R6b−R7b−Arg−R8b−Glu −R9b−Leu−R10b−R11b−R12b−Leu−Gln−Asp−Val−H is−Asn−R13b (V) [式中、R1bはSer又はAib、R2bはMet又は天
然型の脂溶性アミノ酸、R3bはLeu,Ser,Lys
又は芳香族アミノ酸、R4bはGly又はD−アミノ酸、
5bはLys又はLeu、R6bはMet又は天然型の脂
溶性アミノ酸、R7bはGlu又は塩基性アミノ酸、R8b
はVal又は塩基性アミノ酸、R9bはTrp又は2−
(1,3−ジチオラン−2−イル)Trp、R10bはA
rg又はHis、R11bはLys又はHis、R12bはL
ys,Gln又はLeu、R13bはPhe又はPhe−
NH2を示す]で表されるペプチド又はその塩(特開平
5−32696号公報、特開平4−247034号公
報、ヨーロッパ特許公開第510662号公報、ヨーロ
ッパ特許公開第477885号公報、ヨーロッパ特許公
開第539491号公報参照)、hPTH(1→34)
(ジー・ダブリュー・トレギアー(G.W. Tregear)ら,
エンドクリノロジー(Endocrinology), 93, 1349-1353
(1973));バソプレシン、バソプレシン誘導体{デス
モプレシン[日本内分泌学会雑誌、第54巻,第5号,
第676頁〜第691頁(1978)]参照}など。
【0031】オキシトシン;カルシトニン、カルシトニ
ンと同様な作用を有する誘導体、例えば、下記式(V
I):
【0032】
【化4】 [式中、Xbは2−アミノスベリン酸]で表される化合物
又はその塩[エンドクリノロジー(Endocrinology)19
92,131/6(2885−2890)];グルカゴ
ン;ガストリン;セクレチン;パンクレオザイミン;コ
レシストキニン;アンジオテンシン;ヒト胎盤ラクトー
ゲン;ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)。
【0033】エンケファリン、エンケファリン誘導体、
例えば、下記式(VII):
【0034】
【化5】 [式中、R1cとR3cは水素原子または炭素数1〜6のア
ルキル基、R2cは水素原子またはD-α−アミノ酸の残
基、R4cは水素原子または置換されていてもよい炭素数
1〜8の脂肪族アシル基を示す]で表されるペプチド又
はその塩(米国特許第4277394号明細書、ヨーロ
ッパ特許出願公開第31567号公報参照)等のオリゴ
ペプチドおよびエンドルフィン。
【0035】キョウトルフィン;インターフェロン(α
型,β型,γ型);インターロイキン(IからXIな
ど);タフトシン;サイモポイエチン;サイモスチムリ
ン;胸線液性因子(THF);血中胸線因子(FTS)
およびその誘導体、例えば、下記式(VIII): PGlu-Xd-Lys-Ser-Gln-Yd-Zd-Ser-Asn-OH (VIII) [式中、XdはL-またはD-Ala,YdおよびZdは各々Gly ま
たは炭素数3〜9のD-アミノ酸残基を示す]で表される
ペプチド又はその塩(米国特許第4229438号明細
書参照);およびその他の胸線ホルモン[例えば、サイ
モシンα1およびβ4,サイミックファクターXなど、医
学のあゆみ、第125巻、第10号、835頁−843
頁(1983年)]。腫瘍壊死因子(TNF);コロニ
ー誘発因子(CSF);モチリン;デイノルフィン;ボ
ムベシン;ニュウロテンシン;セルレイン;ブラディキ
ニン;ウロキナーゼ;アスパラギナーゼ;カリクレイ
ン;サブスタンスP;神経成長因子;血液凝固因子の第
VIII因子,第IX因子;塩化リゾチーム;ポリミキ
シンB;コリスチン;グラミシジン;バシトラシン;タ
ンパク合成刺激ペプチド(英国特許第8232082号
明細書);胃酸分泌抑制ポリペプチド(GIP);バソ
アクティブ・インティスティナル・ポリペプチド[vaso
active intestinal polypeptide(VIP)];プレー
トレット−ディライブド・グロース・ファクター[plat
elet-derived growth factor(PDGF)];成長ホルモン分
泌因子(GRF,ソマトクリニン);ボーン・モルファ
ジェネティック・プロテイン(born morphagenetic pro
tein (BMP));上皮成長因子(EGF);プレプロコー
チスタチン(Nature, Vol.381, 242-245, (1996));エ
リスロポエチンなど。
【0036】これらの生理活性ペプチドは、ヒト型であ
ってもよく、他の動物、例えば、ウシ、ブタ、ニワト
リ、サケ、ウナギ由来のものであってもよい。さらに
は、ヒトと前記動物由来のものとのキメラ体や、一部の
構造を変化させた活性誘導体であってもよい。例えば、
インスリンはブタ由来であってもよい。カルシトニンで
は、ブタ、ニワトリ、サケ、ウナギ由来のカルシトニ
ン、あるいはヒトとサケのキメラ体であって、下記式
(IX) Cys-Gly-Asn-Leu-Ser-Thr-Cys-Met-Leu-Gly-Lys-Leu-Ser-Gln-Glu-Leu-His- Lys-Leu-Gln-Thr-Tyr-Pro-Arg-Thr-Asn-Thr-Gly-Ser-Gly-Thr-Pro (IX) で表されるペプチド[エンドクリノロジー(Endocrinol
ogy)1992,131/6(2885−2890)参
照]などが用いられる。
【0037】好ましい薬物には、生理活性ペプチド類と
その誘導体、例えば、カルシトニン、副腎皮質刺激ホル
モン、副甲状腺ホルモン(PTH)、PTH(1→3
4)、インスリン、セクレチン、オキシトシン、アンギ
オテンシン、β−エンドルフィン、グルカゴン、バソプ
レッシン、ソマトスタチン、ガストリン、黄体形成ホル
モン放出ホルモン、エンケファリン、ニューロテンシ
ン、心房性ナトリウム利尿ペプチド、成長ホルモン、成
長ホルモン放出ホルモン、ブラジキニン、サブスタンス
P、ダイノルフィン、甲状腺刺激ホルモン、プロラクチ
ン、インターフェロン、インターロイキン、G−CS
F、グルタチオンパーオキシダーゼ、スーパーオキシド
ディスムターゼ、デスモプレシン、ソマトメジン、エン
ドセリン、およびこれらの塩などが含まれる。また、核
酸、オリゴヌクレオチドや各種の抗原蛋白質を用いるこ
とができる。
【0038】生理活性ペプチド又はその誘導体の塩に
は、例えば、塩酸、硫酸、臭化水素酸、リン酸などの無
機酸との塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール
酸、シュウ酸、琥珀酸、酒石酸、クエン酸、ベンゼンス
ルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸との
塩;カルシウム、マグネシウムなどの無機化合物との錯
塩などが含まれる。
【0039】非ペプチド性生理活性化合物には、分子量
が約1000以下であり、薬理活性を有する化合物が含
まれる。非ペプチド性生理活性化合物の種類は特に制限
されず、例えば、抗生物質、抗真菌剤、抗高脂血症剤、
循環器官用薬、血管収縮薬、抗血小板薬、抗腫瘍剤、解
熱,鎮痛,消炎剤、鎮咳去たん剤、鎮静剤、筋弛緩剤、
抗てんかん剤、抗潰瘍剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、
強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、降圧利尿剤、糖尿
病治療剤、抗凝固剤、止血剤、抗結核剤、ホルモン剤、
麻薬拮抗剤、骨吸収抑制剤、骨形成促進剤、血管新生阻
害剤などが挙げられる。
【0040】抗生物質としては、例えば、ゲンタンマイ
シン、リビドマイシン、シソマイシン、塩酸テトラサイ
クリン、アンピシリン、セファロチン、セフォチアム、
セファゾリン、チエナマシン、スルファゼシンなどが例
示できる。抗真菌剤としては、例えば、2−[(1R,
2R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル−2−ヒド
ロキシ−1−メチル−3−(1H−1,2,4−トリア
ゾール−1−イル)プロピル]−4−[4−(2,2,
3,3−テトラフルオロプロポキシ)フェニル]−3
(2H,4H)−1,2,4−トリアゾロン、1−
[(1R,2R)−2−(2−フルオロフェニル)−2
−ヒドロキシ−1−メチル−3−(1H−1,2,4−
トリアゾール−1−イル)プロピル]−3−[4−
(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)フェニ
ル]−2−イミダゾリジノンなどが例示できる。抗高脂
血症剤としては、例えば、プラバスタチン、シンバスタ
チンなどが用いられる。循環器用剤としては、例えば、
塩酸デラプリルなどが用いられる。血管収縮薬として
は、例えば、プロスタグランジンE2、プロスタグラン
ジンFなどが用いられる。抗血小板薬としては、例え
ば、チクロピジン、シロスタゾール、リマプロスタッ
ト、アスピリンなどが例示できる。抗腫瘍剤としては、
例えば、塩酸ブレオマイシン、アクチノマシンD、マイ
トマシンC、アドリアマイシン、フルオロウラシルなど
が例示される。解熱,鎮痛,消炎剤としては、例えば、
サリチル酸ナトリウム、スルピリン、インドメタシンナ
トリウム、ハイドロモルフォン、塩酸モルヒネ、ブプレ
ノルフィン、フェンタニルなどが挙げられる。鎮咳去た
ん剤としては、例えば、塩酸エフェドリン、リン酸コデ
ィン、塩酸ピコペリダミンなどが挙げられる。
【0041】鎮静剤としては、例えば、塩酸クロルプロ
マジン、硫酸アトロピンなどが用いられる。筋弛緩剤と
しては、例えばメタンスルホン酸プリジノール、塩化ツ
ボクラリンなどが用いられる。抗てんかん剤としては、
例えば、フェニトインナトリウム、エトサクシミドなど
が挙げられる。抗潰瘍剤としては、例えば、メトクロプ
ロミドなどが用いられる。抗うつ剤としては、例えば、
イミプラミン、硫酸フェネルジンなどが用いられる。抗
アレルギー剤としては、例えば、塩酸ジフェニルヒドラ
ミン、塩酸トリペレナミン、塩酸クレミゾールなどが例
示される。強心剤としては、例えば、トランスパイオキ
ソカンファー、テオフィロールなどが用いられる。不整
脈治療剤としては、例えば、塩酸プロプラノール、塩酸
オキシプレノールなどが用いられる。血管拡張剤として
は、例えば、塩酸オキシフェドリン、塩酸トラゾリン、
硫酸バメタンなどが用いられる。降圧利尿剤としては、
例えば、ペントリニウム、ヘキサメトニウムブロミドな
どが用いられる。糖尿病治療剤としては、例えば、グリ
ミジンナトリウム、グリピザイド、メトフォルミン、ピ
オグリタゾン、トログリタゾンなどが用いられる。抗凝
血剤としては、例えば、クエン酸ナトリウムなどが挙げ
られる。止血剤としては、例えば、メナジオン亜硫酸水
素ナトリウム、アセトメナフトン、トラネキサム酸など
が用いられる。抗結核剤としては、例えば、イソニアジ
ド、エタンブトールなどが挙げられる。ホルモン剤とし
ては、例えば、βエストラジオール、テストステロン、
コハク酸プレドニゾロン、デキサメタゾン硫酸ナトリウ
ム、メチマゾールなどが挙げられる。麻薬拮抗剤として
は、例えば、酒石酸レバロルファン、塩酸ナロルフィン
などが用いられる。骨吸収抑制剤としては、例えば、
(硫黄含有アルキル)アミノメチレンビスフォスフォン
酸などが用いられる。骨形成促進剤としては、例えば、
(2R,4S)−(−)−N−[4−(ジエトキシホス
ホリルメチル)フェニル[−1,2,4,5−テトラヒ
ドロ−4−メチル−7,8−メチレンジオキシ−5−オ
キソ−3−ベンゾチエピン−2−カルボキサミドなどが
挙げられる。
【0042】血管新生阻害剤としては、例えば、血管新
生抑制ステロイド[サイエンス(Science)第221
巻、719頁(1983年)参照]、フマギロール誘導
体[例えば、O−モノクロロアセチルカルバモイルフマ
ギロール、O−ジクロロアセチルカルバモイルフマギロ
ールなど(ヨーロッパ特許出願第357061号公報、
同359036号公報、同386667号公報、同41
52943号公報参考)]などが例示できる。
【0043】イオントフォレシスを利用して薬物を経皮
的に投与する場合、前記薬物は、予め薄膜に保持させて
いてもよく、使用に際して薄膜の近傍に薬物溶液を注入
してもよい。薬物を保持させる場合、薬物は、乾燥状態
で薄膜の全体に亘り保持されていてもよいが、薄膜のう
ち、好ましくは生体皮膚との接触部位に保持されていれ
ばよい。インターフェイス(皮膚接触体)に対する薬物
の保持又は担持は、例えば、滴下、注入、含浸、塗布、
スプレーなどの方法により行なうことができる。なお、
インターフェイスに乾燥して担持された薬物は、例え
ば、溶解液を適用することにより容易に溶解できる。親
水性薄膜(皮膚接触体)に対する薬物の適用量は、薬物
の種類、投与対象動物、投与部位などに応じた有効量で
あればよい。薄膜1cm2に対する薬物の適用量は、例
えば、約0.1〜100μg、好ましくは約0.5〜7
0μg、さらに好ましくは1〜50μg程度である。
【0044】なお、薬物は、前記イオン性界面活性剤
(特にアルキルベンジルジメチルアンモニウムハライド
などのカチオン性界面活性剤)とともに親水性薄膜に保
持又は担持させてもよい。イオン性界面活性剤の保持又
は担持量は、前記イオン性界面活性剤の処理量の範囲か
ら適当に選択できる。
【0045】薬物を溶解するための溶解液には、生理活
性ペプチドや蛋白質の吸着による損失をさらに防止する
ため、適当な吸着防止剤を含有させるのが好ましい。吸
着防止剤には、例えば、アルブミン(例えば、牛血清ア
ルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)な
どの血清アルブミン)、ゼラチンなどの水溶性蛋白質;
アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、ナトリウム塩
など)などのアニオン性界面活性剤、C8-20アルキルト
リメチルアンモニウムクロリド、前記式で表されるアル
キルベンジルジメチルアンモニウムハライド[例えば、
8-20アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド
(塩化ベンザルコニウム)(以下、BACと略称するこ
とがある)、4−C1-10アルキルフェニルオキシエトキ
シエチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド(塩化
ベンゼトニウムなど)]などのカチオン性界面活性剤、
ツイーン(Tween)80などのノニオン界面活性剤など
の界面活性剤、あるいはアルカリ金属塩(例えば、塩化
ナトリウムなど)などが含まれる。吸着防止剤の含有量
は、例えば、溶解液の量に対して、0.00001〜1
%(w/w)程度、好ましくは0.0001〜0.5%
(w/w)程度、より好ましくは0.001〜0.1%
(w/w)程度である。なお、薬物を溶解するための液
体には、薬物の吸収を促進するための吸収促進剤(例え
ば、モノテルペン類、脂肪酸モノグリセリド、エイゾン
(商品名、ネルソン社製)、リモネン、オレイン酸、ラ
ウリン酸、オクタノールなど)を含有させることも有効
である。前記吸収促進剤の添加量は、例えば、溶解液の
量に対して、0.1〜80%(w/w)程度、好ましく
は0.5〜50%(w/w)程度、より好ましくは1〜
30%(w/w)程度である。
【0046】さらに、薬物溶解液は保湿剤を含有するの
が有効である。保湿剤を含む溶解液を用いることによ
り、イオントフォレシスを利用する薬物投与システムに
おいて、薬物溶解液からの水分の蒸散を抑制し長時間に
わたって通電性を確保でき、薬物を高い生物学的利用率
及び高い再現性で経皮吸収させることができる。
【0047】保湿剤は、薬物溶解液からの水分の蒸散を
抑制し、皮膚表面,インターフェイスの皮膚接触面およ
び薬物保持体中で水分を保留し、皮膚に対して悪影響を
及ぼさない物質であれば特に制限されない。保湿剤に
は、例えば、(1)多価アルコール,(2)糖アルコー
ル,(3)アミノ酸,(4)酸性ムコ多糖などが含まれ
る。これらの保湿剤は単独で又は二種組合わせて使用で
きる。
【0048】(1)多価アルコールには、例えば、グリ
セリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,3−ブチレングリコール、ペンタエリスリトール、
ポリエチレングリコール、これらの多価アルコールにエ
チレンオキサイドが付加した付加体(例えば、ジオキシ
エチレングリコール、トリオキシエチレングリコール、
ポリオキシエチレングリコール、エチレンオキサイド−
プロピレンオキサイド共重合体,グリセリン−エチレン
オキサイド付加体、ペンタエリスリトール−エチレンオ
キサイド付加体など)が含まれる。これらの多価アルコ
ールは単独で又は二種以上混合して使用できる。好まし
い多価アルコールには、分子中に2ないし4個のヒドロ
キシル基を有する多価アルコール,特にグリセリンが含
まれる。
【0049】(2)糖アルコールには、例えば、キシリ
トールなどのペンチトール、ソルビトール、マンニトー
ル、ガラクチトールなどのヘキシトールなどが含まれ
る。これらの糖アルコールも単独で又は二種以上混合し
て使用できる。
【0050】(3)アミノ酸には、例えば、(i)蛋白
質を構成するアミノ酸,(ii)微生物代謝産物あるいは
動植物成分として天然界から得られるアミノ酸,(ii
i)有機合成法によって得られるアミノ酸などが含まれ
る。 (i)蛋白質を構成するアミノ酸としては、例えば、グ
リシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンな
どの脂肪族モノアミノモノカルボン酸、セリン、スレオ
ニン等の脂肪族オキシアミノ酸、アスパラギン酸、グル
タミン酸などの酸性のアミノ酸、アスパラギン、グルタ
ミンなどの酸性のアミノ酸アミド、フェニルアラニン、
チロシン、トリプトファンなどの芳香族アミノ酸、プロ
リン、ヒドロキシプロリンなどのピロリジン環を有する
アミノ酸、ピログルタミン酸(ピロリドンカルボン酸)
等のピロリドン環を有するアミノ酸、アルギニン、リジ
ン、ヒスチジンなどの塩基性のアミノ酸、メチオニン、
シスチン、システインなどの硫黄含有アミノ酸などが含
まれる。これらのアミノ酸も単独で又は二種以上混合し
て使用できる。
【0051】(ii)微生物代謝産物あるいは動植物成分
として天然界から得られるアミノ酸としては、例えば、
L−α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、β−アミノイソ
酪酸、β−アラニン、ホモセリン、α−メチル−D−セ
リン、O−カルバミル−D−セリン、δ−ハイドロキシ
−γ−オキソ−ノルバリンなどの脂肪族モノアミノモノ
カルボン酸、L−α−アミノアジピン酸、L−β−アミ
ノアジピン酸、L−テアニン、L−γ−メチレングルタ
ミン酸、L−γ−メチルグルタミン酸などのモノアミノ
ジカルボン酸、L−オルニチン、β−リジン、α,β−
ジアミノプロピオン酸、L−α,γ−ジアミノ酪酸など
のジアミノモノカルボン酸、ジアミノピメリン酸などの
ジアミノジカルボン酸、システイン酸などの含スルホン
酸モノアミノモノカルボン酸、タウリンなどの含スルホ
ン酸アミノ酸、キヌレニン、3,4−ジオキシフェニル
−L−アラニンなどの芳香族アミノ酸、2,3−ジカル
ボキシアジリヂン、[S]−2−アミノ−3−(イソキ
サゾリン−5−オン−4−イル)−プロピオン酸、アン
チカプシンなどの複素環アミノ酸、L−4−オキサリジ
ン、L−4−オキソリジン、[3R,5R]−3,6−
ジアミノ−5−ハイドロキシヘキサン酸などの塩基性の
アミノ酸、ランチオニン、S−メチル−L−システイン
などの含硫黄アミノ酸、ピペコリン酸、アゼチジン−2
−カルボン酸、[1R,2S]−2−アミノシクロペン
タン−1−カルボン酸などの環状アミノ酸、シトルリ
ン、アラノシン、L−アザセリンなどの特殊官能基置換
アミノ酸などが例示できる。
【0052】(iii)有機合成法によって得られるアミ
ノ酸には、例えば、トリメチルグリシン、6−アミノヘ
キサン酸、8−アミノオクタン酸、12−アミノドデカ
ン酸などの脂肪族アミノカルボン酸、4−アミノ安息香
酸、4−(アミノメチル)安息香酸、4−(N−(カル
ボキシメチル)アミノメチル)安息香酸などの芳香族ア
ミノカルボン酸などが含まれる。
【0053】アミノ酸は塩として使用してもよい。アミ
ノ酸の塩には、例えば、塩基[アンモニア、アルカリ金
属(例えば、ナトリウム、カリウムなど)などの無機塩
基、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの有機塩
基]との塩、酸[塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機
酸、酢酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸など
の有機酸]との塩が含まれる。
【0054】好ましいアミノ酸には、含窒素複素環を有
するアミノ酸(例えば、プロリン、ヒドロキシプロリン
などのピロリジン環を有するアミノ酸、ピロリドンカル
ボン酸、ヒスチジン,トリプトファンなどの蛋白質を構
成するアミノ酸など)又はその塩が含まれる。特に非芳
香族性含窒素5員複素環を有するアミノ酸(例えば、プ
ロリン、ヒドロキシプロリンなどのピロリジン環を有す
るアミノ酸、ピロリドンカルボン酸など)又はその塩が
含まれる。 (4)酸性ムコ多糖には、例えば、ヒアルロン酸、コン
ドロイチン硫酸などの他、それらの塩[例えば、アルカ
リ金属(ナトリウム、カリウムなど)などとの塩)]な
どが含まれる。
【0055】これらの保湿剤のうち、多価アルコール
(特にグリセリン)、アミノ酸又はその塩(特にプロリ
ンなどの含窒素複素環を有するアミノ酸)が好ましい。
アミノ酸(特にプロリンなどの含窒素複素環を有するア
ミノ酸)又はその塩を用いると、通電に伴う皮膚刺激性
を大きく低減できるとともに、時間的に間隔をおいて複
数回経皮吸収させるとき、第1回目の通電に後続する通
電時の通電量を高めることができ、経皮吸収効率を改善
できる。
【0056】水溶液で構成された薬物溶解液中の保湿剤
の含量は、保湿剤の種類に応じて、薬物溶解液からの水
分の蒸散を抑制し、皮膚表面および薬物保持体中で水分
を保留できる範囲から適当に選択でき、例えば、溶解液
の量に対し、1〜90重量%、好ましくは1〜80重量
%(例えば、5〜80重量%)、さらに好ましくは1〜
50重量%程度の範囲から選択できる。前記保湿剤のう
ちアミノ酸又はその塩は、少量であっても高い保湿性を
確保できる。より具体的には、保湿剤がグリセリンなど
の多価アルコールである場合、薬物溶解液中の保湿剤の
含量は、例えば、5〜50重量%(例えば、10〜50
重量%)、好ましくは20〜40重量%程度であり、保
湿剤がアミノ酸又はその塩である場合、薬物溶解液中の
保湿剤の含量は、例えば、1〜30重量%、好ましくは
5〜25重量%、さらに好ましくは10〜20重量%程
度である。なお、保湿剤は、必要に応じて薬物及び/又
はイオン性界面活性剤とともに、前記親水性薄膜に保持
又は担持させてもよい。薬物が生理活性ペプチド又は蛋
白質である場合、前記薬物を含む水溶液には、例えば、
二糖類(例えば、トレハロース、マルトース、マンニト
ール、イノシトールなど)を添加し、乾燥状態での薬物
の安定性を増大させてもよい。二糖類の添加量は、例え
ば、0.1〜10mg/ml、好ましくは1〜5mg/
ml(例えば、1〜4mg/ml)程度である。
【0057】薄膜(薬物保持体)に保持された薬物は、
乾燥状態で保存することにより薬物の活性を維持しつつ
長期間保存できる。乾燥状態で薬物を保存するには、具
体的には、例えば、薬物を保持させた薬物保持体をよく
乾燥した後、水分透過性の小さなフィルム(例えば、ア
ルミニウム製フィルムなど)で真空密封包装する方法な
どが採用できる。さらに、乾燥状態を確実に維持するた
め、乾燥剤(例えば、東海化学(株)製,「セラム」な
どのゼオライト製乾燥剤、シリカゲル製乾燥剤など)と
ともに、薬物を保持した薬物保持体を真空密封包装して
もよい。また、薬物が酸素により酸化分解する場合、前
記乾燥剤に加えて、酸素吸収剤(例えば、三菱ガス化学
(株)製,「エイジレス」)を同封してもよい。
【0058】前記薄膜で構成されたインターフェイス
は、皮膚に対して適用可能な種々のアプリケーターを用
いて、イオントフォレシスにより、薬物を経皮的に投与
する上で有用である。図1および図2は前記インターフ
ェースを備えたアプリケーターの一例を示す断面図であ
る。図1に示すアプリケーターは、柔軟性を有するとと
もに、開口部20が形成された支持体4と、銀電極など
の電極1を備えているとともにNaCl含有ポリビニル
アルコール(PVA)、含水ゲルなどの導電性ゲル、又
は水を含んだ不織布や海綿などの導電体2を収容し、前
記支持体4上のうち前記開口部20に対応する部位に配
置された容器3とを備えている。また、支持体4の開口
部20に対応する部位には、前記容器3の導電体2と対
向するイオン交換膜5を介して、インターフェース(親
水性薄膜)6が粘着テープ7によって積層されている。
粘着テープ7は皮膚にアプリケーターを貼付するために
用いられる。前記容器3の導電体2は、前記電極1と導
通可能であるとともに、前記開口部20を通じて、イオ
ン交換膜5と接触可能である。そして、前記イオン交換
膜5とインターフェース6との間には、注液可能な注液
部21が形成されている。
【0059】このようなアプリケーターは、使用時に、
注液用チップ8のノズル先端を、イオン交換膜5とイン
ターフェース6との間の注液部21に挿入して、薬物溶
液を注入したり、インターフェイスが薬物を保持する場
合には、注射用蒸留水などの薬物溶解用液体をインター
フェース6に対して注入すればよい。液体の注入量は、
アプリケーターのサイズ、インターフェースの表面積、
薬物の保持量などに応じて選択でき、通常、30〜50
0μl、好ましくは50〜200μl程度である場合が
多い。
【0060】なお、アプリケーターの支持体には、図2
に示すように容器3から離れた開口部に、注射用蒸留水
などの薬物溶解用の液体10を貯留するリザーバーとし
ての第2の容器9を配設し、イオン交換膜の外面に、第
1の容器3の部位から第2の容器9の部位に至る領域に
配された不織布8aを介して、インターフェース(親水
性薄膜)6を積層してもよい。このようなアプリケータ
ーは、使用時に、針などで突き刺し、支持体と第2の容
器9とが通じる孔を形成することにより、薬物溶解用の
液体又は薬物溶液10を、不織布8aに浸透させて、イ
ンターフェース6に保持された薬物を溶解したり、薬物
溶液をインターフェイスに到達させればよい。
【0061】なお、前記容器は、例えば、ポリエチレン
などの合成樹脂などで形成できる。また、イオン交換膜
としては、イオン交換能を有する種々の膜、例えば、旭
化成(株)製の商品名「AC220膜」などが利用で
き、不織布としては、液体が浸透可能な種々の不織布、
例えば、旭化成(株)製の商品名「ベンベルグハーフ」
などが使用できる。さらに、粘着テープとしては、皮膚
に対する粘着性を有する種々の粘着テープ、例えば、3
M社製の商品名「ブレンダーム」などが利用できる。
【0062】図3に示されたアプリケーターは、電極を
収納するための凹部を有する容器11(例えばポリエス
テル製など)と前記凹部に収納された電極12(例え
ば、円形の箔型銀電極)を備え、前記電極には、不織布
13(例えば、日本バイリーン社製の「WP−208
5」など)、イオン交換膜14(例えば、旭化成(株)
製の「AC201膜」、東洋濾紙(株)製のイオン交換
濾紙など)、不織布15(例えば、日本バイリーン社製
の「LMW−9007」など)が順次配設されている。
また、電極部には電源と接続可能なように接続端子16
が取り付けられている。このようなアプリケーターは、
予め粘着テープ17(3M社製の「ブレンダーム」な
ど)に貼付けした、薬物を保持してなる親水性薄膜18
を貼付し、薬物保持膜が皮膚に接触するようにして用い
られる。なお、電気伝導層液ならびに薬物溶解液は不織
布13ならびに15に含浸されている場合が多い。
【0063】なお、イオントフォレシスによる薬物の経
皮的投与は、前記アプリケーターの電極と対照電極と
に、電圧を印加し、通電することにより行うことができ
る。電圧としては交流電圧を用いることもできるが、直
流電圧を用いる場合が多い。直流電圧としては、連続直
流電圧に限らず、脱分極型パルス直流電圧も利用でき
る。好ましくは、脱分極型パルス直流電圧、特に方形型
パルス直流電圧を印加できる電源が使用される。パルス
直流電圧の周波数は、例えば、0.1〜200kHz、
好ましくは1〜100kHz、さらに好ましくは5〜8
0kHz程度の範囲から選択できる。また、パルス直流
電圧のオン/オフ(ON/OFF)の比は、例えば、1
/100〜20/1、好ましくは1/50〜15/1、
さらに好ましくは1/30〜10/1程度の範囲から選
択できる。印加電圧は、生体の皮膚を損傷せず、経皮吸
収率を損なわない範囲から選択でき、例えば、1〜20
V、好ましくは3〜15V程度である。また、1日あた
りの通電時間は、例えば、連続通電においては、24時
間以下、好ましくは12時間以下、特に6時間以下であ
る場合が多い。間欠通電では、通電時間の総計が24時
間以下、好ましくは12時間以下、特に6時間以下であ
る場合が多い。
【0064】
【発明の効果】本発明のインターフェイスは、蛋白質に
対する吸着能が低い親水性薄膜を皮膚接触面に用いてお
り、イオントフォレシスを利用して、投与量を精度よく
コントロールしながら、薬物を高い生物学的利用率及び
高い再現性で経皮的に効率よく投与できる。また、前記
親水性薄膜により、薬物の放出性を高めることができる
とともに、薬物の浸透性が高く、薬物を有効に投与でき
る。さらに、生理活性ペプチド又は蛋白質であっても放
出性が高く、薬物の浸透性を高め、生理活性ペプチド又
は蛋白質の生物学的利用率を高めることができる。
【0065】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。なお、以下の実施例1及び比較例1及び2
においては、ペントバルビタール麻酔下でSDラット雄
性(7週齢)の腹部皮膚をバリカンで剃毛、シェーバー
で処理した後、70%エタノール水溶液を含む脱脂綿で
軽く擦り脱脂消毒した。ラット腹部皮膚に本発明のイン
ターフェイスを設置した図1のアプリケーターを貼付し
て、10%PVAゲル(NaCl 0.9%含有,厚み
2mm)を用い、前記アプリケーターに、対照電極(陰
電極)としての塩化銀電極(2.5cm2)を固定し
た。また、イオントフォレシスにおいては、貼付後1時
間の非通電時間をおいた後、脱分極型パルス直流電流
(40kHz;duty30%;電圧値12V)を15
分通電した後、5分間通電を停止するサイクルを3回繰
り返した。そして、血清中のペプチド濃度をラジオイム
ノアッセイ法により測定した。
【0066】実施例1 親水化ポリビニリデンフルオライド薄膜(ミリポア社
製,ハイドロフィリックデュラポア,厚み125μm,
平均気孔径5μm,空隙率70%,膜面積3.5c
2 ,蛋白質吸着量3μg/cm2 )1枚当たり、ヒト
型副甲状腺ホルモン(PTH)のN末端ペプチドフラグ
メント(hPTH(1→34))40μgを乾燥保持さ
せ、インターフェイスを作製した。得られたインターフ
ェイスを皮膚接触面として粘着テープによりラット腹部
皮膚に貼付して固定した。そして、注入チップを通じ
て、0.003%塩化ベンザルコニウム(BAC)を含
む蒸留水100μlを注液部から供給し、ペプチドを溶
解し、イオントフォレシスにより、経皮的に投与し、血
清中のペプチド濃度を測定した。このような操作を異な
るラットについて3回繰り返した。
【0067】実施例2 皮膚接触面として実施例1の親水化ポリビニリデンフル
オライド薄膜を粘着テープによりラット腹部皮膚に貼付
して固定した。そして、注入チップを通じて、hPTH
(1→34)40μg及びBAC0.0025%を含む
蒸留水120μlを注液部から供給し、イオントフォレ
シスにより、経皮的に投与し、血清中のペプチド濃度を
測定した。このような操作を異なるラットについて4回
繰り返した。
【0068】比較例1 皮膚接触面に親水性薄膜を配置することなく、注入チッ
プを通じて、hPTH(1→34)40μg及びBAC
0.0025%を含む蒸留水120μlを注液部から供
給し、イオントフォレシスにより、経皮的に投与し、血
清中のペプチド濃度を測定した。このような操作を異な
るラットについて4回繰り返した。
【0069】比較例2 0.01%BACで前処理した表面修飾ナイロン膜(日
本ポール社製,バイオダインプラス,厚み150μm,
膜面積3.5cm2 ,蛋白質吸着量13μg/cm2
1枚当たり、hPTH(1→34)40μgを乾燥保持
させ、インターフェイスを作製した。得られたインター
フェイスを皮膚接触面として粘着テープによりラット腹
部皮膚に貼付して固定した。そして、注入チップを通じ
て、蒸留水120μlを注液部から供給し、ペプチドを
溶解し、イオントフォレシスにより、経皮的に投与し、
血清中のペプチド濃度を測定した。このような操作を異
なるラットについて5回繰り返した。
【0070】前記実施例及び比較例で得られた結果を図
4に示す。図3から明らかなように、実施例1及び実施
例2では、比較例1及び比較例2に比べて、高い血清中
のペプチド濃度が再現性よく得られた。また、hPTH
(1→34)を2μg/kgで静脈内投与により得られ
た血清中のペプチド濃度−時間曲線下面積(AUC)値
の比として得られる薬物の生物学的利用率は、比較例1
では9.2%、比較例2では6.7%であるのに対し
て、実施例1では12.8%、実施例2では14.0%
であり、極めて高い生物学的利用率が再現性よく得られ
た。
【0071】実施例3〜4及び比較例3〜4 吸着性を調べる目的で下記の薄膜に、それぞれ、膜1枚
当たりhPTH(1→34)40μgとトレーサー量の
125I標識したhPTH(1→34)とを乾燥保持させ
た。これらの膜を室温下で蒸留水300μl中に浸漬
し、一定時間経過後に膜を引き上げ、放射活性を測定す
ることにより、膜からのhPTH(1→34)の放出量
を算出した。また、上記の操作を各実施例及び比較例に
ついてそれぞれ3回繰り返した。
【0072】実施例3:実施例1で用いた親水化ポリビ
ニリデンフルオライド薄膜 実施例4:BAC0.01%で処理した親水化ポリビニ
リデンフルオライド薄膜 比較例3:比較例2で用いた表面修飾ナイロン膜 比較例4:BAC0.01%で処理した表面修飾ナイロ
ン膜 結果を図5に示す。図5に示されるように、実施例の親
水性薄膜は薬物に対する吸着能が小さく、ペプチドを極
めて速やかに放出する。
【0073】実施例5〜6及び比較例5〜6 薬物の膜からの放出性を調べる目的で、実施例1で用い
た親水化ポリビニリデンフルオライド薄膜(実施例
5)、BAC0.01%で処理した親水化ポリビニリデ
ンフルオライド薄膜(実施例6)、比較例2で用いた表
面修飾ナイロン膜(比較例5)およびBAC0.01%
で処理した表面修飾ナイロン膜(比較例6)に、それぞ
れ、膜1枚当たりhPTH(1→34)40μgとトレ
ーサー量の125I標識したhPTH(1→34)とを乾
燥保持させた。これらの膜を蒸留水10ml又はBAC
を0.01%含む蒸留水10mlにそれぞれ浸漬し、4
℃で3日間静置した。そして、放射活性を測定すること
により、膜からのhPTH(1→34)の放出量を算出
した。また、各実施例及び比較例についてそれぞれ3回
繰り返した。
【0074】結果を図6に示す。図6に示されるよう
に、比較例5〜6では、膜からペプチドが30%以下し
か放出又は溶出しなかった。これに対して、実施例5〜
6では、ペプチドの80%以上が膜から放出又は溶出し
ており、薬物に対する吸着能が小さく、ペプチドを極め
て速やかに放出する。
【0075】実施例7 実施例7として、コーティッドタイプメンブラン(ポリ
エステル不織布を酢酸セルロースおよび湿潤剤で処理し
た膜、東洋濾紙(株)製)に、膜1枚当たりhPTH
(1→34)40μgとトレーサー量の125I標識した
hPTH(1→34)とを乾燥保持させた。この膜に関
して、図6に示される放出試験と同様の薬物放出試験を
行った。(図7) その結果、ペプチドの80%以上が膜から放出又は溶出
しており、薬物に対する吸着能が小さく、ペプチドを極
めて速やかに放出することを示した。
【0076】以下の実施例8〜10においては、エーテ
ル麻酔下でSDラット雄性(7週齢)の腹部皮膚をバリ
カンで剃毛、シェーバーで処理した後、70%エタノー
ル水溶液を含む脱脂綿で軽く擦り脱脂消毒した。ラット
腹側部皮膚に本発明のインターフェイスを設置した図3
のアプリケーターを貼付し、さらに対照電極(陰電極)
として12%PVAゲル(NaCl 0.9%含有、厚
み2mm)に固定した塩化銀電極(2.5cm2 )を貼付
した。アプリケーターと対照電極の貼付後、ラットをボ
ルマンケージに固定した。
【0077】なお、図3のアプリケーターにおいて、不
織布13ならびに15には、電気伝導層液ならびに薬物
溶解液として、10%L−プロリンを含有するクエン酸
緩衝液(33mM,pH5)を100〜200μl含浸
させた。また、アプリケーターは、容器11(ポリエス
テル製、内径21mm)、円形箔型銀電極12(直径1
8mm、厚さ0.04mm)、不織布13(日本バイリ
ーン社製「WP−2085」;直径18mm、厚さ0.
63mm)、イオン交換膜14(旭化成(株)製「AC
201膜」;直径21mm、厚さ0.23mm)、不織
布15(日本バイリーン社製「LMW−9007」;直
径18mm、厚さ0.23mm)、接続端子16、直径
18mmの孔を有する粘着テープ17(3M社製「ブレ
ンダーム」)及び親水性薄膜18(直径21mm)を備
えている。
【0078】イオントフォレシスにおいては短絡スイッ
チによるパルス脱分極(周波数30kHz、on/of
f比3/7、電圧値10V)を用い、45分間通電(1
5分間通電5分間通電停止を3回繰り返し)を行い、6
0分間非通電時間を置くパターンを3回繰り返した。そ
して、血清中のペプチド濃度をラジオイムノアッセイ法
により測定した。このような操作を異なるラットについ
て4ないし5回繰り返した。
【0079】実施例8 実施例1と同様の親水化ポリビニリデンフルオライド薄
膜に、薄膜1枚当たりhPTH(1→34)200μg
を乾燥保持させたインターフェイスを用いた。
【0080】実施例9 セルロースアセテート薄膜(東洋濾紙(株)製、「セル
ロースアセテートタイプメンブレン」;厚み125μ
m、平均気孔径5μm、空隙率72%、膜面積3.5cm
2 )1枚当たり、hPTH(1→34)200μgを乾
燥保持させたインターフェイスを用いた。
【0081】実施例10 親水処理ポリテトラフルオロエチレン薄膜(ミリポア社
製、「オムニポア」;厚み80μm、平均気孔径10μ
m、空隙率80%、膜面積3.5cm2 、蛋白質吸着量4
μg/cm2 )1枚当たり、hPTH(1→34)200
μgを乾燥保持させたインターフェイスを用いた。
【0082】前記実施例で得られた結果の平均値を図8
に示す。いずれの実施例においても高い血清中のペプチ
ド濃度が得られた。また、hPTH(1→34)2μg
/kgを静脈内投与することにより得られたAUC値の
比として得られる薬物の生物学的利用率は、驚くべきこ
とに実施例8では29%、実施例9では32%、実施例
10では33%であり、極めて高い生物学的利用率が再
現性よく得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はアプリケーターの一例を示す断面図であ
る。
【図2】図2はアプリケーターの他の例を示す断面図で
ある。
【図3】図3はアプリケーターの他の例を示す断面図で
ある。
【図4】図4は実施例1,2及び比較例1,2における
結果を示すグラフである。
【図5】図5は実施例3〜4及び比較例3〜4における
結果を示すグラフである。
【図6】図6は実施例5〜6及び比較例5〜6における
結果を示すグラフである。
【図7】図7は実施例7及び比較例5における結果を示
すグラフである。
【図8】図8は実施例8〜10における結果を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1…電極 2…導電体 3…容器 4…支持体 5…イオン交換膜 6…親水性薄膜 7…粘着テープ 8…注液用チップ 8a…不織布 9…容器(第2) 10…薬物溶解液 11…容器 12…電極 13…不織布 14…イオン交換膜 15…不織布 16…接続端子 17…粘着テープ 18…親水性薄膜 20…開口部 21…注液部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 行浩 大阪府吹田市山田南50番1号 武田薬品吹 田寮内 (72)発明者 肥後 成人 茨城県竜ヶ崎市小柴4丁目6番3号

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛋白質低吸着性薄膜を備えているイオン
    トフォレシス用インターフェイス。
  2. 【請求項2】 薄膜が、親水化された疎水性ポリマー薄
    膜又は親水化された撥水性ポリマー薄膜である請求項1
    記載のイオントフォレシス用インターフェイス。
  3. 【請求項3】 親水化された疎水性ポリマー薄膜又は親
    水化された撥水性ポリマー薄膜が、親水化フッ素樹脂の
    薄膜、親水化ポリスルフォンの薄膜又は親水化セルロー
    ス誘導体の薄膜である請求項2記載のイオントフォレシ
    ス用インターフェイス。
  4. 【請求項4】 親水化フッ素樹脂の薄膜が、親水性基を
    有するフッ素含有モノマーを構成成分とする単独又は共
    重合体の薄膜である請求項3記載のイオントフォレシス
    用インターフェイス。
  5. 【請求項5】 フッ素含有モノマーが、親水性基を有す
    るフルオロエチレン、親水性基を有するフッ化ビニリデ
    ンである請求項4記載のイオントフォレシス用インター
    フェイス。
  6. 【請求項6】 親水化フッ素樹脂が、ポリフルオロエチ
    レン、フルオロエチレン−テトラフルフオロエチレン共
    重合体、フルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
    共重合体、エチレン−フルオロエチレン共重合体、エチ
    レン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリビニ
    リデンフロオライド、フルオロエチレン−ビニリデンフ
    ルオライド共重合体、およびエチレン−ビニリデンフル
    オライド共重合体からなる群から選択された少くとも一
    種であって、親水性基が導入されている請求項3記載の
    イオントフォレシス用インターフェイス。
  7. 【請求項7】 親水性基が、ヒドロキシル基、カルボキ
    シル基、アミノ基、モノ又はジC1-4アルキルアミノ
    基、エーテル基、ヒドロキシ−C1-4アルキル基、カル
    ボキシ−C1-4アルキル基、アミノ−C1-4アルキル基、
    およびモノ又はジ−C1-4アルキルアミノ−C1-4アルキ
    ル基から選択された少くとも一種である請求項5記載の
    イオントフォレシス用インターフェイス。
  8. 【請求項8】 親水性基が、ヒドロキシ−C2-3 アルキ
    ル基、(ポリ)オキシアルキレン基である請求項5記載
    のイオントフォレシス用インターフェイス。
  9. 【請求項9】 親水化セルロース誘導体の薄膜が、セル
    ロースモノ酢酸薄膜又はセルローストリ酢酸薄膜をグリ
    セリン又はポリビニルピロリドンから選ばれた湿潤剤で
    処理した薄膜である請求項3記載のイオントフォレシス
    用インターフェイス。
  10. 【請求項10】 薄膜の蛋白質吸着能が、1cm2 当た
    り10μg以下である請求項1記載のイオントフォレシ
    ス用インターフェイス。
  11. 【請求項11】 薄膜の厚さが1〜300μmである請
    求項1記載のイオントフォレシス用インターフェイス。
  12. 【請求項12】 薄膜が、平均孔径0.01〜20μm
    の気孔を有する多孔質膜である請求項1記載のイオント
    フォレシス用インターフェイス。
  13. 【請求項13】 薄膜の空隙率が60〜90%である請
    求項1記載のイオントフォレシス用インターフェイス。
  14. 【請求項14】 薬物が保持又は担持されている請求項
    1記載のイオントフォレシス用インターフェイス。
  15. 【請求項15】 薬物が、(1)生理活性ペプチドもし
    くは蛋白質、(2)非ペプチド性生理活性化合物、また
    は(3)核酸である請求項14記載のイオントフォレシ
    ス用インターフェイス。
  16. 【請求項16】 薬物が、(1)分子量100〜300
    00の生理活性ペプチド又は蛋白質、または(2)分子
    量100〜1000の非ペプチド性生理活性化合物であ
    る請求項14記載のイオントフォレシス用インターフェ
    イス。
  17. 【請求項17】 薬物が、カルシトニン、副腎皮質刺激
    ホルモン、副甲状腺ホルモン(PTH)、PTH(1→
    34)、インスリン、セクレチン、オキシトシン、アン
    ギオテンシン、β−エンドルフィン、グルカゴン、バソ
    プレッシン、ソマトスタチン、ガストリン、黄体形成ホ
    ルモン放出ホルモン、エンケファリン、ニューロテンシ
    ン、心房性ナトリウム利尿ペプチド、成長ホルモン、成
    長ホルモン放出ホルモン、ブラジキニン、サブスタンス
    P、ダイノルフィン、甲状腺刺激ホルモン、プロラクチ
    ン、インターフェロン、インターロイキン、G−CS
    F、グルタチオンパーオキシダーゼ、スーパーオキシド
    ディスムターゼ、デスモプレシン、ソマトメジン、エン
    ドセリン、およびこれらの塩からなる群から選択された
    少くとも一種の生理活性ペプチド類またはその誘導体で
    ある請求項14記載のイオントフォレシス用インターフ
    ェイス。
  18. 【請求項18】 薄膜1cm2に対する薬物の保持又は
    担持量が0.1〜100μgである請求項14記載のイ
    オントフォレシス用インターフェイス。
  19. 【請求項19】 イオン性界面活性剤で処理されている
    請求項1記載のイオントフォレシス用インターフェイ
    ス。
  20. 【請求項20】 イオン性界面活性剤が、カチオン性界
    面活性剤である請求項19記載のイオントフォレシス用
    インターフェイス。
  21. 【請求項21】 イオン性界面活性剤が、4級アンモニ
    ウム塩である請求項19記載のイオントフォレシス用イ
    ンターフェイス。
  22. 【請求項22】 イオン性界面活性剤が、下記式 [C65CH2N(CH32R]+- (式中、Rはアルキル基、Xはハロゲン原子を示す)で
    表されるアルキルベンジルジメチルアンモニウムハライ
    ドである請求項19記載のイオントフォレシス用インタ
    ーフェイス。
  23. 【請求項23】 薬物とアルキルベンジルジメチルアン
    モニウムハライドとが薄膜に保持又は担持されている請
    求項1記載のイオントフォレシス用インターフェイス。
  24. 【請求項24】 1cm2 当たり薄膜の蛋白質吸着能8
    μg以下、平均孔径0.1〜15μm、空隙率65〜9
    0%の親水化フッ素樹脂薄膜、親水化ポリスルフォン薄
    膜又は親水化セルロース酢酸薄膜に、生理活性ペプチド
    が保持又は担持されているイオントフォレシス用インタ
    ーフェイス。
  25. 【請求項25】 親水化フッ素樹脂が親水化ポリビニリ
    デンフルオライドである請求項24記載のイオントフォ
    レシス用インターフェイス。
  26. 【請求項26】 親水化セルロース誘導体薄膜が、親水
    化セルロースモノ酢酸薄膜あるいは親水化セルロースト
    リ酢酸薄膜である請求項24記載のイオントフォレシス
    用インターフェイス。
  27. 【請求項27】 薄膜が、(1)アルキルベンジルジメ
    チルアンモニウムハライドで処理された薄膜、または
    (2)生理活性ペプチドとともにアルキルベンジルジメ
    チルアンモニウムハライドが保持または担持された薄膜
    である請求項1記載のイオントフォレシス用インターフ
    ェイス。
  28. 【請求項28】 薄膜が、厚さ10〜200μm、面積
    1〜10cm2 を有する請求項1記載のイオントフォレ
    シス用インターフェイス。
  29. 【請求項29】 蛋白質に対する低吸着性薄膜に薬物が
    保持又は担持されたインターフェイスを用い、イオント
    フォレシスにより薬物を経皮的に透過させる経皮吸収促
    進方法。
  30. 【請求項30】 蛋白質低吸着性薄膜に薬物を保持又は
    担持させるイオントフォレシス用インターフェイスの製
    造方法。
  31. 【請求項31】 電圧が印加可能な電極と、この電極と
    導通可能であり、かつ皮膚に対して接触可能であるとと
    もに、薬物が保持又は担持され、しかも薬物溶解液が供
    給可能なインターフェイスとを備え、前記インターフェ
    イスが蛋白質に対する低吸着性薄膜で構成されているア
    プリケーター。
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