JP4290141B2 - ポリエーテルの精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は粗ポリエーテルの精製方法に関する。詳しくは特に塩基性重合触媒を含む粗ポリエーテルの精製方法に関する。
通常、ポリエーテルは水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性触媒の存在下に、活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドを付加重合させて得られる。例えば、アルキレンオキサイドとしてプロピレンオキサイドを使用する場合、塩基性触媒の使用量は粗ポリエーテルに対して通常0.1〜0.5重量%であるが、これらの塩基性触媒がポリエーテル中に残存するとポリウレタン樹脂、化粧品原料、界面活性剤、潤滑剤等に悪影響を及ぼすため、塩基性触媒を除去する必要がある。従来、塩基性触媒を除去する方法としては、酸性物質で塩基性触媒を中和し、生成した中和塩をろ過する方法(例えば、特許文献1)、固体吸着剤に塩基性触媒を吸着ろ過する方法(例えば、特許文献2)等が提案されている。


特公昭38−207442号公報 特公昭52−10018号公報
しかしながら、最初の方法では、濃度の高い酸をそのまま添加するとポリエーテルが焼け品質劣化を起こすので、水で希釈して添加する必要があり、場合によっては生成する中和塩は細かい結晶になったり、もしくは一部が水に溶解するため、ろ別する際、生成した塩類の除去が不十分であったり、ろ過助剤を用いたとしても、ろ過フィルターを閉塞させてしまい、ろ過に多大の時間を要し生産性を低下させるという問題がある。後者の方法では、固体のアルカリ吸着剤は、アルカリ濃度が高いところでは高吸着性を示すが、アルカリ濃度が低いところでは吸着平衡に達し、水分量や温度条件を変えても、その吸着能力が10%も発揮されない。従って、多くの吸着剤量を必要とし、ろ過にも多くの時間を要しコスト高になったり生産性を低下させたり、ポリエーテルの収率が減少するという問題がある。
生産性を上げ、吸着剤使用量を低減するポリエーテルの精製方法が強く望まれている。
本発明者等は、粗ポリエーテルの精製方法について鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、塩基性触媒(a)の存在下、活性水素含有化合物(b)にアルキレンオキサイド(c)を付加重合して得られる粗ポリエーテル(d)の精製方法において、該(d)の水分量を0.1〜6.0重量%に調整し、鉱酸で中和した後、芳香族カルボン酸を添加して中和塩を晶析させ、その後ろ過処理することを特徴とする粗ポリエーテルの精製方法である。
本発明の粗ポリエーテルの精製方法は、従来のものと比較して、簡便、短時間で精製でき、また吸着剤の量が非常に少なくてすむので廃棄物も少ない。さらに、得られるポリエーテルは残存アルカリ、中和塩、酸の含有量のいずれもが少なく高純度のものであるため、ポリウレタン発泡体、樹脂、界面活性剤、及び化粧品等の原料として好適に利用できる。
本発明において塩基性触媒(a)としては、アルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等)、アルカリ金属アルコラート(カリウムメチラート、ナトリウムメチラート等)、アルカリ金属単体(金属カリウム、金属ナトリウム等)、及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属アルコラートである。
活性水素含有化合物(b)は、アルキレンオキサイドとの反応によって環状エーテル開環付加体を生成するものであれば制限はないが、例えば、水酸基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物、リン酸化合物;分子内に2種以上の活性水素含有官能基を有する化合物;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。また、これら活性水素含有化合物に上記の環状エーテルを付加したものも活性水素が存在する限りイニシエーターとして使用することができる。
水酸基含有化合物としては、水、1価のアルコール、2〜8価の多価アルコール、フェノール類、2〜8価の多価フェノール類等が挙げられる。
具体的にはメタノール、エタノール、ブタノール、オクタノール等の1価のアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース、ショ糖等の4〜8価のアルコール;フェノール、クレゾール等のフェノール類;ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン等の多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体、ポリビニルアルコール類などの多官能(2〜100)ポリオール等が挙げられる。
なお、ポリブタジエンポリオールとしては、1,2−ビニル構造を有するもの、1,2−ビニル構造と1,4−トランス構造とを有するもの、及び1,4−トランス構造を有するものが挙げられる。1,2−ビニル構造と1,4−トランス構造の割合は種々にかえることができ、例えばモル比で100:0〜0:100である。またポリブタジエングリコール(4)にはホモポリマー及びコポリマー(スチレンブタジエンコポリマー、アクリロニトリルブタジエンコポリマー等)、並びにこれらの水素添加物(水素添加率:例えば20〜100%)が含まれる。
また、ひまし油系ポリオールとしては、ひまし油及び変性ひまし油(トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールで変性されたひまし油等)が挙げられる。
カルボキシル基含有化合物としては、酢酸、プロピオン酸等の脂肪族モノカルボン酸;安息香酸等の芳香族モノカルボン酸;コハク酸、アジピン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸;アクリル酸の(共)重合物等のポリカルボン酸重合体(官能基数2〜100)等が挙げられる。
チオール基含有化合物のポリチオール化合物としては、2〜8価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエチレンジチオール、プロピレンジチオール、1,3−ブチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1、6−ヘキサンジチオール、3−メチルペンタンジチオール等が挙げられる。
リン酸化合物としては燐酸、亜燐酸、ホスホン酸等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは水酸基含有化合物であり、より好ましいものは多価アルコールであり、特に好ましいものはプロピレングリコ−ルおよびグリセリンである。
アルキレンオキサイド(c)は、好ましくは炭素数2〜8の隣接アルキレンオキサイドであり、具体的にはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドおよびスチレンオキサイド等が挙げられる。これらのうち好ましいものはプロピレンオキサイドである。
活性水素含有化合物(b)へのアルキレンオキサイド(c)の付加モル数は
、活性水素1モルに対して好ましくは1〜300モル、より好ましくは10〜250モル、特に好ましくは20〜160モルである。
(c)を付加する方法は、単独付加、二種以上の(c)を用いる場合のランダム付加、ブロック付加等が挙げられるが限定はない。好ましくは単独付加である。
塩基性触媒(a)の使用量は粗ポリエーテルに対して、好ましくは0.1〜0.5重量%であり、より好ましくは0.1〜0.3重量%である。
付加反応は、上記のいずれのアルキレンオキサイドを付加する場合においても、温度は好ましくは80〜160℃、圧力は好ましくは0〜0.5MPa、反応時間は好ましくは3〜10時間で行うことができる。
このようにして得られる粗ポリエーテルは、塩基性触媒(a)を好ましくは0.1〜0.5重量%含むことになる。
この粗ポリエーテルに対して精製を行う。まず、粗ポリエーテルに水を添加混合し、加熱し、鉱酸で中和を行う。この時のpHは5.0〜9.0であることが好ましく、特に7.0〜9.0であることが好ましい。
添加する水の量は粗ポリエーテル(d)に対して好ましくは0.1〜6.0重量%であり、より好ましくは0.5〜4.0重量%である。0.1重量%以上であるとポリエーテルのアルコラートを十分加水分解することができ、晶析時間が大幅に増加することがない。6.0重量%以下であると、水がポリエーテル中に十分溶解でき2層分離せず、晶析時間が大幅に増加することがない。また、処理前には不活性ガスを通じ、気相酸素濃度を1.0vol%以下とすることが好ましく、0.1vol%以下とすることがより好ましい。気相酸素濃度が1.0vol%以下であるとポリエーテルが酸化されにくく過酸化物価が上がらず、アルデヒドが生成しにくい。また、アルカリ金属水酸化物は気相中の二酸化炭素によって炭酸塩となり、通常は吸着剤を使用した方法では吸着されず溶出するが、本発明の方法では炭酸塩も中和塩と共に晶析され、気相酸素濃度が高くても効率よくアルカリを除去できる。
加熱温度は80〜98℃が好ましく、より好ましくは90〜95℃である。80℃以上であると、後のろ過速度が速くなり、98℃以下であると水が揮発しにくく好ましい。加熱時間は特に限定はないが、80〜98℃に到達すればよく、1〜5分で十分である。
アルカリを中和する鉱酸としては、燐酸、硫酸、塩酸、硝酸、珪フッ化水素酸が好ましく、より好ましくは燐酸、硫酸である。添加する鉱酸の量は塩基性触媒に対して0.5〜1.0モルであることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.0モルである。0.5モル以上であると後の晶析が短時間で済み、中和塩が大きく成長し、ろ過し易くなる。
1.0モル未満であると酸が精製ポリエーテルに混入することなく、後の工程で酸を除くための吸着剤も極く少量ですむ。
鉱酸で中和した後、続いて芳香族カルボン酸を添加する。芳香族カルボン酸は鉱酸による塩基性触媒の中和塩を短時間で大きく結晶化させる結晶化剤の役割を持つ。
芳香族カルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロテレフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ハイミック酸、テトラブロモフタル酸、テトラクロロフタル酸等の炭素数8〜18の芳香族2価カルボン酸;ベンゼントリカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸等の炭素数9〜18の芳香族多価(3〜4価又はそれ以上)カルボン酸が挙げられる。これらの内で好ましくはテレフタル酸、テトラヒドロテレフタル酸であり、より好ましくはテレフタル酸である。芳香族カルボン酸の添加量は塩基性触媒1モルに対して0.1〜1.0モルが好ましく、0.3〜0.5モルがより好ましい。0.1モル以上であると、塩基性触媒の中和塩を短時間で大きく結晶化させることが出来る。1.0モル以下であると、晶析効果も十分である。また、鉱酸と芳香族カルボン酸の総和が塩基性触媒1モルに対して0.8モル以上であるのが好ましく、0.8〜2.0モルであるのがより好ましい。0.8モル以上であると晶析効果も十分である。
ろ過は加圧ろ過、減圧ろ過のどちらでも良いが、酸素の混入を防止しやすいので加圧ろ過が好ましい。フィルターの材質は特に限定されない。例えば、紙、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、アクリル、メタアラミド等が挙げられるが紙が好ましい。
また、フィルターの保留粒子径は0.1〜10μmのものが好ましく、1〜5μmのものがより好ましい。
加圧方法は窒素等の不活性ガスを使用し、0.5MPa以下の圧力で加圧する。ろ過温度は通常80〜98℃、ろ過時間は通常0.1〜5.0g/min・cm2である。
ろ過の際にろ過漏れを防止、またpH調整目的で、ハイドロタルサイト系吸着剤(例えば、キョーワード500、キョーワード1000、キョーワード2000等<いずれも協和化学工業社製>)や珪藻土等のろ過助剤(例えば、ラヂオライト600、ラヂオライト800、ラヂオライト900<いずれも昭和化学工業社製>)を使用して酸等を吸着させても良い。これらの使用量は通常の吸着剤の使用量よりも極少量でよく、粗ポリエーテルに対して0.01〜0.2重量%が好ましく、平均粒子径は10〜100μmが好ましい。10μm以上であると、ろ過速度が速く生産能力がよい。100μm以下であると吸着力が低下せず、中和塩や酸が溶出しない。
得られたろ液は減圧下(100kPa以下)、90〜160℃で脱水する。方法としてはバッチ式でも良いし、シャワーリング方式でも良い。
本発明の方法により、簡便かつ短時間でポリエーテル中の残存アルカリ、中和塩、酸の含有量のいずれもが1ppm以下となるポリエーテルが得られる。
また、本発明の方法は、ポリエーテルの着色面から低酸素濃度下で行うことが好ましく、気相の酸素濃度が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下で行う。
1000ppm以下であるとポリエーテルが酸化されにくくその結果着色されにくい。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
pHはJIS K1557ポリウレタン用ポリエーテル試験方法の6.9項の方法[イソプロピルアルコール/水(10/6容量比)混合液の約14vol%液]により測定した。
酸価は同JIS試験方法の6.6項の電位差滴定法により測定した。なお、実施例中の部は重量部である。
残留塩基濃度は同JIS試験方法の6.8項のCPR測定法に基づき測定し、アルカリ金属水酸化物として換算した。
製造例1
オートクレーブにグリセリン92部、水酸化カリウム8部を仕込み、窒素置換後120℃にて60分真空脱水した。次いで、100〜130℃に昇温し、プロピレンオキサイド 3,050部を約3時間で圧入し、揮発分0.1%以下(測定条件はガスクロマトグラフによる測定でも良いし、酸を反応させて未反応の酸を逆滴定することによっても測定できる。)となるまで同温度で反応を2時間続け、液状粗ポリエーテル[以下粗ポリエーテル(d−1)
と称す]を得た。粗ポリエーテル(d−1)の水酸化カリウム濃度は、2,550ppmであった。
製造例2
オートクレーブにグリセリン92部、水酸化カリウム8部を仕込み、窒素置換後120℃にて60分真空脱水した。次いで、100〜130℃に昇温し、プロピレンオキサイド 2,500部を約3時間で圧入し、続いてエチレンオキサイド 550部を約2時間で圧入して、揮発分0.1%以下となるまで同温度で1時間反応を続け、HLBを上げた液状粗ポリエーテル[以下粗ポリエーテル(d−2)と称す]を得た。粗ポリエーテル(d−2)の苛性カリ濃度は、2,550ppmであった。
実施例1
粗ポリエーテル(d−1)1,000部を1.5リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換により気相の酸素濃度450ppmとし、12部のイオン交換水と3.2部の75%燐酸水溶液(燐酸として塩基性触媒に対し0.55モル)を加え、90℃にて5分攪拌し、その後、テレフタル酸2.6部(塩基性触媒に対し0.35モル)を加え、20分間撹拌を行った。粗ポリエーテルが徐々に白濁し、結晶が析出してくる。これに「ラヂオライト800」(昭和化学工業社製;珪藻土ろ過助剤)を0.5部加え、攪拌速度100rpmで10分攪拌後、ステンレス製加圧ろ過器(直径12.5cm、高さ9cm)を用い、No.2ろ紙(東洋濾紙社製)にて窒素下で加圧(0.1MPa)濾過を行なった。ろ過時間は15分であった。
ろ液を130℃にて減圧(20Torr)下、1時間脱水し、無色透明(ハーゼン単位色数10)の精製ポリエーテルを得た。精製ポリエーテルの残留塩基濃度は0.2ppm
、酸価は0.001、中和塩は検出されなかった(中和塩の測定はアルカリ金属濃度をICP発光分光分析装置により測定し、残留塩基のアルカリ分との差で求めた。)。ろ過後の廃棄物量(中和塩、吸着剤、ろ過助剤、ポリエーテル吸油分の総量)は粗ポリエーテルに対し、0.83重量%であった。
実施例2
粗ポリエーテル(d−1)1,000部を1.5リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換により気相の酸素濃度450ppmとし、12部のイオン交換水と6.3部の62%硫酸水溶液(硫酸として塩基性触媒に対し0.9モル)を加え、90℃にて5分攪拌し、その後、テレフタル酸2.2部(塩基性触媒に対し0.3モル)を加え、20分間撹拌を行った。粗ポリエーテルが徐々に白濁し、結晶が析出してくる。これに「キョーワード1000」(協和化学工業社製;ハイドロタルサイト系酸吸着剤)を0.1部加え、攪拌速度100rpmで10分攪拌後、ステンレス製加圧ろ過器(直径12.5cm
、高さ9cm)を用い、No.2ろ紙(東洋濾紙社製)にて窒素下で加圧(0.1MPa)濾過を行なった。ろ過時間は12分であった。
ろ液を130℃にて減圧(20Torr)下、1時間脱水し、無色透明(ハーゼン単位色数10)の精製ポリエーテルを得た。精製ポリエーテルの残留塩基濃度は0.1ppm
、酸価は0.002、中和塩は検出されなかった。ろ過後の廃棄物量(中和塩、吸着剤、ろ過助剤、ポリエーテル吸油分の総量)は粗ポリエーテルに対し、0.93重量%であった。
実施例3
粗ポリエーテル(d−2)1,000部を1.5リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換により気相の酸素濃度450ppmとし、16部のイオン交換水と5.2部の75%燐酸水溶液(燐酸として塩基性触媒に対し0.9モル)を加え、90℃にて5分攪拌し、その後、テレフタル酸3.0部(塩基性触媒に対し0.4モル)を加え、20分間撹拌を行った。粗ポリエーテルが徐々に白濁し、結晶が析出してくる。これに「キョーワード1000」(前出;酸吸着剤)を0.1部加え、攪拌速度100rpmで10分攪拌後、ステンレス製加圧ろ過器(直径12.5cm、高さ9cm)を用い、No.2ろ紙(東洋濾紙社製)にて窒素下で加圧(0.1MPa)濾過を行なった。ろ過時間は20分であった。
ろ液を130℃にて減圧(20Torr)下、1時間脱水し、無色透明(ハーゼン単位色数10)の精製ポリエーテルを得た。精製ポリエーテルの残留塩基濃度は0.2ppm、酸価は0.001、中和塩は検出されなかった。ろ過後の廃棄物量(中和塩、吸着剤、ろ過助剤、ポリエーテル吸油分の総量)は粗ポリエーテルに対し、0.98重量%であった。
比較例1
粗ポリエーテル(d−1)1,000部を1.5リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換により気相の酸素濃度450ppmとし、12部のイオン交換水と5.83部の75%燐酸水溶液(燐酸として塩基性触媒に対し1.0モル)を加え、90℃にて3時間減圧脱水を行った。粗ポリエーテルが徐々に白濁し、結晶が析出してくるが、晶析に時間を要した。これに「ラヂオライト800」(昭和化学工業社製;珪藻土ろ過助剤)を0.5部加え、攪拌速度100rpmで60分攪拌後、ステンレス製加圧ろ過器(直径12.5cm、高さ9cm)を用い、No.2ろ紙(東洋濾紙社製)にて窒素下で加圧(0.1MPa)濾過を行なった。ろ過時間は30分であった。
ろ液を130℃にて減圧(20Torr)下、1時間脱水し、無色透明な精製ポリエーテルを得た。精製ポリエーテルの残留塩基濃度は1.2ppm、酸価は0.03、イオンクロマト法により燐酸イオンが2ppm検出された。ろ過後の廃棄物量(中和塩、吸着剤、ろ過助剤、ポリエーテル給油分の総量)は粗ポリエーテルに対し、0.78重量%であった。
比較例2
粗ポリエーテル(d−1)1,000部を1.5リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換により気相の酸素濃度450ppmとし、12部のイオン交換水と5.42部の36%塩酸水溶液(塩酸として塩基性触媒に対し1.2モル)を加え、「キョーワード1000」(ハイドロタルサイト系酸吸着剤、協和化学社製)を2部加え、90℃にて3時間減圧脱水を行った。これに「ラヂオライト800」(昭和化学工業社製;珪藻土ろ過助剤)を0.5部加え、攪拌速度100rpmで60分攪拌後、ステンレス製加圧ろ過器(直径12.5cm、高さ9cm)を用い、No.2ろ紙(東洋濾紙社製)にて窒素下で加圧(0.1MPa)濾過を行なった。ろ過時間は60分であった。
ろ液を130℃にて減圧(20Torr)下、1時間脱水し、無色透明な精製ポリエーテルを得た。精製ポリエーテルの残留塩基濃度は0.2ppm、酸価は0.01、イオンクロマト法によりClイオンが2ppm検出された。ろ過後の廃棄物量(中和塩、吸着剤、ろ過助剤、ポリエーテル給油分の総量)は粗ポリエーテルに対し、0.89重量%であった。
比較例3
粗ポリエーテル(d−1)1,000部を1.5リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換により気相の酸素濃度450ppmとし、20部のイオン交換水を加え、90℃にて5分攪拌し、その後、「キョーワード600」(協和化学工業社製;合成珪酸マグネシウム)を6部(粗ポリエーテルに対し0.6重量%)加え、再度窒素置換により気相部の酸素濃度を450ppmにし、90℃にて10分、攪拌速度300rpmで攪拌した。次いで、ステンレス製加圧ろ過器(直径12.5cm、高さ9cm)を用い、No.2ろ紙(東洋濾紙社製)にて窒素下で加圧(0.1MPa)濾過を行い、精製ポリエーテルを得た。ろ過時間は30分であった。得られた精製ポリエーテルはハーゼン単位色数30、残留塩基濃度は21ppmであった。ろ過後の廃棄物量は粗ポリエーテルに対し1.5重量
%であった。
比較例4
粗ポリエーテル(d−2)1,000部を1.5リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換により気相の酸素濃度450ppmとし、20部のイオン交換水を加え、90℃にて5分攪拌し、その後、「キョーワード700」(協和化学工業社製;合成珪酸アルミニウム)を20部(粗ポリエーテルに対し2.0重量%)加え、再度窒素置換により気相部の酸素濃度を450ppmにし、90℃にて10分、攪拌速度300rpmで攪拌した。次いで、ステンレス製加圧ろ過器(直径12.5cm、高さ9cm)を用い、No.2ろ紙(東洋濾紙社製)にて窒素下で加圧(0.1MPa)濾過を行い、精製ポリエーテルを得た。ろ過時間は60分であった。得られた精製ポリエーテルは無色透明な外観を呈していた。残留塩基濃度は1.5ppmであった。ろ過後の廃棄物量は粗ポリエーテルに対し5重量%であった。
本発明の方法は粗ポリエーテルの精製方法として有用である。




Claims (4)

  1. 塩基性触媒(a)の存在下、活性水素含有化合物(b)にアルキレンオキサイド(c)を付加重合して得られる粗ポリエーテル(d)の精製方法において、該(d)の水分量を0.1〜6.0重量%に調整し、鉱酸で中和した後、芳香族カルボン酸を添加して中和塩を晶析させ、その後ろ過処理することを特徴とする粗ポリエーテルの精製方法。
  2. 前記鉱酸が燐酸、硫酸、塩酸、硝酸、珪フッ化水素酸から選ばれる少なくとも一種類以上である請求項1記載の精製方法。
  3. 前記鉱酸の添加量が塩基性触媒1モルに対して0.5モル〜1.0モルである請求項1又は2記載の精製方法。
  4. 前記芳香族カルボン酸の添加量が塩基性触媒1モルに対して0.1〜1.0モルであり、且つ鉱酸と芳香族カルボン酸の総和が塩基性触媒1モルに対して0.8モル以上である請求項1〜3いずれか記載の精製方法。
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