JP4288770B2 - スクロール流体機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスクロール流体機械に関し、より特定的には、圧縮途中の圧縮室に冷媒を供給するためのインジェクション管を備えたスクロール流体機械の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクロール流体機械は一般に固定スクロールおよび可動スクロールを備え、それらに設けられた渦巻体間に複数の圧縮室が形成される。圧縮室は固定スクロールおよび可動スクロールの中心に向かって移動し、その際に圧縮室の容積が減少する。それにより、圧縮室内で冷媒を圧縮することができる。
【0003】
このようにして冷媒は圧縮されるが、圧縮途中の冷媒の温度が過度に上昇する場合がある。かかる冷媒の温度上昇を抑制すべく、外部から圧縮室内に冷媒を供給するインジェクション弁等を設け、該インジェクション弁を通して圧縮途中の圧縮室内に冷媒を供給して冷媒温度を下げるようにしている。
【0004】
他方、圧縮室内の圧力が過度に上昇し、いわゆる過圧縮現象が発生する場合もある。かかる過圧縮現象を回避すべく、圧力が過度に上昇した圧縮室内の冷媒を外部に逃がすリリーフ弁等が設けられる。
【0005】
しかし、上述のインジェクション弁とリリーフ弁とを別個に設けると、スクロール流体機械の構造が複雑化するという問題が生じる。
【0006】
そこで、この問題を解消し得る手法として、特開昭60−259794号公報に開示された技術がある。図11および図12に、上記公報に開示のスクロール圧縮機を示す。
【0007】
図11に示すように、固定スクロール2と可動スクロール3との間に圧縮室4が形成され、該圧縮室4とヒートポンプサイクルの高圧回路圧力との差圧で作動する弁装置20が固定スクロール2に設置される。弁装置20は、固定スクロール2の鏡板に装着される弁本体21と、その弁本体21内の弁室22に収納される弁体23とを備える。
【0008】
弁室22の下方に第1ポート24が設けられ、この第1ポート24を介して弁室22と圧縮室4とが連通する。弁室22の上方には第2ポート25が設けられ、この第2ポート25を介して弁室22と冷媒インジェクション回路とが連通する。吐出ポート2aと弁室22との間には第3ポート26が設けられ、この第3ポート26を介して弁室22と吐出ポート2aとが連通する。
【0009】
弁体23は、上下に受圧面を有する。弁体23の内部には流路27が設けられる。流路27の下開口端は弁体23の中心に位置し、上開口端は弁体23の中心からずれた位置に設けられる。
【0010】
上記の弁装置20において、弁体23の上受圧面に作用する圧力が下受圧面に作用する圧力よりも高いとき、弁体23がその差圧により下降して第1ポート24および第3ポート26を閉じる。それにより、流路27を介して圧縮室4内と冷媒インジェクション回路とが連通する。
【0011】
他方、弁体23の上受圧面に作用する圧力が下受圧面に作用する圧力よりも低くなると、図12に示すように、弁体23が差圧により上昇して第2ポート25を閉じる。それと同時に、第1ポート24および第3ポート26が開き、圧縮室4内と吐出ポート2aとが連通する。これにより、圧縮室4内の冷媒を吐出ポート2a側に逃がすことができる。
【0012】
上述のようにリリーフ弁とインジェクション弁とを一体化することにより、それらを別個に設ける場合と比較してスクロール流体機械の構造を簡略化することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭60−259794号公報に開示されたスクロール圧縮機にも次のような問題があった。
【0014】
前述のように、弁装置20の弁本体21には、第2ポート25、弁室22および第3ポート等が設けられる。また、弁体23は、略円錐形状の上受圧面と、下受圧面とを有し、さらに両受圧面に開口し弁体23を貫通するように流路27が設けられる。
【0015】
このように弁本体21や弁体23が複雑な構造を有するので、インジェクション回路と固定スクロール2との接続部の構造が複雑化し、スクロール流体機械の製造コストが増大するのみならず、スクロール流体機械の性能および信頼性をも低下させることが懸念される。
【0016】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものである。この発明の目的は、圧縮途中の圧縮室に冷媒を供給するインジェクション管を有するスクロール流体機械において、インジェクション管と固定スクロールとの接続部の構造を簡略化することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のスクロール流体機械は、可動スクロール(3)および固定スクロール(2)と、インジェクション管(7)と、凹部(2c)と、連通路(11)と、リリーフ通路(10)と、可動弁体(5)とを備える。可動スクロール(3)および固定スクロール(2)により、冷媒を圧縮する圧縮室(4)が形成される。インジェクション管(7)は、圧縮途中の圧縮室(4)内に冷媒を供給するためのものである。凹部(2c)は、固定スクロール(2)に設けられ、インジェクション管(7)を受入れる。連通路(11)は、凹部(2c)と圧縮室(4)とを連通させる。リリーフ通路(10)は、凹部(2c)と連通するように固定スクロール(2)に設けられ、圧縮室(4)内の冷媒を外部に導く。可動弁体(5)は、凹部(2c)とインジェクション管(7)との間に介装され、連通路(11)を通してインジェクション管(7)からの冷媒を圧縮室(4)内に供給する冷媒供給孔(5c)と、凹部(2c)表面におけるリリーフ通路(10)の開口部(10a)を閉塞可能な壁面とを有し、インジェクション管(7)に沿って移動可能である。
【0018】
上記のようにインジェクション管(7)を固定スクロール(2)の凹部(2c)に受入れることにより、凹部(2c)内の空間を弁室として機能させることができ、図11に示す弁体21を省略することができる。それにより、インジェクション管(7)と固定スクロール(2)との接続部の構造を従来例よりも簡略化することができる。ところで、インジェクション管(7)から供給される冷媒は、可動弁体(5)の冷媒供給孔(5c)および連通路(11)を通して圧縮室(4)内に送り込まれる。それにより、たとえば圧縮室(4)内の冷媒の温度が過度に上昇した場合でもその温度を低下させることができる。なお、インジェクション管(7)から圧縮室(4)内に冷媒を供給する際には、可動弁体(5)の壁面により凹部(2c)表面におけるリリーフ通路(10)の開口部(10a)を閉じることができる。他方、圧縮室(4)内の圧力が過度に上昇した場合には、圧縮室(4)内の冷媒の圧力によって可動弁体(5)がインジェクション管(7)に沿って上昇し、上記のリリーフ通路(10)の開口部(10a)を開くことができる。それにより、リリーフ通路(10)を通して圧縮室(4)内の冷媒を外部に導くことができ、過圧縮現象を回避することができる。
【0019】
請求項2に記載のスクロール流体機械では、可動弁体(5)は筒状部を有する。該筒状部内にインジェクション管(7)の一端を受入れる。筒状部の内周面はインジェクション管(7)の外周面に案内され、筒状部の外周面は凹部(2c)の側壁に案内される。
【0020】
可動弁体が筒状部を有することにより、該筒状部内にインジェクション管(7)の一端を受入れることができる。それにより、インジェクション管(7)の外周面を筒状部内周の案内面として機能させることができる。このとき、凹部(2c)の側壁を筒状部の外周の案内面として機能させることもできる。このように筒状部の内周と外周との双方がインジェクション管(7)の外周あるいは凹部(2c)の側壁により案内されるので、可動弁体(5)の動作を安定化することができる。
【0021】
請求項3に記載のスクロール流体機械では、筒状部の軸方向端面(5a)を、圧縮後の冷媒を収容する固定スクロール(2)の背後空間(吐出ドーム)(8)に露出させる。
【0022】
それにより、筒状部の軸方向端面(5a)に圧縮後の冷媒の圧力を作用させることができる。その結果、圧縮室(4)内の圧力が上記の背後空間(8)内の圧力よりも高くなったときに自動的に可動弁体(5)を移動させてリリーフ通路(10)の開口部(10a)を開き、リリーフ通路(10)を通して冷媒を圧縮室(4)の外部に導くことができる。それにより、過圧縮現象を効果的に抑制することができる。
【0023】
請求項4に記載のスクロール流体機械は、筒状部の軸方向端面(5a)に弾性力を作用させて可動弁体(5)を圧縮室(4)側に押圧する弾性手段(13)を備える。
【0024】
このように弾性手段(13)を設けることにより、軸方向端面(5a)に所望の大きさの力を作用させることができる。それにより、圧縮室(4)内の圧力が所定以上となった場合に確実に可動弁体(5)を移動させて圧縮室(4)内から冷媒を外部に逃がすことができる。なお、軸方向端面(5a)に前述の背後空間(8)内の冷媒の圧力を作用させるとともに上記の弾性手段(13)を設けてもよい。また、上記弾性力を軸方向端面(5a)に直接作用させてもよいが、何らかの部材を介して間接的に作用させてもよい。
【0025】
請求項5に記載のスクロール流体機械では、上記の連通路(11)は、可動弁体(5)側に拡径部(11a)を有する。
【0026】
それにより、該拡径部(11a)内に圧縮室(4)内の冷媒を送り込むことができ、可動弁体(5)における圧縮室(4)内の冷媒からの受圧面積を増大することができる。その結果、可動弁体(5)に対し大きな力を付与することができ、可動弁体(5)の動作速度を向上させることができる。それにより、より効果的に過圧縮現象を回避することができる。
【0027】
請求項6に記載のスクロール流体機械では、連通路(11)の径は、冷媒供給孔(5c)の径よりも大きい。可動弁体(5)は、連通路(11)内に延在し、該連通路(11)の一部を閉じる閉塞部(5d)を有する。この閉塞部(5d)を貫通して冷媒供給孔(5c)が設けられる。
【0028】
上記のように連通路(11)の径を冷媒供給孔(5c)の径よりも大きく設定するとともに可動弁体(5)に閉塞部(5d)を設けることにより、圧縮室(4)内の冷媒に押圧されて可動弁体(5)が上昇した際に、圧縮室(4)内から外部に排出される冷媒の通路面積を大きく確保することができる。それにより、圧縮室(4)内の冷媒を効率的に外部に排出することができ、過圧縮現象をより効果的に回避することができる。特に、液冷媒が圧縮室(4)内に浸入した際に生じる液圧縮現象に対し効果的である。他方、冷媒インジェクションの場合には、小径の冷媒供給孔(5c)を通して適量の冷媒を圧縮室(4)内に供給することができ、圧縮室(4)内の冷媒の温度や圧力の微調整を行える。
【0029】
請求項7に記載のスクロール流体機械では、固定スクロール(2)は、圧縮後の冷媒を吐出するための吐出ポート(2a)を有する。そして、リリーフ通路(10)は、吐出ポート(2a)から離れる方向に延び、固定スクロール(2)の背面(2b)に開口する。
【0030】
図11および図12に示す従来例のように吐出ポート(2a)側にリリーフ通路(10)を形成する際の加工は極めて困難である。それに対し、吐出ポート(2a)から離れる方向、すなわち固定スクロール(2)の外周に向かう方向にリリーフ通路(10)を設けるのは、上述の場合よりも容易である。また、液圧縮現象が生じた場合に、液冷媒を固定スクロール(2)の背後空間(8)内に排出することができ、固定スクロール(2)や可動スクロール(3)の割れ等を効果的に抑制することができる。
【0031】
請求項8に記載のスクロール流体機械では、可動弁体(5)は、インジェクション管(7)の一端と係合する係合部(5b)を有する。この係合部(5b)がインジェクション管(7)の一端と係合した際に、リリーフ通路(10)の凹部(2c)側の開口部(10a)が全開される。
【0032】
上記の係合部(5b)を設けることにより、可動弁体(5)が凹部(2c)から抜け出すのを阻止することができる。つまり、インジェクション管(7)の一端を可動弁体(5)のストッパとして機能させることができる。それにより、可動弁体(5)のストッパを別途設ける必要がなくなり、インジェクション管(7)と固定スクロール(2)との接続部の構造の簡略化に寄与し得る。
【0033】
請求項9に記載のスクロール流体機械では、インジェクション管(7)の外周と可動弁体(5)の外周とにシール部材(6)を装着する。
【0034】
それにより、インジェクション管(7)の外周および可動弁体(5)の外周を通して不必要に冷媒が漏れるのを抑制することができる。
【0035】
請求項10に記載のスクロール流体機械では、固定スクロール(2)および可動スクロール(3)は、それぞれ渦巻体を有する。この渦巻体間に圧縮室(4)が形成され、一方の渦巻体の巻終わり端部が他方の渦巻体の巻終わり端部近傍にまで延在する。そして、凹部(2c)、連通路(11)およびリリーフ通路(10)は、1箇所に設けられる。
【0036】
このように、いわゆる非対称渦巻体を有するスクロール流体機械においては、凹部(2c)等を1箇所に設ければよい。このことも、構造の簡略化に効果的に寄与し得る。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図10を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【0038】
(実施の形態1)
図1〜図4は、本発明の実施の形態1におけるスクロール流体機械の部分断面図である。図1に示すように、本発明に係るスクロール流体機械は、ケーシングの軸方向の一端を構成するケーシングトップ1と、ケーシング内に組込まれる固定スクロール2および可動スクロール3と、インジェクション管7と、吐出管9と、可動スクロール3を駆動するクランク軸12とを備える。
【0039】
固定スクロール2と可動スクロール3はそれぞれ渦巻体を有し、該渦巻体間に複数の圧縮室4が形成される。固定スクロール2は、圧縮後の冷媒を吐出するための吐出ポート2aと、インジェクション管7の一端を受入れ背面2bに開口する凹部2cと、この凹部2cと所定の圧縮室4とを連通させる連通路11と、凹部2cの表面および固定スクロール2の背面2bに開口するリリーフ通路10とを有する。
【0040】
上記のようにインジェクション管7の一端を凹部2c内に受入れることにより、図11に示す従来例のように複雑な形状の弁本体21を設ける必要がなくなる。それにより、インジェクション管7と固定スクロール2との接続部の構造を従来例よりも簡略化することができる。
【0041】
固定スクロール2の凹部2cとインジェクション管7との間にピストン(可動弁体)5が介装される。ピストン5は、インジェクション管7の軸方向端面と凹部2c表面との間で往復移動する。インジェクション管7の外周およびピストン5の外周には、好ましくは、樹脂あるいはゴム等により構成されるシール部材6が取付けられる。それにより、ピストン5の内周あるいは外周を通して不必要に冷媒が漏れるのを抑制することができる。
【0042】
インジェクション管7は、圧縮途中の圧縮室4内に液あるいはガス冷媒を供給する機能を有する。このインジェクション管7を通して冷媒を圧縮室4内に供給することにより、冷媒温度の過度な上昇の抑制、あるいはガス冷媒の補充を行うことができる。
【0043】
リリーフ通路10は、圧縮室4内の圧力が過度に上昇した場合に、圧縮室4内の冷媒を圧縮室4の外部に導く機能を有する。この場合であれば、リリーフ通路10は、吐出ポート2aから離れる方向に延在し、固定スクロール2の背後に位置する背後空間(圧縮後の冷媒を収容する吐出ドーム)8と連通している。
【0044】
上記のように吐出ポート2aから離れる方向にリリーフ通路10を延在させることにより、図11に示す従来例よりも容易にリリーフ通路10を設けることができる。そればかりでなく、液圧縮現象が生じた場合に、液冷媒を固定スクロール2の背後空間8内に排出することができ、固定スクロール2や可動スクロール3の割れ等を効果的に抑制することもできる。
【0045】
図2には、ピストン5が上方に移動してインジェクション管7の一端に係止されている状態を示している。圧縮室4内の圧力が背後空間8内の圧力よりも上昇した場合には、ピストン5が上方に移動し、それに伴い凹部2cの側壁におけるリリーフ通路10の開口部10aが全開する。それにより、圧縮室4内の冷媒を圧縮室4の外部に導くことができ、過圧縮現象を抑制することができる。
【0046】
次に、図3および図4を用いて、本発明に係るピストン5の動作についてより詳しく説明する。図3および図4は、図1および図2におけるインジェクション管7と固定スクロール2との接続部を拡大した断面図である。
【0047】
図3に示すように、ピストン5は、インジェクション管7の一端を受入れるとともにリリーフ通路10の一方の開口部10aを閉塞可能な外周面を有する筒状部と、筒状部の軸方向の一端から径方向内方に延びインジェクション管7の一端と係合する係合部5bと、インジェクション管7からの冷媒を連通路11を通して圧縮室4内に送り込むための冷媒供給孔5cとを有する。
【0048】
上記のようにピストン5が筒状部を有することにより、ピストン5内にインジェクション管7の一端を受入れることができる。それにより、インジェクション管7の外周面をピストン5の内周の案内面として機能させることができる。また、ピストン5の外周面は凹部2cの側壁に案内される。このように、ピストン5の内外周がそれぞれインジェクション管7の外周面あるいは凹部2cの側壁に案内されるので、ピストン5の動作を安定化させることができる。
【0049】
また、ピストン5が係合部5bを有することにより、ピストン5が凹部2cから抜け出すのを阻止することができる。つまり、インジェクション管7の一端をピストン5のストッパとして機能させることができる。それにより、ピストン5のストッパを別途設ける必要がなくなり、インジェクション管7と固定スクロール2の接続部の構造の簡略化に寄与し得る。
【0050】
さらに、ピストン5の一方の軸方向端面5aは、圧縮後の冷媒を収容する背後空間8内に露出している。それにより、軸方向端面5aに圧縮後の冷媒の圧力を作用させることができ、該圧力によりピストン5を圧縮室4側に押圧することができる。
【0051】
圧縮室4内の冷媒温度が過度に上昇した場合には、図3において矢印で示すように、インジェクション管7から冷媒供給孔5cおよび連通路11を通して圧縮室4内に冷媒を供給する。それにより、圧縮室4内の冷媒温度を低下させることができる。このとき、筒状部の外周面によってリリーフ通路10の開口部10aは閉じられている。
【0052】
圧縮室4内の圧力が背後空間8内の圧力よりも上昇した場合には、図4に示すように、ピストン5が圧縮室4内の冷媒に押圧されて上昇し、リリーフ通路10の開口部10aが開かれる。それにより、図4において矢印で示すように圧縮室4内の冷媒を圧縮室4の外部(この場合であれば背後空間8内)へ排出することができる。その結果、圧縮室4の内圧が過度に上昇するのを阻止することができる。
【0053】
このとき、連通路11がピストン5側に拡径部11aを有するので、ピストン5における圧縮室4内の冷媒からの受圧面積を拡大することができ、ピストン5に対し大きな押圧力を付与することができる。それにより、ピストン5を迅速に移動させることができる。このことも、過圧縮現象の抑制に効果的に寄与し得る。
【0054】
(実施の形態2)
次に、図5〜図8を用いて、本発明の実施の形態2について説明する。図5〜図8は、本発明の実施の形態2におけるスクロール流体機械の部分断面図である。
【0055】
本実施の形態では、ピストン5および連通路11の形状が上述の実施の形態1の場合とは異なっている。具体的には、図5および図6に示すように、ピストン5が閉塞部5dを有し、連通路11が全長にわたって同径を有している。また、凹部2cの深さが実施の形態1の場合よりも若干深くなっている。それ以外の構成に関しては実施の形態1の場合と同様であるので重複説明は省略する。
【0056】
次に、図7および図8を用いて、本実施の形態2におけるスクロール流体機械の特徴部分について詳しく説明する。
【0057】
図7に示すように、本実施の形態2では、ピストン5は軸方向に突出する環状の閉塞部5dを有するこの閉塞部5dは、連通路11内に挿入され、閉塞部5dの端面が圧縮室4内に露出する。したがって、閉塞部5dの端面が圧縮室4内の冷媒から圧力を受ける受圧面となる。
【0058】
冷媒供給孔5cは閉塞部5dを貫通して設けられ、インジェクション管7からの冷媒は該冷媒供給孔5cを通して圧縮室4内に供給される。それにより、圧縮室4内の冷媒の過度の温度上昇を抑制することができる。
【0059】
圧縮室4内の圧力が背後空間8内の圧力よりも上昇した場合には、閉塞部5dの端面が圧縮室4内の冷媒により押圧され、図8に示すようにピストン5が上方に移動する。それにより、リリーフ通路10の開口部10aが開かれるとともに圧縮室4内の冷媒が図8に示す矢印に従って外部へ放出される。
【0060】
このとき、ピストン5の上昇に伴い閉塞部5dも上昇して連通路11内から凹部2c内に移動する。それにより、冷媒供給孔5cの径W2よりも大きい径W1を有する連通路11を通して圧縮室4内から冷媒を外部に導くことができ、過圧縮現象を効果的に抑制することができる。特に、液冷媒が圧縮室4内に浸入した際に生じ得る液圧縮現象に対し効果的である。
【0061】
(実施の形態3)
次に、図9および図10を用いて、本発明の実施の形態3について説明する。図9および図10は、本実施の形態3におけるスクロール流体機械の部分断面図である。
【0062】
図9および図10に示すように、本実施の形態3では、弾性手段としてのスプリング13と、このスプリング13を保持するハウジング14とを設けている。それ以外の構成に関しては実施の形態2の場合と同様であるため重複説明は省略する。
【0063】
スプリング13は、ピストン5の一方の軸方向端面5aに設置される。このスプリング13により、ピストン5に対し所望の押圧力を付与することができる。それにより、圧縮室4内の圧力が所定値に達した際に確実にピストン5を上昇させることができる。
【0064】
なお、ピストン5の軸方向に弾性力を付与する弾性手段の一例としてスプリング13を挙げたが、ピストン5を圧縮室4側に所定の力で押圧可能であれば他の手段を採用することも可能である。また、必ずしもピストン5の一方の軸方向端面5aに弾性力を直接付与する必要はなく、何らかの部材を介して間接的に軸方向端面5aに弾性力を付与してもよい。さらに、弾性手段による弾性力と背後空間8内の冷媒の圧力との双方をピストン5に作用させてもよい。
【0065】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0066】
たとえば、インジェクション管7に沿って移動可能であればピストン5の形状は任意に選択可能である。また、圧縮室4内の冷媒を圧縮室4の外部に導けるものであれば、リリーフ通路10の一方の開口部は固定スクロール2の背面2b以外の箇所に設けてもよい。
【0067】
さらに、本発明は、固定スクロール2および可動スクロールの渦巻体が対称な形状を有する場合のみならず、非対称な形状を有する場合にも適用することができる。特に、渦巻体が非対称形状を有する場合には、ピストン5、凹部2c、リリーフ通路10および連通路11を1箇所に設ければよいので、さらなる構造の簡略化が可能となる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、インジェクション管(7)と固定スクロール(2)との接続部の構造を従来例よりも簡略化することができる。それにより、スクロール流体機械の製造コストを低減することができるばかりでなく、スクロール流体機械の信頼性および性能をも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1におけるスクロール流体機械の部分断面図である。
【図2】 図1においてピストンが上方に移動した状態を示す図である。
【図3】 図1におけるインジェクション管と固定スクロールとの接続部を拡大した断面図である。
【図4】 図2におけるインジェクション管と固定スクロールとの接続部を拡大した断面図である。
【図5】 本発明の実施の形態2におけるスクロール流体機械の部分断面図である。
【図6】 図5においてピストンが上昇した状態を示す図である。
【図7】 図5におけるインジェクション管と固定スクロールとの接続部を拡大した断面図である。
【図8】 図6におけるインジェクション管と固定スクロールとの接続部を拡大した断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態3におけるスクロール流体機械の部分断面図である。
【図10】 図9においてピストンが上昇した状態を示す図である。
【図11】 従来のスクロール流体機械の部分断面斜視図である。
【図12】 図11に示す弁体が上昇した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 ケーシングトップ、2 固定スクロール、2a 吐出ポート、2b 背面、2c 凹部、3 可動スクロール、4 圧縮室、5 ピストン(可動弁体)、5a 軸方向端面、5b 係合部、5c 冷媒供給孔、5d 閉塞部、6 シール部材、7 インジェクション管、8 背後空間、9 吐出管、10 リリーフ通路、10a 開口部、11 連通路、11a 拡径部、12 クランク軸、13 スプリング、14 ハウジング。
Claims (10)
- 冷媒を圧縮する圧縮室(4)を形成する可動スクロール(3)および固定スクロール(2)と、
圧縮途中の前記圧縮室(4)内に冷媒を供給するためのインジェクション管(7)と、
前記固定スクロール(2)に設けられ、前記インジェクション管(7)を受入れる凹部(2c)と、
前記凹部(2c)と前記圧縮室(4)とを連通させる連通路(11)と、
前記凹部(2c)と連通するように前記固定スクロール(2)に設けられ、前記圧縮室(4)内の冷媒を外部に導くためのリリーフ通路(10)と、
前記凹部(2c)と前記インジェクション管(7)との間に介装され、前記連通路(11)を通して前記インジェクション管(7)からの冷媒を前記圧縮室(4)内に供給する冷媒供給孔(5c)と、前記凹部(2c)表面における前記リリーフ通路(10)の開口部(10a)を閉塞可能な壁面とを有し、前記インジェクション管(7)に沿って移動可能な可動弁体(5)と、
を備えた、スクロール流体機械。 - 前記可動弁体(5)は筒状部を有し、
前記筒状部内に前記インジェクション管(7)の一端を受入れ、
前記筒状部の内周面は前記インジェクション管(7)の外周面に案内され、前記筒状部の外周面は前記凹部(2c)の側壁に案内される、請求項1に記載のスクロール流体機械。 - 前記筒状部の軸方向端面(5a)を、圧縮後の冷媒を収容する前記固定スクロール(2)の背後空間(8)に露出させる、請求項2に記載のスクロール流体機械。
- 前記筒状部の軸方向端面(5a)に弾性力を作用させて前記可動弁体(5)を前記圧縮室(4)側に押圧する弾性手段(13)を備える、請求項2または3に記載のスクロール流体機械。
- 前記連通路(11)は前記可動弁体(5)側に拡径部(11a)を有する、請求項1から4のいずれかに記載のスクロール流体機械。
- 前記連通路(11)の径は、前記冷媒供給孔(5c)の径よりも大きく、
前記可動弁体(5)は前記連通路(11)内に延在し、該連通路(11)の一部を閉じる閉塞部(5d)を有し、該閉塞部(5d)を貫通して前記冷媒供給孔(5c)が設けられる、請求項1から4のいずれかに記載のスクロール流体機械。 - 前記固定スクロール(2)は、圧縮後の冷媒を吐出するための吐出ポート(2a)を有し、
前記リリーフ通路(10)は、前記吐出ポート(2a)から離れる方向に延び、前記固定スクロール(2)の背面(2b)に開口する、請求項1から6のいずれかに記載のスクロール流体機械。 - 前記可動弁体(5)は、前記インジェクション管(7)の一端と係合する係合部(5b)を有し、
前記係合部(5b)が前記インジェクション管(7)の一端と係合した際に前記リリーフ通路(10)の前記凹部(2c)側の開口部(10a)が全開される、請求項1から7のいずれかに記載のスクロール流体機械。 - 前記インジェクション管(7)の外周と前記可動弁体(5)の外周とにシール部材(6)を装着した、請求項1から8のいずれかに記載のスクロール流体機械。
- 前記固定スクロール(2)および可動スクロール(3)は、それぞれ渦巻体を有し、該渦巻体間に前記圧縮室(4)が形成され、一方の前記渦巻体の巻終わり端部が他方の前記渦巻体の巻終わり端部近傍にまで延在し、前記凹部(2c)、連通路(11)およびリリーフ通路(10)は、1箇所に設けられる、請求項1から9のいずれかに記載のスクロール流体機械。
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