JP4288661B2 - 油水分離装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に高速道路等の道路より発生した油分を含有した水から油分を分離させるための油水分離装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高速道路等の道路では、交通事故等で事故車輌よりガソリン、エンジンオイル等の油分が道路上に流出し、これらが雨水等により道路側部に設けられた側溝に流入してしまうと、側溝に流入した水が油分を含んだまま下水道を通り河川に流入し、環境を汚染してしまうという問題があり、このような問題を解決するために図9に示すような油水分離装置を道路近傍に設け、水と油分とを分離させ、水だけを河川等に放水するようになっている。
【0003】
油水分離装置は、内部が複数の隔壁1,1…により仕切られた油水分離槽2と、油水分離槽2の一方の端部即ち上流側に連通された導入管3と、他方の端部即ち下流側に連通された放流管4とを備え、隔壁1の下部には、隔壁1に隔てられた上流側と下流側とを連通する連通孔5が形成されている。
【0004】
この油水分離装置では、側溝途中に設けたマンホール6等と連通した導入管3を通して油水分離槽2内に油分を含有した水が導入され、油水分離槽2内を上流側から下流側に流下させることにより、比重の軽い油分は浮き上がって隔壁2に阻まれて留まり、比重の重い水分は連通孔5を通して下流側に流れるので、これが順次繰り返されることにより、下流側端部では、油分が分離されて水のみが放流管4を通して放出され、各隔壁2,2…で留まった油分は作業穴等を利用して吸引除去されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような従来の技術では、油水分離槽及び油水分離槽内の隔壁が場所打ちコンクリートにより形成されており、特に隔壁には連通孔が形成されているため、場所打ちコンクリートによる施工は、施工現場において多大な手間を要し、施工工期及び施工コストが増大してしまうという問題があり、一方、近年では、施工現場近隣の住民に対する騒音や振動等を考慮して、工期短縮による工事環境の改善が重要となっている。
【0006】
本発明は、このような従来の技術の状況を鑑み、容易に施工が可能な油水分離装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1の発明は、隔壁により内部が仕切られた中空函型の油水分離槽と、該油水分離槽の一方の端部に連通され、油分を含有した水を前記油水分離槽内に導入する導入管と、前記油水分離槽の他方の端部に連通された放流管とを備え、前記隔壁の下部に連通孔を形成し、該連通孔を利用して油分を分離するようにした油水分離装置において、前記油水分離槽は、底版、頂版及び両側版とからなるプレキャストコンクリートブロックと、該プレキャストコンクリートブロックの端面に当接される平板状の隔壁版と、油水分離槽の両端部を閉鎖する端版とを備え、前記プレキャストコンクリートブロックと隔壁版とを交互に接続することによって、隔壁により内部が仕切られた形状に形成されたことを特徴とする。
【0008】
このように構成することによって、施工現場における工期及び施工コストを低減することができ、隔壁版がプレキャスト製であるので連通孔の形成も容易に行うことができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の構成に加え、油水分離槽は、上部に連通孔が形成された異物分離用隔壁を有することを特徴とする。
【0010】
このように構成することによって、導入された汚水から異物を沈殿させて分離することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成に加え、プレキャストコンクリートブロックは、頂版に管理用孔を備えたことを特徴とする。
【0012】
このように構成することによって、油水分離槽内の維持管理を好適に行うことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3の構成に加え、油水分離槽には、長手方向にPC緊張材が貫通して挿通され、該PC緊張材の両端部が緊張した状態で前記油水分離槽の両端部に定着されたことを特徴とする。
【0014】
このように構成することによって、プレキャストコンクリートブロック、隔壁版及び両端版を好適に接続することができるとともに、油水分離槽の曲げ耐力が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る油水分離装置の実施の形態を説明する。尚、上述の従来例と同一の部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0016】
図1〜図3は油水分離装置の概略を示し、符号10は油水分離槽、11は基礎である。
【0017】
この油水分離装置は、中空函型の油水分離槽10と、油水分離槽10の一方の端部即ち上流側端部に連通された導入管3と、油水分離槽10の他方の端部即ち下流側端部に連通された放流管4とを備え、導入管3を道路の側溝途中に設けられたマンホール6等と連通させておき、この導入管3を通して油水分離槽10内に油分が含有された汚水が導入され、油水分離槽10内において上流から下流へと流下させる過程において、水と油分の比重の違いを利用して水と油分を分離させ、水のみを放流管4を通して下水道等に放出するようになっている。
【0018】
油水分離槽10は、角筒状のプレキャストコンクリートブロック(以下PCブロックと記す)12,12…と、PCブロック12の端面に当接される複数の隔壁版13、14,14…と、油水分離槽10の両端部を閉鎖する端版15,16とを備え、PCブロック12と隔壁版13、14,14…とを交互に接続し、両端部のPCブロック12a,12gの端面を端版15,16により閉鎖することによって、内部が隔壁により仕切られた中空函型に形成されている。
【0019】
PCブロック12は、コンクリートにより底版17、頂版18及び両側版19,19とからなる角筒状に形成されるとともに、一方の側版下端に張り出し版20が一体に形成されている。
【0020】
各PCブロック12,12…は、頂版18に開閉可能な蓋21を有する管理用孔22が形成され、この管理用孔22より人が出入りできるようになっている。尚、図中符号23は作業用の梯子である。
【0021】
また、このPCブロック12の両側版19,19には、筒長さ方向に沿って、PC緊張材が挿通される複数のPC挿通孔24,24…が間隔を隔てて形成されている。
【0022】
尚、各PCブロックの一方の側版19には、油分を吸引除去するためのバキューム孔19aが形成され、上流側端部に配置されるPCブロック12aの側版19には、導入管3が挿入される挿通孔25が形成されている。
【0023】
隔壁版13,14は、PCブロック12の端面に合わせて平板状に形成され、その側縁下端に張り出し部13a,14aが一体に形成されている。
【0024】
この隔壁版13,14の縁部には、厚み方向に貫通した複数のPC挿通孔26,26…がPCブロック12のPC挿通孔24,24…の位置に合わせて形成されている。
【0025】
隔壁版には、異物分離用隔壁版13及び油水分離用隔壁版14と2種類を使用し、異物分離用隔壁版13を一番上流側に、油水分離用隔壁版14,14…をその下流側にそれぞれ配置する。
【0026】
異物分離用隔壁版13には、その上半部に厚み方向に貫通した連通孔27が形成されており、油水分離用隔壁版14は、その下端部に厚み方向に貫通した連通孔28が形成されている。
【0027】
端版15,16は、矩形の平板状にコンクリートをもって形成され、その縁部には、厚み方向に貫通したPC挿通孔29,29…がPCブロック12のPC挿通孔24,24…及び隔壁版13,14のPC挿通孔26,26…の位置に合わせて形成されている。
【0028】
また、下流側の端版16には、放流管4が挿入される挿通孔30が形成されている。
【0029】
そして、油水分離槽10は、PCブロック12,12…、隔壁版13、14,14…及び端版15,16を図2に示すように配置し、PCブロック12と隔壁版13,14及び端版15,16との接合面間を当接させ、さらに各PC挿通孔24,26,29にPC緊張材31を挿通させ油水分離槽10の両端部、即ち両端版15,16の外側面にPC緊張材31を緊張させた状態で定着させることにより接続するようになっている。
【0030】
この油水分離装置では、まず、導入管3を通して油分を含有した汚水が油水分離槽10内に流入すると、汚水に含まれる泥質や塵、その他の異物が沈殿し、その異物が隔壁(隔壁版)13に阻まれて下流側へは流下せず、油分を含有した水が連通孔27を通して下流側へ流れる。
【0031】
次に、油分と水との比重差により、比重の軽い油分は上方に浮かび上がり、比重の重い水が下方に沈み込むようになり、油分の大半は隔壁14に阻まれて隔壁14の上流側に留まり、水が隔壁下端部に形成された連通孔28を通して流下する。
【0032】
そして、この工程を繰り返すことにより水と油分とが分離され、油分が分離された水は放流管4を経て外部に放出され、各隔壁14,14…にて留まった油分は、管理用孔22又はバキューム孔19aより吸引除去するようになっている。
【0033】
次に、上述の油水分離装置の構築方法について説明する。
【0034】
まず、設置個所の地面を掘削するとともに表面部を均し、その表面部に砕石等を敷設して基礎砕石層40を形成し、更にその基礎砕石層40上に場所打ちによりコンクリートを打設して基礎コンクリート層41を形成し、基礎11を設ける。
【0035】
次に、PCブロック12aをクレーン等で吊り下げ、基礎11上の所定の位置に設置し、続いて、異物分離用隔壁版13をPCブロック12aの下流側端面にインサート及びボルト等を介して仮止めした状態で当接させる。
【0036】
次に、異物分離用隔壁版13の反対側の端面に当接するようにPCブロック12bを設置し、更に、PCブロック12bの下流側端面に油水分離用隔壁版14を同様に当接させる。
【0037】
そして、PCブロック12b,12c…と油水分離用隔壁版14,14とを互いに当接した状態で交互に接続させ、最後にPCブロック12a,12gの端面に端版15,16を当接させる。
【0038】
次に、両端版15,16、PCブロック12,12…、各隔壁版13、14,14…のPC挿通孔24,26,29を貫通させ、即ち、油水分離槽10を長手方向に貫通させてPC緊張材31を挿入する。
【0039】
そして、PC緊張材31の両端を図示しないジャッキ等により緊張し、その状態でPC緊張材31の両端を油水分離槽10の端部、即ち両端版15,16の外側面に定着させることにより、油水分離槽10の長手方向にプレストレスを導入し、各PCブロック12,12…、各隔壁版13、14,14…及び両端板15,16を接続させる。
【0040】
これにより油水分離槽10が形成される。
【0041】
そして、上流側端部のPCブロック12aの挿通孔25に導入管3の先端部分を挿入し、挿通孔25と導入管3外面との間をモルタル等により埋めることによって接続させ、同様に端版16の挿通孔30に放流管4を挿入し、挿通孔30と放流管4外面との間をモルタル等により埋めることによって接続させる。
【0042】
最後に、導入管3の他方の端部を高速道路等の側溝途中に設置されたマンホール6の下端部に接続させ、また、放流管4の端部を下水道等に接続させ、掘削した土を埋め戻して作業が完了する。
【0043】
尚、上述の実施例では、PCブロックが張り出し版を備えたものについて説明したが、PCブロックは張り出し版の無い角筒状であってもよい。
【0044】
また、油水分離用隔壁版及び異物分離用隔壁版の数量は、図に示す数量に限定されるものではなく、PCブロックの数量も隔壁版の数量に合わせて変わる。
【0045】
【発明の効果】
上述のように、本発明に係る油水分離装置は、PCブロック、各隔壁版及び端版がプレキャストコンクリート製であるので、施工現場における作業を簡略化することができ、施工工期及び施工コストを低減することができる。
【0046】
また、隔壁版は平板状且つプレキャストコンクリート製であるので、連通孔も容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る油水分離装置の概略を示す断面図である。
【図2】同上の油水分離槽部分の平面図である。
【図3】同上のA−A線断面図である。
【図4】(a)は図1中のプレキャストコンクリートブロックを示す平面図、(b)は同正面図である。
【図5】同上の異物分離用隔壁版を示す正面図である。
【図6】同上の油水分離用隔壁版を示す正面図である。
【図7】同上の端版を示す正面図である。
【図8】同上の端版を示す正面図である。
【図9】従来の油水分離装置の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
10 油水分離槽
11 基礎
12 プレキャストコンクリートブロック(PCブロック)
13 異物除去用隔壁版
14 油水分離用隔壁版
15、16 端版
17 底版
18 頂版
19 側版
19a バキューム孔
20 張り出し版
21 蓋
22 管理用孔
23 梯子
24 PC挿通孔
25 挿通孔
26 PC挿通孔
27 連通孔
28 連通孔
29 PC挿通孔
30 挿通孔
31 PC緊張材
40 基礎砕石層
41 基礎コンクリート層
Claims (4)
- 隔壁により内部が仕切られた中空函型の油水分離槽と、該油水分離槽の一方の端部に連通され、油分を含有した水を前記油水分離槽内に導入する導入管と、前記油水分離槽の他方の端部に連通された放流管とを備え、前記隔壁の下部に連通孔を形成し、水と油分の比重差を利用して水と油分を分離するようにした油水分離装置において、
前記油水分離槽は、底版、頂版及び両側版とからなるプレキャストコンクリートブロックと、該プレキャストコンクリートブロックの端面に当接される平板状の隔壁版と、油水分離槽の両端部を閉鎖する端版とを備え、前記プレキャストコンクリートブロックと隔壁版とを交互に接続することによって、隔壁により内部が仕切られた形状に形成されたことを特徴としてなる油水分離装置。 - 油水分離槽は、上部に連通孔が形成された異物分離用隔壁を有する請求項1に記載の油水分離装置。
- プレキャストコンクリートブロックは、頂版に管理用孔を備えた請求項1又は2に記載の油水分離装置。
- 油水分離槽には、長手方向にPC緊張材が貫通して挿通され、該PC緊張材の両端部が緊張した状態で前記油水分離槽の両端部に定着された請求項1、2又は3に記載の油水分離装置。
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