JP4287915B2 - ガス中の硫化水素の処理方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はCO2(二酸化炭素)とH2S(硫化水素)を含む各種ガスからH2Sを選択的に除去し、回収する方法及びその装置に関する。さらに詳しくは、CO2とH2Sを含む各種ガスと吸収液とを接触させ、ガス中のCO2とH2Sを吸収した後吸収液よりCO2を高選択率で放出させて、残りの吸収液からH2Sを高選択率で回収する方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
石炭や重質油のガス化により得られるガス化ガス、合成用ガス、水性ガス、天然ガス等の各種ガスに含まれるCO2やH2S等の酸性ガスを吸収剤を用いて除去する技術は以前から知られている。これらの中には、単独吸収剤を使用するもの、混合吸収剤を使用するもの、非水系吸収溶液を用いるもの、水系吸収溶液を用いるものなど様々である。またCO2とH2Sを含むガスからH2Sのみを高選択率で除去するもの、両者を除去するものなどプロセスの目的に応じて吸収剤が選択されている。
【0003】
例えばCO2とH2Sの両者を含むガスから両方を共によく吸収する吸収剤としてモノエタノールアミン(MEA)が知られている。
USP4,553,984には、メチルジエタノールアミン(以下、「MDEA」と略す)の20〜70重量%水溶液を用いて、10〜110バールの圧力下、40〜100℃でCO2とH2Sを含む原料ガスと向流接触させ、原料ガス中のCO2とH2Sを除去する方法が開示されている。
ケミカルエンジニアリングサイエンス(Chemical Engineer−ing Science),41巻,2号,405〜408頁には、常温付近において、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)ようなヒンダードアミンとMEAのような直鎖アミンの各水溶液のCO2やH2Sに対する吸収速度が報告されている。
オイル ガス ジャーナル 7月16日,70〜76頁(1984)には、フレキソーブ SE(Flexsorb SE,商品名)が高選択率でH2Sを除去する吸収剤として適すること、フレキソーブ PS(商品名 Flexsorb PS)がCO2とH2Sを共に除去するのに適する吸収剤であり、MDEAに比べフレキソーブ SEはH2Sの吸収能が優れているとされている。
【0004】
一方、回収されたH2Sから硫黄を回収し再利用する場合には使用量に限度があるため、H2Sを燃焼して硫酸、亜硫酸又は石膏として回収している。この場合、回収ガス中のH2Sの比率を13容量%以上、CO2の比率を87容量%以下にしないと酸化が起こりにくいという問題がある。
しかし、上記のような吸収剤を用いてもCO2に対するH2Sの選択除去性は十分ではない。
【0005】
一方、石炭ガス化ガス、コークス炉ガス、天然ガス、合成ガスなどのガスからCO2および/又はH2Sを除去する方法として、特公平4−21521号公報にはアルカノールアミン吸収液を用い、CO2などを吸収した5〜110バールの高圧吸収液を段階的に放圧させながら吸収液を再生する技術が記載されている。また、吸収液を用いて天然ガス等からCO2を除去する場合に、吸収液中にCO2とメタンが吸収されるので、それらを吸収した吸収液をフラッシュさせてメタンガスを放出させた後に、吸収液よりCO2を高選択率で回収する技術が知られている。
【0006】
しかし、CO2とH2Sを含む上記各種ガスと吸収液を接触させた後、空気又は酸素により燃焼可能な濃度でH2Sを含むガスを回収し、部分酸化又は燃焼して石膏等を得る方法は知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、石炭、重質油等のガス化ガス、合成用ガス、水性ガス、天然ガス等のCO2及びH2Sを含む各種ガスと吸収液を接触させた後、吸収液よりH2SをCO2との混合ガスとして回収する場合に、混合ガスを部分酸化又は燃焼して硫黄、亜硫酸、硫酸、石膏を得ることができるように、H2Sの比率を13容量%以上の高濃度で回収することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、CO2とH2Sを含む各種ガスと吸収液を接触させた後、吸収液よりCO2を高選択率で放出させた後に、吸収液からH2SをCO2との混合ガスとして回収することにより、上記問題を解決しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、石炭ガス化ガス、重質油ガス化ガス、合成用ガス、水性ガス、天然ガス、地熱水蒸気オフガスのようなCO2とH2Sを含む処理対象ガスと選択率((1次吸収液中のH2Sのモル数/1次吸収液中のCO2のモル数)/(処理対象ガス中のH2Sのモル%/処理対象ガス中のCO2のモル%))が3〜10の、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−tert−ブチルジエタノールアミン、トリエチレンジアミン、2−ジメチルアミノ−1−エタノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、4−ジメチルアミノ−1−ブタノールまたはトリイソプロパノールアミン又はこれらの混合物からなる群から選ばれるアミンの水溶液を接触させた後、CO2とH2Sを吸収した1次吸収液よりCO2の一部を放出させた上で、CO2の一部を放出させた後の2次吸収液から、H2S濃度が13容量%以上のCO2との混合ガスを回収するH2Sの高濃度回収方法、及び、その装置に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で処理の対象となるガスは、CO2及びH2Sの両者を含みH2Sの容積濃度がCO2の容積濃度に較べて低い各種ガスであり、石炭や重質油のガス化により得られるガス化ガス、合成用ガス、水性ガス、天然ガス、地熱水蒸気オフガス等である。
石炭ガス化ガスの組成は、原料炭やガス化を酸素で行うか空気で行うかにもよるが、例えば水素、一酸化炭素、メタンを主成分とし、CO2を数ないし十数%、H2Sを数百ないし数千ppm含んでいる。合成用ガスでは、CO2を数ないし十%、H2Sを数十ないし数百ppm含んでいる。天然ガスでは、例えば、CO2を数%、H2Sを数十ないし数百ppm含んでいるものがあり、H2Sは当然除去しなければならないが、H2S以外にCO2が含まれていると、天然ガス中のメタンやエタンの液化工程で、−50℃以下に冷却するので、CO2が氷結し、液化工程のラインを閉塞させる。従って、液化に先立つ精製段階において、H2Sと共にCO2含量も低減させる必要がある。
また、地熱水蒸気を発電等に使用した後のオフガスはCO2を主成分とし、H2Sを数%含むので、このまま大気中に排出するには問題がある。本発明では、原料、燃料ガスのみならず、このようなオフガスも処理して無害なガスとして放出できるとともに、吸収液から回収されたCO2とH2Sを含む混合ガスを燃焼して硫黄酸化物とし、水酸化カルシウム水溶液等と反応させて石膏にすることが可能である。
【0011】
本発明において、吸収液としてH2SおよびCO2の両者に対し優れた吸収性能を示すものを用いるが、両成分ガスに対する吸収速度は処理対象ガスの組成、吸収条件等により異なる。従って、本発明においてはCO2に対するH2Sの吸収性の選択率ηで評価することする。ここでH2Sの選択吸収性は、所定の吸収条件下において、吸収液中に吸収されたH2Sのモル数を同CO2のモル数で除し、さらにその値を処理対象ガス中のH2Sのモル%数とCO2のモル%数の比で除したものであり、下記のように表される。
η=(1次吸収液中のH2Sのモル数/1次吸収液中のCO2のモル数)/(処理対象ガス中のH2Sのモル%/処理対象ガス中のCO2のモル%)
【0012】
このような吸収液は、下記各種アミンの水溶液が使用される。各種アミンとしては、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン(TEA)、N−tert−ブチルジエタノールアミン、トリエチレンジアミン、2−ジメチルアミノ−1−エタノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、4−ジメチルアミノ−1−ブタノール、トリイソプロパノールアミンのような低級アルキルアミノ低級アルカノールのようなヒンダードアミンあるいはこれらのアミン類にピペラジン類、ピペリジン類等の助剤を添加したものが挙げられる。
これらのアミンは、吸収液に対するH2Sの負荷が0.01〜0.1(H2Sのモル数/アミンのモル数)の範囲で、選択率は3から10である。一般に、吸収液に対するH2Sの負荷が大きくとれるアミンは選択率が小さくなる傾向がある。 水溶液中のアミンの濃度は、通常15〜75重量%である。また本発明で用いる水溶液には、必要に応じて腐蝕防止剤、劣化防止剤等が加えられる。
これらの吸収液は、加熱温度、圧力を適当に選択することにより、CO2をH2Sよりも優先的に、即ち、高選択率で放出する。
【0013】
本発明において、処理対象ガスと吸収液の接触は、吸収塔等を使用して通常向流で行われる。接触温度は、通常30〜80℃の範囲であり、接触時の処理対象ガスの圧力は、通常大気圧〜150Kg/cm2Gの範囲である。
【0014】
本発明において、処理対象ガスからCO2とH2Sを吸収した後の吸収液(1次吸収液という)からCO2を高選択率で放出させるには、1次吸収液を加熱、フラッシュ、減圧あるいはこれらの組み合わせ操作により、あるいはこれらの操作を多段で用いることにより、行うことができる。放出された、CO2は処理対象ガスに循環しても良いし、別途CO2ガスとして取り出しても良い。
例えば、処理対象ガスが高圧の場合には、1次吸収液をフラッシュするだけで、CO2を高選択率で放出させることができるし、処理対象ガスが常圧の場合には、1次吸収液を加熱して、又は、1次吸収液を加熱及び減圧してCO2を高選択率で放出させることができる。
CO2の放出分離装置としては、分離ドラム、充填塔、棚段塔等が使用できる。これらには必要により1次吸収液の加熱のためには熱交換器、フラッシュのためには分離ドラム、減圧のためには減圧装置が加わる。CO2の放出分離手段と言うときには分離ドラム、充填塔又は棚段塔等に、熱交換器、コントロールバルブ、減圧装置が加わったものを言う。
1次吸収液からのCO2の放出量は、後述の2次吸収液から回収する混合ガス中のH2S濃度が所定の値になるように決められる。
これらの操作条件は、吸収液の気液平衡性能、温度、対象ガスの組成、圧力、回収ガスの組成、圧力等によって異なるが、加熱温度としては、80〜130℃、減圧としては大気圧〜20kg/cm2Gである。
この条件下ではCO2のみ放出され、H2Sの放出は実質上起こらないかわずかであり、純度の高いCO2を分離回収するのに適している。
しかし、CO2を処理対象ガスにリサイクルする場合には、CO2と共に少量のH2Sが放出される条件にしても構わない。
また、処理後ガスは、吸収条件を適当に選定することにより、H2Sの含有率を10ppm、あるいは1ppm以下に、あるいは、さらに条件を適切に選べば、H2SとCO2の含有率を共に10ppm、あるいは1ppm以下にすることができる。
【0015】
1次吸収液を上記操作によりCO2を放出させた残りの吸収液を2次吸収液という。2次吸収液中にはH2Sが濃縮されているので、2次吸収液をさらに加熱、フラッシュ、減圧あるいはこれらの組み合わせ操作により処理することにより、2次吸収液からCO2とH2Sを混合ガスとして放出させることができる。
これらの操作条件は、吸収液の気液平衡性能、温度、回収ガスの組成、圧力等によって異なるが、加熱温度としては、100〜130℃、減圧としては3kg/cm2G〜蒸気ストリッピングによる減圧法がある。
【0016】
上記の操作により1次吸収液からCO2を高選択率で放出させ、残りの2次吸収液からH2Sに富んだCO2及びH2Sの混合ガスを得ることができる。混合ガス中のH2Sの比率はできるだけ高い方が燃焼に有利であるが、CO2対H2Sの比率は少なくとも87容量%対13容量%、好ましくは、85容量%対15容量%以上である。CO2及びH2Sを含む混合ガスの燃焼は空気又は酸素により行われるので、上記値よりH2Sの比率が低いと燃焼しにくかったり燃焼時に硫黄を発生したりする。
【0017】
本発明の方法で採用できるプロセスは、特に限定されないが、以下にその例について図によって説明する。図では主要部のみ示し、使用が明らかなポンプ、弁類、CO2及びH2Sの混合ガスの燃焼設備、他の付属設備等は省略した。
図1において、1は処理対象ガス供給ライン、2は脱CO2及びH2S塔、3は処理後ガス排出口、4は冷却器、5は熱交換器、7は1次吸収液、6はCO2分離ドラム、8は2次吸収液、9は吸収液再生塔、10はリボイラー、11は再生吸収液還流ライン、12は一部放出CO2、14はコンプレッサー、15は分離CO2循環ライン、16は再生塔還流冷却器、17はCO2及びH2S混合ガス分離ドラム、18は回収混合ガス排出ラインである。
図1において、適宜前処理や温度調節された処理対象ガスはライン1により脱CO2及びH2S塔2へ導かれる。脱CO2及びH2S塔2に供給されたガスは同塔頂部から供給される所定温度および濃度の吸収液と同塔充填部で向流接触し、ガス中のCO2及びH2Sは吸収液により吸収除去され、排出口3から排出される。脱CO2及びH2S塔2の底部から排出された1次吸収液7は、熱交換器5に送液されて再生吸収液11と熱交換され加熱される。熱交換器5中で吸収液に含まれるCO2の一部は遊離し、液相より脱して気体状のCO2となり、全体として気相と液相の混相状態になる。前記の加熱される程度は、脱CO2及びH2S塔2の出口の吸収液温度よりも通常30〜80℃高い温度範囲である。このような混相状態の吸収液をCO2分離ドラム6に導き、一部放出CO2と2次吸収液8を分離し、一部放出CO2はコンプレッサー14、分離CO2循環ライン15により処理対象ガス供給ライン1に戻される。
この場合、必要により熱交換器5とCO2分離ドラム6の間にコントロールバルブを設けてフラッシュさせることが通常行われる。
一部放出CO2を分離した2次吸収液8は、再生塔9に導かれる。2次吸収液は、必要により熱交換器で再度加熱された後再生塔9に導かれてもよい。また、必要によりCO2分離ドラム6と熱交換器5の間に、さらに脱CO2工程を加えても構わない。
2次吸収液は、再生塔9でリボイラー10により加熱され、吸収液よりCO2、H2S混合ガスが放出されて吸収液が再生される。再生された吸収液は熱交換器5および冷却器4により冷却され、脱CO2及びH2S塔2へ戻される。再生された吸収液は、必要により、熱交換器により2次吸収液と熱交換した後サージドラムに貯留しても良い。再生塔9の上部において、吸収液から放出されたCO2、H2S混合ガスは、再生塔還流冷却器16により冷却され、CO2分離器17にて混合ガスに同伴した水蒸気を凝縮、分離し、混合ガス排出ライン18により酸化工程工程へ導かれる。還流水は、再生塔9の塔頂へ還流される。
【0018】
本発明の別のプロセスを図2に示す。図2のプロセスは図1のプロセスにおいて、処理対象ガスが高圧で、1次吸収液を加熱することなく、フラッシュのみでCO2を放出させ、CO2を処理対象ガス供給ライン1に戻すことなく、別途利用する場合またはそのまま大気に放出する場合である。2次吸収液8は、熱交換器5で加熱された後、再生塔9に導かれる。
【0019】
また、本発明の別の実施態様は、1次吸収液を加熱及び減圧してCO2を放出させても良い。ここで回収されたCO2は、処理対象ガス供給ライン1に戻しても良いし、戻すことなく、別途利用しても良い。
さらに、本発明の別の実施態様は、2次吸収液の一部を脱CO2及びH2S塔2の充填部の中間部にリサイクルしても良い。
【0020】
またさらに、本発明の別の実施態様は、1次吸収液からCO2を放出させる場合に、吸収液再生塔のようなCO2放出塔を使用することができる。さらにこの場合、再生吸収液の一部をCO2放出塔の中間部にリサイクルしても良い。このようにすることによって、純度の高いCO2を得ることができる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
(実施例1)
空気を吹き込んで製造した石炭ガス化ガスを処理対象ガスとして使用した。処理対象ガスの組成は一例として、水素、一酸化炭素、メタン等を有効成分とし、CO2を2.2容量%、H2Sを0.05容量%含んでいる。また、ガスの圧力は25気圧である。
40℃に冷却された処理対象ガスを1000m3/hrで脱CO2及びH2S塔に供給した。吸収液として、N−メチルジエタノールアミンの45%水溶液を使用し、処理対象ガスに対して液/ガス比が0.2リットル/Nm3になるようにして気液接触させ、CO2及びH2Sを吸収させた。選択率は3.4である。
得られた1次吸収液は45℃、25気圧であり、コントロールバルブを通して分離ドラムにフラッシュし、CO2の一部を放出させ、2次吸収液を得た。放出されたCO2はコンプレッサーにより加圧されて、処理対象ガス供給ラインに循環された。
2次吸収液を吸収液再生塔に供給し、リボイラーで120℃に加熱し、塔頂圧0.8気圧で、CO2及びH2S混合ガスを回収した。混合ガス中のCO2対H2Sの比率は70容量%対30容量%であった。
混合ガスに空気を加え燃焼させ、炭酸カルシウム懸濁水溶液に吸収させ石膏を得た。
【0023】
(実施例2)
重質油をガス化したガスを処理対象ガスとして使用した他は実施例1と同様に行った。処理対象ガスは、CO2を11容量%、H2Sを0.48容量%含んでいる。また、ガスの圧力は21kg/cm2・Gである。
40℃に冷却された処理対象ガスを1000m3/hrで脱CO2及びH2S塔に供給した。吸収液として、N−メチルジエタノールアミンの45%水溶液を使用し、処理対象ガスに対して液/ガス比が1.67リットル/Nm3で気液接触させ、CO2及びH2Sを吸収させた。
得られた1次吸収液は60℃、21kg/cm2・Gであり、熱交換器で80℃に加熱して分離ドラムに供給し、CO2の一部を放出させ、2次吸収液を得た。放出されたCO2はコンプレッサーにより加圧されて、処理対象ガス供給ラインに循環された。
2次吸収液を吸収液再生塔に供給し、リボイラーで120℃に加熱し、塔頂圧0.6kg/cm2・Gで、CO2、H2S混合ガスを回収した。混合ガス中のCO2対H2Sの比率は60容量%対40容量%であった。
混合ガスに空気を加え燃焼させ、炭酸カルシウム懸濁水溶液に吸収させ石膏を得た。
【0024】
(実施例3)
地中から発生する蒸気をタービンに供給して発電に使用した後のオフガスを処理対象ガスとした。処理対象ガスの組成は、水蒸気、窒素、酸素の他に、CO2とH2Sを含んでおり、CO2対H2Sの容積比率は97対3であった。また、ガスの圧力は大気圧である。
処理対象ガスを脱CO2及びH2S塔に供給し、吸収液としてN−メチルジエタノールアミンの45%水溶液を使用し、CO2及びH2Sを吸収させ、1次吸収液を得た。
得られた1次吸収液は55℃、大気圧であり、80℃に加熱し、コントロ−ル弁を通して分離ドラム中にフラッシュし、CO2の一部を放出させ、2次吸収液を得た。
2次吸収液を吸収液再生塔に供給し、リボイラーで120℃に加熱し、塔頂圧0.6気圧で、CO2、H2S混合ガスを回収した。混合ガス中のCO2対H2Sの比率は70容量%対30容量%であった。
回収された各混合ガスに空気を加え燃焼させ、炭酸カルシウム懸濁水溶液に吸収させ石膏を得た。
このようにして処理されたオフガスおよび放出されたCO2は硫化水素濃度が低いのでそのまま大気に放出することができた。
【0025】
(実施例4)
吸収液としてトリイソプロパノールアミン(選択率9)を使用した他は実施例3と同様に行った。
吸収液に対する接触ガス量は小さかったが、選択率が高く容易に分離することができた。
このようにして処理されたオフガスおよび放出されたCO2は硫化水素濃度が1ppm以下と低いのでそのまま大気に放出することができた。
【0025】
(実施例5)
吸収液として2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール(選択率5)を使用した他は実施例3と同様に行った。
吸収液に対するH2Sの負荷が0.07(H2Sのモル数/アミンのモル数)でH2Sを吸収分離することができた。
このようにして処理されたオフガスおよび放出されたCO2は硫化水素濃度が低いのでそのまま大気に放出することができた。
【0025】
【発明の効果】
石炭、重質油等のガス化ガス、合成用ガス、水性ガス、天然ガス等のCO2とH2Sを含む各種ガスを吸収液と接触させた後、吸収液よりH2SをCO2との混合ガスとして回収する場合に、混合ガス中のH2Sの比率を13容量%以上とすることが可能となり、混合ガスを部分酸化又は燃焼して硫黄、亜硫酸、硫酸、石膏を得ることができる。
また、本発明では、処理対象ガス中のCO2及びH2Sを10ppm以下、又は1ppm以下まで除去することが可能であり、CO2を高純度で回収することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス中の硫化水素の高濃度回収プロセスの一例である。
【図2】本発明のガス中の硫化水素の高濃度回収プロセスの別の例である。
【符号の説明】
1 処理対象ガス供給ライン
2 脱CO2及びH2S塔
3 処理後ガス排出口
4 冷却器
5 熱交換器
6 CO2分離ドラム
7 1次吸収液
8 2次吸収液
9 吸収液再生塔
10 リボイラー
11 再生吸収液還流ライン
12 一部放出CO2
14 コンプレッサー
15 分離CO2循環ライン
16 再生塔還流冷却器
17 CO2及びH2S混合ガス分離ドラム
18 回収混合ガス排出ライン
Claims (6)
- CO2とH2Sを含み、CO 2 対H 2 Sの容積濃度比率が96対4から98対2の範囲内である処理対象ガスと吸収液を接触させた後、CO2とH2Sを吸収した1次吸収液から加熱、フラッシュ、減圧あるいはこれらの組み合わせ操作によってCO2の一部を放出させるが、H 2 Sの放出は実質上起こらないかわずかであり、このCO2の一部を放出させたがH 2 Sの放出は実質上起こらないかわずかである2次吸収液から、1度の吸収液再生処理により、H2S濃度が13容量%以上のCO2との混合ガスを回収し、この回収した混合ガスを燃焼して石膏を得るH2Sの処理方法であって、
前記吸収液が、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−tert−ブチルジエタノールアミン、トリエチレンジアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−ジメチルアミノ−1−エタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、4−ジメチルアミノ−1−ブタノールまたはトリイソプロパノールアミン又はこれらの混合物からなる群から選ばれるアミンの水溶液であるH2Sの処理方法。 - 処理対象ガスが石炭ガス化ガス、重質油ガス化ガス、合成用ガス、水性ガス、天然ガス、地熱水蒸気オフガスである請求項1記載のH2Sの処理方法。
- 混合ガス中のH2S濃度が15容量%以上である請求項1又は2記載のH2Sの処理方法。
- 吸収液が、選択率((1次吸収液中のH2Sのモル数/1次吸収液中のCO2のモル数)/(処理対象ガス中のH2Sのモル%/処理対象ガス中のCO2のモル%))が3〜10の吸収液である請求項1、2又は3記載のH2Sの処理方法。
- 一部放出されたCO2を、処理対象ガスにリサイクルする請求項1〜4のいずれかに記載のH2Sの処理方法。
- CO2とH2Sを含み、CO 2 対H 2 Sの容積濃度比率が96対4から98対2の範囲内である処理対象ガスと、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−tert−ブチルジエタノールアミン、トリエチレンジアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−ジメチルアミノ−1−エタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、4−ジメチルアミノ−1−ブタノールまたはトリイソプロパノールアミン又はこれらの混合物からなる群から選ばれるアミンの水溶液の吸収液とを接触させる脱CO2及びH2S塔と、
前記脱CO2及びH2S塔でCO2とH2Sを吸収した1次吸収液から、加熱、フラッシュ、減圧あるいはこれらの組み合わせ操作によってCO2の一部を放出させるが、H 2 Sの放出は実質上起こらないかわずかであるCO2放出分離手段と、
前記CO2放出分離手段でCO2の一部を放出させたがH 2 Sの放出は実質上起こらないかわずかである2次吸収液から、H2S濃度が13容量%以上のCO2との混合ガスを回収する吸収液再生塔と、
前記混合ガスを燃焼して石膏を得る手段と
を備えたことを特徴とするH2Sの処理装置。
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JP07052097A JP4287915B2 (ja) | 1997-03-07 | 1997-03-07 | ガス中の硫化水素の処理方法及びその装置 |
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JP07052097A JP4287915B2 (ja) | 1997-03-07 | 1997-03-07 | ガス中の硫化水素の処理方法及びその装置 |
Publications (2)
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