JPH10249133A - ガス中の硫化水素の高濃度回収方法及びその装置 - Google Patents

ガス中の硫化水素の高濃度回収方法及びその装置

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JPH10249133A
JPH10249133A JP9070520A JP7052097A JPH10249133A JP H10249133 A JPH10249133 A JP H10249133A JP 9070520 A JP9070520 A JP 9070520A JP 7052097 A JP7052097 A JP 7052097A JP H10249133 A JPH10249133 A JP H10249133A
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high concentration
absorbing solution
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    • Y02C20/40Capture or disposal of greenhouse gases of CO2

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CO2及びH2Sを含む各種ガスから、CO2
及びH2Sの混合ガスをH2Sの比率13容量%以上の高
濃度で回収すること。 【解決手段】 石炭ガス化ガス等の処理対象ガスと吸収
液であるN−メチルジエタノールアミン水溶液を気液接
触させて、CO2とH2Sを吸収させ、CO2とH2Sを吸
収した吸収液より、フラッシュ、加熱、減圧又はこれら
操作の組み合わせによりCO2の一部を放出させた上
で、CO2の一部を放出させた後の吸収液から、H2S濃
度が13容量%以上のCO2との混合ガスを回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はCO2(二酸化炭
素)とH2S(硫化水素)を含む各種ガスからH2Sを選
択的に除去し、回収する方法及びその装置に関する。さ
らに詳しくは、CO2とH2Sを含む各種ガスと吸収液と
を接触させ、ガス中のCO2とH2Sを吸収した後吸収液
よりCO2を高選択率で放出させて、残りの吸収液から
2Sを高選択率で回収する方法及びその装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】石炭や重質油のガス化により得られるガ
ス化ガス、合成用ガス、水性ガス、天然ガス等の各種ガ
スに含まれるCO2やH2S等の酸性ガスを吸収剤を用い
て除去する技術は以前から知られている。これらの中に
は、単独吸収剤を使用するもの、混合吸収剤を使用する
もの、非水系吸収溶液を用いるもの、水系吸収溶液を用
いるものなど様々である。またCO2とH2Sを含むガス
からH2Sのみを高選択率で除去するもの、両者を除去
するものなどプロセスの目的に応じて吸収剤が選択され
ている。
【0003】例えばCO2とH2Sの両者を含むガスから
両方を共によく吸収する吸収剤としてモノエタノールア
ミン(MEA)が知られている。USP4,553,9
84には、メチルジエタノールアミン(以下、「MDE
A」と略す)の20〜70重量%水溶液を用いて、10
〜110バールの圧力下、40〜100℃でCO2とH2
Sを含む原料ガスと向流接触させ、原料ガス中のCO2
とH2Sを除去する方法が開示されている。ケミカルエ
ンジニアリングサイエンス(Chemical Eng
ineer−ing Science),41巻,2
号,405〜408頁には、常温付近において、2−ア
ミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)ような
ヒンダードアミンとMEAのような直鎖アミンの各水溶
液のCO2やH2Sに対する吸収速度が報告されている。
オイル ガス ジャーナル 7月16日,70〜76頁
(1984)には、フレキソーブ SE(Flexso
rb SE,商品名)が高選択率でH2Sを除去する吸
収剤として適すること、フレキソーブ PS(商品名
Flexsorb PS)がCO2とH2Sを共に除去す
るのに適する吸収剤であり、MDEAに比べフレキソー
ブ SEはH2Sの吸収能が優れているとされている。
【0004】一方、回収されたH2Sから硫黄を回収し
再利用する場合には使用量に限度があるため、H2Sを
燃焼して硫酸、亜硫酸又は石膏として回収している。こ
の場合、回収ガス中のH2Sの比率を13容量%以上、
CO2の比率を87容量%以下にしないと酸化が起こり
にくいという問題がある。しかし、上記のような吸収剤
を用いてもCO2に対するH2Sの選択除去性は十分では
ない。
【0005】一方、石炭ガス化ガス、コークス炉ガス、
天然ガス、合成ガスなどのガスからCO2および/又は
2Sを除去する方法として、特公平4−21521号
公報にはアルカノールアミン吸収液を用い、CO2など
を吸収した5〜110バールの高圧吸収液を段階的に放
圧させながら吸収液を再生する技術が記載されている。
また、吸収液を用いて天然ガス等からCO2を除去する
場合に、吸収液中にCO2とメタンが吸収されるので、
それらを吸収した吸収液をフラッシュさせてメタンガス
を放出させた後に、吸収液よりCO2を高選択率で回収
する技術が知られている。
【0006】しかし、CO2とH2Sを含む上記各種ガス
と吸収液を接触させた後、空気又は酸素により燃焼可能
な濃度でH2Sを含むガスを回収し、部分酸化又は燃焼
して石膏等を得る方法は知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、石
炭、重質油等のガス化ガス、合成用ガス、水性ガス、天
然ガス等のCO2及びH2Sを含む各種ガスと吸収液を接
触させた後、吸収液よりH2SをCO2との混合ガスとし
て回収する場合に、混合ガスを部分酸化又は燃焼して硫
黄、亜硫酸、硫酸、石膏を得ることができるように、H
2Sの比率を13容量%以上の高濃度で回収することで
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、CO2
2Sを含む各種ガスと吸収液を接触させた後、吸収液
よりCO2を高選択率で放出させた後に、吸収液からH2
SをCO2との混合ガスとして回収することにより、上
記問題を解決しうることを見い出し、本発明を完成する
に至った。
【0009】すなわち本発明は、石炭ガス化ガス、重質
油ガス化ガス、合成用ガス、水性ガス、天然ガス、地熱
水蒸気オフガスのようなCO2とH2Sを含む処理対象ガ
スと選択率((1次吸収液中のH2Sのモル数/1次吸
収液中のCO2のモル数)/(処理対象ガス中のH2Sの
モル%/処理対象ガス中のCO2のモル%))が3〜1
0の、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N
−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、
N−tert−ブチルジエタノールアミン、トリエチレ
ンジアミン、2−ジメチルアミノ−1−エタノール、2
−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、3
−ジメチルアミノ−1−プロパノール、4−ジメチルア
ミノ−1−ブタノールまたはトリイソプロパノールアミ
ン又はこれらの混合物からなる群から選ばれるアミンの
水溶液を接触させた後、CO2とH2Sを吸収した1次吸
収液よりCO2の一部を放出させた上で、CO2の一部を
放出させた後の2次吸収液から、H2S濃度が13容量
%以上のCO2との混合ガスを回収するH2Sの高濃度回
収方法、及び、その装置に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で処理の対象となるガス
は、CO2及びH2Sの両者を含みH2Sの容積濃度がC
2の容積濃度に較べて低い各種ガスであり、石炭や重
質油のガス化により得られるガス化ガス、合成用ガス、
水性ガス、天然ガス、地熱水蒸気オフガス等である。石
炭ガス化ガスの組成は、原料炭やガス化を酸素で行うか
空気で行うかにもよるが、例えば水素、一酸化炭素、メ
タンを主成分とし、CO2を数ないし十数%、H2Sを数
百ないし数千ppm含んでいる。合成用ガスでは、CO
2を数ないし十%、H2Sを数十ないし数百ppm含んで
いる。天然ガスでは、例えば、CO2を数%、H2Sを数
十ないし数百ppm含んでいるものがあり、H2Sは当
然除去しなければならないが、H2S以外にCO2が含ま
れていると、天然ガス中のメタンやエタンの液化工程
で、−50℃以下に冷却するので、CO2が氷結し、液
化工程のラインを閉塞させる。従って、液化に先立つ精
製段階において、H2Sと共にCO2含量も低減させる必
要がある。また、地熱水蒸気を発電等に使用した後のオ
フガスはCO2を主成分とし、H2Sを数%含むので、こ
のまま大気中に排出するには問題がある。本発明では、
原料、燃料ガスのみならず、このようなオフガスも処理
して無害なガスとして放出できるとともに、吸収液から
回収されたCO2とH2Sを含む混合ガスを燃焼して硫黄
酸化物とし、水酸化カルシウム水溶液等と反応させて石
膏にすることが可能である。
【0011】本発明において、吸収液としてH2Sおよ
びCO2の両者に対し優れた吸収性能を示すものを用い
るが、両成分ガスに対する吸収速度は処理対象ガスの組
成、吸収条件等により異なる。従って、本発明において
はCO2に対するH2Sの吸収性の選択率ηで評価するこ
とする。ここでH2Sの選択吸収性は、所定の吸収条件
下において、吸収液中に吸収されたH2Sのモル数を同
CO2のモル数で除し、さらにその値を処理対象ガス中
のH2Sのモル%数とCO2のモル%数の比で除したもの
であり、下記のように表される。 η=(1次吸収液中のH2Sのモル数/1次吸収液中の
CO2のモル数)/(処理対象ガス中のH2Sのモル%/
処理対象ガス中のCO2のモル%)
【0012】このような吸収液は、下記各種アミンの水
溶液が使用される。各種アミンとしては、2−アミノ−
2−メチル−1−プロパノール(AMP)、N−メチル
ジエタノールアミン、トリエタノールアミン(TE
A)、N−tert−ブチルジエタノールアミン、トリ
エチレンジアミン、2−ジメチルアミノ−1−エタノー
ル、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノー
ル、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、4−ジメ
チルアミノ−1−ブタノール、トリイソプロパノールア
ミンのような低級アルキルアミノ低級アルカノールのよ
うなヒンダードアミンあるいはこれらのアミン類にピペ
ラジン類、ピペリジン類等の助剤を添加したものが挙げ
られる。これらのアミンは、吸収液に対するH2Sの負
荷が0.01〜0.1(H2Sのモル数/アミンのモル
数)の範囲で、選択率は3から10である。一般に、吸
収液に対するH2Sの負荷が大きくとれるアミンは選択
率が小さくなる傾向がある。 水溶液中のアミンの濃度
は、通常15〜75重量%である。また本発明で用いる
水溶液には、必要に応じて腐蝕防止剤、劣化防止剤等が
加えられる。これらの吸収液は、加熱温度、圧力を適当
に選択することにより、CO2をH2Sよりも優先的に、
即ち、高選択率で放出する。
【0013】本発明において、処理対象ガスと吸収液の
接触は、吸収塔等を使用して通常向流で行われる。接触
温度は、通常30〜80℃の範囲であり、接触時の処理
対象ガスの圧力は、通常大気圧〜150Kg/cm2
の範囲である。
【0014】本発明において、処理対象ガスからCO2
とH2Sを吸収した後の吸収液(1次吸収液という)か
らCO2を高選択率で放出させるには、1次吸収液を加
熱、フラッシュ、減圧あるいはこれらの組み合わせ操作
により、あるいはこれらの操作を多段で用いることによ
り、行うことができる。放出された、CO2は処理対象
ガスに循環しても良いし、別途CO2ガスとして取り出
しても良い。例えば、処理対象ガスが高圧の場合には、
1次吸収液をフラッシュするだけで、CO2を高選択率
で放出させることができるし、処理対象ガスが常圧の場
合には、1次吸収液を加熱して、又は、1次吸収液を加
熱及び減圧してCO2を高選択率で放出させることがで
きる。CO2の放出分離装置としては、分離ドラム、充
填塔、棚段塔等が使用できる。これらには必要により1
次吸収液の加熱のためには熱交換器、フラッシュのため
には分離ドラム、減圧のためには減圧装置が加わる。C
2の放出分離手段と言うときには分離ドラム、充填塔
又は棚段塔等に、熱交換器、コントロールバルブ、減圧
装置が加わったものを言う。1次吸収液からのCO2
放出量は、後述の2次吸収液から回収する混合ガス中の
2S濃度が所定の値になるように決められる。これら
の操作条件は、吸収液の気液平衡性能、温度、対象ガス
の組成、圧力、回収ガスの組成、圧力等によって異なる
が、加熱温度としては、80〜130℃、減圧としては
大気圧〜20kg/cm2Gである。この条件下ではC
2のみ放出され、H2Sの放出は実質上起こらないかわ
ずかであり、純度の高いCO2を分離回収するのに適し
ている。しかし、CO2を処理対象ガスにリサイクルす
る場合には、CO2と共に少量のH2Sが放出される条件
にしても構わない。また、処理後ガスは、吸収条件を適
当に選定することにより、H2Sの含有率を10pp
m、あるいは1ppm以下に、あるいは、さらに条件を
適切に選べば、H2SとCO2の含有率を共に10pp
m、あるいは1ppm以下にすることができる。
【0015】1次吸収液を上記操作によりCO2を放出
させた残りの吸収液を2次吸収液という。2次吸収液中
にはH2Sが濃縮されているので、2次吸収液をさらに
加熱、フラッシュ、減圧あるいはこれらの組み合わせ操
作により処理することにより、2次吸収液からCO2
2Sを混合ガスとして放出させることができる。これ
らの操作条件は、吸収液の気液平衡性能、温度、回収ガ
スの組成、圧力等によって異なるが、加熱温度として
は、100〜130℃、減圧としては3kg/cm2
〜蒸気ストリッピングによる減圧法がある。
【0016】上記の操作により1次吸収液からCO2
高選択率で放出させ、残りの2次吸収液からH2Sに富
んだCO2及びH2Sの混合ガスを得ることができる。混
合ガス中のH2Sの比率はできるだけ高い方が燃焼に有
利であるが、CO2対H2Sの比率は少なくとも87容量
%対13容量%、好ましくは、85容量%対15容量%
以上である。CO2及びH2Sを含む混合ガスの燃焼は空
気又は酸素により行われるので、上記値よりH2Sの比
率が低いと燃焼しにくかったり燃焼時に硫黄を発生した
りする。
【0017】本発明の方法で採用できるプロセスは、特
に限定されないが、以下にその例について図によって説
明する。図では主要部のみ示し、使用が明らかなポン
プ、弁類、CO2及びH2Sの混合ガスの燃焼設備、他の
付属設備等は省略した。図1において、1は処理対象ガ
ス供給ライン、2は脱CO2及びH2S塔、3は処理後ガ
ス排出口、4は冷却器、5は熱交換器、7は1次吸収
液、6はCO2分離ドラム、8は2次吸収液、9は吸収
液再生塔、10はリボイラー、11は再生吸収液還流ラ
イン、12は一部放出CO2、14はコンプレッサー、
15は分離CO2循環ライン、16は再生塔還流冷却
器、17はCO2及びH2S混合ガス分離ドラム、18は
回収混合ガス排出ラインである。図1において、適宜前
処理や温度調節された処理対象ガスはライン1により脱
CO2及びH2S塔2へ導かれる。脱CO2及びH2S塔2
に供給されたガスは同塔頂部から供給される所定温度お
よび濃度の吸収液と同塔充填部で向流接触し、ガス中の
CO2及びH2Sは吸収液により吸収除去され、排出口3
から排出される。脱CO2及びH2S塔2の底部から排出
された1次吸収液7は、熱交換器5に送液されて再生吸
収液11と熱交換され加熱される。熱交換器5中で吸収
液に含まれるCO2の一部は遊離し、液相より脱して気
体状のCO2となり、全体として気相と液相の混相状態
になる。前記の加熱される程度は、脱CO2及びH2S塔
2の出口の吸収液温度よりも通常30〜80℃高い温度
範囲である。このような混相状態の吸収液をCO2分離
ドラム6に導き、一部放出CO2と2次吸収液8を分離
し、一部放出CO2はコンプレッサー14、分離CO2
環ライン15により処理対象ガス供給ライン1に戻され
る。この場合、必要により熱交換器5とCO2分離ドラ
ム6の間にコントロールバルブを設けてフラッシュさせ
ることが通常行われる。一部放出CO2を分離した2次
吸収液8は、再生塔9に導かれる。2次吸収液は、必要
により熱交換器で再度加熱された後再生塔9に導かれて
もよい。また、必要によりCO2分離ドラム6と熱交換
器5の間に、さらに脱CO2工程を加えても構わない。
2次吸収液は、再生塔9でリボイラー10により加熱さ
れ、吸収液よりCO2、H2S混合ガスが放出されて吸収
液が再生される。再生された吸収液は熱交換器5および
冷却器4により冷却され、脱CO2及びH2S塔2へ戻さ
れる。再生された吸収液は、必要により、熱交換器によ
り2次吸収液と熱交換した後サージドラムに貯留しても
良い。再生塔9の上部において、吸収液から放出された
CO2、H2S混合ガスは、再生塔還流冷却器16により
冷却され、CO2分離器17にて混合ガスに同伴した水
蒸気を凝縮、分離し、混合ガス排出ライン18により酸
化工程工程へ導かれる。還流水は、再生塔9の塔頂へ還
流される。
【0018】本発明の別のプロセスを図2に示す。図2
のプロセスは図1のプロセスにおいて、処理対象ガスが
高圧で、1次吸収液を加熱することなく、フラッシュの
みでCO2を放出させ、CO2を処理対象ガス供給ライン
1に戻すことなく、別途利用する場合またはそのまま大
気に放出する場合である。2次吸収液8は、熱交換器5
で加熱された後、再生塔9に導かれる。
【0019】また、本発明の別の実施態様は、1次吸収
液を加熱及び減圧してCO2を放出させても良い。ここ
で回収されたCO2は、処理対象ガス供給ライン1に戻
しても良いし、戻すことなく、別途利用しても良い。さ
らに、本発明の別の実施態様は、2次吸収液の一部を脱
CO2及びH2S塔2の充填部の中間部にリサイクルして
も良い。
【0020】またさらに、本発明の別の実施態様は、1
次吸収液からCO2を放出させる場合に、吸収液再生塔
のようなCO2放出塔を使用することができる。さらに
この場合、再生吸収液の一部をCO2放出塔の中間部に
リサイクルしても良い。このようにすることによって、
純度の高いCO2を得ることができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】(実施例1)空気を吹き込んで製造した石
炭ガス化ガスを処理対象ガスとして使用した。処理対象
ガスの組成は一例として、水素、一酸化炭素、メタン等
を有効成分とし、CO2を2.2容量%、H2Sを0.0
5容量%含んでいる。また、ガスの圧力は25気圧であ
る。40℃に冷却された処理対象ガスを1000m3
hrで脱CO2及びH2S塔に供給した。吸収液として、
N−メチルジエタノールアミンの45%水溶液を使用
し、処理対象ガスに対して液/ガス比が0.2リットル
/Nm3になるようにして気液接触させ、CO2及びH2
Sを吸収させた。選択率は3.4である。得られた1次
吸収液は45℃、25気圧であり、コントロールバルブ
を通して分離ドラムにフラッシュし、CO2の一部を放
出させ、2次吸収液を得た。放出されたCO2はコンプ
レッサーにより加圧されて、処理対象ガス供給ラインに
循環された。2次吸収液を吸収液再生塔に供給し、リボ
イラーで120℃に加熱し、塔頂圧0.8気圧で、CO
2及びH2S混合ガスを回収した。混合ガス中のCO2
2Sの比率は70容量%対30容量%であった。混合
ガスに空気を加え燃焼させ、炭酸カルシウム懸濁水溶液
に吸収させ石膏を得た。
【0023】(実施例2)重質油をガス化したガスを処
理対象ガスとして使用した他は実施例1と同様に行っ
た。処理対象ガスは、CO2を11容量%、H2Sを0.
48容量%含んでいる。また、ガスの圧力は21kg/
cm2・Gである。40℃に冷却された処理対象ガスを
1000m3/hrで脱CO2及びH2S塔に供給した。
吸収液として、N−メチルジエタノールアミンの45%
水溶液を使用し、処理対象ガスに対して液/ガス比が
1.67リットル/Nm3で気液接触させ、CO2及びH
2Sを吸収させた。得られた1次吸収液は60℃、21
kg/cm2・Gであり、熱交換器で80℃に加熱して
分離ドラムに供給し、CO2の一部を放出させ、2次吸
収液を得た。放出されたCO2はコンプレッサーにより
加圧されて、処理対象ガス供給ラインに循環された。2
次吸収液を吸収液再生塔に供給し、リボイラーで120
℃に加熱し、塔頂圧0.6kg/cm2・Gで、CO2
2S混合ガスを回収した。混合ガス中のCO2対H2
の比率は60容量%対40容量%であった。混合ガスに
空気を加え燃焼させ、炭酸カルシウム懸濁水溶液に吸収
させ石膏を得た。
【0024】(実施例3)地中から発生する蒸気をター
ビンに供給して発電に使用した後のオフガスを処理対象
ガスとした。処理対象ガスの組成は、水蒸気、窒素、酸
素の他に、CO2とH2Sを含んでおり、CO2対H2Sの
容積比率は97対3であった。また、ガスの圧力は大気
圧である。処理対象ガスを脱CO2及びH2S塔に供給
し、吸収液としてN−メチルジエタノールアミンの45
%水溶液を使用し、CO2及びH2Sを吸収させ、1次吸
収液を得た。得られた1次吸収液は55℃、大気圧であ
り、80℃に加熱し、コントロ−ル弁を通して分離ドラ
ム中にフラッシュし、CO2の一部を放出させ、2次吸
収液を得た。2次吸収液を吸収液再生塔に供給し、リボ
イラーで120℃に加熱し、塔頂圧0.6気圧で、CO
2、H2S混合ガスを回収した。混合ガス中のCO2対H2
Sの比率は70容量%対30容量%であった。回収され
た各混合ガスに空気を加え燃焼させ、炭酸カルシウム懸
濁水溶液に吸収させ石膏を得た。このようにして処理さ
れたオフガスおよび放出されたCO2は硫化水素濃度が
低いのでそのまま大気に放出することができた。
【0025】(実施例4)吸収液としてトリイソプロパ
ノールアミン(選択率9)を使用した他は実施例3と同
様に行った。吸収液に対する接触ガス量は小さかった
が、選択率が高く容易に分離することができた。このよ
うにして処理されたオフガスおよび放出されたCO2
硫化水素濃度が1ppm以下と低いのでそのまま大気に
放出することができた。
【0025】(実施例5)吸収液として2−ジメチルア
ミノ−2−メチル−1−プロパノール(選択率5)を使
用した他は実施例3と同様に行った。吸収液に対するH
2Sの負荷が0.07(H2Sのモル数/アミンのモル
数)でH2Sを吸収分離することができた。このように
して処理されたオフガスおよび放出されたCO2は硫化
水素濃度が低いのでそのまま大気に放出することができ
た。
【0025】
【発明の効果】石炭、重質油等のガス化ガス、合成用ガ
ス、水性ガス、天然ガス等のCO2とH2Sを含む各種ガ
スを吸収液と接触させた後、吸収液よりH2SをCO2
の混合ガスとして回収する場合に、混合ガス中のH2
の比率を13容量%以上とすることが可能となり、混合
ガスを部分酸化又は燃焼して硫黄、亜硫酸、硫酸、石膏
を得ることができる。また、本発明では、処理対象ガス
中のCO2及びH2Sを10ppm以下、又は1ppm以
下まで除去することが可能であり、CO2を高純度で回
収することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス中の硫化水素の高濃度回収プロセ
スの一例である。
【図2】本発明のガス中の硫化水素の高濃度回収プロセ
スの別の例である。
【符号の説明】
1 処理対象ガス供給ライン 2 脱CO2及びH2S塔 3 処理後ガス排出口 4 冷却器 5 熱交換器 6 CO2分離ドラム 7 1次吸収液 8 2次吸収液 9 吸収液再生塔 10 リボイラー 11 再生吸収液還流ライン 12 一部放出CO2 14 コンプレッサー 15 分離CO2循環ライン 16 再生塔還流冷却器 17 CO2及びH2S混合ガス分離ドラム 18 回収混合ガス排出ライン

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】CO2とH2Sを含む処理対象ガスと吸収液
    を接触させた後、CO2とH2Sを吸収した1次吸収液よ
    りCO2の一部を放出させた上で、CO2の一部を放出さ
    せた後の2次吸収液から、H2S濃度が13容量%以上
    のCO2との混合ガスを回収することを特徴とするH2
    の高濃度回収方法。
  2. 【請求項2】処理対象ガスが石炭ガス化ガス、重質油ガ
    ス化ガス、合成用ガス、水性ガス、天然ガス、地熱水蒸
    気オフガスである請求項1記載のH2Sの高濃度回収方
    法。
  3. 【請求項3】混合ガス中のH2S濃度が15容量%以上
    である請求項1又は2記載のH2Sの高濃度回収方法。
  4. 【請求項4】吸収液が、選択率((1次吸収液中のH2
    Sのモル数/1次吸収液中のCO2のモル数)/(処理
    対象ガス中のH2Sのモル%/処理対象ガス中のCO2
    モル%))が3〜10の吸収液である請求項1、2又は
    3記載のH2Sの高濃度回収方法。
  5. 【請求項5】吸収液が、2−アミノ−2−メチル−1−
    プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、トリエ
    タノールアミン、N−tert−ブチルジエタノールア
    ミン、トリエチレンジアミン、2−ジメチルアミノ−2
    −メチル−1−プロパノール、2−ジメチルアミノ−1
    −エタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノー
    ル、4−ジメチルアミノ−1−ブタノールまたはトリイ
    ソプロパノールアミン又はこれらの混合物からなる群か
    ら選ばれるアミンの水溶液である請求項4記載のH2
    の高濃度回収方法。
  6. 【請求項6】一部放出されたCO2を、処理対象ガスに
    リサイクルする請求項1〜5のいずれかに記載のH2
    の高濃度回収方法。
  7. 【請求項7】脱CO2及びH2S塔、CO2放出分離手
    段、吸収液再生塔からなり、脱CO2及びH2S塔により
    CO2とH2Sを含む処理対象ガスと吸収液を接触させた
    後、CO2とH2Sを吸収した1次吸収液からCO2放出
    分離手段によりCO2の一部を放出させた上で、CO2
    一部を放出させた後の2次吸収液から吸収液再生塔によ
    りH2S濃度が13容量%以上のCO2との混合ガスを回
    収することを特徴とするH2Sの高濃度回収装置。
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