JP4287296B2 - キャリアシートの張力制御方法及び装置 - Google Patents
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図6は、このようなキャリアシートに、一定の張力を与えながら搬送する搬送装置を示す模式図である(例えば特許文献1参照)。この搬送装置は、キャリアシート1を巻き取った第2のサクションロール102からキャリアシート1を送り出して、第1のサクションロール101に巻き替える。この送り出す間に、加工装置(図示せず)により、キャリアシート1に塗布されたセラミックスラリーの加工などを行う。第1のサクションロール101はサーボモータ106により回転駆動され、サーボモータ106は、ドライバ107により制御される。第2のサクションロール102はサーボモータ108により回転駆動され、サーボモータ108は、ドライバ109により制御される。
たわみやわずかな変形があれば、セラミック膜にクラックが生じ、完成品となった多層配線基板や積層セラミック電子部品の構造欠陥や電気性能不良が発生する。
ところが前記図6に示したような従来の搬送装置では、キャリアシート加減速時に搬送加速度の急激な変化が生じるこのときに、テンションローラの慣性定数や回転粘性といった負荷要素が作用してキャリアシートの張力の検出が正確に行えないという問題がある。
さらに、テンションローラでキャリアシートの方向を変えるので、キャリアシートが不要に曲げられることになり、この曲げがキャリアシートに悪い影響を与える。
(Tb−Jbθb″−Dbθb′)/Rb=K(Rbθb−Raθa) (2)
(式中「′」は時間微分d/dtを表し、「″」は時間二次微分d2/dt2を表す)
この方法によれば、キャリアシートの張力を検出するセンサを特に設けなくても、トルクサーボモータのトルクを、前記(1)式または(2)式に従って制御することにより、キャリアシートの速度を制御し、もってキャリアシートの張力が一定になるように制御をすることができる。
前記キャリアシートの材質は、例えば、ナイロンフィルム、フッ素フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリイミドフィルムの中から選ばれる1種類、又は複数種類の混合である。
前記キャリアシートの厚みは、典型的には、1μm以上100μm以下である。
図1は、本発明のキャリアシートの搬送装置の一例を示す模式図である。この搬送装置は、キャリアシート1を搬送するために設けた2つの搬送用ローラ2a,2bと、それぞれの搬送用ローラ2a,2bを回転駆動する2つのトルクサーボモータ3a,3bとを備えている。キャリアシート1を搬送する下流の搬送用ローラ2aを「第1のローラ2a」、上流の搬送用ローラ2bを「第2のローラ2b」ということがある。2つのローラ2a,2b間にはキャリアシート1の張力を測定するローラは配置されていない。
本発明では、張力を測定するローラを用いないで、トルクサーボモータ3aおよび/または3bのトルクを制御することにより、キャリアシート1の張力が一定になるように制御をする。
トルクサーボモータ3aの回転角をθa,トルクサーボモータ3bの回転角をθb、トルクサーボモータ3aで発生するトルクをTa,トルクサーボモータ3bで発生するトルクをTbとする。第1のローラ2aの慣性定数をJa、粘性定数をDa、第2のローラ2bの慣性定数をJb、粘性定数をDbとする。また、キャリアシート1のバネ定数をKとする。また第1のローラ2a側に加わる変動分をTLa、第2のローラ2b側に加わる変動分をTLbとする。
運動方程式は、次の(3)(4)式のように表される。式中、1つのドット「・」は、「′」と同じ意味であり、時間微分d/dtをす。2つのドット「・・」は、「″」と同じ意味であり、時間二次微分d2/dt2を表す。
そこで、前記(3)(5)式を整理すると、次の(7)式のようになる。添え字nは、前記変動分を無視した値、すなわち公称値(ノミナル値という)であることを表す。
(Kn+ΔK)(Ra2θa−RaRbθb)
つまり
(Kn+ΔK)Ra(Raθa−Rbθb)
のうち
(Kn+ΔK)(Raθa−Rbθb)
は、第1のローラ2aの回転角と半径との積から、第2のローラ2bの回転角と半径との積を引いた差にバネ定数をかけたもの、すなわち張力を表す。また(7)式の左辺のJa,Daは、ノミナル値であり、角速度θa ′、角加速度θa″は、リアルタイムで把握できる値である。そこで前記張力が一定になるように、(7)式の左辺のトルクTaを制御することができる。
(Kn+ΔK)(Rb2θb−RaRbθa)
つまり
(Kn+ΔK)Rb(Rbθb−Raθa)
のうち
(Kn+ΔK)(Rbθb−Raθa)
は、張力を表す。この張力が一定になるように、(8)式の左辺のトルクTbを制御するようにしてもよい。
図2は、本発明の張力制御方法を説明するためのブロック線図である。図2において、Raは第1のローラ2aの半径、Rbは第2のローラ2bの半径である。
キャリアシート1が単位時間(例えば200ms)あたり進む距離を決め、これを時間で割って、角度指令値θ*を決める。また、張力指令値F*を設定する。
トルク発生器33で発生したトルクTbを加算器27において出力し、加算器27の出力に1/(Jb・s)が作用し角速度θb′が決まる。この角速度θb′に,粘性定数Dbが作用したものが、前記トルク発生器33の出力側の加算器27の負荷となる。さらにこの角速度θb′を、前述したように加算器30に減算する。
F*・Rb−(Tb*−θb′Dn−θb″Jn) (9)
に相当する。この加算器29で得られたトルク差を、PI制御器34を通して、トルク発生器33に入力する。
以上のように、キャリアシートの搬送時の張力を一定に制御することができる。
図3は、本発明の他の張力制御方法を説明するためのブロック線図であり、図2と異なるところは、加算器29の出力がPI制御器34を通して、加算器30の前段に設けた加算器35に加算されているところである。その他の構成は図2と同様であり、効果も異ならない。
以上に説明した本発明の張力制御方法およびその方法を実現する装置を用いることにより、常にキャリアシートの張力を一定に保ちながらキャリアシート搬送することができ、キャリアシートのたわみ、伸び、変形を防止することができる。したがって、キャリアシート上に塗布されたセラミックスラリーの加工時に、寸法の正確さを保つことができ、多層配線基板や積層セラミック電子部品などの製品の性能向上が実現できる。
2a,2b 搬送用ローラ
3a,3b トルクサーボモータ
4a,4b トルク発生器
5a,5b ドライバ
20,22,25,26,27,28,29,30,32,35 加算器
21,23,31,34 PI制御器
24,33 トルク発生器
Claims (5)
- キャリアシートの搬送下流側に配置された第1のローラと、上流側に配置された第2のローラと、それぞれのローラを回転駆動する2つのトルクサーボモータと、トルクサーボモータのトルクを制御するトルク発生器とを用いて、キャリアシートを搬送する方法において、
第1のローラの半径をRa、回転角をθa,第2のローラの半径をRb、回転角をθb、第1のローラを駆動するトルクサーボモータで発生するトルクをTa,第2のローラを駆動するトルクサーボモータで発生するトルクをTb、第1のローラの慣性定数をJa、粘性定数をDa、第2のローラの慣性定数をJb、粘性定数をDb、キャリアシートのバネ定数をKとした場合に、次式(1)又は(2)のいずれか一方又は両方に基づいて、トルクサーボモータのトルクを制御することにより、キャリアシートの張力が一定になるように制御をすることを特徴とするキャリアシートの張力制御方法。
(Ta−Jaθa″−Daθa′)/Ra=K(Raθa−Rbθb) (1)
(Tb−Jbθb″−Dbθb′)/Rb=K(Rbθb−Raθa) (2)
(式中「′」は時間微分d/dtを表し、「″」は時間二次微分d2/dt2を表す) - 前記キャリアシートは、セラミックスラリーを塗布したシートである請求項1記載のキャリアシートの張力制御方法。
- 前記キャリアシートの材質は、ナイロンフィルム、フッ素フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリイミドフィルムの中から選ばれる1種類、又は複数種類の混合である請求項1又は請求項2記載のキャリアシートの張力制御方法。
- 前記キャリアシートの厚みは、1μm以上100μm以下である請求項1から請求項3のいずれかに記載のキャリアシートの張力制御方法。
- キャリアシートの搬送下流側に配置された第1のローラと、上流側に配置された第2のローラと、それぞれのローラを回転駆動する2つのトルクサーボモータと、トルクサーボモータのトルクを制御するトルク発生器とを備えるキャリアシート搬送装置に用いられ、
第1のローラの半径をRa、回転角をθa,第2のローラの半径をRb、回転角をθb、第1のローラを駆動するトルクサーボモータで発生するトルクをTa,第2のローラを駆動するトルクサーボモータで発生するトルクをTb、第1のローラの慣性定数をJa、粘性定数をDa、第2のローラの慣性定数をJb、粘性定数をDb、キャリアシートのバネ定数をKとした場合に、次式(1)又は(2)のいずれか一方又は両方に基づいて、トルクサーボモータのトルクを制御することにより、キャリアシートの張力が一定になるように制御をする制御手段を備えることを特徴とするキャリアシートの張力制御装置。
(Ta−Jaθa″−Daθa′)/Ra=K(Raθa−Rbθb) (1)
(Tb−Jbθb″−Dbθb′)/Rb=K(Rbθb−Raθa) (2)
(式中「′」は時間微分d/dtを表し、「″」は時間二次微分d2/dt2を表す)
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