JP4286438B2 - クランク軸ホルダ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本出願発明は、内燃機関などクランク機構を備えた機械において、クランク軸を回転自在に支持する支持部を有するクランク軸ホルダに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関のクランク軸は、実公平2−5041号公報に開示されるように、クランクケースに形成されたボアに軸受を介して支持され、該クランク軸の回転がクラッチおよびミッションギヤを介して車輪に伝達される。また、この公報で開示された内燃機関では、クランク軸上のタイミング歯車とカム軸上のカム歯車とを、互いに噛合う少なくとも2個の中間歯車からなる歯車列を介して歯車連結し、それら中間歯車の歯車軸を、該中間歯車と熱膨張率の略等しい材料からなる一対の保持板を有するユニットフレーム上に、中間歯車相互の適正な噛合い位置で軸支している。その結果、内燃機関の温度上昇時において、中間歯車とユニットフレームとが同一の割合で膨張するため、中間歯車相互の適正な噛合い関係が変わらず、バックラッシュの増大による歯車の噛合い音の発生を防止できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の内燃機関では、クランク軸の保持部は、クランクケースとともに一体に鋳造された保持部が壁を形成しているため、クランク軸に設けられた駆動歯車と噛合する従動歯車が設けられた回転軸等のクランク軸周辺の部品の組付けが困難であった。
【0004】
また、保持部は軽合金材料からなるクランクケースと一体鋳造されるため、保持部の材料の選択の範囲は限られたものとなり、例えば前記従来の内燃機関の中間歯車と該中間歯車の歯車軸を保持するユニットフレームとの組合せにみられるように、熱膨張の観点から保持部を形成する材料を選択するといった、クランク軸とその保持部という関係のみを考慮して、クランク軸固有の機能に適合した保持部の材料を選択することは困難であった。
【0005】
さらに、クランク軸がクランクケースと一体に鋳造された保持部に回転自在に支持されることから、クランク軸に対して、歯車を介して駆動連結されるカム軸やミッションギヤの主軸は、クランク軸とは別々に機関本体に取り付けられることになって、組付け工数が増加するため、それら軸の機関本体への組付け性の点で改善の余地があった。
【0006】
本出願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、請求項1ないし請求項13記載の発明は、クランク軸周辺の部品の組付けを容易にするとともに、クランク軸ホルダの材料の選択の幅を広げることができるクランク軸ホルダを提供すること、および、クランク軸によりギヤを介して駆動される回転軸等の、固定部材に対する組付け性および取外し性が向上するクランク軸ホルダを提供することを共通の目的とする。
【0007】
そして、請求項2および請求項3記載の発明は、さらに、大きな力が作用するクランク軸を確実に保持する剛性を有するクランク軸ホルダを提供することを目的とし、請求項記載の発明は、さらに、内燃機関の温度上昇時の熱膨張に起因するバックラッシュの増大によるギヤの噛合い音の発生を防止できるクランク軸ホルダを提供すること、請求項載の発明は、さらに、クランク軸等の適正な位置を保持できるクランク軸ホルダを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本出願の請求項1記載の発明は、プレス加工された板材からなるホルダ本体と、該ホルダ本体に形成されて内燃機関のクランク軸を回転自在に支持する第1支持部と、前記ホルダ本体に設けられて前記内燃機関のクランクケースへの止め具が保持される取付部とを備えたクランク軸ホルダであって、該クランク軸ホルダが、前記クランクケースとは別部材で構成されて、前記止め具により前記クランクケースに対して着脱自在とされ、前記クランク軸に設けられた駆動ギヤと噛合する従動ギヤが設けられて前記内燃機関に取り付けられる機構を駆動する回転軸を回転自在に支持する第2支持部が、前記ホルダ本体に形成されるクランク軸ホルダである。
【0009】
この請求項1記載の発明によれば、クランク軸を支持する第1支持部が形成されたホルダ本体がプレス加工された板材で形成されるため、クランク軸ホルダの軽量化・形成容易化が可能となる。さらに、クランクケースへの取付部を備えるクランク軸ホルダは、クランク軸が配置されるクランクケースとは別部材で構成されて、止め具によりクランクケースに着脱自在とされる。その結果、クランクケースにはクランク軸の保持部を形成する必要がないため、クランクケースの構造が簡素化されて、クランク軸およびクランク軸周辺の部品の組付けが容易になる。
【0010】
また、クランク軸ホルダの形成材料もクランクケースの形成材料に限定されることなく、例えばクランク軸に設けられる駆動ギヤと、該駆動ギヤと噛合する従動ギヤとの間の熱膨張によるバックラッシュの増大を防止する材料を選定するなど、クランク軸固有の機能に合った適切な材料を選択できる。
さらに、内燃機関のクランク軸に設けられた駆動ギヤと噛合する従動ギヤが設けられた回転軸が、第1支持部にてクランク軸を支持するホルダ本体の第2支持部に支持されるため、内燃機関に取り付けられて回転軸により駆動される機構を、クランク軸近傍にコンパクトに配置できるとともに、クランク軸と機構を駆動する回転軸とをクランク軸ホルダを共通のベースとしてモジュール化できる。その結果、クランク軸ホルダのクランクケースに対する着脱により、機構を駆動する回転軸も同時にクランクケース材に対して組付けおよび取外しが行われることになるので、内燃機関に対する該回転軸の組付け性および取外し性が向上して、内燃機関の組立ておよびメンテナンスのための分解が容易となる。
【0011】
本出願の請求項2記載の発明は、請求項1記載のクランク軸ホルダにおいて、前記第1支持部の径方向外方に前記クランク軸の軸線方向に突出して前記ホルダ本体に設けられ、該ホルダ本体の曲げ剛性を高める補強部を備えたものである。
【0012】
この請求項2記載の発明によれば、クランク軸を支持する第1支持部が設けられたホルダ本体には、該第1支持部の径方向外方位置で、クランク軸の軸線方向に突出する補強部が設けられることにより、クランク軸に大きな力が作用しても、クランク軸を確実に保持できる曲げ剛性を有するクランク軸ホルダとすることができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のクランク軸ホルダにおいて、前記取付部が前記補強部を兼ねるものである。
【0014】
この請求項3記載の発明によれば、取付部が補強部を兼ねるため、よりコンパクトなクランク軸ホルダとすることができるとともに、取付部に保持される止め具自体の剛性がホルダ本体の補強部による曲げ剛性に加わるため、一層剛性が高くなり、強度の大きいクランク軸ホルダとすることができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のクランク軸ホルダにおいて、前記第2支持部は、前記クランクケースに結合されたクランクケースカバーに係合するものである。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のクランク軸ホルダにおいて、前記回転軸は、前記機構である動弁機構を駆動するカム軸であり、前記第2支持部は、前記カム軸を回転自在に支持するカム軸ホルダと、該カム軸ホルダに挿入されるとともに前記クランクケースに固着されたオイルポンプとを介して、前記クランクケースに支持されるものである。
請求項6記載の発明は、請求項5記載のクランク軸ホルダにおいて、前記ホルダ本体および前記カム軸ホルダには、それぞれ結合部が形成され、前記ホルダ本体の前記結合部が前記カム軸ホルダの前記結合部に圧入されることにより、前記カム軸ホルダと一体化されるとともに該カム軸ホルダとの間隔が規定されるものである。
【0017】
請求項記載の発明は、請求項記載のクランク軸ホルダ記載のクランク軸ホルダにおいて、一対の前記クランク軸ホルダの間に、前記機構の少なくとも一部分を構成するホルダ内部分が配置され、前記一対のクランク軸ホルダ、前記クランク軸、前記回転軸および前記ホルダ内部分が一体化された状態で前記クランクケースに着脱自在とされるものである。
【0018】
この請求項記載の発明によれば、回転軸により駆動される機構の一部が、ホルダ内部分として、一対のクランク軸ホルダの間に配置され、クランク軸、回転軸およびホルダ内部分が、一対のクランク軸ホルダと一体化された状態でクランクケースに対して着脱されるので、内燃機関に対するそれら部品の組付けおよび取外し性が向上し、内燃機関の組立ておよびメンテナンスのための分解が容易になる。
【0019】
請求項記載の発明は、請求項記載のクランク軸ホルダにおいて、前記ホルダ本体を形成する材料と、前記駆動ギヤおよび前記従動ギヤを形成する材料との熱膨張率が略等しいものである。
【0020】
この請求項記載の発明によれば、ホルダ本体を形成する材料と、駆動ギヤおよび従動ギヤを形成する材料との熱膨張率が略等しいので、内燃機関の温度上昇時に、クランク軸および回転軸を支持するクランク軸ホルダ、駆動ギヤおよび従動ギヤに熱膨張が生じたとき、両ギヤ間のバックラッシュの増大を防止できて、バックラッシュ増大による騒音の発生を防止できる。
【0021】
請求項記載の発明は、請求項1記載のクランク軸ホルダにおいて、一対の前記クランク軸ホルダが、該一対のクランク軸ホルダ相互のクランク軸の軸線方向の間隔を保持するスペーサにより一体化された状態で前記クランクケースに着脱自在とされるものである。
【0022】
この請求項記載の発明によれば、スペーサにより一対のクランク軸ホルダのクランク軸の軸線方向の間隔が正確に規定されるので、一対のクランク軸ホルダ間に配置されるクランク軸等の部材の、前記軸線方向の適正な位置を保持できるとともに、該スペーサの存在により、クランク軸に作用する荷重により生じるクランク軸ホルダの変形が抑制される。
請求項10記載の発明は、請求項1記載のクランク軸ホルダにおいて、一対の前記クランク軸ホルダは、前記クランク軸の軸線方向で前記クランクケースを挟んで、共通の前記止め具により前記クランクケースに固定されるものである。
請求項11記載の発明は、請求項10記載のクランク軸ホルダにおいて、前記機構は、動弁機構、および、変速機であり、前記回転軸は、前記動弁機構を駆動するカム軸、および、前記変速機の主軸であり、前記第2支持部は、カム軸支持部、および、変速機軸支持部であり、前記取付部は、前記各クランク軸ホルダの周辺に位置するものである。
請求項12記載の発明は、請求項11記載のクランク軸ホルダにおいて、前記従動ギヤは、前記カム軸に設けられたカムギヤ、および、前記主軸に設けられた入力ギヤであり、
前記駆動ギヤは、前記カムギヤと噛合するタイミングギヤ、および、前記入力ギヤと噛合する出力ギヤであり、前記一対のクランク軸ホルダは、その結合部において、前記クランク軸の軸線方向での間隔を保持する一対のスペーサにより結合され、前記一対のスペーサにおいて、前記軸線方向から見て、一方の前記スペーサは、前記カムギヤと前記出力ギヤとの間に配置され、他方の前記スペーサは、前記入力ギヤと前記出力ギヤとの間に配置されるものである。
請求項13記載の発明は、請求項1記載のクランク軸ホルダにおいて、前記回転軸は、前記機構である動弁機構を駆動するカム軸であり、前記ホルダ本体には、一対の突出部が設けられ、前記カム軸を回転自在に支持するカム軸ホルダが、前記一対の突出部に跨って配置されて、リベットにより前記ホルダ本体に固定されるものである。
なお、この明細書において、「前」、「後」、「左」および「右」は、車体の「前」、「後」、「左」および「右」を意味するものとする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本出願発明の実施形態を図1ないし図22を参照して説明する。
図1ないし図9は、本出願発明の第1実施形態を示す図であり、図1は、本出願発明のクランク軸ホルダを備えた火花点火式の4サイクル単気筒強制空冷式内燃機関2と、斜板型油圧式変速機3および最終減速装置(図示されず)を有する動力伝達装置とを備えたパワーユニット1を正面から見た断面図であり、図2はパワーユニット1を背面から見た断面図であり、図3は図1のIII−III線断面図である。
【0024】
このパワーユニット1は、自動2輪車や鞍乗型車両に搭載されて、その前端部がピボット結合により、そしてその後端部が緩衝装置を介して、それぞれ車体のフレームに連結される。それゆえ、パワーユニット1は、起伏がある路面の走行時等の走行状態に応じて、車体に対してピボットを中心に揺動自在とされたスイング式のものである。
【0025】
図1ないし図3を参照して、内燃機関2および油圧式変速機3を中心に詳細に説明する。
内燃機関2は、クランク軸4の軸線が車体の前後方向を指向した縦置き配置とされ、シリンダ6の軸線が車体の右方のやや斜め上方を指向している。内燃機関2のアルミ合金製のクランクケース5は、クランク軸4の軸線を通る鉛直面より車体の左方にやや傾斜した割り面により、車両の左側に位置する油圧式変速機3のケースの一部を兼ねる変速機側クランクケース5aと、内燃機関2のシリンダ6およびシリンダヘッド7が鋳造により一体成形された機関側クランクケース5bとに分割されている。そして、シリンダヘッド7には、シリンダヘッドカバー8が組み付けられている。
【0026】
図3に図示されるように、クランク軸4は、前方および後方の一対の玉軸受9,10を介して、プレス加工された鋼板からなる前方および後方の一対のクランク軸ホルダ80,90のクランク軸支持部83,93にそれぞれ回転自在に支持されて、クランクケース5内に配置される。各クランク軸ホルダ80,90は、一対の取付部82,92を挿通する一対の止め具である通しボルト85,95により、機関側クランクケース5bの右側壁に固定されている。このように、固定部材である機関側クランクケース5bに対して着脱自在とされる前方および後方クランク軸ホルダ80,90の詳細は後述する。
【0027】
一方、多数の冷却フィンが形成されたシリンダ6のシリンダ孔に摺動自在に嵌合されたピストン11の往復動が、コンロッド12を介してクランク軸4に伝達されることで、クランク軸4は回転駆動される。また、クランク軸4において、前方クランクウェブには、バランスウエイト14が設けられていて、ピストン11およびコンロッド12の往復動による一次振動の発生を抑制している。一方、後方クランクウェブには、油圧式変速機3の入力ギヤ58と噛合する出力ギヤ15が形成されている。
【0028】
多数の冷却フィンが形成されたシリンダヘッド7には、燃焼室に開口する二つの嵌合孔が形成されていて、それら嵌合孔に、後述する吸気弁保持体37および排気弁保持体38が嵌合されている。さらに、シリンダヘッド7には、図示されない吸気管に設けられた燃料噴射弁から噴射された燃料と空気との混合気に点火するための点火栓(図示されず)が、燃焼室に臨んで取り付けられている。
【0029】
また、図2および図3に図示されるように、機関側クランクケース5bおよびシリンダ6の上方には、複動型のピストン式過給機16が装着されている。副吸気通路から吸入空気導管を介して過給機16に導入された空気は、後述するカムギヤ23と噛合する過給機駆動ギヤ17を有する過給クランク軸の回転により往復動される過給ピストンで圧縮されて高圧となって、吐出空気導管に吐出される。過給機16は、副吸気通路に設けられた絞り弁を開閉することにより、機関加速時や高出力時等の特定機関運転時のみに、その過給作用が行われるようにされている。
【0030】
図3に図示されるように、前方玉軸受9よりも前方に位置するクランク軸4の前部には交流発電機18が設けられていて、交流発電機18のロータ19はクランク軸4の前端部のナットによりクランク軸4に固定されている。また、ロータ19には、内燃機関2に冷却用の空気を送る冷却ファン20がボルトにより取り付けられて、ロータ19と一体に回転するようになっている。冷却ファン20は、空気取入口21aが設けられたファンカバー21により覆われている。
【0031】
一方、クランク軸4の後方玉軸受10より後方には、鋼製のタイミングギヤ22がクランク軸4と一体に回転するように設けられている。このタイミングギヤ22は、内燃機関2の一機構である動弁機構を駆動する回転軸であるカム軸24を駆動する駆動ギヤを構成しており、カム軸24の前方の軸端部に圧入されて一体に回転するように設けられた鋼製の従動ギヤであるカムギヤ23と噛合していて、カム軸24がクランク軸4の2回転毎に1回転するようにされている。
【0032】
シリンダ6の後方において、その軸線が車体の前後方向を指向して配置され、管材から形成された中空のカム軸24の前方の軸端部は、カム軸24の前方の軸端部に固着されたカムギヤ23のボス部が前方玉軸受25を介して後方クランク軸ホルダ90のカム軸支持部94に回転自在に支持されることで支持され、その後方の軸端は、後方玉軸受26を介してカム軸ホルダ100のカム軸支持部101に回転自在に支持されている。カム軸ホルダ100は、プレス加工された鋼板から形成され、後述する一対の結合部および管材から形成された中空の一対の下方ロッカアーム軸を介して、後方クランク軸ホルダ90に一体に結合されている。このカム軸ホルダ100については後述する。
【0033】
カム軸24には、吸気弁27および排気弁28を開弁駆動する吸排気カム30と、過給弁29を開弁駆動する過給カム31とが設けられている。また、前述の一対の下方ロッカアーム軸は、下方吸気ロッカアーム32および下方過給ロッカアーム34をそれぞれ揺動自在に支持する下方吸気ロッカアーム軸35と、下方排気ロッカアーム33を揺動自在に支持する下方排気ロッカアーム軸36(図2参照)である。
【0034】
なお、吸気弁27および過給弁29は、両弁27,29を保持するとともに、それぞれの弁ガイドおよび弁座を有する筒状の吸気弁保持体37としてモジュール化されており、排気弁28も同様に、排気弁28を保持するとともに、弁ガイドおよび弁座を有する一つの排気弁保持体38としてモジュール化されている。さらに、吸気弁保持体37には、それぞれ管材から形成された吸気ポートおよび過給ポートが接続される接続口が設けられており、同様に、排気弁保持体38には、管材から形成された排気ポートが接続される接続口が設けられている。
【0035】
そして、吸気弁保持体37および排気弁保持体38が、シリンダヘッド7の二つの嵌合孔にそれぞれ嵌合されることで、吸気弁27、過給弁29および排気弁28がシリンダヘッド7に装着される。その後、前述の三つの接続口に、吸気ポート、過給ポートおよび排気ポートがそれぞれ接続されることで、これら三つのポートから、それぞれ吸気弁27、過給弁29および排気弁28を介して燃焼室に至る吸気路、過給路および排気路が形成される。
【0036】
動弁機構はOHV型式のものであり、図2に図示されるように、吸気弁27は、吸排気カム30に当接して揺動される下方吸気ロッカアーム32により引き下げられるプルロッド77で揺動される上方吸気ロッカアーム39により開弁駆動される。同様に過給弁29は、過給カム31に当接して揺動される下方過給ロッカアーム34により引き下げられるプルロッド79で揺動される上方過給ロッカアーム41により開弁駆動される。一方、排気弁28は、吸排気カム30に当接して揺動される下方排気ロッカアーム33により引き下げられるプルロッド78で揺動される上方排気ロッカアーム40により開弁駆動される。なお、上方吸気および上方過給ロッカアーム39,41は、吸気弁保持体37に固定された上方吸気ロッカアーム軸および上方過給ロッカアーム軸にそれぞれ揺動自在に支持され、上方排気ロッカアーム40は、排気弁保持体38に固定された上方排気ロッカアーム軸に揺動自在に支持されている。
【0037】
図2および図3に図示されるように、クランク軸4の後方にはオイルポンプ42が設けられている。このオイルポンプ42はトロコイド式のものであって、クランク軸4の後端面からクランク軸4と同軸に形成された穴に嵌合された中空のポンプ駆動軸43に取り付けられたロータが、クランクケース5に固着されたポンプケーシング44の内部で回転駆動される。
【0038】
クランクケース5の底部に形成されたオイル溜め45のオイルは、機関側クランクケース5に形成された吸入路46を経てオイルポンプ42に吸引される。そして、オイルポンプ42から高圧となって吐出路47に吐出されたオイルは、クランクケース5に設けられた油路48を介して、油圧式変速機3に作動油として供給される一方、油管49を通ってシリンダヘッド7に設けられた動弁機構に供給される。
【0039】
このうち、油管49は、鋼板から形成された内板8aおよび外板8bを有する二重構造のシリンダヘッドカバー8の左上方で後部に位置するオイル流入室50に接続されている。オイル流入室50のオイルは、シリンダヘッド7に対向するシリンダヘッドカバー8部分において、外板8bを波形に加工することにより形成された蛇行する油路51の一端に流入し、その油路51の途中に設けられた複数の噴射孔52から、上方吸気、上方過給および上方排気ロッカアーム39,41,40に向けてオイルが噴射され、動弁機構の摺動部の潤滑が行われる。
【0040】
噴射されたオイルは、シリンダヘッド7の内壁面を流下して、シリンダヘッドカバー8の右下方で後部に位置するに形成されたオイル回収室53に集められ、回収されたオイルが戻し油管54を経てクランクケース5のオイル溜めに戻る。戻し油管54にはその外周に多数の冷却フィン55が設けられていて、戻し油管54を流れるオイルの冷却が行われるため、この戻し油管54はオイルクーラともなっている。さらに、前述の蛇行する油路51においても、オイルは長い通路を流れる間に冷却されるため、シリンダヘッドカバー8のこの部分も、オイルクーラとして機能している。しかも、二重構造の外板8bが波形に加工されて、その波形の谷部が内板8aに当接して蛇行した油路51が形成される構造となっているので、シリンダヘッドカバー8の強度が高められているため、防音効果に優れている。
【0041】
さらに、クランク軸4の後方玉軸受10には、ポンプ駆動軸43の内部を通って、クランク軸4の内部に形成された油路から吐出されたオイルが供給される。また、出力ギヤ15の後面には、クランク軸4の軸線からクランクピン13の軸線より遠い位置に、その溝幅の中心線が位置する環状の潤滑溝56が形成されており、この潤滑溝56にポンプ駆動軸43の内部を通ったオイルの一部が供給される。そして、この潤滑溝56は、遠心式のオイルストレーナを形成しており、潤滑溝56内では、クランク軸4の回転により発生する遠心力によってオイル中に混入した固形の異物が分離されて、清浄となったオイルが潤滑溝56の底部に連通するクランクピン13内部の油路57を経て、クランクピン13とコンロッド12の大端部との摺動部に供給され、さらにその摺動部から流出したオイルの一部により前方および後方玉軸受9,10等の潤滑が行われる。
【0042】
一方、クランク軸4の動力を駆動輪に伝達する動力伝達装置の構成要素である斜板型油圧式変速機3は、入力ギヤ58、定容量型の斜板型油圧ポンプ、可変容量型の斜板型油圧モータおよび出力軸59を備えている。なお、出力軸59の軸線は、クランク軸4の軸線を含む水平面上にある。
【0043】
クランク軸4に形成された出力ギヤ15は、油圧ポンプのハウジング60の前部に一体成形された入力ギヤ58に噛合している。入力ギヤ58の前部ボス部と、出力軸59の外周に軸受65を介して回転自在に支持された始動従動ギヤ61の後部ボス部と、前部ボス部の内周面および後部ボス部の外周面との間に設けられたローラ(図示されず)とにより一方向クラッチ62が形成されている。したがって、入力ギヤ58の前部ボス部は、一方向クラッチ62のアウタレースを構成しており、始動従動ギヤ61の後部ボス部は、一方向クラッチ62のインナレースを構成している。
【0044】
さらに、入力ギヤ58の前部ボス部の外周面には、半円筒状のバランスウエイト63が固着されていて、しかもクランク軸4と入力ギヤ58とが同一回転数で回転するように、出力ギヤ15の歯数と入力ギヤ58の歯数とが等しく設定されているため、入力ギヤ58が、クランク軸4の回転動およびピストン11とコンロッド12の往復動により発生する一次振動を抑制するバランサを構成している。
【0045】
このように、入力ギヤ58のボス部を利用してバランサを形成しているため、バランサのための専用の軸および専用の駆動機構が不要となるため、部品点数が削減されるとともに内燃機関2を軽量化でき、さらにクランクケース5のコンパクト化、ひいては内燃機関2のコンパクト化ができる。
【0046】
また、始動モータ66の減速機構を構成するアイドラ軸の小ギヤ69と噛合する始動従動ギヤ61の前方ボス部は、玉軸受64を介して前方クランク軸ホルダ80の変速機軸支持部84に回転自在に支持されている。したがって、油圧式変速機3の出力軸59は、玉軸受64、始動従動ギヤ61および軸受65を介して前方クランク軸ホルダ80の変速機軸支持部84に支持されていることになる。
【0047】
そして、始動時には、始動モータ66の回転が、ピニオン67、アイドラ軸の大ギヤ68、アイドラ軸の小ギヤ69、始動従動ギヤ61、一方向クラッチ62、入力ギヤ58および出力ギヤ15を経てクランク軸4に伝達される。
【0048】
一方、油圧式変速機3の油圧ポンプは、そのハウジング60内に複数のピストンを駆動するポンプ側斜板を備えており、油圧モータは、複数のピストンを有するシリンダブロックおよびモータ側斜板を有していて、該シリンダブロックは、出力軸59に一体に結合されている。
【0049】
出力ギヤ15を介してクランク軸4の回転が入力ギヤ58に伝達されると、入力ギヤ58と一体の油圧ポンプのハウジング60が回転することにより、ポンプ側斜板が傾動して各ピストンが駆動され、出力軸59の前端部の作動油管から供給された作動油が圧縮されて高油圧が発生する。
【0050】
油圧ポンプで発生した高油圧は、制御弁により制御されて油圧モータに供給され、ピストンが駆動されてモータ側斜板に当接することで、シリンダブロックが回転し、それと一体の出力軸59が回転する。出力軸59の回転は、斜板の角度をアクチュエータにより変更することで、無段階に変速される。さらに、前記制御弁により、出力軸59が回転しないように、すなわち入力ギヤ58の回転が出力軸59に伝達されないようにすることもできる。
【0051】
油圧式変速機3の出力軸59に取り付けられた変速機出力ギヤ70は、最終減速装置のドライブ軸に固定されたギヤと噛合していて、出力軸59の回転が減速されて駆動輪である後輪が駆動される。
【0052】
ここで、図1ないし図3を併せて参照しつつ、図4ないし図9を参照して、前方および後方クランク軸ホルダ80,90、およびカム軸ホルダ100について説明する。
【0053】
図4ないし図6に図示される前方クランク軸ホルダ80は、クランク軸4の軸線と略直交する平面をなす平板状のホルダ本体81と、ホルダ本体81のシリンダ6の軸線に沿う両側縁部に位置して円弧状に湾曲された一対の取付部82とを備えており、これらはプレス加工された一枚の鋼板により形成される。
【0054】
ホルダ本体81には、前方玉軸受9を介してクランク軸4を回転自在に支持するクランク軸支持部83と、玉軸受64、始動従動ギヤ61の前部ボス部および軸受65を介して油圧式変速機3の出力軸59を回転自在に支持する変速機軸支持部84とが、それぞれバーリング加工により形成されている。両支持部83,84は、その円筒状部分が、ホルダ本体81の後面、つまりクランクピン13側の面から、後方、すなわち後方クランク軸ホルダ90に向かって突出しており、円筒状部分の内周面に両玉軸受9,64のアウタレースがそれぞれ圧入される。
【0055】
各取付部82は、クランク軸支持部83の径方向外方位置で、ホルダ本体81のシリンダ6の軸線に沿う側縁部から延びた鋼板を、ホルダ本体81の後面側に曲げ加工することにより、全体として、部分円筒状に形成されて(図6参照)、その円柱状の中空部を、前述のように通しボルト85が挿通している。したがって、各取付部82は、ホルダ本体81の後面から後方クランク軸ホルダ90に向かって突出している。そして、一対の通しボルト85により、前方クランク軸ホルダ80は、ホルダ本体81のシリンダ6側の側縁部でクランクケース5に固定されている。
【0056】
そして、各取付部82は、さらに次のように構成されていることで、前方クランク軸ホルダ80の補強部ともなっている。すなわち、ピストン11からコンロッド12を介してクランク軸4に作用する混合気の爆発力により、ホルダ本体81に許容限度より大きな曲げ変形が生じないように、前方クランク軸ホルダ80が機関側クランクケース5bに固定された状態で、部分円筒状の各取付部82は、その軸線が、シリンダ6の軸線に略平行となるか、または爆発力によるホルダ本体81の曲げ変形を許容限度内に抑えることができる範囲内でシリンダ6の軸線に対して傾斜するように設けられている。
【0057】
さらに、各取付部82の軸線方向の長さは、シリンダ6の軸線と直交するクランク軸支持部83の軸線を通る平面からシリンダ6側およびシリンダ6の反対側に向かって、それぞれホルダ本体81の曲げ変形を許容限度内に抑制し得る長さとなるように適宜設定される。なお、この実施形態では、両取付部82の軸線は互いにほぼ平行であり、両取付部82の長さは略等しくされている。
【0058】
このように、両取付部82は、クランク軸4がクランク軸支持部83を挿通する方向であるクランク軸4の軸線方向にホルダ本体81から突出し、シリンダ6の軸線に沿って所定の長さを有することにより、ホルダ本体81の曲げ剛性を高める機能を備えており、前方クランク軸ホルダ80の補強部を兼ねている。
【0059】
さらに、取付部82の中空部を挿通している通しボルト85自体の曲げ剛性が、取付部82の形状による曲げ剛性に加わるため、ホルダ本体81の剛性が一層高くなっている。
【0060】
一方、図7および図9に図示される後方クランク軸ホルダ90も、前方クランク軸ホルダ80と同様に、クランク軸4の軸線と略直交する平面をなす平板状のホルダ本体91と、ホルダ本体91のシリンダ6の軸線に沿う両側縁部に位置して円弧状に湾曲された一対の取付部92とを備えており、これらはプレス加工された一枚の鋼板により形成される。
【0061】
ホルダ本体91には、後方玉軸受10を介してクランク軸4を回転自在に支持するクランク軸支持部93と、前方玉軸受25およびカムギヤ23の前方ボス部を介してカム軸24を回転自在に支持するカム軸支持部94とが、やはりバーリング加工により形成されている。両支持部93,96は、その円筒状部分が、ホルダ本体91の前面、つまりクランクピン13側の面から、前方、すなわち前方クランク軸ホルダ80に向かって突出しており、円筒状部分の内周面に両玉軸受10,25のアウタレースがそれぞれ圧入される。
【0062】
各取付部92は、クランク軸支持部93の径方向外方位置で、ホルダ本体91のシリンダ6の軸線に沿う側縁部から延びた鋼板を、ホルダ本体91の前面側に曲げ加工することにより、前方クランク軸ホルダ80の取付部82と同様に、全体として、部分円筒状に形成されて、その円柱状の中空部を、前述のように通しボルト95が挿通している。したがって、取付部92は、クランク軸4がクランク軸支持部93を挿通する方向であって、ホルダ本体91の前面から前方クランク軸ホルダ80に向かって突出している。
【0063】
そして、各取付部92は、前方クランク軸ホルダ80の取付部82と同様の、その軸線の配置および軸線方向の長さの構成となっている。したがって、両取付部92は、前方クランク軸ホルダ80の両取付部82と同様に、ホルダ本体91の曲げ剛性を高める機能を備えており、そのため後方クランク軸ホルダ90の補強部を兼ねている。そして、取付部92の中空部を挿通している通しボルト95自体の曲げ剛性が、取付部92の形状による曲げ剛性に加わるため、ホルダ本体91の剛性が一層高くなっている。
【0064】
図8および図9に図示されるように、プレス加工された一枚の鋼板で形成されたカム軸ホルダ100には、後方玉軸受26を介してカム軸24を回転自在に支持するカム軸支持部101がバーリング加工により形成され、さらにクランク軸4の後方に配置されるオイルポンプ42のポンプケーシング44が挿入される挿入孔102とが形成されている。
このため、図3に示されるように、カム軸支持部94は、カム軸24を回転自在に支持するカム軸ホルダ100と、該カム軸ホルダ100に挿入されるとともにクランクケース5に固着されたオイルポンプ42とを介して、クランクケース5に支持される。
【0065】
図8および図9を参照すると、カム軸支持部101は、その円筒状部分が、カム軸24がカム軸支持部101を挿通する方向であって、カム軸ホルダ100の前面から前方、すなわち後方クランク軸ホルダ90に向かって突出しており、円筒状部分の内周面に後方玉軸受26のアウタレースが圧入される。
【0066】
後方クランク軸ホルダ90とカム軸ホルダ100とは、その正面で見た輪郭形状が同一に形成され、前述のように一対の下方ロッカアーム軸および結合部により一体に結合されている。
【0067】
すなわち、後方クランク軸ホルダ90において、ホルダ本体91のカム軸支持部94の径方向外方でクランク軸支持部93寄りであって、クランク軸支持部93の軸線およびカム軸支持部94の軸線とを含む平面に関して対称となる位置には、一対の前方取付孔96,97が形成され、カム軸ホルダ100においても、前方取付孔96,97に対向する位置に一対の後方取付孔103,104がバーリング加工により形成され、それら一対の前方取付孔96,97および一対の後方取付孔103,104に、下方吸気ロッカアーム軸35および下方排気ロッカアーム軸36がそれぞれ圧入されている。
【0068】
両ロッカアーム軸35,36は、管材の一部にフランジ部を膨出形成し、そのフランジ部を後方クランク軸ホルダ90のホルダ本体91の後面、すなわちカム軸ホルダ100側の面に当接させることで、両ホルダ90,100の間隔を規定している。そして、フランジ部のカム軸ホルダ100側の面と、カム軸ホルダ100の前面から後方クランク軸ホルダ90に向かって突出した後方取付孔103,104の円筒状部分の先端面との間において、下方吸気ロッカアーム軸35には、下方吸気ロッカアーム32および下方過給ロッカアーム34の円筒状の揺動基部がそれぞれ嵌合され、れらの軸方向の移動が規制されており、また下方排気ロッカアーム軸36には、下方排気ロッカアーム33の円筒状の揺動基部が嵌合され、その軸方向の移動が規制されている(図3参照)。
【0069】
また、後方クランク軸ホルダ90のホルダ本体91およびカム軸ホルダ100には、クランク軸4の軸線に関して、カム軸支持部94とは反対側であって、クランク軸支持部93の径方向外方の位置にて、シリンダ6の軸線に沿う両側縁部に略平行でクランク軸支持部93の軸線を含む平面に関して対称となる位置に、一対の結合部が形成されている。各結合部は、後方クランク軸ホルダ90のホルダ本体91のバーリング加工によりカム軸ホルダ100側に向かって突出した一対の円筒状の前方結合部98と、カム軸ホルダ100のバーリング加工により後方クランク軸ホルダ90側に向かって突出した一対の円筒状の後方結合部105との圧入により構成されている。後方結合部105は、大径部と小径部とを有する段付き部材に形成され、その小径部が前方結合部98に圧入されて、前方結合部98の開口端面が、段部に当接することで、両ホルダ90,100の間隔を規定している。
【0070】
さらに、図4に図示されるように、前方クランク軸ホルダ80のホルダ本体81には、クランク軸支持部83の径方向外方であって、クランク軸4の軸線に関してシリンダ6側とは反対側の位置において、前方クランク軸ホルダ80を、クランクケース5aに結合されたクランクケースカバー71にボルト72により結合する(図3参照)ための一対のボルト孔86が形成されている。これは、前述の爆発力により、前方および後方クランク軸ホルダ80,90において、クランク軸4の軸線に関してシリンダ6側とは反対側が、相互に離れる方向に変形するのを防止するためである。そして、図3に示されるように、変速機軸支持部84は、クランクケースカバー71に係合する。
【0071】
そして、後方クランク軸ホルダ90については、その後方に配置されたカム軸ホルダ100が、一対のロッカアーム軸35,36および一対の結合部を介して後方クランク軸ホルダ90と一体に結合されて、枠構造となっているため、離れる方向の変形が防止される。
【0072】
ところで、前方および後方クランク軸ホルダ80,90、そしてカム軸ホルダ100、さらにタイミングギヤ22およびカムギヤ23の形成材料、この実施形態では鋼材は、略等しい熱膨張率を有しているため、内燃機関2の発熱により、それらホルダ80,90,100およびギヤ22,23に熱膨張が生じたとき、クランク軸4およびカム軸24間において、各ホルダ80,90,100の伸び量と相互に噛合するタイミングギヤ22およびカムギヤ23の伸び量とが略等しいため、両ギヤ22,23の噛合部のバックラッシュの増大を防止できて、バックラッシュ増大による騒音の発生を防止できる。
【0073】
この第1実施形態は、前記のように構成されているので、以下の効果を奏する。
クランク軸4を支持するクランク軸支持部83,93がそれぞれ形成されたホルダ本体81,91がプレス加工された板材で形成されるため、前方および後方クランク軸ホルダ80,90の軽量化・形成容易化が可能となる。さらに、取付部82,92も、ホルダ本体81,91を形成する板材により成形されるため、取付部82,92が設けられたクランク軸ホルダ80,90を一層容易に形成できる。
【0074】
機関側クランクケース5bへの取付部82,92をそれぞれ備える前方および後方クランク軸ホルダ80,90は、クランク軸4が配置されるクランクケース5とは別部材で構成されて、通しボルト85,95によりクランクケース5に着脱自在とされる。その結果、クランクケース5にはクランク軸4の保持部を形成する必要がないため、クランクケース5の構造が簡素化されて、クランク軸4自体のクランクケース5への組付けおよびクランク軸4周辺の部品である油圧式変速機3、始動従動ギヤ61等のクランクケース5への組付けが容易になる。さらに、前方クランク軸ホルダ80には、油圧式変速機3の出力軸59を支持する変速機軸支持部84が設けられているため、出力ギヤ15が設けられるクランク軸4および出力軸59と噛合する入力ギヤ58が設けられた出力軸59との軸間距離も正確に設定できる。
【0075】
また、内燃機関2のクランクケース5は、シリンダ6およびシリンダヘッド7がクランクケース5と一体成形された一体型クランクケースとなっている一方で、クランク軸の保持部がクランクケースと一体成形される従来技術と異なり、前方および後方クランク軸ホルダ80,90はクランクケース5とは別部材で構成されているため、一体型クランクケースの構造が簡易化されて、鋳造およびその後の加工が容易になり、一体型クランクケースの生産性が向上する。
【0076】
さらに、前方および後方クランク軸ホルダ80,90は、タイミングギヤ22およびカムギヤ23の形成材料である鋼材と略等しい熱膨張率を有する鋼板から形成され、クランク軸4の保持部がクランクケース5と一体鋳造される場合のように、クランクケース5の形成材料であるアルミ合金に限定されることなく、クランク軸4固有の機能に合った適切な材料を選択できる。
【0077】
したがって、前方および後方クランク軸ホルダ80,90、さらにカム軸ホルダ100が、タイミングギヤ22およびカムギヤ23を形成する鋼材と略等しい熱膨張率を有する鋼材で形成されていることで、内燃機関2の発熱により内燃機関2の温度が上昇し、それらホルダ80,90,100およびギヤ22,23に熱膨張が生じたときに、両ギヤ22,23間のバックラッシュの増大を防止できて、バックラッシュ増大による騒音の発生を防止できる。そのため、クランク軸4およびカム軸24間の熱膨張の差によるバックラッシュ防止のために、特殊なギヤを使用する必要がなく、コストを削減できる。
【0078】
また、クランク軸4を支持するクランク軸支持部83,93を有するホルダ本体81,91がプレス加工された鋼板で形成されるとともに、ホルダ本体81,91のシリンダ6の軸線に沿う両側縁部に部分円筒状に形成されて、クランク軸支持部83,93の径方向外方にクランク軸4の軸線方向に突出する一対の補強部が形成されていることにより、鋳造によるホルダと比べて軽量化を可能としつつ、クランク軸4に混合気の爆発力のような大きな力が作用しても、クランク軸4を確実に保持できる曲げ剛性を有するクランク軸ホルダとすることができる。
【0079】
前方および後方クランク軸ホルダ80,90は、通しボルト85,95が挿通する部分円筒状の一対の取付部82,89が補強部を兼ねるため、よりコンパクトなクランク軸ホルダとすることができるとともに、取付部82,92に保持された通しボルト85,95自体の剛性がホルダ本体81,91の補強部による曲げ剛性に加わるため、一層剛性が高くなり、強度の大きいクランク軸ホルダとすることができる。
【0080】
クランク軸4に設けられたタイミングギヤ22と噛合するカムギヤ23が設けられ、動弁機構を構成する下方吸気、下方排気および下方過給ロッカアーム32,33,34を駆動するカム軸24が、クランク軸支持部93にてクランク軸4を支持する後方クランク軸ホルダ90のホルダ本体91のカム軸支持部94に支持されるため、動弁機構の一部をクランク軸近傍にコンパクトに配置できるとともに、後方クランク軸ホルダ90を共通のベースとしてクランク軸4およびカム軸24を備えたモジュールとすることができる。その結果、両クランク軸ホルダ80,90のクランクケース5に対する着脱により、下方吸気および下方排気ロッカアーム32,33を駆動するカム軸24のクランクケース5に対する組付けおよび取外しが行われることで、カム軸のクランクケース5に対する組付け性および取外し性が向上して、内燃機関2の組立ておよびメンテナンスのための分解が容易になる。
【0081】
しかも、後方クランク軸ホルダ90およびカム軸ホルダ100には、一対のロッカーアーム軸35,36が設けられているため、カムギヤ23、カム軸24およびロッカアーム32,33,34を含めた機構を、クランク軸4支持する前方および後方クランク軸ホルダ80,90とともにモジュール化してクランクケース5に対して着脱することができて、内燃機関2の組立ておよびメンテナンスのための分解が一層容易になる。
【0082】
前方クランク軸ホルダ80は、クランク軸支持部83の径方向外方であって、クランク軸4の軸線に関してシリンダ6側とは反対側の位置において、ボルト72によりクランクケースカバー71に結合され、後方クランク軸ホルダ90は、その後方に配置されたカム軸ホルダ100と一対のロッカアーム軸35,36および一対の結合部98,105を介して一体とさた枠構造となっている。その結果、混合気の爆発力により、前方および後方クランク軸ホルダ80,90が、相互に離れる方向に変形するのを防止できる。
【0083】
図10ないし図13は、第1実施形態と部分的に共通の構造を備える参考形態を示すもので、第1実施形態と同じ内燃機関に、前方および後方クランク軸ホルダ80,90の代わりに適用されるものである。ただし、油圧式変速機3の出力軸59、カム軸24および動弁機構は別構造により支持される。
【0084】
この参考形態において、クランク軸4は、前方および後方クランク軸ホルダ110,120により、クランクケース5に保持される。各クランク軸ホルダ110,120は、クランク軸4の軸線と略直交する平面をなす平板状のホルダ本体111と、ホルダ本体111のシリンダ6側の縁部でホルダ本体111に対して略直角に折り曲げられた取付部112と、取付部112の両端部より外方にあるホルダ本体111のシリンダ6の軸線に沿う両側縁部で、ホルダ本体111に対して略直角に折り曲げられた補強部113とを備えており、それらはプレス加工された一枚の鋼板により形成される。
【0085】
前方クランク軸ホルダ110のホルダ本体111には、前方玉軸受9を介してクランク軸4を回転自在に支持するクランク軸支持部114が、バーリング加工により形成されている。クランク軸支持部114は、その円筒状部分が、ホルダ本体111の後面、つまりクランクピン13側の面から、後方、すなわち後方クランク軸ホルダ120に向かって突出しており、円筒状部分の内周面に前方玉軸受9のアウタレースが圧入される。
【0086】
取付部112は、クランク軸支持部114の径方向外方位置で、ホルダ本体111のシリンダ6側の側縁部から延びた鋼板を、ホルダ本体111の後面側に曲げ加工することにより、その両端部に、前方クランク軸ホルダ110を機関側クランクケース5bに固定するための止め具である一対の取付ボルト115が挿通されるボルト孔116が設けられたフランジとして形成されている。したがって、取付部112は、ホルダ本体111の後面から後方クランク軸ホルダ120に向かって突出している。
【0087】
一対の補強部113は、クランク軸支持部114の径方向外方位置で、ホルダ本体111のシリンダ6の軸線に沿う両側縁部から延びた鋼板を、それぞれホルダ本体111の後面側に曲げ加工することにより、略矩形のフランジとして形成されている。したがって、各補強部113は、クランク軸4がクランク軸支持部114を挿通する方向であるクランク軸4の軸線方向であって、ホルダ本体111の後面から後方クランク軸ホルダ120に向かって突出している。
【0088】
一方、後方クランク軸ホルダ120のホルダ本体121には、後方玉軸受10を介してクランク軸4を回転自在に支持するクランク軸支持部124が、バーリング加工により形成されている。クランク軸支持部124は、その円筒状部分が、ホルダ本体121の後面から前方、すなわち前方クランク軸ホルダ110に向かって突出しており、円筒状部分の内周面に後方玉軸受のアウタレースが圧入される。
【0089】
取付部122は、クランク軸支持部124の径方向外方位置で、ホルダ本体121のシリンダ6側の側縁部から延びた鋼板を、ホルダ本体121の前面側に曲げ加工することにより、前方クランク軸ホルダ110と同様の形状とされ、その両端部に、後方クランク軸ホルダ120をクランクケース5に固定するための止め具である一対の取付ボルト125が挿通されるボルト孔126が形成されている。したがって、取付部122は、ホルダ本体121の後面から前方クランク軸ホルダ110に向かって突出している。
【0090】
また、一対の補強部123は、クランク軸支持部124の径方向外方位置で、ホルダ本体121のシリンダ6の軸線に沿う両側縁部から延びた鋼板を、それぞれホルダ本体121の前面側に曲げ加工することにより、略矩形のフランジとして形成されている。したがって、各補強部123は、ホルダ本体121の後面から前方クランク軸ホルダ110に向かって突出している。
【0091】
両クランク軸ホルダ110,120の各補強部113,123は、第1実施形態の補強部と同様に、爆発力によりホルダ本体111,121に許容限度より大きな曲げ変形が生じないように、前方クランク軸ホルダ110が機関側クランクケース5bに固定された状態で、第1実施形態の補強部(取付部82,92)の軸線に相当するその折曲線が、シリンダ6の軸線に対して略平行もしくは傾斜して設けられる。さらに、補強部113,123の折曲線の長さも、シリンダ6の軸線との直交するクランク軸支持部114,124の軸線を通る平面からシリンダ6側およびシリンダ6の反対側に向かって、それぞれホルダ本体111,121の曲げ変形を許容限度内に抑制し得る長さとなる。
【0092】
このように、各補強部113,123は、第1実施形態と同様に、クランク軸4がクランク軸支持部114,124を挿通する方向にホルダ本体111,121から突出し、シリンダ6の軸線に沿って所定の長さを有することにより、ホルダ本体111,121の曲げ剛性を高める機能を備えている。
【0093】
さらに、図12および図13に図示されるように、前方クランク軸ホルダ110の各補強部113の後部は、後方クランク軸ホルダ120の補強部123の前部の内側で相互に重なり合う重合部とされ、重合部の、クランク軸支持部114の軸線に関してシリンダ6側とは反対側の端部近傍に、両補強部113,123の重合部をボルト130により結合するためのねじ孔117が形成されている。そして、後方クランク軸ホルダ120の各補強部123の前端部の重合部において、前方クランク軸ホルダ110の重合部のねじ孔に対向する位置に、ボルト130が挿通するボルト孔127が形成されている。
【0094】
そして、これら重合部を相互にボルト130で結合することで、前方および後方クランク軸ホルダ110,120は、クランク軸4を前方玉軸受9,10を介して回転自在に支持した状態で一体化されて、取り付けボルト115,125により、固定部材であるクランクケース5に着脱自在に固定される。また、重合部を相互にボルト130で結合することで、爆発力により、前方および後方クランク軸ホルダ110,120の、クランク軸4の軸線に関してシリンダ6側とは反対側が、相互に離れる方向に変形するのを防止している。
【0095】
この参考形態は、前記のように構成されているので、以下の効果を奏する。
クランク軸4を支持するクランク軸支持部114,124がそれぞれ形成されたホルダ本体111,121がプレス加工された板材で形成されるため、前方および後方クランク軸ホルダ110,120の軽量化・形成容易化が可能となる。さらに、取付部112,122および補強部113,123も、ホルダ本体111,121を形成する板材により成形されるため、取付部112,122および補強部113,123が設けられたクランク軸ホルダ110,120を一層容易に形成できる。
【0096】
クランクケース5への取付部112,122を備える前方および後方クランク軸ホルダ110,120は、クランク軸4が配置されるクランクケース5とは別部材で構成されて、取付ボルト115,125によりクランクケース5に着脱自在とされる。その結果、クランクケース5にはクランク軸4の保持部を形成する必要がないため、クランクケース5の構造が簡素化されて、クランク軸4自体のクランクケース5への組付けおよびクランク軸4周辺の部品である油圧式変速機3、始動従動ギヤ61等のクランクケース5への組付けが容易になる。
【0097】
さらに、前方および後方クランク軸ホルダ110,120は鋼板から形成されるので、クランク軸4の保持部がクランクケース5と一体鋳造される場合のように、クランクケース5の形成材料であるアルミ合金に限定されることなく、クランク軸4固有の機能に合った適切な材料を選択することができ、例えば第1実施形態と同様に熱膨張によるギヤ間のバックラッシュ増大による騒音の発生防止を図ることができる。
【0098】
また、クランク軸4を支持するクランク軸支持部114,124を有するホルダ本体111,121がプレス加工された鋼板で形成されるとともに、ホルダ本体111,121のシリンダ6の軸線に沿う両側縁部から略直交して折り曲げられて、クランク軸支持部114,124の径方向外方にクランク軸4の軸線方向に突出する一対の補強部113,123が設けられている。その結果、鋳造によるホルダと比べて軽量化を可能としつつ、クランク軸4に混合気の爆発力のような大きな力が作用しても、クランク軸4を確実に保持できる曲げ剛性を有するクランク軸ホルダとすることができる。
【0099】
前方および後方クランク軸ホルダ110,120の各補強部113,123の重合部相互が、重合部の、クランク軸支持部114,124の軸線に関してシリンダ6側とは反対側の端部近傍で、ボルト130により結合される。その結果、混合気の爆発力により、前方および後方クランク軸ホルダ110,120が、相互に離れる方向に変形するのを防止できる。
【0100】
次に、図14ないし図18を参照して第実施形態を説明する。この第実施形態において、内燃機関201は4サイクル単気筒水冷式内燃機関であり、該内燃機関201は、コーン式無段変速(図示されず)を有する動力伝達装置とともにパワーユニットを構成する。
【0101】
内燃機関201のシリンダ203の軸線を通る面での断面が示されるとともに背面から見た図である図14と、図14の主としてXV−XV線での断面図である図15に図示されるように、内燃機関201はクランク軸206の軸線が車体の前後方向を指向した縦置き配置とされ、シリンダ203の軸線はクランク軸206の軸線に対して右方のやや斜め上方を指向している。内燃機関201のクランクケース202は、クランク軸206の軸線を通る鉛直面より左方にやや傾斜した割り面により、車体の左側に位置する前記無段変速機のケースの一部を兼ねる変速機側クランクケース202aと、内燃機関201のシリンダ203とともに鋳造により一体成形された機関側クランクケース202bとに分割されている。
【0102】
そして、シリンダ203にはシリンダヘッド204が、そしてシリンダヘッド204にはシリンダヘッドカバー205が組み付けられている。また、クランク軸206の動力を後輪に伝達する動力伝達装置は、発進クラッチ234と前記無段変速機とを有し、該無段変速機の主軸233が、クランク軸206の軸線に対して左方の斜め上方に配置される。
【0103】
クランク軸206は、前方および後方玉軸受207,208を介して、平板状の前方および後方クランク軸ホルダ240,260のクランク軸支持部にそれぞれ回転自在に支持されて、クランクケース202内に配置される。これら一対のクランク軸ホルダ240,260は、5つの取付部をそれぞれ挿通する止め具である5つの通しボルトにより、固定部材であるクランクケース202およびシリンダ203に着脱自在に固定される。これら通しボルトは、クランク軸206の軸線と平行な締付け方向を有する。なお、前方および後方クランク軸ホルダ240,260の詳細は後述する。
【0104】
シリンダ203のシリンダ孔に摺動自在に嵌合されて往復動するピストン209は、コンロッド210を介してクランク軸206に連結される。第1実施形態と同様に、クランク軸206の前方クランクウェブにはバランスウエイトが設けられ、後方クランクウェブには出力ギヤ211が形成されている。
【0105】
シリンダヘッド204には、吸気通路から供給された混合気に点火するための点火栓212が、燃焼室に臨んで取り付けられている。また、機関側クランクケース202bおよびシリンダ203の真上には、第1実施形態と同型の複動型のピストン式過給機213が装着され、高圧となった吐出空気が過給弁223を介して燃焼室に供給される。この過給機213は、第1実施形態のそれとは異なり、後述するカム軸214にセレーション結合された駆動スプロケット215と、過給機213のクランク軸206にセレーション結合された従動スプロケット216との間に掛け渡されたベルト(図示されず)により、カム軸214と等しい回転速度で過給機213のクランク軸が回転されて駆動される。
【0106】
前方玉軸受207よりも前方に延びるクランク軸206の前端部には交流発電機217が設けられ、さらにクランク軸206に一体に固定された交流発電機217のロータには、その前方に配置されたラジエータ(図示されず)に、冷却風を当てるための冷却ファン218が一体に固定される。一方、クランク軸206の後方には、第1実施形態と同様にトロコイド式のオイルポンプ219が設けられる。
【0107】
クランク軸206の後方玉軸受208より後方にセレーション結合された鋼製のタイミングギヤ220は、内燃機関201の一機構である動弁機構を駆動する回転軸であるカム軸214を駆動する駆動ギヤを構成しており、カム軸214にセレーション結合された従動ギヤである鋼製のカムギヤ221と噛合している。
【0108】
カム軸214には、吸気弁(図示されず)、排気弁222および過給弁223をそれぞれ開弁駆動する3つのカム224が設けられ、また下方ロッカアーム軸225には、3つのカム224にそれぞれ摺接して、動弁機構の一部分を構成する3つの下方ロッカアーム、すなわち下方吸気ロッカアーム226、下方排気ロッカアーム227および下方過給ロッカアーム228がそれぞれ揺動自在に支持されている(図17も参照)。そして、シリンダヘッド204には、それぞれ、一端が上方ロッカアーム軸229に揺動自在に支持され、他端が対応するプルロッド230を介して下方ロッカアームに連動接続された3つの上方ロッカアーム、すなわち上方吸気ロッカアーム(図示されず)、上方排気ロッカアーム231および上方過給ロッカアーム232が設けられ、それら上方ロッカアームは、それぞれシリンダヘッド204に摺動自在に設けられた吸気弁、排気弁222および過給弁223に当接する。
【0109】
それゆえ、3つのカム224に対応して揺動される3つの下方ロッカアームが、3つのプルロッド230を介して3つの上方ロッカアームをそれぞれ揺動させ、該3つの上方ロッカアームで作動される吸気弁、排気弁222および過給弁223が、それぞれ所定のタイミングで、吸気ポート、排気ポートおよび過給ポートの燃焼室側の開口部を開閉する。よって、動弁機構は、カム軸214、下方ロッカアーム、プルロッド230および上方ロッカアームを備えている。
【0110】
また、出力ギヤ211は、無段変速機の主軸233に回転自在に装着された遠心式の発進クラッチ234の入力ギヤ235と噛合し、クランク軸206の動力が発進クラッチ234を介して無段変速機の主軸233に伝達される。ここで、発進クラッチ234および無段変速機は、内燃機関201に取り付けられる機構である動力伝達装置を構成するため、入力ギヤ235は、クランク軸206に設けられた駆動ギヤである出力ギヤ211が噛合する従動ギヤに相当し、該入力ギヤ235が一次駆動ギヤと等しい回転速度で回転され、また主軸233は動力伝達装置を駆動する回転軸に相当する。なお、主軸233は、発進クラッチ234の出力軸となる第1主軸233aと、第1主軸233aにスプライン結合されて前記無段変速機の入力軸となる第2主軸233bとに分割される。
【0111】
発進クラッチ234は、第1主軸233aと一体的に回転するように結合された椀状のクラッチアウタ234aと、クラッチアウタ234aの内側にあって入力ギヤ235に駆動連結されて第1主軸233aに回転自在に嵌合されたスリーブ234bと、該スリーブ234bと一体的に回転するドライブプレート234cとを有する。そして、入力ギヤ235が内燃機関201の所定の回転速度より大きな回転速度で回転すると、ドライブプレート234cに揺動自在に支持された複数のクラッチシュー234dが、クラッチスプリング234eのばね力に抗して遠心力により径方向外方に揺動して、各クラッチシュー234dの外周面に設けられた摩擦部材234fがクラッチアウタ234aの内周面に当接し、発進クラッチ234が接続状態となり、入力ギヤ235の回転が主軸233に伝達される。
【0112】
ここで、図16ないし図18を併せて参照して、前方および後方クランク軸ホルダ240,260を中心にさらに説明する。
前方クランク軸ホルダ240および後方クランク軸ホルダ260は、同一の形状であり、それぞれ、クランク軸206の軸線と略直交する平面をなす平板状のホルダ本体241,261からなり、該ホルダ本体241,261はプレス加工された一枚の鋼板により形成される。
【0113】
各ホルダ本体241,261には、3つの支持部と5つの取付部と2つの結合部とが設けられる。以下、前方クランク軸ホルダ240のホルダ本体241について説明するが、後方クランク軸ホルダ260のホルダ本体261も同様であるので、説明の都合上、後方クランク軸ホルダ260に関する構成または符号を括弧内に記す。
【0114】
ホルダ本体241(261)をクランク軸206の軸線方向に貫通する貫通孔を有する3つの支持部は、前方玉軸受207(後方玉軸受208)を介してクランク軸206を回転自在に支持するクランク軸支持部242(262)と、該クランク軸支持部242(262)を中心として、その左方に前方玉軸受280(後方玉軸受281)を介して第1主軸233aを回転自在に支持する変速機軸支持部243(263)と、その右方に前方玉軸受282(後方玉軸受283)を介してカム軸214を回転自在に支持するカム軸支持部244(264)である。そして、3つの支持部242〜244(262〜264)は、クランク軸206、主軸233およびカム軸214の軸線が略同一平面上に位置するように配置されるとともに、各支持部242〜244(262〜264)には、各前方玉軸受207,282(各後方玉軸受208,283)の、鋼製のアウタレース207a,282a(アウタレース208a,283a)が圧入され、また前方玉軸受207のインナレース207b(インナレース208b)はクランク軸206に、そして前方玉軸受282(後方玉軸受283)のインナレース282b(283b)はカム軸214に、それぞれ圧入される。
【0115】
ホルダ本体241(261)をクランク軸206の軸線方向に貫通する貫通孔を有する5つの取付部は、変速機側クランクケース202aに設けられた2つのボルト孔(図15には、そのうちの1つのボルト孔284が示されている)にそれぞれ対応する2つの変速機側取付部を構成する第1,第2取付部245,246(265,266)と、機関側クランクケース202に設けられた3つのボルト孔(図15には、そのうちの1つのボルト孔285が示されている)にそれぞれ対応する3つの機関側取付部を構成する第3,第4,第5取付部247〜249(267〜269)からなる。そして、これら取付部245〜249(265〜269)は、前方クランク軸ホルダ240(後方クランク軸ホルダ260)の周辺に位置する。
【0116】
各取付部245〜249(265〜269)には、クランク軸206の軸線と平行な締付け方向となる通しボルト286〜290が挿通され、それら通しボルト286〜290により、両クランク軸ホルダ240,260がクランクケース202およびシリンダ203に固定される。それゆえ、一対のクランク軸ホルダ240,260は、クランク軸206の軸線方向でクランクケース202を挟んで、共通のボルト286〜290により前記クランクケース202に固定される。
そのうち第3,第4取付部247,248(267,268)に挿通される通しボルト288,289は、シリンダライナの近傍に位置する。また、第1,第2,第4取付部245,246,248(265,266,268)にそれぞれ挿通される通しボルト286,287,289は、後方クランク軸ホルダ260に溶接されたナット291,292、294にそれぞれ螺合する。さらに、第3,第5取付部247,249(267,269)には、通しボルト288、290が挿通される中空部を有するノックシャフト(図15には、通しボルト290が挿通されるノックシャフト296が示されている)が挿入され、各通しボルト288、290は後方クランク軸ホルダ260側でナット293,295に螺合する。
【0117】
ホルダ本体241(261)を、クランク軸206の軸線方向に貫通する貫通孔を有する2つの結合部250,251(270,271)は、第1,第2取付部245,246(265,266)を結ぶ線と第,第取付部24,24(26,26)を結ぶ線との間にあって、クランク軸206の略直径方向に対向する位置にある。そして、各結合部250,251(270,271)には、両クランク軸ホルダ240,260の、クランク軸206の軸線方向での間隔を設定値に保持するためのスペーサである間隔保持軸297,298が圧入で挟持される。図14,図16に示されるように、一対の間隔保持軸297,298において、クランク軸206の軸線方向から見て、一方の間隔保持軸298は、カムギヤ221と出力ギヤ211との間に配置され、他方の間隔保持軸297は、入力ギヤ235と出力ギヤ211との間に配置される。
【0118】
さらに、ホルダ本体241(261)には貫通孔を有するロッカアーム軸支持部252(272)が設けられ、該ロッカアーム軸支持部252(272)に嵌合された下方ロッカアーム軸225に、3つの下方ロッカアームが揺動自在に支持される。
【0119】
そして、図17に図示されるように、前方クランク軸ホルダ240および後方クランク軸ホルダ260の間に、両玉軸受207,208に保持されたクランク軸206、両玉軸受282,283に保持されたカム軸214、両玉軸受280,281に保持された第1主軸233a、下方ロッカアーム軸225、さらに発進クラッチ234が配置されて、これら部材と両クランク軸ホルダ240,260とが一体化された状態で、両クランク軸ホルダ240,260が、クランクケース202内において、前方から第3,第5取付部247,249(267,269)に挿入されるノックシャフト(第5取付部249(269)については、図15に示されるノックシャフト296)によりシリンダ203および機関側クランクケース202bに位置決めされ、次いで第3,第4,第5取付部247,248,249(267,268,269)にて、前方から前記ノックシャフトに挿通される通しボルト288,289,290が仮締めされることで、シリンダ203および機関側クランクケース202bに仮固定される。その後、変速機側クランクケース202aが機関側クランクケース202bに合わされ、第1,第2取付部245,246(265,266)にて、前方から挿通される通しボルト286,287が仮締めされることで、両クランク軸ホルダ240,260がクランクケース202内に収容され、次いでこれら通しボルト286〜290が締め付けられて、両クランク軸ホルダ240,260はシリンダ203およびクランクケース202に本固定される。
【0120】
このように、動弁機構の一部分を構成する3つの下方ロッカアーム、および動力伝達装置の一部分である発進クラッチ234は、両クランク軸ホルダ240,260の間に配置されているため、それぞれ、動弁機構のホルダ内部分および動力伝達装置のホルダ内部分となっている。
【0121】
ところで、前方および後方クランク軸ホルダ240,260のホルダ本体241,261、タイミングギヤ220およびカムギヤ221の形成材料である鋼材は、略等しい熱膨張率を有しているため、内燃機関201の温度上昇時に、それら部材に熱膨張が生じたとしても、クランク軸206およびカム軸214間において、両クランク軸ホルダ240,260の伸び量と、相互に噛合するタイミングギヤ220およびカムギヤ221の伸び量とが略等しいため、両ギヤ220,221の噛合部のバックラッシュの増大を防止できて、バックラッシュ増大による騒音の発生を防止できる。
【0122】
また、各ホルダ本体241,261と、さらに各玉軸受207,208のアウタレース207a,208aの形成材料の熱膨張率が略等しいため、熱膨張が生じたとしても、圧入による締め力の変化が小さいため、圧入締代を大きくする必要がなく、ホルダ本体241,261の鋼板の厚みのみで、両玉軸受207,208を確実に保持可能である。
【0123】
実施形態は、前記のように構成されているので、以下の効果を奏する。
クランク軸206を支持するクランク軸支持部242,262がそれぞれ形成されたホルダ本体241,261がプレス加工された板材で形成されるため、前方および後方クランク軸ホルダ240,260の軽量化・形成容易化が可能となる。
【0124】
前方および後方クランク軸ホルダ240,260は、クランク軸206が配置されるクランクケース202とは別部材で構成されて、通しボルト286〜290によりクランクケース202およびシリンダ203に着脱自在とされる。その結果、クランクケース202にはクランク軸206の保持部を形成する必要がないため、クランクケース202の構造が簡素化されて、クランク軸206自体のクランクケース202への組付けおよびクランク軸206周辺の部品であるカム軸214、無段変速機等のクランクケース202内への組付けが容易になる。
【0125】
さらに、前方および後方クランク軸ホルダ240,260は、タイミングギヤ220およびカムギヤ221の形成材料である鋼材と略等しい熱膨張率を有する鋼板から形成されるので、クランク軸206の保持部がクランクケースと一体鋳造される場合のように、クランクケース202の形成材料に限定されることなく、クランク軸206固有の機能に合った適切な材料を選択できる。
【0126】
前方および後方クランク軸ホルダ240,260には、クランク軸206に設けられたタイミングギヤ220と噛合するカムギヤ221が設けられたカム軸214がカム軸支持部244,264に支持され、さらにクランク軸206に設けられた出力ギヤ211に噛合する入力ギヤ235を有する発進クラッチ234を介して駆動連結された前記無段変速機の第1主軸233aが変速機軸支持部243,263に支持されるので、動弁機構および動力伝達装置の一部をクランク軸206近傍にコンパクトに配置できる。
【0127】
さらに、前方および後方クランク軸ホルダ240,260を共通のベースとして、クランク軸206、カム軸214および第1主軸233aを備え、さらにカム軸214により駆動される動弁機構の一部分である下方ロッカアーム、および主軸233により駆動される動力伝達装置の一部分である発進クラッチ234が、それぞれホルダ内部分として、前方および後方クランク軸ホルダ240,260の間に配置されたモジュールとすることができる。
【0128】
その結果、両クランク軸ホルダ240,260のクランクケース202およびシリンダ203に対する脱着により、カム軸214および第1主軸233aのクランクケース202およびシリンダ203に対する組付けおよび取外しが行われることで、カム軸214および第1主軸233aの組付け性および取外し性が向上して、内燃機関201の組立ておよびメンテナンスのための分解が容易になる。さらに、一対のクランク軸ホルダ240,260の間に配置されたホルダ内部分である下方ロッカアームおよび発進クラッチ234も、一対のクランク軸ホルダ240,260と一体化された状態でクランクケース202およびシリンダ203に対して着脱されるので、それら部品のクランクケース202およびシリンダ203に対する組付け性および取外し性が向上し、内燃機関201の組立ておよびメンテナンスのための分解が容易になる。
【0129】
また、間隔保持軸297,298により一対のクランク軸ホルダ240,260のクランク軸206の軸線方向の間隔が正確に規定されるので、前方および後方クランク軸ホルダ240,260の間に配置されるクランク軸206、カム軸214、第1主軸233aの、前記軸線方向の適正な位置を保持できるとともに、結合部250,251、270,271に圧入された間隔保持軸297,298の存在により、クランク軸206に作用する爆発荷重により生じる両クランク軸ホルダ240,260の変形が抑制される。
【0130】
また、前方および後方クランク軸ホルダ240,260のホルダ本体241,261と各玉軸受207,208のアウタレース207a,208aの形成材料との熱膨張率が略等しいため、熱膨張が生じたとしても、圧入による締め力の変化が小さいので、圧入締代を大きくする必要がなく、ホルダ本体241,261の鋼板の厚みのみで、玉軸受207,208を確実に保持可能である。
【0131】
さらに、一対のクランク軸ホルダ240,260は、クランク軸206に作用する爆発荷重の大部分を受け持つとともに、各クランク軸ホルダ240,260の周辺に位置する第1〜第5取付部245〜249,265〜269によりクランクケース202およびシリンダ203に対して固定されるので、クランク軸206からクランク軸ホルダ240,260に作用する荷重を、クランクケース202およびシリンダ203の広い範囲に分散できるので、クランクケース202を薄肉化したり、合成樹脂等の軽量材料で形成することが可能となる。
【0132】
次に、図19ないし図22を参照して、第実施形態を説明する。この第実施形態において、内燃機関は一対のバランサ軸302,303を備え、そのクランク軸301は、シリンダ(図示されず)に摺動自在に嵌合されるピストン304に一端が連結されたコンロッド305の他端が連結されるクランクピン301cにより一体に結合された前方クランク半体301aおよび後方クランク半体301bを有し、前方玉軸受306および後方玉軸受307を介してそれぞれ前方および後方クランク軸ホルダ320,340に回転自在に支持される。
【0133】
円板状の前方および後方クランクウェブを有するクランク軸301において、後方クランクウェブと後方玉軸受307との間のクランク軸301には、クランク軸301に設けられる駆動ギヤである鋼製のバランサ駆動ギヤ308が圧入され、さらに後方玉軸受307より後方であるクランク軸301の後端部には、クランク軸301に設けられる駆動ギヤである鋼製のタイミングギヤ309が圧入され、各ギヤ308,0309がクランク軸301と一体に回転する。
【0134】
このうち、バランサ駆動ギヤ308は、両クランク軸ホルダ320,340に回転自在に支持された各バランサ軸302,303に圧入された鋼製のバランサ従動ギヤ310,311に噛合し、それぞれバランスウエイト312,313が設けられた両バランサ軸302,303が、クランク軸301の回転速度と等しい回転速度で回転駆動される。また、タイミングギヤ309は、カム軸314に圧入された従動ギヤである鋼製のカムギヤ315に噛合し、吸気弁、排気弁および過給弁をそれぞれ駆動するカム316が設けられたカム軸314が回転駆動される。カム軸314は、第1実施形態のカム軸24と同様に、内燃機関2の一機構である動弁機構を駆動する回転軸である。
【0135】
次に、前方クランク軸ホルダ320および後方クランク軸ホルダ340について説明する。両クランク軸ホルダ320,340は、それぞれ、クランク軸301の軸線およびシリンダの軸線を通る平面である対称平面に対して対称な形状であり、クランク軸301の軸線と略直交する平面をなす平板状のホルダ本体321,341からなり、該ホルダ本体321,341はプレス加工された一枚の鋼板により形成される。
【0136】
両クランク軸ホルダ320,340のホルダ本体321,341は、後方クランク軸ホルダ340のホルダ本体341に後述するカム軸支持部352およびカム軸ホルダ380の結合部が形成されている点を除いて、同じであるので、先ず両ホルダ本体321,341に共通の部分について、前方クランク軸ホルダ320のホルダ本体321について説明し、説明の都合上、後方クランク軸ホルダ340に関する構成または符号を括弧内に記す。
【0137】
ホルダ本体321(341)をクランク軸301の軸線方向に貫通する貫通孔を有する3つの支持部は、前方玉軸受306(後方玉軸受307)を介してクランク軸301を回転自在に支持するクランク軸支持部322(342)と、該クランク軸支持部322(342)を中心として、クランク軸301の側方で、それぞれ、前方玉軸受360,362(後方玉軸受361,363)を介してバランサ軸302,303を回転自在に支持する一対のバランサ軸支持部323,324(343,344)からなる。
【0138】
3つの支持部322,323,324(342,343,344)は、クランク軸301と両バランサ軸302,303の軸線が同一平面上に位置し、しかもクランク軸301の軸線とバランサ軸302,303の軸線との間隔が等しくなるように配置される。また、各支持部322,323,324(342,343,344)には、各前方玉軸受306,360,362(各後方玉軸受307,361,363)の鋼製のアウタレース306a,360a,362a(307a,361a,363a)が圧入され、また前方玉軸受306(後方玉軸受307)のインナレース306b(307b)はクランク軸301に、そして前方玉軸受360,362(後方玉軸受361,363)のインナレース360b,362b(361b,363b)はバランサ軸302,303に、それぞれ圧入される。
【0139】
ホルダ本体321(341)を、クランク軸301の軸線方向に貫通する貫通孔を有する3つの取付部は、前記対称平面上に中心線を有する貫通孔からなり、固定部材であるクランクケース(図示されず)に設けられたボルト孔に対応するケース側取付部を構成する第1取付部325(345)と、前記対称平面に対して対称な位置にあり、固定部材であるシリンダに設けられた2つのボルト孔にそれぞれ対応する2つのシリンダ側取付部を構成する第2,第3取付部326,327(346,347)からなる。第2,第3取付部326,327(346,347)は、ホルダ本体321(341)において、シリンダヘッドに向かって突出した一対の突出部321a,321b(341a,341b)にそれぞれ設けられている。そして、これら取付部325〜327(345〜347)は、前方クランク軸ホルダ320(後方クランク軸ホルダ340)の周辺に位置する。
【0140】
各取付部325〜327(345〜347)には、クランク軸301の軸線と平行な締付け方向となる止め具である通しボルト(図示されず)が挿通され、それら通しボルトにより、前方クランク軸ホルダ320(後方クランク軸ホルダ340)が固定される。このうち、第1取付部325に挿通される通しボルトは、前方クランク軸ホルダ320に溶接されたナット364に螺合し、また第1取付部345に挿通される通しボルトは、後方クランク軸ホルダ340に溶接されたナット365に螺合する。
【0141】
前方および後方クランク軸ホルダ320,340を結合すべく、ホルダ本体321(341)を、クランク軸301の軸線方向に貫通する貫通孔を有する4つの結合部は、両バランサ軸支持部323,324(343,344)よりも第1取付部325(345)寄りに位置する第1,第2結合部328,329(348,349)と、両バランサ軸支持部323,324(343,344)よりも第2,第3取付部326,327(346,347)寄りに位置する第3,第4結合部330,331(350,351)からなる。第1結合部328(348)および第2結合部329(349)、そして第3結合部330(350)および第4結合部331(351)は、それぞれ、前記対称平面に対して対称に配置されている。
【0142】
そして、両第1結合部328,348、両第2結合部329,349、両第3結合部330,350、両第4結合部331,351には、リベット366〜369がそれぞれ挿通され、しかもリベット366〜369の外周に、両端が両クランク軸ホルダ320,340の対向面にそれぞれ当接することで、クランク軸301の軸線方向ので間隔を設定値に保持するためのスペーサである円筒状のカラー370〜373が挿入された状態で、リベット366〜369の一端がかしめられることにより、両クランク軸ホルダ320,340が一体化される。なお、両第3結合部330,350および両第4結合部331,351に挿通されるリベット368,369は、一対の突出部341a,341bに跨って配置されるカム軸ホルダ380の一対の結合部382,383も挿通しており(図19参照)、これによってカム軸ホルダ380が後方クランク軸ホルダ340に当接した状態で固定される。
【0143】
次に、後方クランク軸ホルダ340についてさらに説明すると、ホルダ本体341には、前記対称平面上に位置する中心線を有し、クランク軸301の軸線方向に貫通する貫通孔を有するカム軸支持部352が形成され、このカム軸支持部352と、後方クランク軸ホルダ340に固定されるカム軸ホルダ380に設けられたカム軸支持部381とにリベット374が挿通されて固定される。リベット374の外周には、両端が後方クランク軸ホルダ340およびカム軸ホルダ380の対向面にそれぞれ当接する円筒状のカラー375が嵌合され、このカラー375外周に円筒状のカム軸314が回転自在に嵌合される。
【0144】
さらに、ホルダ本体341には、クランク軸301の軸線方向に貫通する貫通孔を有する第5,第6結合部353,354が設けられる。第5結合部353は、一方の突出部341aにおいて、第2取付部346および第3結合部350との間に位置し、第6結合部354は、他方の突出部341bにおいて、第3取付部347および第4結合部351との間に位置する。
【0145】
一方、プレス加工された一枚の鋼板により形成されたカム軸ホルダ380には、クランク軸301の軸線方向に貫通する貫通孔により構成される4つの結合部が設けられる。第1,第2結合部382,383は、カム軸ホルダ380の一部が後方クランク軸ホルダ340側へ屈曲されて形成されて、後方クランク軸ホルダ340に当接するフランジ部に形成され(図22には、第1結合部382が形成されるフランジ部380aが示されている)、カム軸支持部352よりもバランサ軸支持部323,324(343,344)寄りに位置し、前述の第3,第4取付部350,351にそれぞれ挿通されるリベット368,369が挿通する。
【0146】
また、第3,第4結合部384,385は、後方クランク軸ホルダ340における第5,第6結合部353,354にそれぞれ対応する位置で、カム軸支持部381よりも第2,第3取付部346,347寄りに位置する。そして、カム軸ホルダ380の第1,第2結合部382,383、第3,第4結合部384,385、そして後方クランク軸ホルダ340の第5,第6結合部353,354は、前記対称平面に対して対称に配置されている。
【0147】
後方クランク軸ホルダ340の第5結合部353およびカム軸ホルダ380の第3結合部384、そして後方クランク軸ホルダ340の第6結合部354およびカム軸ホルダ380の第4結合部385には、それぞれスペーサを兼ねるボルト(図示されず)が挿通されて、後方クランク軸ホルダ340およびカム軸ホルダ380のクランク軸301の軸線方向での間隔が設定値に保持される。
【0148】
そして、この第実施形態では、前方クランク軸ホルダ320および後方クランク軸ホルダ340において、両玉軸受306,307に保持されたクランク軸301と両玉軸受360,361および両玉軸受362,363にそれぞれ支持された一対のバランサ軸302,303、さらに後方クランク軸ホルダ340およびカム軸ホルダ380において、カラー375に保持されたカム軸314が配置されて一体化されて、クランクケースおよびシリンダの所定位置に位置決めされ、両第1取付部32545、両第2取付部326,346,両第3取付部327,347にて通しボルトが締め付けられることで、クランクケースおよびシリンダに固定される。
【0149】
ところで、前方および後方クランク軸ホルダ320,340、タイミングギヤ309、カムギヤ315、バランサ駆動ギヤ308およびバランサ従動ギヤ310,311の形成材料である鋼材は、略等しい熱膨張率を有しているため、内燃機関の温度上昇時に、それら部材に熱膨張が生じたとしても、クランク軸301とカム軸314との間において、両クランク軸ホルダ320,340の伸び量と、相互に噛合するバランサ駆動ギヤ308およびバランサ従動ギヤ310,311の伸び量とが略等しく、そしてクランク軸301とカム軸314との間において、クランク軸ホルダ320,340およびカム軸ホルダ380の伸び量と、相互に噛合するタイミングギヤ309およびカムギヤ315の伸び量とが略等しいため、これらギヤの噛合部のバックラッシュの増大を防止できて、バックラッシュ増大による騒音の発生を防止できる。
【0150】
また、前方および後方クランク軸ホルダ320,340のホルダ本体321,341と、各玉軸受306,307のアウタレース306a,307aの形成材料である鋼材は、略等しい熱膨張率を有しているため、熱膨張が生じたとしても、圧入による締め力の変化が小さいので、圧入締代を大きくする必要がなく、それらホルダ本体321,341の鋼板の厚みのみで、各玉軸受306,307を確実に保持可能である。
【0151】
実施形態は、前記のように構成されているので、以下の効果を奏する。
クランク軸301を支持するクランク軸支持部322,342がそれぞれ形成されたホルダ本体321,341がプレス加工された板材で形成されるため、前方および後方クランク軸ホルダ320,340の軽量化・形成容易化が可能となる。
【0152】
前方および後方クランク軸ホルダ320,340は、クランク軸301が配置されるクランクケースとは別部材で構成されて、通しボルトによりクランクケースおよびシリンダに着脱自在とされる。その結果、クランクケースにはクランク軸301の保持部を形成する必要がないため、クランクケースの構造が簡素化されて、クランク軸301自体のクランクケースへの組付けおよびクランク軸301周辺の部品であるカム軸314、バランサ軸302,303等のクランクケース内への組付けが容易になる。
【0153】
さらに、前方および後方クランク軸ホルダ320,340は、タイミングギヤ309およびカムギヤ315の形成材料である鋼材と略等しい熱膨張率を有する鋼板から形成されるので、クランク軸の保持部がクランクケースと一体鋳造される場合のように、クランクケースの形成材料に限定されることなく、クランク軸301固有の機能に合った適切な材料を選択できる。
【0154】
前方および後方クランク軸ホルダ320,340には、クランク軸301に設けられたバランサ駆動ギヤ308に噛合するバランサ従動ギヤ310,311が設けられた一対のバランサ軸302,303がバランサ軸支持部に支持され、さらに後方クランク軸ホルダ340およびカム軸ホルダ380には、クランク軸301に設けられたタイミングギヤ309と噛合するカムギヤ315が設けられたカム軸314が両カム軸支持部352,381に支持されるので、バランサ軸302,303およびカム軸314をクランク軸301近傍にコンパクトに配置できる。さらに、前方および後方クランク軸ホルダ320,340を共通のベースとして、クランク軸301、バランサ軸302,303およびカム軸314を備えたモジュールとすることができる。
【0155】
その結果、両クランク軸ホルダ320,340のクランクケースおよびシリンダに対する脱着により、バランサ軸302,303およびカム軸314のクランクケースおよびシリンダに対する組み付けおよび取外しが行われることで、バランサ軸302,303およびカム軸314の組付け性および取外し性が向上して、内燃機関の組立ておよびメンテナンスのための分解が容易になる。
【0156】
さらに、リベット366〜369およびカラー370〜373により両クランク軸ホルダ320,340のクランク軸301の軸線方向の間隔が正確に規定されるので、両クランク軸ホルダ320,340の間に配置されるクランク軸301およびバランサ軸302,303の、前記軸線方向の適正な位置を保持できるとともに、リベット366〜369およびカラー370〜373の存在により、クランク軸301に作用する爆発荷重により生じる両クランク軸ホルダ320,340の変形が抑制される。
【0157】
また、前方および後方クランク軸ホルダ320,340のホルダ本体321,341と各玉軸受306,307のアウタレース306a,307aの形成材料との熱膨張率が略等しいため、熱膨張が生じたとしても、圧入による締め力の変化が小さいので、圧入締代を大きくする必要がなく、ホルダ本体321,341の鋼板の厚みのみで、玉軸受306,307を確実に保持可能である。
【0158】
さらに、両クランク軸ホルダ320,340は、クランク軸301に作用する爆発荷重の大部分を受け持つとともに、各クランク軸ホルダ320,340の周辺に位置する3つの取付部325〜327,345〜347によりクランクケースおよびシリンダに対して固定されるので、クランク軸301から各クランク軸ホルダ320,340に作用する荷重を、クランクケースおよびシリンダの広い範囲に分散できるので、クランクケースを薄肉化したり、合成樹脂等の軽量材料で形成することが可能となる。
【0159】
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した形態について、変更した構成に関して説明する。
前方および後方クランク軸ホルダ80,110,90,120の取付部82,92,112,122および補強部は、それぞれホルダ本体81,91,111,121と一体に成形されていたが、少なくともいずれか一方をホルダ本体とは別部材として、それをホルダ本体に固着することにより、各クランク軸ホルダを形成してもよい。
【0160】
後方クランク軸ホルダ90の支持部96に回転自在に支持される回転軸であって、クランク軸4の駆動ギヤであるタイミングギヤ22と噛合する従動ギヤであるカムギヤ23が設けられた回転軸はカム軸24であったが、クランク軸4に駆動用のギヤを設け、該ギヤと噛合する従動ギヤが設けられた回転軸としては、冷却水ポンプまたはオイルポンプを駆動するための回転軸であってもよい。
【0161】
下方吸気および下方排気ロッカアーム軸35,36は、管材から形成された中空の軸であったが、中実の軸で形成することもできる。
【0162】
バランスウエイト63は、入力ギヤ58の前部ボス部の外周面に設けたが、一方向クラッチ62のアウタレースが、入力ギヤ58の前部ボス部とは別の部材から構成されるときは、この別部材の外周面にバランスウエイトを固着して、バランサを構成することもできる。
【0163】
前記実施形態では、クランク軸ホルダ80,90,110,120,240,260,320,340は、一対のものとして使用されたが、片持ち式のクランク軸の場合には、単一のクランク軸ホルダが使用される。また、クランク軸は、車体の前後方向を指向して配置されたが、車体の左右方向を指向して配置されてもよい。さらに、クランク軸ホルダに支持される回転軸を有する変速機として歯車式変速機を使用することもでき、その場合には、歯車式変速機の主軸および副軸の少なくとも一方をクランク軸ホルダで支持するようにしてもよく、またシフト機構の回転軸をクランク軸ホルダで支持してもよい。
【0164】
内燃機関2のクランク軸4のクランク軸ホルダについて説明したが、このクランク軸ホルダは、内燃機関以外の機械、例えばクランク機構を使用した圧縮機や膨張機にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本出願発明の第1実施形態のクランク軸ホルダを備えた内燃機関を備えたパワーユニットの正面から見た断面図である。
【図2】図1のパワーユニットを背面から見た断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】前方クランク軸ホルダの正面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図4のVI−VI線断面図である。
【図7】後方クランク軸ホルダの背面図である。
【図8】カム軸ホルダの背面図である。
【図9】後方クランク軸ホルダおよびカムホルダを一体にしたときの、図7のIX−IX線断面図である。
【図10】 第1実施形態と部分的に共通の構造を備える参考形態の前方クランク軸ホルダの正面図である。
【図11】 前記参考形態の後方クランク軸ホルダの背面図である。
【図12】 前記参考形態の前方および後方クランク軸ホルダを一体にしたときの図である。
【図13】 前記参考形態の前方および後方クランク軸ホルダにより、クランク軸を支持したときの断面図である。
【図14】 本出願発明の第実施形態のシリンダの軸線を通る面での断面が示されるとともに背面から見た図である
【図15】図14の主としてXV−XV線断面図である。
【図16】前方および後方クランク軸ホルダによりクランク軸、カム軸および主軸を支持したときの要部正面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線断面図である。
【図18】図16のXVIII−XVIII線断面図である。
【図19】 本出願発明の第実施形態の前方および後方クランク軸ホルダによりクランク軸、バランサ軸およびカム軸を支持したときの背面図である。
【図20】図19のXX−XX線断面図である。
【図21】図19のXXI−XXI線断面図である。
【図22】図19のXXII−XXII線断面図である。
【符号の説明】
1…パワーユニット、2…内燃機関、3…油圧式変速機、4…クランク軸、5…クランクケース、6…シリンダ、7…シリンダヘッド、8…シリンダヘッドカバー、9,10…玉軸受、11…ピストン、12…コンロッド、13…クランクピン、14…バランスウエイト、15…出力ギヤ、16…過給機、17…過給機駆動ギヤ、18…交流発電機、19…ロータ、20…冷却ファン、21…ファンカバー、22…タイミングギヤ、23…カムギヤ、24…カム軸、25,26…玉軸受、27…吸気弁、28…排気弁、29…過給弁、30…吸排気カム、31…過給カム、32…下方吸気ロッカアーム、33…下方排気ロッカアーム、34…下方過給ロッカアーム、35…下方吸気ロッカアーム軸、36…下方排気ロッカアーム軸、37…吸気弁保持体、38…排気弁保持体、39…上方吸気ロッカアーム、40…上方排気ロッカアーム、41…上方過給ロッカアーム、42…オイルポンプ、43…ポンプ駆動軸、44…ポンプケーシング、45…オイル溜め、46…吸入路、47…吐出管、48…油路、49…油管、50…オイル流入室、51…油路、52…噴射孔、54…戻し油管、55…冷却フィン、56…潤滑溝、57…油路、58…入力ギヤ、59…出力軸、60…油圧ポンプハウジング、61…始動従動ギヤ、62…一方向クラッチ、63…バランスウエイト、64…玉軸受、65…軸受、66…始動モータ、67…ピニオン、68,69…ギヤ、70…変速機出力ギヤ、71…クランクケースカバー、72…ボルト、77,78,79…プルロッド、
80…前方クランク軸ホルダ、81…ホルダ本体、82…取付部、83…クランク軸支持部、84…変速機軸支持部、85…ボルト、86…ボルト孔、
90…後方クランク軸ホルダ、91…ホルダ本体、92…取付部、93…クランク軸支持部、94…カム軸支持部、95…ボルト、96,97…前方取付孔、98…前方結合部、
100…カム軸ホルダ、101…カム軸支持部、102…挿入孔、103,104…後方取付孔、105…後方結合部、
110…前方クランク軸ホルダ、111…ホルダ本体、112…取付部、113…補強部、114…クランク軸支持部、115…ボルト、116…ボルト孔、117…ねじ孔、
120…後方クランク軸ホルダ、121…ホルダ本体、122…取付部、123…補強部、124…クランク軸支持部、125…ボルト、126…ボルト孔、127…ボルト孔
130…ボルト、
201…内燃機関、202…クランクケース、203…シリンダ、204…シリンダヘッド、205…シリンダヘッドカバー、206…クランク軸、207,208…玉軸受、209…ピストン、210…コンロッド、211…出力ギヤ、212…点火栓、213…過給機、214…カム軸、215,216…スプロケット、217…交流発電機、218…冷却ファン、219…オイルポンプ、220…タイミングギヤ、221…カムギヤ、222…排気弁、223…過給弁、224…カム、225…下方ロッカアーム軸、226…下方吸気ロッカアーム、227…下方排気ロッカアーム、228…下方過給ロッカアーム、229…上方ロッカアーム軸、230…プルロッド、231…上方排気ロッカアーム、232…上方過給ロッカアーム、233…主軸、234…発進クラッチ、235…入力ギヤ、
240…前方クランク軸ホルダ、241…ホルダ本体、242…クランク軸支持部、243…変速機軸支持部、244…カム軸支持部、245〜249…取付部、250,251…結合部、252…ロッカアーム軸支持部、
260…後方クランク軸ホルダ、261…ホルダ本体、262…クランク軸支持部、263…変速機軸支持部、264…カム軸支持部、265〜269…取付部、270,271…結合部、272…ロッカアーム軸支持部、
280〜283…玉軸受、284,285…ボルト孔、286〜290…通しボルト、291〜295…ナット、296…ノックシャフト、297,298…間隔保持軸、
301…クランク軸、302,303…バランサ軸、304…ピストン、305…コンロッド、306,307…玉軸受、308…バランサ駆動ギヤ、309…タイミングギヤ、310,311…バランサ従動ギヤ、312,313…バランスウエイト、314…カム軸、315…カムギヤ、316…カム、
320…前方クランク軸ホルダ、321…ホルダ本体、322…クランク軸支持部、323,324…バランサ軸支持部、325〜327…取付部、328〜331…結合部、
340…後方クランク軸ホルダ、341…ホルダ本体、342…クランク軸支持部、343,344…バランサ軸支持部、345〜347…取付部、348〜351…結合部、352…カム軸支持部、353,354…結合部、
360〜363…玉軸受、364,365…ナット、366〜369…リベット、370〜373…カラー、374…リベット、375…カラー、
380…カム軸ホルダ、381…カム軸支持部、382〜385…結合部。

Claims (13)

  1. プレス加工された板材からなるホルダ本体と、該ホルダ本体に形成されて内燃機関のクランク軸を回転自在に支持する第1支持部と、前記ホルダ本体に設けられて前記内燃機関のクランクケースへの止め具が保持される取付部とを備えたクランク軸ホルダであって、
    該クランク軸ホルダが、前記クランクケースとは別部材で構成されて、前記止め具により前記クランクケースに対して着脱自在とされ
    前記クランク軸に設けられた駆動ギヤと噛合する従動ギヤが設けられて前記内燃機関に取り付けられる機構を駆動する回転軸を回転自在に支持する第2支持部が、前記ホルダ本体に形成されることを特徴とするクランク軸ホルダ。
  2. 前記第1支持部の径方向外方位置で、前記クランク軸の軸線方向に突出して前記ホルダ本体に設けられ、該ホルダ本体の曲げ剛性を高める補強部を備えたことを特徴とする請求項1記載のクランク軸ホルダ。
  3. 前記取付部が前記補強部を兼ねることを特徴とする請求項2記載のクランク軸ホルダ。
  4. 前記第2支持部は、前記クランクケースに結合されたクランクケースカバーに係合することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のクランク軸ホルダ。
  5. 前記回転軸は、前記機構である動弁機構を駆動するカム軸であり、
    前記第2支持部は、前記カム軸を回転自在に支持するカム軸ホルダと、該カム軸ホルダに挿入されるとともに前記クランクケースに固着されたオイルポンプとを介して、前記クランクケースに支持されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のクランク軸ホルダ。
  6. 前記ホルダ本体および前記カム軸ホルダには、それぞれ結合部が形成され、
    前記ホルダ本体の前記結合部が前記カム軸ホルダの前記結合部に圧入されることにより、前記カム軸ホルダと一体化されるとともに該カム軸ホルダとの間隔が規定されることを特徴とする請求項5記載のクランク軸ホルダ。
  7. 一対の前記クランク軸ホルダの間に、前記機構の少なくとも一部分を構成するホルダ内部分が配置され、
    前記一対のクランク軸ホルダ、前記クランク軸、前記回転軸および前記ホルダ内部分が一体化された状態で前記クランクケースに着脱自在とされることを特徴とする請求項記載のクランク軸ホルダ。
  8. 前記ホルダ本体を形成する材料と、前記駆動ギヤおよび前記従動ギヤを形成する材料との熱膨張率が略等しいことを特徴とする請求項記載のクランク軸ホルダ。
  9. 一対の前記クランク軸ホルダが、該一対のクランク軸ホルダ相互のクランク軸の軸線方向の間隔を保持するスペーサにより一体化された状態で前記クランクケースに着脱自在とされることを特徴とする請求項1記載のクランク軸ホルダ。
  10. 一対の前記クランク軸ホルダは、前記クランク軸の軸線方向で前記クランクケースを挟んで、共通の前記止め具により前記クランクケースに固定されることを特徴とする請求項1記載のクランク軸ホルダ。
  11. 前記機構は、動弁機構、および、変速機であり、
    前記回転軸は、前記動弁機構を駆動するカム軸、および、前記変速機の主軸であり、
    前記第2支持部は、カム軸支持部、および、変速機軸支持部であり、
    前記取付部は、前記各クランク軸ホルダの周辺に位置することを特徴とする請求項10記載のクランク軸ホルダ。
  12. 前記従動ギヤは、前記カム軸に設けられたカムギヤ、および、前記主軸に設けられた入力ギヤであり、
    前記駆動ギヤは、前記カムギヤと噛合するタイミングギヤ、および、前記入力ギヤと噛合する出力ギヤであり、
    前記一対のクランク軸ホルダは、その結合部において、前記クランク軸の軸線方向での間隔を保持する一対のスペーサにより結合され、
    前記一対のスペーサにおいて、前記軸線方向から見て、一方の前記スペーサは、前記カムギヤと前記出力ギヤとの間に配置され、他方の前記スペーサは、前記入力ギヤと前記出力ギヤとの間に配置されることを特徴とする請求項11記載のクランク軸ホルダ。
  13. 前記回転軸は、前記機構である動弁機構を駆動するカム軸であり、
    前記ホルダ本体には、一対の突出部が設けられ、
    前記カム軸を回転自在に支持するカム軸ホルダが、前記一対の突出部に跨って配置されて、リベットにより前記ホルダ本体に固定されることを特徴とする請求項1記載のクランク軸ホルダ。
JP2000221552A 1999-07-22 2000-07-21 クランク軸ホルダ Expired - Fee Related JP4286438B2 (ja)

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