JP4286032B2 - フォークリフトのパレットロック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフォークリフトに設けられ、フォークに挿入されたパレットをロックするためのパレットロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばオーダーピッキングトラックのようにフォークで荷置面から持上げられているパレットにオペレータが乗り移って荷物を積み下ろしするフォークリフトにおいては、荷物の積み下しやパレット上でのオペレータの位置により荷重の重心位置が変動するので、この荷重重心の変動によるパレットの傾斜、横滑り、揺動などを防止するために、フォークで支持しているパレットをフォークに対して固定するパレットロック装置が設けられる。
【0003】
上記パレットロック装置の例としては下記の特許文献に示されるものがある。
【特許文献1】
特開平11−228085号公報
【特許文献2】
特開平10−291790号公報
【特許文献3】
特開2001−316095号公報
【特許文献4】
特開2002−12397号公報
【0004】
これらの文献に記載されたパレットロック装置は何れも手動で操作されるものであり、その操作忘れを解消することができない。このため、本発明の発明者は駆動装置により自動的にパレットをロックすることを検討したが、この場合、装置の作動が不十分であった場合や、装置の故障に対応する方策が必要となる。
【0005】
本発明は、このような観点より提案されたものであり、パレットロック装置を従来の手動式でなく自動化すると共に、装置の作動不十分や故障にも充分に対応できる装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第1の発明として、パレットを押圧してロックするロックバーと該ロックバーを作動させる駆動機とを備えたフォークリフトのパレットロック装置において、上記ロックバーがロック状態にあるかロック解除状態にあるかを検出する検出手段を設けると共に、ロックバーがロック状態でもロック解除状態でもない場合に上記駆動機によりロックバーをロック解除状態に作動させる制御回路を設けたことを特徴とするフォークリフトのパレットロック装置を提供する。
【0007】
この第1の発明によれば、ロックバーの動作が不確実で、ロック状態でもロック解除状態でもないような場合にも、その動作を確実に進行させることが可能になる。
【0008】
また第2の発明として、上記第1の発明において、前記制御回路は、前記駆動機によりロックバーをロック解除状態に作動させた後、所定の時間内にロックバーがロック解除状態に達しない場合は、前記パレットロック装置に故障が生じたと判定することを特徴とするフォークリフトのパレットロック装置を提供する。
【0009】
この第2の発明によれば、パレットロック装置の故障を確実に判定できるので、その修理を確実に行うことができ、従って上記故障を知らずに運転操作することによる事故などを確実に防止できる効果がある。
【0010】
また第3の発明として、上記第2の発明において、前記制御回路が前記パレットロック装置に故障が生じたと判定したとき、オペレータに故障の発生を通報する報知手段を設けたことを特徴とするフォークリフトのパレットロック装置を提供する。
【0011】
この第3の発明によれば、故障の発生時にオペレータに故障の発生が通報されるので、上記修理などの対応を迅速に行うことができる効果がある。
【0012】
また第4の発明として、上記第1乃至第3の何れかの発明において、前記検出手段によるロックバーの状態の検出が前記フォークリフトのキースイッチがオンされた時に行われることを特徴とするフォークリフトのパレットロック装置を提供する。
【0013】
この第4の発明によれば、前記検出手段によるロックバーの状態の検出が前記フォークリフトのキースイッチがオンされた時に行われるので、作業の開始時にロックバーの動作が不確実な場合にも、その動作を確実に進行させることが可能になるという効果がある
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例に係るフォークリフトのパレットロック装置を図面に基づいて具体的に説明すれば、以下の通りである。図面において、図1は本発明の一実施例に係るフォークリフトのパレットロック装置の初期動作制御プログラムのフロー図であり、図2はこの自動パレットロック装置の制御プログラムの概略的に示すフロー図であり、図3はこの制御プログラムの動作モード設定プログラムのフロー図であり、図4はこの動作モード設定プログラムに続く駆動機制御プログラムのフロー図であり、図5はこの自動パレットロック装置を備えるオーダーピッキングトラックの側面図である。
【0015】
この図5に示すように、このオーダーピッキングトラックは、ドライブホイール1と左右のロードホイール2との3輪により走行面を走行する車体3の後部にマスト4を備え、又、このマスト4に互いに他方に同行して昇降するように支持された運転台5及び左右のフォーク6を備えている。
【0016】
運転台5の前部の左右両隅にそれぞれ隅柱7が立設され、両隅柱7の中間高さには操舵ハンドル、昇降制御操作具、走行制御操作具などを備える操縦パネルを支持させ、両隅柱7上端部にはヘッドガード8を支持させている。 又、運転台5のデッキ9には例えばデッドマン方式のブレーキペダルが設けられ、運転台5の下面に前記左右のフォーク6が固定されている。
【0017】
図6はこのオーダーピッキングトラックに装備された自動パレットロック装置の側面図であり、図7はその平面図である。
【0018】
これら図6と図7とに示すように、運転台5のデッキ9の下側に、左右のフォーク6の間に位置させて前記自動パレットロック装置10が設けられている。
【0019】
このパレットロック装置10は、運転台5に支持されているベースプレート11と、このベースプレート11の後端部に左右のブラケット12を介して支持されている支軸13と、この支軸13にその軸心周りに、即ち、左右軸心周りに回転自在に支持させた左右のロックバー14とを備えている。
【0020】
ここで、左右のロックバー14は、その中間部どうしを連結枠15で互いに連結することにより、支軸13の周りを同期して回転するようにしている。
【0021】
又、このパレットロック装置10は左右のロックバー14をロック動作方向に駆動するための駆動機16を備え、この駆動機16は前端部が軸17を介して前記ベースプレート11に枢支されている電動シリンダからなる駆動機18と、この駆動機18の出力部、即ち、ピストンロッド19に連結されたリンク機構20とを備えている。
【0022】
図8はこのリンク機構20の平面図であり、図6とこの図8とに示すように、このリンク機構20は、下端部が前記ベースプレート11に左右軸心周りに回転可能に支持され、上端部がピストンロッド19に連接されている第1リンクアーム21と、下端部が前記ベースプレート11に左右軸心周りに回転可能に支持され、中間部ないし上端部が前記連結枠15を前方から受止める第2リンクアーム22と、第1リンクアーム21の中間部を第2リンクアーム22の上端部に連結する過剰動作吸収機構23とを備えている。
【0023】
この過剰動作吸収機構23は、前端部が第1リンクアーム21の中間部に左右軸心周りに回転可能に連接させてあるシャフト24と、このシャフト24の後端部がその軸方向に移動可能に挿通されると共に、前記第2リンクアーム22の上端部に左右軸心周りに回転可能に連接させたブラケット25と、このブラケット25をシャフト24の後端に向かって付勢する例えば圧縮コイルバネからなるロック付勢手段26とを備え、ブラケット25に対するシャフト24の過剰動作を吸収する。
【0024】
一方、前記ロックバー14は連結枠15とベースプレート11とにわたって架着されている解除付勢手段27により連結枠15が前記第2リンクアーム22に押圧される方向(解除方向)に付勢されている。
【0025】
そして、図6に示すように、ロックバー14は後端部が丸められた鏃形に形成され、その上にパレット40が載っていないフリー状態では、前記解除付勢手段27と駆動機16とによりその中間部がフォーク6の上面から突出し、下面がフォーク6の下面よりわずかに高い位置で水平に位置する解除位置に保持されるようにしている。
【0026】
図9はパレット40に差込んだフォーク6を上デッキプレート41に当接するパレット検出位置に上昇させた状態における前記自動パレットロック装置10の側面図であり、前記解除付勢手段27(図7と図8に示す。)の付勢力はパレット40の重量よりも弱く設定してあるので、フォーク6が上デッキボード41の下面に当接する高さまで上昇すると、この図9に示すように、ロックバー14はパレット40の重量で前記解除付勢手段27の付勢力に抗してロック位置の方向に回転する。
【0027】
ところで、図6ないし図9に示すように、前記ベースプレート11にはロックバー14がフォーク6の上面以下に移動していることを検出する例えば磁気センサからなるパレット検出手段32がブラケット42を介して支持されている。
【0028】
又、このパレット検出手段32を駆動する磁石からなる駆動片43はアーム44及び連結枠15を介してロックバー14に支持され、図9に示すようにロックバー14の最高部位がフォーク6の上面の高さまで押し下げられた時に前記駆動片43がパレット検出手段32から離隔して、前記パレット検出手段32が例えばオンからオフに切替えられるようにしている。
【0029】
これにより、動作モードがフリーモードからロック動作モードに切替えられて駆動機18が始動され、第2リンクアーム22が連結枠15に追い付いて当接した後、更にピストンロッド19、第1リンクアーム21及びシャフト24がブラケット25及び第2リンクアーム22に対して下限値Aだけ過剰動作すると、ロック付勢手段26の付勢力増大して解除付勢手段27の付勢力に打ち勝ち、第2リンクアーム22が連結枠15を介してロックバー14をロック位置に向かって駆動する。
【0030】
もっとも、ロック付勢手段26を適当な組込み圧で組込んで、過剰動作なしにロックバー14をロック位置まで駆動するようにしてもよい。なお、前記ロック付勢手段26の組込み高さ及び組込み圧は、前記シャフト24の後端部に螺合させた調節ナット28により、駆動機18を短縮させた解除状態で前記第2リンクアーム22が連結枠15を受止めてロックバー14を解除位置に牽制するように調整される。
【0031】
図10はロックバー14がパレット40の下デッキボード46に当接するロック位置まで下げられた時に前記パレットロック装置の側面図であり、この図10に示すように、ロックバー14が下デッキボード46に当接するロック位置まで駆動されると、ロックバー14、連結枠15及び第2リンクアーム22は下デッキボード46に牽制されるので、ピストンロッド19、第1リンクアーム21及びシャフト24のブラケット25に対する過剰動作量Xが更に増加し、例えば過剰動作量Xが上限値Bになると、ロックバー14が所定の圧力で下デッキボード46に押圧され、ロック状態が完成する。
【0032】
図11は前記過剰動作吸収機構23を部分的に示す側面図であり、図8とこの図11とに示すように、前記シャフト24の後端部には調節ナット28の緩解を防止するために止めナット28aが螺合され、これら調節ナット27と止めナット28aとに挟持させた駆動片29により、後述するロック制御手段30の変形量検出手段31を駆動するようにしている。
【0033】
又、図11に示すように、前記変形量検出手段31は前記過剰動作吸収機構23のブラケット25にステー35を介して支持させた例えばポテンショメータで構成され、その入力軸36に固定したアーム37の先端に設けたピン38を前記駆動片29に形成したU字溝39に挿通することにより、過剰動作吸収機構23のブラケット25に対するシャフト24の過剰動作量Xを検出するようにしている。
【0034】
図12はパレット40を荷置台に置き、フォーク6を上デッキボード41から所定の距離以上離隔させた状態における前記パレットロック装置10の側面図であり、この図12に示すように、パレット40を荷置台に置き、フォーク6を上デッキボード41から所定の距離以上離隔させると、ピストンロッド19、第1リンクアーム21及びシャフト24に対してブラケット25、第2リンクアーム22、連結枠15及びロックバー14が過剰動作することになり、過剰動作量Xは前記上限値Bよりも大きくなる。
【0035】
パレット40が荷置台に置かれ、フォーク6及びロックバー14を支障無くパレット40から抜取れる高さになると、過剰動作量Xは例えば所定値Cになるので、過剰動作量Xが所定値Cになると、駆動機18を逆作動させてロックを解除させる。
【0036】
図6と図8とに示すように、前記ベースプレート11には、前記駆動機18が短縮されてピストンロッド19が解除位置に位置することを検出する例えば磁気スイッチからなる解除検出手段33がブラケット45を介して支持されている。
【0037】
この解除検出手段33は前記駆動機18が短縮して前記ピストンロッド19、第1リンクアーム21及びシャフト24が解除位置に位置するときにオンになり、この第1リンクアーム21が解除位置からロック位置方向に回転するとオフに切替えられるようにしている。
【0038】
図13はこのパレットロック装置のロック制御手段30の回路ブロック図であり、この図13に示すように、このロック制御手段30は、変形量検出手段31、パレット検出手段32及び解除検出手段33と、これらが接続される例えばマイクロプロセッサからなる制御回路34とを備え、キースイッチ47をオンにした後、変形量検出手段31、パレット検出手段32及び解除検出手段33から与えられる情報に基づいて、図2に示す制御プログラムを所定の周期で繰返し実行する。
【0039】
この制御プログラムが開始されると、先ず、初期動作制御が実行されたか否かが判定され(S1)、キースイッチ47をオンした直後は、この初期動作制御が実行されていないので、初期動作制御(S2)が実行される。
【0040】
図1に示すように、初期動作制御では、先ず、駆動機18をチョッパ制御する電子素子(ここではFET)のエラー(故障)や、駆動機18の電流を検出するカレントセンサのエラー(故障)の有無が判定される(S21)。
【0041】
ここで、後述するエラー処理の便宜のために、FETエラーにはエラー1、カレントセンサエラーにはエラー2の称呼が与えられている。
【0042】
FETエラー、即ち、エラー1は、例えば駆動機18の電流3A以上の状態で、チョッパ出力がオフであるにもかかわらずFETがオンしている状態を連続で100ms間検出した場合であり、FETがいわゆるパンクした状態とみなされるエラーである。
【0043】
又、カレントセンサエラー、即ち、エラー2は、カレントセンサのゼロレベルが既定の範囲(例えば1.2V±0.2V)外になる場合である。
【0044】
エラー1とエラー2との有無の判定は、この順に行っても、この逆順に行っても、並行して行ってもよいので、図1においてはこれらのエラーチェックを一つのプロセス(S21)として表している。
【0045】
エラー1とエラー2との一方又は両方が有りと判定された場合には、そのまま初期動作制御を終り、いずれも無しと判定された場合には(S21)、ロックバー14がロック位置に位置するか否かを判定する(S22)。
【0046】
この判定は、変形量検出手段31が健全であると仮定して、ロック付勢手段26の変形量XがC以下、B以上であるか否かを判定することにより行われ(S22)、ここでロックバー14がロック位置に位置すると判定される場合には、変形量検出手段31は健全であると判定することができる。
【0047】
ロックバー14がロック位置に位置しないと判定される場合には、変形量検出手段31が故障している場合と、実際にロックバー14がロック位置に位置していない場合とが含まれると考えられる。
【0048】
ここでは、ロックバー14がロック位置に位置しないと判定される場合には、変形量検出手段31が健全であると仮定し、又、解除検出手段33が健全であると仮定して、解除検出手段33がオンか否かを判定することにより、ロックバー14が解除位置に在るか否かが判定される(S23)。
【0049】
ここで、ロックバー14が解除位置に在ると判定される場合には、実際にロックバー14が解除位置に位置している(フリーモードである)か、ロックバー14が解除位置に復帰していないが解除検出手段33が短絡している。なお、ロックバー14が解除位置に位置している場合には、解除検出手段33が健全な場合と短絡している場合とが含まれる。
【0050】
ロックバー14が解除位置に位置していないと判定される場合には、ロックバー14が解除位置に位置しているが解除検出手段33が断線などにより無効になっている場合とロックバー14が実際に解除位置に位置していない場合とがあり、後者には解除検出手段33が健全な場合と故障している場合とが含まれる。
【0051】
以上のような経緯でロックバー14がロック位置にも解除位置にも位置していないと判定されると(S22、S23)、駆動機18を逆作動させ、ロックバー14を解除位置に向かって駆動する(S24)。
【0052】
通常、解除モードは開始から3〜4秒で終了するが、駆動機18の逆作動を開始してから6秒以内に解除検出手段33がオンにならなければ(S25、S26)、駆動機18が機械的にロックされているか、駆動機18の解除動作速度が異常に遅いか、解除検出手段33が故障しているかのいずれかであると思われる。
【0053】
駆動機18の逆作動を開始してから6秒以内に解除検出手段33がオンになれば(S25、S26)、ロックバー14は無事に解除位置に復帰したものと考えられ、駆動機18の逆作動を停止する(S27)。
【0054】
キースイッチオン時に解除検出手段33がオンになった場合(S23)、或いは駆動機18の逆作動後に解除検出手段33がオンになった場合には(S25)、解除検出手段33が健全であると仮定して、変位量検出手段31にエラーが有るか否かを判定する(S28、S29)。
【0055】
この判定は、ロック付勢手段26の弾性変形量Xが0以上、A以下であるか否かを判定し(S28)、1秒以上連続して弾性変形量Xがこの範囲から外れる場合には(S29)変形量検出手段31に故障があると判定される。この変形量検出手段31の故障はエラー4aと称呼する。
【0056】
さて、駆動機18を逆作動させて6秒以内に解除検出手段33がオンにならなかった場合には(S24、S25、S26)、駆動機18を作動させてロックバー14をロック位置に向かって駆動する(S30)。
【0057】
この駆動機18の作動を開始してロックバー14を解除位置からロック位置に移動させ、ロック状態を完成させるには、通常、3〜4秒掛るが、ここでは6秒以内にロック付勢手段26の弾性変形量XがC以下、B以上になるか否かを判定することにより、ロック状態が完成されるか否かを判定し(S31、S32)、6秒以内にロック状態が完成されない場合には、駆動機18の作動を停止する(S33)。
【0058】
この場合には、変形量検出手段31は健全なものと仮定し、駆動機18の動作不良ないし動作不能のエラーであるとされ、この駆動機動作エラーはエラー3と称呼する。
【0059】
駆動機18の作動開始から6秒以内にロック状態が完成したと判定される場合には(S31)、駆動機18の作動を停止させ(S34)、この後、キースイッチ47オン時にロック状態と判定された場合(S22)と同様に、ロック付勢手段26の弾性変形量Xが1秒間連続してBを下回るか否かを判定し(S35、S36)、この弾性変形量Xが1秒間連続してBを下回る場合には変形量検出手段31が故障しているものとみなされる。この変形量検出手段31のエラーはエラー4bと称呼される。
【0060】
ロック付勢手段26の弾性変形量XがBを下回ることがないと判定されたり(S35)、ロック付勢手段26の弾性変形量XがBを下回るが1秒以内に回復されたと判定されたりする場合には(S35、S36)、変形量検出手段31は健全であると考えられ、解除検出手段33が健全であるか否かを判定する(S37、S38)。
【0061】
この判定は、ロック状態であると判定されているにもかかわらず(S22、S31)、解除検出手段33がオンか否かを判定し(S37)、オンであるという判定が1秒以上連続する場合には、解除検出手段33の短絡エラーが発生しているとみなす。この解除検出手段33の短絡エラーはエラー5と称呼する。
【0062】
このようにして、この初期動作制御プログラムによれば、ロックバー14が解除位置に位置する解除状態、又はロックバー14が所定の接触圧でパレット40の下デッキボード46に当接するロック状態を実現することができ、さもなければエラー1、エラー2、エラー3、エラー4a、エラー4b、エラー5のうちの少なくとも1つのエラーがあると判定される。
【0063】
図2に示すように、制御プログラムでは、この後、エラーの有無が判定され(S3)、エラーが無い場合には、動作モードが設定され(S4)、この設定結果に従って駆動機18が制御される(S5)。
【0064】
ところで、駆動機18の動作モードは、ロックバー14が解除位置に保持されるフリーモード、ロックバー14が解除位置からロック位置に駆動されるロック動作モード、ロックバー14がロック位置に保持されるロックモード、及びロックバー14がロック位置から解除位置に復帰する解除動作モードであり、これらの動作モードはこの順に繰返される。
【0065】
図3に示すように、前記動作モード設定プログラム(S4)では、先ず、解除検出手段33がオンであるか否かが判定され(S41)、オンであると判定されると、パレット検出手段32によりパレットが検出されているか否かが判定される(S42)。
【0066】
ここで、パレット検出手段32がオンである(パレット非検出)と判定された場合には動作モードがフリーモードに設定され(S43)、パレット検出手段32がオフである(パレット検出)と判定された場合には動作モードがロック動作モードに設定される(S44)。
【0067】
解除検出手段33のオン・オフの判定(S41)においてオフと判定された場合には動作モードがロック動作モードに設定されているか否かを判定し(S45)、ここで動作モードがロック動作モードであると判定された場合には、過剰動作量XがB以上であるか否かを判定することによってロックが完成しているか否かを判定する(S46)。
【0068】
即ち、ロックバー14がパレット40の下デッキボード46に当接した後、駆動機18の動作を連続させると、ロックバー14、連結枠15、第2リンクアーム22及びブラケット25に対してシャフト24、第1リンクアーム21及びピストンロッド19が更に過剰に動作することになり、ロック付勢手段26が短縮されて、ロックバー14が下デッキボード46に当接する圧力が増大する。前記ロック付勢手段26の短縮量、即ち、過剰動作量Xが例えば上限値B以上になると、パレット40は十分強固にフォーク6に固定される状態、即ち、ロック状態が完成されるので、X≧Bか否かを判定することによってロックが完成しているか否かを判定するのである(S46)。
【0069】
この判定(S46)において、ロックが完成している、即ち、X≧Bと判定されると、動作モードがロックモードに設定変更される(S47)。
【0070】
動作モードがロック動作モードか否かの判定(S45)においてロック動作モードではないと判定された場合には、動作モードがロックモードであるか否かを判定し(S48)、ここでロックモードであると判定されると、パレット40を置く荷置面、即ち、ラックが検出されているか否かが判定され(S49)、検出されていると判定される場合には動作モードをロック解除動作に設定変更する。
【0071】
前記ラック検出の判定(S49)は、荷置面にパレット40を置いたフォーク6が所定のパレット検出高さに下げられ、前記シャフト24のブラケット25に対する過剰動作量XがBよりも大きい所定値C以上になっているか否かにより判定される。
【0072】
動作モードがロックモードであるか否かの判定(S48)においてロックモードではないと判定された場合には、動作モードがロック解除動作に設定されている場合であり、そのまま次の駆動機制御プログラム(S5)に移行する。
【0073】
図4に示すように、駆動機制御プログラム(S5)では、動作モード設定プログラムで設定された動作プログラムに従って駆動機18を制御するが、先ず、動作モードがフリーモードであるか否かを判定し(S51)、フリーモードであれば、駆動機18が停止中か否かを判定し(S52)、停止中であればなにもせずに駆動機制御プログラム(S5)を終る。
【0074】
例えば解除モードからフリーモードに動作モードが切替わった直後など、フリーモードにおいて、駆動機18が停止中でない場合には、駆動機18を停止させてから(S53)、駆動機制御プログラム(S5)を終る。
【0075】
フリーモードではないと判定された場合には(S51)、動作モードがロック動作モードであるか否かを判定し(S54)、ロック動作モードであると判定された場合には、前記シャフト24のブラケット25に対する過剰動作量Xが上限値B以上であるので、駆動機18が動作中か否かを判定し(S55)、駆動機18が動作中ではないと判定される場合には、駆動機18の作動を開始させてから(S56)駆動機制御プログラム(S4)を終る。
【0076】
ロック動作モードか否かの判定(S54)において、ロック動作モードではないと判定されると、続いてロックモードであるか否かが判定され(S57)、ここでロックモードであると判定されると、駆動機18が作動中か否かを判定し(S58)、作動中でなければ何もせずに駆動機制御プログラム(S5)を終える。
【0077】
ロック動作モードからロックモードに切替わった直後などには駆動機18が作動中であると判定されることがある。この場合には、駆動機18を停止させてから(S59)、駆動機制御プログラム(S5)を終了する。
【0078】
ロックモードか否かの判定(S56)においてロックモードではないと判定されると、解除動作モードであるので、駆動機18が逆作動中であるか否かを判定し(S60)、逆作動中でなければ駆動機18の逆作動を開始させて(S61)、駆動機制御プログラム(S5)を終る。
【0079】
図2に示すように、次回以降に繰返される制御プログラムにおいては、初期動作制御は済んでいるので、初期動作制御(S2)を飛び越してエラーの有無の判定を行う(S3)。
【0080】
なお、次回以降におけるエラーの検出は、例えばエラー1とエラー2とについては駆動機18が停止している間の適当なタイミングで、エラー3についてはロック動作モードと解除モードの時間を計測することにより、エラー4については解除モード中とロックモード中の適当なタイミングで、エラー5についてはロックモード中の適当なタイミングでそれぞれ実行すればよい。
【0081】
図2に示すように、エラーの有無の判定(S3)において、エラーが検出された場合には、そのエラーの種類、即ち、エラー番号が判別され(S6)、重大エラーか否かが判定され(S7)。
【0082】
ここで、重大エラーとは、エラー1やエラー2のように駆動機18に過電流が供給され、駆動機18が焼損したり、リンク機構20、ロック付勢手段26、解除付勢手段27、ロックバー14等に過大な力が作用してこれらを変形させたり、破損させたりするおそれの有るエラーをいい、重大エラーであれば駆動機18の作動及び逆作動が禁止され(S8)、非重大エラーであれば駆動機18の作動のみを禁止して(S10)、更に、オペレータにエラーがあることや、そのエラーの内容(エラー番号)を知らせる警報が行われる(S9)。
【0083】
オペレータに警報を与える報知手段48としては、例えばブザー、チャイム、メロディ音、音声などオペレータの聴覚を通じて警報を与えるものと、灯火の点滅ないし明滅、変色、セグメント表示手段、CRT、液晶表示手段などによるエラー番号表示など視覚を通じて警報を与えるものとを併用することが好ましい。
【0084】
この実施例では、ロック状態と解除状態とで灯火色を切替える報知灯をエラー表示灯に兼用し、例えば所定の周期を16等分し、各周期の最初から所定の点滅サイクルでエラー番号の数だけ点滅を繰返すという方法でエラーの有無とそのエラーの内容(エラー番号)をオペレータに報知するようにしている。
【0085】
図14はエラー4を例にとったエラー表示灯の作動タイミングを示すタイムチャートであり、この図14に示すように、エラー4を報知する場合には、例えば1周期3.2秒のうち最初から点滅それぞれ0.2秒の点滅サイクルで4回点滅させ、この後はその周期が終了するまで消灯することを繰返す。
【0086】
複数のエラーが競合する場合には、例えば10周期ごとにエラー番号の異なるエラーを順に表示すればよい。
【0087】
以上に説明したように、この自動パレットロック装置10における初期動作制御装置は、キースイッチ47がオンされた時にロックバー14がロック位置に位置するロック状態又はロックバー14が解除位置に位置する解除状態か否かを判定し(S22、S23)、ロック状態又は解除位置でない場合に、駆動機18を逆作動させてロックバー14の解除位置への移動を開始させ、この後、所定の時間内にロックバーが解除位置に到達したか否かを判定し(S25、S26)、所定の時間内にロックバー14が解除位置に到達した場合に前記駆動機18の逆作動を停止させて、ロックバー14を解除位置に位置させることにより、後続する制御プログラムを進行させることができるようになり、初期設定をする手間と時間とを節約することができる。
【0088】
又、ロックバー14が、所定の時間内に解除位置に到達しなかった場合には、駆動機18を作動させてロックバー14をロック位置に向かわせ、更にこの後、所定の時間内にロックバー14がロック位置に到達したか否かを判定し(S31、S32)、所定の時間内にロックバー14がロック位置に到達した場合に前記駆動機18の作動を停止させ(S34)、ロックバー14をロックロック状態にすることにより、後続の制御プログラムを進行させることができ、初期設定をする手間と時間とを節約することができる。
【0089】
更に、ロックバー14を解除状態にもロック状態にもできなかった場合には、その原因となるエラーがどの部品のエラーであるかを検出することができるので、エラー検出時の安全動作やエラー解消が容易になる上、誤操作を防止することができる。
【0090】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、ロックバーの動作が不確実で、ロック状態でもロック解除状態でもないような場合にも、その動作を確実に進行させることが可能になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフロー図である。
【図2】本発明のフロー図である。
【図3】本発明のフロー図である。
【図4】本発明のフロー図である。
【図5】本発明が適用されるオーダーピッキングトラックの側面図である。
【図6】本発明の側面図である。
【図7】本発明の平面図である。
【図8】本発明の平面図である。
【図9】本発明の側面図である。
【図10】本発明の側面図である。
【図11】本発明の側面図である。
【図12】本発明の側面図である。
【図13】本発明の回路ブロック図である。
【図14】本発明の警報手段のタイミングチャートである。
【符号の説明】
14 ロックバー
18 駆動機
31 変形量検出手段
32 パレット検出手段
33 解除検出手段
34 制御回路
47 キースイッチ
Claims (3)
- パレットを押圧してロックするロックバーと該ロックバーを作動させる駆動機とを備えたフォークリフトのパレットロック装置において、上記ロックバーがロック状態にあるか否かを検出する検出手段(31)と、上記ロックバーがロック解除状態にあるか否かを検出する検出手段(33)とを設けると共に、上記の各検出手段(31)(33)により、ロックバーがロック状態でもロック解除状態でもないと判定された場合に上記駆動機によりロックバーをロック解除状態に作動させる制御回路を設けたことを特徴とするフォークリフトのパレットロック装置。
- 前記制御回路は、前記駆動機によりロックバーをロック解除状態に作動させた後、所定の時間内にロックバーがロック解除状態に達しない場合は、前記パレットロック装置に故障が生じたと判定することを特徴とする請求項1に記載のフォークリフトのパレットロック装置。
- 前記制御回路が前記パレットロック装置に故障が生じたと判定したとき、オペレータに故障の発生を通報する報知手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載のフォークリフトのパレットロック装置。
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- 2003-03-12 JP JP2003066225A patent/JP4286032B2/ja not_active Expired - Lifetime
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