JP4285859B2 - W/o/w型複合エマルション - Google Patents

W/o/w型複合エマルション Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬用や化粧料製剤等として有用なW/O/W型複合エマルションに関する。
【従来の技術】
O/W型エマルションは、医薬用、化粧料製剤等として従来から知られているが、べたつきなどの問題点があり、使用感が改善された製剤が望まれていた。一方、W/O/W型製剤は、O/W型製剤と比較して使用感が良好な製剤が得られることが知られているが、製造、安定性等に問題があり、実用化は困難であった。
W/O/W型複合エマルションを生成させるためには、分散質となるW/O型エマルションを調製した後、該W/O型エマルションを外水相に再分散させる必要がある。しかし、再分散の過程で、W/O型エマルションの油相の一部が外水相中の親水性界面活性剤によって可溶化されるため、W/O型エマルションは破壊されやすく、結果として安定性に優れたW/O/W型複合エマルションを高い生成率で得ることが困難であった。従来、このような再分散工程(2次乳化)中の転相を防止するために、1次乳化で内水相に対して油相の割合を高めたW/O型エマルション(W≦O)の調製が不可欠であった。
しかし、内水相に対して油相の割合を高めたW/O型エマルションを用いると、べたつき感が生じ、W/O/W型本来の使用感が損なわれる問題があった。また、従来、W/O/W型複合エマルションの調製に関して下記に示すような種々の提案がなされているが、高い生成率でW/O/W型複合エマルションを得ることは難しく、良好な使用感と優れた長期安定性を同時に満足させるものはなかった。
【0002】
高い生成率でW/O/W型複合エマルションを製造する従来技術例としては、複合粒子(W/O粒子)同士の合一を防ぐ方法として、特開昭58−183611に、外水相に増粘剤として水溶性多糖類を使用する方法、及び特公昭64−1173に、高級アルコールを使用して外水相にゲルのネットワーク構造を与える方法が記載されている。しかしながら、これらの方法では内水相の合一は防げず、安定化不十分であり、しかも増粘するので使用感が損なわれ、実用的でない。また、複合粒子(W/O粒子)の破壊を防ぐ方法として、特公平3−16173に、低HLB値の親油性界面活性剤によるゲルを油相中に分散させる方法が記載されている。しかしながら、この方法では複合粒子(W/O粒子)同士の合一が起こり、安定化不十分であり、しかもゲル形成後に乳化を行っており、増粘により使用感が損なわれるため、実使用に適さない。
更に、特公平3−16175及び特公平3−80051に、外水相にアシルアミノ酸石ケンを配合する方法が記載されている。しかしながら、これらの方法では、内水相と外水相間にイオンによる浸透圧勾配が生じるため、2次乳化の際、単相エマルション(O/W型やW/O型)に転相しやすく、W/O/W型の生成率が低い。しかも、調製時の転相を防ぐには、成分配合量の加減が難しく、実使用に適さない。
なお、これらのいずれのW/O/W型複合エマルションも、内水相に対して油相の割合を高めたものである。
【0003】
【本発明が解決する課題】
本発明は、長期にわたって安定なW/O/W型複合エマルション、その製造方法、医薬及び化粧料としての使用、及び該エマルションを含有する医薬及び化粧料用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明は、安定な高含水W/O/W型エマルションを提供するものである。特に、高級脂肪酸及び高級アルコール類を含有するW/O型エマルションを分散質、フリーの水溶性有機アミンを含む外水相を分散媒としてW/O/W型複合エマルションを乳化し(2次乳化工程)、油相/外水相界面に高級脂肪酸有機アミン石ケンを生成させることによって、長期にわたって安定なW/O/W型複合エマルションが高い生成率で得られることを見出したものである。
すなわち、本発明は、(A)高級脂肪酸有機アミン塩及び(B)高級アルコール類及び/又はそれらのC2 3低級アルキレンオキサイド付加物を含有することを特徴とするW/O/W型複合エマルションを提供する。
また、本発明は前記エマルションの製造方法、その医薬及び化粧料としての使用、及び該エマルションを含有する医薬及び化粧料用組成物を提供する。
【0004】
【発明の実施の形態】
本発明における(A)成分は、高級脂肪酸有機アミン塩である。該塩を形成する高級脂肪酸は、一般外用剤、化粧品に配合される高級脂肪酸類であり、好ましくは炭素数8〜34、より好ましくは10〜22の直鎖又は分岐炭化水素基を有する。脂肪酸部分はヒドロキシル基等で置換されていてもよい。具体的には、飽和脂肪酸、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等;不飽和脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、ウンデシレン酸等;その他の脂肪酸、例えばイソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソノナン酸、2-エチルヘキサン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ラノリン脂肪酸等があげられるが特にこれらに限定されない。これらのうち、特に、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ラノリン脂肪酸が好ましい。これらの脂肪酸は、単独で使用しても2種以上の混合物として用いてもよい。
前記高級脂肪酸と塩を形成する水溶性有機アミン類は、脂肪族、脂環式又は芳香族アミンのいずれでもよく、好ましくは有機基の炭素数が2〜12、より好ましくは2〜9のモノ−、ジ−又はトリ−アミンである。該有機基は、ヒドロキシル基等で置換されていてもよい。具体的にはモノ−、ジ−、トリ−エタノールアミン等のアルカノールアミン、アミノグリコール、シクロヘキシルアミン、モルフォリン等が挙げられる。これらのうち、アルカノールアミンが好ましく、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンがより好ましい。水溶性有機アミンは、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。なお、有機アミン類としては、これらの水溶性有機アミンの塩酸等との塩も含む。
【0005】
高級脂肪酸のK塩やNa塩等のアルカリ金属塩は外水相の浸透圧を急激に高め、転相を引き起こしやすいため、実質的に含有しないことが好ましい。
高級脂肪酸及び水溶性有機アミンは、油相成分及び外水相成分としてあらかじめ別に配合しておき、2次乳化の過程で油相/外水相界面に高級脂肪酸有機アミン塩を生成させる。これによって、乳化時の転相が抑制されるため、特に高い生成率で安定なW/O/W型複合エマルションが得られる。
高級脂肪酸の配合量は、その種類や油相成分によって異なるが、油相に対して好ましくは0.05〜40%、より好ましくは1〜35%、さらに好ましくは2〜30%であり、W/O/W型複合エマルション全体に対して好ましくは0.01〜10%、より好ましくは0.1〜8%、さらに好ましくは0.2から7%が望ましい。
水溶性アミンの配合量は、その種類や高級脂肪酸の種類及び配合量によって異なるが、外水相に対して好ましくは0.01〜5%、より好ましくは0.03〜4%、さらに好ましくは0.08〜3%、W/O/W型複合エマルション全体に対して好ましくは0.01〜2%、より好ましくは0.02〜1.5%、さらに好ましくは0.03〜1.0%が望ましい。この範囲内で水溶性有機アミンを配合すると、安全かつW/O/W型複合エマルションの生成率が向上するので好ましい。油相中の高級脂肪酸と外水相中の水溶性有機アミンの配合比は適宜調整可能だが、高級脂肪酸/水溶性有機アミン=好ましくは500/1〜1/2(質量比)、より好ましくは400/1〜1/1、さらに好ましくは200/1〜4/1、最も好ましくは100/1〜5/1が望ましい。石けん生成に寄与しない過剰な高級脂肪酸は油相の安定化に寄与できるため、有機アミンに対して高級脂肪酸の配合比が多いことが好ましい。従って、高級脂肪酸有機アミン塩としての含有量は、W/O/W型複合エマルション全体に対して好ましくは0.02〜3%、より好ましくは0.03〜2.5%、さらに好ましくは0.04〜2.0%が望ましい。
なお、本明細書において、特に記載しない限り、“%”は質量%を表す。
【0006】
本発明の(B)成分は、高級アルコール類及び/又はそれらのC2 3低級アルキレンオキサイド付加物である。好ましい(B)成分としては、以下の(1)又は(2)があげられる。
(1)R1(-OH)l
式中、R1は炭素数12〜33、好ましくは16〜22の飽和又は不飽和の直鎖、分岐、環状又はエーテル結合を有する炭化水素基を表す。l=1又は2、好ましくは1である。l=2の場合、2つの水酸基が結合する炭素原子は同一でも異なってもよいが、異なっているのが好ましい。式(1)の化合物は一般外用剤、化粧品に配合される高級アルコール類で、直鎖アルコール、環状アルコール、合成アルコール等を使用することができる。具体的には、直鎖アルコール、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、バチルアルコール、セラキルアルコール、コッセリルアルコール等;環状アルコール、例えばコレステロール、ジヒドロコレステロール、フィトステロール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール等;合成アルコール、例えばオクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール等があげられる。このうち、直鎖アルコール及び環状アルコールが好ましく、特に、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、コレステロール、ラノリンアルコールが好ましい。これらのアルコールは単独で使用してもよく又は2種以上を併用してもよい。
式(1)の高級アルコールの配合量は、油相に対して好ましくは0.5〜55%、より好ましくは2〜45%、さらに好ましくは5〜35%、W/O/W型複合エマルション全体に対して好ましくは0.1〜10%、より好ましくは0.3〜8%、さらに好ましくは0.5〜7%が望ましい。
【0007】
(2)R2-O-(CH2CH2O)m-H
式中、R2は炭素数12〜22、好ましくは14〜18の飽和又は不飽和の直鎖、分岐又は環状炭化水素基を表し;mはエチレンオキシドの平均付加モル数1〜8、好ましくは1〜4である。このうち、グリフィンによるHLB価が10以下、好ましくは7以下、特に好ましくは6以下の親油性ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。具体的には、ポリオキシエチレン(1)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(5.5)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(7)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ベヘニルエーテル等があげられる。特に、ポリオキシエチレン(1)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテルが好ましい。なお、かっこ内の数字はmの値を示す。式(2)の化合物は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。配合量は、油相に対して好ましくは0.5〜45%、より好ましくは2〜35%、さらに好ましくは5〜25%、W/O/W型複合エマルション全体に対して0.1〜7%、好ましくは0.3〜6%、さらに好ましくは0.5〜5%が望ましい。
【0008】
本発明の(B)成分は、本発明のW/O/W型複合エマルションの油相成分として存在すると同時に、内水相/油相界面に吸着して該界面を安定化する作用を有する。
本発明の油相成分としては、(B)成分の他に、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等の炭化水素類、オリーブ油、サフラワー油、大豆油、アルモンド油、ヒマシ油等の植物油、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン等の動物性固体ロウ、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン等の脂肪酸エステル等、一般外用剤、化粧品に使用されているものであれば特に限定されることなく使用することができる。
本発明の構成を採用することにより、内水相を高含水化することが可能である。分散質となるW/O型エマルションの内水相と油相の混合質量比は、内水相/油相=好ましくは50/50〜90/10、より好ましくは60/40〜85/15、さらに好ましくは70/30〜80/20が望ましい。この範囲で、好ましい製剤の使用感が得られる。このW/O型エマルションと分散媒である外水相の混合質量比は、W/O型エマルション/外水相=好ましくは30/70〜80/20、より好ましくは40/60〜70/30、さらに好ましくは45/55〜60/40が望ましい。この範囲で、製剤の生成率および安定性が良好である。内水相の割合は、W/O/W型複合エマルション全体に対して好ましくは15〜75%、より好ましくは25〜60%、さらに好ましくは30〜50%が望ましい。内水相と外水相の総量は好ましくは70〜95%、より好ましくは75〜93%、さらに好ましくは80〜90%が望ましい。この範囲内では製剤化が良好である。
【0009】
本発明のW/O/W型複合エマルションには、上記の他、通常W/O/W型複合エマルションに用いられる以下の成分を含有することができる。
親油性界面活性剤(1次乳化で用いる乳化剤)として、好ましいのは、グリフィンによるHLBが10以下、より好ましくは7以下、さらに好ましくは6以下の親油性界面活性剤である。一般外用剤、化粧品に配合され、W/O型エマルションを形成する親油性界面活性剤を使用することができる。例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、親油性ポリグリセリン脂肪酸エステル、親油性ポリオキシエチレンヒマシ油、親油性ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、親油性ショ糖脂肪酸エステル、親油性ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等があげられるが、特にこれらに限定されない。これらのうち、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、親油性ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、親油性ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。これらの親油性界面活性剤は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。親油性界面活性剤の配合量は、その種類や油相成分によって異なるが、油相に対して好ましくは3〜50%、より好ましくは5〜40%、W/O/W型複合エマルション全体に対しては好ましくは1〜10%、より好ましくは2〜8%が望ましい。
親水性界面活性剤(2次乳化で用いる乳化剤)として、一般外用剤、化粧品に配合され、O/W型エマルションを形成する親水性界面活性剤を使用することができる。例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、親水性ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、親水性ポリオキシエチレンヒマシ油、親水性ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール、親水性ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、親水性ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン重合体、親水性ショ糖脂肪酸エステル等があげられるが、特にこれらに限定されない。これらのうち、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、親水性ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、親水性ポリオキシエチレンアルキルエーテル、親水性ショ糖脂肪酸エステルが好ましい。これらの親水性界面活性剤は、単独で使用しても又は2種以上を併用してもよい。親水性界面活性剤の配合量は、その種類や油相成分および親油性界面活性剤の配合量によって異なるが、外水相に対して好ましくは0.3〜10%、より好ましくは0.5〜8%、さらに好ましくは1〜6%、W/O/W型複合エマルション全体に対しては、好ましくは0.3〜5%、より好ましくは0.5〜3%が望ましい。このときW/O型エマルションの生成に用いた親油性界面活性剤を可溶化させない範囲内の配合量が必要であり、両者の配合比は、親油性界面活性剤/親水性界面活性剤=好ましくは0.5/1〜20/1、より好ましくは0.8/1〜15/1、さらに好ましくは1/1〜10/1が望ましい。
【0010】
本発明のW/O/W型複合エマルションは、水相成分に有効成分を含有することにより、医薬用、化粧料用用途に好適に使用することができる。異種の水溶性成分を内水相と外水相とそれぞれに配合することもできる。特に、水溶性有効成分を内水相成分として配合することにより、使用感、吸収性が良好な、安定性に優れた製剤を得ることができる。水溶性の有効成分としては、尿素、グリセリン等の保湿成分、アスコルビン酸、パントテン酸等のビタミン類、塩酸ジブカイン、塩酸リドカイン等の局所麻酔剤、塩酸ジフェンヒドラミン、ホモスルファミン等の抗ヒスタミン剤、グアイアズレン等の抗炎症成分等を挙げることができる。油溶性の有効成分としては、クロタミトン、ジフェンヒドラミン、インドメタシン、ケトメタシン、ケトプロフェン、イブプロフェン、グリチルレチン酸等が挙げられる。有効成分の種類は上記に限定されるものではない。
本発明の効果を損なわない範囲で、通常外用剤に配合される基剤成分を必要に応じて適宜配合できる。例えばパラベン類、安息香酸類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、クロロブタノール、フェノキシエタノール等の防腐剤、トコフェロール、エリソルビン酸、没食子酸プロピル、BHT、BHA、NDGA等の抗酸化剤、香料を挙げることができる。
【0011】
本発明のW/O/W型複合エマルションは、
内水相と、(A)高級脂肪酸及び(B)高級アルコール類及び/又はそれらの炭素数2又は3の低級アルキレンオキサイド付加物を含有する油相とからW/O型エマルションを製造する工程;及び
該W/O型エマルションと、該脂肪酸と結合し得るフリーの水溶性有機アミンを含有する外水相とを乳化する工程
を含有する方法により製造することができる。
以下は、好ましい製造方法の例である。
▲1▼1次乳化
内水相成分溶液(好ましくは有効成分を含有する)と油相成分溶液(高級脂肪酸及びB成分を含有し、任意に親油性界面活性剤を含有してもよい)を、65〜85℃、特に好ましくは70〜80℃に加温しそれぞれを均一溶解させる。溶解後、同温度条件下で油相成分をホモミキサー等で撹拌しながら、内水相/油相=50/50〜90/10、好ましくは60/40〜85/15、さらに好ましくは70/30〜80/20の質量比となるように内水相をゆっくり添加していきW/O型エマルションを調製する。攪拌条件は、攪拌羽根の大きさや乳化組成によって適宜選定されるが、概ね3000〜6000rpmの回転数で5〜20分間乳化することが好ましい。乳化物の電気伝導度がほとんどゼロ(外相が油)であることによってW/O型エマルションの生成を確認する。
▲2▼2次乳化
45〜70℃、特に好ましくは50〜65℃の温度条件下で外水相溶液(高級脂肪酸と結合しうるフリーの有機アミンを含有し、任意に水溶性有効成分と親水性界面活性剤を含有してもよい)をホモミキサー等で撹拌しながら、▲1▼で得られたW/O型エマルションを添加していき、W/O/W型複合エマルションを調製する。乳化条件は、一度生成した複合粒子が破壊されないよう適宜選定することが好ましいが、概ね500〜3000rpmの回転数で20〜90分間乳化することが好ましい。
【0012】
【実施例】
下記の表1〜6に示した実施例及び比較例の組成でW/O/W型複合エマルションを調製し、その生成率と各温度領域における保存安定性、および得られたW/O/W型複合エマルションの使用感を評価した。
(調製法)
内水相、油相、外水相を個別に調製し、それぞれを70℃〜80℃に加温攪拌し、均一に溶解させた。70℃〜80℃の温度下でホモミキサーを用いて4000rpm〜5000rpmで油相を攪拌しながら、内水相をゆっくり添加していき、5〜10分間乳化し、W/O型エマルションを得た。続いて外水相を500〜1000rpmで攪拌しながら、該W/O型エマルションをゆっくり添加していき30〜60分間乳化し、W/O/W型複合エマルションを得た。
(生成率)
W/O/W生成率(%)は、マーカー物質として塩化カリウムを内水相に配合してW/O/W型複合エマルションを調製後、透析により外水相に存在する塩素イオン濃度をイオンメーターで測定し求めた。生成率100%とは、マーカー物質がすべて内水相中に封入された状態であり、生成率0%とは、マーカー物質がすべて外水相に移行しO/W型の転相した状態である。生成率の評価は、下記の5段階で評価し、◎○△を高い生成率と判断した。
85%以上:◎、70〜85%:○、60〜70%:△、50〜60%:▲、50%未満:×、エマルション化不可:−
【0013】
(保存安定性)
保存安定性は、調製したエマルションをスクリューキャップ付きサンプル管に入れ、所定条件下で保存後、状態を観察し評価した。安定性の評価は、下記の5段階で評価し、◎○△を安定なレベルと判断した。
保存安定性:変化なし:◎、やや粘度低下:○、粘度低下:△、表面に僅かに油しみだし:▲、相分離:×
(使用感)
また、下記の実施例および比較例のW/O/W型複合エマルションについて、20人のパネラーに対して使用テストを実施した。方法は、20℃/50%RHの恒温恒湿下で15分間安静にした後、前腕内側に所定量(0.5mL)の検体を塗布し、塗布時ののびの良さ、肌へのなじみの良さ、塗布後のさっぱり感、べたつき感のなさ、総合評価の5項目について5段階で評点付けし、20人の合計点で評価した。
各項目の評価基準:非常に良好:5点、良好:4点、普通:3点、悪い:2点、非常に悪い:1点
総合評価:85点以上:◎、70〜85点:○、60〜70点:△、50〜60点:▲、50点未満:×
【0014】
【表1】
Figure 0004285859
【0015】
なお、実施例3の組成中、本発明の必須成分である高級アルコール類をアラキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(1)セチルエーテルに、高級脂肪酸をオレイン酸、リノール酸、イソステアリン酸に、水溶性アミンをトリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンに変えた場合、いずれの組み合わせにおいても、実施例3と同様の生成率、保存安定性、使用感が認められた。
【0016】
【表2】
Figure 0004285859
【0017】
【表3】
Figure 0004285859
【0018】
【表4】
Figure 0004285859
【0019】
【表5】
Figure 0004285859
【0020】
【表6】
Figure 0004285859
【0021】
Figure 0004285859
調製方法;内水相、油相、外水相をそれぞれ60〜70℃で攪拌し均一溶解させた。60〜70℃の条件下、ホモミキサーを用いて油相を高速攪拌(4000〜5000rpm)しながら内水相をゆっくり添加していきW/O型エマルションを得た。続いて50〜60℃の条件下、スリーワンモーターを用いて外水相を攪拌(500〜600rpm)しながら先に調製したW/O型エマルションを添加していき40〜50分間乳化し、上記組成のW/O/W型複合エマルションを含有する化粧用組成物を得た(生成率85%)。本組成物は良好な使用感を有し、かつ40℃で2か月安定であった。
【0022】
Figure 0004285859
調製方法;実施例37と同様の方法により、上記組成物のW/O/W複合型エマルションを含有する医薬組成物を得た。生成率は80%であった。本組成物は良好な使用感を有し、かつ40℃で2か月間安定であった。

Claims (11)

  1. (A)高級脂肪酸水溶性有機アミン塩及び(B)高級アルコール類及び/又はそれらのC2 3低級アルキレンオキサイド付加物を含有することを特徴とするW/O/W型複合エマルションであって、
    前記高級脂肪酸水溶性有機アミン塩が油相/外水相界面に存在し、
    前記高級脂肪酸水溶性有機アミン塩を形成している高級脂肪酸と水溶性有機アミンとの比が100/1〜5/1(質量比)であり、
    前記内水相成分/前記油相成分=60/40〜85/15(質量比)であり、
    W/O型エマルション/外水相=30/70〜80/20(質量比)である前記W/O/W型複合エマルション。
  2. (B)成分が、下記の構造式(1)又は(2)で表されることを特徴とする請求項1記載のW/O/W型複合エマルション。
    (1)R1(-OH)l
    (式中、R1は炭素数12〜33の飽和又は不飽和の直鎖、分岐、環状又はエーテル結合を有する炭化水素基を表し;l=1又は2である。)
    (2)R2-O-(CH2CH2O)m-H
    (式中、R2は炭素数12〜22の飽和又は不飽和の直鎖、分岐又は環状炭化水素基を表し;m=エチレンオキシドの平均付加モル数1〜8である。)
  3. 内水相成分/油相成分=70/30〜80/20(質量比)であることを特徴とする請求項1又は2記載のW/O/W型複合エマルション。
  4. 高級脂肪酸の配合量が、W/O/W型複合エマルションの全体に対して0.1〜8質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のW/O/W型複合エマルション。
  5. 式(1)で表される高級アルコールの配合量が、W/O/W型複合エマルションの全体に対して0.3〜8質量%であり、式(2)で表される高級アルコールのエチレンオキサイド付加物の配合量が、W/O/W型複合エマルションの全体に対して0.3〜6質量%であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項記載のW/O/W型複合エマルション。
  6. 外水相がアルカリ金属を含まないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のW/O/W型複合エマルション。
  7. 外水相が、親水性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のW/O/W型複合エマルション。
  8. 内水相に水溶性有効成分を含有する請求項1〜7のいずれか1項記載のW/O/W型複合エマルションを含有する医薬用又は化粧料用組成物。
  9. 内水相と、(A)高級脂肪酸及び(B)高級アルコール類及び/又はそれらのC2 3低級アルキレンオキサイド付加物を含有する油相とからW/O型エマルションを製造する一次乳化工程;及び
    該W/O型エマルションと、該脂肪酸と結合し得るフリーの水溶性有機アミンを含有する外水相とを乳化する二次乳化工程
    を含有することを特徴とするW/O/W型複合エマルションの製造方法であって、
    前記高級脂肪酸と前記水溶性有機アミンとから形成される塩が油相/外水相界面に存在し、
    前記高級脂肪酸と前記水溶性有機アミンとの比が100/1〜5/1(質量比)であり、
    前記内水相成分/前記油相成分=60/40〜85/15(質量比)であり、
    W/O型エマルション/外水相=30/70〜80/20(質量比)である前記製造方法。
  10. 外水相がアルカリ金属を含まないことを特徴とする請求項9記載の製造方法。
  11. 外水相が、親水性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項9又は10記載のW/O/W型複合エマルションの製造方法。
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