JP4284919B2 - 内燃機関の排気浄化装置およびその制御方法 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置およびその制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気に含まれる有害成分を浄化する排気浄化装置及びそのような装置の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の排気浄化装置は、例えばディーゼルエンジンの排気中に含まれる煤等の微粒子をNOxとともに浄化するためのフィルタ構造物(以下、フィルタという)を当該エンジンの排気通路に備えて構成される。このような機能を備えたフィルタとしては、例えば多孔質セラミックの構造体に金属触媒を担持したものが知られている。このような構造を有するフィルタは、排気中に含まれる煤等の微粒子を一旦捕集して酸化除去する機能と、同じく排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)を吸収し排気中の還元成分量が高い条件下(リッチ雰囲気中)で還元浄化するといった作用を繰り返す機能とを併せ備える。
【0003】
ところで、排気中の微粒子を一旦捕集した後、これを酸化除去するといったフィルタの特性上、当該フィルタを通過する排気の状態(例えば温度や微粒子の濃度等)によっては、微粒子の捕集効率がその酸化除去効率を上回ることもあり、このような場合、フィルタに目詰まりが生じる懸念もある。
【0004】
このような問題に対する方策として、図12に示すような排気通路構造の採用が考えられている(例えば特開平7−189656号公報)。同図12に示す通路構造200では、通路切替弁(例えばバタフライ弁)201を操作することで、フィルタ202の両端部のうち一方の端部から他方の端部に向かう排気の流れ(順流:図12(a)に示す態様)と、その逆向きの流れ(逆流:図12(b)に示す態様)とを択一的に切り替えることができる。フィルタ202を排気が通過する際には、排気起源の微粒子の酸化反応熱により、フィルタ202の両端部のうち、排気の排出される側の温度が局所的に上昇する。このため、上記のような通路構造を採用し、フィルタ202を通過する排気の流れを周期的に切り替えるようにすれば、フィルタ202がその両端部において昇温されることになり、また、当該フィルタ202内に捕集される微粒子の分布が均一化されることになる。この結果、微粒子の酸化除去がより効率的に行われ、目詰まりの発生が好適に抑制されるようになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような通路構造においては、上流から流れてくる排気の一部が、通路切替弁(或いはこれと同様の機能を有する機構)の設けられた部位において、例えば通路切替弁と排気通路の内壁との間に存在する隙間を通じてすり抜け、フィルタを通過することなく排気通路の下流(外部)に放出される。このような排気のすり抜けは、通路切替弁を作動させる際には特に顕著となる。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、排気中の微粒子を捕集するフィルタを排気通路に備えた内燃機関の排気浄化装置において、フィルタを機能させるために必要な還元成分の消費を軽減し、フィルタによる排気浄化機能の効率化を図ることのできる内燃機関の排気浄化装置及びその制御方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、(1)内燃機関の排気系に設けられ、
排気中の微粒子を捕集するフィルタを通路途中に備えた第1の排気通路と、
同じく排気中の微粒子を捕集するフィルタを通路途中に備えた第2の排気通路と、
前記第1の排気通路の一方の通路開口端と前記第2の排気通路の一方の通路開口端とに接続する第1の集合空間部と、
一方の通路開口端を当該機関に接続し、他方の通路開口端を前記第1の集合空間部に接続する第1の集合通路と、
前記第1の排気通路の他方の通路開口端と前記第2の排気通路の他方の通路開口端とに接続する第2の集合空間部と、
一方の通路開口端を前記第2の集合空間部に接続し、他方の通路開口端を大気に連通させる第2の集合通路と、
前記第1の集合空間部および前記第2の集合空間部の間を連絡する第3の排気通路と、
前記第1の集合空間部に設けられ、前記第1の排気通路、第2の排気通路、第3の排気通路および第1の集合通路の間で、各通路について他の通路との接続状態を調整する第1の調整弁機構と、
前記第2の集合空間部に設けられ、前記第1の排気通路、第2の排気通路、第3の排気通路および第の集合通路の間で、各通路について他の通路との接続状態を調整する第2の調整弁機構と、
を備え、
前記第1の集合通路を通じて導入した排気を浄化し、前記第2の集合通路を通じて排出する内燃機関の排気浄化装置の制御方法であって、
前記第1の集合通路を通じて前記第1の集合空間部に流入する排気が、前記第2の排気通路、前記第2の集合空間部、前記第1の排気通路、前記第1の集合空間部、前記第3の排気通路、前記第2の集合空間部、前記第2の集合通路の順に流れる流路を形成するように、前記第1の調整弁機構および前記第2の調整弁機構を操作する第1の工程と、
前記第1の集合通路を通じて前記第1の集合空間部に流入する排気が、前記第1の排気通路、前記第2の集合空間部、前記第2の排気通路、前記第1の集合空間部、前記第3の排気通路、前記第2の集合空間部、前記第2の集合通路の順に流れる流路を形成するように、前記第1の調整弁機構および前記第2の調整弁機構を操作する第2の工程と、
前記第1の集合通路を通じて前記第1の集合空間部に流入する排気が、前記第1の排気通路、前記第2の集合空間部、前記第3の排気通路、前記第1の集合空間部、前記第2の排気通路、前記第2の集合空間、前記第2の集合通路の順に流れる流路を形成するように、前記第1の調整弁機構および前記第2の調整弁機構を操作する第3の工程とを、
第1の工程、第3の工程、第2の工程の順に、若しくは、第2の工程、第3の工程、第1の工程の順に実行する制御を行うことを要旨とする。
【0021】
同構成によれば、第1の排気通路及び第2の排気通路に設けられた各フィルタの目詰まりを防止し、或いは目詰まりが生じた場合であれ、その原因となっている微粒子を除去することができる。さらに、第1の工程と第2の工程との間に第3の工程が介在するため、第1の工程に基づいて形成される排気流路と第2の工程に基づいて形成される排気流路とが切り替わるときにも、第1の集合通路を起点、第2の集合通路を終点として移動する排気が、第1の排気通路に備えられたフィルタ、及び第2の排気通路に備えられたフィルタのうち少なくとも一方を通過するようなる。このため、上記2種の排気流路を切り換える際、何れかのフィルタによって捕集されるべき微粒子が、第2の集合通路にすり抜けてしまうといった不具合を回避することができる。
【0022】
(2)また、他の発明は、内燃機関の排気系に設けられ、
排気に含まれるNOxを酸化雰囲気で吸蔵し、該吸蔵したNOxを還元雰囲気で還元する触媒を通路途中に備えた第1の排気通路と、
同じく排気に含まれるNOxを酸化雰囲気で吸蔵し、該吸蔵したNOxを還元雰囲気で還元する触媒を通路途中に備えた第2の排気通路と、
前記第1の排気通路の一方の通路開口端と前記第2の排気通路の一方の通路開口端とに接続する第1の集合空間部と、
前記第1の集合空間部に接続する第1の集合通路と、
前記第1の排気通路の他方の通路開口端と前記第2の排気通路の他方の通路開口端とに接続する第2の集合空間部と、
前記第2の集合空間部に接続する第2の集合通路と、
前記第1の集合空間部および前記第2の集合空間部の間を連絡する第3の排気通路と、
前記第1の集合空間部に設けられ、前記第1の排気通路、第2の排気通路、第3の排気通路および第1の集合通路の間で、各通路について他の通路との接続状態を調整する第1の調整弁機構と、
前記第2の集合空間部に設けられ、前記第1の排気通路、第2の排気通路、第3の排気通路および第の集合通路の間で、各通路について他の通路との接続状態を調整する第2の調整弁機構と、
前記第1の排気通路において、前記第1の集合通路を形成する通路開口端と前記触媒との間に設けられ、該第1の排気通路内に還元剤を添加する第1の還元剤添加手段と、
前記第2の排気通路において、前記第1の集合通路を形成する通路開口端と前記触媒との間に設けられ、該第2の排気通路内に還元剤を添加する第2の還元剤添加手段と、
を備え、
前記第1の集合通路を通じて導入した排気を浄化し、前記第2の集合通路を通じて排出する内燃機関の排気浄化装置の制御方法であって、
前記第1の調整弁機構および前記第2の調整弁機構を操作して、前記第1の排気通路および前記第2の排気通路のうち、一方の排気通路を流れる排気の流量を増大させ、他方の排気通路を流れる排気の流量を減少させて、且つ、前記排気流量の減少する排気通路に還元剤を添加する制御を実行することを要旨とする。
【0023】
同構成によれば、第1の集合通路上流における排気の圧力を上昇させることなく、第1の排気通路の触媒に吸蔵されたNOx、或いは第2の排気通路に吸蔵されたNOxを効率的に放出・還元することができる。すなわち、2種の排気通路に設けられた触媒の排気浄化機能(NOxを一時的に吸蔵し、放出・還元する機能)を交互に活用し、効率的な排気浄化を継続的に行うことができる。
【0024】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置を、ディーゼルエンジンシステムに適用した一実施の形態について説明する。
【0026】
〔エンジンシステムの構造及び機能〕
図1において、内燃機関(以下、エンジンという)1は、燃料供給系10、燃焼室20、吸気系30及び排気系40等を主要部として構成される直列4気筒のディーゼルエンジンシステムである。
【0027】
先ず、燃料供給系10は、サプライポンプ11、コモンレール12、燃料噴射弁13、遮断弁14、調量弁16、燃料添加弁17a,17b、機関燃料通路P1及び添加燃料通路P2等を備えて構成される。
【0028】
サプライポンプ11は、燃料タンク(図示略)から汲み上げた燃料を高圧にし、機関燃料通路P1を介してコモンレール12に供給する。コモンレール12は、サプライポンプ11から供給された高圧燃料を所定圧力に保持(蓄圧)する蓄圧室としての機能を有し、この蓄圧した燃料を各燃料噴射弁13に分配する。燃料噴射弁13は、その内部に電磁ソレノイド(図示略)を備えた電磁弁であり、適宜開弁して燃焼室20内に燃料を噴射供給する。
【0029】
他方、サプライポンプ11は、燃料タンクから汲み上げた燃料の一部を添加燃料通路P2を介して燃料添加弁17a,17bに分配供給する。添加燃料通路P2には、サプライポンプ11から燃料添加弁17a,17bに向かって遮断弁14及び調量弁16が順次配設されている。遮断弁14は、緊急時において添加燃料通路P2を遮断し、燃料供給を停止する。調量弁16は、燃料添加弁17a,17bに供給する燃料の圧力(燃圧)PGを制御する。燃料添加弁17a,17bは、その内部に電磁ソレノイド(図示略)を備えた電磁弁であり、還元剤として機能する燃料を、適宜の量、適宜のタイミングで排気系40のフィルタケーシング100内に添加供給する。
【0030】
吸気系30は、各燃焼室20内に供給される吸入空気の通路(吸気通路)を形成する。一方、排気系40は、各燃焼室20から排出される排気ガスの通路(排気通路)を形成する。
【0031】
また、このエンジン1には、周知の過給機(ターボチャージャ)50が設けられている。ターボチャージャ50は、シャフト51を介して連結された回転体52,53を備える。一方の回転体(タービンホイール)52は排気系40内の排気に晒され、他方の回転体(コンプレッサホイール)53は、吸気系30内の吸気に晒される。このような構成を有するターボチャージャ50は、タービンホイール52が受ける排気流(排気圧)を利用してコンプレッサホイール53を回転させ、吸気圧を高めるといったいわゆる過給を行う。
【0032】
吸気系30において、ターボチャージャ50に設けられたインタークーラ31は、過給によって昇温した吸入空気を強制冷却する。インタークーラ31よりもさらに下流に設けられたスロットル弁32は、その開度を無段階に調節することのできる電子制御式の開閉弁であり、所定の条件下において吸入空気の流路面積を変更し、同吸入空気の供給量(流量)を調整する機能を有する。
【0033】
また、エンジン1には、吸気系30と排気系40とを接続する排気還流通路(EGR通路)60が形成されている。このEGR通路60は、排気の一部を適宜吸気系30に戻す機能を有する。EGR通路60には、電子制御によって無段階に開閉され、同通路を流れる排気(EGRガス)の流量を自在に調整することができるEGR弁61と、EGR通路60を通過(還流)する排気を冷却するためのEGRクーラ62が設けられている。
【0034】
また、排気系40において、ターボチャージャ50(タービンホイール52)の下流には、フィルタケーシング100が設けられている。フィルタケーシング100の内部には、排気中に含まれる微粒子の浄化とNOxの浄化とを併せ行う機能を備えたパティキュレートフィルタ(図示略)が収容されている。
【0035】
また、エンジン1の各部位には、当該部位の環境条件やエンジン1の運転状態に関する信号を出力する各種センサが取り付けられている。
【0036】
すなわち、レール圧センサ70は、コモンレール12内に蓄えられている燃料の圧力に応じた検出信号を出力する。添加燃料圧センサ71は、添加燃料通路P2内の圧力に応じた検出信号を出力する。エアフロメータ72は、吸気系30内のスロットル弁32下流において吸入空気の流量(吸気量)Gaに応じた検出信号を出力する。酸素濃度センサ73は、排気系40のフィルタケーシング100下流において、排気中の酸素濃度に応じた検出信号を出力する。また、排気温度センサ74は、フィルタケーシング100下流において排気中の温度に応じた検出信号を出力する。また、差圧センサ75は、フィルタケーシング100上流における排気の圧力と下流における排気の圧力との差に応じた検出信号を出力する。また、アクセルポジションセンサ76はエンジン1のアクセルペダル(図示略)に取り付けられ、同ペダルへの踏み込み量ACCに応じた検出信号を出力する。クランク角センサ77は、エンジン1の出力軸(クランクシャフト)が一定角度回転する毎に検出信号(パルス)を出力する。これらセンサ70〜77は、電子制御装置(ECU)90と電気的に接続されている。
【0037】
ECU90は、中央処理装置(CPU)91、読み出し専用メモリ(ROM)92、ランダムアクセスメモリ(RAM)93、バックアップRAM94およびタイマーカウンタ95等を備え、これら各部と、A/D変換器を含む外部入力回路96と、外部出力回路97とが双方向性バス98により接続されて構成される論理演算回路を備える。
【0038】
このように構成されたECU90は、上記各種センサの検出信号を外部入力回路を介して入力し、これら信号に基づいて、エンジン1の運転状態に関する各種パラメータを把握し、これらパラメータに基づいてエンジン1の運転状態を最適化するための各種制御を実施する。
【0039】
〔燃料噴射制御の概要〕
ECU90は、各種センサの検出信号から把握されるエンジン1の運転条件に基づき燃料噴射制御を実施する。本実施の形態において燃料噴射制御とは、各燃料噴射弁13を通じた各燃焼室20内への燃料噴射の実施に関し、燃料の噴射量Q、噴射タイミング、噴射パターンといったパラメータを設定し、これら設定されたパラメータに基づいて個々の燃料噴射弁13の開閉弁操作を実行する一連の処理をいう。
【0040】
ECU90は、このような一連の処理を、エンジン1の運転中所定時間毎に繰り返し行う。燃料の噴射量Q及び噴射タイミングは、基本的にはアクセルペダルの踏み込み量ACCおよびエンジン回転数NE(クランク角センサのパルス信号に基づいて演算することができるパラメータ)に基づき、予め設定されたマップ(図示略)を参照して決定する。
【0041】
また、燃料の噴射パターンの設定に関し、ECU90は、圧縮上死点近傍での燃料噴射を主噴射として各気筒について行うことで機関出力を得る他、主噴射に先立つ燃料噴射(以下、パイロット噴射という)や、主噴射に後続する燃料噴射(以下、ポスト噴射という)を、副噴射として適宜選択された時期、選択された気筒について行う。
【0042】
〔パイロット噴射〕
ディーゼルエンジンでは一般に、圧縮行程終期において、燃焼室内が燃料の自己着火を誘発する温度に達する。とくにエンジンの運転状態が中高負荷領域にある場合、燃焼に供される燃料が燃焼室内に一括して噴射供給されると、この燃料は騒音を伴い爆発的に燃焼する。パイロット噴射を実行することにより、主噴射に先立って供給された燃料が熱源(或いは火種)となり、その熱源が燃焼室内で徐々に拡大して燃焼に至るようになるため、燃焼室内における燃料の燃焼状態が比較的緩慢となり、しかも着火遅れ時間が短縮されるようになる。このため、機関運転に伴う騒音が軽減され、さらには排気中のNOx量も低減される。
【0043】
また、パイロット噴射を伴う燃料噴射の形態を適用すると、消費燃料に対する機関出力は減少する傾向にある。このため、主噴射において要求される燃料噴射量が増大し、排気の温度が上昇する。また、燃焼室20内において完全に燃焼せず排気系40に排出される軽質なHCやCOの量が増大し、これらのHCやCOが排気中において、とくにNOx触媒を介して発熱反応を起こす。すなわち、パイロット噴射を実施することにより、フィルタケーシング100内に流入する排気やNOx触媒の温度を上昇させることができる。
【0044】
〔ポスト噴射〕
ポスト噴射によって燃焼室20内に供給される燃料は、燃焼ガス中で軽質なHCに改質され、排気系40に排出される。すなわち、還元剤として機能する軽質なHCが、ポスト噴射を通じて排気系40に添加され、排気中の還元成分濃度を高めることとなる。ポスト噴射の実施によっても、フィルタケーシング100内に流入する排気やNOx触媒の温度を上昇させる効果を得ることができる。
【0045】
〔EGR制御の概要〕
ECU90は、各種センサの検出信号から把握されるエンジン1の運転状態に基づきEGR制御を実施する。本実施の形態においてEGR制御とは、EGR通路に設けられた電子制御式の開閉弁(EGR弁)61を操作して、EGR通路を通過するガスの流量、言い換えれば排気系40から吸気系30に還流される排気の流量調整を行う処理をいう。
【0046】
目標となるEGR弁61の開弁量(以下、目標開弁量)は、基本的にはエンジン1の負荷や回転数等の運転状態に基づき、予め設定されたマップ(図示略)を参照して決定される。ECU90は、この目標開弁量をエンジン1の運転中所定時間毎に更新し、逐次、EGR弁61の実際の開弁量が更新された目標開弁量に合致するよう同EGR弁61の駆動回路に指令信号を出力する。
【0047】
〔EGR制御に基づく低温燃焼〕
こうした一連の処理により排気の一部が吸気系30に還流されると、その還流量に応じ機関燃焼に供される混合気中の不活性ガス成分が増量することになる。この結果、エンジン1の燃焼温度が低下し(エンジン1がいわゆる低温燃焼の状態となり)、排気中のNOx量が低減される他、例えばEGR率(EGRガスの流量/(EGRガスの流量+吸入空気の流量))が55%程度を上回る条件下においてスモークがほとんど発生しなくなる。
【0048】
また、低温燃焼の実施に伴い排気中の未燃HC(還元成分)が増量することになるため、結果として、還元剤として機能する軽質なHCが排気系40に添加され排気中の還元成分濃度を高めることとなる。すなわち、EGR制御(低温燃焼)の実施によっても、パイロット噴射やポスト噴射と同様、フィルタケーシング100内に流入する排気やNOx触媒の温度を上昇させる効果を得ることができる。
【0049】
〔フィルタケーシングの構造〕
次に、排気系40に設けられたフィルタケーシング100について、その構造及び機能について詳しく説明する。
【0050】
図2は、フィルタケーシング100の主要内部構造を概略的に示す断面図である。
【0051】
同図2に示すように、フィルタケーシング100の内部には、第1の排気通路110、第2の排気通路120、及び第3の排気通路130といった3種の通路空間が区画形成されている。第1の排気通路110及び第2の排気通路120の通路途中には、パティキュレートフィルタ(以下、フィルタという)111,121が収容され、第3の排気通路130の通路途中には、酸化触媒131が収容されている。
【0052】
第1の排気通路110の一方の通路開口端、第2の排気通路120の一方の通路開口端、および第3の排気通路130の一方の通路開口端は、各々が第1の集合空間部140を介し、排気系40のフィルタケーシング100上流にあたる第1の集合通路40aに接続する。第1の集合空間部140に設けられたバタフライ弁141は、各通路110,120,130,40a相互間の接続状態を調整する調整弁機構としての機能を有する。
【0053】
一方、第1の排気通路110の他方の通路開口端、第2の排気通路120の他方の通路開口端、および第3の排気通路130の他方の通路開口端は、各々が第2の集合空間部150を介し、排気系40のフィルタケーシング100下流にあたる第2の集合通路40bに接続する。そして、第2の集合空間部150に設けられたバタフライ弁151は、各通路110,120,130,40b相互間の接続状態を調整する調整弁機構としての機能を有する。なお、バタフライ弁141,151は、何れもECU90の指令信号に従って駆動する。
【0054】
また、第1の排気通路110において、第1の集合空間部140に接続する通路開口端と、フィルタ111との間には、第1の排気通路110内に噴孔を臨ませた燃料添加弁17aが設けられている。そして同じく、第2の排気通路120において、第1の集合空間部140に接続する通路開口端と、フィルタ121との間には、第の排気通路10内に噴孔を臨ませた燃料添加弁17が設けられている。燃料添加弁17a,17bが、その内部に電磁ソレノイド(図示略)を備えた電磁弁であり、還元剤として機能する燃料を適宜の量、適宜のタイミングで添加供給できることは上述した通りである。
【0055】
フィルタ111,121を形成する多孔質材料は、例えばコージライト等のセラミック材料にアルミナ、チタニア、ジルコニア若しくはゼオライト等のコート材をウォッシュコートしたものであり、排気を透過する性質を有する。また、フィルタ111,121は、互いに平行をなして延びる上流端が開放され下流端が閉ざされた排気流入通路と、上流端が閉ざされ下流端が開放された排気流出通路とを備えるいわゆるウォールフロー型である。そして、両排気通路間に位置する隔壁の表面及び内部に形成された細孔内に、表面にNOx吸蔵剤として機能する例えばカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)のようなアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)のようなアルカリ土類、ランタン(La)或いはイットリウム(Y)のような希土類と、酸化触媒(貴金属触媒)として機能する例えば白金(Pt)のような貴金属とが担持されている。このように、フィルタ111,121の構成要素として担体層に混在するNOx吸蔵剤及び貴金属触媒は、NOx触媒(吸蔵還元型NOx触媒)を構成する。
【0056】
このような構造を有するフィルタ111,121は、排気中に含まれる煤等の微粒子やNOx等の有害成分を、以下のメカニズムに基づいて浄化する。
【0057】
NOx吸蔵剤は、排気中の酸素濃度が高い状態では(リーン雰囲気中では)NOxを吸蔵し、排気中の酸素濃度が低い状態(還元成分の濃度が高い状態)にあるときには(リッチ雰囲気中では)NOxを放出する特性を有する。また、排気中にNOxが放出されたとき、排気中にHCやCO等が存在していれば、貴金属触媒がこれらHCやCOの酸化反応を促すことで、NOxを酸化成分、HCやCOを還元成分とする酸化還元反応が両者間で起こる。すなわち、HCやCOはCO2やH2Oに酸化され、NOxはN2に還元される。
【0058】
一方、NOx吸蔵剤は、排気中の酸素濃度が高い状態にあるときでも所定の限界量のNOxを吸蔵すると、それ以上NOxを吸蔵しなくなる。エンジン1では、例えば燃料添加弁17a,17bを通じてフィルタケーシング100内のNOx触媒111,121に断続的に還元成分が供給されることで、排気中の還元成分の濃度が高められる。NOx触媒(NOx吸蔵剤)のNOx吸蔵量が限界量に達する前に、この還元成分がNOx触媒に吸蔵されたNOxを周期的に放出および還元浄化することになり、NOx吸蔵剤のNOx吸蔵能力が回復する(機能が再生する)ことになる。
【0059】
また、NOx吸蔵剤は、貴金属触媒との協働によりNOxの吸蔵、放出及び浄化を繰り返し行う過程で、副次的に活性酸素を生成する特性を有する。フィルタ111,121を排気が透過する際、その排気中に含まれる煤等の微粒子は構造体(多孔質材料)に捕捉される。ここで、NOx吸蔵剤の生成する活性酸素は、酸化剤として極めて高い反応性(活性)を有しているため、捕捉された微粒子のうちNOx触媒の表面や近傍に堆積した微粒子は、この活性酸素と(輝炎を発することなく)速やかに反応し、浄化されることになる。また、フィルタ111,121は、NOx触媒から発生する反応熱により、自身を効率的に昇温して微粒子の分解作用を高める。
【0060】
また、第3の排気通路130の通路途中に収容された酸化触媒131は、表面をPd及びPt等の貴金属で被膜させたストレートフロー型のハニカム状構造体から形成され、そのハニカム構造体を通過する排気中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)や一酸化窒素(NO)の酸化を促す。
【0061】
図3には、第1の排気通路110に設けられたフィルタ111の内部構造を示す。ここで、図3(a)は、フィルタ111の排気の流入面を拡大した平面図であり、図3(b)は、フィルタ111内部における排気の通過経路(図3(a)のIII-III断面)を概略的に示す断面図である。なお、第2の排気通路120に設けられたフィルタ121も、このフィルタ111と同様の内部構造を有する。
【0062】
図3(a)及び図3(b)に示すように、フィルタ111はハニカム構造をなす多孔質材料(例えばコージライト)111aにより区画形成された複数の通路111bを備える。各通路111bの一方の端は栓111cによって閉塞され、他方の端は開口している。従って、各通路の開口端から流入した排気は、通路内壁を形成する多孔質材料を通過することによって隣接する他の通路内に流入し、当該他の通路の開口端から排出されることになる。
【0063】
例えば図3(b)に示すように、フィルタ111の一方の面111dから排気が導入された場合には、同図において実線の矢印で示す経路に沿ってフィルタ111内を流動することになる。また、フィルタ111の他方の面111eから排気が導入された場合には、同図において破線の矢印で示す経路に沿ってフィルタ111内を流動することになる。
【0064】
〔フィルタケーシングの機能を活用するための各種制御〕
ECU90は、フィルタケーシング100内において効率的な排気浄化が行われるように、バタフライ弁141,151の操作を通じフィルタケーシング100内の排気流路を変更する制御(流路切換制御)や、燃料添加弁17a,17bを通じて燃料(還元剤)を添加供給する制御(還元剤添加制御)等、フィルタケーシング100の機能に関連する各種制御を適宜のタイミングで実行する。
【0065】
(1)微粒子除去のための流路切換制御
フィルタ111,121に堆積する微粒子を分解除去するために実施される流路切換制御(微粒子除去のための流路切換制御)について説明する。
【0066】
図4(a)、図4(b)及び図4(c)は、微粒子除去のための流路切換制御を通じフィルタケーシング100内に形成される排気流路の基本型を例示する略図である。
【0067】
先ず、バタフライ弁141,151が図4(a)に示す状態(以下、中立モードという)にある場合、第1の集合空間部140において、第1の集合通路40aと第1の排気通路110とが相互に接続し、第2の排気通路120と第3の排気通路130とが相互に接続する。また、通路40a,110と、通路120,130との間は、バタフライ弁141によって遮断される。一方、第2の集合空間部150において、第1の排気通路110と第3の排気通路130とが相互に接続し、第2の排気通路120と第2の集合通路40bとが相互に接続する。また、通路40b,120と通路110,130との間は、バタフライ弁151によって遮断される。
【0068】
フィルタケーシング100内の状態が中立モードにあると、同図4(a)において矢印で示すように、第1の集合通路40aから流入した排気は、フィルタケーシング100内を、第1の集合空間部140、第1の排気通路110、第2の集合空間部150、第3の排気通路130、第1の集合空間部140、第2の排気通路120、第2の集合空間部150の順に移動し、第2の集合通路40bに排出される。またこのとき、フィルタケーシング100内を移動する排気は、フィルタ111を矢印F1方向(順流方向)に沿って通過し、さらに酸化触媒131を通過した後、フィルタ121を矢印F2方向(順流方向)に沿って通過するようになる。
【0069】
次に、バタフライ弁141,151が図4(b)に示す状態(以下、第1のリ反転モードという)にある場合、第1の集合空間部140において、第1の排気通路110と第3の排気通路130とが相互に接続し、第1の集合通路40aと第2の排気通路120とが相互に接続する。また、通路40a,120と、通路110,130との間は、バタフライ弁141によって遮断される。一方、第2の集合空間部150において、第1の排気通路110と第2の排気通路120とが相互に接続し、第3の排気通路130と第2の集合通路40bとが相互に接続する。また、通路40b,130と通路110,120との間は、バタフライ弁151によって遮断される。またこのとき、フィルタケーシング100内を移動する排気は、フィルタ121を矢印F2方向(順流方向)に沿って通過し、さらに酸化触媒131を通過した後、フィルタ111を矢印R1方向(逆流方向)に沿って通過するようになる。
【0070】
フィルタケーシング100内の状態が第1の反転モードにあると、同図4(b)において矢印で示すように、第1の集合通路40aから流入した排気は、フィルタケーシング100内を、第1の集合空間部140、第2の排気通路120、第2の集合空間部150、第1の排気通路110、第1の集合空間部140、第2の排気通路120、第2の集合空間部150の順に移動し、第2の集合通路40bに排出される。またこのとき、フィルタケーシング100内を移動する排気は、フィルタ121を矢印F2方向(順流方向)に沿って通過し、さらにフィルタ111を矢印R1方向(逆流方向)に沿って通過した後、酸化触媒131を通過するようになる。
【0071】
次に、バタフライ弁141,151が図4(c)に示す状態(以下、第2のリ反転モードという)にある場合、第1の集合空間部140において、第1の集合通路40aと第1の排気通路110とが相互に接続し、第2の排気通路120と第3の排気通路130とが相互に接続する。また、通路40a,110と、通路120,130との間は、バタフライ弁141によって遮断される。一方、第2の集合空間部150において、第1の排気通路110と第3の排気通路130とが相互に接続し、第3の排気通路130と第2の集合通路40bとが相互に接続する。また、通路40b,130と通路110,120との間は、バタフライ弁151によって遮断される。またこのとき、フィルタケーシング100内を移動する排気は、フィルタ111を矢印F1方向(順流方向)に沿って通過し、さらに酸化触媒131を通過した後、フィルタ121を矢印R2方向(逆流方向)に沿って通過するようになる。
【0072】
フィルタケーシング100内の状態が第2の反転モードにあると、同図4(c)において矢印で示すように、第1の集合通路40aから流入した排気は、フィルタケーシング100内を、第1の集合空間部140、第1の排気通路110、第2の集合空間部150、第2の排気通路120、第1の集合空間部140、第3の排気通路130、第2の集合空間部150の順に移動し、第2の集合通路40bに排出される。またこのとき、フィルタケーシング100内を移動する排気は、フィルタ111を矢印F1方向(順流方向)に沿って通過し、さらにフィルタ121を矢印R2方向(逆流方向)に沿って通過した後、酸化触媒131を通過するようになる。
【0073】
フィルタ111(121)に流入し、その内部の多孔質材料111aに捕捉される微粒子は、ややもすれば、多孔質材料111aの透過性を低下させ、いわゆる目詰まりを生じさせる懸念がある。
【0074】
フィルタケーシング100内の排気流路を、第1の反転モード(図4(b))と第2の反転モード(図4(c))とに適宜切り換えるようにすれば、フィルタ111,121各々を通過する排気の流れが、順流方向と逆流方向とに適宜切り換えられることになる。
【0075】
なお、第1の反転モード(第1の工程)から第2の反転モード(第2の工程)への移行、或いは第2の反転モード(第2の工程)から第1の反転モード(第1の工程)への移行は、中立モード(第3の工程)を介して行うのが好ましい。例えば、第1の反転モード、中立モード、第2の反転モード、中立モード、第1の反転モード(第1の工程)といった順序で排気流路を切り換えればよい。
【0076】
このように、第1の反転モードから第2の反転モードへの移行や、第2の反転モードから第1の反転モードへの移行を、中立モードを介して行えば、フィルタケーシング100に流入した排気がフィルタ111,121を介すことなく下流に排出される状態(図5)を回避することができる。
【0077】
(2)触媒再生制御
次に、フィルタ111,121内のNOx触媒に吸蔵されたNOxを放出・還元すべく実行されるNOx触媒再生のための流路切換制御(触媒再生制御)について説明する。
【0078】
エンジン1の運転が継続することにより、フィルタ111,121内のNOx触媒に吸蔵されるNOx量が徐々に増大する。エンジン1では、燃料添加弁17a,17bを通じてフィルタ111,121を通過する排気中に燃料(還元成分)を供給する燃料添加制御を周期的に実施する。燃料添加制御を実施することにより、NOx触媒のNOx吸蔵量が限界量に達する前に、NOx触媒に吸蔵されたNOxを放出および還元浄化し、NOx触媒のNOx吸蔵能力を回復させることができる。
【0079】
ここで、燃料添加制御を通じて供給された還元成分がNOx触媒に吸蔵されたNOxと効率的に反応するためには、当該制御の実施中、NOx触媒を通過する排気の流れを十分緩やかにし、高濃度の還元成分を含んだ排気がNOx触媒に吸蔵されたNOxと反応するために十分な機会を与えられる必要がある。その一方、排気の流れが滞留すると排気系40内の圧力が上がり、この圧力上昇がエンジン1の燃焼状態等に影響を与える懸念もある。
【0080】
そこで、本実施の形態にかかるエンジン1では、燃料添加制御の実施に際し、還元成分を含んだ排気が緩やかにNOx触媒を通過するようにする一方で、排気系40全体では十分な排気流量が確保されるような排気流路を形成する。
【0081】
図6(a)及び図6(b)には、触媒再生制御を実施する際、フィルタケーシング100内に形成される排気流路の基本型を例示する略図である。
【0082】
図6(a)及び図6(b)に示すように、触媒再生制御の実施に際しては、フィルタケーシング100内を通過する排気を、第1の集合通路40a、第1の排気通路110、第2の集合通路40bの順に移動させる流路(流路A)と、第1の集合通路40a、第2の排気通路120、第2の集合通路40bの順に移動させる流路(流路B)と、第1の集合通路40a、第3の排気通路130、第2の集合通路40bの順に移動させる流路(流路C)とが、個々に形成される。
【0083】
しかし、バタフライ弁141,151が図6(a)に示す状態にある場合には、フィルタケーシング100を通過する排気のうち略全量が流路Bに沿って移動するため、流路A及び流路Cに沿って移動する排気の流量はごく少量となる。触媒再生制御の一環として、ECU90は、適宜のタイミングでバタフライ弁141,151を操作しフィルタケーシング100内にこのような排気流路を形成するとともに、燃料添加弁17aを通じて第1の排気通路110に燃料(還元剤)を添加供給する。
【0084】
一方、バタフライ弁141,151が図6(b)に示す状態にある場合には、フィルタケーシング100を通過する排気のうち略全量が流路Aに沿って移動するため、流路B及び流路Cに沿って移動する排気の流量はごく少量となる。ECU90は、適宜のタイミングでバタフライ弁141,151を操作しフィルタケーシング100内にこのような排気流路を形成するとともに、燃料添加弁17bを通じて第2の排気通路120に燃料(還元剤)を添加供給する。
【0085】
このようにしてエンジン1では、フィルタケーシング100に収容された各フィルタ111,121にNOxを一旦吸蔵させた後、周期的に放出・還元することにより、機関運転に伴って発生する排気中のNOxを継続的に浄化する。
【0086】
ところで、内燃機関の燃料には硫黄化合物が含まれているのが通常であり、排気中にはNOxの他、このような燃料中の硫黄化合物を起源とする硫黄成分も存在する。排気中に存在する硫黄成分は、NOxに比べてより高い効率でNOx触媒と結合し、しかも、同触媒に吸蔵されているNOxを放出するために十分な条件下(排気中の還元成分濃度が所定値を上回る条件下)にあっても当該触媒から容易には放出されない。このため、機関運転の継続に伴い、排気中の硫黄成分が徐々にNOx触媒に蓄積されていくといった所謂S被毒が生じることとなる。
【0087】
S被毒が進行すると、NOx触媒によるNOxの吸蔵量の限界値や、NOxの吸蔵効率が減少し、結果としてNOxの浄化効率が低下することになる。
【0088】
NOx触媒に蓄積した硫黄成分は、通常の触媒再生制御で達成される条件よりも、排気中の還元成分濃度や、NOx触媒の温度をさらに高くする条件を成立させることで当該触媒から放出することが知られている。
【0089】
このため、エンジン1では、排気中に還元成分を供給し、且つ、NOx触媒を高温状態(例えば600℃程度)にする制御(以下、S被毒回復制御という)をエンジン1の運転中適宜のタイミングで実行することにより、NOx触媒に蓄積する硫黄成分を放出させる。NOx触媒をこのような高温状態にするためには、例えば、各フィルタ111,121に対する還元成分の供給を、触媒再生制御の場合よりも、長期間継続すればよい。S被毒回復制御を実施する場合にも、フィルタ111に蓄積した硫黄成分を放出させるにあたり図6(a)に示した排気流路の形態を、また、フィルタ121に蓄積した硫黄成分を放出させるにあたり図6(b)に示した排気流路の形態を適用することができる。
【0090】
なお、触媒再生制御やS被毒回復制御の実施に際しては、燃料添加弁17a,17bを通じて添加された燃料がNOx触媒を介して効率的に反応するように、フィルタ111,121の温度が所定値(例えば300℃程度)を上回る条件を満たしているのが好ましい。このため、触媒再生制御やS被毒回復制御を開始する際には、例えば排気温度センサ74の検出信号に基づきフィルタ111,121の温度を推定し、この温度が所定値を上回っていない場合には、パイロット噴射、ポスト噴射、或いは低温燃焼を実施することにより、NOx触媒の温度を上昇させるのが好ましい。
【0091】
(3)目詰まり検知
フィルタケーシング100に収容されたフィルタ111,121の各々について、目詰まりの発生を検出する方法について説明する。
【0092】
例えば、図6(a)に示した排気流路を適用してNOx触媒再生制御を実施する場合に、当該制御の実施前後に亘り酸素濃度センサ73若しくは排気温度センサ74の検出信号の変化を観測すれば、フィルタ111に目詰まりが発生しているか否かを判断することができる。すなわち、フィルタ111が正常に機能している場合、NOx触媒再生制御の実施(燃料添加弁17aの開弁動作)に応答し、フィルタケーシング100下流で検出される排気の酸素濃度が低くなり(排気の雰囲気がリッチとなり)、また、排気の温度が高くなるため、酸素濃度センサ73や排気温度センサ74の検出信号(出力)が変化する。フィルタ111に目詰まりが発生すると、燃料添加弁17aの開弁動作に応答する酸素濃度センサ73や排気温度センサ74の出力変化が緩慢になるため、ECU90は、これらセンサ73,74の出力変化に基づきフィルタ111の目詰まりを検知する。また、差圧センサ75の検出信号に基づいてフィルタ111に目詰まりが発生しているか否かを判断することもできる。すなわち、フィルタ111に目詰まりが発生していると、フィルタケーシング100内の排気流路を、図6(a)に示した状態に切り換えた場合、フィルタケーシング100上流及び下流の間における圧力差が顕著に高まる。ECU90は、差圧センサ75の検出信号を通じてこの圧力差の変動を認識し、フィルタ111の目詰まりを検知する。
【0093】
さらに、図6(b)に示した排気流路を適用してNOx触媒再生制御を実施する場合には、上記フィルタ111の目詰まりの検知と同様の原理に従い、フィルタ121に目詰まりが発生しているか否かを判断することができる。
【0094】
つまり、NOx触媒再生制御やS被毒回復制御では、フィルタケーシング100内に設けられた2個のフィルタ111,121のうち、一方のフィルタにおいてNOxの放出・還元や微粒子の分解除去が行われるときには、他方のフィルタにおいてNOxの吸蔵(微粒子の捕捉)が行われることになる。このため、フィルタケーシング100に流入した排気中のNOxや微粒子が、フィルタ111,121の何れも介さず下流にすり抜けることはない。
【0095】
(4)目詰まり検知に基づく流路切換制御
(一方のフィルタの目詰まり検知時)
フィルタ111,121のうち、何れか一方のみについて目詰まりが検知された場合、ECU90はバタフライ弁141,151を操作し、フィルタケーシング100に流入する排気が、正常に機能しているフィルタ(目詰まりしていないフィルタ)のみに導入されるような排気流路を形成する。
【0096】
例えば図7は、フィルタ111の目詰まりが検知された場合であって、NOx触媒再生制御を実施していないときに適用される排気流路(図7(a))と、NOx触媒再生制御若しくはS被毒回復制御を実施しているときに適用される排気流路(図7(b))とを示す略図である。
【0097】
先ず図7(a)に示すように、フィルタ111に目詰まりが発生している場合、NOx触媒再生制御若しくはS被毒回復制御を実施していない条件下では、フィルタケーシング100に流入する排気の全量を第1の集合空間部140から直接第2の排気通路120に導入し、正常に機能しているフィルタ121を通過させた後、フィルタケーシング100外に排出する。言い換えると、フィルタケーシング100内に流路Bのみが形成されるようにバタフライ弁141,151を操作する。
【0098】
また、図7(b)に示すように、フィルタ111に目詰まりが発生している場合であって、NOx触媒再生制御若しくはS被毒回復制御を実施していない条件下においては、バタフライ弁141を操作し、第1の集合空間部140を介して第2の排気通路120及び第3の排気通路に流入する排気の流路を開放する。また、バタフライ弁151を操作し、第3の排気通路130からフィルタケーシング100外に向かう排気の流路に比べ、第2の排気通路120からフィルタケーシング100外に向かう排気の流路を絞る。すなわち、バタフライ弁141,151をこのような状態にした上で、燃料添加弁17bを通じて燃料添加制御を実施することにより、流路Bに沿って流れる排気(還元成分の供給された排気)の流れを滞留させフィルタ121内のNOx触媒に吸蔵されたNOxの放出・還元を効率的に行う。その一方で、流路Cにおいて十分大きな排気流量を確保し、フィルタケーシング100上流における排気の圧力上昇を抑制する。
【0099】
一方、図8は、フィルタ121の目詰まりが検知された場合であって、NOx触媒再生制御を実施していないときに適用される排気流路(図8(a))と、NOx触媒再生制御若しくはS被毒回復制御を実施しているときに適用される排気流路(図8(b))とを示す略図である。
【0100】
先ず図8(a)に示すように、フィルタ121に目詰まりが発生している場合、NOx触媒再生制御若しくはS被毒回復制御を実施していない条件下では、フィルタケーシング100に流入する排気の全量を第1の集合空間部140から直接第1の排気通路110に導入し、正常に機能しているフィルタ111を通過させた後、フィルタケーシング100外に排出する。言い換えると、フィルタケーシング100内に流路Aのみが形成されるようにバタフライ弁141,151を操作する。
【0101】
また、図8(b)に示すように、フィルタ121に目詰まりが発生している場合であって、NOx触媒再生制御若しくはS被毒回復制御を実施していない条件下においては、バタフライ弁141を操作し、第1の集合空間部140を介して第1の排気通路110及び第3の排気通路に流入する排気の流路を開放する。また、バタフライ弁151を操作し、第3の排気通路130からフィルタケーシング100外に向かう排気の流路に比べ、第1の排気通路110からフィルタケーシング100外に向かう排気の流路を絞る。すなわち、バタフライ弁141,151をこのような状態にした上で、燃料添加弁17bを通じて燃料添加制御を実施することにより、流路Bに沿って流れる排気(還元成分の供給された排気)の流れを滞留させフィルタ121内のNOx触媒に吸蔵されたNOxの放出・還元を効率的に行うとともに還元剤の消費量を低減する。その一方で、流路Cにおいて十分大きな排気流量を確保し、フィルタケーシング100上流における排気の圧力上昇を抑制する。
(両フィルタの目詰まり検知時)
両フィルタ111,121に目詰まりが生じた場合に実施される流路切換制御について説明する。
【0102】
図9は、両フィルタ111,121に目詰まりが発生した場合に適用されるフィルタケーシング100内の排気流路を示す略図である。
【0103】
バタフライ弁141,151が図8に示す状態にある場合、第1の集合通路40aからフィルタケーシング100に流入した排気は、第3の排気通路130のみを通過して第2の集合通路40bに排出される。フィルタ111,121が目詰まりし、第1の排気通路110及び第2の排気通路120を通じて排気を移動させることができない場合には、このような排気流路をフィルタケーシング100内に形成することで、フィルタケーシング100上流における排気の圧力が上昇するのを回避することができる。
【0104】
(5)添加燃料量の算出
上述したように、触媒再生制御やS被毒回復制御では、燃料添加弁17a,17bを通じて燃料を添加供給する(燃料添加制御を行う)ことにより、フィルタ111,121に吸蔵されたNOx(蓄積した硫黄成分)を放出させる。燃料添加制御を実施する場合には、フィルタ111,121に蓄積しているNOxの量、或いは硫黄成分の量を正確に把握しその蓄積量に応じた量の燃料を添加するのが、触媒再生制御やS被毒回復制御を効率的に行う上で好ましい。
【0105】
本実施の形態にかかるエンジン1では、個々のフィルタ111,121に吸蔵されるNOx(蓄積する硫黄成分)を逐次推定し、その推定値に基づき、燃料添加制御の実施タイミング、若しくは燃料添加制御を通じて添加供給される燃料の量(添加燃料量)を決定する。
【0106】
以下、個々のフィルタ111,121に吸蔵されるNOx(蓄積する硫黄成分)の量の推定方法について説明する。
【0107】
各フィルタ111,121のNOx吸蔵量は、基本的には、各フィルタ111,121を通過したNOxの総量によって決定づけられる。また、各フィルタ111,121を通過するNOxの総量は、各フィルタ111,121を通過する排気の流量や特性の履歴に基づいて推定することができる。さらに、各フィルタ111,121を通過する排気の流量や特性は、エンジン1の運転状態(負荷や回転数等)や、フィルタケーシング100内の排気流路の形態に基づいて推定することができる。
【0108】
そこで、エンジン1では、予め設定されたマップ等を参照しつつ、エンジン1の運転状態(負荷や回転数等)や、フィルタケーシング100内の排気流路の形態に基づき、個々のフィルタ111,121に吸蔵されるNOxの量(吸蔵速度)を逐次算出し、この算出値の履歴を基に各フィルタ111,121のNOx吸蔵量を推定する。
【0109】
例えば、フィルタケーシング100内の排気流路の形態が中立モード、第1の反転モード、若しくは第2の反転モード(図4)である場合、フィルタケーシング100に流入する排気(排気に含まれるNOx)の全量が両フィルタ111,121を通過することになる。ただし、排気流路の形態が中立モード(図4(a))若しくは第2の反転モード(図4(c))である場合、排気に含まれるNOxのうち大部分が排気流路の上流に位置するフィルタ111に吸蔵されることを考慮して、各フィルタ111,121に吸蔵されるNOxの量(吸蔵速度)を推定する。一方、フィルタケーシング100内の排気流路の形態が第1の反転モード(図4(b))にある場合、排気に含まれるNOxのうち大部分が排気流路の上流に位置するフィルタ121に吸蔵されることを考慮して、各フィルタ111,121に吸蔵されるNOxの量(吸蔵速度)を推定する。
【0110】
また、図9に示すような形態の排気流路が形成されている場合、フィルタケーシング100に流入する排気のうち、一部(例えば40%)の排気が各フィルタ111,121を通過し、残り(20%)が酸化触媒を通過するといった推定を行うことができる。
【0111】
また、図9(a)に示すような形態の排気流路が形成されている場合、フィルタケーシング100に流入する排気のうち、大部分(例えば95%)の排気がフィルタ121を通過し、残り(5%)がフィルタ111を通過するといった推定を行うことができる。同様に、図9(b)に示すような形態の排気流路が形成されている場合、フィルタケーシング100に流入する排気のうち、大部分(例えば95%)の排気がフィルタ111を通過し、残り(5%)がフィルタ121を通過するといった推定を行うことができる。
【0112】
このように、フィルタケーシング100内の排気流路の形態(バタフライ弁141,151の状態)に応じて変化する各フィルタ111,121を通過する排気流量の分配率や特性(NOx濃度)に、エンジン1の運転状態に応じて変化するフィルタケーシング100に流入する排気の全量及び特性(NO濃度)を加味することで、各フィルタ111,121のNOx吸蔵量を個別に算出することができる。ちなみに、燃料添加制御を通じて各フィルタ111,121に吸蔵されたNOxを放出した場合、添加燃料を供給されたフィルタのNOx吸蔵量(推定値)は、初期値(例えば「0」)にリセットする。なお、排気に含まれる硫黄成分は、NOxに比べより強固にNOx触媒と結合するもの、その蓄積量の推移は、NOxの吸蔵量の推移と高い相関を示す。このため、基本的にはNOx吸蔵量の算出方法と同様の方法を用いて、その蓄積量を算出することができる。
【0113】
このように、エンジン1の排気浄化装置として機能するフィルタケーシング100及びその制御方法によれば、フィルタケーシング100に流入した排気が、少なくとも一方のフィルタを通過する排気流路を常に確保しつつ、フィルタ111,121の各端から排気を流す切換操作を行うことができる。このため、各フィルタ111,121による微粒子等の除去作用を長期に亘って保持することができるばかりでなく、フィルタケーシング100下流への微粒子等の一時的なすり抜けも確実に回避することができる(図4参照)。
【0114】
また、NOx触媒を担持したフィルタに還元雰囲気の排気を供給してNOx触媒に吸蔵されたNOxを放出・還元する際には、そのフィルタを含む所定空間(排気通路)を密閉し、その密閉空間に還元剤を添加供給することでNOxの放出・還元作用や微粒子の分解作用の効率を高める一方、他の排気流路をフィルタケーシング100内に確保することによりフィルタケーシング100上流の圧力を上昇させない。また、フィルタケーシング100内に確保される排気流路中には他のフィルタを配置し、その排気流路に沿って流れる排気中のNOxを吸蔵する(微粒子を捕捉する)。よって、フィルタケーシング100に流入した排気中のNOxや微粒子の下流へのすり抜けが確実に回避され、しかも、NOx触媒再生に要する還元剤の消費量も低減されるようになる。
【0115】
また、フィルタ111,121の何れか一方、或いは両方に目詰まりが生じた場合であれ、正常に機能しているフィルタ、或いは酸化触媒の機能を最大限活用し、排気浄化機能を保持することができる。
【0116】
なお、本実施の形態においては、第1の調整弁機構としてバタフライ弁141、また第2の調整弁機構として151を採用することとした。しかしこれに限らず、フィルタケーシング100内において、第1の排気通路110、第2の排気通路120、第3の排気通路130と、第1の集合通路40aとの間で、各通路について他の通路との接続状態を調整し、また、第1の排気通路110、第2の排気通路120、第3の排気通路130と、第2の集合通路40bとの間で、各通路について他の通路との接続状態を調整することにより、少なくとも図4、若しくは図6〜図9に示す排気流路を形成する機能を備えた他の機構を採用することはできる。
【0117】
また、本実施の形態では、フィルタケーシング100に収容された各フィルタ111,121の状態(例えば目詰まりの有無)を把握すべく、フィルタケーシング100上流の圧力と下流の圧力との差を観測するための差圧センサ75、フィルタケーシング100下流において排気中の酸素濃度を観測するための酸素濃度センサ73、フィルタケーシング100下流において排気の温度を観測するための排気温度センサを各々1個ずつ設けることとした。このような構成に替え、フィルタ111,121各々に対応するセンサを備える構成を適用してもよい。例えば図10に示すように、酸素濃度センサ73a、排気温度センサ74a、差圧センサ75aを第1の排気通路110に備え、酸素濃度センサ73b、排気温度センサ74b、差圧センサ75bを第2の排気通路120に備える構成を適用すれば、フィルタ111,121の各々について、一層信頼性の高い情報を取得することができる。
【0118】
また、本実施の形態では、フィルタケーシング100内に形成された第3の排気通路130には酸化触媒131を設けることとしたが、この酸化触媒131を設けない構成、或いは酸化触媒に替えて他の触媒(例えばNOx触媒)を設ける構成を適用しても、本実施の形態に準ずる効果を奏することはできる。なお、このような構成を適用する場合であれ、排気系40のフィルタケーシング100下流に酸化触媒を設けるのが好ましい。
【0119】
また、本実施の形態では、フィルタ111,121の何れかについて目詰まりを検知した場合、例えば図7〜図8における排気流路の形態を適用することにより、正常に機能しているフィルタを活用して排気浄化を継続することとした。これに対し、目詰まりの生じたフィルタについて、その機能回復を試みる制御(機能回復制御)を行うこととしてもよい。機能回復制御としては、例えばフィルタケーシング100内に形成される排気流路を、図4(b)の形態と、図4(c)の形態とに連続的に切り換える制御を行ってもよい。このような制御を行うことにより、各フィルタ111,121を通過する排気の流れの向きが、繰り返し変更されることになり、目詰まりの原因となっている微粒子等が除去されやすくなる。このとき、ポスト噴射、パイロット噴射、低温燃焼等により、フィルタケーシング100に流入する排気の温度を上昇させる制御を実行することが、各フィルタに目詰まりを生じさせている微粒子等の分解を促す上で好ましい。また例えば、吸気バルブ及び排気バルブの動作特性(いわゆるバルブタイミングやバルブリフト量)を可変制御し得る周知の可変動弁機構や、ターボチャージャによる過給圧を可変制御し得る周知の可変ターボチャージャを備えた内燃機関では、各バルブの動作特性や過給圧を変更して排気の温度や流量を上昇させる制御を、上記フィルタケーシング100内の排気流路の形態を連続的に切り換える制御と併せ行い、各フィルタに詰まった微粒子の除去効果を高めることもできる。
【0120】
また、個々のフィルタ111,121による微粒子の分解・除去機能や、NOx浄化機能のみに着目した場合、2個の燃料添加弁17a,17bに替え、燃料添加弁を1個のみ備える構成を適用しても、本実施の形態に準ずる効果を奏することはできる。
【0121】
また、本実施の形態では、フィルタを形成する各通路内壁の表面に、NOx触媒を担持することとしたが、捕集された微粒子を効率的に酸化させる機能(活性酸素を放出する機能)を有する材料として、この他セリア(Ce)や錫(Sn)等の遷移金属を適用することもできる。すなわち、NOx触媒に加え、或いはNOx触媒に替えて、フィルタを形成する各通路内壁の表面にセリアや錫等の遷移金属を担持することとしてもよい。
【0122】
また、本実施の形態では第1の集合通路40aから導入した排気をフィルタケーシング100内で浄化し、第2の集合通路40bから排出するといった構成を適用した。これに対し、第2の集合通路40bをエンジン1側に接続し、第1の集合通路40aを大気に連通させる構成を適用して、本実施の形態に準ずる制御を行うことも可能ではある。
【0123】
また、本実施の形態では、フィルタ111を備えた第1の排気通路110と、フィルタ121を備えた第2の排気通路120と、酸化触媒131を備えた第3の排気通路130とを内部に区画形成したフィルタケーシング100を、エンジン1の排気系40に設けることとした。このような構成に替え、例えば図11に示すように、フィルタ111′を備えた第1の排気通路110′と、フィルタ121′を備えた第2の排気通路120′と、酸化触媒131′を備えた第3の排気通路130′とを、各々独立した通路構造を採用することもできる。このような場合、各通路110′,120′,130′の通路開口端を、調整弁機構(例えばバタフライ弁)141′,151′の設けられた空間部を介して第1の集合通路40a及び第2の集合通路40bに接続する通路構造を適用し、好ましくは第1の排気通路110′及び第2の排気通路120′の各々に還元剤(燃料)を添加する燃料添加弁を設ければ、本実施の形態に準ずる効果を奏することができる。ただし、本実施の形態で適用することとしたフィルタケーシング100のように、各通路110,120,130を内部通路として区画形成したケーシングを用いる方に、各通路を移動する排気の保温性や通路構造全体の搭載性等の面からみて優位性がある。
【0124】
また、本実施の形態では、本発明の排気浄化装置を内燃機関としての直列4気筒のディーゼルエンジンに適用することとしたが、希薄燃焼を行うガソリンエンジンにも本発明を適用することはできる。また、直列4気筒の内燃機関に限らず、搭載気筒数の異なる内燃機関にも本発明を適用することができる。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の排気浄化装置によれば、内燃機関の排気系に設けられ、排気中の微粒子を捕集するフィルタを通路途中に備えた第1の排気通路と、同じく排気中の微粒子を捕集するフィルタを通路途中に備えた第2の排気通路とを有する排気浄化装置にあって、第1の排気通路及び第2の排気通路に設けられた各フィルタに捕集された微粒子を分解除去すること、フィルタの目詰まりを防止すること、目詰まりが生じた場合にその原因となった微粒子を除去することが容易にできる。
【0126】
またとくに、各フィルタが排気に含まれるNOxを酸化雰囲気で吸蔵し、該吸蔵したNOxを還元雰囲気で還元する機能を有する場合には、各フィルタによる微粒子の浄化作用とNOxの浄化作用とを、相乗的に高めることができる。また、第1の集合通路上流における排気の圧力を上昇させることなく、第1の排気通路の触媒に吸蔵されたNOxを効率的に放出・還元することができる。すなわち、第1の排気通路に設けられた触媒(又はフィルタ)の排気浄化機能と、第2の排気通路に設けられた触媒(又はフィルタ)の排気浄化機能とを交互に活用し、効率的な排気浄化を継続的に行うことができる。
【0127】
また、本発明の制御方法によれば、第1の集合通路を起点、第2の集合通路を終点として移動する排気が、第1の排気通路に備えられたフィルタ、及び第2の排気通路に備えられたフィルタのうち少なくとも一方を通過するようなる。このため、上記2種の排気流路を切り換える際、何れかのフィルタによって捕集されるべき微粒子が、第2の集合通路にすり抜けてしまうといった不具合を回避することができる。
【0128】
また、第1の集合通路上流における排気の圧力を上昇させることなく、第1の排気通路及び第2の排気通路の触媒に吸蔵されたNOxを効率的に放出・還元することができる。すなわち、第1の排気通路に設けられた触媒(又はフィルタ)の排気浄化機能と、第2の排気通路に設けられた触媒(又はフィルタ)の排気浄化機能とを交互に活用し、効率的な排気浄化を継続的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるディーゼルエンジンシステムを示す概略構成図。
【図2】同実施の形態にかかるフィルタケーシングの内部構造を示す断面図図。
【図3】パティキュレートフィルタの構造を示す平面図等。
【図4】フィルタケーシング内に形成される排気流路の各種形態と、各バタフライ弁の状態との関係を説明する略図。
【図5】フィルタケーシング内に形成される排気流路の一例を示す略図。
【図6】燃料添加制御等の実行時に適用されるフィルタケーシング内の排気流路をの一例を示す略図。
【図7】一方のパティキュレートフィルタに目詰まりが生じた場合に適用されるフィルタケーシング内の排気流路の一例を示す略図。
【図8】他方のパティキュレートフィルタに目詰まりが生じた場合に適用されるフィルタケーシング内の排気流路の一例を示す略図。
【図9】両パティキュレートフィルタに目詰まりが生じた場合に適用されるフィルタケーシング内の排気流路の一例を示す略図。
【図10】排気特性を検出する各種センサの配置についての変形例を示す略図。
【図11】パティキュレートフィルタを含む排気通路構造の変形例を示す略図。
【図12】従来の排気通路構造の一例を示す略図。
【符号の説明】
1 エンジン(内燃機関)
10 燃料供給系
11 サプライポンプ
12 コモンレール
13 燃料噴射弁
20 燃焼室
30 吸気系
40 排気系
40a 第1の集合通路
40b 第2の集合通路
50 ターボチャージャ
60 EGR通路
61 EGR弁
71 添加燃料圧センサ
73 酸素濃度センサ
74 排気温度センサ
75 差圧センサ
90 電子制御装置(ECU)
100 フィルタケーシング
110 第1の排気通路
111,121 フィルタ
120 第2の排気通路
130 第3の排気通路
140 第1の集合空間部
141,151 バタフライ弁
150 第2の集合空間部
111a 多孔質材料
P1 機関燃料通路
P2 添加燃料通路

Claims (2)

  1. 内燃機関の排気系に設けられ、
    排気中の微粒子を捕集するフィルタを通路途中に備えた第1の排気通路と、
    同じく排気中の微粒子を捕集するフィルタを通路途中に備えた第2の排気通路と、
    前記第1の排気通路の一方の通路開口端と前記第2の排気通路の一方の通路開口端とに接続する第1の集合空間部と、
    一方の通路開口端を当該機関に接続し、他方の通路開口端を前記第1の集合空間部に接続する第1の集合通路と、
    前記第1の排気通路の他方の通路開口端と前記第2の排気通路の他方の通路開口端とに接続する第2の集合空間部と、
    一方の通路開口端を前記第2の集合空間部に接続し、他方の通路開口端を大気に連通させる第2の集合通路と、
    前記第1の集合空間部および前記第2の集合空間部の間を連絡する第3の排気通路と、
    前記第1の集合空間部に設けられ、前記第1の排気通路、第2の排気通路、第3の排気通路および第1の集合通路の間で、各通路について他の通路との接続状態を調整する第1の調整弁機構と、
    前記第2の集合空間部に設けられ、前記第1の排気通路、第2の排気通路、第3の排気通路および第の集合通路の間で、各通路について他の通路との接続状態を調整する第2の調整弁機構と、
    を備え、
    前記第1の集合通路を通じて導入した排気を浄化し、前記第2の集合通路を通じて排出する内燃機関の排気浄化装置の制御方法であって、
    前記第1の集合通路を通じて前記第1の集合空間部に流入する排気が、前記第2の排気通路、前記第2の集合空間部、前記第1の排気通路、前記第1の集合空間部、前記第3の排気通路、前記第2の集合空間部、前記第2の集合通路の順に流れる流路を形成するように、前記第1の調整弁機構および前記第2の調整弁機構を操作する第1の工程と、
    前記第1の集合通路を通じて前記第1の集合空間部に流入する排気が、前記第1の排気通路、前記第2の集合空間部、前記第2の排気通路、前記第1の集合空間部、前記第3の排気通路、前記第2の集合空間部、前記第2の集合通路の順に流れる流路を形成するように、前記第1の調整弁機構および前記第2の調整弁機構を操作する第2の工程と、
    前記第1の集合通路を通じて前記第1の集合空間部に流入する排気が、前記第1の排気通路、前記第2の集合空間部、前記第3の排気通路、前記第1の集合空間部、前記第2の排気通路、前記第2の集合空間、前記第2の集合通路の順に流れる流路を形成するように、前記第1の調整弁機構および前記第2の調整弁機構を操作する第3の工程とを、
    第1の工程、第3の工程、第2の工程の順に、若しくは、第2の工程、第3の工程、第1の工程の順に実行することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置の制御方法。
  2. 内燃機関の排気系に設けられ、
    排気に含まれるNOxを酸化雰囲気で吸蔵し、該吸蔵したNOxを還元雰囲気で還元する触媒を通路途中に備えた第1の排気通路と、
    同じく排気に含まれるNOxを酸化雰囲気で吸蔵し、該吸蔵したNOxを還元雰囲気で還元する触媒を通路途中に備えた第2の排気通路と、
    前記第1の排気通路の一方の通路開口端と前記第2の排気通路の一方の通路開口端とに接続する第1の集合空間部と、
    前記第1の集合空間部に接続する第1の集合通路と、
    前記第1の排気通路の他方の通路開口端と前記第2の排気通路の他方の通路開口端とに接続する第2の集合空間部と、
    前記第2の集合空間部に接続する第2の集合通路と、
    前記第1の集合空間部および前記第2の集合空間部の間を連絡する第3の排気通路と、
    前記第1の集合空間部に設けられ、前記第1の排気通路、第2の排気通路、第3の排気通路および第1の集合通路の間で、各通路について他の通路との接続状態を調整する第1の調整弁機構と、
    前記第2の集合空間部に設けられ、前記第1の排気通路、第2の排気通路、第3の排気通路および第の集合通路の間で、各通路について他の通路との接続状態を調整する第2の調整弁機構と、
    前記第1の排気通路において、前記第1の集合通路を形成する通路開口端と前記触媒との間に設けられ、該第1の排気通路内に還元剤を添加する第1の還元剤添加手段と、
    前記第2の排気通路において、前記第1の集合通路を形成する通路開口端と前記触媒との間に設けられ、該第2の排気通路内に還元剤を添加する第2の還元剤添加手段と、
    を備え、
    前記第1の集合通路を通じて導入した排気を浄化し、前記第2の集合通路を通じて排出する内燃機関の排気浄化装置の制御方法であって、
    前記第1の調整弁機構および前記第2の調整弁機構を操作して、前記第1の排気通路および前記第2の排気通路のうち、一方の排気通路を流れる排気の流量を増大させ、他方の排気通路を流れる排気の流量を減少させて、且つ、前記排気流量の減少する排気通路に還元剤を添加する制御を実行することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置の制御方法。
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