JP3628277B2 - エンジンの排ガス浄化装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる窒素酸化物(以下、NOxという)を低減し、かつ排ガスに含まれるパティキュレートを捕集する排ガス浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の排ガス浄化装置として、ディーゼルエンジンの排気通路の途中に、排ガス上流側から順に酸化触媒、パティキュレートフィルタ及びNOx触媒が設けられ、パティキュレートフィルタとNOx触媒との間に、排ガス中のNOxを還元するための軽油を噴射する燃料添加ノズルが設けられたディーゼルエンジンの排ガス浄化装置が開示されている(特開2000−199423号)。
このように構成されたディーゼルエンジンの排ガス浄化装置では、排ガス中のNOを酸化触媒により酸化してNOとし、この酸化機能の高いNOとパティキュレートフィルタに堆積したパティキュレートとを反応させることにより、フィルタに堆積したパティキュレートを低減できる。またパティキュレートフィルタでパティキュレートと反応せずにこのフィルタを通過したNOは、フィルタより排ガス下流側のNOx触媒で、燃料添加ノズルから噴射された軽油によりN又はNOに還元される。この結果、パティキュレートフィルタを連続的に再生できるとともに、NO(NOx)の排出量を低減できるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の特開2000−199423号公報に示されたディーゼルエンジンの排ガス浄化装置では、燃料添加ノズルから軽油を噴射するため、NOx触媒で還元反応に用いられなかった軽油(炭化水素)が気化した状態で大気中に排出されるおそれがあった。
本発明の目的は、排ガスに含まれるNOx及びパティキュレートの排出量を高効率で低減できるとともに、液体噴射ノズルから排気管に噴射された炭化水素系液体が気化した状態で大気中に排出されるのを防止できる、エンジンの排ガス浄化装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、エンジン11の排気管16に設けられたNOx吸蔵還元触媒24と、NOx吸蔵還元触媒24より排ガス上流側の排気管16に設けられNOx吸蔵還元触媒24に向けて炭化水素系液体32を噴射可能な液体噴射ノズル29と、液体噴射ノズル29に液体調整弁34を介して液体を供給する炭化水素系液体供給手段36と、NOx吸蔵還元触媒24より排ガス下流側の排気管16に設けられ酸化触媒として機能する活性金属が担持されたパティキュレートフィルタ26と、一端がNOx吸蔵還元触媒24より排ガス上流側の排気管16に接続され他端がNOx吸蔵還元触媒24及びパティキュレートフィルタ26間の排気管16に接続されNOx吸蔵還元触媒24をバイパスするバイパス管38と、エンジン11から排出された排ガスをNOx吸蔵還元触媒24及びバイパス管38にそれぞれ流す流量を調整する排ガス調整弁41,42と、NOx吸蔵還元触媒24より排ガス上流側の排気管16内の排ガス温度を検出する温度センサ43と、温度センサ43の検出出力に基づいて液体調整弁34及び排ガス調整弁41,42をそれぞれ制御するコントローラ44とを備えたエンジンの排ガス浄化装置であって、温度センサ43が所定値以上の排ガス温度を検出したときに、コントローラ44が排ガス調整弁41,42を調整して大部分の排ガスをバイパス管38に流しかつ一部の排ガスをNOx吸蔵還元触媒24に流すと同時に、液体調整弁34を所定時間だけオンして液体噴射ノズル29から液体32を噴射するように構成されたことを特徴とする。
【0005】
この請求項1に記載されたエンジンの排ガス浄化装置では、温度センサ43が所定値未満の排ガス温度を検出すると、コントローラ44はこの温度センサ43の検出出力に基づいて、液体調整弁34をオフし、排ガスをNOx吸蔵還元触媒24に流しかつ排ガスをバイパス管38に流さないように排ガス調整弁41,42を調整する。これにより排ガス中のNOxは硝酸塩として触媒24に吸蔵され、排ガス中のHCは触媒24に担持された貴金属の酸化作用により酸化される。
温度センサ43が所定値以上の排ガス温度を検出すると、コントローラ44はこの温度センサ43の検出出力に基づいて、大部分の排ガスをバイパス管38に流しかつ一部の排ガスを触媒24に流すように排ガス調整弁41,42を調整すると同時に、液体調整弁34を所定時間だけオンし、液体噴射ノズル29から液体32を噴射する。これにより触媒24入口の排ガス中の炭化水素濃度が増加するので、触媒24入口の排ガスの空気過剰率が低下するとともに、HC,CO,CO又はHが還元剤として増加するので、触媒24に吸蔵されたNOxが上記HC等と反応しN,CO,HOとなって触媒24から放出される。
上記液体32の噴射により生成された軽油又はHCの一部は触媒24を通過してフィルタ26により捕集される。このフィルタ26に捕集された軽油又はHCは、液体調整弁34がオンしているときに、大部分の排ガスがバイパス管38を流れて、空気過剰率の高い排ガスがフィルタ26に流入するので、フィルタ26に担持された活性金属の酸化作用により酸化・燃焼される。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図1に示すように、NOx吸蔵還元触媒24及びパティキュレートフィルタ26間の排気管16内の排ガスの空気過剰率を検出するラムダセンサ45、又はNOx吸蔵還元触媒24及びパティキュレートフィルタ26間の排気管16内の排ガスのNOx濃度を検出するNOxセンサ46のいずれか一方又は双方を更に備え、コントローラ44が温度センサ43と、ラムダセンサ45又はNOxセンサ46のいずれか一方又は双方との各検出出力に基づいて液体調整弁34及び排ガス調整弁41,42をそれぞれ制御するように構成されたことを特徴とする。
この請求項2に記載されたエンジンの排ガス浄化装置では、NOxセンサ46が所定値以上のNOx濃度を検出すると、コントローラ44はこのNOxセンサ46の検出出力に基づいて液体調整弁34をオンして液体噴射ノズル29から液体32を噴射し、ラムダセンサ45が所定値以下の空気過剰率を検出したときにコントローラ44はこのラムダセンサ45の検出出力に基づいて液体調整弁34をオフする。また液体調整弁34をオンしているときに排ガスがバイパス管38を流れるように排ガス調整弁41,42を調整する。このようにNOxセンサ46の検出出力により液体調整弁34をオンする間隔(触媒24によるNOx吸蔵時間)が決定され、ラムダセンサ45の検出出力により液体調整弁34をオンしている時間が決定され、更にNOxセンサ46及びラムダセンサ45の各検出出力により排ガス調整弁41,42の切換時期及び切換時間が決定される。
【0007】
なお、パティキュレートフィルタより排ガス下流側の排気管内の排ガスの空気過剰率を検出するラムダセンサ、又はパティキュレートフィルタより排ガス下流側の排気管内の排ガスのNOx濃度を検出するNOxセンサのいずれか一方又は双方を更に備え、コントローラが温度センサと、ラムダセンサ又はNOxセンサのいずれか一方又は双方との各検出出力に基づいて液体調整弁及び排ガス調整弁をそれぞれ制御するように構成してもよい。
【0008】
請求項4に係る発明は、図4に示すように、エンジン11の排気管16に設けられたNOx吸蔵還元触媒24と、NOx吸蔵還元触媒24より排ガス上流側の排気管16に設けられNOx吸蔵還元触媒24に向けて炭化水素系液体32を噴射可能な液体噴射ノズル29と、液体噴射ノズル29に液体調整弁34を介して液体32を供給する炭化水素系液体供給手段36と、NOx吸蔵還元触媒24より排ガス下流側の排気管16に設けられ酸化触媒として機能する活性金属が担持されたパティキュレートフィルタ26と、NOx吸蔵還元触媒24及びパティキュレートフィルタ26間の排気管16に設けられパティキュレートフィルタ26に向けて空気を噴射可能な空気噴射ノズル71と、空気噴射ノズル71に空気調整弁74を介して空気を供給する空気供給手段73と、NOx吸蔵還元触媒24より排ガス上流側の排気管16内の排ガス温度を検出する温度センサ43と、温度センサ43の検出出力に基づいて液体調整弁34及び空気調整弁74をそれぞれ制御するコントローラ44とを備えたエンジンの排ガス浄化装置であって、温度センサ43が所定値以上の排ガス温度を検出したときに、コントローラ44が液体調整弁34をオンして液体噴射ノズル29から液体32を噴射するとともに、液体調整弁34がオンしている間だけ空気調整弁74をオンして空気噴射ノズル71から空気を噴射するように構成されたことを特徴とする
【0009】
この請求項4に記載されたエンジンの排ガス浄化装置では、温度センサ43が所定値未満の排ガス温度を検出すると、コントローラ44はこの温度センサ43の検出出力に基づいて、液体調整弁34をオフした状態を保つ。これにより排ガス中のNOxは硝酸塩として触媒24に吸蔵され、排ガス中のHCは触媒24のに担持された貴金属の酸化作用により酸化される。
温度センサ43が所定値以上の排ガス温度を検出すると、コントローラ44はこの温度センサ43の検出出力に基づいて、液体調整弁34を所定時間だけオンし、液体噴射ノズル29から液体32を噴射する。これにより触媒24入口の排ガス中の炭化水素濃度が増加するので、触媒24入口の排ガスの空気過剰率が低下するとともに、HC,CO,CO又はHが還元剤として増加するので、触媒24に吸蔵されたNOxが上記HC等と反応しN,CO,HOとなって触媒24から放出される。
上記液体32の噴射により生成された軽油又はHCの一部は触媒24を通過してフィルタ26により捕集される。このフィルタ26に捕集された軽油又はHCは、液体調整弁34がオンしているときに空気調整弁74をオンして空気噴射ノズル71から空気を噴射することにより、酸素濃度を高くした排ガスがフィルタ26に流入するので、フィルタ26に担持された活性金属の酸化作用により酸化・燃焼される。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明であって、更に図4に示すように、NOx吸蔵還元触媒24及びパティキュレートフィルタ26間の排気管16内の排ガスの空気過剰率を検出するラムダセンサ45、又はNOx吸蔵還元触媒24及びパティキュレートフィルタ26間の排気管16内の排ガスのNOx濃度を検出するNOxセンサ46のいずれか一方又は双方を更に備え、コントローラ44が温度センサ43と、ラムダセンサ45又はNOxセンサ46のいずれか一方又は双方との各検出出力に基づいて液体調整弁34及び空気調整弁74をそれぞれ制御するように構成されたことを特徴とする。
この請求項5に記載されたエンジンの排ガス浄化装置では、NOxセンサ46が所定値以上のNOx濃度を検出すると、コントローラ44はこのNOxセンサ46の検出出力に基づいて液体調整弁34をオンして液体噴射ノズル29から液体32を噴射し、ラムダセンサ45が所定値以上の空気過剰率を検出したときにコントローラ44はこのラムダセンサ45の検出出力に基づいて液体調整弁34をオフする。また液体調整弁34をオンしているときに空気調整弁74をオンして空気噴射ノズル71から空気を噴射する。このようにNOxセンサ46の検出出力により液体調整弁34をオンする間隔(触媒24によるNOx吸蔵時間)が決定され、ラムダセンサ45の検出出力により液体調整弁34をオンしている時間が決定され、更にNOxセンサ46及びラムダセンサ45の各検出出力により空気調整弁74のオンする時期及びオンしている時間が決定される。
【0011】
またパティキュレートフィルタより排ガス下流側の排気管内の排ガスの空気過剰率を検出するラムダセンサ、又はパティキュレートフィルタより排ガス下流側の排気管内の排ガスのNOx濃度を検出するNOxセンサのいずれか一方又は双方を更に備え、コントローラが温度センサと、ラムダセンサ又はNOxセンサのいずれか一方又は双方との各検出出力に基づいて液体調整弁及び空気調整弁をそれぞれ制御するように構成してもよい。
また温度センサの検出出力に基づいて液体調整弁を開く条件が満たされているときに、コントローラが液体調整弁を0.1〜600秒間毎に0.01〜30秒間だけ開くように構成されることが好ましい。
また温度センサと、ラムダセンサ又はNOxセンサのいずれか一方又は双方との各検出出力に基づいて液体調整弁を開く条件が満たされているときに、コントローラが液体調整弁を0.1〜600秒間毎に0.01〜30秒間だけ開くように構成されることが好ましい。
【0012】
請求項9に係る発明は、請求項1又は4に係る発明であって、更に図1に示すように、エンジン11がターボ過給機付エンジンであり、ターボ過給機17が、吸気管13に設けられ空気をエンジン11に圧縮して供給可能なコンプレッサ17aと、排気管16に設けられコンプレッサ17aとシャフトを介して連結されかつ排気管16を流れる排ガスのエネルギにより回転可能なタービン17bとを有することを特徴とする。
この請求項9に記載されたエンジンの排ガス浄化装置では、ターボ過給機17にて吸気を過給することにより、排ガス中の酸素濃度を高くしたり、煤の排出量を減らすことが可能となるため、NOx吸蔵還元触媒24の反応速度を高めたり、パティキュレートフィルタ26での煤の燃焼処理の負荷を低減でき、炭化水素の除去を促進できるという利点がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ディーゼルエンジン11の吸気ポートには吸気マニホルド12を介して吸気管13が接続され、排気ポートには排気マニホルド14を介して排気管16が接続される。吸気管13には、ターボ過給機17のコンプレッサ17aと、ターボ過給機17により圧縮された吸気を冷却するインタクーラ18とがそれぞれ設けられ、排気管16にはターボ過給機17のタービン17bが設けられる。図示しないがコンプレッサ17aの回転翼とタービン17bの回転翼とはシャフトにより連結される。エンジン11から排出される排ガスのエネルギによりタービン17b及びシャフトを介してコンプレッサ17aが回転し、このコンプレッサ17aの回転により吸気管13内の吸入空気が圧縮されるように構成される。
【0014】
また排気マニホルド14と吸気管13とはEGR通路19によりエンジン11をバイパスして連通接続される。即ち、このEGR通路19は排気マニホルド14から分岐し、インタクーラ18より吸気下流側の吸気管13に合流する。このEGR通路19にはこのEGR通路19から吸気管13に還流される排ガス(EGRガス)の流量を調整可能なEGRバルブ21が設けられる。なお、図1の符号22はEGR通路19を通る排ガス(EGRガス)を冷却するEGRクーラである。また、コンプレッサ17aより吸気上流側の吸気管13には吸入空気の流量を調整可能な吸気絞り弁23が設けられる。更に排気管16の途中にはエンジン側(排ガス上流側)から順に、NOx吸蔵還元触媒24とパティキュレートフィルタ26とが設けられる。NOx吸蔵還元触媒24は排気管16の直径を拡大した筒状のコンバータ27に収容され、パティキュレートフィルタ26は排気管16の直径を拡大した筒状の捕集器28に収容される。
【0015】
NOx吸蔵還元触媒24は排気管16に流入する排ガス中のNOxを吸蔵し、かつ排ガス中のHC,CO,CO又はHが増加して酸素が減少したときに上記吸蔵したNOxを放出して再生処理される触媒である。この触媒24は図示しないが排ガスの流れる方向に格子状(ハニカム状)の通路が形成されたモノリス担体(材質:コージェライト)と、このモノリス担体上に形成されかつ貴金属及びNOx吸蔵剤が担持されたコート層とを有する。貴金属としてはPtが挙げられ、NOx吸蔵剤としてはLi,Na,K,Cs等のアルカリ金属や、Mg,Ca,Ba等のアルカリ土類金属や、Y,La,Ce,Pr,Nd,Eu,Gd,Dy(Y以外はランタノイド系金属)等の希土類金属が挙げられる。上記NOx吸蔵剤は触媒24の総重量に対して2〜20重量%、好ましくは5〜10重量%担持される。またコート層としてはアルミナが挙げられる。
【0016】
パティキュレートフィルタ26は酸化触媒としての機能を有する触媒付きハニカムフィルタであって、図2に示すように、コージェライトのようなセラミックスからなる多孔質の隔壁26aで仕切られた多角形断面を有する。このフィルタ26はこれらの隔壁26aにより多数の互いに平行に形成された貫通孔26bの相隣接する入口部26cと出口部26dを交互に実質的に封止することにより構成される。また隔壁26aには、白金−ゼオライト触媒又は白金−セリア−ゼオライト触媒がコーティングされる。白金−ゼオライト触媒はコージェライトからなるハニカム担体に水素イオン交換ゼオライト粉末(H−ZSM−5)を含むスラリーをコーティングした後、Ptを担持させて構成される。また白金−セリア−ゼオライト触媒はコージェライトからなるハニカム担体に水素イオン交換ゼオライト粉末(H−ZSM−5)及びセリア粉末(CeO)を含むスラリーをコーティングした後、Ptを担持させて構成される。これによりフィルタ26に煤や炭化水素(HC)の酸化力が付与される。このフィルタ26では、図2の実線矢印で示すように、フィルタ26の入口側から導入されたエンジン11の排ガスが多孔質の隔壁26aを通過する際に、この排ガスに含まれる微粒子がろ過されて、出口側から排出されるようになっている。
【0017】
一方、NOx吸蔵還元触媒24の排ガス上流側の排気管16、即ち触媒24の入口には、液体噴射ノズル29が触媒24に向けて設けられる。この液体噴射ノズル29には液体供給管31の一端が接続され、この液体供給管31の他端は炭化水素系液体32が貯留された液体タンク33に接続される。また液体供給管31には液体噴射ノズル29への液体32の供給量を調整する液体調整弁34が設けられ、液体調整弁34と液体タンク33との間の液体供給管31には液体タンク33内の液体32を液体噴射ノズル29に供給可能なポンプ36が設けられる。液体調整弁34は第1〜第3ポート34a〜34cを有する三方弁であり、第1ポート34aはポンプ36の吐出口に接続され、第2ポート34bは液体噴射ノズル29に接続され、更に第3ポート34cは戻り管37を介して液体タンク33に接続される。上記炭化水素系液体32は軽油である。なお、液体調整弁34がオンすると第1及び第2ポート34a,34bが連通し、オフすると第1及び第3ポート34a,34cが連通するように構成される。
【0018】
また排気管16にはNOx吸蔵還元触媒24をバイパスするバイパス管38が接続される。このバイパス管38の一端は触媒24より排ガス上流側の排気管16に接続され、他端は触媒24及びフィルタ26間の排気管16に接続される。バイパス管38の一端近傍のバイパス管38及び排気管16には、エンジン11から排出された排ガスを触媒24又はバイパス管38のいずれか一方に流すように切換える第1及び第2排ガス調整弁41,42が設けられる。第1排ガス調整弁41はバイパス管38の一端近傍に設けられこのバイパス管38の開度を調整し、第2排ガス調整弁42はバイパス管38の一端と触媒24との間の排気管16に設けられこの排気管16の開度を調整するように構成される。なお、バイパス管の一端の排気管への接続部に単一の排ガス調整弁を設けても、この排ガス調整弁により排ガスをNOx吸蔵還元触媒及びバイパス管に流す流量を調整できる。
【0019】
液体噴射ノズル29及び触媒24間の排気管16、即ち触媒24の入口には排気管16内の排ガス温度を検出する温度センサ43が設けられる。またエンジン11のクランク軸近傍にはこのクランク軸の回転速度を検出する回転センサ51が設けられ、アクセルペダル近傍又は燃料噴射ポンプのコントロールレバー近傍にはエンジンの負荷を検出する負荷センサ52が設けられる。上記温度センサ43、回転センサ51及び負荷センサ52の各検出出力はマイクロコンピュータからなるコントローラ44の制御入力に接続される。その他コントローラ44の制御入力には、触媒24及びフィルタ26間の排気管16、即ちバイパス管38の排気管16への集合部より排ガス上流側の触媒24出口における排ガスの空気過剰率(実際の排ガス中の空気量/理論的な燃焼時の排ガス中の空気量)を検出するラムダセンサ45と、上記触媒24出口の排ガスのNOx濃度を検出するNOxセンサ46の各検出出力が接続される。コントローラ44の制御出力は吸気絞り弁23、液体調整弁34、ポンプ36、第1及び第2排ガス調整弁41,42にそれぞれ接続される。
【0020】
コントローラ44はメモリ47を備える。メモリ47には、触媒24入口の排ガス温度、エンジン11の回転速度及び負荷、触媒24出口の空気過剰率及び触媒24出口のNOx濃度に応じた吸気絞り弁23の開度や、液体調整弁34のオン時間及びその間隔や、第1及び第2排ガス調整弁41,42の開度や、ポンプ36の作動の有無が予め記憶される。具体的には、NOxセンサ46の検出出力により液体調整弁34をオンする間隔(触媒24によるNOx吸蔵時間)が決定され、ラムダセンサ45、回転センサ51及び負荷センサ52の各検出出力により液体調整弁34をオンしている時間が決定され、更にNOxセンサ46、ラムダセンサ45回転センサ51及び負荷センサ52の各検出出力により排ガス調整弁41,42の切換時期及び切換時間が決定される。特に上記回転センサ51により検出されるエンジン回転速度が高いほど、また上記負荷センサ52により検出されるエンジン負荷が大きいほど、液体調整弁34をオンする時間は短く設定され、回転センサ51により検出されるエンジン回転速度が低いほど、また上記負荷センサ52により検出されるエンジン負荷が小さいほど、液体調整弁34をオンする時間は長く設定されることが好ましい。これは、第1排ガス調整弁41を全開にし、かつ第2排ガス調整弁42を僅かに開く(開度:1〜10%)と、一部の排ガスが触媒24側に流れ、その流速が回転センサにより検出されるエンジン回転速度が高いほど、また上記負荷センサにより検出されるエンジン負荷が大きいほど速くなって、燃料噴射ノズル29から噴射された炭化水素が触媒24に速く到達するためである。
【0021】
このように構成されたエンジン11の排ガス浄化装置の動作を説明する。
エンジン11を始動すると、温度センサ43が250℃未満の排ガス温度を検出するので、コントローラ44は温度センサ43、回転センサ51及び負荷センサ52の各検出出力に基づいて、吸気絞り弁23を100%の開度で開き、液体調整弁34をオフし、EGRバルブ21及び第1排ガス調整弁41を閉じ、更に第2排ガス調整弁42を100%の開度で開く。これによりエンジン11から排出された排ガスは排気管16を通ってNOx吸蔵還元触媒24を通過する。このとき排ガスに含まれるNOxは上記触媒24に吸蔵される。触媒24のコート層に担持されるNOx吸蔵剤として例えばBaを用いれば、エンジン11から排出されたNOxは上記触媒24において排ガス中のOと反応し、更に触媒24中のBaO,BaCOと反応して[Ba(NO]が生成され、この状態で触媒24に吸蔵される。また排ガスに含まれるHCは触媒24のコート層に担持された貴金属(Pt)の酸化作用により酸化される。
【0022】
温度センサ43が250℃以上の排ガス温度を検出した状態で、NOxセンサ46が50ppm以上のNOx濃度を検出する、即ち触媒24によるNOxの吸蔵量が飽和状態に近付くと、コントローラ44は温度センサ43、回転センサ51、負荷センサ52及びNOxセンサ46の各検出出力に基づいて、EGRバルブ21を50%の開度で開き、吸気絞り弁23を50%の開度で開く。同時に第1排ガス調整弁41を100%の開度で開き、第2排ガス調整弁42を1〜10%の開度に絞り、大部分の排ガスをバイパス管38に流し、一部の排ガスを触媒24に流すとともに、液体調整弁34をオンして液体噴射ノズル29から液体32を噴射する。そしてラムダセンサ45、回転センサ51及び負荷センサ52の各検出出力により決定された液体調整弁34のオン時間の経過後か、或いはラムダセンサ45が1.0以下の空気過剰率を検出したときのいずれか早い時期に、液体調整弁34をオフする。
【0023】
なお、上記液体調整弁34をオンする間隔は0.1〜600秒間毎、好ましくは10〜30秒間毎であり、オンする時間は0.01〜30秒間、好ましくは0.1〜10秒間である。即ち、軽油32は図3(a)に示すように、液体噴射ノズル29から噴射される。液体調整弁34をオンする間隔を上記のように0.1〜600秒に限定したのは、0.1秒未満ではNOxを吸蔵する時間が短過ぎてNOxを十分に吸蔵できず、600秒を越えると触媒24がNOxを吸蔵しきれずにNOxが大気に排出されるおそれがあるからである。また液体調整弁34をオンしている時間を上記のように0.01〜30秒に限定したのは、0.01秒未満では触媒24表面の雰囲気の空気過剰率が1.0以下(いわゆる、リッチ雰囲気)に達せず、30秒を越えると比較的多くの未燃HCが大気に排出されてしまうからである。
【0024】
液体噴射ノズル29から軽油32が噴射されることにより、触媒24入口の排ガス中の酸素濃度が低下する、即ち図3(b)に示すように触媒24入口の排ガスの空気過剰率が低下するとともに、HC,CO,CO又はHが還元剤として増加するので、触媒24に吸蔵されたNOxが触媒24から次のように放出される。先ず上記触媒24に吸蔵された[Ba(NO]が排ガス中の上記還元剤と反応してNO或いはNまで還元され、次に触媒24が選択性の良い還元触媒として機能し、上記NOが排ガス中のCO,HCと反応して無害なN,CO,HOが生成されて大気に排出される。この結果、触媒24が再生されるので、触媒24により排ガス中のNOxが吸蔵されて触媒24出口の排ガス中のNOxは図3(c)に示すように減少する。
【0025】
上記軽油32の噴射により生成されたHCは上述のように触媒24で還元剤として機能するけれども、全てのHCが還元剤として機能せず、一部のHCは触媒24を通過してしまう。このため、図3(d)の一点鎖線で示すように、触媒24出口のHC濃度は増大するけれども、この未燃のHCはフィルタ26により捕集される。このフィルタ26に捕集された未燃のHCは、液体調整弁34をオンしているときに、空気過剰率の高い、即ちリーン状態の排ガスがバイパス管38を通ってフィルタ26に流入するので、フィルタ26に担持された活性金属の酸化作用により酸化・燃焼される。この結果、フィルタ26出口のHC濃度は、図3(d)の実線で示すように低く抑えられるので、大気中へのパティキュレートの排出を抑制できる。
【0026】
図4は本発明の第2の実施の形態を示す。図4において図1と同一符号は同一部品を示す。
この実施の形態では、NOx吸蔵還元触媒24及びパティキュレートフィルタ26間の排気管16、即ちフィルタ26入口に空気噴射ノズル71が設けられ、この空気噴射ノズル71がフィルタ26に向けて空気を噴射可能に構成される。また空気噴射ノズル71には空気供給管72の一端が接続され、この空気供給管72の他端は圧縮空気が貯留された空気タンク73に接続される。また空気供給管72には空気噴射ノズル71への圧縮空気の供給量を調整する空気調整弁74が設けられる。この空気調整弁74がオンすると空気タンク73の圧縮空気が空気噴射ノズル71に供給され、オフすると空気噴射ノズル71への圧縮空気の供給が停止されるように構成される。なお、この実施の形態では、第1の実施の形態のバイパス管は設けられない。またコントローラ44の制御出力は吸気絞り弁23、液体調整弁34、ポンプ36、空気調整弁74にそれぞれ接続される。コントローラ44のメモリ47には、触媒24入口の排ガス温度、触媒24出口の空気過剰率及び触媒24出口のNOx濃度に応じた吸気絞り弁23の開度や、液体調整弁34及び空気調整弁74のオン時間及びその間隔や、ポンプ36の作動の有無が予め記憶される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0027】
このように構成されたエンジン11の排ガス浄化装置の動作を説明する。
エンジン11を始動すると、温度センサ43が250℃未満の排ガス温度を検出するので、コントローラ44はこの温度センサ43の検出出力に基づいて、吸気絞り弁23を100%の開度で開き、液体調整弁34及び空気調整弁74をオフし、更にEGRバルブ21を閉じる。これによりエンジン11から排出された排ガスは排気管16を通ってNOx吸蔵還元触媒24を通過する。このとき第1の実施の形態と同様に、排ガスに含まれるNOxは上記触媒24に吸蔵され、排ガスに含まれるHCは触媒24のコート層に担持された貴金属(Pt)の酸化作用により酸化される。
【0028】
温度センサ43が250℃以上の排ガス温度を検出した状態で、NOxセンサ46が50ppm以上のNOx濃度を検出する、即ち触媒24によるNOxの吸蔵量が飽和状態に近付くと、コントローラ44は温度センサ43及びNOxセンサ46の各検出出力に基づいて、EGRバルブ21を50%の開度で開き、吸気絞り弁23を50%の開度で開く。同時に液体調整弁34をオンする。そしてラムダセンサ45、回転センサ51及び負荷センサ52の各検出出力により決定された液体調整弁34のオン時間の経過後か、或いはラムダセンサ45が1.0以下の空気過剰率を検出したときのいずれか早い時期に、液体調整弁34をオフする。これにより触媒24入口の排ガス中の酸素濃度が低下する、即ち触媒24入口の排ガスのHC濃度が増加するとともに、HC,CO,CO又はHが還元剤として増加するので、第1の実施の形態と同様に、触媒24に吸蔵されたNOxが触媒から放出されると同時に還元される。
【0029】
上記軽油32の噴射により生成されたHCは上述のように触媒24で還元剤として機能するけれども、全てのHCが還元剤として機能せず、一部のHCは触媒24を通過してしまう。このため、触媒24出口のHC濃度は増大するけれども、この未燃のHCはフィルタ26により捕集される。このフィルタ26に捕集された未燃のHCは、液体調整弁34をオンしている間だけ空気調整弁74をオンすることにより空気過剰率の高い、即ちリーン状態の排ガスがフィルタ26に流入するので、フィルタ26に担持された活性金属の酸化作用により酸化・燃焼される。この結果、フィルタ26出口のHC濃度は、低く抑えられるので、大気中へのパティキュレートの排出を抑制できる。
【0030】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図1に示すように、8000ccのターボ過給機付ディーゼルエンジン11の排気管16に、排ガス上流側から順にNOx吸蔵還元触媒24と、パティキュレートフィルタ26とを設けた。また触媒24の排ガス上流側の排気管16に軽油32を噴射可能な液体噴射ノズル29を設け、排気管16に触媒24をバイパスするバイパス管38を設け、更に排気管16及びバイパス管38に第1及び第2排ガス調整弁41,42をそれぞれ設けた。なお、上記触媒24は、コート層がアルミナであり、貴金属が白金であり、更にNOx吸蔵剤がBaである。またフィルタ26には白金−ゼオライト触媒がコーティングされる、即ちフィルタはコージェライトからなるハニカム担体に水素イオン交換ゼオライト粉末(H−ZSM−5)及びアルミナ粉末(Al)を含むスラリーをコーティングした後、Ptを担持させることにより構成される。
【0031】
<実施例2>
図4に示すように、実施例1のバイパス管に替えて、パティキュレートフィルタ26の入口に、空気をフィルタ26に向けて噴射可能な空気噴射ノズル71を設けた。上記以外は実施例1と同一に構成した。
<比較例1>
図示しないが8000ccの自然吸気型ディーゼルエンジンの排気管に、NOx吸蔵還元触媒と、白金を担持したパティキュレートフィルタとを設けた。また排ガス上流側の排気管には軽油を噴射可能な液体噴射ノズルを設けた。
【0032】
<比較試験1及び評価>
実施例1、2及び比較例1の排ガス浄化装置によるNOx、パティキュレート及びHCの排出量をそれぞれ測定した。その結果を図5〜図7に示す。
図5から明らかなように、比較例1ではNOxを規制値より50%しか低減できなかったのに対し、実施例1及び2では規制値より60%低減できた。
図6から明らかなように、比較例1ではパティキュレートが規制値の3.5倍に増大したのに対し、実施例1及び2では規制値より80%及び70%それぞれ低減できた。
図7から明らかなように、比較例1ではHCが規制値の9倍に増大したのに対し、実施例1及び2では規制値より80%及び70%それぞれ低減できた。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、エンジンの排気管に排ガス上流側から順にNOx吸蔵還元触媒と酸化触媒付パティキュレートフィルタとを設け、NOx吸蔵還元触媒の入口に炭化水素系液体を噴射可能な液体噴射ノズルを設け、この液体噴射ノズルに炭化水素系液体供給手段が液体調整弁を介して液体を供給し、排ガス調整弁が排ガスをNOx吸蔵還元触媒及びバイパス管に流す流量を調整し、NOx吸蔵還元触媒入口の排ガス温度を検出する温度センサの検出出力に基づいてコントローラが液体調整弁及び排ガス調整弁をそれぞれ制御するので、温度センサが所定値未満の排ガス温度を検出するときには、排ガス中のNOxは硝酸塩として触媒に吸蔵され、排ガス中のHCは酸化される。また温度センサが所定値以上の排ガス温度を検出すると、コントローラは排ガス調整弁を調整して大部分の排ガスをバイパス管に流しかつ一部の排ガスを触媒に流すと同時に、液体調整弁を所定時間だけオンして液体噴射ノズルから液体を噴射する。これにより触媒入口の排ガス中の酸素濃度が低下し、HC等が還元剤として増加するので、触媒に吸蔵されたNOxが上記HC等と反応しN等となって触媒から放出される。更に上記液体の噴射により生成されたHCの一部は触媒を通過してフィルタにより捕集されるけれども、液体調整弁をオンしているときに空気過剰率の高い排ガスがバイパス管を通ってフィルタに流入するので、上記捕集されたHCはフィルタに担持された活性金属の酸化作用により酸化・燃焼される。この結果、フィルタより排ガス下流側の排気管内のHC濃度は低く抑えられるので、大気中へのパティキュレートの排出を抑制できる。
【0034】
またパティキュレートフィルタ入口の排ガスの空気過剰率又はNOx濃度を検出するラムダセンサ又はNOxセンサのいずれか一方又は双方と、温度センサとの各検出出力に基づいてコントローラが液体調整弁及び排ガス調整弁をそれぞれ制御すれば、NOxセンサの検出出力により液体調整弁をオンする間隔(触媒によるNOx吸蔵時間)が決定され、ラムダセンサの検出出力により液体調整弁をオンしている時間が決定され、NOxセンサ及びラムダセンサの各検出出力により排ガスがバイパス管を通過するように排ガス調整弁を調整する時期及び時間が決定される。この結果、液体が最適な時期に最適な量だけ噴射され、かつ空気過剰率の高い排ガスが最適な時期に最適な量だけフィルタに供給されるので、排ガスに含まれるNOx及びパティキュレートの排出量を高効率で低減できるとともに、液体噴射ノズルから排気管に噴射された液体が気化した状態で大気中に排出されるのを防止できる。
【0035】
またエンジンの排気管に排ガス上流側から順にNOx吸蔵還元触媒と酸化触媒付パティキュレートフィルタとを設け、NOx吸蔵還元触媒の入口に炭化水素系液体を噴射可能な液体噴射ノズルを設け、この液体噴射ノズルに炭化水素系液体供給手段が液体調整弁を介して液体を供給し、パティキュレートフィルタの入口に空気を噴射可能な空気噴射ノズルを設け、この空気噴射ノズルに空気供給手段が空気調整弁を介して空気を供給し、NOx吸蔵還元触媒入口の排ガス温度を検出する温度センサの検出出力に基づいてコントローラが液体調整弁及び空気調整弁をそれぞれ制御すれば、温度センサが所定値未満の排ガス温度を検出するときには、排ガス中のNOxは硝酸塩として触媒に吸蔵され、排ガス中のHCは酸化される。また温度センサが所定値以上の排ガス温度を検出すると、コントローラは液体調整弁を所定時間だけオンし、液体噴射ノズルから液体を噴射する。これにより触媒入口の排ガス中の酸素濃度が低下し、HC等が還元剤として増加するので、触媒に吸蔵されたNOxが上記HC等と反応しN等となって触媒から放出される。更に上記液体の噴射により生成されたHCの一部は触媒を通過してフィルタにより捕集されるけれども、液体調整弁をオンしてるときに空気調整弁をオンして空気噴射ノズルから空気を噴射して、空気過剰率の高い排ガスをフィルタに流入させるので、上記捕集されたHCはフィルタに担持された活性金属の酸化作用により酸化・燃焼される。この結果、フィルタより排ガス下流側の排気管内のHC濃度は低く抑えられるので、大気中へのパティキュレートの排出を抑制できる。
【0036】
またパティキュレートフィルタ入口の排ガスの空気過剰率又はNOx濃度を検出するラムダセンサ又はNOxセンサのいずれか一方又は双方と、温度センサとの各検出出力に基づいてコントローラが液体調整弁を制御すれば、NOxセンサの検出出力により液体調整弁をオンする間隔が決定され、ラムダセンサの検出出力により液体調整弁をオンしている時間が決定され、NOxセンサ及びラムダセンサの各検出出力により空気調整弁をオンして空気噴射ノズルから空気を噴射する時期及び時間が決定される。この結果、液体が最適な時期に最適な量だけ噴射され、かつ空気過剰率の高い排ガスが最適な時期に最適な量だけフィルタに供給されるので、排ガスに含まれるNOx及びパティキュレートの排出量を高効率で低減できるとともに、液体噴射ノズルから排気管に噴射された液体が気化した状態で大気中に排出されるのを防止できる。
更にエンジンがターボ過給機付エンジンであれば、ターボ過給機にて吸気を過給することにより、排ガス中の酸素濃度を高くしたり、煤の排出量を減らすことが可能となるため、NOx吸蔵還元触媒及びパティキュレートフィルタによるNOx及びパティキュレートの低減効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施形態のエンジンの排ガス浄化装置を示す構成図。
【図2】その装置のパティキュレートフィルタの拡大断面図。
【図3】軽油を噴射したときの排ガス中の空気過剰率、NOx濃度及びHC濃度の変化を示す図。
【図4】本発明第2実施形態のエンジンの排ガス浄化装置を示す構成図。
【図5】実施例1、2及び比較例1の排ガス浄化装置によるNOx排出量をそれぞれ示す図。
【図6】実施例1、2及び比較例1の排ガス浄化装置によるパティキュレート排出量をそれぞれ示す図。
【図7】実施例1、2及び比較例1の排ガス浄化装置によるHC排出量をそれぞれ示す図。
【符号の説明】
11 ディーゼルエンジン
13 吸気管
16 排気管
17 ターボ過給機
17a コンプレッサ
17b タービン
24 NOx吸蔵還元触媒
26 パティキュレートフィルタ
29 液体噴射ノズル
32 軽油(炭化水素系液体)
34 液体調整弁
36 ポンプ(炭化水素系液体供給手段)
38 バイパス管
41,42 排ガス調整弁
43 温度センサ
44 コントローラ
45 ラムダセンサ
46 NOxセンサ
71 空気噴射ノズル
73 空気タンク(空気供給手段)
74 空気調整弁

Claims (9)

  1. エンジン(11)の排気管(16)に設けられたNOx吸蔵還元触媒(24)と、
    前記NOx吸蔵還元触媒(24)より排ガス上流側の排気管(16)に設けられ前記NOx吸蔵還元触媒(24)に向けて炭化水素系液体(32)を噴射可能な液体噴射ノズル(29)と、
    前記液体噴射ノズル(29)に液体調整弁(34)を介して前記液体(32)を供給する炭化水素系液体供給手段(36)と、
    前記NOx吸蔵還元触媒(24)より排ガス下流側の排気管(16)に設けられ酸化触媒として機能する活性金属が担持されたパティキュレートフィルタ(26)と、
    一端が前記NOx吸蔵還元触媒(24)より排ガス上流側の排気管(16)に接続され他端が前記NOx吸蔵還元触媒(24)及び前記パティキュレートフィルタ(26)間の排気管(16)に接続され前記NOx吸蔵還元触媒(24)をバイパスするバイパス管(38)と、
    前記エンジン(11)から排出された排ガスを前記NOx吸蔵還元触媒(24)及び前記バイパス管(38)にそれぞれ流す流量を調整する排ガス調整弁(41,42)と、
    前記NOx吸蔵還元触媒(24)より排ガス上流側の排気管(16)内の排ガス温度を検出する温度センサ(43)と、
    前記温度センサ(43)の検出出力に基づいて前記液体調整弁(34)及び前記排ガス調整弁(41,42)をそれぞれ制御するコントローラ(44)と
    を備えたエンジンの排ガス浄化装置であって、
    前記温度センサ (43) が所定値以上の排ガス温度を検出したときに、前記コントローラ (44) が前記排ガス調整弁 (41,42) を調整して大部分の排ガスを前記バイパス管 (38) に流しかつ一部の排ガスを前記NOx吸蔵還元触媒 (24) に流すと同時に、前記液体調整弁 (34) を所定時間だけオンして前記液体噴射ノズル (29) から前記液体 (32) を噴射するように構成されたことを特徴とするエンジンの排ガス浄化装置
  2. NOx吸蔵還元触媒(24)及びパティキュレートフィルタ(26)間の排気管(16)内の排ガスの空気過剰率を検出するラムダセンサ(45)、又は前記NOx吸蔵還元触媒(24)及び前記パティキュレートフィルタ(26)間の排気管(16)内の排ガスのNOx濃度を検出するNOxセンサ(46)のいずれか一方又は双方を更に備え、コントローラ(44)が温度センサ(43)と、前記ラムダセンサ(45)又は前記NOxセンサ(46)のいずれか一方又は双方との各検出出力に基づいて液体調整弁(34)及び排ガス調整弁(41,42)をそれぞれ制御するように構成された請求項1記載のエンジンの排ガス浄化装置。
  3. パティキュレートフィルタより排ガス下流側の排気管内の排ガスの空気過剰率を検出するラムダセンサ、又は前記パティキュレートフィルタより排ガス下流側の排気管内の排ガスのNOx濃度を検出するNOxセンサのいずれか一方又は双方を更に備え、コントローラが温度センサと、前記ラムダセンサ又は前記NOxセンサのいずれか一方又は双方との各検出出力に基づいて液体調整弁及び排ガス調整弁をそれぞれ制御するように構成された請求項1記載のエンジンの排ガス浄化装置。
  4. エンジン(11)の排気管に設けられたNOx吸蔵還元触媒(24)と、
    前記NOx吸蔵還元触媒(24)より排ガス上流側の排気管(16)に設けられ前記NOx吸蔵還元触媒(24)に向けて炭化水素系液体(32)を噴射可能な液体噴射ノズル(29)と、
    前記液体噴射ノズル(29)に液体調整弁(34)を介して前記液体(32)を供給する炭化水素系液体供給手段(36)と、
    前記NOx吸蔵還元触媒(24)より排ガス下流側の排気管(16)に設けられ酸化触媒として機能する活性金属が担持されたパティキュレートフィルタ(26)と、
    前記NOx吸蔵還元触媒(24)及び前記パティキュレートフィルタ(26)間の排気管(16)に設けられ前記パティキュレートフィルタ(26)に向けて空気を噴射可能な空気噴射ノズル(71)と、
    前記空気噴射ノズル(71)に空気調整弁(74)を介して前記空気を供給する空気供給手段(73)と、
    前記NOx吸蔵還元触媒(24)より排ガス上流側の排気管(16)内の排ガス温度を検出する温度センサ(43)と、
    前記温度センサ(43)の検出出力に基づいて前記液体調整弁(34)及び前記空気調整弁(74)をそれぞれ制御するコントローラ(44)と
    を備えたエンジンの排ガス浄化装置であって、
    前記温度センサ (43) が所定値以上の排ガス温度を検出したときに、前記コントローラ (44) が前記液体調整弁 (34) をオンして前記液体噴射ノズル (29) から前記液体 (32) を噴射するとともに、前記液体調整弁 (34) がオンしている間だけ前記空気調整弁 (74) をオンして前記空気噴射ノズル (71) から前記空気を噴射するように構成されたことを特徴とするエンジンの排ガス浄化装置
  5. NOx吸蔵還元触媒(24)及びパティキュレートフィルタ(26)間の排気管(16)内の排ガスの空気過剰率を検出するラムダセンサ(45)、又は前記NOx吸蔵還元触媒(24)及び前記パティキュレートフィルタ(26)間の排気管(16)内の排ガスのNOx濃度を検出するNOxセンサ(46)のいずれか一方又は双方を更に備え、コントローラ(44)が温度センサ(43)と、前記ラムダセンサ(45)又は前記NOxセンサ(46)のいずれか一方又は双方との各検出出力に基づいて液体調整弁(34)及び空気調整弁(74)をそれぞれ制御するように構成された請求項4記載のエンジンの排ガス浄化装置。
  6. パティキュレートフィルタより排ガス下流側の排気管内の排ガスの空気過剰率を検出するラムダセンサ、又は前記パティキュレートフィルタより排ガス下流側の排気管内の排ガスのNOx濃度を検出するNOxセンサのいずれか一方又は双方を更に備え、コントローラが温度センサと、前記ラムダセンサ又は前記NOxセンサのいずれか一方又は双方との各検出出力に基づいて液体調整弁及び空気調整弁をそれぞれ制御するように構成された請求項4記載のエンジンの排ガス浄化装置。
  7. 温度センサ(43)の検出出力に基づいて液体調整弁(34)を開く条件が満たされているときに、コントローラ(44)が前記液体調整弁(34)を0.1〜600秒間毎に0.01〜30秒間だけ開くように構成された請求項1又は4記載のエンジンの排ガス浄化装置。
  8. 温度センサ(43)と、ラムダセンサ(45)又はNOxセンサ(46)のいずれか一方又は双方との各検出出力に基づいて液体調整弁(34)を開く条件が満たされているときに、コントローラ(44)が前記液体調整弁(34)を0.1〜600秒間毎に0.01〜30秒間だけ開くように構成された請求項2、3、5又は6記載のエンジンの排ガス浄化装置。
  9. エンジン(11)がターボ過給機付エンジンであり、
    前記ターボ過給機(17)が、吸気管(13)に設けられ空気を前記エンジン(11)に圧縮して供給可能なコンプレッサ(17a)と、排気管(16)に設けられ前記コンプレッサ(17a)とシャフトを介して連結されかつ前記排気管(16)を流れる排ガスのエネルギにより回転可能なタービン(17b)とを有する請求項1又は4記載のエンジンの排ガス浄化装置。
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