JP4284849B2 - 内燃機関の冷却水温制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用エンジン等の内燃機関に使用する冷却水温制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の内燃機関の冷却水温制御装置400(例えば、特開平3ー185211号公報に開示のもの)は、図5に示すように、エンジン100の冷却水を冷却するラジエータ200の流路210の途中に設けられ、冷却水温に基づいて制御手段によりモータが駆動され、減速手段を介して、ラジエータ流路210とラジエータ200を迂回するバイパス流路300に流す冷却水の流量を可変するバルブを有するものが知られている。減速手段としては、複数のギアを組み合わせたものとしている。
【0003】
これによれば、ラジエータ200に流される冷却水の流量を冷却水温に応じて制御でき、また、冷却水温が高い場合は、バイパス流路300に冷却水が流れるのを抑え、冷却水をすべてラジエータ200に流し、充分な冷却を可能としている。
【0004】
また、この冷却水温制御装置400の本体を実質的な分岐管継手とすることができるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この冷却水温制御装置400は、ラジエータ流路210の途中に設けられており、ラジエータ200の流出側のラジエータ流路210と接続されるバイパス流路300は、長い配管を要することになり、この配管コストを低減するために、冷却水温制御装置400自身をエンジン100に直付けしようとすると、エンジン100の振動負荷により、減速手段のギア間のバックラッシュ部で振動摩耗が進み、耐久性を充分に確保できないという問題が生ずる。
【0006】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、エンジンに直付けしても、振動負荷に対する耐久性を確保できる内燃機関の冷却水温制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0008】
請求項1に記載の発明では、内燃機関(100)の冷却水が循環するラジエータ(200)およびこのラジエータ(200)を迂回するバイパス流路(300)から成る冷却流路内に設けられ、ラジエータ(200)側と接続されるラジエータ流通口(411)、バイパス流路(300)側と接続されるバイパス流通口(412)、内燃機関(100)側と接続される内燃機関流通口(413)が開口するハウジング(410)内に、ラジエータ流通口(411)およびバイパス流通口(412)を開閉するバルブ(420)が収容され、複数のギアから成る減速手段(431)を介して、バルブ(420)を駆動する駆動手段(432)を有する内燃機関の冷却水温制御装置において、減速手段(431)を、ハウジング(410)内で冷却水に浸るように収容し、ハウジング(410)を、内燃機関(100)に当接するように設けたことを特徴としている。
【0009】
これによれば、冷却水の粘性抵抗により、減速手段(431)のギアに対するエンジンからの振動負荷を減衰させ、バックラッシュ部における振動摩耗を抑制し耐久性を向上できるので、エンジン(100)への直付けが可能となる。そしてエンジン(100)との間でバイパス配管を簡便に構成でき安価にできる。
【0010】
また、付随的には、バイパス配管が簡便になった分、配管内の冷却水容量を低減できる。更に、冷却水の潤滑効果によりギア(431)の噛み合い、ギア(431)の支持部等の円滑な作動が得られ、安定したバルブ(420)の開閉が得られるようになる。
【0011】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明に係る内燃機関の冷却水温制御装置を車両走行用の水冷式内燃機関(エンジン)の冷却装置に適用したものであり、図1は冷却装置全体の模式図を示したものである。
【0013】
ラジエータ200は、内燃機関(以下、エンジンと呼ぶ)100内の冷却水を冷却する熱交換器であり、エンジン100との間は冷却水が循環するラジエータ流路210で接続されている。
【0014】
ラジエータ流路210のうち、ラジエータ200の流出口側には、冷却水温制御装置(以下、制御装置と呼ぶ)400が設けられ、エンジン100から流出する冷却水をラジエータ200を迂回させて冷却水を導くバイパス流路300(本実施形態では、エンジンブロック内に形成されたものとしている)が合流するように接続されている。制御装置400は、内部に設けられたロータリーバルブ420(図2)の開度を可変することによって、ラジエータ流路210とバイパス流路300との流量を分配し、冷却水温を制御するものであり、詳細については後述する。
【0015】
制御装置400より冷却水流れ下流側(エンジン100側)には、冷却水を循環させるポンプ500が設けられおり、ポンプ500の下流側は、エンジン100の流入側に接続されている。
【0016】
電子制御装置(以下ECUと呼ぶ。)600は、エンジン100の吸入負圧、回転数等から得られるエンジン負荷信号および冷却流路(ラジエータ流路210およびバイパス流路300)各部の冷却水温の信号を得て、制御装置400を制御するものである。具体的には、エンジン負荷信号から制御すべき目標水温を定め、実際の冷却水温を目標水温に収束させるように、制御装置400のバルブ開度を可変させる。
【0017】
次に、本発明の要部となる制御装置400の構成について、図2、図3を用いて詳細説明する。
【0018】
制御装置400は、ハウジング410、ロータリーバルブ420、減速手段431、ステップモータ432、ポテンショメータ433等から構成されている。
【0019】
ハウジング410は、内部が中空で略円筒状を成すもので、下側部には、ラジエータ流路210と接続されるラジエータポート(ラジエータ流通口)411、バイパス流路300と接続されるバイパスポート(バイパス流通口)412、下面側には、ポンプ500と接続されるポンプポート(内燃機関流通口)413が開口しており、樹脂材により一体で成形されている。バイパスポート412の付根部近傍には、後述するエンジンブロック101とのシール面を構成するために平面部412aが設けられている。また、上壁面418には、外部と連通するエア抜き孔416と、このエア抜き孔416を閉塞するキャップ417が設けられている。
【0020】
そして、ハウジング410内には、樹脂材から成り、円筒上面420aと円筒側面420bとから成る円筒状(コップ状)のロータリバルブ(以下、バルブと呼ぶ)420が、ハウジング410の内壁面と簡易シールを成すように微少隙間をもって回転可能に収容されている。
【0021】
バルブ420の円筒側面420bには、その円筒側面420b内外を連通させる合同形状(本実施形態では、等しい直径寸法を有する円形状)の第1、2バルブポート421、422が形成されており、両バルブポート421、422は、バルブ420の円筒軸に対して約90度ずれている。そして、バルブ420の回転角度位置に応じて、第1バルブポート421とラジエータポート411とが円周方向に互いに連通、閉塞するようにしており、また、第2バルブポート422とバイパスポート412とが円周方向に互いに連通、閉塞するようにしている。また、バルブ420の円筒軸下端側に対応する部位は、円筒内部420cとハウジング410のポンプポート413とが連通するようにしている。更に、円筒上面420aには、ハウジング410内の上側の空間と連通する連通孔423が設けられている。
【0022】
複数枚のギア431からなる減速手段は、ハウジング410内のバルブ420の上側に設けられており、出力ギア431bがバルブ420の回転シャフト424に接続されている。
【0023】
ステップモータ432は、ハウジング410の上壁面418に設けられ、シャフト孔414を通して入力ギア431aと接続されている。そして、ステップモータ432のシャフト部は、内径側に襞状のリップが形成されゴム材より成るオイルシール415によって回転駆動可能に且つ、ハウジング410の内部とのシールが成されるようにしている。
【0024】
ステップモータ432には、シャフトの回転角度、即ちバルブ420の回転角度を検出するポテンショメータ433が設けられており、このポテンショメータ433の検出信号は、ECU600に入力されてるようにしている。
【0025】
そして、この制御装置400は、ゴム材より成るパッキン440、441を介してエンジン100のエンジンブロック101に当接され、図示しないハウジング410の締結部を介してボルトにより締結されている。ハウジング410のラジエータポート411はラジエータ流路210と接続され、バイパスポート412はバイパス流路300と連通し、ポンプポート413はポンプ500に連通するようにしている。
【0026】
上記構成により、制御装置400は、ECU600によりポテンショメータ433の検出信号を踏まえ、ステップモータ432が駆動し、ギア431で回転数が減速され、バルブ420が所定の回転角度位置に回転するように作動する。バルブ420の回転角度位置に応じて、ラジエータポート411の開閉状態は、全閉状態(図3(a))から全開状態(図3(b))の間で可変され、ラジエータ流路210内の流量(以下、ラジエータ流量Vrと呼ぶ)を最小から最大に可変する。また、バイパスポート412の開閉状態は、全開状態(図3(b))から全閉状態(図3(a))の間で可変され、バイパス流路300内の流量(以下、バイパス流量Vbと呼ぶ)を最大から最小に可変する。このように、ラジエータ流量Vrとバイパス流量Vbを分配することで制御装置400は冷却水温を制御する。
【0027】
この時、バルブ420の円筒内部420cに流入する冷却水は、連通孔423を通してギア431が収容される空間に流入し、ギア431は冷却水に浸される。空間内に残存するエアはキャップ417をはずし、エア抜き孔416を開口することで流出させることができ、ギア431は、常に冷却水で浸されるようになる。
【0028】
以上に述べたように、本実施形態によれば、ギア431は、ハウジング410内で常に冷却水で浸されるようにしているので、冷却水の粘性抵抗(所謂、振動に対する制動力)により、ギア431に対するエンジンからの振動負荷を減衰させ、バックラッシュ部における振動摩耗を抑制し、耐久性を向上でき、エンジンへの直付けを可能としている。そしてエンジン100との間でバイパス配管を簡便に構成できるので、安価にすることができる。
【0029】
また、付随的には、バイパス配管が簡便になった分、配管内の冷却水容量を低減できる。更に、冷却水の潤滑効果によりギア431の噛み合い、ギア431の支持部等の円滑な作動が得られ、安定したバルブ420の開閉が得られるようになる。
【0030】
(その他の実施形態)
上記第1実施形態では、制御装置400をラジエータ200の流出側に設けたが、図4に示すようにエンジン100の流出側に設けるようにしてもよい。
【0031】
また、バイパス流路300は、エンジンブロック101内に設けられたものに限らず、エンジン100の外部に設けられたものでも、制御装置400との接続においてはその配管長さは短縮化でき、同様の効果が得られる。
【0032】
尚、ハウジング410、バルブ420は、樹脂材で構成するようにしたが、これに限らず、金属材(例えば、アルミニュウム材)にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を冷却装置に適用した場合の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態の内部構成を示す断面図である。
【図3】図2におけるA−A部の断面図であり、(a)はラジエータポート側のバルブ開度全閉時、(b)はラジエータポート側のバルブ開度全開時を示す。
【図4】その他の実施形態における冷却装置全体の構成を示す模式図である。
【図5】従来技術を冷却装置に適用した場合の全体構成を示す模式図である。
【符号の説明】
100 エンジン(内燃機関)
200 ラジエータ
300 バイパス流路
400 冷却水制御装置
410 ハウジング
411 ラジエータポート(ラジエータ流通口)
412 バイパスポート(バイパス流通口)
413 ポンプポート(内燃機関流通口)
420 ロータリーバルブ(バルブ)
431 複数のギア(減速手段)
432 ステップモータ(駆動手段)

Claims (1)

  1. 内燃機関(100)の冷却水が循環するラジエータ(200)およびこのラジエータ(200)を迂回するバイパス流路(300)から成る冷却流路内に設けられ、
    前記ラジエータ(200)側と接続されるラジエータ流通口(411)、前記バイパス流路(300)側と接続されるバイパス流通口(412)、前記内燃機関(100)側と接続される内燃機関流通口(413)が開口するハウジング(410)と、
    前記ハウジング(410)内に収容され、前記ラジエータ流通口(411)および前記バイパス流通口(412)を開閉するバルブ(420)と、
    複数のギアから成る減速手段(431)を介して、前記バルブ(420)を駆動する駆動手段(432)とを有する内燃機関の冷却水温制御装置において、
    前記減速手段(431)は、前記ハウジング(410)内で冷却水に浸るように収容され、
    前記ハウジング(410)は、前記内燃機関(100)に当接するように設けられたことを特徴とする内燃機関の冷却水温制御装置。
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