JP4284829B2 - 水素ガスの製造方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体性有機物より亜臨界又は超臨界水を用いて水素ガスを製造する方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機物資源から様々な方法で有用なガスを製造する方法が研究され、実用化されている。石炭を例にした場合、ガス化炉を用いて一酸化炭素、水素、メタン及び二酸化炭素を含むガスを精製する技術が広く普及している。この方法では、一酸化炭素が多く発生するとともにガス中に二酸化炭素が含有されるため生成したガスの単位面積当たりの熱量が低くなる。そこで生成ガス中より二酸化炭素を分離する方法として、湿式法により洗浄分離する方法が採用されている。この分離方法により高カロリーのガスが生成される。しかしながら二酸化炭素を高い純度で回収するには更にいくつかの工程が必要である。
【0003】
そこで上記方法の欠点を解決する方法として、アクセプター法と呼ばれる流動層と二酸化炭素吸収剤にCaOを用いたプロセスが提案されている。この方法では湿式法を用いずに高カロリーのガスを生成できるが、CaOに吸収された二酸化炭素が再生段階で燃焼空気により希釈されることと、CaOが再生過程において焼き締まりを起こし、また石炭中の灰成分と反応し、不活性になる問題点があった。
【0004】
このアクセプター法の問題点を解決する方法として、資源環境技術総合研究所より石炭利用CO2回収型水素製造技術が開示されている(「コールジャーナル」No.36、p19〜p22、1999.3)。この製造技術はアクセプター法と同じようなプロセスで原料の処理を高温高圧水中で行うことによりCaOの不活性化を抑制するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、石炭には元来アルミナ、シリカなどの不純物が約10%程度ほど含まれており、前述した製造技術ではこの不純物が再生炉でCaOと化学的に安定な化合物を形成してしまうため、分離工程でCaOの一部が再生できず、不足分をその都度追加供給しなければならない問題があった。
本発明の目的は、生成ガス中の不純物を分離し、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方の再生を容易にし得る水素ガスの製造方法及びその装置を提供することにある。
本発明の別の目的は、二酸化炭素を副産物として高純度で回収する水素ガスの製造方法及びその装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、固体性有機物と水を混合した原料混合物を5〜35MPaの圧力下、200〜650℃の温度で熱分解して油分とガスと残渣と灰と水分を生成する第1熱分解工程と、第1熱分解工程で生成した生成物を油分、ガス及び水分を含む気体成分と残渣及び灰を含む固体成分とに分離する第1分離工程と、第1分離工程で分離した気体成分にアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方を添加混合し混合物を5〜35MPaの圧力下、600〜900℃の温度で反応させて水素ガスを主成分とするガスとアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のいずれか一方又は双方と水分を生成するガス化工程と、ガス化工程で生成した生成物を水素ガスを主成分とするガスからなる気体成分とアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のいずれか一方又は双方からなる固体成分とに分離する第2分離工程とを含む水素ガスの製造方法である。
請求項1に係る発明では、第1熱分解工程で原料混合物を5〜35MPaの圧力下、200〜650℃の温度で熱分解し、次に第1分離工程で生成した生成物を油分、ガス及び水分を含む気体成分と残渣及び灰を含む固体成分とに分離する。ガス化工程で第1分離工程で分離した油分、ガス及び水分を含む気体成分にアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方を添加混合し混合物を5〜35MPaの圧力下、600〜900℃の温度で反応させて水素ガスを主成分とするガスとアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のいずれか一方又は双方と水分を生成し、第2分離工程でガス化工程で生成した生成物を水素ガスを主成分とするガスからなる気体成分とアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のいずれか一方又は双方からなる固体成分とに分離する。この方法では第1分離工程で残渣及び灰に含まれる不純物を除去することにより、ガス化工程で添加されるアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方と不純物とが安定な化合物を形成するのを防ぐことができる。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、第2分離工程で分離した固体成分を0.01〜3MPaの圧力下、600〜1000℃の温度で熱分解してアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方と二酸化炭素を生成する第2熱分解工程と、第2熱分解工程で生成した生成物をアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方と二酸化炭素とに分離する第3分離工程と、第3分離工程で分離したアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方をガス化工程に再利用する再利用工程とを更に含む水素ガスの製造方法である。
請求項2に係る発明では、第2熱分解工程で固体成分を0.01〜3MPaの圧力下、600〜1000℃の温度で熱分解し、第3分離工程でこの生成物をアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方と二酸化炭素とに分離する。再利用工程で分離したアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方をガス化工程に添加混合することにより、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を追加供給する必要がない。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明であって、第1分離工程で分離した固体成分を酸素雰囲気下で燃焼し燃焼熱により第2分離工程で分離した固体成分を熱分解する水素ガスの製造方法である。
請求項3に係る発明では、上記方法により二酸化炭素が希釈されることなく高純度で回収される。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれかに係る発明であって、第1熱分解工程で原料混合物にアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方を添加混合した後、熱分解を行う水素ガスの製造方法である。
請求項4に係る発明では、第1熱分解工程で原料混合物にアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方を添加混合した後、熱分解を行うことにより、生成物中の油分の割合を高めることができる。
【0010】
請求項5に係る発明は、図2に示すように、固体性有機物と水とを混合して原料混合物を調製するミキサー10と、原料混合物を5〜35MPaの圧力下、200〜650℃の温度で熱分解して油分、ガス及び水分を含む気体成分と残渣及び灰を含む固体成分を分離生成する熱分解炉14と、熱分解炉14で生成した油分、ガス及び水分を含む気体成分とアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方の混合物を5〜35MPaの圧力下、600〜900℃の温度で反応させて水素ガスを主成分とするガスとアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のいずれか一方又は双方と水分を生成するガス化炉22と、ガス化炉22で生成した生成物を水素ガスを主成分とするガスからなる気体成分とアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のいずれか一方又は双方からなる固体成分とに分離する分離器40とを備えた水素ガスの製造装置である。
請求項5に係る発明では、このような構造を持つ製造装置を用いることにより二酸化炭素を固体化して回収し、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方をリサイクルできる。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明であって、分離器40で分離した固体成分を0.01〜3MPaの圧力下、600〜1000℃の温度で熱分解してアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方を再生して二酸化炭素を分離生成するロータリキルン53を更に備えた水素ガスの製造装置である。
請求項6に係る発明では、ロータリキルン53で固体成分を還元焙焼してアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方と二酸化炭素を生成することにより高純度の二酸化炭素を回収できる。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明であって、ロータリキルン53の熱源を熱分解炉14で生成した固体成分を酸素雰囲気下で燃焼することにより得られる燃焼熱とする水素ガスの製造装置である。
請求項7に係る発明では、ロータリキルン53の熱源に固体成分の燃焼熱を用いるため外部より熱を供給する必要がなく、効率的である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の固体性有機物は、石炭、減圧蒸留残渣、天然ビチューメン等の重質油、廃プラスチック等の化石資源由来の有機物、バイオマス汚泥などが挙げられる。
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。この実施の形態では固体性有機物が石炭の場合について説明する。
本発明の製造装置は、図2に示すように、石炭と水とアルカリ金属化合物とを混合するミキサー10を有する。この石炭と水との混合割合は、石炭の種類と後続するアルカリ土類金属酸化物の添加割合に依存するが、水/固体の重量比で1〜10程度がよい。アルカリ金属化合物を予め原料混合物に添加することにより熱分解で生成する油分とガスの生成率を増加させることが可能である。アルカリ金属化合物としてはNa、K等のアルカリ金属の炭酸塩又は水酸化物が例として挙げられる。原料が若い石炭であるほどアルカリ金属化合物を多く添加する必要があり、例えば亜瀝青炭であれば、石炭100重量%に対して、アルカリ金属化合物は5〜15重量%であることが好ましい。また、流体に超臨界状態の水を用いることで熱分解後の重合を抑制するため、収率を上げることができる。このミキサー10は管路11、ポンプ12及び管路13を介して熱分解炉14の供給口16に接続される。熱分解炉14は耐熱耐圧製であり両端が封止され少なくとも650℃の温度と35MPaの圧力に耐え得る円筒体に形成される。熱分解炉14の外周部には保温又は加熱のための熱源17が設けられる。熱分解炉14頂部には油分及びガス成分取出口18が、底部には固体成分取出口19が設けられる。油分及びガス成分取出口18は管路21を介してガス化炉22の供給口23に接続される。固体成分取出口19は管路24を介して後述する加熱炉26の供給口27に接続される。
【0014】
ガス化炉22は耐熱耐圧製であり両端が封止され少なくとも900℃の温度と35MPaの圧力に耐え得る円筒体又は管状に形成される。ガス化炉22の外周部には保温又は予熱のためのヒータ28が設けられる。アルカリ土類金属の水和反応熱及びCO2の吸熱による発熱にて温度は維持される。ガス化炉22の一端にはアルカリ土類金属化合物を供給する供給口29が設けられ、他端には生成物を排出する排出口31が設けられる。排出口31は管路32を介して固気分離器36の導入口37に接続される。固気分離器36頂部には水素ガスを主成分とするガスからなる気体成分を取出す取出口38が、底部にはアルカリ土類金属塩からなる固体成分を取出す取出口39がそれぞれ設けられる。
【0015】
固気分離器36の気体成分取出口38は管路41を介して気液分離器42の導入口43に接続される。気液分離器42頂部には水素ガスを主成分とするガスを排出するガス排出口46が、底部には水を排出する水排出口47が設けられる。ガス排出口46は管路44を介して減圧弁33が設けられる。水排出口47は管路48、ポンプ49を介して分岐管51に接続され、分岐管51は一方がミキサー10に、他方が加熱炉26にそれぞれ接続され、リサイクルされる。
【0016】
固体成分取出口39は管路52を介してロータリキルン53の炉心管54の入口側端部に接続される。炉心管54は傾斜を付けて配置されて回転駆動部56を介して図示しない駆動ローラにより回転駆動される。ロータリキルン53の炉心管54の周囲には前述した加熱炉26が設けられる。排出部57には炉心管54の出口側端部が回転可能に接続される。排出部57は上部に二酸化炭素を排出する排気筒57aと、下部にアルカリ土類金属化合物を排出するシュート57bを有する。シュート57bは管路58、ポンプ59、管路61を介して供給口29に接続される。加熱炉26の下部には燃焼用空気を供給するポンプ66が管路67を介して接続される。ガス化炉22に供給するアルカリ土類金属化合物の量が少ない場合には、アルカリ土類金属化合物を管路61より追加供給することができる。管路24には固体成分を圧送するポンプ62が接続される。加熱炉26頂部には廃ガスを排出する廃ガス排出口63が、底部には灰を回収除去する灰回収口64が設けられる。
【0017】
このように構成された製造装置による反応を固体性有機物として石炭を用いた場合について図1に基づいて説明する。
まず原料混合物を第1熱分解工程で油分とガスと残渣と灰と水分とに熱分解する。第1熱分解工程の反応条件は200〜650℃の温度でかつ5〜35MPaの圧力である。好ましい反応条件は石炭の種類によって異なるが、褐炭、亜瀝青炭の場合には450〜650℃、5〜22MPaである。200℃未満では熱分解反応が不十分であり、650℃以上又は35MPa以上になると熱分解炉に負担がかかり過ぎるようになる。
第1熱分解工程で生成した生成物は第1分離工程において油分、ガス及び水分を含む気体成分と残渣及び灰を含む固体成分とに分離される。分離された油分、ガス及び水分からなる気体成分は、二酸化炭素吸収剤で触媒効果も期待できるアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方と一緒にガス化工程に供給される。アルカリ土類金属化合物としてはMg、Caなどのアルカリ土類金属の酸化物或いは水酸化物が、また、アルカリ金属化合物としてはNa、K等の水酸化物、炭酸塩が例として挙げられる。特にCaOは安価であり、水との発熱反応が利用できるため本発明のアルカリ土類金属化合物として最適である。なお、図1ではアルカリ土類金属化合物としてアルカリ土類金属酸化物を用いている。ガス化工程での反応は以下のように考えられる。
【0018】
C + H2O → CO + H2 …… (1)
CO + H2O → CO2 + H2 …… (2)
CO2 + MO → MCO3 …… (3)
式(1)〜(3)の総括反応は
C + 2H2O + MO → MCO3 + 2H2 …… (4)
となる。
ここでMはMg、Ca等のアルカリ土類金属を示す。
【0019】
超臨界水中で石炭の分解反応が進むとともに、生成したCO2が吸収剤でMCO3として固定される。それにより上記式(4)の反応式の右側に進む反応が促進され、最終生成物としてMCO3(固体)とH2が得られる。ガス化工程での反応条件は600〜900℃の温度でかつ5〜35MPaの圧力である。好ましい反応条件は石炭の種類によって異なるが、褐炭、亜瀝青炭の場合には700〜900℃、5〜25MPaである。600℃未満又は5MPa未満ではガス化反応が不十分であるか、二酸化炭素がアルカリ土類金属化合物に充分に固定化されないおそれがある。900℃以上又は35MPa以上になると反応器に負担がかかり過ぎるようになる。
【0020】
ガス化工程で生成した二酸化炭素は、式(4)に示すように、二酸化炭素吸収剤であるアルカリ土類金属化合物に固定化されアルカリ土類金属塩となる。生成した水素ガスを主成分とするガス、水分及びアルカリ土類金属塩を第2分離工程で生成ガス、水、固体にそれぞれ分離する。分離された生成ガスは水素に富んだガスとなる。第2分離工程ではまず水素ガスを主成分とするガス及び水分をアルカリ土類金属塩から分離する。この分離には固気分離器が用いられる。分離方式としてはサイクロンやフィルターなどが例示される。分離した気体成分を水素ガスを主成分とするガスと水分とに気液分離器を用いて分離する。分離された水素ガスを主成分とするガスは製品として回収され、水は再利用され原料混合物に供給される。
【0021】
アルカリ土類金属塩は第2熱分解工程に供給されアルカリ土類金属化合物と二酸化炭素とに熱分解される。第2熱分解工程の加熱炉では、前述した第1熱分解工程で得られた残渣を例えば、流動焙焼炉で空気によって燃焼させる。ここに配管(炉心管)を通し、二酸化炭素を吸収したアルカリ土類金属塩を流通させ下記式(5)に示す反応により熱分解させる。
【0022】
MCO3 → MO + CO2 …… (5)
加熱炉に通した炉心管は、ロータリキルンのように回転型とすることが考えられる。この炉心管の中で、ガス化工程で発生したCO2は高純度のガスとして発生し、またアルカリ土類金属化合物は完全に活性な状態に再生される。第2熱分解工程において、生成した油分及びガスには石炭中に含まれる固体性不純物が移行する割合は極めて少ないので、従来の方法と異なり、石炭中の灰がアルカリ土類金属化合物を再生する工程に混入しないため、再生後の活性状態は炉心管を通した後でも、初期投入したアルカリ土類金属化合物と同じように継続する。第2熱分解工程における加熱炉の温度は600〜1000℃、圧力は0.01〜3MPa程度がよい。好ましい反応条件は700〜900℃、圧力は0.1〜1MPa程度である。600℃未満で3MPa以上ではアルカリ土類金属塩が充分に熱分解しないおそれがある。1000℃以上で3MPa以上になると反応器に負担がかかり過ぎるようになる。加熱炉で発生したガスは、残渣中の炭素の燃焼による二酸化炭素、燃焼空気に含まれる窒素からなり、余剰の熱は熱回収するか或いはガス化工程の余熱に利用できる。
【0023】
第2熱分解工程で熱分解されたアルカリ土類金属塩と二酸化炭素は第3分離工程で分離される。この工程では固気分離器によりそれぞれを分離する。分離された二酸化炭素は回収され、再生されたアルカリ土類金属化合物はガス化工程にリサイクルされる。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明では固体性有機物と水を混合した原料混合物を5〜35MPaの圧力下、200〜650℃の温度で熱分解して油分とガスと残渣と灰と水分を生成する第1熱分解工程と、生成した生成物を油分、ガス及び水分を含む気体成分と残渣及び灰を含む固体成分とに分離する第1分離工程と、分離した気体成分にアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方を添加混合し混合物を5〜35MPaの圧力下、600〜900℃の温度で反応させて水素ガスを主成分とするガスとアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のいずれか一方又は双方と水分を生成するガス化工程と、生成した生成物を水素ガスを主成分とするガスからなる気体成分とアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のいずれか一方又は双方からなる固体成分とに分離する第2分離工程とからなり、ガス化工程でアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方を添加混合する前に残渣及び灰を分離するため、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方を容易に再生してリサイクルすることができる。また、高純度の二酸化炭素を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の水素ガスの製造工程を示す図。
【図2】本実施の形態における水素ガスの製造装置の構成図。
【符号の説明】
10 ミキサー
14 熱分解炉
22 ガス化炉
40 分離器
53 ロータリキルン

Claims (7)

  1. 固体性有機物と水を混合した原料混合物を5〜35MPaの圧力下、200〜650℃の温度で熱分解して油分とガスと残渣と灰と水分を生成する第1熱分解工程と、
    前記第1熱分解工程で生成した生成物を油分、ガス及び水分を含む気体成分と残渣及び灰を含む固体成分とに分離する第1分離工程と、
    前記第1分離工程で分離した気体成分にアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方を添加混合し前記混合物を5〜35MPaの圧力下、600〜900℃の温度で反応させて水素ガスを主成分とするガスとアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のいずれか一方又は双方と水分を生成するガス化工程と、
    前記ガス化工程で生成した生成物を水素ガスを主成分とするガスからなる気体成分とアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のいずれか一方又は双方からなる固体成分とに分離する第2分離工程と
    を含む水素ガスの製造方法。
  2. 第2分離工程で分離した固体成分を0.01〜3MPaの圧力下、600〜1000℃の温度で熱分解してアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方と二酸化炭素を生成する第2熱分解工程と、
    前記第2熱分解工程で生成した生成物をアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方と二酸化炭素とに分離する第3分離工程と、前記第3分離工程で分離したアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方をガス化工程に再利用する再利用工程と
    を更に含む請求項1記載の水素ガスの製造方法。
  3. 第1分離工程で分離した固体成分を酸素雰囲気下で燃焼し前記燃焼熱により第2分離工程で分離した固体成分を熱分解する請求項2記載の水素ガスの製造方法。
  4. 第1熱分解工程で原料混合物にアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方を添加混合した後、熱分解を行う請求項1ないし3いずれか記載の水素ガスの製造方法。
  5. 固体性有機物と水とを混合して原料混合物を調製するミキサー(10)と、
    前記原料混合物を5〜35MPaの圧力下、200〜650℃の温度で熱分解して油分、ガス及び水分を含む気体成分と残渣及び灰を含む固体成分を分離生成する熱分解炉(14)と、
    前記熱分解炉(14)で生成した前記油分、ガス及び水分を含む気体成分とアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方の混合物を5〜35MPaの圧力下、600〜900℃の温度で反応させて水素ガスを主成分とするガスとアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のいずれか一方又は双方と水分を生成するガス化炉(22)と、
    前記ガス化炉(22)で生成した生成物を水素ガスを主成分とするガスからなる気体成分とアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のいずれか一方又は双方からなる固体成分とに分離する分離器(40)と
    を備えた水素ガスの製造装置。
  6. 分離器(40)で分離した固体成分を0.01〜3MPaの圧力下、600〜1000℃の温度で熱分解してアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のいずれか一方又は双方を再生して、二酸化炭素を分離生成するロータリキルン(53)を更に備えた請求項5記載の水素ガスの製造装置。
  7. ロータリキルン(53)の熱源を熱分解炉(14)で生成した固体成分を酸素雰囲気下で燃焼することにより得られる燃焼熱とする請求項6記載の水素ガスの製造装置。
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