JP4284805B2 - 燃料電池用膜及びそれを使用した燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池用膜及びそれを使用した燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題のクローズアップとともに新エネルギー技術が社会の脚光を浴びるようになってきた。燃料電池技術は、これら新エネルギー技術の柱の一つとして数えられており、将来、最も重要なテクノロジーの一つになるものと期待されている。なかでも電解質にプロトン伝導性の高分子を用いた固体高分子型燃料電池(PEFC又はPEMFC)は、低温における作動、小型軽量化が可能等の特徴から、自動車等の移動体及び携帯型への適用が検討されている。特に、PEFCを搭載した燃料電池自動車は究極のエコロジーカーとして社会的な関心が高い。
【0003】
PEFC用高分子電解質としては、例えばパーフルオロ系高分子であるナフィオン(Nafion,デュポン社の登録商標。以下同様)が知られている。しかし、ナフィオンはフッ素系のポリマーであるため非常に高価であると同時に、燃料電池として使用する際には、低保水性のために水分管理を充分に行う必要がある。上記課題を改善するため、薄膜化の検討等も行われているが、膜強度やガス遮断性等の点で問題があり、充分な技術確立がなされていないのが現状である。又、含フッ素化合物は、合成時及び廃棄時に環境への配慮も必要になってくる。このような背景から、新規プロトン伝導性膜が市場から望まれていた。
【0004】
非フッ素系ポリマーをベースとした高分子プロトン伝導体についても既にいくつかの取り組みがなされている。1950年代には、スチレン系の陽イオン交換樹脂が検討されたが、従来検討されたものは、燃料電池の動作環境下において、充分な安定性がないため、充分な電池寿命を得るには至らなかった。
【0005】
又、耐熱芳香族ポリマーであるPEEK(ポリエーテルエーテルケトンの略)(特開平6−93114号公報)やPPBP(ポリフェノキシベンゾフェノン)をスルホン化した材料(燃料及び燃焼,63(10) P.14(1996).)が開発されている。しかしながら、特許に示されているスルホン化PEEKの燃料電池としての性能は充分なものではない。これはスルホン化PEEKのプロトン伝導性が低いためと考えられる。又、スルホン化PPBPについては、燃料電池のイオン交換膜として適用された実例は未だ発表されておらず、又、PPBPは工業的に生産されていないことから、燃料電池用材料として大量に使用することができない。
【0006】
一方、特表平10−503788において、安価で、機械的、化学的に安定なイオン伝導膜として、SEBS(スチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレンの略)のスルホン化体からなるイオン伝導膜が提案されている。しかしながら、化学的安定性、特に耐酸化性が充分でなく、その運転可能時間は限定される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安価で化学的安定性が優れた燃料電池用膜及びそれを使用した燃料電池を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明の燃料電池用膜は、イソブチレン及び芳香族ビニル系化合物を主成分とし、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)−イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)−芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)から形成されるトリブロック共重合体であって、ブロックの含有比率が、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)が90から50重量%、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)が10から50重量%の範囲であり、スルホン酸基が芳香族ビニル系化合物ユニットに導入された、イソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体からなる燃料電池用膜であり、前記芳香族ビニル系化合物は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレン誘導体及びインデン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種からなるものが好ましい。
【0009】
また、前記イソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体のイオン交換容量は、0.50meq/g以上であるのが好ましい。
【0010】
一方、本発明の燃料電池は、上記したイソブチレン及び芳香族ビニル系化合物を主成分とするイソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体からなる燃料電池用膜を用いた燃料電池である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の燃料電池用膜は、イソブチレン及び芳香族ビニル系化合物を主成分としてなるイソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体からなる燃料電池用膜である。
【0012】
本発明の燃料電池用膜に用いるスルホン化体は、スルホン酸基(−SO3H)が、前記イソブチレン系ブロック共重合体の芳香族ビニル系化合物ユニットに導入されたものである。スルホン化は、芳香族系化合物の公知のスルホン化の方法で行える。このような方法としては、イソブチレン系ブロック共重合体の有機溶媒溶液や縣濁液を調製し、スルホン化剤を添加、混合する方法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
本発明で使用するスルホン化剤としては、硫酸、硫酸と脂肪族酸無水物との混合物系、クロロスルホン酸、クロロスルホン酸と塩化トリメチルシリルとの混合物系、三酸化硫黄、三酸化硫黄とトリエチルホスフェート、更に2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸に代表される芳香族有機スルホン酸等が例示できる。又、使用する有機溶媒としては、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ヘキサン等の直鎖式脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類等が例示でき、必要に応じて複数の組合せから、適宜選択して使用しても良い。
【0014】
本発明のイソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体からなる燃料電池用膜は、充分なプロトン伝導性や化学的安定性を有し、又、パーフルオロ系高分子を使用した膜材料との比較しても、安価な炭化水素系材料を主成分とするため、コストメリットが大く、環境負荷の観点からも好適である。
【0015】
本発明で用いられるイソブチレン系ブロック共重合体は、例えば、下記一般式(1)で表される重合開始剤の存在下に、イソブチレンを主体とする単量体成分(a)と、芳香族ビニル系化合物を主体とする単量体成分(b)とを反応させることにより、製造されたものであることが、構造を制御でき、好ましい。
(CR12X)nR3 (I)
(式中、R1,R2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表す。R3は、1価もしくは多価芳香族炭化水素基又は1価もしくは多価脂肪族炭化水素基を表す。Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシル基、又は、炭素数1〜6のアシロキシル基を表す。nは、1〜6の整数を表す。Xが複数存在するとき、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
本発明の燃料電池用膜のスルホン化体に使用するイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法としては、US4,946,899や特開平7−59601、特開平11−189630に開示されている公知の方法が挙げられる。具体的には、所定の重合開始剤の存在下において、一定範囲のドナー数を有する電子供与体を重合系に加え、イソブチレンの重合を行い、スチレンを添加し、イソブチレン系ブロック共重合体を得る方法や、安定剤としてアミンの存在下で重合を行う方法でイソブチレン系ブロック共重合体を得る方法が例示できる。
【0016】
前記した一般式(I)で表わされる重合開始剤の具体例としては、以下に示すような化合物等が例示できる。
(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン:
[C65C(CH32Cl]
1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン:
[1,4−Cl(CH32CC64C(CH32Cl]
1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン:
[1,3−Cl(CH32CC64C(CH32Cl]
1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン:
[1,3,5−(ClC(CH32363]:
1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン:[1,3−(C(CH32Cl)2-5−(C(CH33)C63
これらの中でも特に好ましいのは、ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン:[C64(C(CH32Cl)2]である。
【0017】
本発明で用いられるイソブチレン系ブロック共重合体は、イソブチレン及び芳香族ビニル系化合物主成分としてなるものが使用可能であるが、燃料電池用膜として充分な性能を発現せしめるためには、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)と、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)の構造を制御したものを使用するのが好ましく、例えば下記(イ)〜(ニ)に示したものが使用できる。
(イ):(a)−(b)−(a)から形成されるトリブロック共重合体
(ロ):(b)−(a)−(b)から形成されるトリブロック共重合体
(ハ):(a)−(b)から形成されるジブロック共重合体
(ニ):(a)−(b)から形成されるマルチブロック共重合体
本発明のイソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体を燃料電池用膜に使用するためには、スルホン酸基からなるイオン交換基の含有量が非常に重要である。従って、イオン交換基が導入される芳香族ビニル系化合物ユニットの量が少ないと、充分なイオン交換基の量を得ることができない。
【0018】
イソブチレン系ブロック共重合体中における、ブロックの含有比率は、(a)が90から50重量%、(b)が10から50重量%の範囲であることが好ましい。
【0019】
(b)の量が10重量%未満の場合は、充分な性能を発現しうるイオン交換容量を有するスルホン体を得ることが困難な傾向にある。逆に(b)の量が50重量%を越える場合は、膜が硬くなるため、ハンドリング性が低下する傾向にあり、好ましくない。
【0020】
また、燃料電池用膜としたときの物理的強度やハンドリング性を考慮すると、イソブチレン系ブロック共重合体の数平均分子量が、30,000〜500,000であることが好ましく、前記範囲外の数平均分子量であった場合は、燃料電池用膜としたときにもろい、或いは割れやすい等のハンドリング上に支障が生じたり、極端な場合には、膜形状のものに加工するのが困難になることがあり、好ましくない。
【0021】
さらに、本発明の燃料電池用膜に用いられるイソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体は、イオン交換容量が0.50meq/g以上であることが好ましい。イオン交換容量が上記範囲よりも低い場合には、充分なプロトン伝導率を示さず、燃料電池用膜として所望の性能が劣る傾向にある。
【0022】
本発明のイソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体からなる燃料電池用膜は、その膜厚が10〜200μm程度であることが好ましい。膜厚が10μm未満である場合には、膜の機械的強度や、ガスの遮断性が不充分となる傾向がある。
逆に、膜厚が200μmを越えて厚い場合には、膜抵抗が大きくなり、充分なプロトン伝導性が発現しないため、電池の発現特性が低くなる傾向にある。
【0023】
膜の製造方法としては、イソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体を適切な溶媒に溶解せしめ、ガラス等の板状体にキャストし、適切な条件で溶媒を除去することによって、10〜200μm程度のキャスト膜を得る方法や、その他の熱プレス成形、ロール成形、押し出し成形等の公知の方法を用いて加工することも可能である。
【0024】
このとき使用する溶媒は、イソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体の構造を破壊することなく、キャスト可能な程度の粘度のキャスト溶液を調製することが可能なものであれば特に限定されない。具体的には、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン等のベンゼン類、ヘキサン等の直鎖式脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類等が例示できるが、イソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体の構成、分子量、更にイオン交換容量等に応じて、上記に例示した溶媒の1種又は複数の組合せから、適宜選択し、使用することができる。
【0025】
また、溶媒除去の条件は、本発明のイソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体が脱スルホンする温度以下で、溶媒が完全に除去できる条件であれば任意に選択することが可能である。所望の物性を発現させるため、複数の温度を任意に組み合わせたり、通風気下と真空下等を任意に組み合わせても良い。具体的には、室温〜60℃程度の真空条件下で、数時間予備乾燥した後、100℃以上の真空条件下、好ましくは100〜120℃で12時間程度の乾燥条件で溶媒を除去する方法等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
上述した本発明の燃料電池用膜は、燃料ガスとして水素を使用した純水素型、メタノールを改質して得られる水素を使用したメタノール改質型、天然ガスを改質して得られる水素を使用した天然ガス改質型、ガソリンを改質して得られる水素を使用したガソリン改質型、メタノールを直接使用する直接メタノール型等の固体高分子型燃料電池用膜として使用可能である。
【0027】
上記の方法で得られた燃料電池用膜を使用した燃料電池は、化学的安定性が優れ、経時的な発電特性の低下が少なく、長時間使用でき、好ましい。
【0028】
以下、本発明の燃料電池用膜を使用した燃料電池について、図面を引用しつつ説明する。
【0029】
図1に本発明の燃料電池用膜を使用した燃料電池の要部断面図を示した。本発明の燃料電池用膜(1)と、上記膜に接触する第1及び第2触媒担持ガス拡散電極(2)、燃料ガス又は液体ならびに酸化剤を送り込む流路(3)、の構成よりなるものが例示できる。燃料電池用膜(1)に、触媒担持ガス拡散電極(2)を接合する方法は、例えば、パーフルオロ系高分子を使用した燃料電池用膜で行われる公知の方法を用いることができる。具体的には、市販のガス拡散電極(米国E−TEK社ガス社製、等)を用いる方法が例示できるが、これに限定されるものではない。実際の方法としては、本発明の燃料電池用膜(1)の両面に、パーフルオロ系高分子のアルコール溶液や、本発明のスルホン化体の有機溶媒溶液等をバインダーとして、触媒担持ガス拡散電極(2)の触媒層側の面を合わせ、ホットプレス機やロールプレス機等のプレス機を使用して、一般的には120〜250℃程度のプレス温度で接合できる。又、別途下記に示すような材料を使用してガス拡散電極(2)を調製し、燃料電池用膜(1)に接合させて使用しても構わない。ここで、ガス拡散電極(2)を調製するのに使用する材料としては、触媒として、燃料の酸化反応及び酸素の還元反応を促進する、白金、ルテニウム等の金属あるいはそれらの合金、導電材として、微粒子の炭素材料等の導電性物質等、結着剤として、撥水性を有する含フッ素樹脂等、必要に応じて、上記材料の支持体として、カーボンペーパー等、更に、含浸・被覆材として、パーフルオロ系高分子や、スルホン化SEBSや本発明の燃料電池用膜に代表される、スルホン化芳香族系高分子化合物等が例示できるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
上記のような方法で得られた燃料電池用膜(1)と、触媒担持ガス拡散電極(2)の接合体を、燃料ガス又は液体、並びに、酸化剤を送り込む流路(3)が形成された一対のグラファイト製ガスセパレーター(4)等の間に挿入することにより、請求項4記載の本発明の燃料電池が得られる。これに燃料ガス又は液体として、水素を主たる成分とするガスや、メタノールを主たる成分とするガス又は液体を、酸化剤として、酸素を含むガス(酸素あるいは空気)を、それぞれ別個の流路(3)より、ガス拡散電極(2)に供給することにより、本発明の燃料電池は作動する。
【0031】
本発明の燃料電池を単独で、あるいは複数積層して、スタックを形成し、使用することや、それらを組み込んだ燃料電池システムも本発明の範疇であることを付記しておく。
【0032】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更実施可能である。
・イオン交換容量の測定方法:試験体を塩化ナトリウム飽和水溶液に浸析し、ウォーターバス中で90℃、3時間反応させる。室温まで冷却した後、サンプルをイオン交換水で充分に洗浄し、フェノールフタレイン溶液を指示薬として、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、イオン交換容量を算出する。
・フェントン反応:28.5mgの硫酸アンモニウム鉄(II)・6水和物を3%過酸化水素水1Lに溶解させ、フェントン試薬を調整する。フェントン試薬の温度がウォーターバス中で68℃で一定になったことを確認して、試験体を添加し、8時間反応させる。室温まで冷却後、フェントン試薬が完全に除かれるまで、イオン交換水で洗浄する。
・プロトン伝導度:イオン交換水中に保管した試験体を取り出し、試験体表面の水をろ紙で拭き取る。電極面積2.0cm2の白金電極間に試験体を装着し、2極密閉系のセルに設置した後、室温下で電圧0.5Vの条件で、交流インピーダンス法(周波数:42Hz〜5MHz)により、試験体の膜抵抗を測定し、プロトン伝導度を算出した。
【0033】
(比較例1)
dais Co.より入手したスルホン化SEBSを主たる成分とする燃料電池用膜を比較対象として、プロトン伝導度、フェントン反応の前後のイオン交換容量の測定(イオン交換容量減少率の算出)を実施した。結果を表1に示した。
【0034】
(実施例1)
以下の方法に従って、イソブチレン系ブロック共重合体を合成した。
500mLのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)120mL及び塩化メチレン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)80mL、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン(DCCと略す)0.0876g(0.38mmol)を加えた。重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、α−ピコリン0.071g(0.76mmol)を加えた。次に、イソブチレンモノマー33.9mL(419.9mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。更に四塩化チタン1.50mL(13.7mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から1時間同じ温度で撹拌を行った後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、あらかじめ−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー12.15g(116.7mmol)、n−ヘキサン12mL及び塩化メチレン8mLの混合溶液を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから10分後に約10mLのメタノールを加えて反応を終了させた。
【0035】
反応溶液から溶剤等を留去した後、トルエンに溶解し2回水洗を行った。さらにトルエン溶液を多量のメタノールに加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のイソブチレン系ブロック共重合体(スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体、数平均分子量Mn104,000、スチレン含有量:30重量%)を得た。
【0036】
500mLのセパラブルフラスコにイソブチレン系ブロック共重合体10gを入れ、更にジクロロエタン50g及びシクロヘキサン50gを加え、イソブチレン系ブロック共重合体が完全に溶解するまで室温で撹拌した。
【0037】
別途、100mLのナス型フラスコにジクロロメタンを23.7mL入れ、無水酢酸4.95gを加え、ナス型フラスコを氷冷し、10℃以下に維持しながら、更に硫酸1.68gを加えて、均一になるまで撹拌した。その後、氷冷を停止して、室温になるまで放置し、30mLのスルホン化剤の溶液を得た。
【0038】
前記イソブチレン系ブロック共重合体の溶液を室温で撹拌しながら、滴下漏斗で上記スルホン化剤の溶液を28.5mL徐々に滴下し、滴下完了後、窒素気流下で60℃、2時間撹拌し、若干黄色を呈した均一な溶液を得た。
【0039】
この溶液にメタノール5mLを加え、反応を停止させた後、減圧下でメタノール及び反応溶媒を留去した。こうして得られた反応混合物(反応生成物及び留去できなかった反応溶媒)を1Lの水へ加え、ゴム状物を得た。
【0040】
上記ゴム状物を単離し、シクロヘキサンに分散させて、一夜静置し、ゴム状物中に混在する反応溶媒を除去した後、吸引ろ過した。更に、回収したゴム状物をエタノール中で、一夜静置し、吸引ろ過した後、50℃の真空オーブン中で乾燥を行い、反応生成物(イソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体)を得た。
【0041】
更に、このイソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体の15重量%のトルエン溶液を調製し、ガラス板上に500μmの厚みでキャストし、50℃、2時間及び120℃、14時間真空乾燥して、厚さ70μmの燃料電池用膜を得た。
【0042】
この燃料電池用膜のプロトン伝導度、フェントン反応の前後のイオン交換容量の測定(イオン交換容量減少率の算出)を実施した。結果を表1に示した。
【0043】
【表1】
Figure 0004284805
【0044】
(実施例2)
300mLのセパラブルフラスコにイソブチレン系ブロック共重合体10gを入れ、更に塩化メチレン100gを加え、イソブチレン系ブロック共重合体が完全に溶解するまで室温で撹拌した。
【0045】
上記イソブチレン系ブロック共重合体溶液に、滴下漏斗で塩化トリメチルシリル3.42gを徐々に添加した。更にクロロスルホン酸3.33gを徐々に添加した。このとき、溶液は沈澱を生成して、黄色になった。
【0046】
上記溶液を40℃、3時間撹拌し、均一なオレンジ色の溶液を得た。これに水酸化ナトリウムの25重量%メタノール溶液を12mL添加し、反応生成物の沈殿物を得た。この反応生成物を吸引ろ過して回収し、イオン交換水で洗浄し、反応生成物を回収した。
【0047】
上記反応生成物を、1.5N硫酸溶液を190mL中で、3時間、煮沸しながら撹拌した。撹拌後、反応生成物を回収し、イオン交換水で4回、メタノールで1回洗浄した後、70℃のオーブンで2時間、50℃の真空オーブンで2時間乾燥し、反応生成物(イソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体)を得た。
【0048】
このイソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体のイオン交換容量を測定した結果、0.81meq/gの値を示した。
【0049】
表1の比較例1と実施例1の結果の比較から、本発明のイソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体からなる燃料電池用膜は、従来の燃料電池用膜と同等のプロトン伝導度を示し、燃料電池用膜として充分なプロトン伝導度を示すことが明らかとなった。又、フェントン反応によるイオン交換容量の減少率が、従来のSEBSのスルホン化体よりも著しく抑制されており、従来のものと比較して、主鎖骨格部分に不飽和部分がないことによる主鎖部分の化学安定性の有意差だけでなく、新たに導入されたスルホン酸基部分についても化学的安定性、特に耐酸化性が向上していることが明らかとなり、本発明の有用性が示された。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、イソブチレン及び芳香族ビニル系化合物を主成分とするイソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体からなる燃料電池用膜により、安価で化学的安定性の高い燃料電池用膜を提供することができる。
【0051】
また、それを使用した燃料電池用膜及び燃料電池は、純水素型、改質メタノール型、直接メタノール型等の固体高分子型燃料電池用膜及び燃料電池として有用なものが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池の要部断面図
【符号の説明】
1 燃料電池用膜
2 ガス拡散電極
3 流路
4 セパレーター
5 ガスケット

Claims (4)

  1. イソブチレン及び芳香族ビニル系化合物を主成分とし、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)−イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)−芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)から形成されるトリブロック共重合体であって、ブロックの含有比率が、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)が90から50重量%、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)が10から50重量%の範囲であり、スルホン酸基が芳香族ビニル系化合物ユニットに導入された、イソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体からなる燃料電池用膜。
  2. 芳香族ビニル系化合物は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレン誘導体及びインデン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種からなるものである請求項1記載の燃料電池用膜。
  3. イソブチレン系ブロック共重合体のスルホン化体のイオン交換容量が、0.50meq/g以上である請求項1又は2記載の燃料電池用膜。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池用膜を使用した燃料電池。
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