半導体装置の微細化に伴い、ゲート酸化膜が薄膜化され、その結果、ゲート電極となるポリシリコン膜のドライエッチングでは、ゲート酸化膜が露出する前にエッチングの終点を検出することが必要となっている。このため、例えば特許文献1に示されるような、干渉光を用いた終点検出方法により、ゲート酸化膜が露出する前にエッチングの終点を検出している。
まず、従来の終点検出方法が適用されたエッチング装置について図15を参照しながら説明する。
図15に示すエッチング装置は、処理室10と、処理室10の底面に配置され且つ半導体基板11を設置する試料台となる下部電極12と、下部電極12の上方に所定の間隔を置いて設置された上部天板13とを備えている。上部天板13の上にはコイル14が設置されている。処理室10には、ガス供給部(図示省略)と、真空排気装置(図示省略)が接続されたガス排出部15とが設けられている。下部電極12及びコイル14にはそれぞれ、マッチングボックス(図示省略)を介して高周波電源16が接続されており、高周波電源16から下部電極12及びコイル14に電力が印加されることによって半導体基板11のエッチングが行なわれる。
また、図15に示すように、上部天板13には窓部材17が装着されていると共に、窓部材17の上方には、光源18からの光を半導体基板11に照射し且つ半導体基板11上で反射した反射光の収集を行なう受光発光装置19が設置されている。光源18と受光発光装置19とは光ファイバー20を介して接続されていると共に、光ファイバー20を介して、受光発光装置19と分光器21、及び分光器21と終点検出装置22とがそれぞれ接続されている。さらに、終点検出装置22は、エッチング装置の制御部23と接続されている。終点検出装置22から制御部23に終点検出信号24が送信されると、制御部23は、エッチングを終了させるため、高周波電源16に電力の印加を停止させる信号25を送信する。
次に、従来の終点検出方法について図15及び図16(a)、(b)を参照しながら説明する。
図15及び図16(a)に示すように、光源(光源18)からの光は、Si基板(半導体基板11)の表面に対して垂直に照射される。但し、Si基板上には、ゲート酸化膜を介してポリシリコン膜が形成されている。光源からの照射光の一部分はポリシリコン膜上で反射される一方、該照射光の他の部分はポリシリコン膜を透過して、ゲート酸化膜とポリシリコン膜との界面で反射される。これらの反射光は互いに干渉し合って干渉光を形成し、該干渉光は、上部天板13中の窓部材17、装置19、光ファイバー20及び分光器21を経由して終点検出装置22に回収される。ここで、干渉光の波形(干渉光の強度の時間変化)は、ポリシリコン膜の残存膜厚によって変化するため、干渉光の波形をモニタリングすることにより、ポリシリコン膜の残存膜厚が所望の値になった時点、つまりエッチングの終点を検出できる。
尚、図16(a)において、光源からの照射光の経路、及びポリシリコン膜等からの反射光の経路をそれぞれ便宜的に傾斜させて図示している。
次に、図16(a)、(b)を参照しながら、エッチング中のポリシリコン膜の残存膜厚dと、干渉光との関係について説明する。
図16(a)に示すように、ポリシリコン膜からの反射光と、ゲート酸化膜/ポリシリコン膜界面からの反射光との間には経路差(2d)があるため、光源からの光が基板に対して垂直に照射される場合には、この経路差2dがそのまま2つの反射光同士の間の位相差となって干渉光が発生する。従って、図16(b)に示すように、この位相差が、ポリシリコン膜中における反射光の波長の整数倍であるときに干渉光の強度が最も弱くなる。また、この位相差が、ポリシリコン膜中における反射光の波長の整数倍から半波長ずれたときに干渉光の強度は最も強くなる。すなわち、エッチング量の増大(エッチング時間の増大)に伴って、干渉光の強度は周期的に変化し、その波形は基本的に正弦波となる。
ところで、ポリシリコン膜の残存膜厚dと干渉光との関係は次の式(1)〜(3)のように表される。
干渉光の強度=A2 +B2 +2AB×cos(a−b)・・・(1)
位相差(a−b)=2πn×(2d/λ) ・・・(2)
残存膜厚d =d0 −Rt ・・・(3)
ここで、A、Bは各反射光の振幅、a、bは各反射光の初期位相、nは整数、dはポリシリコン膜の残存膜厚、d0 はポリシリコン膜の初期膜厚、Rはポリシリコン膜のエッチングレート、tはエッチング時間、λは光の波長である。
以下、従来の半導体装置の製造方法、具体的には従来のゲート電極の形成方法について図17(a)〜(c)の工程断面図を参照しながら説明する。
まず、図17(a)に示すように、素子分離31が形成された半導体基板30上に、熱酸化等によりゲート酸化膜32を形成した後、CVD(chemical vapor deposition )法等の成膜方法によりポリシリコン膜33を形成し、その後、フォトリソグラフィー技術を用いて所望のゲートパターンを持つレジストパターン35を形成する。
次に、図17(b)に示すように、ドライエッチング技術を用いてレジストパターン35をマスクとしてポリシリコン膜33に対してドライエッチングを行なう。ここで、ポリシリコン膜33のゲート酸化膜32(下地層)に対する選択比が低くなるようにドライエッチング条件を調節する。これにより、良好なエッチング形状が得られる。尚、図17(b)は、従来の終点検出方法によりエッチング終点を検出した直後の状態を示しており、ポリシリコン膜33Aは、該終点検出時に残存するポリシリコン膜である。
次に、図17(c)に示すように、ドライエッチング技術を用いてレジストパターン35をマスクとして、残存するポリシリコン膜33Aに対してドライエッチングを行なってゲート電極33Bを形成する。ここで、ポリシリコン膜33Aのゲート酸化膜32(下地層)に対する選択比が高くなるようにドライエッチング条件を調節する。これにより、ゲート酸化膜32がエッチングストッパーとして機能する。尚、図17(c)は、ポリシリコン膜33に対する2段階エッチングが終了した直後の状態を示している。
前述のように、図17(b)に示すポリシリコン膜33のドライエッチング(低選択比)においては、前述の干渉光を用いた従来の終点検出方法によりエッチング終点を検出する。すなわち、求められるポリシリコン膜33の残存膜厚においてエッチング終点を検出できるように設定する。尚、エッチング終点の検出は干渉光波形のいかなる箇所においても行なうことができると共に、終点検出に用いる光の波長も任意の値に設定できる(式(1)〜(3)参照)。
特開2001−85388号公報
(第1の実施形態)
以下、本発明の終点検出方法を用いた、第1の実施形態に係る電子デバイスの製造方法、具体的にはゲート電極の形成方法について図面を参照しながら説明する。
図1(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の各工程を示す断面図である。
まず、図1(a)に示すように、素子分離101が形成された半導体基板100上に、例えば熱酸化等の成膜方法を用いてゲート酸化膜102を形成した後、ゲート酸化膜102の上に、例えばCVD法等の成膜方法を用いてポリシリコン膜103を形成する。このとき、ポリシリコン膜103中には、特にゲート酸化膜102の直上部分である初期膜中にはボイド104が形成される。その後、ポリシリコン膜103の上に、フォトリソグラフィー技術を用いて所望のゲートパターンを持つレジストパターン105を形成する。
次に、図1(b)に示すように、ドライエッチング技術を用いて、レジストパターン105をマスクとしてポリシリコン膜103に対してドライエッチングを行なう。具体的には、例えば誘導結合プラズマ(ICP)型エッチング装置を用いると共に、プラズマ発生のための印加電力が350W、試料台印加電力が100W、圧力が0.4Pa、Cl2 流量が20ml/min、HBr流量が25ml/min、CF4 流量が25ml/min、O2 流量が3ml/min等の条件(ポリシリコン膜103のゲート酸化膜102に対する選択比が低くなる条件)を用いてドライエッチングを行なう。
本実施形態では、ポリシリコン膜103に対する低選択比のドライエッチングにおいて、ポリシリコン膜103に光を照射することにより、ポリシリコン膜103とゲート酸化膜102との界面、及びポリシリコン膜103の表面のそれぞれからの反射光によって形成される干渉光(例えば波長600nm)の強度を測定する。図2は、該測定値のエッチング時間(つまり被処理膜であるポリシリコン膜103の残存膜厚)に対する変化、つまり干渉光の波形を示している。ここで、図2に示す波形は基本的に正弦波であるが、エッチングの進行に伴い、言い換えると、ポリシリコン膜103の残存膜厚の減少に伴い、初期膜中のボイド104の影響によって波形が乱れてノイズが現れる。本実施形態では、このノイズの強度変化が、正弦波として予測される強度の5%に達したときにエッチング終点を検出する。
尚、図1(b)は、本発明の終点検出方法によりエッチング終点を検出した直後の状態を示しており、ポリシリコン膜103Aは、該終点検出時に残存するポリシリコン膜である。
次に、図1(c)に示すように、エッチングモードを低選択比のモードから高選択比のモードに切り替えて、レジストパターン105をマスクとして、わずかに残存するポリシリコン膜103Aに対してドライエッチングを行なってゲート電極103Bを形成する。ここで、ゲート電極形成領域以外のポリシリコン膜103Aは除去される。具体的には、例えば誘導結合プラズマ型エッチング装置を用いると共に、プラズマ発生のための印加電力が250W、試料台印加電力が50W、圧力が10Pa、HBr流量が50ml/min、O2 流量が1ml/min、He流量が50ml/min等の条件(ポリシリコン膜103のゲート酸化膜102に対する選択比が高くなる条件)を用いてドライエッチングを行なう。このとき、ポリシリコン膜103におけるボイド104の発生箇所では、ボイド104のない部分と比べて、下地層であるゲート酸化膜102が早く露出してしまう。しかしながら、ゲート酸化膜102のエッチング速度が極めて小さいため、ゲート酸化膜102をほとんど損傷させることなく、ゲート電極103Bを形成することができる。
以上に説明したように、第1の実施形態によると、被処理膜であるポリシリコン膜103に光を照射することにより測定される干渉光の波形の乱れに基づき、ポリシリコン膜103に対する低選択比のドライエッチングの終点を検出する。具体的には、干渉光の波形である正弦波に生じるノイズの強度変化が5%になったときにエッチング終点を検出する。このため、ポリシリコン膜103中の初期膜にエッチングが到達する前に、言い換えると、ポリシリコン膜103におけるボイド104の発生箇所にエッチングが到達する前に、低選択比のドライエッチングを終了させることができる。従って、下地層であるゲート酸化膜102の損傷を確実に防止しながら、低選択比のドライエッチングによって良好なエッチング形状を得ることができる。また、低選択比のドライエッチングの終点検出の後、初期膜又はボイドを含む残存ポリシリコン膜103Aに対しては、高選択比のドライエッチングを行なうため、ゲート酸化膜102の損傷を確実に防止しながら、残存ポリシリコン膜103Aに対してエッチングを行なうことができる。
尚、第1の実施形態において、エッチング終点の検出に用いる干渉光の波長は特に限定されるものではなく、任意の値に設定できる。
また、第1の実施形態において、干渉光の波形である正弦波に生じるノイズの強度変化が5%に達したときにエッチング終点の検出を行なったが、これに限られず、ポリシリコン膜103中に存在するボイド104の粗密に応じて、ノイズの強度変化が任意の値に達したときにエッチング終点の検出を行なってもよい。
また、第1の実施形態において、ゲート電極形成工程におけるポリシリコン膜のドライエッチングを対象としたが、これに限られず、被処理膜の下地層を保護しなければならないドライエッチング全般について同様の効果を期待できる。また、ドライエッチングに限られず、化学的機械研磨等の他の加工を被処理膜に施す場合にも同様の効果が得られる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る膜質評価方法について図面を参照しながら説明する。
図3(a)及び(b)は、第2の実施形態に係る膜質評価方法の各工程を示す断面図である。
まず、図3(a)に示すように、半導体基板200上に、例えば熱酸化等の成膜方法を用いてシリコン酸化膜201を形成した後、シリコン酸化膜201の上に、例えばCVD法等の成膜方法を用いてポリシリコン膜202を形成する。このとき、ポリシリコン膜202中には、特にシリコン酸化膜201の直上部分である初期膜中にはボイド203が形成される。
次に、図3(b)に示すように、ドライエッチング技術を用いて、ポリシリコン膜202に対してドライエッチングを行なう。具体的には、例えば誘導結合プラズマ型エッチング装置を用いると共に、プラズマ発生のための印加電力が350W、試料台印加電力が100W、圧力が0.4Pa、Cl2 流量が20ml/min、HBr流量が25ml/min、CF4 流量が25ml/min、O2 流量が3ml/min等の条件を用いてドライエッチングを行なう。
本実施形態では、ポリシリコン膜202に対するドライエッチングにおいて、ポリシリコン膜202に光を照射することにより、ポリシリコン膜202とシリコン酸化膜201との界面、及びポリシリコン膜202の表面のそれぞれからの反射光によって形成される干渉光(例えば波長600nm)の強度を測定する。図4(a)は、該測定値のエッチング時間(つまり被処理膜であるポリシリコン膜202の残存膜厚)に対する変化、つまり干渉光の波形を示している。ここで、図4(a)に示す波形は基本的に正弦波であるが、エッチングの進行に伴い、言い換えると、ポリシリコン膜202の残存膜厚の減少に伴い、ポリシリコン膜202の結晶性のばらつき(具体的には初期膜中のボイド203)の影響によって波形が乱れてノイズが現れる。
本実施形態では、この干渉光の波形の乱れ、つまり正弦波のノイズと、ポリシリコン膜の密度との関係を予め定量化しておくことにより、図4(a)に示す測定結果を用いて、被処理膜であるポリシリコン膜202の膜厚方向における密度変化を評価することができる。図4(b)は該評価結果を示している。
以上に説明したように、第2の実施形態によると、被処理膜であるポリシリコン膜202に対してエッチングを行なう際にポリシリコン膜202に光を照射することにより測定される干渉光の波形の乱れに基づき、ポリシリコン膜202の膜厚方向における密度変化を評価する。すなわち、干渉光の波形の乱れとポリシリコン膜の密度との関係を定量化しておくことにより、ポリシリコン膜のエッチング時に前述の干渉光を用いて、ポリシリコン膜の膜厚方向における密度変化を評価する。それに対して、屈折率測定、応力測定又は電気特性測定等を用いた従来の膜質評価方法によると、各測定値の膜厚方向における変化が微小であるため、被処理膜の膜厚方向における密度変化の評価は非常に困難である。すなわち、本実施形態によると、従来の膜質評価方法と比べて、例えばゲート電極となるポリシリコン膜の膜厚方向における密度測定を容易且つ低コストで行なうことができる。
尚、第2の実施形態において、膜質評価に用いる干渉光の波長は特に限定されるものではなく、任意の値に設定できる。
また、第2の実施形態において、ポリシリコン膜の膜質評価を対象としたが、これに限られず、様々な種類の膜の膜質評価を対象とする場合にも同様の効果を期待できる。また、ドライエッチングに代えて、化学的機械研磨を被処理膜に施しながら干渉光を用いて膜質評価を行なった場合にも同様の効果が得られる。
(第2の実施形態の変形例)
以下、本発明の第2の実施形態の変形例に係る膜質評価方法について図面を参照しながら説明する。
本変形例が第2の実施形態と異なっている点は次の通りである。すなわち、第2の実施形態においては、成膜後の被処理膜に対してエッチングを行なう際に、被処理膜に光を照射することにより生じる干渉光を用いて被処理膜の膜質評価を行なった。それに対して、本変形例においては、被処理膜の成膜を行なう際に、被処理膜に光を照射することにより生じる干渉光を用いて被処理膜の膜質評価を行なう。
図5(a)及び(b)は、第2の実施形態の変形例に係る膜質評価方法の各工程を示す断面図である。
まず、図5(a)に示すように、半導体基板200上に、例えば熱酸化等の成膜方法を用いてシリコン酸化膜201を形成する。
次に、図5(b)に示すように、シリコン酸化膜201の上に、例えばCVD法等の成膜方法を用いてポリシリコン膜202を形成する。このとき、ポリシリコン膜202中には、特にシリコン酸化膜201の直上部分である初期膜中にはボイド203が形成される。
本変形例では、ポリシリコン膜202を成膜しながら、ポリシリコン膜202に光を照射することにより、ポリシリコン膜202とシリコン酸化膜201との界面、及びポリシリコン膜202の表面のそれぞれからの反射光によって形成される干渉光(例えば波長600nm)の強度を測定する。図6(a)は、該測定値の堆積時間(つまり被処理膜であるポリシリコン膜202の堆積膜厚)に対する変化、つまり干渉光の波形を示している。ここで、図6(a)に示す波形は基本的に正弦波であるが、堆積初期には、言い換えると、初期膜の形成時には、ポリシリコン膜202の結晶性のばらつき(具体的には初期膜中のボイド203)の影響によって波形が乱れてノイズが現れる。
本変形例では、この干渉光の波形の乱れつまり正弦波のノイズと、ポリシリコン膜の密度との関係を予め定量化しておくことにより、図6(a)に示す測定結果を用いて、被処理膜であるポリシリコン膜202の膜厚方向における密度変化を評価することができる。図6(b)は該評価結果を示している。
以上に説明したように、第2の実施形態の変形例によると、被処理膜であるポリシリコン膜202の堆積時にポリシリコン膜202に光を照射することにより測定される干渉光の波形の乱れに基づき、ポリシリコン膜202の膜厚方向における密度変化を評価する。すなわち、干渉光の波形の乱れとポリシリコン膜の密度との関係を定量化しておくことにより、ポリシリコン膜の堆積時に前述の干渉光を用いて、ポリシリコン膜の膜厚方向における密度変化を評価する。それに対して、屈折率測定、応力測定又は電気特性測定等を用いた従来の膜質評価方法によると、各測定値の膜厚方向における変化が微小であるため、被処理膜の膜厚方向における密度変化の評価は非常に困難である。すなわち、本変形例によると、従来の膜質評価方法と比べて、例えばゲート電極となるポリシリコン膜の膜厚方向における密度測定を容易且つ低コストで行なうことができる。
尚、第2の実施形態の変形例において、膜質評価に用いる干渉光の波長は特に限定されるものではなく、任意の値に設定できる。
また、第2の実施形態の変形例において、ポリシリコン膜の膜質評価を対象としたが、これに限られず、様々な種類の膜の膜質評価を対象とする場合にも同様の効果を期待できる。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る膜質評価方法について図面を参照しながら説明する。
図7(a)及び(b)は、第3の実施形態に係る膜質評価方法の各工程を示す断面図である。
まず、図7(a)に示すように、半導体基板300上に、例えば熱酸化等の成膜方法を用いてシリコン酸化膜301を形成した後、シリコン酸化膜301の上に、例えばCVD法等の成膜方法を用いてポリシリコン膜302を形成する。その後、例えばイオン注入等を用いて例えばリン303をポリシリコン膜302にドーピングする。
次に、図7(b)に示すように、ドライエッチング技術を用いて、ポリシリコン膜302に対してドライエッチングを行なう。具体的には、例えば誘導結合プラズマ型エッチング装置を用いると共に、プラズマ発生のための印加電力が200W、試料台印加電力が50W、圧力が1.5Pa、Cl2 流量が20ml/min、HBr流量が180ml/min、O2 流量が1ml/min等の条件を用いてドライエッチングを行なう。
本実施形態では、ポリシリコン膜302に対するドライエッチングにおいて、ポリシリコン膜302に光を照射することにより、ポリシリコン膜302とシリコン酸化膜301との界面、及びポリシリコン膜302の表面のそれぞれからの反射光によって形成される干渉光(例えば波長600nm)の強度を測定する。図8(a)は、該測定値のエッチング時間(つまり被処理膜であるポリシリコン膜302の残存膜厚)に対する変化、つまり干渉光の波形を示している。ここで、ポリシリコン膜302にリンが注入されていない場合には、干渉光の波形は基本的に正弦波となるが、実際にはポリシリコン膜302に注入されているリン303の影響によって、測定された干渉光の波形は正弦波からずれる。具体的には、図8(a)に示すように、リンドープドポリシリコン膜302の干渉光波形(図8(a)の実線)は、ノンドープドポリシリコン膜の干渉光波形(図8(a)の破線)の途中からずれた歪んだ波形になる。これは次のような理由によって起きる。すなわち、ポリシリコン膜におけるリンの濃度が大きくなるに伴って、正電荷を持つエッチャントが、リンによって負電荷を持つポリシリコン膜に引き込まれやすくなるため、リンドープポリシリコン膜のエッチング速度が大きくなるので、リンドープポリシリコン膜の干渉光波形の周波数がノンドープドポリシリコン膜の干渉光波形の周波数と比べて高くなる。
本実施形態では、この干渉光の波形の歪み、つまり正弦波に生じたずれと、リン濃度との関係を予め定量化しておくことにより、図8(a)に示す測定結果を用いて、被処理膜であるポリシリコン膜302の膜厚方向におけるリン303の濃度の変化を評価することができる。図8(b)は該評価結果を示している。
以上に説明したように、第3の実施形態によると、被処理膜であるポリシリコン膜302に対してエッチングを行なう際にポリシリコン膜302に光を照射することにより測定される干渉光の波形の歪みに基づき、ポリシリコン膜302の膜厚方向における不純物の濃度変化を評価する。すなわち、干渉光の波形の歪みと不純物濃度との関係を定量化しておくことにより、ポリシリコン膜のエッチング時に前述の干渉光を用いて、ポリシリコン膜の膜厚方向における不純物の濃度変化を評価する。それに対して、CIMS(chemical ionization mass spectrometry :化学イオン化質量分析)等を用いた従来の膜質評価方法によると、高コストであり且つ分析に多大な時間を要するという問題がある。すなわち、本実施形態によると、従来の膜質評価方法と比べて、例えばゲート電極となるポリシリコン膜の膜厚方向における不純物濃度(例えばリン濃度)測定を容易且つ低コストで行なうことができる。
尚、第3の実施形態において、被処理膜であるポリシリコン膜302の堆積後にポリシリコン膜302にリン303を注入したが、これに代えて、ポリシリコン膜302を堆積しながらポリシリコン膜302にリン303をドーピングしてもよい。また、ポリシリコン膜302に注入する不純物は特に限定されるものではない。具体的には、n型のリン303に代えて、p型のボロンを注入してもよい。この場合、ポリシリコン膜におけるボロンの濃度が大きくなるに伴って、正電荷を持つエッチャントが、ボロンによって正電荷を持つポリシリコン膜に引き込まれにくくなるため、ボロンドープポリシリコン膜のエッチング速度が小さくなるので、ボロンドープポリシリコン膜の干渉光波形の周波数がノンドープドポリシリコン膜の干渉光波形の周波数と比べて低くなる。
また、第3の実施形態において、膜質評価に用いる干渉光の波長は特に限定されるものではなく、任意の値に設定できる。
また、第3の実施形態において、ポリシリコン膜の膜質評価を対象としたが、これに限られず、様々な種類の膜の膜質評価を対象とする場合にも同様の効果を期待できる。また、ドライエッチングに代えて、化学的機械研磨を被処理膜に施しながら干渉光を用いて膜質評価を行なった場合にも同様の効果が得られる。
(第3の実施形態の変形例)
以下、本発明の第3の実施形態の変形例に係る膜質評価方法について図面を参照しながら説明する。
本変形例が第3の実施形態と異なっている点は次の通りである。すなわち、第3の実施形態においては、成膜後の被処理膜に対してエッチングを行なう際に、被処理膜に光を照射することにより生じる干渉光を用いて被処理膜の膜質評価を行なった。それに対して、本変形例においては、被処理膜の成膜を行なう際に、被処理膜に光を照射することにより生じる干渉光を用いて被処理膜の膜質評価を行なう。
図9(a)及び(b)は、第3の実施形態の変形例に係る膜質評価方法の各工程を示す断面図である。
まず、図9(a)に示すように、半導体基板300上に、例えば熱酸化等の成膜方法を用いてシリコン酸化膜301を形成する。
次に、図9(b)に示すように、シリコン酸化膜301の上に、例えばCVD法等の成膜方法を用いてポリシリコン膜302を形成する。
このとき、ポリシリコン膜302を成膜しながら、ポリシリコン膜302中に例えばリン303をドーピングする。
さらに、本変形例では、ポリシリコン膜302を成膜しながら、ポリシリコン膜302に光を照射することにより、ポリシリコン膜302とシリコン酸化膜301との界面、及びポリシリコン膜302の表面のそれぞれからの反射光によって形成される干渉光(例えば波長600nm)の強度を測定する。図10(a)は、該測定値の堆積時間(つまり被処理膜であるポリシリコン膜302の堆積膜厚)に対する変化、つまり干渉光の波形を示している。ここで、ポリシリコン膜302にリンが注入されていない場合には、干渉光の波形は基本的に正弦波となるが、実際にはポリシリコン膜302に注入されているリン303の影響によって、測定された干渉光の波形は正弦波からずれる。具体的には、図10(a)に示すように、リンドープドポリシリコン膜302の干渉光波形(図10(a)の実線)は、ノンドープドポリシリコン膜の干渉光波形(図10(a)の破線)の途中からずれた歪んだ波形になる。
本変形例では、この干渉光の波形の歪み、つまり正弦波に生じたずれと、リン濃度との関係を予め定量化しておくことにより、図10(a)に示す測定結果を用いて、被処理膜であるポリシリコン膜302の膜厚方向におけるリン303の濃度の変化を評価することができる。図10(b)は該評価結果を示している。
以上に説明したように、第3の実施形態の変形例によると、被処理膜であるポリシリコン膜302の堆積時にポリシリコン膜302に光を照射することにより測定される干渉光の波形の歪みに基づき、ポリシリコン膜302の膜厚方向における不純物の濃度変化を評価する。すなわち、干渉光の波形の歪みと不純物濃度との関係を定量化しておくことにより、ポリシリコン膜のエッチング時に前述の干渉光を用いて、ポリシリコン膜の膜厚方向における不純物の濃度変化を評価する。それに対して、CIMS等を用いた従来の膜質評価方法によると、高コストであり且つ分析に多大な時間を要するという問題がある。すなわち、本変形例によると、従来の膜質評価方法と比べて、例えばゲート電極となるポリシリコン膜の膜厚方向における不純物濃度(例えばリン濃度)測定を容易且つ低コストで行なうことができる。
尚、第3の実施形態の変形例において、ポリシリコン膜302に注入する不純物は特に限定されるものではない。具体的には、n型のリン303に代えて、p型のボロンを注入してもよい。
また、第3の実施形態の変形例において、膜質評価に用いる干渉光の波長は特に限定されるものではなく、任意の値に設定できる。
また、第3の実施形態の変形例において、ポリシリコン膜の膜質評価を対象としたが、これに限られず、様々な種類の膜の膜質評価を対象とする場合にも同様の効果を期待できる。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係る膜質評価方法について図面を参照しながら説明する。
図11(a)及び(b)は、第4の実施形態に係る膜質評価方法の各工程を示す断面図である。
まず、図11(a)に示すように、半導体基板400上に、例えば熱酸化等の成膜方法を用いてシリコン酸化膜401を形成した後、シリコン酸化膜401の上に、例えばCVD法等の成膜方法を用いてシリコンゲルマニウム膜402を形成する。
次に、図11(b)に示すように、ドライエッチング技術を用いてシリコンゲルマニウム膜402に対してドライエッチングを行なう。具体的には、例えば誘導結合プラズマ型エッチング装置を用いると共に、プラズマ発生のための印加電力が200W、試料台印加電力が50W、圧力が1.5Pa、Cl2 流量が20ml/min、HBr流量が180ml/min、O2 流量が1ml/min等の条件を用いてドライエッチングを行なう。
本実施形態では、シリコンゲルマニウム膜402に対するドライエッチングにおいて、シリコンゲルマニウム膜402に光を照射することにより、シリコンゲルマニウム膜402とシリコン酸化膜401との界面、及びシリコンゲルマニウム膜402の表面のそれぞれからの反射光によって形成される干渉光(例えば波長600nm)の強度を測定する。図12(a)は、該測定値のエッチング時間(つまり被処理膜であるシリコンゲルマニウム膜402の残存膜厚)に対する変化、つまり干渉光の波形を示している。ここで、干渉光の波形は基本的に正弦波となるが、シリコンゲルマニウム膜中のゲルマニウム濃度によって干渉光の波形が歪む。具体的には、図12(a)に示すように、評価したいシリコンゲルマニウム膜402の干渉光波形(図12(a)の実線)は、既知のゲルマニウム濃度を持つシリコンゲルマニウム膜の干渉光波形(図12(a)の破線)の途中からずれた歪んだ波形になる。これは次のような理由によって起きる。すなわち、ゲルマニウム濃度に依存して、シリコンゲルマニウム膜のエッチング速度が変化するため、評価したいシリコンゲルマニウム膜402の干渉光波形の周波数が、既知のゲルマニウム濃度を持つシリコンゲルマニウム膜の干渉光波形の周波数と比べて変化する。
本実施形態では、この干渉光の波形の歪み、つまり正弦波に生じたずれと、ゲルマニウム濃度との関係を予め定量化しておくことにより、図12(a)に示す測定結果を用いて、被処理膜であるシリコンゲルマニウム膜402の膜厚方向におけるゲルマニウム濃度の変化を評価することができる。図12(b)は該評価結果を示している。
以上に説明したように、第4の実施形態によると、被処理膜であるシリコンゲルマニウム膜402に対してエッチングを行なう際にシリコンゲルマニウム膜402に光を照射することにより測定される干渉光の波形の歪みに基づき、シリコンゲルマニウム膜402の膜厚方向におけるゲルマニウム濃度の変化を評価する。すなわち、干渉光の波形の歪みとゲルマニウム濃度との関係を定量化しておくことにより、シリコンゲルマニウム膜のエッチング時に前述の干渉光を用いて、シリコンゲルマニウム膜の膜厚方向におけるゲルマニウム濃度の変化を評価する。それに対して、SIMS(secondary ion mass spectrometry :2次イオン質量分析)等を用いた従来の膜質評価方法によると、高コストであり且つ分析に多大な時間を要するという問題がある。すなわち、本実施形態によると、従来の膜質評価方法と比べて、シリコンゲルマニウム膜の膜厚方向におけるゲルマニウム濃度測定を容易且つ低コストで行なうことができる。
尚、第4の実施形態において、シリコンゲルマニウム膜402におけるゲルマニウム濃度を評価対象としたが、これに代えて、シリコン濃度を評価対象とできることは言うまでもない。
また、第4の実施形態において、膜質評価に用いる干渉光の波長は特に限定されるものではなく、任意の値に設定できる。
また、第4の実施形態において、シリコンゲルマニウム膜の膜質評価を対象としたが、これに限られず、複数の元素からなる他の種類の膜の膜質評価(具体的には元素濃度の測定)を対象とする場合にも同様の効果を期待できる。また、ドライエッチングに代えて、化学的機械研磨を被処理膜に施しながら干渉光を用いて膜質評価を行なった場合にも同様の効果が得られる。
(第4の実施形態の変形例)
以下、本発明の第4の実施形態の変形例に係る膜質評価方法について図面を参照しながら説明する。尚、本変形例が第4の実施形態と異なっている点は次の通りである。すなわち、第4の実施形態においては、成膜後の被処理膜に対してエッチングを行なう際に、被処理膜に光を照射することにより生じる干渉光を用いて被処理膜の膜質評価を行なった。それに対して、本変形例においては、被処理膜の成膜を行なう際に、被処理膜に光を照射することにより生じる干渉光を用いて被処理膜の膜質評価を行なう。
図13(a)及び(b)は、第4の実施形態の変形例に係る膜質評価方法の各工程を示す断面図である。
まず、図13(a)に示すように、半導体基板400上に、例えば熱酸化等の成膜方法を用いてシリコン酸化膜401を形成する。
次に、図13(b)に示すように、シリコン酸化膜401の上に、例えばCVD法等の成膜方法を用いてシリコンゲルマニウム膜402を形成する。
本変形例では、シリコンゲルマニウム膜402を成膜しながら、シリコンゲルマニウム膜402に光を照射することにより、シリコンゲルマニウム膜402とシリコン酸化膜401との界面、及びシリコンゲルマニウム膜402の表面のそれぞれからの反射光によって形成される干渉光(例えば波長600nm)の強度を測定する。図14(a)は、該測定値の堆積時間(つまり被処理膜であるシリコンゲルマニウム膜402の堆積膜厚)に対する変化、つまり干渉光の波形を示している。ここで、干渉光の波形は基本的に正弦波となるが、シリコンゲルマニウム膜中のゲルマニウム濃度によって干渉光の波形が歪む。具体的には、図14(a)に示すように、評価したいシリコンゲルマニウム膜402の干渉光波形(図14(a)の実線)は、既知のゲルマニウム濃度を持つシリコンゲルマニウム膜の干渉光波形(図14(a)の破線)の途中からずれた歪んだ波形になる。これは次のような理由によって起きる。すなわち、ゲルマニウム濃度に依存して、シリコンゲルマニウム膜のエッチング速度が変化するため、評価したいシリコンゲルマニウム膜402の干渉光波形の周波数が、既知のゲルマニウム濃度を持つシリコンゲルマニウム膜の干渉光波形の周波数と比べて変化する。
本変形例では、この干渉光の波形の歪み、つまり正弦波に生じたずれと、ゲルマニウム濃度との関係を予め定量化しておくことにより、図14(a)に示す測定結果を用いて、被処理膜であるシリコンゲルマニウム膜402の膜厚方向におけるゲルマニウム濃度の変化を評価することができる。図14(b)は該評価結果を示している。
以上に説明したように、第4の実施形態の変形例によると、被処理膜であるシリコンゲルマニウム膜402の堆積時にシリコンゲルマニウム膜402に光を照射することにより測定される干渉光の波形の歪みに基づき、シリコンゲルマニウム膜402の膜厚方向におけるゲルマニウム濃度の変化を評価する。すなわち、干渉光の波形の歪みとゲルマニウム濃度との関係を定量化しておくことにより、シリコンゲルマニウム膜の堆積時に前述の干渉光を用いて、シリコンゲルマニウム膜の膜厚方向におけるゲルマニウム濃度の変化を評価する。それに対して、SIMS等を用いた従来の膜質評価方法によると、高コストであり且つ分析に多大な時間を要するという問題がある。すなわち、本変形例によると、従来の膜質評価方法と比べて、シリコンゲルマニウム膜の膜厚方向におけるゲルマニウム濃度測定を容易且つ低コストで行なうことができる。
尚、第4の実施形態の変形例において、シリコンゲルマニウム膜402におけるゲルマニウム濃度を評価対象としたが、これに代えて、シリコン濃度を評価対象とできることは言うまでもない。
また、第4の実施形態の変形例において、膜質評価に用いる干渉光の波長は特に限定されるものではなく、任意の値に設定できる。
また、第4の実施形態の変形例において、シリコンゲルマニウム膜の膜質評価を対象としたが、これに限られず、複数の元素からなる他の種類の膜の膜質評価(具体的には元素濃度の測定)を対象とする場合にも同様の効果を期待できる。