JP2007214299A - エッチング方法 - Google Patents

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悦夫 飯嶋
Takamichi Kikuchi
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Abstract

【課題】 パターンに疎密の差がある場合でも被処理体上のポリシリコン層を制御性よくエッチングすることが可能なエッチング方法を提供する。
【解決手段】 ポリシリコン層103の上に、パターン間隔が狭い密の領域105aと、パターン間隔が広い疎の領域105bとが存在するライン&スペースの開口パターン105が形成されたマスク膜104を有する被処理体に対し、少なくともClと、HBrと、CFまたはCHFから選ばれるフッ素含有ガスと、を含有する処理ガスを用い、HBrとClとの流量比(HBr/Cl)が1.2以上、かつフッ素含有ガスとHBrとの流量比(フッ素含有ガス/HBr)が1.0以上となるようにしてエッチングを行なう。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エッチング方法に関し、詳細には、被処理体のシリコンを形状制御性よくエッチングするエッチング方法に関する。
ポリシリコンゲート電極の製造過程においては、予め作成されたレジストパターンをマスクとして半導体ウエハなどの被処理体上に形成されたポリシリコン層をドライエッチングすることが行なわれている。このドライエッチングの際には、例えばClとHBrをメインエッチングガスとして含むガス系を用いてプラズマを励起させ、エッチングが行なわれてきた(例えば、特許文献1、特許文献2)。
近年では、半導体装置の微細化、高集積化に伴い、マスクパターンに疎密がある被処理体に対しても形状制御性よくエッチングを行なうことが求められている。ところが、従来エッチングに使用されてきた上記ガス系の場合、パターンが疎な部位と密な部位との間でエッチング形状に差異が生じる。
上記ClとHBrを含むガス系は、被エッチング対象であるシリコンと反応してSiCl、SiBrなどの反応生成物を生じ、これらがエッチング溝の側壁部分に付着して保護膜として機能することによりサイドエッチングを抑制する役割を果たしている。しかし、パターンの密な部位では、エッチング溝の間隔が狭いため、被エッチング面積が小さく、それに比例して反応生成物の付着が制限される結果、保護作用が弱くなる。他方、パターンの疎な部位では、エッチング溝の間隔が広いため、被エッチング面積が大きく、それに比例して前記反応生成物の付着量が増加し、保護作用が強く現れる。その結果、パターンが密な部位ではサイドエッチングが進行しやすくなり、逆にパターンの疎な部位では、エッチングが十分に進行せずに本来垂直に形成されるべき溝の側壁が逆テーパー状に形成されてしまうという問題があった。
特開2004−266249号公報(例えば、段落0034) 特開2005−79289号公報(例えば、段落0047)
上記特許文献1では、ClとHBrとCFを含むガス系(例えばCl/HBr/CF、Cl/HBr/CF/O)でエッチングを行なうことが記載されているが、これらのガス系は、主に対酸化膜選択比を考慮して選択されたものであり、疎密を有するパターンにおけるエッチング形状の制御については考慮されていない。
また、上記特許文献2では、ClとHBrとCFとOを含むガス系でポリシリコン膜に対してドライエッチングを行なうことが開示されているが、このガス系はポリシリコン膜のゲート酸化膜に対する選択比が低くなる条件として選択されたものであり、疎密を有するパターンにおけるエッチング形状の制御については全く考慮されていない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、パターンに疎密の差がある場合でも被処理体上のポリシリコン層を制御性よくエッチングすることが可能なエッチング方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点は、プラズマ処理装置の処理室内で被処理体上の被エッチング層に対しプラズマエッチング処理を行なって凹部を形成するエッチング方法であって、
被エッチング層上に形成された、開口幅の狭い密の領域と開口幅の広い疎の領域とを有する開口パターンのマスクを用い、
少なくともClと、HBrと、CFまたはCHFから選ばれるフッ素含有ガスと、を含有する処理ガスを、HBrとClとのガス流量比(HBr/Cl)が1.2以上、かつフッ素含有ガスとHBrとのガス流量比(フッ素含有ガス/HBr)が1.0以上となるように前記処理室内に導入してプラズマを励起させ、該プラズマにより、前記開口パターンにおいて露出した部分の前記被エッチング層をエッチングして前記凹部を形成することを特徴とする、エッチング方法を提供する。
また、本発明の第2の観点は、プラズマ処理装置の処理室内で被処理体上の被エッチング層に対しプラズマエッチング処理を行なって凹部を形成するエッチング方法であって、
被エッチング層上に形成された、開口幅の狭い密の領域と開口幅の広い疎の領域とを有する開口パターンのマスクを用い、
少なくともClと、HBrと、CFまたはCHFから選ばれるフッ素含有ガスと、を含有する処理ガスを、HBrとClとのガス流量比(HBr/Cl)が1.2以上、かつフッ素含有ガスとHBrとのガス流量比(フッ素含有ガス/HBr)が1.0以上となるように前記処理室内に導入してプラズマを励起させ、該プラズマにより、前記開口パターンにおいて露出した部分の前記被エッチング層をエッチングし、
前記凹部の側壁角度が90°を超えず、かつ前記疎の領域に形成される前記凹部の側壁角度と、前記密の領域に形成される前記凹部の側壁角度との差が16°以下となるように前記凹部を形成することを特徴とする、エッチング方法を提供する。
上記第1の観点および第2の観点において、前記被エッチング層は、ポリシリコン層であることが好ましい。また、前記密の領域の前記開口パターンの幅に対する前記疎の領域の前記開口パターンの幅の比率が、10以上であることが好ましい。
本発明の第3の観点は、コンピュータ上で動作し、実行時に、上記第1の観点および第2の観点のエッチング方法が行なわれるように前記プラズマ処理装置を制御することを特徴とする、制御プログラムを提供する。
本発明の第4の観点は、コンピュータ上で動作する制御プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記制御プログラムは、実行時に、上記第1の観点および第2の観点のエッチング方法が行なわれるように前記プラズマ処理装置を制御するものであることを特徴とする、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
本発明の第5の観点は、被処理体に対しプラズマエッチング処理を行なうための処理室と、
前記処理室内で被処理体を載置する支持体と、
前記処理室内を減圧するための排気手段と、
前記処理室内に処理ガスを供給するためのガス供給手段と、
前記処理室内で上記第1の観点および第2の観点のエッチング方法が行なわれるように制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする、プラズマ処理装置を提供する。
本発明の第6の観点は、基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜より上層に形成されたポリシリコン層と、を備えた被処理体に対し、
前記ポリシリコン層上に形成された、開口幅の狭い密の領域と開口幅の広い疎の領域とを有する開口パターンのマスクを用い、少なくともClと、HBrと、CFまたはCHFから選ばれるフッ素含有ガスと、を含有する処理ガスを、HBrとClとのガス流量比(HBr/Cl)が1.2以上、かつフッ素含有ガスとHBrとのガス流量比(フッ素含有ガス/HBr)が1.0以上となるように処理室内に導入してプラズマを励起させ、前記開口パターンにおいて露出した部分の前記ポリシリコン層をエッチングして凹部を形成するエッチング工程を含むことを特徴とする、半導体装置の製造方法を提供する。
本発明の第7の観点は、基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜より上層に形成されたポリシリコン層と、を備えた被処理体に対し、
前記ポリシリコン層上に形成された、開口幅の狭い密の領域と開口幅の広い疎の領域とを有する開口パターンのマスクを用い、少なくともClと、HBrと、CFまたはCHFから選ばれるフッ素含有ガスと、を含有する処理ガスを、HBrとClとのガス流量比(HBr/Cl)が1.2以上、かつフッ素含有ガスとHBrとのガス流量比(フッ素含有ガス/HBr)が1.0以上となるように処理室内に導入してプラズマを励起させ、前記開口パターンにおいて露出した部分の前記ポリシリコン層をエッチングし、
凹部の側壁角度が90°を超えず、かつ前記疎の領域に形成される前記凹部の側壁角度と、前記密の領域に形成される前記凹部の側壁角度との差が16°以下となるように前記凹部を形成するエッチング工程を含むことを特徴とする、半導体装置の製造方法を提供する。
本発明のエッチング方法によれば、少なくともClと、HBrと、CFまたはCHFから選ばれるフッ素含有ガスと、を含有する処理ガスを所定の流量比で用いることによって、マスクパターンに疎密が存在し、微細なマスクパターンと幅広いマスクパターンが混在する被処理体にエッチングを行なう場合であっても、制御性よくエッチング形状を均一にすることができる。
従って、半導体装置のデザインルールの微細化、高集積化への対応も可能である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい形態について説明する。図1は、本発明のエッチング方法が適用される半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と記す)Wなどの被処理体110の断面構造を模式的に示す図面である。この被処理体110は、例えばMOSトランジスタのゲート電極製造に用いられるものであり、イオン注入によるN型もしくはP型の拡散層および素子分離層(いずれも図示せず)が形成されたSi基板101上には、SiOなどのゲート絶縁膜102が形成され、さらにその上層にCVD法などによるポリシリコン層103が形成されている。必要に応じてリンやホウ素などの不純物が注入されたポリシリコン層103の上には、TEOSによるSiOなどのマスク膜104が形成されており、このマスク膜104には、予めフォトリソグラフィーにより疎密のあるライン&スペースの開口パターン105が形成されている。
すなわち、マスク膜104には、パターン間隔が狭い密の領域105aと、パターン間隔が広い疎の領域105bとが形成されている。ここで、密の領域105aと疎の領域105bのパターン間隔については特に制限はないが、密の領域105aの開口幅CD:疎の領域105bの開口幅CD=1:10以上である場合に、後述する本発明の効果が良好に奏される。また、密の領域105aの開口幅CDとしては、50〜200nm、疎の領域105bの開口幅CDとしては500nm以上が例示される。
以上のような構造の被処理体110に対し、本発明方法のプラズマエッチング処理を施すことにより、図2に示されるように、パターンの間隔の疎密に応じ、ゲート電極となるポリシリコン電極106の両側に、幅の狭い溝107aと、幅の広い溝107bが形成される。
マスクパターンの開口幅CD,CDの違いに基づき、通常のエッチングガス例えばCl/HBr/O/希ガスを使用したエッチングでは、図3に例示するように、幅の狭い溝107aを構成するポリシリコン電極106の側壁部分にサイドエッチング106aが入りやすく、側壁角度(180°−α)が垂直(90°)にならない。他方、幅の広い溝107bを構成するポリシリコン電極106では、被エッチング面積が大きいため反応生成物であるSiCl,SiBrが側壁に付着して保護膜として作用し、図3に例示するように、側壁角度(180°−β)が垂直(90°)より小さくなり、幅の広い溝107bの断面がテーパー形状になってしまう。
通常エッチングガスとしてClやHBrを用いた場合には、被エッチング膜であるポリシリコンとの反応生成物であるSiCl,SiBrを側壁保護膜としてエッチング形状の制御を行なうが、マスクパターンの疎密差が大きくなると被エッチング面積の差も大きくなるため、反応生成物の量が変わる。すなわち、パターンの密な領域105aでは、相対的に被エッチング面積が小さいため反応生成物の量が少なく、側壁への付着量も少なくなるので、保護作用はさほど大きくならず、ポリシリコンのエッチングが横方向に進むため、ポリシリコン電極106の側壁部分にサイドエッチング106aが発生しやすい。
他方、パターンの疎な領域105bでは、相対的に被エッチング面積が大きいため、反応生成物が多く生成し、側壁への付着量も多くなり、保護作用が高くなるのでポリシリコンのエッチングが抑制される。以上のような理由から、図3に示すように、パターンの疎密差に応じてエッチング形状にも疎密の差異が生じることになる。このようなエッチング形状の疎密差は、デバイス特性に影響を与えるため、その改善が望まれていた。
本発明のエッチング方法においては、上記エッチング形状の疎密差の問題を解決するため、エッチングガスとして、少なくともClと、HBrと、CF、CHF等から選ばれるフッ素含有ガスと、を含有する処理ガスを用いる。例えばCFは、CF(ポリマー)を形成しやすく、これがポリシリコン電極106の側壁に付着して保護膜として機能する。つまり、被エッチング膜であるポリシリコンと反応してSiClやSiBrを生成するClやHBrとは異なり、CFの場合は被エッチング膜であるポリシリコンと無関係に保護作用を持つポリマーを形成できるため、パターンの疎密(つまり、被エッチング面積の大小)に関わらず、被エッチング膜の表面に一様に付着して保護作用を発揮する。また、被エッチング膜の表面にCFxが付着することにより、SiClやSiBrの生成自体が抑制されるので、パターンの疎密に基づく被エッチング面積の大小に影響されず、図2に示すように、ウエハWの全体で均一なエッチング形状が確保できる。
この場合、パターンの密な部位におけるサイドエッチングの発生を抑制する観点から、HBrとClを、その流量比(HBr/Cl)が1.2以上となるようにプラズマエッチング装置のチャンバー1内に導入することが好ましい。
また、パターンの疎密によるエッチング形状の差(疎密差)、特に側壁角度(180°−α、180°−β)の差を改善する観点から、CF等のフッ素含有ガスとHBrとの流量比(フッ素含有ガス/HBr)が1.0以上となるように処理室内に導入することが好ましい。
以上のようなエッチングガスを用いることにより、パターンの疎密差が大きな被処理体、例えば密の領域105aの開口幅CDと疎の領域105bの開口幅CDとの比率が1:10以上となる被処理体に対しても十分に均一なエッチングが可能になる。より具体的には、開口パターンにおいて露出した部分に形成される溝107a,107bの側壁角度がいずれも90°を超えず、かつ疎の領域105bにおける溝107bの側壁角度と、密の領域105aにおける溝107aの側壁角度との差が好ましくは16°以下となるようにエッチング形状を制御できる。
以上のようにエッチングによって、ゲート電極(ポリシリコン電極106)を形成した後は、不純物注入によりソース・ドレイン領域からなるP型もしくはN型の拡散層(図示せず)を形成することにより、トランジスタを形成することができる。
次に、平行平板型プラズマエッチング装置を用いて本発明方法を実施する例について説明する。図4は、本発明方法を実施するために好適に使用可能な平行平板型プラズマエッチング装置100を示す断面図である。このプラズマエッチング装置100は、気密に構成され、小径の上部1aと大径の下部1bとからなる段つき円筒状をなし、壁部が例えばアルミニウム製のチャンバー(処理容器)1を有している。
このチャンバー1内には、被処理体として単結晶Si基板であるウエハWを水平に支持する支持テーブル2が設けられている。支持テーブル2は例えばアルミニウムで構成されており、絶縁板3を介して導体の支持台4に支持されている。また、支持テーブル2の上方の外周には、例えばSiで形成されたフォーカスリング5が設けられている。上記支持テーブル2と支持台4は、ボールねじ7を含むボールねじ機構により昇降可能となっており、支持台4の下方の駆動部分は、ステンレス鋼(SUS)製のベローズ8で覆われている。ベローズ8の外側にはベローズカバー9が設けられている。なお、上記フォーカスリング5の外側にはバッフル板10が設けられており、このバッフル板10、支持台4、ベローズ8を通してチャンバー1と導通している。チャンバー1は接地されている。
チャンバー1の下部1bの側壁には、排気ポート11が形成されており、この排気ポート11には排気系12が接続されている。そして排気系12の真空ポンプを作動させることによりチャンバー1内を所定の真空度まで減圧することができるようになっている。一方、チャンバー1の下部1bの側壁上側には、ウエハWの搬入出口を開閉するゲートバルブ13が設けられている。
支持テーブル2には、整合器14を介してプラズマ形成用の第1の高周波電源15が接続されており、この第1の高周波電源15から所定の周波数の高周波電力が支持テーブル2に供給されるようになっている。一方、支持テーブル2に対向してその上方には後で詳細に説明するシャワーヘッド20が互いに平行に設けられており、このシャワーヘッド20は接地されている。したがって、支持テーブル2およびシャワーヘッド20は一対の電極として機能する。
第1の高周波電源15の給電線には、整合器25を介して第2の高周波電源26が接続されている。第2の高周波電源26は第1の高周波電源15の周波数よりも低い高周波電力を供給しプラズマ形成用の高周波電力に重畳されるようになっている。
支持テーブル2の表面上にはウエハWを静電吸着して保持するための静電チャック6が設けられている。この静電チャック6は絶縁体6bの間に電極6aが介在されて構成されており、電極6aには直流電源16が接続されている。そして電極6aに電源16から電圧が印加されることにより、静電力例えばクーロン力によってウエハWが吸着される。
支持テーブル2の内部には、冷媒室17が設けられており、この冷媒室17には、冷媒が冷媒導入管17aを介して導入され冷媒排出管17bから排出されて循環し、その冷熱が支持テーブル2を介してウエハWに対して伝熱され、これによりウエハWの処理面が所望の温度に制御される。
また、チャンバー1が排気系12により排気されて真空に保持されていても、冷媒室17に循環される冷媒によりウエハWを有効に冷却可能なように、冷却ガスが、ガス導入機構18によりそのガス供給ライン19を介して静電チャック6の表面とウエハWの裏面との間に導入される。このように冷却ガスを導入することにより、冷媒の冷熱がウエハWに有効に伝達され、ウエハWの冷却効率を高くすることができる。冷却ガスとしては、例えばHeなどを用いることができる。
上記シャワーヘッド20は、チャンバー1の天壁部分に支持テーブル2に対向するように設けられている。このシャワーヘッド20は、その下面に多数のガス吐出孔22が設けられており、かつその上部にガス導入部20aを有している。そして、その内部には空間21が形成されている。ガス導入部20aにはガス供給配管23aが接続されており、このガス供給配管23aの他端には、エッチングガスおよび希釈ガスからなる処理ガスを供給する処理ガス供給系23が接続されている。
このような処理ガスが、処理ガス供給系23からガス供給配管23a、ガス導入部20aを介してシャワーヘッド20の空間21に至り、ガス吐出孔22から吐出される。
一方、チャンバー1の上部1aの周囲には、同心状に、マルチポール磁石24が配置されており、支持テーブル2とシャワーヘッド20との間の処理空間の周囲に磁界を形成するようになっている。このマルチポール磁石24は、図示しない回転機構により回転可能となっている。マルチポール磁石24は、図5の水平断面図に示すように、永久磁石からなる複数のセグメント磁石31が図示しない支持部材により支持された状態でリング状に配置されて構成されている。この例では、16個のセグメント磁石31がリング状(同心円状)にマルチポール状態で配置されている。すなわち、マルチポール磁石24においては、隣接する複数のセグメント磁石31同士の磁極の向きが互いに逆向きになるように配置されており、したがって、磁力線が図示のように隣接するセグメント磁石31間に形成され、処理空間の周辺部のみに例えば0.02〜0.2T(200〜2000Gauss)、好ましくは0.03〜0.045T(300〜450Gauss)の磁場が形成され、ウエハ配置部分は実質的に無磁場状態となる。このように磁場強度が規定されるのは、磁場が強すぎると洩れ磁場の原因となり、弱すぎるとプラズマ閉じこめ効果が得られなくなるためである。ただし、適正な磁場強度は装置構造等にも依存するため、その範囲は装置によって異なるものである。なお、ウエハ配置部分における実質的に無磁場状態とは、完全に磁場が存在しない場合のみならず、ウエハ配置部分にエッチング処理に影響を与える磁場が形成されず、実質的にウエハ処理に影響を与えない磁場が存在する場合も含む。
図5に示す状態では、ウエハ周辺部に例えば磁束密度420μT(4.2Gauss)以下の磁場が印加されており、これによりプラズマを閉じ込める機能が発揮される。
上記各セグメント磁石31は、図示しないセグメント磁石回転機構により垂直方向の軸を中心に回転自在に構成されている。図5および図6(a)に示すように、各セグメント磁石31の磁極がチャンバー1側に向いた状態から、例えば図6(b)、図6(c)と隣接するセグメント磁石31が同期して逆方向に回転する。したがって、一つおきのセグメント磁石31は同方向に回転する。なお、図6(b)はセグメント磁石31が45度回転した状態を示しており、図6(c)はセグメント磁石31が90度回転した状態を示している。セグメント磁石31をこのように回転させることにより、実質的にマルチポール磁場が形成される状態とマルチポール磁場が形成されない状態との間で切替可能となっている。エッチングする膜の種類によっては、マルチポール磁場が有効に作用する場合と、作用しない場合とがあるから、このようにマルチポール磁場を形成した状態と形成しない状態とを切替可能とすることにより、膜に応じて適切なエッチング条件を選択することができる。
また、プラズマエッチング装置100の各構成部は、CPUを備えたプロセスコントローラ50に接続されて制御される構成となっている。プロセスコントローラ50には、工程管理者がプラズマエッチング装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、プラズマエッチング装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインタフェース51が接続されている。
また、プロセスコントローラ50には、プラズマエッチング装置100で実行される各種処理をプロセスコントローラ50の制御にて実現するための制御プログラムや処理条件データ等が記録されたレシピが格納された記憶部52が接続されている。
そして、必要に応じて、ユーザーインタフェース51からの指示等にて任意のレシピを記憶部52から呼び出してプロセスコントローラ50に実行させることで、プロセスコントローラ50の制御下で、プラズマエッチング装置100での所望の処理が行われる。また、前記レシピは、例えば、CD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリなどのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納された状態のものを利用したり、あるいは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させて利用したりすることも可能である。
次に、このように構成される平行平板型プラズマエッチング装置を用いた本発明のエッチング方法について説明する。
まず、ゲートバルブ13を開にしてウエハWをチャンバー1内に搬入し、支持テーブル2に載置した後、支持テーブル2を図示の位置まで上昇させ、排気系12の真空ポンプにより排気ポート11を介してチャンバー1内を排気する。
そして処理ガス供給系23からエッチングガスおよび希釈ガスを含む処理ガスが所定の流量でチャンバー1内に導入され、チャンバー1内を所定の圧力にし、その状態で第1の高周波電源15から支持テーブル2に所定の高周波電力を供給する。この際に、ウエハWは、直流電源16から静電チャック6の電極6aに所定の電圧が印加されることにより例えばクーロン力により静電チャック6に吸着保持されるとともに、上部電極であるシャワーヘッド20と下部電極である支持テーブル2との間に高周波電界が形成される。これにより処理空間に供給された処理ガスがプラズマ化されて、そのプラズマによりウエハW上のポリシリコン層103のエッチングが行なわれる。このエッチングの際に、マルチポール磁石24により、処理空間の周囲に図5に示すような磁場を形成することにより、プラズマ閉じこめ効果が発揮され、ウエハWのエッチングレートを均一化することができる。
エッチングガスとしては、エッチング形状の均一性を確保する観点から、Cl、HBrとともにフッ素含有ガスを含むものを用いる。フッ素含有ガスとしては、1分子中に存在するFの数が多いものが好ましく、例えば、CF、CHF、SF、NF等を用いることが好ましい。また、フッ素含有ガスとともに酸素ガスを用いることによりエッチングの異方性を高めることができ、エッチングの形状を良好にすることができる。
エッチングの形状性を良好にするためには、ウエハWの温度を調節することも有効である。そのために冷媒室17が設けられており、この冷媒室17に冷媒が循環され、その冷熱が支持テーブル2を介してウエハWに対して伝熱され、これによりウエハWの処理面が所望の温度に制御される。エッチングの形状性つまり異方性を良好にするためには、ウエハWの温度を例えば30〜90℃程度に調整することが好ましい。
プラズマ生成用の第1の高周波電源15は、所望のプラズマを形成するためにその周波数および出力が適宜設定される。ウエハWの直上のプラズマ密度を高くする観点からは、周波数が40MHz以上であることが好ましい。
第2の高周波電源26は、プラズマのイオンエネルギーをコントロールするための高周波電力を供給するものであり、その周波数は第1の高周波電源15の周波数よりも小さく3.2MHz以上であることが好ましい。
以上のように、エッチングの際に使用するガス種とその流量比を選択することにより、エッチング形状の均一化を図ることができる。また、他の処理条件の好ましい範囲として、チャンバー1内のガス圧力は0.13〜6.67Pa(1〜50mTorr)、第1の高周波電源15の周波数を100MHz、第2の高周波電源26の周波数を13MHz、マルチポール磁石24によって形成される処理空間での磁場の強さを5.6〜45.4μT(56〜454G)とする。このような条件を採用することにより、マスクパターンの疎密差に関わらずウエハWのエッチング形状を均一化することができる。
次に、エッチングガスの組成を変化させてウエハWをエッチングし、そのエッチング形状を観察した試験結果について説明する。
ウエハの表面に、下層からゲート絶縁膜102と、ポリシリコン層103と、疎密を有するライン&スペースのマスクパターンが形成済みのSiO(TEOS)のマスク膜104が形成された被処理体を準備し、図4の平行平板型プラズマエッチング装置100を用いてエッチングを行った。エッチング形状は、側壁角度[180°−溝の側壁と底面とのなす角度]およびサイドエッチングの有無についてSEMの撮像を元に測定を行なった。
エッチングの際のチャンバー1内の圧力は0.67Pa(5mTorr)とし、チャンバー1内に供給するエッチングガスとしてCl/HBr/O/CFを用いた。Oガスの流量は1mL/min(sccm)に固定し、ClとHBrとCFの流量を表1に示すように変化させた。そして、第1の高周波電源15の周波数を100MHz、第2の高周波電源26の周波数を13MHz、第1の高周波電源15からの高周波電力の出力を100W、第2の高周波電源26からの高周波電力の出力を200Wとした。また、ウエハWを効率よく冷却するためにウエハ裏面に冷却ガスをウエハWのセンター部で1333Pa(10Torr)、ウエハのエッジ部で4000Pa(30Torr)のバックプレッシャーで供給することにより、ウエハWの温度が30℃になるようにした。なお、シャワーヘッド20の温度は80℃、チャンバー1側壁の温度=70℃とした。また、エッチングにより形成する溝の幅は、0.05μmおよび0.3μmとした。
Figure 2007214299
表1に、各条件における側壁角度を示した。HBrの流量に対するCFの流量が少ないと、パターンの疎密に基づく側壁角度の差(疎密差)が大きくなる傾向が確認された。これはCFによる側壁保護作用が十分に発揮されず、被エッチング部位の面積の差によってSiCl、SiBrなどの反応生成物の付着量に差が生じ、エッチングの進行に疎密差が生じたためであると考えられる。
一方、Cl流量が少ないと、溝の断面形状がテーパー状になり、側壁角度が小さくなるとともに疎密差が大きくなる傾向が確認された。逆に、Cl流量が多い場合は、側壁角度が大きくなる傾向がみられ、パターンが密の領域では90°を超えてしまいサイドエッチングが発生した。
また、HBrの流量に対するCFの流量が少なく、かつCl流量が少ないと、疎の領域におけるエッチングの進行が遅くなり、疎密差が拡大する結果となった。
さらに、HBrの流量に対するCFの流量が多く、かつCl流量も多い場合には、疎密差は改善されるものの、サイドエッチングの発生も顕著であった。
以上のように、本実施形態の方法を採用することにより、疎密のあるパターンに対してエッチングを行なう際にも、エッチング形状の均一性を確保できることが確認された。
以上、本発明の実施形態を述べたが、本発明は上記実施形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では平行平板型プラズマエッチング装置の磁場形成手段としてマルチポール磁石を用いたが、これに限るものではなく、磁場の形成も必須なものではない。また、本発明のガス種によってプラズマを形成することができれば装置は問わず、容量結合型や誘導結合型、マイクロ波型等の種々のプラズマエッチング装置を用いることができる。
本発明は、例えばトランジスタなどの各種半導体装置を製造する過程において好適に利用可能である。
本発明方法が適用される半導体ウエハの断面構造を示す模式図。 本発明方法によるエッチング後の半導体ウエハの断面構造を示す模式図。 従来の方法によるエッチング後の半導体ウエハの断面構造を示す模式図。 本発明のエッチング方法の実施に好適な平行平板型プラズマエッチング装置を示す断面図。 図4の装置のチャンバーの周囲に配置されたマルチポール磁石を模式的に示す水平断面図。 図4の装置のセグメント磁石の回転動作およびその際の磁場の変化を説明するための図。
符号の説明
1;チャンバー(処理容器)
2;支持テーブル(電極)
12;排気系
15;第1の高周波電源
17;冷媒室
18;ガス導入機構
20;シャワーヘッド(電極)
23;処理ガス供給系
24;マルチポール磁石
26;第2の高周波電源
101;Si基板
102;ゲート絶縁膜
103;ポリシリコン層
104;マスク膜
105;開口パターン
105a;密の領域
105b;疎の領域
W;ウエハ

Claims (9)

  1. プラズマ処理装置の処理室内で被処理体上の被エッチング層に対しプラズマエッチング処理を行なって凹部を形成するエッチング方法であって、
    被エッチング層上に形成された、開口幅の狭い密の領域と開口幅の広い疎の領域とを有する開口パターンのマスクを用い、
    少なくともClと、HBrと、CFまたはCHFから選ばれるフッ素含有ガスと、を含有する処理ガスを、HBrとClとのガス流量比(HBr/Cl)が1.2以上、かつフッ素含有ガスとHBrとのガス流量比(フッ素含有ガス/HBr)が1.0以上となるように前記処理室内に導入してプラズマを励起させ、該プラズマにより、前記開口パターンにおいて露出した部分の前記被エッチング層をエッチングして前記凹部を形成することを特徴とする、エッチング方法。
  2. プラズマ処理装置の処理室内で被処理体上の被エッチング層に対しプラズマエッチング処理を行なって凹部を形成するエッチング方法であって、
    被エッチング層上に形成された、開口幅の狭い密の領域と開口幅の広い疎の領域とを有する開口パターンのマスクを用い、
    少なくともClと、HBrと、CFまたはCHFから選ばれるフッ素含有ガスと、を含有する処理ガスを、HBrとClとのガス流量比(HBr/Cl)が1.2以上、かつフッ素含有ガスとHBrとのガス流量比(フッ素含有ガス/HBr)が1.0以上となるように前記処理室内に導入してプラズマを励起させ、該プラズマにより、前記開口パターンにおいて露出した部分の前記被エッチング層をエッチングし、
    前記凹部の側壁角度が90°を超えず、かつ前記疎の領域に形成される前記凹部の側壁角度と、前記密の領域に形成される前記凹部の側壁角度との差が16°以下となるように前記凹部を形成することを特徴とする、エッチング方法。
  3. 前記被エッチング層が、ポリシリコン層であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のエッチング方法。
  4. 前記密の領域の前記開口パターンの幅に対する前記疎の領域の前記開口パターンの幅の比率が、10以上であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエッチング方法。
  5. コンピュータ上で動作し、実行時に、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載されたエッチング方法が行なわれるように前記プラズマ処理装置を制御することを特徴とする、制御プログラム。
  6. コンピュータ上で動作する制御プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
    前記制御プログラムは、実行時に、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載されたエッチング方法が行なわれるように前記プラズマ処理装置を制御するものであることを特徴とする、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
  7. 被処理体に対しプラズマエッチング処理を行なうための処理室と、
    前記処理室内で被処理体を載置する支持体と、
    前記処理室内を減圧するための排気手段と、
    前記処理室内に処理ガスを供給するためのガス供給手段と、
    前記処理室内で請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたエッチング方法が行なわれるように制御する制御部と、
    を備えたことを特徴とする、プラズマ処理装置。
  8. 基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜より上層に形成されたポリシリコン層と、を備えた被処理体に対し、
    前記ポリシリコン層上に形成された、開口幅の狭い密の領域と開口幅の広い疎の領域とを有する開口パターンのマスクを用い、少なくともClと、HBrと、CFまたはCHFから選ばれるフッ素含有ガスと、を含有する処理ガスを、HBrとClとのガス流量比(HBr/Cl)が1.2以上、かつフッ素含有ガスとHBrとのガス流量比(フッ素含有ガス/HBr)が1.0以上となるように処理室内に導入してプラズマを励起させ、前記開口パターンにおいて露出した部分の前記ポリシリコン層をエッチングして凹部を形成するエッチング工程を含むことを特徴とする、半導体装置の製造方法。
  9. 基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜より上層に形成されたポリシリコン層と、を備えた被処理体に対し、
    前記ポリシリコン層上に形成された、開口幅の狭い密の領域と開口幅の広い疎の領域とを有する開口パターンのマスクを用い、少なくともClと、HBrと、CFまたはCHFから選ばれるフッ素含有ガスと、を含有する処理ガスを、HBrとClとのガス流量比(HBr/Cl)が1.2以上、かつフッ素含有ガスとHBrとのガス流量比(フッ素含有ガス/HBr)が1.0以上となるように処理室内に導入してプラズマを励起させ、前記開口パターンにおいて露出した部分の前記ポリシリコン層をエッチングし、
    凹部の側壁角度が90°を超えず、かつ前記疎の領域に形成される前記凹部の側壁角度と、前記密の領域に形成される前記凹部の側壁角度との差が16°以下となるように前記凹部を形成するエッチング工程を含むことを特徴とする、半導体装置の製造方法。
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