JP4284008B2 - 油圧式エレベータの降下防止装置 - Google Patents

油圧式エレベータの降下防止装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カゴの昇降を案内する案内レールを掴んでカゴを非常停止させる非常停止手段をカゴ側に備えた油圧式エレベータのカゴの降下防止方法とその装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の油圧式エレベータにもカゴの落下防止装置は当然装備されていた。
しかし、従来の落下防止装置は、カゴが昇降運転されている状態における事故発生、例えば、ケーブルの破断や油圧システムの全面的なダウンに対処するためであった。
従って、カゴがその昇降を運転を止めている場合、即ち、カゴの扉が開いている場合には、カゴの昇降運転システムは一時的に停止された状態にあるため、この状態下での異常発生には対応されていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
油圧式エレベータシステムでは、例えば図4に示すように、油圧タンク1から加圧手段2と流量制御手段3とを経てシリンダ4に油が供給され、油の供給圧力によりプランジャ5を上下動させることによって、当該プランジャ5の頂部のプーリ7に巻きまわされたケーブル8を介して、カゴ6が案内レール9に案内されながら昇降運転される構成となっている。
尚、符号10はカゴ6の床下に装置された非常停止手段であり、従来の落下防止装置の構成要素の一つである。この非常停止手段10は、図示されていないシステム安全装置からの非常停止指令に基づいて、カゴ6の昇降を案内する案内レール9を掴んでカゴ6を非常停止させる。
【0004】
この油圧式エレベータシステムでは、プランジャパッキン11の不良等によって、シリンダ4から油漏れが生じ始めると、流量制御手段3を閉じたり、停止させたりしても、シリンダ4からの油漏れを阻止することができない。
勿論、シリンダ4からの油漏れが大量で、カゴ6が例えば制限速度を越えて落下する程の漏れ量であれば、上述した落下防止装置(非図示)が作動するが、比較的、漏れ量が少ない場合では、落下といえるほどの速度に及ばず、緩やかに滑り降るため、従来の落下防止装置が作動しない。しかも、昇降運転に際しては、所要の油圧や流量が補正されるため、このような異常は発見され難い。
【0005】
殊に、カゴ6が指定された階に停止して、乗り降りのためカゴ6の扉12が開かれている状態においては、このシリンダ4の油漏れによって、カゴ6が緩やかに降下し、カゴ6の床面が停止階の床面より下がって段差が生じたり、カゴ6と停止階との床面との間に上下方向の間隙が生じて昇降路空間とカゴ室内空間とが連通してしまうという不都合が生じる。
【0006】
本発明は、上記のような問題を解消するため、カゴの扉が開いている状態におけるカゴの異常降下を防止する装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決する手段】
請求項1の油圧式エレベータの降下防止装置の発明は、カゴの昇降を案内する案内レールを掴んで前記カゴを非常停止させる非常停止手段をカゴ側に備えた油圧式エレベータにおいて、
前記カゴの扉が開いている状態における前記カゴの異常降下を検出する異常降下検出手段と、前記異常降下検出手段の異常降下検出出力に基づいて、前記非常停止手段を作動させる作動手段と、を備え、前記作動手段は、前記非常停止手段を牽引により作動させるよう前記非常停止手段の始動レバーに連繋された索条と当該索条の巻取手段とを有し、前記異常降下検出出力に基づく前記巻取手段の巻き取り作動による前記索条の牽引によって前記非常停止手段を作動させる構成としたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の油圧式エレベータの降下防止装置の発明は、カゴの昇降を案内する案内レールを掴んで前記カゴを非常停止させる非常停止手段をカゴ側に備えた油圧式エレベータにおいて、
前記カゴの扉が開いている状態における前記カゴの異常降下を検出する異常降下検出手段と、前記異常降下検出手段の異常降下検出出力に基づいて、前記非常停止手段を作動させる作動手段とを備え、前記作動手段は、前記非常停止手段の始動レバーを操作可能に噛み合うギヤと、前記ギヤを回転させるギヤ駆動手段とを有し、前記異常降下検出出力に基づく前記ギヤ駆動手段の駆動による前記ギヤの回転によって前記非常停止手段を作動させる構成としたことを特徴とする。
【0009】
請求項3の油圧式エレベータの降下防止装置の発明は、カゴの昇降を案内する案内レールを掴んで前記カゴを非常停止させる非常停止手段をカゴ側に備えた油圧式エレベータにおいて、
前記カゴの扉が開いている状態における前記カゴの異常降下を検出する異常降下検出手段と、前記異常降下検出手段の異常降下検出出力に基づいて、前記非常停止手段を作動させる作動手段とを備え、前記作動手段は、前記非常停止手段の始動レバーを操作可能に当接されたカムと、前記カムを作動させるカム駆動手段とを有し、前記異常降下検出出力に基づく前記カム駆動手段の駆動による前記カムの作動によって前記非常停止手段を作動させる構成としたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1を示す図1に基づいて説明する。図1は降下防止装置の概念図である。図1に示す降下防止装置は、カゴ6の昇降を案内する案内レール9を掴んでカゴ6を非常停止させる非常停止手段10をカゴ6側に備えた油圧式エレベータである。
【0013】
図1において、符号20A及び20Bは異常降下検出手段である。異常降下検出手段20A及び20Bは、カゴ6が所定の階Sに停止し、カゴ6の扉12が開いている状態において、本来停止しているはずのカゴ6が異常降下したことを検出する検出手段である。
図示の例では、異常降下検出手段は、検出本体としての発受光素子20Aと反射器としての反射板20Bとで構成された反射型光センサを用いて構成されている。カゴ6側には発受光素子20Aが、所定の階S側の適所には反射板20Bが配設されており、発光素子(20A)からの光が反射板20Bに反射されて受光素子(20A)で受光されている状態で、カゴ6の停止状態が検出され、本来この停止状態にあるべきであるにもかかわらず、カゴ6が降下すると、発光素子(20A)と反射板20Bとの位置がずれて受光不能となるため、所定の階Sの所定停止位置より降下したこと、即ち異常降下が検出される。この異常降下検出手段20A及び20Bの異常降下検出出力に基づき、後述の作動手段を介して非常停止手段13が作動する。
【0014】
異常降下検出手段は、上記の反射型光センサ(20A及び20B)を用いた位置検出センサに限らず、カゴ6の降下移動や降下速度等を検出する速度検出器等を用いて構成してもよい。
何れにしても、異常降下検出手段は、カゴ6が所定の階Sに停止してカゴ6の扉12が開いた状態におけるカゴ6の降下を検出するものであるから、少なくとも、例えば、カゴ6の扉12の開状態を検出する開扉検出手段21からの開状態の検出信号に基づいて作動するように構成しておけばよい。
【0015】
非常停止手段10は、従来からカゴ6側に装備されている落下防止装置(非図示)の構成要素であり、カゴ6の昇降を案内する案内レール9を掴んでカゴ6を非常停止させる。非常停止手段10はその始動レバー10Aが操作、この場合傾動されることで作動する。従来の落下防止装置は、当該装置を構成する検出手段(非図示)の異常検出信号に基づいてこの始動レバー10Aを操作していた。
【0016】
この実施の形態1では、上記異常降下検出手段20A及び20Bが異常降下を検出すると、後述の作動手段を介して非常停止手段10を作動させる構成となっている。
この形態1の作動手段は、非常停止手段10の始動レバー10Aを索条を介して牽引して作動させるもので、非常停止手段10の始動レバー10Aに連繋された索条としてのワイヤ10Bと、このワイヤ10Bの巻取手段10Cとを備え、異常降下検出手段からの異常降下検出出力に基づいて、巻取手段10Cを巻き取り作動させ、ワイヤ10Bを牽引することによって始動レバー10Aを傾動させて非常停止手段10を作動させる構成としたものである。
【0017】
実施の形態2.
実施の形態2は、図2に示すように、上記実施の形態1における作動手段を、非常停止手段10の始動レバー10Aを傾動操作可能に噛み合わされたギヤ10Dと、このギヤ10Dを正逆回転させるギヤ駆動手段10Eとを備え、異常降下検出手段20A及び20Bからの異常降下検出出力に基づいて、ギヤ駆動手段10Eを駆動させて、例えば、ギヤ10Dを正回転させることによって始動レバー10Aを傾動し、非常停止手段10を作動させる構成としたものである。
この形態2によれば、異常降下に対する処置が終了した段階で、ギヤ駆動手段Yを逆回転させることによって、始動レバー10Aの傾きを復帰させ、非常停止を解除させることができる。
【0018】
実施の形態3.
実施の形態3は、図3に示すように、上記実施の形態1における作動手段を、非常停止手段10の始動レバー10Aを傾動操作可能に当接されたカム10Fと、このカム10Fを作動させるカム駆動手段10Gとを備え、異常降下検出手段20A及び20Bからの異常降下検出出力に基づいて、カム駆動手段10Gを駆動させ、カム10Fの作動で始動レバー10Aを傾動させ、非常停止手段10を作動させる構成としたものである。
この形態2によれば、始動レバー10Aに当接するカム10Fの摺面を所要の形状とすることによって、異常降下に対する処置が終了した段階で、ギヤ駆動手段10Gを更に同方向に回転駆動させることによって、始動レバー10Aの傾きを復帰させて、非常停止を解除させることができる。
【0019】
【発明の効果】
請求項1乃至請求項の各発明によれば、何れも、所定の階に本来停止していなければならないカゴが、その扉が開いている状態におい異常降下することを防止することができる。
又、異状降下防止手段の作動により、その原因が油圧システムのシリンダにおける油漏れの発生を間接的に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の降下防止装置の構成の概念図である。
【図2】 実施の形態2の降下防止装置の構成の概念図である。
【図3】 実施の形態3の降下防止装置の構成の概念図である。
【図4】 油圧式エレベータの構成の概念図である。
【符号の説明】
6 カゴ、9 案内レール、10 非常停止手段、10A 作動レバー(非常停止手段)、10B ワイヤ(作動手段)、10C 巻取手段(作動手段)、10Dギヤ(作動手段)、10E ギヤ駆動手段(作動手段)、10F カム(作動手段)、10G カム駆動手段(作動手段)、12 扉(カゴ)、20A 発受光素子(異常降下検出手段)、20B 反射板(異常降下検出手段)。

Claims (3)

  1. カゴの昇降を案内する案内レールを掴んで前記カゴを非常停止させる非常停止手段をカゴ側に備えた油圧式エレベータにおいて、
    前記カゴの扉が開いている状態における前記カゴの異常降下を検出する異常降下検出手段と、前記異常降下検出手段の異常降下検出出力に基づいて、前記非常停止手段を作動させる作動手段と、を備え、
    前記作動手段は、前記非常停止手段を牽引により作動させるよう前記非常停止手段の始動レバーに連繋された索条と当該索条の巻取手段とを有し、前記異常降下検出出力に基づく前記巻取手段の巻き取り作動による前記索条の牽引によって前記非常停止手段を作動させる構成としたことを特徴とする油圧式エレベータの降下防止装置
  2. カゴの昇降を案内する案内レールを掴んで前記カゴを非常停止させる非常停止手段をカゴ側に備えた油圧式エレベータにおいて、
    前記カゴの扉が開いている状態における前記カゴの異常降下を検出する異常降下検出手段と、前記異常降下検出手段の異常降下検出出力に基づいて、前記非常停止手段を作動させる作動手段とを備え
    前記作動手段は、前記非常停止手段の始動レバーを操作可能に噛み合うギヤと、前記ギヤを回転させるギヤ駆動手段とを有し、前記異常降下検出出力に基づく前記ギヤ駆動手段の駆動によるギヤの回転によって前記非常停止手段を作動させる構成としたことを特徴とする油圧式エレベータの降下防止装置。
  3. カゴの昇降を案内する案内レールを掴んでカゴを非常停止させる非常停止手段をカゴ側に備えた油圧式エレベータにおいて、
    前記カゴの扉が開いている状態における前記カゴの異常降下を検出する異常降下検出手段と、前記異常降下検出手段の異常降下検出出力に基づいて、前記非常停止手段を作動させる作動手段とを備え、
    前記作動手段は、前記非常停止手段の始動レバーを操作可能に当接されたカムと、前記カムを作動させるカム駆動手段とを有し、前記異常降下検出出力に基づく前記カム駆動手段の駆動による前記カムの作動によって前記非常停止手段を作動させる構成としたことを特徴とする油圧式エレベータの降下防止装置。
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