JP4283300B2 - 冷蔵庫の扉 - Google Patents

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Description

この発明は、冷蔵庫の扉に関わり、特に冷蔵庫の扉のハンドルに関する。
従来、ハンドルを取り付けるについて、部品点数を少なくできると共に、取付強度を確保できるようにするために、扉本体の外殻の一部を構成する下側のキャップに、ねじ穴を有するボス部を一体に設け、ハンドルをこれらボス部にねじにより取付固定する。したがって、ハンドルを取り付けるについて、当て板などを別途必要とせず、その分部品点数を少なくでき、また、ボス部と扉本体内部に充填される発泡断熱材との間の接着力に頼らずとも、十分な強度を確保することができる貯蔵庫の扉が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、扉を容易に開けることができる冷蔵庫を提供するために、4辺を箱状にフランジ加工した金属製のドアパネルと、このドアパネルに対向して組み合わされる内板と、ドアパネルに取付けたドアハンドルとを備え、ドアパネルは、端辺部に段差を施し、段差の近傍にドアハンドルを取付けていることにより、ドアパネルから飛出したドアハンドルの高さを抑えた形状でドアハンドルが握りやすく、ドアを開けやすくした冷蔵庫が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、冷蔵庫の正面をなす薄板状のドアパネルと、ドアパネルの上下縁部に嵌合されているドアキャップとに発泡断熱材を充填して構成される、冷蔵庫本体前面に軸支持され開閉可能に取付けられた冷蔵庫扉と、この冷蔵庫扉の反軸側に握り部のあるハンドルに於いて、このハンドルはドアパネル穴の裏側から取付けた2ヶ以上のネジ板を取り付けネジにて締結する構造は、通常良く用いられる技術である。
特開平11−159945号公報 特開2005−326059号公報
しかしながら、前記特許文献1の貯蔵庫の扉は、キャップのボス部が扉外板に対して直交する方向に延びており、ボス部とハンドルとの間で扉外板を挟み込む構造となっている。この構造では、ハンドルには子供がぶら下がりや、扉開閉による繰返し応力でも変形の無いように、ねじの締め付けは、大きな締め付けトルクが必要である。しかし、キャップのボス部では、大きな締め付けトルクで締め付けると、ねじばかやボス部が破壊してしまうため、大きな締め付けトルクが確保できなく、ねじのゆるみとなってしまう課題があった。
また、前記特許文献2の冷蔵庫は、4辺を箱状にフランジ加工した金属製のドアパネル端辺部に段差を施し、段差の近傍にドアハンドルを取付けていることにより、ドアパネルから飛出したドアハンドルの高さを抑えた形状でドアハンドルが握りやすく、ドアを開けやすくした冷蔵庫となっている。しかし、4辺ともフランジ加工してあり、曲げ加工による段差になるため、段差はドアパネル端面全体となり意匠的な制約がある。さらにハンドルは断熱材注入前に取付ける為、ハンドル等が不良となった扉からハンドルを取外しすることができない課題があった。
また、ハンドルを冷蔵庫の正面をなすドアパネル穴の裏側から取付けた2ヶ以上のねじ板にねじ締結する構造は、通常良く用いられる技術である。しかし、ハンドルを断熱材注入後に扉に取付ける為、ハンドルの取外しは自在に行えるが、ハンドルの外形寸法は大きくなり、またネジ板が多くコストが高いという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、意匠性が優れ、外形寸法を抑えながら、安価で強度も充分な構造のハンドルを有する冷蔵庫の扉を提供することを目的とする。
この発明に係る冷蔵庫の扉は、前面を形成するドアパネルと、このドアパネルの上下縁部に嵌合するドアキャップと、内板とで形成される空間に発泡断熱材を充填して構成され、冷蔵庫本体前面に軸支されて開閉可能に取付けられる冷蔵庫扉本体と、この冷蔵庫扉本体に設けられ、全体の形状が略L字形で、L字形の垂直片がドアパネルに締結され、L字形の水平片がドアキャップに締結され、L字形の垂直片の締結方向とL字形の水平片の締結方向とが約90゜異なるハンドルとを備えたことを特徴とする。
この発明の冷蔵庫の扉は、L字形の垂直片がドアパネルに締結され、L字形の水平片がドアキャップに締結され、L字形の垂直片の締結方向とL字形の水平片の締結方向とが約90゜異なるハンドルとを備えたことにより、安価でありながら強度が充分なハンドルを有する冷蔵庫の扉を得ることができる。
実施の形態1.
図1乃至図9は実施の形態1を示す図で、図1は冷蔵庫の正面図、図2は冷蔵室扉50へハンドル51を装着する前の分解斜視図、図3は図2の拡大図、図4は冷蔵室扉50のハンドル51を裏から見た分解斜視図、図5はハンドル51の付いた冷蔵室扉50の前方視部分斜視図、図6は図5のZ−Z断面図、図7は図5のY−Y断面図、図8は図5のX−X断面図、図9は冷蔵室扉50の冷蔵室上ドアキャップ2の裏面斜視図である。
図1において、冷蔵庫100は、上部が冷凍室で、下部が冷蔵室になっている。そして、冷凍室には、前面開口部を開閉する回転式の冷凍室扉60が取り付けられている。また、冷蔵室には、前面開口部を開閉する回転式の冷蔵室扉50が取り付けられている。
冷蔵室扉50は、薄板鋼板からなる冷蔵室ドアパネル1(ドアパネルの一例)と、この冷蔵室ドアパネル1の上縁部に嵌合する冷蔵室上ドアキャップ2(ドアキャップの一例)と、冷蔵室ドアパネル1の下縁部に嵌合する冷蔵室下ドアキャップ9(ドアキャップの一例)と、発泡治具(又は扉内板)とにより形成される空間に断熱材を充填して構成される。
冷蔵室扉50は、冷蔵庫本体の前面に軸支持され、開閉可能に取り付けられる。冷蔵室ドアパネル1の反軸側の上縁部近傍に略半円状の凹部1aが設けられている。この略半円状の凹部1aの上を斜めに(図1では、やや反時計方向に傾く)橋渡しするように、握り部を有するハンドル51が取り付けられる。
また、冷凍室扉60は、薄板鋼板からなる冷凍室ドアパネル11(ドアパネルの一例)と、この冷凍室ドアパネル11の下縁部に嵌合する冷凍室下ドアキャップ12(ドアキャップの一例)と、冷凍室ドアパネル11の上縁部に嵌合する冷凍室上ドアキャップ19(ドアキャップの一例)と、発泡治具(又は扉内板)とにより形成される空間に断熱材を充填して構成される。
冷凍室扉60は、冷蔵庫本体の前面に軸支持され、開閉可能に取り付けられる。冷凍室ドアパネル11の反軸側の下縁部近傍に略半円状の凹部11aが設けられている。この略半円状の凹部11aの上を斜めに(図1では、やや反時計方向に傾く)橋渡しするように、握り部を有するハンドル61が取り付けられる。
冷蔵室扉50側の凹部1aと、冷凍室扉60側の凹部11aを合せると、ちょうど円形の凹部に見え、その円形の凹部の上を斜めに一直線状にハンドル51とハンドル61が橋渡しする形となっている。
図2、図3により、冷蔵室扉50に取り付けられるハンドル51と、冷蔵室扉50のハンドル51が取り付けられる部位について、詳細に説明する。図2に示すように、ハンドル51は、ハンドルボディー4と、ハンドルカバー5とからなる。
ハンドルボディー4は、垂直片の長さが約150mm程度のL字形である。ハンドルボディー4を、例えば、M5(mm)の六角タッピンねじ7と、タッピン皿ねじ3(皿ねじの一例9とで、冷蔵室扉本体50a(冷蔵庫扉本体の一例)に固定する。六角タッピンねじ7で締結する1ヶ所は、冷蔵室ドアパネル1の穴1dに対し裏側から凸部6dを挿入して嵌合された1ヶのねじ板6を利用する。このねじ板6には、ねじ切り用の、例えばφ4.5(mm)の穴6cが開けられている。M5の六角タッピンねじ7は、冷蔵室ドアパネル1のねじ逃がし用穴1cと、L字形のハンドルボディー4の垂直片に開けられたねじ逃がし用穴4cとを通り、ねじ板6の穴6cをねじ切って、ハンドルボディー4を冷蔵室ドアパネル1に締結する。
ハンドルボディー4を冷蔵室ドアパネル1に締結する他のねじであるタッピン皿ねじ3は、L字形のハンドルボディー4の水平片を、冷蔵室上ドアキャップ2に固定する。冷蔵室上ドアキャップ2には、切欠き部2aが形成されている。先ず、冷蔵室上ドアキャップ2のこの切欠き部2aに、ハンドルボディー4の水平片であるL字の面4aを嵌め込む。その際、切欠き部2aの垂直面である三つの壁面2bと、ハンドルボディー4のL字の面4aの三つの壁面4bとを、全て面接触させて、ガタツキが生じないように結合する。ハンドルボディー4を、冷蔵室上ドアキャップ2の切欠き部2aに嵌め込んだ後に、冷蔵室上ドアキャップ2の中央付近から下方向に設けられたボス部2f(図3参照)に、ハンドルボディー4のL字の面4aに形成された円錐状のねじ穴4fを通したM5のタッピン皿ねじ3を締結する。このタッピン皿ねじ3は、六角タッピンねじ7と締結方向が約90゜異なる。
また、冷蔵室上ドアキャップ2の広い天面意匠面から正面側に延びたフランジ2dは、例えば高さ8mmであり、フランジ2dの裏側の壁面で冷蔵室ドアパネル1の端面1eをほぼ全周挟み込んでいる。冷蔵室上ドアキャップ2の切欠き部2a付近は、爪2eの箇所を除いてフランジ2dの裏側の壁面で挟み込んでいない構造となっている。この爪2eを逃す為に、ハンドルボディー4のL字の面4aには、穴4eが設けられている。この穴4eの、ねじ穴4fに近い壁面4e1は、冷蔵室上ドアキャップ2の爪2eに接触している。穴4eと爪2eの結合と、切欠き部2aとL字の面4aとの嵌合によって、ねじを締結する前でも冷蔵室上ドアキャップ2とハンドルボディー4は位置が決まる。
次に、ハンドルカバー5とハンドルボディー4および冷蔵室上ドアキャップ2との嵌合について説明する。図4は冷蔵室扉50のハンドル51を裏から見た分解斜視図である。ハンドルカバー5は、ハンドルボディー4の意匠面の大部分を覆うように取付けられる。ハンドルカバー5の外周フランジ5iが、ハンドルボディー4の側壁4iに対し、弁当箱をかぶせたように覆う。そのため、上下方向には若干のクリアランスがあるが、上下左右方向に密着しはずれることは無い。そのため、ハンドルカバー5とハンドルボディー4とは、前後方向にしか動かない構造である。ハンドルボディー4の左右各3ヶ所の爪4gと、ハンドルカバー5の左右各3ヶ所の凹部5gとを嵌合させて固定している。この爪4gの周囲3辺には、ハンドルボディー4の基本肉厚3mmよりも深い位置まで達している切欠き4g1が設けられ、爪4gをたわみ易くしている。
また、図3に戻り、ハンドルカバー5のL字の面5aから突出し、L字の面5aより1段低い位置にある2ヶ所の爪5cを、冷蔵室上ドアキャップ2の切欠き部2aに設けられ、広い意匠面である天面より1段低い位置にある2ヶ所の凹部2cに嵌合させる。それにより、ハンドルカバー5の上方向への跳ね上りを防止して、冷蔵室扉50にハンドルカバー5が取付けられている。
冷蔵室上ドアキャップ2の広い天面の意匠面と、ハンドルカバー5のL字の面5aとを同一高さとすることで、両者は略同一面となっている。また、ハンドルボディー4のL字の面4aの裏側は、冷蔵室上ドアキャップ2の切欠き部2aに接合する接合面4kと、接合せずに人の指が接触する指接触面4j(内側手掛け部の一例)とには段差が設けられている。この人の指が接触する指接触面4jと、冷蔵室上ドアキャップ2の広い天面意匠面側から正面側に延びた高さ8mmのフランジ2dの先端部にある先端面2j(図3参照)と、ハンドルカバー5のL字の面5aと平行で、L字の面5aの左右端面から延びた外周フランジ5iの先端面5jとが略同一面となっている。
また、ハンドルカバー5のL字の面5aの裏側にあり、ハンドルボディー4のL字の面4aと接触する接触面5kには、接触面5kと平行な凹み部5mがある。この凹み部5mと接触面5kは、3面に渡り傾斜面5nにてつながっている。
図6に示すように、冷蔵室上ドアキャップ2の切欠き部2a中央付近から下方向に設けられたボス部2fの高さは、タッピン皿ねじ3の有効ねじ部より高くねじの先端部よりは低い高さとなっている。ボス部2fの天面2f1は、0.5mm程度の厚さとなっているので、タッピン皿ねじ3が貫通できる。冷蔵室上ドアキャップ2の2ヶ所の凹部2cの裏側周辺は、2ヶ所の凹部2cを囲むようにT字状のリブ2n(図9参照)が付いている。
図7、図8に示すように、ハンドルボディー4の裏側手掛け部は中央部が膨らんだラウンド形状4pになっている。ラウンド形状4pと、指が接触する指接触面4jとが垂直に交わるコーナー部には、指の掛かり易いように指1本程度の幅の凹み部4qがあり、手掛け部のうち20〜30mm(上下方向)くらいの範囲で徐々に断面形状が変化しながらラウンド形状4pへと移行している。
また、ハンドルボディー4の裏側で、手掛け部のねじ逃がし用穴4cに近い部分には、冷蔵室ドアパネル1やその半円状の凹部1aやそのコーナーR1bと接触するまでの高さで、角の丸いひし形のような形状のリブ4r(規制壁の一例)があり、リブ4rの頂点部4r1は、ハンドルボディー4を扉に取付けた際に、正面から見て左側にあるが、側壁4iの左端面よりは中央よりに存在する(図4参照)。
次に動作について説明する。
上記のように構成された冷蔵室ドアパネル1の半円状の凹部1aと、ハンドルボディー4の指の入る隙間は、図7のように冷蔵室上ドアキャップ2に近い側は広いが、リブ4rに近くなると狭くなる。また、図8のように冷蔵室ドアパネル1の半円状の凹部1aの円周部のコーナーR1bの近くになるほど狭くなる為、冷蔵室ドアパネル1の半円状の凹部1aとハンドルボディー4の指の入る隙間は、左側Aが狭く(最小6mm程度)、右側Bが広い(最小10mm程度)構造となっている。
次に、ねじの締付けについて説明する。ねじは山の掛かり数や掛かる面積によって締付けトルクは変化する。一般的には、ねじ山がいくらあっても3〜4山程度しか掛かっていない。また、ABS等のプラスチック樹脂と亜鉛鋼板等の板金部品とでは引張り強度が5倍〜何十倍以上も違う為、板金のねじ板を使用してねじを締結する際に、ねじ山が2〜3山でも掛かれば、ABS等のプラスチックのボス部に対し、破壊トルクとして少なくとも数倍の裕度があるため、大きなトルクで締め付けることができる。
冷蔵室ドアパネル1の正面側からハンドル51をねじにて取付けると、冷蔵室扉50の開閉方向にねじが締結される。ねじの締付けトルクは、締付け力に比例し、締付け力は締付け応力と摩擦力に分解される。扉の繰返しの開閉によるハンドル引っ張り力は、ねじの締付け力とは正反対に力が働き、締付け応力・摩擦力とも低下するため、ねじの締付けトルクが大きくないとねじのゆるみが発生する。また、摩擦力はねじ山が材料と掛かっている面積によって、締付け応力はねじ山のピッチ間の断面積によって変化する。
ねじを扉の開閉方向とは略90°変化させて締結すると、扉の開閉時にかかる繰返しの力は、ねじのせん断方向に働き、ねじ山の場所によって違うが、基本的には摩擦力を小さくする方向には働かない。つまり、ねじを抜く方向の力には力が働かない。またハンドルボディー4のL字の面4aの幅・厚さを大きくすれば、扉開閉時のハンドル引張り力を受ける断面積も大きくできるため、かかる応力を小さくすることが可能となる。
扉の開閉方向とは略90°変化させて締結する方向は、ハンドル51に子供がぶら下がる等の、突発的な上下方向の大きな力に対しては、ねじがゆるむ方向ではあるが、この力は繰返し掛かる力では無く、掛かる力をねじ板6側に多く分配させれば、ボス部2fに掛かる力は、小さな力しか掛からない。
具体的には、図6、7の冷蔵室扉50前後方向のハンドル51の縦断面において、手を掛けて上下に掛かる力は、ハンドルボディー4の指が接触する指接触面4jとリブ4rの面に作用する。指の掛かる範囲がどちらも(指接触面4jとリブ4rの面)、この図7の左右方向では(扉取付け時では前後方向)、指の掛かる位置は、ねじ板6側に近くなっている。この場合、手掛け部とねじ板6及びボス部2fとの左右の距離の比率により荷重を受ける比率が変化する。例えば、手を持つ位置をねじ板6とボス部2fとの間で、ねじ板6側:ボス部2f側=1:4に配置すれば、ボス部2f側には1/4の力しか掛からなくなる。よって、本構造のようにハンドルボディー4のL字の面4aの水平片を延ばして、ボス部2f側の位置をねじ板6よりできるだけ遠くに配置し、手掛け部を、ねじ板6側に配置すれば、それだけボス部2fに掛かる力を小さくすることが可能となる。
ハンドル51の垂直片の長さを長くした場合に、扉開閉時のハンドル引張り力が掛かった場合も、手を持つ位置によってねじ取付け部に掛かる応力を分配できるので、前記と同様に手を持つ位置をねじ板6とボス部2fとの間で、ねじ板6側:ボス部2f側=1:4に配置すれば、ボス部2f側には1/4の力しか掛からなくなる。つまり、ハンドル51の垂直片の長さを長くしても、手掛け部をボス部2fから離すように規制すれば、ボス部2fに掛かる力を小さくすることが可能となる。前述したように、本構造では、概略、ねじ板6側:ボス部2f側=1:1である。
以上のように、ハンドルボディー4とハンドルカバー5を構成したので、ハンドルボディー4とハンドルカバー5の外周をガタツキ無く結合すれば、爪4gと凹部5gにて嵌合された後部方向以外は、ハンドルカバー5は動作不可能となる。このため、ハンドルボディー4と嵌合した後では、通常使用では絶対に扉からはずれないハンドルカバー5も、後部方向に一瞬の強い力でハンドルカバー5のみを引くことができれば、ハンドルカバー5をハンドルボディー4および冷蔵室扉50からはずすことができる。その後ハンドルボディー4の二つのねじをはずせば、ハンドル51の交換を自在に行うことが可能となる。それにより、ハンドル51傷付きによる冷蔵室扉50の交換や、冷蔵室ドアパネル1の打痕時の扉交換の時にハンドル51をはずして別の扉に利用することもでき、無駄なコストが抑えられ、安価な構造で無駄の無い冷蔵室扉50となる。
そして、爪4gの周囲3辺に設けられているハンドルボディー4の基本肉厚3mmよりも深い切欠き4g1により、爪4gがたわみ易くなることで、ハンドルボディー4の手掛けの面とハンドルカバー5の意匠面とを近づけることが可能となり、ひいてはハンドル51を薄くできて冷蔵室扉50からのハンドル51の飛び出しを小さく抑えることにより、梱包寸法を小さくすることが可能でコスト削減となる冷蔵室扉50が得られる。
また、ねじ板6で大きな締め付けトルクを確保し、冷蔵室上ドアキャップ2の切欠き部2aでハンドル51を嵌め込むとともに上下方向に設けられたボス部2fがねじ板6側に締結する方向と90°違う方向であるので、冷蔵室扉50を引っ張る力をねじ板6側とボス部2f側とに半々程度に分配して、その分配された力がボス部2fにはねじのせん断方向に働くため、冷蔵室上ドアキャップ2に破壊トルク以上の締め付けトルクで締め付けなくても、ボス部2fがねじばかやねじのゆるみ、締付けトルクによる割れや扉開閉時の引張り強度による破壊もなくなり、冷蔵室扉本体50aとの取外し自在でありながら安価でありかつ強度も充分な冷蔵室扉50を、簡易な組立て方法で得ることができる。
さらに、ハンドルメッキ仕様として高級感を出す際に、ハンドルカバー5のみをメッキ仕様にし、ハンドルボディー4をメッキ無し仕様とすれば、冷蔵室上ドアキャップ2および冷凍室下ドアキャップ12と高さがそろったメッキ仕様のハンドル51及びハンドル61を安価に得ることができる。
図7、図8のように、ハンドルボディー4の裏側手掛け部は、中央部が膨らんだラウンド形状4pをしているが、指が接触する指接触面4jとの垂直に交わるコーナー部には、指1本程度の幅の凹み部4qがあり、手掛け部のうち20〜30mmくらいの範囲で徐々に変化しながらラウンド形状4pへと移行している。
また、手掛け部は、冷蔵室ドアパネル1やその半円状の凹部1aやそのコーナーR1bと接触するまでの高さで、角の丸いひし形のような形状のリブ4rがある。リブ4rの頂点部4r1は、ハンドルボディー4を扉に取付けた際に、正面から見て左側にあるが、側壁4iの左端面よりは中央よりに存在している。これらの形状であるため、冷蔵室ドアパネル1の半円状の凹部1aとハンドルボディー4との間隔が広い部分では、凹部1aで指が掛かり易く、その下では手触りの良いハンドル51で、リブ4rがあるため手の入る範囲が規制されるが、頂点部4r1が正面から見て左側にあるため、右からの手の挿入は容易であるが、左からは手の入れ難い構造となっている。
また、冷蔵室ドアパネル1の半円状の凹部1aとハンドルボディー4との間隔は、リブ4rの位置で6mm以上である。したがって、子供がリブ4rの上の狭い部分に指を入れても、容易に指が抜ける。
ハンドルボディー4の裏側手掛け部は中央部が膨らんだラウンド形状4pであるため、3歳児以下の6mm以下の指はリブ4rの下の狭い隙間には入らない。
図6、図9のように、冷蔵室上ドアキャップ2の切欠き部2a中央付近から下方向に設けられたボス部2fの高さは、タッピン皿ねじ3の有効ねじ部より高く、タッピン皿ねじ3先端部よりは低い高さである。さらにボス部2fの天面2f1は0.5mm程度の厚さとなっているので、断熱材の発泡時の圧力には耐えられるが、タッピン皿ねじ3にてハンドルボディー4を冷蔵室上ドアキャップ2のボス部2fに締結する際には、ボス部2fの天面2f1を貫通することができる厚さとなっている。ボス部2fの天面2f1を貫通することにより、ボス部2fの穴から切り子を放出することが可能で、繰返しのねじ締結を可能としながら、充分なねじ山の掛かりが得られる。
また、図9に示すように、ボス部2fの天面2f1、冷蔵室上ドアキャップ2の2ヶ所の凹部2cの裏側周辺は、2ヶ所の凹部2cを囲むようにT字状のリブ2nが付いている。2ヶ所の凹部2cは、冷蔵室上ドアキャップ2の金型の簡素化や型費の削減のために押し切りによる上下抜きにて得られるが、このリブ2nにコの字状のマスキングテープ8等を貼ることで、発泡時に2ヶ所の凹部2cから断熱材が漏れることを安価で容易に防ぐことができる。
また、図4、図6のように、ハンドルカバー5のL字の面5aの裏側の接触面5kに凹み部5mがある。そのため、タッピン皿ねじ3をハンドルボディー4のL字の面4aの円錐状のねじ穴4fを挟むように冷蔵室上ドアキャップ2のボス部2fに締結する際に、量産中にタッピン皿ねじ3が多少曲がって締結されて、タッピン皿ねじ3がハンドルボディー4のL字の面4aより多少飛び出しても、凹み部5mがタッピン皿ねじ3に対し逃げているので、締付けトルクが確保されていれば、外観上問題の無いハンドル51となる。この凹み部5mの周囲3面に形成される傾斜面5nは、ハンドルカバー5のL字の面5aの肉厚の変化を急激に行わないためのものであり、ヒケ対策のためになされるものである。
冷蔵室上ドアキャップ2の切欠き部2a付近は、冷蔵室上ドアキャップ2のフランジ2dとその裏側の壁面とで冷蔵室ドアパネル1の端面1eを挟み込むことができない。そのため、断熱材の発泡時に、冷蔵室ドアパネル1の端面1eが、冷蔵室上ドアキャップ2の冷蔵室ドアパネル1の端面1eの裏側に接触する接触面2sより発泡圧力によって浮いてくる恐れがある。しかし、切欠き部2aの端面中央部に爪2eによって幅8mm程度挟み込んでいるため、発泡圧力による大きな冷蔵室ドアパネル1の端面1eの浮き・変形・発泡断熱材の漏れが無く、不良の少ない冷蔵室扉50が得られる。また、この爪2eを逃がすハンドルボディー4のL字の面4aの穴4eのうち、ねじ穴4fに近い壁面4e1は、爪2eに接触しており、この穴4eと爪2eの結合と切欠き部2aとL字の面4aとの嵌合によって、ねじを締結する前でも冷蔵室上ドアキャップ2とハンドルボディー4は4面に渡って位置が決まるので、部品の組立ておよびねじの締結が容易で、また穴4eの壁面4e1と爪2eとの接触により、実使用での扉開閉時の力も分散されてねじのゆるみが少ない。仮にゆるんだ場合でも、ハンドルボディー4が冷蔵室上ドアキャップ2から外れることはない。
これら効果は、冷凍室扉60に対しても得られるものである。
実施の形態2.
図10は実施の形態2を示す図で、冷凍室扉60のハンドル61取り付け後の要部斜視図である。実施の形態1と同様に、L字形のハンドルボディー14の水平片であるL字の面の裏側で、指が接触する指接触面14jと、冷凍室下ドアキャップ12の広い底面の意匠面側から正面側に延びた高さ8mmのフランジ12dの先端部にある先端面12jとハンドルカバー15のL字の面と平行で、L字の面の左右端面から延びたフランジ部の先端面15jとが略同一面となった構造である。ハンドルボディー14のL字の面の裏側で指が接触する指接触面14jには、冷凍室下ドアキャップ12の高さ8mmのフランジ12dの先端面12jと同じ高さと幅であり、両側に張り出したリブ14tを設け、ハンドルカバー15のL字の面の左右端面から延びたフランジ部の先端面15jにはそのリブ14tに対応した切欠き部15tを設けている。
以上のように、ハンドルボディー14のL字の面の裏側で、指が接触する指接触面14jに冷凍室下ドアキャップ12の高さ8mmのフランジ12dと同じ高さと幅であり、両側に張り出したリブ14tを設けたため、冷凍室扉60のように、ハンドルボディー14のL字の面の裏側で指が接触する指接触面14jが上から見えやすく、ハンドルカバー15をメッキ等の別色の仕様にした場合にも、ハンドルボディー14と冷凍室下ドアキャップ12を同色にすれば、冷凍室下ドアキャップ12の高さ8mmのフランジ12dからリブ14tを通してハンドルボディー14のL字の面の裏側で指が接触する指接触面14jまで同色で同じ高さとなり、ハンドルカバー15のL字の面の左右端面から延びたフランジ部の別色による色の分断の無い、冷凍室下ドアキャップ12とハンドルボディー14が一体に通ったデザインとなる。
実施の形態1を示す図で、冷蔵庫の正面図。 実施の形態1を示す図で、冷蔵室扉50へハンドル51を装着する前の分解斜視図。 図2の拡大図。 実施の形態1を示す図で、冷蔵室扉50のハンドル51を裏から見た分解斜視図。 実施の形態1を示す図で、ハンドル51の付いた冷蔵室扉50の前方視部分斜視図。 図5のZ−Z断面図。 図5のY−Y断面図。 図5のX−X断面図。 実施の形態1を示す図で、冷蔵室扉50の冷蔵室上ドアキャップ2の裏面斜視図。 実施の形態2を示す図で、冷凍室扉60のハンドル61取り付け後の要部斜視図である。
符号の説明
1 冷蔵室ドアパネル、1a 凹部、1b コーナーR、1C ねじ逃がし用穴、1d 穴、1e 端面、2 冷蔵室上ドアキャップ、2a 切欠き部、2b 壁面、2d フランジ、2e 爪、2f ボス部、2f1 天面、2j 先端面、2s 接触面、3 タッピン皿ねじ、4 ハンドルボディー、4a L字の面、4b 壁面、4c ねじ逃がし用穴、4e 穴、4e1 壁面、4f ねじ穴、4g 爪、4g1 切欠き、4i 側壁、4j 指接触面、4k 接合面、4p ラウンド形状、4q 凹み部、4r リブ、4r1 頂点部、5 ハンドルカバー、5a L字の面、5c 爪、5g 凹部、5i 外周フランジ、5j 先端面、5k 接触面、5m 凹み部、5n 傾斜面、6 ねじ板、6c 穴、6d 凸部、7 六角タッピンねじ、8 マスキングテープ、9 冷蔵室下ドアキャップ、11 冷凍室ドアパネル、11a 凹部、12 冷凍室下ドアキャップ、12d フランジ、12j 先端面、14 ハンドルボディー、14j 指接触面、14t リブ、15 ハンドルカバー、15j 先端面、15t 切欠き部、19 冷凍室上ドアキャップ、50 冷蔵室扉、50a 冷蔵室扉本体、51 ハンドル、60 冷凍室扉、61 ハンドル、100 冷蔵庫。

Claims (5)

  1. 少なくとも前面を形成するドアパネルと、このドアパネルの上下縁部に嵌合するドアキャップとで形成される空間に発泡断熱材を充填して構成され、冷蔵庫本体前面に軸支持されて開閉可能に取付けられる冷蔵庫扉本体と、
    この冷蔵庫扉本体に設けられ、全体の形状が略L字形で、前記L字形の垂直片が前記ドアパネルに締結され、前記L字形の水平片が前記ドアキャップの水平面に設けられた切欠き部に締結され、前記L字形の垂直片の締結方向と前記L字形の水平片の締結方向とが約90゜異なり、前記冷蔵庫扉本体にねじにより締結される略L字形のハンドルボディーと、前記ハンドルボディーに爪により取り付けられる略L字形のハンドルカバーとを有するハンドルと、を備え、前記ドアパネルの裏側にねじ板を設け、このねじ板を利用して前記L字形の垂直片を前記ドアパネルへ締結し、前記ドアキャップの前記切欠き部に設けられたボス部に、前記ハンドルボディーのL字の面に形成されたねじ穴を通した皿ねじを締結し、
    前記ドアキャップの切欠き部は、前方が開放し、側面と背面との3面に壁面を有し、前記L字形の水平片をこの3面の壁面に嵌め込み、
    前記ドアキャップの切欠き部は、その前面側に前記ドアパネル端面を挟み込む爪を備え、前記ハンドルに、前記ドアキャップの切欠き部の爪に嵌合する穴を設けたことを特徴とする冷蔵庫の扉。
  2. 前記ハンドルカバーの水平片の天面部が前記ドアキャップの天面意匠面と、前記ハンドルボディーの水平片側の内側手掛け部の面が前記ドアキャップの前面意匠面であるフランジ部の端面とほぼ同じ高さにすることにより、前記ドアキャップと前記ハンドルが略一体となる構造としたことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫の扉。
  3. 冷蔵室ドアパネルを有する冷蔵室扉と、冷凍室ドアパネルを有する冷凍室扉とを備え、
    前記冷蔵室扉と前記冷凍室扉との境界に面して、前記冷蔵室ドアパネルと前記冷凍室ドアパネルに半円状の凹部を設け、前記二つの半円状の凹部を合わせると略円形の凹部となり、
    前記冷蔵室ドアパネルと前記冷凍室ドアパネルの半円状の凹部のそれぞれに橋をかけるようにハンドルを設け、それぞれのハンドルを合わせると一直線状のハンドルとなることを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫の扉。
  4. 前記冷蔵室扉のハンドルと、前記冷凍室扉のハンドルとは、それらの境界付近側に指を掛ける凹み部を有し、前記それぞれのハンドルの垂直片の裏側は全体にラウンド形状となっていることを特徴とする請求項記載冷蔵庫の扉。
  5. 前記冷蔵室扉のハンドル又は前記冷凍室扉のハンドルの手掛け部には、それぞれのドアパネルの半円状の凹部との間の狭い隙間部への指の進入を規制する規制壁を設けることを特徴とする請求項記載の冷蔵庫の扉。
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