JP4282650B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、本発明は、プラズマ処理装置に関し、特に反応室内部、及び真空排気系配管内部へのカーボン系副生成物の堆積抑制機構及びクリーニング機構を装備したプラズマ処理装置に関する。
近年、半導体集積回路のパターン加工に、アッシング可能なハードマスクとしてプラズマCVD法により成膜可能なカーボン系の膜が用いられるようになってきた(以下「カーボン膜」という)。このカーボン膜は、例えば図3に模式的に示すような平行平板型のプラズマ処理装置を用いて成膜される。
以下、図3の処理装置の構成及びそれを用いた成膜手順について説明する。
図3に示すように、プラズマ処理装置300は、成膜が行われる空間を構成する反応室301と、反応室301内に所定のガスを供給するための供給系と、反応容器301からの排気ガスを排気する排気系とに大別される。また、プラズマ処理装置300は、成膜を行う成膜シーケンスと、後述するクリーニングシーケンスとを行う制御手段を備えている。
反応室301は、例えば円柱状の内部空間を構成しており、その内部には、成膜対象(被成膜体)である基板303を支持するステージ302と、該ステージ302の上方に配置されたシャワープレート308とが配置されている。シャワープレート308には、RF電源307からの電力が、不図示のインピーダンスマッチングボックスを介して供給されるようになっている。
ステージ302は、平行平板電極のアノード電極を兼ねており、対となるカソード電極はシャワープレート308が兼ねている。ステージ302にはヒータが内蔵されており、使用時には、例えば150〜550℃程度に加熱される。図3の構成では、ステージ302は昇降自在に構成されており、このステージ302が下降端位置にあるときに、ステージ上面に基板303が配置されるようになっている。具体的には、基板303は、スリットバルブ305を介してステージ上に置かれ、その後、ステージ302が上方に移動する構成となっている。
供給系としては、反応室内にヘリウムなどのキャリアガスと共にハイドロカーボン(CxHy)系のソースガスを導入するためのガスライン309と、酸素を導入するためのガスライン311と、水素を導入するためのガスライン314とが設けられている。
排気系としては、反応室301を囲んでドーナツ状に形成された排気室304と、ガスを排気室304から外部へと排出するための排気ポンプ324等が配置されている。排気室304と排気ポンプ324とは、排気配管332により相互に接続されており、排気配管上には主排気バルブ322及び圧力制御弁323が設けられている。
なお、排気ポンプ324に引き込まれたガスは、排気ポート325を通じて外部に送出される。また、排気室304が反応室301を囲むように形成されているということは、例えば、排気口が反応室外周の一部にのみ形成されている構成と比較して、排気を均一的に行うことができることを意味する。
上記のような構成を有するプラズマ処理装置300は、次のようにして使用される。まず、成膜対象である基板303を、スリットバルブ305を介してステージ302上に配置する。その後、ステージ302の高さ調整がされ、基板303が、シャワープレート308に対向する位置まで上昇する。また、ステージ302内のヒータが所定のタイミングで駆動され、ステージ302が加熱される。
次いで、ガスライン309から上記ハイドロカーボン系のソースガスを反応室301内に導入する。導入されたガスは、シャワープレート308を介して、図示矢印に基板303上に供給される。ガスが供給された後、ステージ302(アノード)とシャワープレート308(カソード)との間にRF電圧を印加する。これにより、プラズマ306が生成され、導入されたハイドロカーボン系のガス分子が重合し、基板303表面にカーボン膜が形成されることとなる。なお、反応室301に生じた排気ガスは、排気ポンプ324を駆動源として、排気室304及び排気配管322等を介して外部に送出される。
ところで、上記のような成膜処理を行った場合、基板表面のみならず反応室301の内壁や排気配管322の内壁等の不要部分にも、付着物が堆積することとなる。このようにして堆積した付着物は、その成膜が進むにつれてより剥がれ易くなる。剥がれた付着物が飛散し、成膜対象である基板303に付着すれば、パーティクル発生の原因ともなり得る。そこで、こうした問題を解決するために、従来、前記成膜処理を所定回数行う度にクリーニングを行い、反応室301や排気配管332内に堆積した付着物を除去する作業が行われていた。
このクリーニングとしては、具体的には、酸素プラズマで処理する方法や、酸素と水素の混合ガスをプラズマ化して処理する方法や、酸素プラズマ(酸化雰囲気)で処理した後に水素プラズマ(還元雰囲気)で処理するなどの方法がある。(これら処理方法につき、特許文献1、2参照)
一例を簡単に説明すると、まず、ガスライン314から酸素を反応室内に導入すると共に、圧力制御弁323を動作させて圧力を数Torrに制御する。そして、シャワープレート308とステージ302の間にRF電圧を印加することで酸素プラズマを発生させ、これにより生じた酸素ラジカルによってシャワープレート308表面、ステージ302、及び反応室301の内壁等に堆積した付着物がアッシングされ、除去される。
特開平7−78802号公報 特開2004−296512号公報
しかし、上記方法では反応室内で直接プラズマに曝される部分近傍の付着物は除去できるものの、反応室内の直接プラズマに晒されることのない部分や、排気室304、排気系配管332内壁に堆積した付着物は除去困難であった。
特に、排気系配管332内には、気相中で形成された炭化水素重合体を起源とする茶褐色パウダー状や黒色タール状の付着物が形成され、圧力制御弁323や反応室と排気ポンプの間にある主排気バルブ322に付着こととなる。これらの付着物による弊害を防止するためには、反応室や排気配管を分解し、定期的にウェットクリーニング等のメンテナンスが行われることもある。しかしながら、ウェットクリーニングを頻繁に行うということは、装置の稼動率が低下し、製造コストが上昇することを意味する。
他方、クリーニングシーケンス中のクリーニング時間を長くとることで、排気系配管内の付着物の堆積をある程度抑制することが可能である。しかしながら、これではクリーニング自体に時間が掛かり、装置全体のスループットを著しく低下させてしまう。
本発明の目的は、カーボン膜を成膜するプラズマ処理装置において、スループットを犠牲にすることなく、排気系への付着物(カーボン系堆積物など)の堆積を最小とし、ほとんどウェットクリーニングの必要のない、稼働率の高い装置を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明のプラズマ処理装置は、第1の反応室と排気ポンプとが排気配管により相互に接続されると共に前記排気配管には弁が設けられ、前記第1の反応室内でハイドロカーボンを含むガスをプラズマ化し、被成膜体に対してカーボンを含む膜を形成するプラズマ処理装置において、前記第1の反応室と前記弁との間に、前記第1の反応室を取り巻くようにドーナツ状に形成した第2の反応室が設けられ、該第2の反応室内において、前記第1の反応室からの排気ガスにプラズマ処理が行われると共に、酸化性のラジカルが発生するように構成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、第1の反応室と弁との間に配置された第2の反応室内において、第1の反応室からの排気ガス中の炭化水素重合体を分解することが可能である。したがって、弁や排気ポンプなどに付着する生成物の量が最小限に抑えられる。また、第1の反応室のクリーニング時には、クリーニングによって第1の反応室から発生する酸化性ラジカルが届きにくい部分においても、第2の反応室から発生させた酸化性ラジカルによって酸化を行い、排気配管、弁等への付着物の堆積を防止することができる。
本発明によれば、上述のように、排気配管等への付着物の堆積を抑制し、スループットが高く、かつメンテナンス頻度の少ない信頼性の高い装置を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明が適用されるプラズマ処理装置の断面を模式的に表した図である。本実施形態のプラズマ処理装置100の主たる特徴は、反応室101と主排気バルブ122との間に他の反応室119が設けられている点にあり、その他の構成は図3に示した従来の処理装置300と同様に構成されている。なお、図1では、処理装置300と同一機能の構造部に対し、図3で用いた符号に対応する符号を付して示すものとし、重複する説明は省略するものとする。
反応室119(第2の反応室)は、円筒容器状に構成され、後述するように、所定のタイミングで内部にプラズマ121が発生するようになっている。これを実現するために、反応室119内にはカソード120が配置され、このカソード120を介してRF電源130からの電力が供給される構成となっている。また、反応室119より上流側の排気配管132には2本のガスライン126、129が接続されており、一方のガスライン126からは酸素が導入され、他方のガスライン129からは水素が導入される。これらのガスライン126、129が接続される位置の近傍には、圧力センサ131が取り付けられており、これにより管内部の圧力が検出される。
なお、反応室119内で発生するプラズマ121は、反応室101からの排気ガスを酸化させる性質のものである。本発明においては、このようなプラズマ121の作用により排気ガスを酸化させ、排ガスをCO2及びH2Oなどの堆積しにくい物質に変換することで、付着物の堆積が抑制されることとなる。
上記のような構成を有する本実施形態の処理装置100の使用方法について、成膜シーケンスと、クリーニングシーケンスとに分けて以下に説明する。
まず、成膜シーケンスでは、上記従来の技術同様、スリットバルブ105から基板103が導入され、ステージ102上に配置される。その後、ステージ102が上昇移動して、基板103がシャワープレート108に対向する所定位置に配置され、また、ステージ102も所定のタイミングで加熱される。
次いで、反応室119内に、ガスライン126から酸素を例えば1000sccm(standard ml/min)で導入すると共に、圧力センサ131及び圧力制御弁123を用いて、反応室内のガスを所望の圧力に制御する。そして、反応室119内に、カソード電極120から例えば500WのRF電力を導入する。これにより、反応室119内にプラズマ121が生成される。
反応室101内には、ガスライン109を通じて、例えばヘリウムなどのキャリアガスと共にハイドロカーボン系のソースガスが導入される。導入されたガスは、シャワープレート108を介して基板上に供給される。ソースガスとしては例えばメタン、エチレン、又はプロピレン等を利用可能である。具体的な一例としては、ヘリウム1000sccmとエチレン1500sccmとがガスライン109から供給され、圧力が例えば7Torr(1Torr=133.322Pa)に制御されるようになっていてもよい。圧力としては7Torrに限定されるものではなく、例えば1〜10Torrの範囲内で適宜設定可能である。
ところで、ハイドロカーボンは可燃性であり、酸素は支燃性であるため、安全対策として本発明に係るプラズマ処理装置100では次のような構成が採られている。すなわち、圧力が50Torr以下でかつプラズマが生成されていない場合には、ガスライン109のファイナルバルブ110と、ガスライン126のファイナルバルブ127とが同時に開かないようになっている。これは例えばインターロック機構により実現可能であり、このような構成とすることで、ハイドロカーボンと酸素とが同時供給されないこととなる。上記を言い換えれば、50Torr以下の減圧状態でかつ反応室119で酸素プラズマが生成されているときのみ、ハイドロカーボンが供給される構成となっているといえる。
次いで、ステージ102とシャワープレート108との間に例えば1500WのRF電圧を印加し、反応室101内にプラズマ106を生成させる。これにより、導入されたハイドロカーボン系のガス分子が重合し、基板103表面にカーボン膜が形成される。なお、反応室101に生じた排気ガスは、排気室104を介して排気配管132へ送出されることとなる。
送出された排気ガスは、次いで、反応室119を通過することとなる。排気ガスには、主に未反応の炭化水素や、気相で重合しかけの微粒子等が含まれているが、これらは反応室119のプラズマ121よってほぼ完全に酸化され、CO2とH2Oなどの堆積しにくい物質に変換される。本実施形態の処理装置によれば、このように、新たに設けた反応室119において排気ガスの酸化が行われるため、後段の主排気バルブ122及び圧力制御弁123等に付着する生成物の量が最小限に抑えられる。
以降の工程は、従来の技術と同様にして実施可能である。すなわち、所望の膜厚までカーボン膜を堆積したら、RF電源107からの電力供給を停止し、プラズマ106の生成を停止してカーボン膜の成膜を停止する。続いて、反応室101へのハイドロカーボンの供給を停止し、また、反応室119のプラズマ生成とガスライン126からの酸素の供給を停止する。そして、ステージ102を搬送位置(下端位置)まで移動させ、スリットバルブ105を介して基板103を搬出する。
本実施形態の処理装置100では、上述したように、反応室119よりも下流側での付着物の堆積が抑制可能である。しかしながら、反応室101と反応室119との間に存在する構造部に対しては付着物が堆積することとなる。したがって、こうした付着物による弊害を解消するために、本実施形態の処理装置では以下のようなクリーニングシーケンスが行われる。なお、特に限定されるものではないが、下記クリーニングシーケンスは、例えば成膜シーケンスを所定回数行うごとに実施されるようになっていてもよい。
クリーニングシーケンスでは、まず、2つの反応室101、119に、それぞれガスライン111、ガスライン126から酸素を導入し、圧力センサ131及び圧力制御弁123を用いて所望の圧力に調整する。
次いで、シャワープレート108及びカソード120に、それぞれ、RF電源107、130からRF電力(例えば500W)を供給する。これにより、酸素を含むプラズマが生成される。そして、このプラズマによって酸素ラジカル等が発生し、これによって、反応室内に付着堆積したカーボンを主成分とする生成物が除去される。具体的には、ガスライン114から酸素を導入しながら、圧力制御弁123で圧力を4Torrに制御し、シャワープレート108とステージ102の間にRF電力(例えば500W)を印加して酸素プラズマを発生させてもよい。この酸素ラジカルによって、シャワープレート108表面、ステージ102、及び反応室101の内壁に付着していたカーボン膜が除去される。
なお、酸素ラジカルによって酸化された付着物は大部分がCO2やH2Oとなる。しかし、その一部がプラズマ中で再度反応してCOOH等に代表される、堆積しやすい別の生成物の元になる場合もある。仮にこのような物質が反応室119より上流で生じたとしても、この物質は、反応室119を通過する再にほぼ完全に酸化されるため、それより下流の構造部に付着物が堆積することが防止される。
クリーニングシーケンスを終了するためには、特に限定されるものではないが、反応室101、119でのプラズマ生成を停止させ、また、各反応室への酸素導入を停止すればよい。
(第2の実施形態)
上記実施形態では、不要なカーボンの堆積を抑制するために酸素プラズマを主に用いる例について述べた。他方、従来、酸素プラズマに水素を添加する方法が知られている。水素を添加することにより生成されるOHラジカルは、酸素ラジカルよりも酸化力が強く、また気相中の寿命も長い。したがって、水素の添加は効率的な排気ガスの処理とクリーニングに有効である。本実施形態のプラズマ処理装置においても同様に、水素の添加を実施可能である。しかし、本発明の装置構成上の特徴から、その構成に合った成膜シーケンス及びクリーニングシーケンスを備え、それが、また本発明のプラズマ処理装置の特徴となっている。
以下、これについて、成膜シーケンスとクリーニングシーケンスとに分けて説明する。なお、上記実施形態と同様の工程については、その説明を省略するものとする。また、装置の構成自体は第1の実施形態のものと同様である。
本実施形態では、反応室119内にガスライン126を通じて酸素が導入され(これについては上記実施形態同様)、カソード電極120に例えば1500WのRF電力を印加してプラズマ121を生成させた後に、反応室119内に水素が供給される。具体的には、水素は、ガスライン129から例えば40sccmで供給される。
ここで、水素が可燃性であり酸素が支燃性であるため、安全対策として本発明に係るプラズマ処理装置100では、次のような構成が採られている。すなわち、圧力が50Torr以下でかつプラズマが生成されていない場合にファイナルバルブ110とファイナルバルブ126とが同時に開くのを防止するインターロック機構が装備されている。これにより、酸素と水素とが同時供給されないこととなる。上記を言い換えれば、50Torr以下の減圧状態でかつ酸素プラズマが生成されているときのみ、反応室119に水素が供給される構成となっているといえる。
反応室101へのガスの供給はその後実施される。反応室101内にはヘリウムなどのキャリアガスと共にハイドロカーボン系のソースガスが導入される点、及び、安全対策としてハイドロカーボンと酸素とが同時供給されてないようになっている点については上記実施形態同様である。
その他の動作も、上記実施形態同様であり、シャワープレートにRF電圧を印加することでプラズマ106が生成され、このプラズマの作用により、ガス分子が重合し、基板103表面にカーボン膜が形成される。また、反応室101からの排気ガスも、上記実施形態同様、反応室119に送られ、ここでほぼ完全に酸化され、CO2とH2Oなどの堆積しにくい物質に変換される。以降、上記実施形態同様の工程により、プラズマの生成を停止し、スリットバルブ105を介して基板103を搬出することで、カーボン膜が成膜された基板103が得られることとなる。
第2の実施形態においても、やはり、反応室101の内壁や排気配管132に堆積した膜を除去するために所定のクリーニングが行われる。上記実施形態同様、2つの反応室101、119のそれぞれで酸素を含むプラズマが生成された後、ガスライン129とガスライン114から、それぞれ20sccmで水素を導入する。
ここで、水素は可燃性であり、酸素は支燃性であるため、安全対策として本発明に係るプラズマ処理装置100では、次のような構成が採られている。すなわち、酸素を供給するガスラインのファイナルバルブ127又は112が開いている場合、圧力が50Torr以下でかつプラズマが生成されていないときには、ファイナルバルブ114とファイナルバルブ128とは同時に開かないようになっている。
水素が導入された後、プラズマによって酸素ラジカルやOHラジカル等が発生し、これによって反応室内に付着堆積したカーボンを主成分とする生成物が除去される。具体的には、ガスライン114から酸素を導入しながら、圧力制御弁123で圧力を数Torrに制御し、シャワープレート108とステージ102の間にRF電圧を印加してプラズマを発生させる。それによって生じたラジカルによって、シャワープレート108表面、ステージ102、及び反応室101の内壁に付着していたカーボン膜が除去される。
なお、ラジカルで酸化されたカーボンは大部分がCO2となる。しかし、その一部がプラズマ中で再度反応してCOOH等に代表される、堆積しやすい別の生成物の元になる場合もある。仮にこのような物質が反応室119より上流で生じたとしても、この物質は、反応室119を通過する再にほぼ完全に酸化されるため、それより下流の構造部(主排気バルブや圧力制御弁等)に付着物が堆積することが防止される。
(第3の実施形態)
上記第2の実施形態では、不要なカーボンの堆積を抑制するために水素を添加した酸素プラズマを用いていたが、本発明者らの検討によれば、水素の代わりにアンモニアを用いても良い。酸素プラズマにアンモニアを添加することでOHラジカルの他にNOラジカルが発生し、水素を用いた場合よりもクリーニング能力が高いことが判明した。
アンモニアは、上記第2の実施形態で水素を導入していたのと同じタイミングで導入可能であり、ガスライン129から例えば40sccmで供給される。また、アンモニアは可燃性であり、酸素は支燃性であることに鑑み、安全対策として上記同様、アンモニアと酸素との同時供給が行われないようになっていることが好ましい。圧力条件も上記同様、50Torrをしきい値とすることが可能である。言い換えれば、50Torr以下の減圧状態でかつ酸素プラズマが生成されているときのみ、アンモニアが供給される構成となっている。
一方、本実施形態におけるクリーニングシーケンスとしては、2つの反応室101、119のそれぞれで酸素を含むプラズマが生成された後、ガスライン129とガスライン114から、それぞれ500sccmのアンモニアを導入する。
ここで、水素は可燃性であり、酸素は支燃性であるため、安全対策として本発明に係るプラズマ処理装置100では、次のような構成が採られている。すなわち、酸素を供給するガスラインのファイナルバルブ127又は112が開いている場合、圧力が50Torr以下でかつプラズマが生成されていないときには、アンモニアを供給するガスラインのファイナルバルブ128とファイナルバルブ114とが開かないようになっている。
アンモニアが導入された後、プラズマによって酸素ラジカル、OHラジカル、NOラジカル等が発生し、これによって反応室内に付着堆積したカーボンを主成分とする生成物が除去される。
具体的には、ガスライン114から酸素を導入しながら、圧力を圧力制御弁123で数Torrに制御し、シャワープレート108とステージ102の間にRF電圧を印加してプラズマを発生させる。それによって生じたラジカルによって、シャワープレート108表面、ステージ102、及び反応室101の内壁に付着したカーボン膜が除去される。
なお、ラジカルで酸化されたカーボンは大部分がCO2となる。しかし、その一部がプラズマ中で再度反応してCOOHなどに代表される別の生成物の元になる場合もある。その場合も、この物質は、反応室119でほぼ完全に酸化されるため、それより下流の構造部(主排気バルブや圧力制御弁等)に付着物が堆積することが防止される。
また、上記では、水素の代わりにアンモニアを用いたが、アンモニアと水素の混合ガスを用いても良い。また、反応室1のクリーニングのみアンモニアを用いても良いし、反応室2のみアンモニアを用いても良い。あるいは反応室1には水素を用い、反応室2にはアンモニアを用いても良いし、その逆でも良い。
(第4の実施形態)
図1に示す構成では、反応室119は、排気室104と主排気バルブ122との間に設けられていたが、これに限定されるものではない。図2に本発明に本発明に係る他のプラズマ処理装置の構成例を示す。なお、図2の装置において特に説明をしない箇所については、図1の装置と同様に構成されているものと理解されたい。
図2の処理装置200では、反応室201を取り囲むように配置された排気室204自体が反応室としての機能も有している。このような構成とすることで、図1の構成でいう排気室104内に堆積した付着部をクリーニングする必要がなくなる。つまり、排気室そのものが第2の反応室として用いられることから、排気室内への付着物の堆積が抑制されるためである。このような構成によれば、クリーリングのための時間が短縮化され、結果的に装置のスループットも向上する。
本発明は、カーボンを主成分とする膜を基板上に堆積するようなプラズマ処理装置のスループット及び稼働率の向上のために利用可能である。
本発明の第1の実施例が適用されるプラズマ処理装置の断面を模式的に表した図である。 本発明の第2の実施例が適用されるプラズマ処理装置の断面を模式的に表した図である。 従来の技術によるプラズマ処理装置の断面を模式的に表した図である。
符号の説明
101、201 反応室
102、202 ステージ(アノード電極)
103、203 基板
104、204 排気室
105、205 スリットバルブ
106、206 プラズマ
107、207 RF電源
108、208 シャワープレート(カソード電極)
109、209 ガスライン(ハイドロカーボン系)
111、211 ガスライン(酸素)
113、213 ガスライン(水素又はアンモニア)
116、216 ガスライン
119、219 反応室
120、220 カソード電極
121、221 プラズマ
122、222 主排気バルブ
123、223 圧力制御弁
124、224 排気ポンプ
125、225 排気ポート
126、226 ガスライン(酸素)
129、229 ガスライン
130、230 RF電源
131、231 圧力センサ
132、232 排気配管

Claims (8)

  1. 第1の反応室と排気ポンプとが排気配管により相互に接続されると共に前記排気配管には弁が設けられ、前記第1の反応室内でハイドロカーボンを含むガスをプラズマ化し、被成膜体に対してカーボンを含む膜を形成するプラズマ処理装置において、
    前記第1の反応室と前記弁との間に、前記第1の反応室を取り巻くようにドーナツ状に形成した第2の反応室が設けられ、該第2の反応室内において、前記第1の反応室からの排気ガスにプラズマ処理が行われると共に、酸化性のラジカルが発生するように構成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 被成膜体に対してカーボンを含む膜を堆積させる成膜シーケンスと、不要部分に付着した付着物を除去するクリーニングシーケンスとを行う制御手段を備え、
    前記成膜シーケンスでは、前記第2の反応室内に酸素を含む処理用ガスを導入しプラズマ化して前記第1の反応室からの排気ガスを処理し、
    前記クリーニングシーケンスでは、第1及び第2の反応室に酸素を含む処理用ガスを導入しプラズマ化して処理する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記成膜シーケンス及び前記クリーニングシーケンスとの双方で用いられる前記処理用ガスは酸素の他に水素も含む、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記成膜シーケンス及び前記クリーニングシーケンスとの双方で用いられる前記処理用ガスは酸素の他にアンモニアを含む、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記成膜シーケンスは、
    前記第2の反応室に酸素を含むプラズマを生成させるステップと、
    前記第1の反応室にハイドロカーボンを含むガスを導入するステップと、
    前記第1の反応室にプラズマを生成させ、被成膜体に対してカーボンを含む膜を形成するステップと、
    前記第1の反応室でのプラズマ生成を停止するステップと、
    前記第1の反応室へのハイドロカーボンを含む前記ガスの導入を停止するステップと、
    前記第2の反応室での酸素を含む前記プラズマの生成を停止するステップと、を含む、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記クリーニングシーケンスは、
    前記第1及び第2の反応室に酸素を含む前記処理用ガスを導入するステップと、
    前記第1及び第2の反応室に酸素を含むプラズマを生成させるステップと、
    前記第1及び第2の反応室でのプラズマ生成を停止するステップと、
    前記第1及び第2の反応室への酸素を含む前記処理用ガスの導入を停止するステップと、を含む、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
  7. 酸素の他に水素も含む前記処理用ガスの前記第1及び第2の反応室への導入は、前記第1及び前記第2の反応室の圧力が50Torr以下であり、かつ、前記酸素を含むプラズマが生成されているときのみ可能となっている、請求項3に記載のプラズマ処理装置。
  8. 酸素の他にアンモニアを含む前記処理用ガスの前記第1及び第2の反応室への導入は、前記第1及び前記第2の反応室の圧力が50Torr以下であり、かつ、前記酸素を含むプラズマが生成されているときのみ可能となっている、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
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