JP4282353B2 - 時計用文字板 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、時計用文字板、更に詳しくはソーラセル付時計用文字板、あるいはバックライト付時計用文字板に関する。
【0002】
【従来の技術】
ソーラセル付時計用文字板は、受光した光を透過させてその下面側に配設したソーラセルに入射させて発電機能を起こさせる。また、バックライト付時計用文字板は、その下面側に配設したEL(エレクトロルミネッセンス)の発光した光を透過させて文字板を照明する機能を果たす。このように、ソーラセル付時計用文字板やバックライト付時計用文字板は光の透過性が要求されることからプラスチック材が従来から多く使われている。プラスチック材であると光の透過性が得られる外に、コスト的に安くできること、塗装や印刷などで装飾が容易に施すことができること、また、ソーラセルの時計にあっては着色や装飾で容易にソーラセルの濃紫色を和らげることができること、などの利点がある。しかしながら、プラスチック材で作った文字板は金属感や金属光沢感が得られず、どうしても高級感に欠けるものとなっていた。
【0003】
そこで、外観上、金属感を出現させると共に、下面に配設したソーラセルの有する独特の濃紫色が見えないようにする技術として、次の特許文献1にその技術の開示を見る。以下、従来技術の説明や本発明の説明に当たって、ソーラセル付時計用文字板とバックライト付時計用文字板には共通して適用できることから、ソーラセル付時計用文字板で説明する。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−286866号公報
【0005】
一般的に、携帯時計に用いられるソーラセル(太陽電池)は、図5の平面図に示すように、4等分割された4面(A1、A2、A3、A4)に設けられていて、文字板の下面に配設される。そして、文字板を透過した透過光量が4面(A1、A2、A3、A4)のそれぞれに均一量入射するのが最も発電効率を高める。このため、このソーラセルの上面側に配設される文字板は、ソーラセルの4面(A1、A2、A3、A4)に対応する部分、即ち、12−6時ラインと9−3時ラインで4等分割した4面がそれぞれ均一量の光を透過するよう設計することが必要とされている。
【0006】
図6は上記特許文献1において開示されたソーラセル用の時計用文字板の要部断面図を示したものである。この時計用文字板10は透明なプラスチック材料からなる透過性基板1を備えている。そして、この透過性基板1の下面には複数の凹凸(1cと1d)が形成されている。更に、凹部1cは鏡面に仕上げられていて反射膜2が設けられている。一方、凸部1dは平滑面に仕上げられていて光の透過性を有している。
【0007】
上記複数の凹部1cと複数の凸部1dは一定間隔に並んで模様状に形成されているもので、模様としてはサークル模様,ストライプ模様,格子模様,幾何学模様などの模様が取られている。模様状に一定間隔に並べて凹凸を形成すると、前述したソーラセルの4面のそれぞれに均一な光量を入射させることができる。また、透過性を有した凸部1dの平滑面の幅や大きさtは120μm以下に形成されており、その凸部の平滑面の総面積は透過性基板1の面積(上面積)に対して20〜50%の割合で形成されている。
【0008】
また、上記凹部1cに設けられた反射膜2は金属膜で、銀,アルミ,金などの金属蒸着膜で形成している。この反射膜2は光が透過しない程度の厚みがあれば良いもので、金属蒸着膜は金属感が現れるので非常に好ましい。しかしながら、反射膜2は樹脂膜であっても良いもので、特に金属膜に限定するものではない。
【0009】
次に、上記構成の時計用文字板の製造方法は次に述べる方法でもって形成している。模様状に凹凸部を形成した射出成形金型を用い、透明なプラスチック材料でもって射出成形して透過性基板1を形成する。凹部1cや凸部1dの形状、凹部1cの鏡面仕上げは金型から転写して形成する。次に、模様状に形成された凹凸部の上面側に真空蒸着方法によってアルミ金属などの金属蒸着膜を光が透過しない程度の十分な厚みでもって形成する。最後に、研磨方法によって下面を研磨して、凸部1d上面の金属蒸着膜を剥離して平滑面に仕上げる。
【0010】
上記の構成と製造方法を取っているため、模様状の凹凸部や凹部の鏡面仕上げは金型から転写して形成するので精度が良く、しかも簡単に作ることができる。
【0011】
また、凹部1cを鏡面仕上げして、この凹部1cに金属蒸着膜からなる金属の反射膜2を形成しているので、光沢のある金属感が得られている。更に、凹凸部を一定間隔に模様状に形成し、凸部の幅あるいは大きさを120μm以下にし、その総面積を基板面積の20〜50%の範囲に設けていることにより、反射膜の光沢が目立って透過部分である透明な凸部の部分は目に見えず、よって、ソーラセルの濃紫色が視認されないと云う効果を生んでいるものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術にあっては、反射膜を金属膜で形成するにしろ、あるいはまた、樹脂膜で形成するにしろ、その外観的な色調はその金属の色調、あるいはその樹脂の色調しか表現することができなかった。従って、外観色調のデザインバリエーションとしては数少ないものとなって豊富にデザインバリエーションを増やすことができなかった。
【0013】
また、一般的に、使用されるソーラセルの種類に応じてその要求される透過率が異なる。例えば、ソーラセルには透過率15%で発電するもの、透過率20%で発電するもの、透過率25%で発電するもの、あるいは、30%や35%で発電するもの、等々と様々な種類がある。そして、ソーラセル用の時計用文字板は、ソーラセルの要求される透過率に応じてそれに合った透過率の文字板を用意する必要があった。
【0014】
このため、上記述べた従来方法では、それぞれの求められる透過率に応じて、それに合った凸部1dの大きさと、その総面積の透過性基板1を各々用意する必要があった。そのために、透過性基板1毎に金型を製作して用意しておく必要があり、金型も幾種類も用意しなければならないことから、金型コストも高いものになっていた。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたもので、その目的とするところは、文字板の外観色調のバリエーションを増やすこと、文字板の外観色調を立体的に表現できるようにすること、金型の種類を減らして金型コストを下げることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
そして、上記目的を達成するものとして、本発明の請求項1に係る時計用文字板は、透過性基板の上面に光が透過する装飾膜を有し、前記透過性基板の下面に模様状に形成した複数の凹凸部を有し、該凹凸部の鏡面をなした凹部に反射膜を設けた時計用文字板において、
前記凹凸部の凸部に光の透過率を調整する透過率調整膜を設け、該透過率調整膜の膜厚の調整で、所望の透過率を得ると共に前記反射膜の色調と前記透過率調整膜の色調との調色で得られる色調の濃淡の度合いを調整することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項2に係る時計用文字板は、前記反射膜は金金属膜からなり、前記透過率調整膜は白色樹脂膜からなり、前記白色樹脂膜の膜厚の調整で、所望の透過率を得ると共に前記金金属膜の金色色調と前記白色樹脂膜の白色色調との調色で得られる色調の濃淡の度合いを調整し、金色の濃淡色調を得ることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に関し、図1〜図4で説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る時計用文字板の要部断面図、図2は本発明の第2実施形態に係る時計用文字板の要部断面図、図3は本発明の第3実施形態に係る時計用文字板の要部断面図、図4は本発明の第4実施形態に係る時計用文字板の要部断面図を示したものである。
【0026】
図1より、本発明の第1実施形態に係る時計用文字板20は、下面側に模様状に複数の凹凸部(凹部21c、凸部21d)を有する透過性基板21と、透過性基板21の凹部21cに設けられた反射膜22と、反射膜22の上面部及び凸部21dの上面部21aに設けられた光の透過率調整膜23と、透過性基板21の上面21bに設けられた透過性を有する装飾膜24とで構成している。
【0027】
上記透過性基板21は、プラスチック材からできており、射出成形によって形成する。下面側にある複数の凹凸部は射出成形金型から転写して形成する。この複数の凹凸部は、サークル模様,ストライプ模様,格子模様,斑点模様,あるいは幾何学的な模様などを示して、一定の間隔に並んでいる。また、この凹凸部の凹部21cの面は鏡面に形成するが、この鏡面は金型を鏡面仕上げすることによって射出成形で転写すると鏡面が得られる。
【0028】
また、凹凸部の凸部21dの上面21aは平坦面になっていて、その大きさ(幅t)は120μm以下の大きさである。凸部21dは金型から転写によって形成するので金型の製作可能な寸法を選ぶことができるが、凸部21dの上面21aの幅tは120μm以下で極力大きめに設定するのが好ましい。ここで、凸部21dの上面21aの大きさ120μmは目に視認されない許容限度の大きさとなっている。凹部21cの面を鏡面にすることによって凹部21cに設けた反射膜22が強く目に視認されてきて、120μmの大きさでも目に見えない。
【0029】
また、凸部21dの上面21aの総面積が透過性基板21の上面21b面積の20〜50%の範囲になるように設計する。この場合も極力大きめに設定するのが好ましい。この凸部21dの上面21aの部分は光が透過する部分になる。この総面積が得られる透過光量になり、ソーラセルの発電に作用する。総面積の20%は発電機能に影響を及ぼす許容限度になっている。また、総面積の50%は、これ以上多いと凸部21dが見えて反射膜22が見えなくなってくるので、その許容限度になっている。
【0030】
次に、凹部21cに設ける反射膜22は、本実施の形態では、金蒸着膜で形成している。金蒸着膜を選択した理由は本発明の文字板20を金色の色調を持った文字板に仕立てたいからで、もし、他の色調のものに仕立てたい場合は、それに合った色調の金属蒸着膜を形成すると良い。例えば、シルバー色に仕立てたい場合は銀蒸着膜を選択すると良い。また、この反射膜22は蒸着膜に限定するものでもなく、例えば、白色色調を出したいと云う場合は白色塗料の樹脂膜を設けても良い。樹脂膜や酸化金属膜でもかまわない。この反射膜22は光を十分に反射させるために設けるものであるから、十分に反射が行われる程度に厚く形成する。
【0031】
凸部21dの上面21aや反射膜22の上面に設ける透過率調整膜23は光の透過率を調整するために設ける膜で、本実施の形態では、白色塗料の樹脂膜で、所定の透過率を持たせて薄く形成している。この透過率調整膜23は、本実施の形態では上述した金色の反射膜22を鮮明にさせたいために白色塗料を用いたもので、特に白色樹脂膜に限定するものではい。反射膜22と同様に、求める外観色調などのデザインに合わせて、他の色調の樹脂膜,金属蒸着膜,金属酸化膜などを用いるのが良い。
【0032】
上記透過率調整膜23は厚みを調整して所望の透過率を得ることができる。例えば、高い透過率を得たい場合は膜厚を薄くする。逆に、低い透過率にしたい場合は膜厚を厚く形成すれば良い。このように、自由に膜厚を設定して所望の透過率を得る。また、この透過率調整膜23は透過率の異なる膜を積層して所望の透過率を得ることもできる。
【0033】
透過性基板21の上面21bに設けた透過性の装飾膜24は、本実施の形態では、非常に薄い酸化シリコン(SiO2)膜と酸化ジルコニウム(ZrO2)膜の2層構造で形成している。この酸化シリコン(SiO2)膜と酸化ジルコニウム(ZrO2)膜の2層構造で形成した装飾膜24は透明感を持って僅かにシルバー色を帯びた色調を呈する。この酸化シリコン(SiO2)膜と酸化ジルコニウム(ZrO2)膜は何れも真空蒸着法で薄く形成して積層している。これら、それぞれの膜厚は、300Å〜600Åで、2層構造で総厚は600Å〜1200Åとなっている。
【0034】
時計においては、一般的に、黄金色よりもむしろ淡い金色(これをウス金とかウスウス金などと呼んでいる)が好んで利用される。ウス金は黄金色より若干淡い金色を云い、ウスウス金はウス金より更に淡い金色を云っている。本実施の形態においては、ウス金やウスウス金の色調を出現させることができる。白色色調を示す透過率調整膜23を少し厚めに形成して白色の度合いを強く出すことによって反射膜22の金色の度合いが淡くなり、ウスウス金の色調となる。また逆に、透過率調整膜23の白色の度合いを薄くすることによって反射膜22の金色の度合いが濃くなり、ウス金の色調が得られる。
【0035】
本実施の形態においては、反射膜22の膜厚を700Å〜800Åに形成し、透過率調整膜23の膜厚を8〜15μmに形成してウス金の色調を出している。尚、透過率調整膜23の膜厚を更に厚くしていくとウスウス金の色調に近づいてくる。
【0036】
以上の構成からなる本実施形態の時計用文字板20は、反射膜22に金蒸着膜を用いていること、また、凹部21cを鏡面に仕上げていることなどから光沢のある金色が現れる。更に、透過率調整膜23に白色樹脂膜を用いていることから光沢のある淡い金色に調色され、また更に、装飾膜24によって、ほんの僅かにシルバー色が混じり入ったと感じられる微妙に淡く光沢の現れた金色色調を示す。また、装飾膜24と反射膜22との間に透過性基板21が介在しているので、見る角度によって、ほんの僅かなシルバー色と金色とに立体感を感じさせる。
【0037】
また、本発明の時計用文字板は、透過性基板21の下面側に設けた透過率調整膜23で透過率が調整できるので、所望の透過率の時計用文字板を得ることができる。透過性基板21の下面に形成する凹凸部の凸部21dの上面21aの大きさや、その総面積を極力大きめに設定しておいて、透過率調整膜23で透過率を調整するようにすれば、透過性基板21の金型は一種類で済む。
【0038】
本実施形態での時計用文字板20は次のようにして形成する。射出成形で形成した透過性基板21の下面凹凸部に真空蒸着法で金蒸着膜の反射膜22を形成する。次に、研磨方法によって、凸部21dの反射膜22が無くなる程度に研磨する。これによって、凸部21dの上面21a部は光が透過する部分となる。次に、その上に白色の塗料またはインクで透過率調整膜23を塗装方法または印刷方法で形成する。厚みは予め設定する厚みで形成する。次に、透過性基板21の上面21bに真空蒸着方法で酸化シリコン膜と酸化ジルコニウム膜を積層して装飾膜24を形成する。尚、透過率調整膜23は予め厚く形成しておいて、後から研磨して所望の厚みに形成する方法も取れる。これによって本実施形態の時計用文字板20が得られる。
【0039】
次に、図2に示すものは、本発明の第2実施形態に係る時計用文字板を示している。図2より、第2実施形態の時計用文字板30は、下面に凹凸部を形成した透過性基板21と、透過性基板21の凹部21cに設けた反射膜32と、この反射膜32上及び凸部21d上に設けた透過率調整膜23と、透過性基板21の上面21bに設けられた透過性を有する装飾膜24とで構成している。この時計用文字板30の構成は、第1実施形態のものと異なるところは反射膜32だけで、透過性基板、透過率調整膜、装飾膜は第1実施形態のものと同じ仕様のものを用いている。
【0040】
ここでの反射膜32は、ピンク色調を持った樹脂膜で光が十分に反射する程度の厚みを持って、スクリーン印刷で形成している。
【0041】
この構成の時計用文字板30は、ほんの僅かにシルバー色が混じり入ったと感じられる微妙に淡く光沢の現れたピンク色調の文字板が得られる。また、見る角度によって、ほんの僅かなシルバー色とピンク色とに立体感が現れる。
【0042】
本実施の形態においては、透過性基板21の下面にピンク色調の反射膜32を形成した後、凸部21dの反射膜32が無くなるまで研磨をして、その上に白色の透過率調整膜23を形成した。しかし、反射膜32が光の一部を下方に透過できる膜厚、色調等であれぱ、凸部21dに反射膜32を有した状態、即ち、研磨をしないで、透過性基板21の全下面に形成された反射膜32の上面に透過率値要請膜23を設けても良い。この場合のピンク色は淡さが多少薄れたものとなってくる。
【0043】
また、本実施の形態においては、透過率調整膜23を、第1の実施形態と同様に、白色塗料の樹脂膜で形成している。これは、外観色を淡いピンク色に仕立てたいことから白色の透過率調整膜23を選択している。これに対し、ピンク色の反射膜32そのものの色調を出したいと云う場合には、ピンク色あるいはそれと同系色の透過率調整膜23にすると反射膜32のピンク色に近い色調が得られる。
【0044】
次に、図3に示すものは、本発明の第3実施形態に係る時計用文字板を示している。図3より、この時計用文字板40は、下面に凹凸部を形成した透過性基板21と、透過性基板21の凹部21cに設けた反射膜32と、この反射膜32上及び凸部21d上に設けた透過率調整膜23と、透過性基板21の上面21bに設けられた透過性を有する装飾膜44とで構成している。この時計用文字板40の構成は、第2実施形態のものと異なるところは装飾膜44だけで、透過性基板、反射膜、透過率調整膜は第2実施形態のものと同じ仕様のものを用いている。
【0045】
ここでの装飾膜44はピンク色調を持った樹脂膜で薄く、スクリーン印刷で形成している。僅かにピンク色調を帯びて透明感を持った装飾膜である。
【0046】
この構成の時計用文字板は、光沢を帯びて明るく淡いピンク色調を持った文字板となる。また、ピンク色調の度合いも透過率調整膜23で調整することができるので、色調のバリエーションとしては豊富に作ることができる。
【0047】
また、同じピンク色調でも淡いピンク色ではなく少し濃い目のピンク色にしたいと云う場合には、前述の第2実施形態で述べたように、透過率調整膜23を薄いピンクの色調を持ったものにすれば、少し濃い目のピンク色が得られる。また、別な方法としては、前述の第2実施形態で述べた如く、透過性基板21の凹凸面に、一部の光が透過するようなピンク色の反射膜32を形成し、その反射膜32の上に白色の透過率調整膜23を設ける方法も取れる。
【0048】
次に、図4に示すものは、本発明の第4実施形態に係る時計用文字板を示している。図4より、この時計用文字板50は、下面に凹凸部を形成した透過性基板21と、透過性基板21の凹部21cに設けた反射膜52と、この反射膜52上及び凸部21d上に設けた透過率調整膜23と、透過性基板21の上面21bに設けられた透過性を有する装飾膜54とで構成している。この時計用文字板50の構成は、第1実施形態のものと異なるところは反射膜52と装飾膜54で、透過性基板、透過率調整膜は第1実施形態のものと同じ仕様のものを用いている。
【0049】
ここでの反射膜52はクロム金属の蒸着膜で形成していて、クロム金属色調を有している。また、装飾膜54はシリカ微粒子を透明樹脂に分散して形成した透明に近い薄い膜である。この装飾膜54は透明に近い膜ではあるが艶消し作用を持っている。
【0050】
上記装飾膜54は、透明な樹脂(固形分)100重量%に対してシリカ微粒子を10〜30重量%混ぜ合わせてインク化し、スクリーン印刷で10〜20μmの厚みに形成している。艶消し剤としては、好適にシリカ微粒子を選択することができるが、外に、アルミナ,ジルコニア,チタンなども利用することができる。また、ここで使用するシリカ微粒子は、粒径1.0〜5.0μmで、平均粒径2.0μmなどのものが好適である。
【0051】
この構成の時計用文字板50には、艶消しが施されたクロム金属色が現れる。艶消しを施すことによって落ち着きのある文字板が得られる。
【0052】
本実施の形態では反射膜52にクロム金属蒸着膜を用いたが、他の金属、例えば銀,金,ロジウムなどの金属蒸着膜を用いることも可能である。文字板には、これらの金属色の艶消し色が現れるので、クロム金属蒸着膜と同様に、落ち着きの持った高級感を与える色調が現れる。ソーラセル用文字板のデザインバリエーションを豊富にする。
【0053】
以上説明した第1〜第4実施形態においては、透過率調整膜に全て白色の樹脂膜を用いているが、しかし、白色以外の他の色調のものを使って反射膜の色調と組み合わせれば、その調色によって色々な色調のデザインバリエーションを豊富に得ることができる。また、反射膜と同系色の透過率調整膜を用いれば、反射膜の色調にほぼ近い色調のものが得られる。更に、装飾膜で薄く他の色を付加すれば、更なる色調バリエーションを増やすことができる。また併せて、それらの色調に立体感も現れてくる。
【0054】
以上、詳細に説明したように、透過性基板の下面に一定間隔に複数の凹凸を設け、凹部を鏡面に仕上げると共に反射膜を形成することによって、光の透過部分となる凸部上面の大きさは120μmまで目に見えない範囲として許容される。また、凸部上面の総面積を透過性基板の面積の20〜50%の範囲に設定すれば、凸部が一定間隔に設けられていることと相まって、従来技術で説明したソーラセルの4面均一に発電に十分な光量を与えることができ、発電機能を満たすことができる。
【0055】
更に、凸部上面の大きさや総面積を極力上限値に近いものに設定し、凸部上面に設ける透過率調整膜でその透過率を調整するようにすれば、透過性基板の成形金型は一種類で済ますことができると共に、色々な種類の透過率のソーラセルに容易に対応することができる。このことは金型コストを非常に安いものにする。
【0056】
更にまた、透過性基板の上面に装飾膜を設け、この装飾膜と、反射膜、透過率調整膜に色々な色調を与えることによって、これらの色調の調色などによって非常に多くの外観色調が得られる。また、装飾膜と反射膜の間に透過性基板が介在していることにより、それらの色調の中に立体感が現れてくる。そしてこのことによって、非常に多くの色調のデザインバリエーションを持った文字板を得ることができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の下での時計用文字板は、透過性基板を成形する金型を一種類で済ますことができ、金型コストを非常に安くする。また、透過性基板に設ける反射膜、透過率調整膜、装飾膜それぞれに、金属膜、金属酸化膜、樹脂膜などを組み合わせて、色々な色調を与えることによって、色調のデザインバリエーションを豊富にする。また、そこには立体感の現れた色調も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る時計用文字板の要部断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る時計用文字板の要部断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る時計用文字板の要部断面図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る時計用文字板の要部断面図である。
【図5】携帯時計に用いられるソーラセルの平面図である。
【図6】特許文献1に示されたソーラセル時計用文字板の要部断面図である。
【符号の説明】
20、30、40、50 時計用文字板
21 透過性基板
21a 凸部の上面
21b 上面
21c 凹部
21d 凸部
22、32、52 反射膜
23 透過率調整膜
24、44、54 装飾膜
Claims (2)
- 透過性基板の上面に光が透過する装飾膜を有し、前記透過性基板の下面に模様状に形成した複数の凹凸部を有し、該凹凸部の鏡面をなした凹部に反射膜を設けた時計用文字板において、
前記凹凸部の凸部に光の透過率を調整する透過率調整膜を設け、該透過率調整膜の膜厚の調整で、所望の透過率を得ると共に前記反射膜の色調と前記透過率調整膜の色調との調色で得られる色調の濃淡の度合いを調整することを特徴とする時計用文字板。 - 前記反射膜は金金属膜からなり、前記透過率調整膜は白色樹脂膜からなり、前記白色樹脂膜の膜厚の調整で、所望の透過率を得ると共に前記金金属膜の金色色調と前記白色樹脂膜の白色色調との調色で得られる色調の濃淡の度合いを調整し、金色の濃淡色調を得ることを特徴とする請求項1に記載の時計用文字板。
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