JP4279270B2 - ピラーガーニッシュ - Google Patents

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Description

この発明は、ピラーガーニッシュに関する。
自動車等の車両にはピラーの車室内側からピラーガーニッシュが取り付けられている。このピラーガーニッシュはピラーの内側に装着される車室内外観構成部品であるが、ある程度の剛性を確保するために、リブを設けるようにしている。
例えば、ピラーガーニッシュには裏面(ピラー側の面)に横方向に延びるリブを設けて、車室内側から押圧された場合等の剛性を確保している(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−291050号公報
しかしながら、上記従来のピラーガーニッシュにあっては、例えば、サイドエアバッグ装置のエアバッグ展開時に展開荷重が作用した場合に、上記リブ近傍にこの荷重が作用すると、リブによってピラーガーニッシュの撓みが阻害され、ピラーガーニッシュに割れが生ずるという課題がある。
そこで、この発明は、サイドエアバッグの展開荷重がリブの近傍に作用した場合でも割れが生ずることがないピラーガーニッシュを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、ピラー(例えば、実施形態におけるセンタピラー4)と対向する面に車体前後方向に延在する第1のリブ(例えば、実施形態における第1のリブ40)が設けられたピラーガーニッシュ(例えば、実施形態におけるピラーガーニッシュロア32)であって、前記ピラーとの間にシートベルト(例えば、実施形態におけるシートベルト37)を上側に向かって挿通可能に構成し、車体前後方向の端部に前記ピラー側に向けて折れ曲がった前後の縁部(例えば、実施形態における前側縁部32fと後側縁部32b)を備え、前記第1のリブにスリット(例えば、実施形態におけるスリット43)が形成され、前記第1のリブのスリットの位置の下方に、車体前後方向に延在し、かつ前記前後の縁部から離間した第2のリブ(例えば、実施形態における第2のリブ41)を設けたことを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、前記第2のリブの車体前後方向の幅が前記スリットよりも幅広に設定されていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記第2のリブの車体前後方向の幅が、前記第1のリブの車体前後方向の幅よりも幅狭に設定されていることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記第1のリブのスリットの深さを前記第1のリブの高さとほぼ等しくしたことを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、前記第2のリブの突出高さを第1のリブの突出高さよりも小さくしたことを特徴とする。
本発明によれば、サイドエアバッグの展開荷重が作用した場合にスリットにより撓み変形させることで衝撃エネルギーを吸収し割れの発生を防止して入力荷重を低減することができる。また、前記第1のリブにスリットが形成されている分だけ低下する剛性は、第2のリブにより補完することができる。
また、第1のリブのスリットよりも幅の広い第2のリブを設けたことにより、シートベルト巻き取り装置から巻き出し、巻き取られるシートベルトがスリットに噛み込むことを防止できる。また、第1のリブをシートベルトに当接させることでシートベルトの方向・角度を規制でき、シートベルトをスムーズに巻き出し、巻き取ることができる。
次に、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明の実施形態のピラーガーニッシュが装着された車体の右側部を車室内側から見た側面図である。尚、図示は省略するが車体の左側部にも同様のピラーガーニッシュが設けられている。
図1〜図3に示すように、車体1のルーフの側端部を形成する車体前後方向に沿うルーフサイドレール2には、車体前部側から順に、フロントピラー3、センターピラー4、リアクォータピラー5及びリアピラー6が下方に向かって延出するように連結されている。フロントピラー3とセンターピラー4はフロアの両側部に配置されたサイドシル7に連結され、リアクォータピラー5はホイルアーチ部8を介してサイドシル7に接続されている。よって、車体1には、フロントピラー3、センターピラー4、ルーフサイドレール2及びサイドシル7で囲まれるフロントのドア開口部9が形成され、センターピラー4、ルーフサイドレール2、リアクォータピラー5、ホイルアーチ部8及びサイドシル7とで囲まれるリアのドア開口部10が形成されている。また、リアクォータピラー5とリアピラー6との間には上部にリアクォータウインドウの開口部11が形成されている。
前記ルーフサイドレール2及びリアクォータピラー5の車室内側にカーテンエアバッグ装置12が取り付けられている。このカーテンエアバッグ装置12は、ルーフサイドレール2に沿うように前部袋体13及び後部袋体14の二つが共に略長尺状に折り畳まれた状態で複数の取付部材15を介して取り付けられたものである。
前部袋体13は、ルーフサイドレール2のフロント及びリアのドア開口部9,10の上方範囲に取り付けられており、膨張展開時には、図2に示すように、ドア開口部9を閉塞するフロントドア16のフロントサイドウインドウ17及びドア開口部10を閉塞するリアドア18のリアサイドウインドウ19の車室内側にカーテン状に展開する。つまり、前部袋体13は、一列目シートSに着席した乗員及び図示略のニ列目シートに着席した乗員の側方を覆うものである。
他方、後部袋体14は、ルーフサイドレール2の開口部11の上方範囲に取り付けられており、膨張展開時には、図2に示すように、開口部11を閉塞させるリアクォータウインドウ20の車室内側にカーテン状に展開する。つまり、後部袋体14は、図示略の三列目シートに着席した乗員の側方を覆うものである。
図3に示すように、前部袋体13にはこれを膨張展開させるための専用のインフレータ21が連結され、後部袋体14にもこれを膨張展開させるための専用のインフレータ22が連結され、これらインフレータ21,22は、共通のブラケット23を介して一体的に車体1のリアクォータピラー5に取り付けられている。
そして、前記フロントピラー3にはフロントピラーガーニッシュ24が、センターピラー4にはセンターピラーガーニッシュ25が、リアクォータピラー5にはリアクォータピラーガーニッシュ26が、リアピラー6にはリアピラーガーニッシュ27が各々ルーフライニング28の側縁部29(図2参照)にラップするようにして取り付けられ、前記ルーフライニング28の側縁部29の内側に配置された前記前部袋体13及び後部袋体14が、展開時にはルーフライニング28の開放された側縁部29から下側に展開するようになっている。
前記センターピラーガーニッシュ25はドアウエスト部30を境として上側のピラーガーニッシュアッパー31と下側のピラーガーニッシュロア32とで構成されている。
また、一列目シートSのシートバックSBの側部にはサイドエアバッグ装置42が内装されている。このサイドエアバッグ装置42は車両側面衝突時にインフレータ42bを介して袋体42aをシートバックSBの側部からピラーガーニッシュロア32の上部付近に向かって展開させ、乗員の肩部付近とセンターピラー4との間に介装して乗員を保護するものである。折り畳まれた袋体42aとこれを展開するインフレータ42bとがシートバックSBの側部に収納されている。
図4〜図6に示すように、ピラーガーニッシュロア32は樹脂製の部材で下部がセンターピラー4に整合して末広がり形状に形成され、センターピラー4の下半部を車室内側から着脱可能に覆い、センターピラー4下部の車体1に取り付けられたシートベルト巻き取り装置33(図1、図4参照)の車室内側を覆う部材である。ピラーガーニッシュロア32の前側縁部32fと後側縁部32bは車室外側に滑らかに折れ曲がり、シートベルト巻き取り装置33側の面である裏面32r(一方の面)にはセンターピラー4や他の内装材に係止する係止爪34,34が複数形成されている。
ピラーガーニッシュロア32の上部には開放部35が形成され、下部にはシートベルト巻き取り装置33の逃げ用の切欠部36が形成され、シートベルト巻き取り装置33から巻き出されたシートベルト37がピラーガーニッシュロア32とセンターピラー4との間を上側に向かって挿通され、前記開放部35から上方に引き出され、センターピラー4の上部に取り付けられたリング38に挿通されるようになっている。このリング38は前記ピラーガーニッシュアッパー31の外側に露出した状態で取り付けられている。尚、前記リアクォータピラー5にもリアクォータピラーガーニッシュ26の外側に露出するリング38が設けられている。
前記ピラーガーニッシュロア32の開放部35の上縁には裏面32r側に向かって水平方向に延出するガイド部39が車体1の前後方向に長さl、延出高さhで形成されている。このガイド部39は前記シートベルト巻き取り装置33から巻き出され開放部35から外部に延出するシートベルト37の開放部35での引き出し位置を規制するものであると共に内部が見えないようにするための部位である。
図7、図8にも示すように、ガイド部39の近傍の下側、つまりシートベルト巻き取り装置33寄りには第1のリブ40が車体前後方向(図4において左右方向)に延在して設けられている。この第1のリブ40は突出高さH1であって、前後方向の長さL1に設定され、前記シートベルト巻き取り装置33から巻き出されるシートベルト37の引き出し位置を車室内外方向で規制するようになっている。この第1のリブ40の両端部近傍には前記係止爪34が形成されている。第1のリブ40には前後方向略中央部にスリット43が形成されている。このスリット43は深さD、幅Bに形成されたものであって、深さDは第1のリブ40の突出高さH1とほぼ等しく設定されている。スリット43の底部は応力集中しないように丸みを帯びたアール部44として形成されている。
第1のリブ40のシートベルト巻き取り装置33寄りの裏面32rの下側(側方)には所定間隔離間して第2のリブ41が車体前後方向に延在して設けられている。この第2のリブ41は突出高さH2であって、前後方向の長さL2に設定され、第1のリブ40とほぼ平行に形成されている。前後方向の長さL2は前記スリット43の幅Bよりも幅広に設定されている。また、第2のリブ41の突出高さH2は第1のリブ40の突出高さH1よりも小さく設定されている。
ここで、前記第1のリブ40及び第2のリブ41の端部はピラーガーニッシュロア32の裏面32rからなだらかに立ち上がり、なだらかに突出縁に合流して形成され、鋭利な部分が形成されないようになっている。また、前記第1のリブ40には複数の三角形状の縦リブ45が、第2のリブ41には1つの縦リブ45が各々表裏に対となって形成されている。
上記実施形態によれば、第1のリブ40と第2のリブ41とによりピラーガーニッシュロア32の車室内側から乗員のもたれ動作や、手を押し付けたりする動作に対して十分な剛性を確保できる。また、第1のリブ40のスリット43よりも幅広の第2のリブ41を設けたことにより、シートベルト巻き取り装置33から巻き出し、巻き取られるシートベルト37がスリット43に噛み込むことを防止できる。また、第1のリブ40をシートベルト37に当接させることができるためシートベルト巻き取り装置33から巻き出し、巻き取られるシートベルト37の方向・角度を規制でき、シートベルト37をスムーズに巻き出し、巻き取ることができる。
そして、車両側面衝突などにおいて、サイドエアバッグ装置42の袋体42aが展開し、展開荷重がセンターピラー4のピラーガーニッシュロア32の上部に作用した場合に、通常は踏ん張っている第1のリブ40をスリット43により撓み変形させることで衝撃エネルギーを吸収できるため、表面32h、裏面32rに割れの発生を防止して入力荷重を低減することができる。したがって、とりわけ樹脂製部品が撓み変形し難い低温時等における側面衝突において有効である。
また、車両側面衝突時に、前記カーテンエアバッグ装置12の前部袋体13が展開した場合にも同様にして第1のリブ40をスリット43により撓み変形させてピラーガーニッシュロア32の割れを防止できる。
また、ピラーガーニッシュロア32の割れが防止されるため、交換コストを低減できる。
そして、前記第1のリブ40にスリット43が形成されている分だけ低下する剛性は、第2のリブ41により補完することができるため、前述したように通常の使用時において、車室内において乗員がもたれたり、手をかけたりする場合の剛性は充分に確保できる。
尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、対象となるピラーはセンターピラー4に限られるものではなく、フロントピラー3、リアクォータピラー5、リアピラー6の何れにも適用できる。また、この実施形態ではピラーガーニッシュロア32について説明したが、ピラーガーニッシュアッパ31にも適用できる。そして、第1のリブ40及び第2のリブ41はピラーガーニッシュロア32の裏面32r側に形成されたが、表面32hに形成される場合も適用できる。
更に、カーテンエアバッグ装置12を搭載した車両を例にして説明したが、カーテンエアバッグ装置12を搭載していない車両にも適用できることは勿論である。また、リブの数は第1のリブ40,第2のリブ41の2つに限られず、スリット43の数も1つに限られない。
そして、前記ピラーガーニッシュロア32に対してサイドエアバッグ装置42、カーテンエアバッグ装置12の展開荷重が作用した場合について説明したが、何らかの原因で乗員から前記ピラーガーニッシュロア32に対して大きな荷重が作用した場合にも、第1のリブ40をスリット43により撓み変形させてピラーガーニッシュロア32の割れを防止できる。
この発明の実施形態の車両の側部を車室内側から視た側面図である。 図1に対応するカーテンエアバッグ展開時の側面図である。 インフレータの取付状態を示す側面図である。 この発明の実施形態のピラーガーニッシュロアの裏面図である。 図4の拡大図である。 ピラーガーニッシュロアの開放部の斜視図である。 図5のA−A線に沿う断面図である。 図5のB−B線に沿う断面図である。
符号の説明
1 車体
32 ピラーガーニッシュロア(ピラーガーニッシュ)
32r 裏面(一方の面、シートベルト巻き取り装置側の面)
33 シートベルト巻き取り装置
40 第1のリブ
41 第2のリブ
43 スリット

Claims (5)

  1. ピラーと対向する面に車体前後方向に延在する第1のリブが設けられたピラーガーニッシュであって、前記ピラーとの間にシートベルトを上側に向かって挿通可能に構成し、車体前後方向の端部に前記ピラー側に向けて折れ曲がった前後の縁部を備え、前記第1のリブにスリットが形成され、前記第1のリブのスリットの位置の下方に、車体前後方向に延在し、かつ前後の縁部から離間した第2のリブを設けたことを特徴とするピラーガーニッシュ。
  2. 前記第2のリブの車体前後方向の幅が前記スリットよりも幅広に設定されていることを特徴とする請求項1記載のピラーガーニッシュ。
  3. 前記第2のリブの車体前後方向の幅が、前記第1のリブの車体前後方向の幅よりも幅狭に設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のピラーガーニッシュ。
  4. 前記第1のリブのスリットの深さを前記第1のリブの高さとほぼ等しくしたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のピラーガーニッシュ。
  5. 前記第2のリブの突出高さを第1のリブの突出高さよりも小さくしたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載のピラーガーニッシュ。
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