JP4276091B2 - 環境中のダイオキシン類の測定に適した抗ダイオキシン類モノクローナル抗体およびそれを産生するハイブリドーマ - Google Patents

環境中のダイオキシン類の測定に適した抗ダイオキシン類モノクローナル抗体およびそれを産生するハイブリドーマ Download PDF

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Description

本発明は、環境中のダイオキシン類の測定法に関する。より具体的には、本発明は、WHO-TEF値が定められたダイオキシン類のうち、特にTEQ値に対する寄与が高い5塩素および6塩素のダイオキシン異性体に対して高い親和性を有するモノクローナル抗体、該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株、ならびに、該モノクローナル抗体を用いて環境中に存在するダイオキシン類の量を測定する免疫測定法に関する。
また、本発明は、該抗体を作製する際の免疫原として、免疫測定法において抗体を固定化するための化合物またはダイオキシン類と競合させるための化合物(コンペティター)として、あるいは、測定系の標準物質として有用なフェノキサチイン誘導体およびその製造方法に関する。
内分泌撹乱物質による環境汚染は、大気、焼却灰、排ガス、排水、食物、海産物、土壌などで深刻な問題となっており、日本のみならず世界各国においても、その生物および人類に及ぼす影響の調査および研究が進められている。なかでも、ダイオキシン類は、ヒトや生物などの生態系への持続的な影響が懸念されており、汚染状況の把握、ヒトや生物への暴露状況および摂取ルートの解明、ならびに、汚染施設、汚染箇所およびダイオキシン類排出源における迅速かつ多地点での簡易モニタリング法の開発が進められている。
ダイオキシン類とは、75種類のポリクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)および135種類のポリクロロジベンゾフラン(PCDF)からなるダイオキシンならびにコプラナーポリ塩化ビフェニルを含めた総称であり、多数の構造異性体が存在する(本明細書においては、これらを総称してダイオキシン異性体と称することもある)。これらの異性体のうち最も毒性が高い2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン(2,3,7,8-TCDD)の毒性を1としたときの各ダイオキシン異性体の相対毒性が、世界保健機構(WHO)により、毒性等価係数(Toxic Equivalency Factor ;TEF)として示されており、試料中のダイオキシンの分析は、毒性値を有する7種類のPCDDおよび10種類のPCDFを用いて行われる。即ち、各異性体の実測濃度にTEFを乗じ、これら値の総和を、2,3,7,8-TCDD毒性等量(Toxic Equivalent quantity ;TEQ)として算出し、この値をダイオキシン分析値としている。
また、以前より環境中の汚染物質として知られていたポリ塩化ビフェニル(PCB)のうち、4種類のノンオルトPCBと8種類のモノオルトPCBの計12種類のコプラナーPCBも、ダイオキシンと同様の生物作用を示すことにより、ダイオキシン類として測定されることとなった。
従来、ダイオキシン類の測定は、高額な分析機器である高分解能ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(GC/MS法)により、前述した17種類のダイオキシン異性体を測定し、これからTEQを算出することにより行われている。しかし、GC/MS法は、試料中の妨害物質の除去を必須とするため、多段階の煩雑なクリーンアップ操作、熟練した分析者などを必要とし、またデータ取得や解析に多大な時間を要するため、特定の分析機関での分析に限定されていた。一方、近年の研究の革新的な進歩により、内分泌撹乱物質を、生物学的な手法により分析する動きが見られる。即ち、バイオアッセイや生物試料由来のレセプターバインディングアッセイ、免疫測定法などが、膨大な種類のダイオキシン異性体が混在する環境試料の迅速かつ簡易な測定に適しているとして注目され、その開発が進められている。しかし、環境試料分析への適用において、公定法(GC/MS法)による分析値との解離や、測定系の再現が取れないなどが課題とされ、環境試料に適した簡易分析方法の開発が望まれている。
近年、総ダイオキシン量(TEQ)を特定の指標異性体の測定により簡易に把握しようとする考え方が提言されている。土壌、底質、大気、水質、排ガス、飛灰などの環境試料のみならず、母乳、血液などの生体試料、ならびに海産物、食品などの広範な試料において、TEFが定められたダイオキシン異性体の1つである2,3,4,7,8-ペンタクロロジベンゾフラン(2,3,4,7,8-PeCDF)の量が、TEQ値と非常に高い相関性を有することが明らかにされた(非特許文献1)。これらの報告を受け、本発明者らは、指標異性体をターゲットとしたダイオキシン測定方法に関して検討を重ね、2,3,4,7,8-PeCDFに対して高い特異性を有する組換抗体の開発を行い、特許出願もした(特願2003-091663号)。しかし、環境試料に対してより相関性の高い測定方法を得るためには、指標異性体のみでなく、TEQ値に対する寄与が高い複数のダイオキシン異性体にも交差反応性を有する抗体が必要であり、これを用いることにより、GC/MS値との相関性がより高まることが明らかとなった。
ダイオキシン分析の生物学的な手法のうち、抗体を利用した免疫化学的手法によりダイオキシン類を定量する試みは、例えば、特許文献1において行われている。即ち、2,3,7,8-TCDDに高い親和性を有するモノクローナル抗体を製造し、これを用いて、ヒト血液や母乳などの生体試料中のダイオキシン類を検出する方法が記載されている。また、特許文献2においても、2,3,7,8-TCDDに対して最大の親和性を有し、かつ、その他の複数の異性体に対しても交差反応性を有する数種の抗体を用いたダイオキシン類の存在量を推定する方法が記載されている。しかし、これらの文献おいては、5塩素および6塩素のダイオキシン類を認識するモノクローナル抗体、ならびに、該モノクローナル抗体を用いることによる環境試料中の総ダイオキシン量(TEQ)との相関性を有する測定方法についての十分な記載は無く、環境試料測定方法としての具体的な実施の説明がなされていない。
また、特許文献3において、8塩素ダイオキシンに高い親和性を有するポリクローナル抗体を用いた土壌または底質のダイオキシン類の測定方法が記載されている。しかし、試料中の8塩素ダイオキシンの、抗体を用いたときの測定値と機器分析GC/MS値との明確な相関関係が示されていない。
一方、非特許文献2において、WHO-TEF値が定められた17種類のPCDDおよびPCDFのうち、1,2,3,7,8-PeCDFへの反応性を100%としたときに、1,2,3,7,8,9-HxCDDに39.8%、1,2,3,4,7,8-HxCDFに45.9%、1,2,3,6,7,8-HxCDFに36.6%、1,2,3,7,8,9-HxCDFに42.7%、2,3,4,6,7,8-HxCDFに43.8%の交差反応性を示し、即ち、全種類の6塩素PCDFと1種類の6塩素PCDDのいずれにもおよそ35〜45%の交差反応性を示し、さらに、TEF値を有する他のダイオキシン異性体にもおよそ10%の反応性を示すダイオキシン類に広範な交差反応性を有する抗体が記載されている。また、該抗体を用いて環境試料を測定した結果、GC/MS値との間に相関性が見られたことが報告されている。
高菅ら、第11回環境化学討論会講演要旨集、p.136、2002年 藤平ら、環境浄化技術、vol.2, No.5, p.63、2003年 特開2002-228660号公報 特開2002-119279号公報 特開2003-098173号公報
本発明の目的は、公定法(GC/MS法)によるダイオキシン類の分析値と良好な相関性を有する測定値を迅速かつ簡易に得ることができるダイオキシン類の免疫測定法を提供することであった。
また、本発明の目的は、上記の目的を達成するために、WHO-TEF値が定められた17種類のPCDDおよびPCDFのうち指標異性体だけでなくTEQ値への寄与の高い数種類の5塩素および6塩素のダイオキシン異性体にも高い交差反応性を有し、かつ測定溶媒中で抗原との安定な反応性を有するモノクローナル抗体を提供することであった。
一般にダイオキシン類などの低分子化合物に対するモノクローナル抗体を製造する場合には、動物接種時に免疫応答を引きだすことが困難である。従って、目的の抗原をタンパク質や多糖類などの高分子化合物と結合させ、コンジュゲートを形成させることにより免疫原性を高めたハプテン化抗原を用いて免疫を行う。また、ダイオキシン類は、生物に対する免疫抑制作用などの強い毒性の点で問題であり、かつ、水に難溶性であるために操作性が低いという欠点がある。本発明者らは、ダイオキシン類の毒性を低減し、水への溶解性を高めて操作性を高めた、ダイオキシン類と構造の類似したフェノキサチイン誘導体(I-1およびI-2)を合成し、スペーサーを介してタンパク質とのコンジュゲート(II-1およびII-2)を調製し、これらを免疫原として動物を免疫した。次いで、免疫動物由来の抗体産生細胞とミエローマ細胞を融合させてハイブリドーマ細胞を得た。次いで、有機溶媒存在下でII-1およびII-2を固相化抗原とし、ターゲットとするダイオキシン異性体に特異性を有する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を得た。また、フェノキサチイン誘導体I-1およびI-2をスクリーニングに併用することにより、特異的なハイブリドーマ細胞の選抜を容易にし、かつDMSOなどの有機溶媒存在下でスクリーニングすることにより、溶媒中で抗原-抗体反応が可能な抗体を得た。さらに、この抗体を用いて目的の免疫測定法を確立した。
本発明のモノクローナル抗体は、非特許文献2が示すようなダイオキシン異性体に対して広範な交差反応性を示す抗体でなく、TEF値が定められた17種類のダイオキシン異性体のうち、指標異性体と、TEQ値への寄与率が高い数種類の5塩素および6塩素のダイオキシン異性体に対して交差反応性を有する抗体である。この抗体を用いて、従来の公定法(GC/MS法)によるダイオキシン分析の煩雑さを回避しつつ、公定法によるダイオキシン類の分析値と良好な相関性を有する測定値を、有機溶媒の存在下に迅速かつ簡易に、さらに安定して高感度に得ることができるダイオキシン類の免疫測定法を構築することができる。この測定法により、環境試料中のダイオキシン類の簡易分析、モニタリングなどが可能となる。
本発明者らは、下記一般式(I):
Figure 0004276091
[式中、Xは、水素原子または塩素原子であり、nは2〜9の整数である]
で示されるフェノキサチイン誘導体をハプテンとしてキャリアータンパク質に結合させ、得られたコンジュゲートを免疫原として用いて動物を免疫し、免疫動物由来の抗体産生細胞とミエローマ細胞を融合させることによって、目的の抗ダイオキシン類モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞が得られることを見い出した。
上記一般式(I)で示されるフェノキサチイン誘導体は、例えば以下の反応式に従い製造することができる。
Figure 0004276091
上記のように調製したフェノキサチイン誘導体を、キャリアータンパク質と結合させ、免疫原として使用しうるコンジュゲートを得る。キャリアータンパク質としては、ウシアルブミン、オボアルブミン、ミオグロビン、スカシガイヘモシアニンなどが挙げられる。フェノキサチイン誘導体とキャリアータンパク質との結合は、次のようにして行うことができる。即ち、初めにフェノキサチイン誘導体のカルボキシル基を、N-ヒドロキシスクシンイミドなどとの縮合反応により活性エステルに変換する。次いで、この活性エステル誘導体とキャリアータンパク質のアミノ基とを常法に従って結合させて、目的のコンジュゲートを得る。
次に、上記のように調製したコンジュゲートを免疫原として用いて動物を免疫する。コンジュゲートを、アジュバントと混合して乳化した後に、動物に投与する。免疫する動物としては、マウス、ラット、ウサギ、ヤギなどの動物種が挙げられる。免疫は、動物の腹腔内に免疫原0.5〜10μg/g体重を2〜3週間間隔にて3〜12回投与することにより行う。
モノクローナル抗体の製造は、例えば、ケーラーとミルシュタインの方法[Kohler G, Milstein C, Nature, 256, 495-7 (1975)]に準じて行うことができる。
最終免疫より3日後に、免疫動物より抗体産生細胞を回収する。抗体産生細胞は、脾臓細胞、リンパ節由来B細胞などであってよい。この抗体産生細胞をミエローマ細胞と常法に従って細胞融合させる。ミエローマ細胞としては、マウス、ラット、ヒト由来の細胞株が挙げられる。細胞融合法としては、ポリエチレングリコール法、電気的融合法などが挙げられる。
細胞融合によって得られたハイブリドーマの選択は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、エンザイムイムノアッセイ(ELISA)、フルオロイムノアッセイ(FIA)などによって行う。即ち、ダイオキシン類、フェノキサチイン類およびその誘導体とキャリアータンパク質とのコンジュゲート化合物を、ハイブリドーマ培養上清と反応させ、抗ダイオキシン抗体を産生しているハイブリドーマのウエルを選択する。次いで、該ウエル中のハイブリドーマを限界希釈法にてモノクローン化し、抗体産生ハイブリドーマ細胞を樹立する。
ハイブリドーマの選抜は、免疫測定法において使用する有機溶媒を含む水溶液中で、抗原と抗体とを短時間(10〜30分間)反応させることによって行う。有機溶媒を含む水溶液としては、例えば、10〜40%、好ましくは20〜30%のDMSO、メタノールまたはエタノールを含む水溶液が挙げられる。このようにして、有機溶媒を含む水溶液中でも抗原と安定して高い反応性を示す抗体産生ハイブリドーマを選抜する。
大量のモノクローナル抗体の調製は、例えば次のようにして行うことができる。予めプリスタン(2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン)を投与したマウスの腹腔内に、樹立した抗体産生ハイブリドーマ細胞株を移植し、10〜14日後にモノクローナル抗体を含む腹水を回収する。この腹水から、硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、あるいはアフィニティークロマトグラフィーなどにより、モノクローナル抗体を容易に回収することができる。
このようにして得られた本発明のモノクローナル抗体を、先行技術(特開2002-189027)に記載の免疫検出方法あるいは非競合法や競合法(間接競合法あるいは直接競合法)による免疫測定法などにおいて使用することができ、試料中のダイオキシン類を測定することができる。このような測定には、ライジオイムノアッセイ(RIA)、エンザイムイムノアッセイ(ELISA)、フルオロイムノアッセイ(FIA)などが含まれる。
ダイオキシン類の測定は、例えば、(a)有機溶媒を含む水溶液中にダイオキシン類を含有する試料を、本発明のモノクローナル抗体と抗原抗体反応させ;(b)抗体と結合したダイオキシン類あるいはダイオキシン類とは未反応の抗体を検出する;ことによって行う。有機溶媒としては、DMSO、メタノール、エタノールなどが挙げられ、これら有機溶媒は、10〜40%、好ましくは20〜30%の濃度で水溶液中に存在していてよい。
また、SPR(表面プラズモン)センサやQCM(水晶振動子)センサ、光学的センサ、電気化学的センサなどのトランスデューサーを使用した系において、官能部位表面へ抗原や抗体を固定化する免疫センサに、本モノクローナル抗体を使用することができる。一方、適当な担体へ抗体を固定化し、ダイオキシン類を除去するために使用することもできる。
本発明のモノクローナル抗体は、これら方法において通常用いられる操作に従って用いてよい。
なお、抗体および測定系に供するダイオキシン誘導体の標識が必要である場合には、放射性同位元素、酵素、蛍光物質など、当分野で周知のものを用い、常法通り行ってよい。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本技術分野において行われるこれらに対する通常の改変および修飾を含むものとする。
実施例1:フェノキサチイン誘導体の合成
(1)6-(3,7,8-トリクロロフェノキサチイン-2-イロキシ)ヘキサン酸の合成
3,4-ジクロロフェノールをメタノールに溶解し、等量の水酸化カリウムを加えた後、溶媒を留去した。残渣にトルエンを加え、溶媒を減圧下に留去した後、減圧下に100℃で1時間乾燥させた。これに、4-ブロモ-2-クロロアニソールと塩化第一銅と無水ピリジンを加え、撹拌下に24時間加熱還流した。溶媒を減圧下に留去した後、残渣にクロロホルムと水を加え、分液し、有機層を1N塩酸および水で順次洗浄した後、溶媒を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、3,3',4-トリクロロ-4'-メトキシジフェニルエーテルを得た。
これを1,1,2,2-テトラクロロエタンに溶解し、無水塩化アルミニウムと塩化硫黄を加え、撹拌下に80℃で1時間反応させた。反応終了後、水を加え、クロロホルムで抽出し、有機相の溶媒を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、2,3,7-トリクロロ-8-メトキシフェノキサチインを得た。
次いで、これを無水ジクロロメタンに溶解し、三臭化ホウ素のジクロロメタン溶液を加え、室温で一晩撹拌した。反応液を氷中にあけ、ジクロロメタンで抽出し、有機相の溶媒を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、3,7,8-トリクロロフェノキサチイン-2-オールを得た。
これを、ジメチルホルムアミドに溶解し、無水炭酸カリウムとブロモヘキサン酸エチルを加え、60℃で一晩撹拌した。溶媒を減圧下に留去し、残渣にジクロロメタンと水を加え、分液し、有機層を水で洗浄した後、溶媒を減圧下に留去した。残渣をジオキサンとメタノールの混液に溶解し、撹拌下に10N水酸化ナトリウムを加え、室温で1時間反応させた。この反応液を塩酸で中和し、減圧下に濃縮し、残渣にクロロホルムと水を加えて溶解させた。この溶液を塩酸で酸性とした後、分液し、有機層を水で洗浄し、溶媒を減圧下に留去した。残渣をエタノールで洗浄し、エタノールから再結晶して6-(3,7,8-トリクロロフェノキサチイン-2-イロキシ)ヘキサン酸を通算収率7.5%で得た。
H-NMR(270MHz、DMSO-d):δ 12.01(br、1H)、7.67(s、1H)、7.24(s、1H)、7.13(s、1H)、7.09(s、1H)、4.01(t、2H)、2.23(t、2H)、1.72(m、2H)、1.57(m、2H)、1.42(m、2H)。
(2)6-(3,6,7,8-テトラクロロフェノキサチイン-2-イロキシ)ヘキサン酸の合成
上記(1)における3,4-ジクロロフェノールの代わりに、2,3,4-トリクロロフェノールを用いて同様な操作を行ない、6-(3,6,7,8-テトラクロロフェノキサチイン-2-イロキシ)ヘキサン酸を通算収率4.3%で得た。
H-NMR(270MHz、DMSO-d):δ 12.01(br、1H)、7.67(s、1H)、7.24(s、1H)、7.13(s、1H)、4.01(t、2H)、2.23(t、2H)、1.72(m、2H)、1.57(m、2H)、1.42(m、2H)。
実施例1の化合物の化学構造式を表1に示す。
Figure 0004276091
実施例2:キャリアータンパク質とのフェノキサチイン誘導体コンジュゲートの調製
実施例1で合成した2種類のフェノキサチイン誘導体を、該誘導体のカルボン酸を利用して、キャリアータンパク質としての牛血清アルブミン(BSA)に結合させた。
6-(3,7,8-トリクロロフェノキサチイン-2-イロキシ)ヘキサン酸(ハプテンI-1)のジメチルホルムアミド溶液に、N-ヒドロキシスクシンイミドおよび1-エチル-3-(3-ジエチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを加え、室温で一晩撹拌した。反応終了後、反応液を減圧下に濃縮し、残渣をクロロホルムで抽出した。抽出液を水で洗浄した後、減圧下に濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、N-スクシンイミジル-6-(3,7,8-トリクロロフェノキサチイン-2-イロキシ)ヘキサノエートを得た。
これをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、50mMリン酸緩衝液(pH8.0)に溶解したBSA溶液に、氷冷撹拌下に滴下し、室温にて一晩撹拌した。反応液をPBS(−)で平衡化したセファデックスカラムに添加し、同緩衝液で展開して、ハプテンI-1とBSAとのコンジュゲートを精製した。
6-(3,6,7,8-テトラクロロフェノキサチイン-2-イロキシ)ヘキサン酸(ハプテンI-2)を用いて、上記と同様な操作を行ない、ハプテンI-2とBSAとのコンジュゲートを調製した。
実施例2のコンジュゲートの構造を表2に示す。
Figure 0004276091
実施例3:抗ダイオキシンモノクローナル抗体の作製
(1)マウスの免疫
マウスへの毒性を軽減したフェノキサチイン誘導体コンジュゲート(II-1およびII-2)を免疫原として、またRAS R-700(RIBI社)をアジュバントとして用いて、マウスの免疫を行った。即ち、抗原溶液とアジュバントを1:1(容量比)で混合して十分に乳化させ、次いで、乳化液をBALB/cマウス(7〜8週齢、雌)の腹腔内に投与し(200μl)、マウスを免疫感作した。追加免疫を約2〜3週間の間隔で行い、追加免疫より1週間経過後に尾静脈より採血し、ELISA法により血中抗体価を測定して、抗体価の推移を観察した。
(2)細胞融合
II-1またはII-2に対する抗体の高産生が認められたマウスの尾静脈内に、II-1またはII-2を投与して最終免疫を行った。最終免疫より3日後にマウスより脾臓を摘出し、脾臓細胞を調製した。対数増殖期にあるミエローマ細胞(P3-X63-Ag8.653あるいはSp2/O)と脾臓細胞を1:5になるように混合し、ポリエチレングリコール(PEG)法にて細胞融合を行った。融合後の細胞を、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン)添加の10%FCS含有RPMI 1640培地中に懸濁させた。この懸濁液を、脾臓細胞数が1〜2×10細胞/ウエルになるように、96ウエル培養プレートに播種し、37℃および5%CO下で培養した。
(3)抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングおよびクローニング
細胞融合より7〜10日後に、クローンの増殖が見られたウエルの培養上清を用いて抗体価を測定した。抗体価の測定はELISA法によって行った。
(4)抗体産生ハイブリドーマのスクリーング(抗体価の測定)
マイクロタイタープレート(CORNING社)の各ウエルに、0.25〜1μg/mlのII-1およびII-2のPBS(−)希釈溶液(50μl)を加え、室温で1時間静置して固定化した。また、キャリアータンパク質に対する抗体誘導クローンを除外する為に、BSAをウエルに固定化し、このウエルを対照とした。各ウエルを、洗浄液[0.05%Tween20を含むPBS(−)](300μl)で3回洗浄した。次いで、脱イオン水で4倍希釈して調製したブロックエース(雪印社)溶液(300μl)を各ウエルに添加し、室温で2時間静置してブロッキングを行った。各ウエルを洗浄液(300μl)で3回洗浄した後、20%DMSOおよび0.01%Triton-X100の溶液(25μl)、および1次抗体を含む培養上清(25μl)を各ウエルに添加して混和し、室温で10〜30分間静置して抗原抗体反応を行わせた。
次いで、洗浄液(300μl)で各ウエルを3回洗浄した後、プレート固定化II-1またはII-2に結合した1次抗体を検出するために、脱イオン水で10倍希釈したブロックエースにて3000倍希釈に調製した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG(γ鎖認識)(KPL社)を、2次抗体溶液として加え(50μl)、室温で1時間反応させた。ウエルを洗浄液(300μl)で同様に3回洗浄した後、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)溶液(KPL社)を各ウエルに加え、室温で発色反応を行った。5〜15分後に1Mリン酸(50μl)を加えて反応を停止させ、マイクロプレートリーダー(マルチスキャン、Labsystems社)にて直ちに450nmでの吸光度を測定した。II-1またはII-2を固定化した各ウエルの吸光度と対照の吸光度の差を、その抗原に対する試料抗体の結合活性とし、対照の吸光度が高いクローンは除いた。
(5)間接競合法による特異抗体産生クローンの選抜
抗体価の測定に用いた方法に準じて、マイクロタイタープレートの各ウエルに抗原II-1およびII-2を固定化し、洗浄した。次いで、脱イオン水で4倍希釈したブロックエース溶液(300μl)を各ウエルに添加し、室温で2時間静置してブロッキングを行った。各ウエルを洗浄液(300μl)で3回洗浄した後、1次抗体を含む培養上清(25μl)と、種々の濃度の、ダイオキシン類に類似の構造を持ち、毒性を低減したスクリーニング用化合物であるフェノキサチイン誘導体(I-1、I-2)ならびにダイオキシン類の20%DMSOおよび0.01%Triton-X100の溶液(25μl)、さらに対照として、フェノキサチイン誘導体もダイオキシン類も含まない20%DMSOおよび0.01%Triton-X100の溶液(25μl)を各ウエルに添加して混和し、室温で10〜30分間静置して抗原抗体反応を行わせた。
次いで、洗浄液(300μl)で各ウエルを3回洗浄した後、プレート固定化II-1またはII-2に結合した1次抗体を検出するために、脱イオン水で10倍希釈したブロックエースにて3000倍希釈に調製した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG(γ鎖認識)(50μl)を、2次抗体溶液として加え、室温で1時間反応させた。ウエルを洗浄液(300μl)で同様に3回洗浄した後、TMB溶液を各ウエルに加え、室温で発色反応を行った。5〜15分後に1Mリン酸(50μl)を加えて反応を停止させ、マイクロプレートリーダーにて直ちに450nmでの吸光度を測定した。20%DMSOおよび0.01%Triton-X100の溶液のみを添加し、フェノキサチイン誘導体もダイオキシン類も添加していないウエルの吸光度値(対照OD;B0)に対する、フェノキサチイン誘導体またはダイオキシン類の添加時のウエルの吸光度値(B)の割合(B/B0)を算出し、1次抗体の反応性を判断した。抗原に対する結合活性が高く、かつ継続的に高い抗体産生が確認されたウエルのハイブリドーマを選び、拡大培養し、限界希釈法によってクローニングに供した。
以上の方法によりII-1およびII-2に高い反応性を有し、かつダイオキシンに高い特異性を示すモノクローナル抗体Dx02-I-0を産生するハイブリドーマDx02-I-1を樹立した。このハイブリドーマDx02-I-1は、平成15年12月19日に、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託され、受託番号としてFERM BP-08583を取得した。
(6)モノクローナル抗体の大量調製と精製
BALB/cマウスの腹腔内にプリスタン[2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン(和光純薬)](0.5ml)を投与し、2〜3週間飼育した。予め、対数増殖期に維持しておいたモノクローナル抗体産生ハイブリドーマDx02-I-1を回収し、培養上清を除き、次いでFCS不含のRPMI 1640にて1×10細胞/0.5mlになるよう細胞液を調製した。この細胞液を、プリスタン前投与したBALB/cマウスの腹腔中に移植し、10〜14日後に漏出した腹水を腹部より注射器で回収した。採取した腹水を、孔サイズ0.22μmφのフィルターを用いて濾過した後、濾液をプロテインG-セファロースカラム(Amersham Bionsiens社)によるアフィニティークロマトグラフィーによって常法に従い精製し、モノクローナル抗体を調製した。
実施例4:モノクローナル抗体の特性評価
(1)アイソタイプ分析
II-1またはII-2を固定化抗原とし、マウスタイパーキット(BIO-RAD)を用いて、樹立したハイブリドーマDx02-I-1が産生するモノクローナル抗体Dx02-I-0のアイソタイプ分析を行った。この結果、H鎖はIgG1であり、L鎖はκであった。
(2)間接競合法による標準曲線の作成
上記の間接競合法に従い、精製抗体(Dx02-I-0)を用いて、2,3,4,7,8-PeCDFによる阻害実験を実施した。マイクロタイタープレートにII-1を室温で1時間固定化した後、洗浄液(300μl)で3回洗浄した。次いで、脱イオン水で4倍希釈して調製したブロックエース溶液(300μl)をウエルに添加し、室温で2時間のブロッキングを行った。ウエルを洗浄液で3回洗浄した後、100ng/mlから3倍希釈して調製した種々の濃度のダイオキシン類(20%DMSOおよび0.01%Triton-X100の溶液)あるいは対照としてダイオキシン類を含まない20%DMSOおよび0.01%Triton-X100の溶液(25μl)、および1次抗体、即ち精製したモノクローナル抗体(25μl)を各ウエルに添加して混和し、室温で10〜30分間静置して抗原抗体反応を行わせた。
次いで、ウエルを洗浄し、これに2次抗体、即ち脱イオン水で10倍希釈したブロックエースにて3000倍希釈に調製した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG(γ鎖認識)(50μl)を加え、室温で1時間反応させた。ウエルを洗浄した後、TMB溶液を加え、室温で発色反応を行った。5〜15分後に1Mリン酸(50μl)を加えて反応を停止させ、マイクロプレートリーダーにて直ちに450nmでの吸光度を測定した。対照OD(B0)に対するダイオキシン類添加時のウエルの吸光度値(B)の割合(B/B0)を算出し、その値を、添加したダイオキシ類の濃度に対してプロットし、典型的なS字の阻害曲線を得た(図1)。
この結果、本発明のモノクローナル抗体を用いて、およそ1ng/ml以下の2,3,4,7,8-PeCDFを検出することが可能な高感度な測定系を構築しうることが示された。
(3)抗体の交差反応性の評価
モノクローナル抗体Dx02-I-0を用いて、間接競合法により、毒性値を有する17種類のダイオキシン類および12種類のコプラナーPCBに対する交差反応性を評価した。マイクロタイタープレートの各ウエルにII-1(50μl)を添加し、室温で1時間静置させた後に洗浄した。ブロッキングを行った後、プレートの各ウエルに、20%DMSOおよび0.01%Triton-X100に溶解させた種々の濃度のダイオキシン類(25μl)あるいは対照としてダイオキシン類を含まない20%DMSOおよび0.01%Triton-X100の溶液(25μl)および0.01〜0.1%BSAで希釈した抗体溶液(25μl)とを添加し、室温で10〜30分間反応させた。
次いで、固相に結合した抗体に対する2次抗体、即ちペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(γ鎖認識)およびTMBを用いて発色反応を行い、酵素反応を停止させた後、直ちに450nmにおける吸光度を測定した。種々のダイオキシン類に対してB/B0値をプロットし、得られた図よりIC50値を算出し、これらの値から抗体の交差反応性を求めた(表3)。
Figure 0004276091

本実験で用いた抗体は、TEQに対する寄与が高いと考えられる数種類の5塩素および6塩素のPCDDおよびPCDFのうち、発明者らがターゲットとしたダイオキシン異性体に高い交差反応性を示した。即ち、1,2,3,7,8-PeCDFへの反応性を100%としたとき、1,2,3,6,7,8-HxCDDに93%、1,2,3,7,8,9-HxCDDに86%、2,3,4,6,7,8-HxCDFに93%の反応性を示し、4種類の5および6塩素ダイオキシン異性体に対して極めて高い反応性を有することがわかった。さらに、この抗体は、1,2,3,4,7,8,9-HpCDFに34%、2,3,7,8-TeCDDに13%、2,3,4,7,8-PeCDFに16%の反応性を示した。
(4)環境試料の測定
本発明により得られたモノクローナル抗体Dx02-I-0を用いて、9種類の濃度の環境試料(排ガスなど)のダイオキシン分析を実施した。公定法に従い、環境試料に前処理を施し、DMSO置換し、間接競合法にて測定した。標準曲線にて2,3,4,7,8-PeCDF値に換算したELISA値を、GC/MS値に対してプロットしたところ、良好な相関関係が得られた(図2)。即ち、この抗体を用いて、環境試料中のダイオキシン分析に適した測定系を構築できることが確認された。
(5)抗ダイオキシンモノクローナル抗体Dx02-I-0のDMSO中での反応性
抗体価の測定方法に準じて、モノクローナル抗体Dx02-I-0のDMSO中での反応性を評価した。
本測定系においては、測定試料と抗体とを1:1で反応させるため、試料溶液は1/2に希釈されることとなる。図3に結果を示したが、ダイオキシン誘導体II-1に対する反応性は、DMSO終濃度が25%のときに最大であり、40%を超えると急激に低下した。即ち、環境試料モニタリングなどにおいて、本抗体は、DMSO溶液として得られる環境試料をわずか2倍に希釈するのみで測定系に供することができる。また、この測定系は、サブppb(10−9)レベルのダイオキシンを含有する試料も十分に測定可能であり、高感度な測定系であることが示された。
本発明のモノクローナル抗体を用いて、ダイオキシン類の免疫測定法を構築することができ、この測定法により、従来の公定法(GC/MS法)によるダイオキシン分析の煩雑さを回避しつつ、公定法によるダイオキシン類の分析値と良好な相関性を有する測定値を、迅速かつ簡易に、さらに安定して高感度に得ることができる。
間接競合法による本発明のモノクローナル抗体と抗原との反応の標準曲線のグラフである。 本発明のモノクローナル抗体を用いて環境試料のダイオキシン分析を行った結果と、GC/MS法により得られた結果の相関性を示すグラフである。 異なる濃度のDMSO中での本発明のモノクローナル抗体の反応性を示すグラフである。

Claims (5)

  1. WHO-TEF値が定められたポリクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)およびポリクロロジベンゾフラン(PCDF)のうち、5塩素および6塩素を有するダイオキシン異性体に高い親和性を有する、ハイブリドーマ細胞株Dx02-I-1(FERM BP-08583)によって産生されるモノクローナル抗体Dx02-I-0。
  2. 請求項1記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株Dx02-I-1(FERM BP-08583)
  3. (a)ダイオキシン類を含有する試料を請求項1記載のモノクローナル抗体と抗原抗体反応させ;
    (b)抗体と結合したダイオキシン類あるいはダイオキシン類とは未反応の抗体を検出する;
    ことを含んでなる試料中のダイオキシン類を分析するための免疫測定法。
  4. 下記の一般式(I):
    Figure 0004276091
    [式中、Xは水素原子または塩素原子であり、nは2〜9の整数である]
    で示されるフェノキサチイン誘導体を試料中の抗体と反応させることを含んでなる請求項1記載のモノクローナル抗体または請求項2記載のハイブリドーマ細胞株を選択するためのスクリーニング方法。
  5. 下記の一般式(II):
    Figure 0004276091
    [式中、Xは水素原子または塩素原子であり、nは2〜9の整数であり、Zはキャリアータンパク質または標識物質である]
    で示されるコンジュゲートを用いて動物を免疫し、該動物の体内にダイオキシン類に対して選択的に反応する抗体を産生させ、該動物の抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させ、所望の抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を選択し、該ハイブリドーマ細胞株を培養することを含んでなる請求項1記載のモノクローナル抗体の製造方法。
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