JP3431825B2 - 抗pahモノクローナル抗体およびそれを産生する細胞株 - Google Patents

抗pahモノクローナル抗体およびそれを産生する細胞株

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JP3431825B2 JP06100598A JP6100598A JP3431825B2 JP 3431825 B2 JP3431825 B2 JP 3431825B2 JP 06100598 A JP06100598 A JP 06100598A JP 6100598 A JP6100598 A JP 6100598A JP 3431825 B2 JP3431825 B2 JP 3431825B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェナントレンや
ベンゾ[a]ピレンなどの多環芳香族化合物(Polycyclic
Aromatic Hydrocarbon;PAH)に高い親和性を有す
るモノクローナル抗体、該モノクローナル抗体を産生す
るハイブリドーマ細胞株、ならびに該モノクローナル抗
体を用いて環境中に存在するPAHの量を高感度に定量
およびモニタリングする免疫測定法に関する。また、本
発明は、該抗体を作製する際の免疫原として、または競
合アッセイにおける標準物質として有用なPAHコンジ
ュゲートに関する。
【0002】
【従来の技術】PAHには非常に多くの化合物が含まれ
るが、環境中に存在するPAHの測定では、EPA(米
国環境保護局)によって定められたナフタレン、フェナ
ントレン、およびベンゾ[a]ピレンなどの2環式〜6環
式の16種類の標準化合物を分析するのが一般的であ
る。
【0003】試料中のPAHを測定する方法としては、
トルエンによるソックスレー抽出法、ガスクロマトグラ
フィー法、高速液体クロマトグラフィー法、薄層クロマ
トグラフィー法、免疫測定法などがある。しかし、トル
エン-ソックスレー抽出法では、試料中に含まれるすべ
てのPAHと共にアスファルテンやレジンなどを含む油
分の総量が求められ、個々のPAH成分については分析
することができない。また、ガスクロマトグラフィーや
高速液体クロマトグラフィー法では、試料中に含まれる
EPAによる16種類すべてのPAH成分について分析
定量することが可能である。しかし、これらの方法では
多数の試料を同時にモニタリングすることができず、主
として実験室での精密分析用として使用される。一方、
薄層クロマトグラフィー法や免疫測定法では、同時に多
くの試料を迅速に分析することが可能である。しかし、
これらの方法はガスクロマトグラフィーや高速液体クロ
マトグラフィー法よりも分解能の点で劣り、EPAによ
る16種類すべてのPAH成分を識別することは困難で
ある。そのため、これらの方法は、測定目的がPAHの
2、3、4、5および6環式成分グループの識別、また
は、これら成分グループ毎の相対的な濃度の把握のみで
ある場合に使用される。このように、測定目的によって
使用する分析方法は異なるが、多数の試料の迅速な測定
が要求される野外モニタリングでは、免疫測定法が適し
ている。
【0004】免疫測定法によって、排気または排水中の
PAHあるいは汚染土壌中のPAHをモニタリングしよ
うとする際には、以下のような技術的課題がある。 (1)一般にPAHのような低分子抗原に対する抗体の作
成は困難である。 (2)16種類の標準PAHは、互いに構造がよく似てお
り、互いの構造を識別する抗体を得ることは困難であ
る。 (3)PAHは難溶性物質であり、抗原抗体反応を有機溶
媒中で行う必要があるが、抗体は高分子量のタンパク質
を主成分としており、有機溶媒中では抗体活性が失われ
る可能性が強い。
【0005】米国特許No.5,358,851には、牛γグロブ
リンを用いてp-トリル酢酸をコンジュゲート化し、得
られたコンジュゲートを免疫原として用いて作製された
ポリクローナル抗体が開示されている。また、この文献
には、このポリクローナル抗体を用いて試料中のベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香環含有化合物の存在
またはその量を分析する方法が開示されている。米国特
許No.5,449,611には、牛血清アルブミンを用いてβ-メ
チルナフタレンをコンジュゲート化し、得られたコンジ
ュゲートを免疫原として用いて作製されたモノクローナ
ル抗体が開示されている。また、この文献には、このモ
ノクローナル抗体を用いて試料中のPAHの存在を分析
する方法が開示されている。さらに、ゴメスら[M.Gomes
およびR.M.Santella, Chem.Res.Toxicol. 3, pp.307-31
0 (1990)]は、牛血清アルブミンに結合させた6-アミノ
ベンゾ[a]ピレンを免疫原として用いて作製したモノク
ローナル抗体を開示している。この文献には、このモノ
クローナル抗体が、ベンゾ[a]ピレンと反応しただけで
なく、その代謝産物およびいくつかの他のPAHと交差
反応したことが記載されている。しかし、これら文献に
開示されたポリクローナル抗体およびモノクローナル抗
体は、PAHのモニタリングに使用しようとする場合に
は、抗原との親和性および特異性の点で満足しうるもの
ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような技術的課題を解決し、免疫測定法によるPAH
のモニタリングにさらに適するモノクローナル抗体を提
供することである。また、本発明は、該抗体を産生する
ハイブリドーマ細胞株、および該抗体を用いて試料中の
PAHを分析するための免疫測定法を提供するものであ
る。さらに、本発明は、該抗体を作製する際の免疫原と
して、または競合アッセイにおける標準物質として有用
なPAHコンジュゲートを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、PAHを
スペーサーを介してキャリアータンパク質と結合させて
新規なPAHコンジュゲートを調製し、このコンジュゲ
ートを免疫原として用いて動物を免疫し、免疫動物の抗
体産生細胞とミエローマ細胞を融合させてハイブリドー
マ細胞株を調製し、これらハイブリドーマ細胞株を適切
に選択することによって、PAH測定に適する抗PAH
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を
樹立した。このモノクローナル抗体を用いてPAH測定
のための免疫測定法を構築することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】一般に低分子抗原を用いて動物を
免疫する場合、抗原を適当な架橋試薬を用いて他のタン
パク質抗原(キャリアータンパク質)に結合させ、得られ
たコンジュゲートを免疫原として用いて生体からの抗原
認識を高める方法が用いられる。本発明者らは、以下の
式(2):
【化2】 Ar−CO−(CH2)n−CONH−Z1 (2) [式中、Arは3〜5環式の多環芳香族化合物であり、n
は1〜3の整数であり、Z1はキャリアータンパク質で
ある]で示されるコンジュゲートを免疫原として用いる
ことによって、目的の抗PAHモノクローナル抗体が得
られることを見い出した。
【0009】上記式(2)で示されるコンジュゲートにお
いて、3〜5環式の多環芳香族化合物(PAH)には、E
PAによって定められた3〜5環式の標準化合物である
アセナフチレン、アセナフテン、フルオレン、フェナン
トレン、アントラセン、フルオランテン、ピレン、ベン
ゾ[a]アントラセン、クリセン、ベンゾ[b]フルオランテ
ン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[a]ピレン、また
はジベンゾ[a,h]アントラセンなどが含まれる。キャリ
アータンパク質には、ミオグロビン、牛血清アルブミン
(BSA)、またはキーホールリンペットヘモシアニン
(KLH)などが含まれる。
【0010】上記式(2)で示されるPAHコンジュゲー
トは、例えば、次のようにして調製することができる。
まず、フリーデル-クラフツ反応により、PAHと以下
の式(3):
【化3】XCO-(CH2)n-COOAlk (3) [式中、Xはハロゲン原子であり、Alkは低級アルキル
基であり、nは上記定義の通りである]で示される化合
物を反応させて、化合物PAH-CO-(CH2)n-COO
Alkを得る。次いで、この化合物の末端エステル基を加
水分解してカルボキシル基に変換し、この末端カルボキ
シル基とN-ヒドロキシスクシンイミドを反応させてN-
ヒドロキシスクシンイミドエステル(PAH誘導体)とす
る。最後に、このPAH誘導体をキャリアータンパク質
と反応させて上記式(2)で示されるコンジュゲートを得
る。上記のフリーデル-クラフツ反応、加水分解反応、
エステル化反応、およびPAH誘導体とキャリアータン
パク質との反応は、当業者には周知である反応条件に従
って行ってよい。
【0011】上記のように調製したPAHコンジュゲー
トを免疫原として用いて動物を免疫する。免疫する動物
としては、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ等を挙げるこ
とができる。免疫は、動物の腹腔内にPAHコンジュゲ
ート(4〜40mg)を2〜3週間間隔にて3〜4回投与す
ることにより行う。
【0012】最終免疫より3日後に免疫動物から抗体産
生細胞を回収する。抗体産生細胞は、脾臓細胞、リンパ
節由来のB細胞などであってよい。この抗体産生細胞を
ミエローマ細胞と常法に従って融合させる。ミエローマ
細胞としてはマウス、ラット、ヒトのものが挙げられ
る。細胞融合法としてはポリエチレングリコール法、電
気的融合法などが挙げられる。
【0013】細胞融合によって得られたハイブリドーマ
の選択は、例えばラジオイムノアッセイ、酵素標識抗体
法(ELISA)、蛍光標識抗体法などによって行う。即
ち、PAHコンジュゲートとハイブリドーマ培養上清を
反応させ、抗PAH抗体を産生しているハイブリドーマ
のウェルを選択し、該ウェル中のハイブリドーマを限界
希釈法によってクローン化してハイブリドーマ細胞株を
樹立する。
【0014】モノクローナル抗体の調製は、例えば、次
のようにして行うことができる。予めプリスタン(2,
6,10,14-テトラメチルペンタデカン)を投与したマ
ウスの腹腔内に樹立ハイブリドーマ細胞株を移植し、1
0〜14日後にモノクローナル抗体を含む腹水を回収す
る。この腹水から、硫安分画、イオン交換クロマトグラ
フィー、あるいはアフィニティークロマトグラフィー等
により、モノクローナル抗体を容易に回収することがで
きる。
【0015】得られたモノクローナル抗体を用いて、試
料中のPAHを測定することができる。このような測定
法には、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノア
ッセイ(EIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)等が含ま
れる。RIAには、競合法と固相法がある。競合法で
は、最初に検体と既知の抗体を反応させた後、アイソト
ープで標識した既知の抗原と反応させる。次に、抗γグ
ロブリン抗体を加えて反応させ、沈殿物中の放射活性を
測定する。もし、検体中に検出しようとする抗原が多量
に含まれているなら、既知抗体と反応するので、後に添
加したアイソトープ標識既知抗原と既知抗体は反応しな
くなる。従って、沈殿物中の放射活性は低い。逆に、検
体中の抗原が少ない場合、多くのアイソトープ標識既知
抗原と既知抗体が反応するので、沈殿物中の放射活性は
高くなる。このように放射活性を測定することによっ
て、検体中の抗原を定量することができる。固相法で
は、ポリスチレンあるいはガラスのビーズに既知の抗体
を結合させておき、これを検体と反応させる。次いで、
アイソトープ標識した第2の抗体と反応させる。もし、
検体中に検出すべき抗原が存在しているなら、この第2
の標識抗体が結合するので、放射活性を測定することに
よって、検体中の抗原を定量することができる。この場
合、抗原量と放射活性は比例する。EIAは、RIA固
相法と同様に行うが、抗体の標識にアイソトープの代わ
りに酵素を用いる。FIA法では、標識にアイソトープ
や酵素の代わりに蛍光色素を用いる。
【0016】これらの標識物質として、RIAには125
I、57Co、75Se、32Pなどが用いられ、EIAにはア
ルカリホスファターゼ、グルコアシラーゼ、ガラクトシ
ダーゼ、ペルオキシダーゼ、アセチルコリンエステラー
ゼなどが用いられ、FIAにはフルオレセイン、ローダ
ミン、ダンシルなどの誘導体が用いられる。
【0017】上記の抗原抗体反応は水溶液中で行うこと
ができるが、有機溶媒を含む水溶液中で行うのが好都合
である。有機溶媒は水溶性であるのが好ましく、このよ
うな有機溶媒には、例えば、メタノール、エタノール、
イソプロパノール、n-プロパノール、ブタノール、ア
セトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドなどが
含まれる。好ましくは、抗原抗体反応を、70%以下の
メタノール、70%以下のエタノール、50%以下のア
セトニトリルまたは50%以下のジメチルスルホキシド
を含む水溶液中で行う。
【0018】また、競合アッセイにおいては、以下の式
(4):
【化4】 Ar−CO−(CH2)n−CONH−Z2 (4) [式中、Arは3〜5環式の多環芳香族化合物であり、n
は1〜3の整数であり、Z2は標識物質である]で示さ
れるコンジュゲートを標準物質として用いるのが有利で
ある。
【0019】上記式(4)で示されるコンジュゲートにお
いて、Arは上記式(2)の場合と同じである。また、Z
2の標識物質には、ビオチン、ペルオキシダーゼ、アル
カリホスファターゼなどが含まれる。
【0020】上記式(4)で示されるPAHコンジュゲー
トは、上記式(2)で示されるPAHコンジュゲートを製
造するための方法と同様の方法によって製造することが
できる。即ち、PAHにスペーサーを介してN-ヒドロ
キシスクシンイミドを結合させたN-ヒドロキシスクシ
ンイミドエステル(PAH誘導体)を、当業者には周知で
ある反応条件に従って標識物質と反応させて、上記式
(4)で示されるコンジュゲートを得ることができる。
【0021】
【発明の効果】本発明により、PAHに対して高親和性
を有するモノクローナル抗体が提供された。本発明のモ
ノクローナル抗体を利用することにより、高感度、高精
度かつ迅速なPAHの免疫測定法を構築することができ
る。これら測定法を、例えば、以下の目的に使用するこ
とができる。 (1)産業廃棄物中の総油分のモニタリング (2)水質調査時のPAH汚染のモニタリング (3)ディーゼルエンジンなどの排ガス中に含まれるベン
ゾ[a]ピレンなどのPAHのモニタリング (4)石油ストーブなどの暖房器具から排出された室内の
ベンゾ[a]ピレンなどのPAHのモニタリング (5)河川汚泥や湖沼の低質汚泥中に含まれるベンゾ[a]ピ
レンなどのPAHのモニタリング (6)都市ゴミ焼却処理工場の排ガスおよび排水(排ガス洗
浄水)中に含まれるベンゾ[a]ピレンなどのPAHのモニ
タリング
【0022】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。実施例1 PAHコンジュゲートの調製 (1)フェナントレン(Phe)へのスペーサー分子の導入 免疫動物に投与するコンジュゲート抗原を調製するため
の第1段階として、フェナントレンにスペーサー分子を
導入したフェナントレン誘導体を、以下の反応式Iに従
って合成した。
【化5】
【0023】まず、フェナントレンからフェナントレン
-4-オキソ酪酸エチル(化合物1a)を合成した。氷冷下
のコハク酸モノエチルクロリド(3.5ml;25mモル)の
ジクロロメタン(60ml)溶液に、塩化アルミニウム(3.
6g;27mモル)を加え、30分間撹拌した。この氷冷
下の溶液にフェナントレン(4.0g;22mモル)を加え
た後、室温に戻し、2日間撹拌した。反応液を氷にあ
け、ジクロロメタンで抽出し、有機層を水洗した後、溶
媒を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(ジクロロメタン:ヘキサン=1:10で溶
離)により精製し、位置異性体混合物として化合物1aを
2.46g(収率36%)得た。
【0024】次に、化合物1aからフェナントレン-4-
オキソ酪酸(化合物2a)を合成した。化合物1a(2.4
g;7.8mモル)を、ジオキサン(15ml)と2.4N 塩酸
(15ml)の混液に溶解し、加熱還流下に8時間撹拌し
た。この反応液をジクロロメタンで抽出し、有機層を水
洗した後、溶媒を減圧下に留去した。残渣をジエチルエ
ーテルで洗浄し、位置異性体混合物として化合物2aを
1.43g(収率66%)得た。
【0025】最後に、化合物2aからフェナントレン-4
-オキソ酪酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(化
合物3a)を合成した。化合物2a(560mg;2mモル)お
よびN-ヒドロキシスクシンイミド(240mg;2mモル)
をジメチルホルムアミド(2ml)に溶解した。この溶液を
氷冷し、ジシクロヘキシルカルボジイミド(460mg;
2.2mモル)を加えた後、室温に戻して16時間撹拌し
た。析出物を濾去し、濾液を減圧下に濃縮した後、残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタ
ン:ヘキサン=4:1で溶離)により精製した。溶出分画
を濃縮し、ジエチルエーテルより結晶化し、位置異性体
混合物として化合物3aを378mg(収率50%)得た。
【0026】オラー[George A. Olah、「フリーデル-ク
ラフツおよび関連反応」、第III巻、第I部 (1964)]の記
載を参考にしてスペーサーの導入位置を推定した結果、
以下のようにフェナントレンの9位に導入されている可
能性が高いと考えられた。
【化6】
【0027】(2)ベンゾ[a]ピレン(Bp)へのスペーサー
分子の導入 上記(1)と同様に、ベンゾ[a]ピレンにスペーサー分子
を導入したベンゾ[a]ピレン誘導体を、以下の反応式II
に従って合成した。
【化7】
【0028】まず、ベンゾ[a]ピレンからベンゾ[a]ピレ
ン-4-オキソ酪酸エチル(化合物1b)を合成した。氷冷
下のコハク酸モノエチルクロリド(1.24ml;6.3mモ
ル)のジクロロメタン(15ml)溶液に、塩化アルミニウ
ム(920mg;7mモル)を加え、30分間撹拌した。こ
の氷冷下の溶液にベンゾ[a]ピレン(1.45g;5.8mモ
ル)を加えた後、室温に戻し、一晩撹拌した。反応液を
氷にあけ、ジクロロメタンで抽出し、有機層を水洗した
後、溶媒を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(ジクロロメタン:ヘキサン=1:2
で溶離)により精製し、位置異性体混合物として化合物
1bを932mg(収率43%)得た。
【0029】次に、化合物1bからベンゾ[a]ピレン-4-
オキソ酪酸(化合物2b)を合成した。化合物1b(890m
g;2.3mモル)を、ジオキサン(5ml)と2.4N 塩酸
(5ml)の混液に溶解し、加熱還流下に6時間撹拌した。
この反応液をジクロロメタンで抽出し、有機層を水洗し
た後、溶媒を減圧下に留去した。残渣をジクロロメタン
で洗浄し、位置異性体混合物として化合物2bを555m
g(収率67%)得た。
【0030】最後に、化合物2bからベンゾ[a]ピレン-
4-オキソ酪酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル
(化合物3b)を合成した。化合物2b(353mg;1mモ
ル)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(115mg;1m
モル)をジメチルホルムアミド(3ml)に溶解した。この
溶液を氷冷し、ジシクロヘキシルカルボジイミド(24
8mg;1.20mモル)を加えた後、室温に戻して16時
間撹拌した。析出物を濾去し、濾液を減圧下に濃縮した
後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジク
ロロメタン:ヘキサン=4:1で溶離)により精製した。
溶出分画を濃縮し、2-プロパノールで洗浄し、位置異
性体混合物として化合物3bを359mg(収率80%)得
た。
【0031】オラー(上記)の記載を参考にしてスペーサ
ーの導入位置を推定した結果、以下のようにベンゾ[a]
ピレンの3位に導入されている可能性が高いと考えられ
た。
【化8】
【0032】(3)キャリアータンパク質とのPAHコン
ジュゲートの調製 上記(1)および(2)で調製したフェナントレン誘導体お
よびベンゾ[a]ピレン誘導体を、該誘導体のスペーサー
を介して、キャリアータンパク質としてのミオグロビ
ン、牛血清アルブミン(BSA)またはキーホールリンペ
ットヘモシアニン(KLH)に結合させた。フェナントレ
ン-4-オキソ酪酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエステ
ル(化合物3a)(3mg)をDMSO(30μl)に溶解した溶
液と、ミオグロビン、BSAまたはKLH(1.6mg)を
25mMリン酸緩衝液(pH8.0)(400μl)に溶解した
溶液とを混合し、室温で2時間静置した。ゲル濾過クロ
マトグラフィー処理(ファルマシア社製のNAP-5を使
用)を行って未反応の化合物を除去し、タンパク質濃度
をプロテインアッセイ法により定量した。ベンゾ[a]ピ
レン-4-オキソ酪酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエス
テル(化合物3b)を用いて、上記と同様の調製を行っ
た。
【0033】次いで、得られたコンジュゲート溶液を2
5mMリン酸緩衝液(pH8.0)で20μg/mlの濃度に調
整し、吸収スペクトルを分析した。特定波長(フェナン
トレンコンジュゲート:310nm、およびベンゾ[a]ピ
レンコンジュゲート:300nm)での吸光度を測定し、
コンジュゲートに導入された化合物の分子数を推定し
た。フェナントレン-ミオグロビン コンジュゲートおよ
びベンゾ[a]ピレン-ミオグロビン コンジュゲートの吸
光スペクトルをそれぞれ図1および図2に示す。また、
それぞれのコンジュゲートにおいて、ミオグロビン1分
子に対して導入された化合物の分子数を推定した結果を
表1に示す。
【表1】 表1.ミオグロビン1分子に導入された化合物の分子数 化合物 分子数 フェナントレン 60 ベンゾ[a]ピレン 24
【0034】(4)標識物質とのPAHコンジュゲートの
調製 上記(1)および(2)で調製したフェナントレン誘導体お
よびベンゾ[a]ピレン誘導体を、該誘導体のスペーサー
を介して、標識物質としてのペルオキシダーゼまたはア
ルカリホスファターゼに結合させた。フェナントレン-
4-オキソ酪酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエステル
(化合物3a)(3mg)をDMSO(30μl)に溶解した溶液
と、ペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ
(1.6mg)を25mMリン酸緩衝液(pH8.0)(400μ
l)に溶解した溶液とを混合し、室温で2時間静置した。
ゲル濾過クロマトグラフィー処理(ファルマシア社製の
NAP-5を使用)を行って未反応の化合物を除去し、タ
ンパク質濃度をプロテインアッセイ法により定量した。
ベンゾ[a]ピレン-4-オキソ酪酸 N-ヒドロキシスクシ
ンイミドエステル(化合物3b)を用いて、上記と同様に
して標識物質とのベンゾ[a]ピレンコンジュゲートを調
製した。
【0035】実施例2 抗PAHモノクローナル抗体の
作製 (1)マウスの免疫 BSAおよびKLHとフェナントレンおよびベンゾ[a]
ピレンの組合せにより得られる4種類のコンジュゲート
を用いてマウスを免疫した。BSAおよびKLHをキャ
リアータンパク質とするフェナントレンコンジュゲート
およびベンゾ[a]ピレンコンジュゲートを、アジュバン
ト(RibiアジュバントシステムR-730)中に十分に乳
化させ、次いで、これら乳化液をBALB/cマウス(7
〜8週齢、雌)の腹腔内(150μl)および後脚肉趾内
(50μl)に投与し、マウスを免疫感作した。約1週間
後に尾静脈より採血し、ELISA法により抗体価を測
定した。追加免疫を約2〜3週間間隔で行い、追加免疫
より1週間経過後に血中抗体価を測定し、抗体価の推移
を観察した。
【0036】(2)細胞融合 フェナントレンまたはベンゾ[a]ピレンに対する高い抗
体産生が確認されたマウスに最終免疫を行った。最終免
疫より3日後に脾臓を摘出し、脾臓細胞を調製した。ミ
エローマ細胞(X63/Ag.8.653)と脾臓細胞を1:
5になるように混合し、ポリエチレングリコール(PE
G)法にて細胞融合を行った。細胞を、HAT(ヒポキサ
ンチン、アミノプテリンおよびチミジン)添加の10%
FCS含有RPMI-1640培地中に懸濁させ、2〜
5×105細胞/ウェルになるように96ウェル培養プ
レートに播種し、37℃および5%CO2下で培養し
た。
【0037】(3)抗体産生ハイブリドーマのスクリーニ
ングおよびクローニング 細胞融合より10〜20日後に、クローンの増殖が見ら
れたウェルの培養上清を用いて抗体価を測定した。抗体
価の測定は酵素免疫測定法によって行った。スクリーニ
ング用の抗原としては、フェナントレンに対する抗体に
ついてはフェナントレン導入ミオグロビンを、また、ベ
ンゾ[a]ピレンに対する抗体についてはベンゾ[a]ピレン
導入ミオグロビンを用いた。フェナントレン導入ミオグ
ロビンまたはベンゾ[a]ピレン導入ミオグロビンを、導
入されたフェナントレンまたはベンゾ[a]ピレンの濃度
が5、1、0.5および0.1μg/mlになるように、P
BSで希釈した。この5μg/ml溶液を96ウェルマイ
クロタイタープレート(costar社)のA行の4ウェルに5
0μlずつ添加した。次に、1μg/ml溶液をB行の4ウ
ェルに50μlずつ添加し、同様に0.5および0.1μg
/ml溶液をC行およびD行に加え、E行のウェルにはP
BS(−)を50μl加え、37℃で1時間反応させた。
これらウェルをPBSで洗浄した後、1%ゼラチン-P
BS(−)溶液(300μl)を添加し、37℃で2時間ブ
ロッキングを行った。
【0038】各ウェルをPBSで洗浄した後、BSAま
たはKLH(1mg/ml)でそれぞれ10、100、100
0、10000倍希釈した培養上清(50μl)を添加
し、37℃で1時間反応させた。次いで、0.1%ゼラ
チン-PBS(−)溶液にて3000倍希釈したパーオキ
シダーゼ標識抗マウスIgG(γ鎖認識)抗体(KPI社)
(100μl)を加え、室温で1時間反応させた後、各ウ
ェルを十分に洗浄し、0.5%H22含有0.1%o-フ
ェニレンジアミン溶液(50μl)を添加した。室温で1
5分間静置した後、2M硫酸を添加して反応を停止さ
せ、吸光度を測定した(測定波長:490nm、対照波
長:595nm)。抗体産生が確認できたウェルのハイブ
リドーマを、限界希釈法によってクローニングした。ハ
イブリドーマは、15%牛胎児血清を含むRPMI-1
640培地中で培養した。
【0039】以上の方法により、抗フェナントレンモノ
クローナル抗体を産生するハイブリドーマを2クローン
(PAH-1およびPAH-3)、および抗ベンゾ[a]ピレ
ンモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを2ク
ローン(PAH-6およびPAH-7)、計4クローンのハ
イブリドーマを樹立した。これら4種類のハイブリドー
マPAH-1、PAH-3、PAH-6およびPAH-7
(それぞれ、モノクローナル抗体PAH-1、PAH-
3、PAH-6およびPAH-7を産生する)は、平成1
0年(1998)2月6日に工業技術院生命工学工業技術
研究所に寄託され、受託番号として、それぞれFERM
BP−6246、FERM BP−6247、FERM
BP−6248およびFERM BP−6249を取得
している。
【0040】(4)アイソタイプ分析 フェナントレン-BSAまたはベンゾ[a]ピレン-BSA
コンジュゲート(免疫原)を抗原固相とし、マウスタイパ
ーキット(Bio-Rad社)を用いて樹立ハイブリドーマが
産生する抗体のアイソタイプ分析を行った。この結果は
以下の表2に示す通りであった。
【表2】 表2.樹立ハイブリドーマの産生抗体のアイソタイプ ハイブリドーマ名 産生抗体のタイプ 抗フェナントレン(Phe)抗体産生ハイブリドーマ PAH-1 (クローン 6-5C-14E) IgG2a(κ) PAH-3 (クローン 8-4D-65D) IgG2a(κ) 抗ベンゾ[a]ピレン(Bp)抗体産生ハイブリドーマ PAH-6 (クローン 19-2C-54B) IgG2a(λ) PAH-7 (クローン 22-2C-611B) IgG2a(κ)
【0041】(5)モノクローナル抗体の大量調製と精製 マウスの腹腔内へプリスタン[2,6,10,14-テトラ
メチルペンタデカン(和光純薬)](0.5ml)を注射し、2
週間以上マウスを飼育した。予め増殖させておいたモノ
クローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞を回収し、DM
EMで細胞数が約4×106個/mlになるように希釈し
た。この細胞液(0.5ml)をマウスの腹腔内に注射し、
1〜3週間後に腹部を切開し、パスツールピペットで腹
水を回収した。採取した腹水を等量の溶血液と混合した
後、2000rpmで10分間遠心し、得られた上清をモ
ノクローナル抗体溶液とした。このモノクローナル抗体
溶液から、マウスIgG精製キット[アフィゲルプロテイ
ンA MAPS-II(Bio-Rad社)]を用いたプロテインAカ
ラムクロマトグラフィーによってモノクローナル抗体を
精製した。
【0042】実施例3 ELISAによるPAHの測定 (1)モノクローナル抗体測定系の条件検討 種々濃度の精製抗体[1、5、10μg/ml:PBS(−)
にて調製](50μl)を96ウェルELISAプレートに
添加し、37℃で1時間静置した。次いで、各ウェルに
1%ゼラチン-PBS(−)(各300μl)を加え、37℃
で2時間ブロッキングし、これを抗体固相とした。次
に、0.008μM〜0.8μMの濃度範囲に調整したビ
オチン標識Pheまたはビオチン標識Bp(50%MeOH
にて調製)(25μl)と、0.1μMまたは1μMに調整
した未標識PAH(50%MeOHにて調製)(25μl)を
抗体固相化ウェルに添加して室温で1時間競合させた
後、1000倍希釈のペルオキシダーゼ(HRPO)標識
ストレプトアビジン[0.1%ゼラチン-PBS(−)にて
調製](50μl)を加えて室温で1時間反応させた。TM
B(3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン)基質(50
μl)を加えて発色させ、同容量の1M H3PO4により
反応を停止させ、測定波長:450nmおよび対照波長:6
55nmにおける吸光度をELISAリーダーにて測定し
た。
【0043】添加した未標識のPAH量と反応値をプロ
ットし、PAH量(添加未標識体)-反応曲線を作成した
[図3〜図6;図中の各曲線に関する情報は、固相化抗
体濃度(μg/ml)/標識体希釈率(m=ミリオン)を示
す]。これらの図をもとに、最適と考えられる反応条件
を選択した(表3)。なお、各反応はn=3、ブランク値
はn=6で行い、検出限界は±3SDとした。
【表3】 表3.モノクローナル抗体測定系の至適条件 抗体名 固相抗体量 ビオチン標識体 TMB発色時間 PAH-1 10μg/ml Bio-Phe 0.8μM 13〜15分 PAH-3 10μg/ml Bio-Phe 0.27μM 5〜8分 PAH-6 5μg/ml Bio-Bp 0.008μM 7〜10分 PAH-7 5μg/ml Bio-Bp 0.08μM 7〜10分
【0044】(2)PAH標準品に対する特異性の検討 上記(1)のように決定した至適条件下、精製モノクロー
ナル抗体について、以下に示すPAH標準品(EPA標
準成分)との交差反応性、ならびに、PAH標準品を3
環式、4環式、5環式および6環式のPAHに群分けし
たときの環数別のPAH識別能を調べた。
【化9】
【0045】(2a)PAH標準品との交差反応性 4種類の抗PAHモノクローナル抗体(PAH-1、PA
H-3、PAH-6、PAH-7)を固相化抗体として用
い、以下の10種類のPAH: No.4 :フルオレン(3環式)、 No.5 :フェナントレン(3環式)、 No.6 :アントラセン(3環式)、 No.7 :フルオランテン(4環式)、 No.8 :ピレン(4環式)、 No.9 :ベンゾ[a]アントラセン(4環式)、 No.10:クリセン(4環式)、 No.13:ベンゾ[a]ピレン(5環式)、 No.14:ジベンゾ[a,h]アントラセン(5環式)、 No.15:ベンゾ[g,h,i]ペリレン(6環式)、 ならびに、ベンゾ[a]ピレンの分解産物とされる以下の
2種類の化合物: No.17:1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(2環式)、 No.18:2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸(2環式)、 の計12種類の化合物について交差反応性を検討した。
【0046】その結果、検討した4種類の抗PAHモノ
クローナル抗体はいずれもベンゾ[a]ピレン分解産物(N
o.17および18化合物)を認識しなかった。PAH-1
抗体は、No.15化合物(6環式PAH)を除く他のPA
H全部を比較的均等に認識した(図7)。PAH-3抗体
は、No.10化合物(4環式PAH)を除く3環式および
4環式PAHを均等に認識し、No.13化合物(5環式
PAH)を除く他の5環式および6環式PAHを認識し
なかった(図8)。従って、この抗体を用いれば、3環式
および4環式PAHを特異的に分析できる可能性があ
る。PAH-6抗体は、検討した12種類の化合物の中
でベンゾ[a]ピレン(No.13化合物)に高い特異性を示
した(図9)。また、PAH-6抗体はベンゾ[a]アントラ
セン(No.9化合物)との交差反応性を有するものの他の
PAHとの交差反応性は低く、この抗体によってベンゾ
[a]ピレンを特異的に分析できる可能性が示唆された。
PAH-7抗体は、低濃度(0.1μg/ml)では4環式お
よび5環式PAHへの特異性が観察されたが、高濃度
(10μg/ml)ではNo.14化合物(5環式PAH)およ
びNo.15化合物(6環式PAH)を除く他のPAH全部
との反応性が示された(図10)。即ち、PAH-1抗体
あるいはPAH-7抗体による全PAH定量の可能性が
示唆された。
【0047】(2b)環数別のPAH識別能 次に、下記のように3環式、4環式、5環式および6環
式のPAHを混合し、初濃度0.05〜5μMの範囲で
50%MeOHに溶解した。PAH-3またはPAH-6
を固相化抗体とし、それぞれの至適条件でPAH混合物
を測定し、反応性を比較した。 3環式PAH群:フルオレン、フェナントレン、アント
ラセン 4環式PAH群:フルオランテン、ピレン、ベンゾ[a]
アントラセン 5+6環式PAH群:ベンゾ[a]ピレン、ジベンゾ[a,h]
アントラセン、ベンゾ(g,h,i)ペリレン 図11に示したように、PAH-6抗体は5+6環式P
AH群に対して濃度依存的な反応性を示した。また、4
環式PAH群には5+6環式PAH群の約1/10の交
差反応性を認めたが、3環式PAH群に対しては10μ
M以下において反応性が認められなかった。この結果
は、PAH-6抗体によって、5+6環式PAH群を定
量できることを示唆している。一方、PAH-3抗体
は、3種類のPAH群にほぼ同等の反応性を示した(図
12)。この結果は、PAH-3抗体によって、全PAH
を定量できることを示唆している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フェナントレン-ミオグロビン コンジュゲー
トの吸光スペクトルのチャートである。
【図2】 ベンゾ[a]ピレン-ミオグロビン コンジュゲ
ートの吸光スペクトルのチャートである。
【図3】 モノクローナル抗体PAH-1を用いたとき
のPAH量(添加未標識体)-反応曲線を示すグラフであ
る。
【図4】 モノクローナル抗体PAH-3を用いたとき
のPAH量(添加未標識体)-反応曲線を示すグラフであ
る。
【図5】 モノクローナル抗体PAH-6を用いたとき
のPAH量(添加未標識体)-反応曲線を示すグラフであ
る。
【図6】 モノクローナル抗体PAH-7を用いたとき
のPAH量(添加未標識体)-反応曲線を示すグラフであ
る。
【図7】 モノクローナル抗体PAH-1とPAH標準
品との交差反応性を示すグラフである。
【図8】 モノクローナル抗体PAH-3とPAH標準
品との交差反応性を示すグラフである。
【図9】 モノクローナル抗体PAH-6とPAH標準
品との交差反応性を示すグラフである。
【図10】 モノクローナル抗体PAH-7とPAH標
準品との交差反応性を示すグラフである。
【図11】 モノクローナル抗体PAH-6を用いて環
数別のPAH識別能を調べた結果を示すグラフである。
【図12】 モノクローナル抗体PAH-3を用いて環
数別のPAH識別能を調べた結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C07C 15/56 C12N 5/00 B (C12P 21/08 15/00 C C12R 1:91) (72)発明者 市村 直也 京都府京都市下京区中堂寺南町17 京都 リサーチパーク 株式会社関西新技術研 究所内 (72)発明者 片岡 千和 京都府京都市下京区中堂寺南町17 京都 リサーチパーク 株式会社関西新技術研 究所内 (72)発明者 坂木 純子 京都府京都市下京区中堂寺南町17 京都 リサーチパーク 株式会社関西新技術研 究所内 (72)発明者 大谷 裕 京都府京都市下京区中堂寺南町17 京都 リサーチパーク 株式会社関西新技術研 究所内 (72)発明者 北川 博久 京都府京都市下京区中堂寺南町17 京都 リサーチパーク 株式会社関西新技術研 究所内 (56)参考文献 国際公開96/013605(WO,A1) 米国特許5449611(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多環芳香族化合物を特異的に認識するモ
    ノクローナル抗体であって、 (i) 抗原フルオレン、フェナントレン、アントラセ
    ン、フルオランテン、ピレン、ベンゾ[a]アントラセ
    ン、クリセン、ベンゾ[a]ピレン、ジベンゾ[a,h]アント
    ラセンを特異的に認識するモノクローナル抗体PAH-
    1; (ii) 抗原フルオレン、フェナントレン、アントラセ
    ン、フルオランテン、ピレン、ベンゾ[a]アントラセ
    ン、ベンゾ[a]ピレンを特異的に認識するモノクローナ
    ル抗体PAH-3; (iii)抗原ベンゾ[a]ピレンを特異的に認識するモノクロ
    ーナル抗体PAH-6;および (iv) 抗原が低濃度(0.1μg/ml)のとき、抗原フル
    オレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテ
    ン、ピレン、ベンゾ[a]アントラセン、クリセン、ベン
    ゾ[a]ピレン、ジベンゾ[a,h]アントラセンを特異的に認
    識し、抗原が高濃度(10μg/ml)のとき、抗原フル
    オレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテ
    ン、ピレン、ベンゾ[a]アントラセン、クリセン、ベン
    ゾ[a]ピレンを特異的に認識するモノクローナル抗体P
    AH-7; からなる群から選択されるモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 多環芳香族化合物を特異的に認識するモ
    ノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株であ
    って、請求項1に記載のモノクローナル抗体(i)を産生
    するハイブリドーマPAH-1、モノクローナル抗体(i
    i)を産生するハイブリドーマPAH-3、モノクローナ
    ル抗体(iii)を産生するハイブリドーマPAH-6および
    モノクローナル抗体(iv)を産生するハイブリドーマPA
    H-7からなる群から選択されるハイブリドーマ細胞
    株。
  3. 【請求項3】 (a)有機溶媒を含む水溶液中で、多環芳
    香族化合物を含有する試料を、請求項1記載の1または
    それ以上のモノクローナル抗体と抗原抗体反応させ、 (b)抗体と結合した多環芳香族化合物を検出する、 ことを特徴とする試料中の多環芳香族化合物を分析する
    ための免疫測定法。
  4. 【請求項4】 有機溶媒が、70%以下のメタノール、
    70%以下のエタノール、50%以下のアセトニトリル
    または50%以下のジメチルスルホキシドである請求項
    3記載の測定法。
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