本発明は、一般に、サイトカイン細胞内シグナリングによって影響を受ける疾患または障害に関連する症状または徴候の治療または予防のための新規な三環式化合物、このような化合物を含む医薬組成物、このような化合物の製造方法および単独または他の治療剤との併用におけるこれらの化合物の使用方法に関する。
炎症反応は、多くの脊椎動物(ヒトを含む)の障害/疾患の病因の構成要素である。広義において、用語「炎症」は、局所および全身的反応、血流の増加、血管拡張、血管からの流体の濾出、白血球による組織の浸潤、および重篤な場合、血管内血栓症、血管へのダメージおよび溢血性局所炎症を意味する。全身性炎症反応(急性期反応も意味する)は、たとえば、発熱、白血球増加および血清中への急性期反応物の放出などの種々の反応を特徴とする。重篤な場合、ショックが起きたり、死亡することもある。Heremans et al., Lymphokine Research 8(3): 329-333 (1989)を参照。炎症を伴う疾患は、それが呼吸器系を冒す場合に、特に有害であり、呼吸閉塞、低酸素血、高炭酸ガス血および肺組織損傷をもたらす。気道の閉塞性疾患は、気道平滑筋の緊張、浮腫および粘液の過剰分泌がもたらす呼吸における労力の増加、呼吸困難、低酸素血ならびに高炭酸ガス血による気流制限(すなわち、気流閉塞または狭窄)を特徴とする。閉塞された呼吸中の肺の機械的特性は異なるタイプの閉塞気道疾患の間で共通しているが、病態生理学は違うものでありうる。炎症反応は、ある細胞型およびメディエーターの流入を特徴とする種々の細胞イベントによってコントロールされると考えられ、その存在は、組織の損傷をもたらし、死をもたらすこともある。サイトカインは、炎症反応を調節するイベントの生化学的カスケードにおける一次因子であると考えられる。
サイトカインは、環境的、機械的および病原的ストレスなどの多くの異なる種類の誘発性刺激に応答して種々の細胞によって産生される分泌、可溶性タンパク質類である。リンパ球、炎症および造血細胞は、細胞増殖、分化およびエフェクター機能をコントロールすることによって免疫反応を調節する種々のサイトカインを分泌する。たとえば、免疫反応中にT細胞刺激に反応して産生される調節サイトカインは、免疫抑制または免疫賦活性であることができる。サイトカインレベルの変化に関連する免疫反応および急性期反応は、たとえば、廃用性悪化、移植関連性などの臓器損傷、ガン治療、敗血性ショックおよびその他の細菌関連病態、薬物副作用、一酸化窒素媒介性組織損傷および糖尿病によって起こりうる。サイトカインには、他の公知の炎症メディエーターを誘発または放出するものもある。これらのシステムは、関連するフィードバックメカニズムによってコントロールされる。したがって、炎症反応は、大量に放出されている一個のサイトカインの結果ではなく、むしろ、細胞間シグナルのネットワークを介して集合的に作用している炎症反応を誘発する一連のサイトカインの結果であると考えられる。
サイトカインは、当業界で公知であり、腫瘍壊死因子(TNF)、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン(INF)、インターロイキン(IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14およびIL-15)、トランスフォーミング成長因子(TGF)、オンコスタチンM(OSM)、白血病抑制因子(LIF)、血小板活性化因子(PAF)および宿主防御反応、細胞調節および細胞分化を媒介する他の可溶性免疫調節ペプチドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。たとえば、Kuby, Immunology 2d ed. (W. H. FreemanおよびCo. 1994)を参照。サイトカインは通常、組織中で非常に低濃度で存在し、それらの効果は、特異的細胞タイプ上にある高親和性受容体への結合を介して媒介される。インターロイキン(IL)、インターフェロン(INF)、コロニー刺激因子(CSF)および腫瘍壊死因子(TNF)などの種々のサイトカインは、免疫、炎症、修復および急性期反応中に産生され、これらの反応の種々の局面をコントロールする。免疫、炎症、修復および急性期反応の誘発に続いて、種々のサイトカインの濃度は色々な時点で増加または減少することができる。たとえば、サイトカインレベルの上昇は、廃用性悪化をもたらす宇宙飛行、運動不足、脊髄損傷およびおよび床上安静などの種々の状況に伴う。たとえば、宇宙旅行中には、被験者の最初の無重力状態への暴露および宇宙からの帰還の際に、TNF、IL-6およびIL-2レベルが上昇する。サイトカインレベルの変化は、異常骨代謝および運動不足、骨髄損傷および長期床上安静中に起こる急速な脱石灰にも関連している。同様に、サイトカインレベルは、臓器損傷に対する修復および自己免疫反応、移植患者へのシクロスポリンの投与に伴う腎毒性、ガンの化学療法中ならびに肥満および糖尿病、敗血性(内毒素)ショックまたは糸球体腎炎に罹っている個人などの慢性状態中にも変化する。
TNF、CSF、インターフェロンおよびインターロイキンなどのサイトカインは、宿主防御反応、細胞調節および細胞分化を媒介する。たとえば、これらのサイトカインは、患者に発熱を誘発し、T細胞、B細胞およびマクロファージを活性化させ、他のサイトカインレベルに影響を及ぼすことが可能であり、結果として、それによって他のサイトカインが最初のサイトカインの生物レベルおよび作用を媒介するカスケード効果をもたらす。
サイトカインは、免疫賦活または免疫抑制効果を介して免疫反応を調節する。たとえば、IL-10は、TNF、IL-1およびIL-6などの多くの炎症性サイトカインの活性化をブロックすることができる一方でIL-4などの抗炎症性サイトカインをアップレギュレートする。マクロファージおよび他の細胞タイプによって産生されるIL-10は、マスト細胞および胸腺細胞の増殖も刺激し、単球およびマクロファージの種々の機能を阻害する。この単球およびマクロファージの阻害の結果として、T細胞の活性もまた影響を受ける。免疫系におけるIL-10の役割の総範囲は、理解され始めたばかりである。
サイトカインは、複数の生物活性をもち、1つの細胞タイプよりも多くの細胞と相互作用する。したがって、1つの特定のサイトカインまたは細胞タイプを標的として治療の損傷的副作用を予防することは不可能であった。望まないおよびコントロールできないサイトカイン活性の過剰抑制または過剰賦活化による損傷を予防するためのよりよいアプローチは、当該サイトカインまたはいずれかのサイトカインを排除あるいは過剰発現することなく免疫反応に関与するまたは制御するサイトカインの発現を調節することである。このような処置は、病的または進行性の免疫反応を創生または悪化させることはない。この方法において、免疫抑制または自己免疫反応などの病的免疫媒介性の影響を回避することができ、ホメオスタシスを維持することができる。
コルチコステロイドが、サイトカイン発現の調節に用いられている。しかし、コルチコステロイドは、完全な免疫抑制を引き起こし得るものであり、「消耗性」症候群、糖尿病および骨粗鬆症などの他の望ましくない副作用を有する。たとえば、ステロイドは脳への細胞の輸送を変化させ、炎症領域における炎症細胞によるサイトカインの分泌を減少させると考えられるので、ステロイド療法はMSの一般的な治療である。MSなどの自己免疫疾患の急性症状の幾つかを軽減することにおけるそれらの効果は公知であるが、その副作用が長期使用の妨げになっている。同様に、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)は、炎症および痛みの治療に有効である。しかし、NSAIDは、プロスタグランジン産生を阻害することにより望ましくない副作用も引き起こし、胃潰瘍形成、出血および腎不全などの潜在的に重篤な合併症をもたらす。
1つの特定のサイトカインである天然キラー細胞賦活因子(「NKSF」)または細胞障害性リンパ球変異因子(「CLMF」)とも呼ばれるIL-12は、疾患の広範囲において役割を演じる強力な免疫調節分子である。特に、IL-12は、たとえば、単球/マクロファージ、B細胞および他の抗原提示細胞(「APC」)などの食細胞によって産生されるヘテロ二量体サイトカインであり、前炎症性サイトカインとして作用すると考えられる。それは、1)T細胞およびNK細胞の増殖の増強、2)T細胞、NK細胞およびマクロファージの細胞溶解活性の増強、3)IFN-γ産生の誘発および程度は少ないが、TNF-αおよびGM-CSFの誘発、および4)TH1細胞の活性化などの幾つかの効果を有する。Trinchieri, G. et al., Blood, 84:4008-4027 (1994)を参照。IL-12は、Th1クローンにおける増殖の重要な共刺激分子であることがわかっており(Kennedy et al., Eur. J. Immunol., 24:2271-2278, 1994)、血清中のIgG2a抗体の産生の増加をもたらす(Morris, S. C., et al., J. Immunol., 152:1047 (1994)。またIL-12の投与は、IgG1抗体の産生を減少させ(Morris, S. C. et al., J. Immunol., 152:1047 (1994); McKnight, A. J., J. Immunol. 152:2172 (1994))、Th2応答の抑制を示す。IL-12は、炎症要素を呈する疾患、すなわち、多発性硬化症(MS)、糖尿病、慢性炎症性腸疾患などの細胞媒介性炎症反応を示す疾患において特別の役割を演じると考えられる。
IL-12は、天然キラー細胞(「NK細胞」)およびTリンパ球(「T細胞」)の両方に影響を及ぼし、これらの細胞タイプの両方によるIFN-γ産生を刺激する。たとえば、NK細胞において、IL-12は、NK細胞増殖、膜表面抗原のアップレギュレーション、LAK細胞生成およびNK細胞活性の上昇を刺激し;IFN-γおよびTNF-α産生および休止または活性NK細胞のいずれかの成長および増殖を誘発し;そして可溶性p55および可溶性p75 TNF受容体産生およびNK細胞の細胞障害性を増加する。R&D Systems Catalog, pp. 67-69 (1995)を参照。T細胞による抗原の認識は、主要組織適合性抗原(MHC)分子を伴う短いペプチドの抗原決定基とヘテロ2量体(α/βまたはγ/δ)の受容体が相互作用することにより行われる。成熟T細胞は、その細胞表面上の2つの相互排他的な抗原、CD4(ヘルパー)およびCD8(細胞障害性)の存在により大きく二つの機能カテゴリーに分けることができる。CD4およびCD8抗原はT細胞とMHCとの相互作用を調節しており、これらの相互に排他的な発現はMHCに対するその厳密な特異性に由来している。クラスII MHC-拘束性のT細胞は主にCD4+(「ヘルパー細胞」としても知られる)であり、クラスI MHC-拘束性T細胞はCD8+(「細胞障害性細胞」としても知られる)である。成熟T細胞はさらにそれらのエフェクター表現型、たとえば前炎症性/抗炎症性細胞または抑制性(サプレッサー)細胞に区別される。
前述のように、IL-12はさらに、抗原への応答においてT細胞のIFN-γ生産を刺激するなど、T細胞に影響を与える。CD8+のT細胞は細胞障害機能に関与する一方で、CD4+のT細胞はヘルパー機能に関与しており、免疫反応を調節および変調する様々な種類のサイトカインを分泌する。CD4+のT細胞はさらに分化して、分泌するサイトカインのプロフィールに応じてTヘルパー1(Th1)細胞およびTヘルパー2(Th2)サブセットに分けられる。これにより、Th1細胞は主にIL-2、TNF-αおよびIFN-γを含む炎症性サイトカインを産生するが、Th2細胞はB細胞の増殖および分化に関連するIL-4、IL-5、IL-10およびIL13などの抗炎症性のサイトカインを産生する。
Th1およびTh2のCD4+T細胞サブセットは、Th0細胞と称される共通の原種細胞に由来する。抗原との最初の遭遇を通して、Th1およびTh2への分化は、Th0からTh1およびTh2への分化を各々誘導するIL-12とIL-4という2つの重要なサイトカインの対立する作用により制御されている。Th1およびTh2細胞の発達は、IL-12およびIL-4がそれぞれ決定的な役割を果たす、免疫反応の初期におけるサイトカイン環境により主に影響を受ける。各Th細胞表現型により産生されるサイトカインは対立する表現型に阻害的である。たとえば、Th1サイトカインは細胞性免疫を促進し、液性免疫を阻害する。Th2サイトカインは液性免疫を促進し、細胞性免疫を阻害する。Trembleau et al., Immunology Today 16(8):383-386 (1995)を参照。
免疫系による効果から惹起されるいくつかのヒトの障害/疾患には、抗炎症(anti-inflammatory)反応が介在しており、これにはアトピーも含まれる。このT細胞介在免疫反応は、抗炎症性エフェクターT細胞により遊離されるサイトカインであるIL-4およびIL-10が炎症反応の進展を抑制するよう作動するため、抗炎症性であると称される。アトピーは環境アレルゲンへの過敏症の遺伝的に決定された状態である。1型アレルギー反応は、IgE抗体産生、好酸球増加および喘息、花粉症およびアトピー性皮膚炎を非限定的に含む一群の疾患と関連を有する。抗炎症反応は、細菌および虫などの細胞外の病原体による感染からも生じる。抗炎症反応は、分化したT細胞により媒介され、T2応答と称される。T2(Th2およびTc2の両方)の応答は、活性化TおよびB細胞由来のサイトカインIL-4の遊離により開始され、感染に対するB細胞の応答を指令および制御する。さらにT2応答は、IgE、ヒスタミンおよび他のアレルギー性エフェクター分子の遊離を刺激する。
さらに、CD4+のTh1細胞は免疫学的な障害の病因においてある役割を有している。この細胞は、主にIFN-γ、TNF-α、TNF-βおよびIL-2などの炎症に関連したサイトカインを分泌する。IFN-γは、炎症反応および結果として生じる炎症反応を示す疾患の病理における主要な構成要素である。Heremans, et al.の文献を参照。炎症反応における役割に加えて、IFN-γはさらに食細胞の活性化(たとえばマクロファージ活性化)に寄与し、抗原提示細胞(「APC」)およびその他の細胞の表面上のMHC発現のアップレギュレーションに関与している。さらに、このサイトカインは、炎症性免疫反応および自己免疫疾患に一般的に関与し、多発性硬化症(「MS」)に、特に関係している。Owens et al., Neurologic Clinics, 13(1):51-73 (1995)を参照。さらに、ステロイド処理によりサイトカイン産生を広範に弱めるが、たとえばTh0、Th1またはTh2経路だけを選択的に変調することはできない。
さらにIL-12はTh1細胞介在性自己免疫の誘導に関与している。1型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、炎症性腸疾患および急性の移植片対宿主病などのTh1介在性自己免疫疾患を有する齧歯類モデルの病原論において、IL-12が重要な役割を果たすことが研究結果により指摘されている。ゆえに、Th1細胞は実験的自己免疫疾患の誘導に関与すると考えられており、これは実験的自己免疫疾患、たとえば実験的アレルギー性脳脊髄炎(「EAE」)(実験アレルギー性脳炎としても知られる)およびインスリン依存性糖尿病(「IDDM」)のモデルにおいて、Th-1型リンホカインを産生するCD4+細胞が疾患を伝達することを証明する養子免疫伝達実験において示されている。Trinchieri, Annu. Rev. Immunol. 13(1):251-276 (1995)参照。たとえば、EAEは炎症性T細胞介在型、麻痺性、脱髄性の自己免疫疾患であり、多くの齧歯類ならびに霊長類において誘発し得る。Owens et al.の文献を参照。EAEが誘発され得る方法の1つは、ミエリン塩基性タンパク質(「MBP」)を用いて動物を免疫することによるものである。同様に、IL-12の投与は、雌性NODマウスの100%に、IDDMの急激な発症を誘発する。従って、免疫治療研究および開発努力における1つの目的は、宿主の保護に必要であると思われる免疫系の特異性を無傷で残しながら、炎症反応を限定的なものにすることである。
免疫系の構成要素を標的としたその他の治療には、シクロホスファミドおよびアザチオプリンなどのリンパ球細胞毒薬が含まれる。これらの薬物は、免疫系全体を抑制し、広範な免疫抑制治療に付随する問題が生じるという点で「げんのう(sledgehammers)」のように作用する。同じ問題が、シクロスポリン、抗CD4モノクローナル抗体などの比較的新しい治療薬についても起こり得る。MSなどのIL-12介在性疾患に対する他の治療として、抗体などの抗IL-12アンタゴニストの投与が含まれる。抗IL-12抗体はIDDEおよびEAEの発達を阻害することが示されている。Trinichieriを参照。しかし、抗体に基づく免疫療法により、免疫複合体が形成され沈殿し、糸球体腎炎、脈管炎および関節炎が導かれる可能性がある。
さらに、βアゴニスト、抗コリン薬およびメチルキサンチンによる徴候の治療は、不快感軽減のためには臨床上の利点があるが、疾患の原因となる根本的な炎症反応のプロセスを止めることはできない。よく用いられる、全身へのグルココルチコステロイドは、体重増加、糖尿病、高血圧、骨粗鬆症、白内障、アテローム硬化症、感染への感受性増大、脂質およびコレステロールの増加および内出血しやすい状態などを非限定的に含む多くの副作用を有する。エアゾール化されたグルココルチコステロイドでは、副作用が比較的少ないが、効力は比較的弱く、鵞口瘡などの副作用が生じることもある。
抗炎症薬および症状緩和のための薬物の使用は、その副作用のためまたは炎症反応の根本原因を攻撃し損なうために、深刻な問題を有している。他の抗炎症性薬物、たとえばクロモリンおよびネドクロミルは、効果がはるかに低く、副作用は比較的少ない。また、免疫抑制剤および抗ガン剤として主に用いられる抗炎症性薬物(たとえば、サイトキサン(cytoxan)、メトトレキセート、イムラン)が炎症の治療に用いられている。しかし、これらの薬物は、感染への感受性の増大、肝臓毒性、薬物誘導性肺疾患および骨髄抑制を非限定的に含む、深刻な副作用を有する可能性がある。このような薬物は、たとえば、ほとんどの気道過敏性肺疾患の治療において、臨床での限定的な使用が見られるのみである。
前述のサイトカインの異常発現により引き起こされる、正常な免疫介在性機能の病理学的状態または混乱を予防するために、サイトカインレベルを操作して効果的に制御し得たなら、好都合であろう。ゆえに、望ましくない副作用を引き起こすことなく、対象におけるサイトカイン活性を調節し得る薬物への必要性が存在する。さらに、改変されたサイトカインレベルに関連した病理および状態の治療に用い得る薬物同定の必要性が存在する。特に、特異的サイトカイン、たとえばIL-4またはIL-12により媒介される反応の有害な効果を改良または阻害し、かつ宿主保護に必要であると考えられる免疫系の他の成分に悪影響を及ぼさず、従来より入手可能な化合物および従来より利用可能な方法に付随する不利益を有することのない、新規な治療用化合物および方法への必要性が依然として存在する。
発明の要旨
本発明の目的は、サイトカインシグナリング、たとえばIL-4またはIL-12の阻害に有用な、新規な治療用化合物、その医薬組成物および方法を提供することである。
本発明の別の目的は、対象を保護するために必要であると考えられる免疫系の特異性に悪影響を与えることなく、対象の炎症反応または抗炎症反応を制限し得る新規の治療用化合物、その医薬組成物および方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、喘息または糖尿病(IDDMおよびNIDDM)などの疾患または病態を治療または予防し得る新規な治療用化合物、その医薬組成物および方法を提供することである。
上記および他の目的は、式Iまたは式II:
(式中、R
1は、場合により置換されている、水素、メチル、C
(1-20)アルキル、C
(1-20)アルケニル、C
(1-20)アルキニル、C
(1-20)ヒドロキシアルキル、C
(1-20)シアノアルキル、C
(1-20)アルコキシルおよびC
(1-20)アルコキシアルキルからなる群の一員から選択され;
R
2およびR
3は、結合して場合により置換されているヘテロ環を形成し、R
2およびR
3の各々は水素、ハロ、チオ、オキソ、C
(1-20)アルキル、C
(1-20)ヒドロキシアルキル、C
(1-20)チオアルキル、C
(1-20)アルキルチオ、C
(1-20)アルキルアミノ、C
(1-20)アルキルアミノアルキル、C
(1-20)アミノアルキル、C
(1-20)アミノアルコキシアルケニル、C
(1-20)アミノアルコキシアルキニル、C
(1-20)ジアミノアルキル、C
(1-20)トリアミノアルキル、C
(1-20)テトラアミノアルキル、C
(1-20)アミノトリアルコキシアミノ、C
(1-20)アルキルアミド、C
(1-20)アルキルアミドアルキル、C
(1-20)アミドアルキル、C
(1-20)アセトアミドアルキル、C
(1-20)アルケニル、C
(1-20)アルキニル、C
(1-20)アルコキシル、C
(1-20)アルコキシアルキルおよびC
(1-20)ジアルコキシアルキルからなる群の一員から独立して選択される。)
で示される化合物、薬学的に許容し得るその誘導体(たとえばそのラセミ混合物、分割した鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、塩および溶媒和物)またはプロドラッグにより達成される。
上記の本発明の新規化合物は、特にサイトカイン調節性薬物として作用し、たとえば、病理学、免疫反応および炎症反応を含む様々な状態において生じ得る1またはそれ以上のサイトカインの異常発現または改変された発現を調節する。このような状態は、改変されたまたは異常なサイトカイン活性を部分的に特徴とし、ゆえに1またはそれ以上のサイトカイン調節性薬物による調節に敏感に反応する点で、共に本発明の目的として考慮される。本明細書中で使用する「特徴とする」という用語は、少なくとも一部において寄与するまたは影響することを意味する。サイトカインの寄与は、本発明の化合物により治療し得る状態の、唯一の、一次の、さらには主な因子もしくは原因にさえなり得るが、そうでなくてもよい。たとえば、ある感染においてサイトカインレベルが改変されており、ゆえにサイトカイン活性を特徴とする状態であるが、そのサイトカイン活性は、感染状態の一部にすぎないことは当分野で良く理解されている。本明細書中で用いられる「改変されたまたは異常なサイトカイン活性を特徴とする状態」の用語には、傷害と関連した免疫、炎症および治癒過程を含む、あらゆるサイトカインにより調節または変調される病理および傷害が包含される。健康人で見られると予想されるサイトカインの正常レベルとの比較において、特定のサイトカイン活性レベルの増大または減少を検出することにより、当業者はこのような状態を認めることができる。このような正常レベルの測定法は、当分野でよく知られている。
本発明は、三環構造中心(core)を有する新規の治療用化合物、および宿主保護に必要であると考えられる免疫系の他の構成要素に影響を与えずに、特にTh1またはTh2細胞介在性疾患と関連した細胞応答に、影響を及ぼし、それを予防し、治療するために該三環化合物を用いる方法を特に提供する。本発明の化合物および方法は特に、IL-12またはIL-4シグナリングを阻害する能力を特徴としている。理論に制約されることを望まないが、本発明の治療用化合物はTh1、T2、Th2またはT2細胞の発達による炎症性カスケードを短絡させると考えられ、炎症性または抗炎症性の異常の調節においてサイトカインシグナリングを阻害することによる疾患治療に、本発明が重要であることが強調されている。特に、本発明の三環式化合物は、T細胞からTh1またはTh2細胞への分化を誘発するシグナリングを妨げるであろう。たとえば、分化により生じるTh1細胞は高レベルのIFN-γを産生し、炎症を刺激するが、これは本発明の化合物および方法が標的とする多くの病状の構成要素である。さらに本発明の三環化合物は、インスリン分泌および耐糖能に作用することにより脂肪酸代謝における障害と関係していると考えられている2型糖尿病脊髄炎(NIDDM)において見られるインスリン分泌障害を改良するよう作用する。
さらに本発明は、特に、改変されたもしくは異常なサイトカイン活性を特徴とする病状を治療もしくは予防するための新規な治療用化合物および方法を提供することにより、前記およびその他の目的を達成するものである。そのような病状には、たとえば(1)炎症性疾患または障害、たとえば、関節炎、喘息、慢性の炎症性疾患、慢性腸炎、乾癬、敗血性ショック、敗血症、アレルギー性接触皮膚炎、強直性脊椎炎および成人呼吸窮迫症候群;(2)自己免疫疾患もしくは障害または他の病理-免疫原性(patho-immunogenic)疾患または反応、たとえばアレルギー反応またはアナフィラキシー;アレルギー性脳脊髄炎、筋萎縮性側索硬化症、水疱性類天疱瘡、小児脂肪便症、慢性活動性肝炎、慢性甲状腺炎、胃炎、グッドパスチャー症候群、移植片対宿主病(急性および/または慢性)、糸球体腎炎、溶血性貧血、免疫性血小板減少紫斑病、炎症性腸疾患(たとえば、クローン病および潰瘍性大腸炎)、特発性血小板減少性紫斑病(isopathic thrombocytopenic purpura)、若年性関節炎、狼瘡(たとえば全身性紅斑性狼瘡)、男性不妊(自己免疫)、多発性硬化症、重症筋無力症、好中球減少症、尋常性天疱瘡、寄生虫介在性免疫機能不全(たとえば、シャーガス病)、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、原発性抗リン脂質抗体症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性シェーグレン症候群、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、血小板減少症、シェルジェンス(Sjorgens)病、交感性眼炎、甲状腺疾患(たとえばグレーヴズ・ハシモト病)、1型(IDDM)および2型(NIDDM)糖尿病、ブドウ膜炎およびウイルス性心筋炎(コクサッキー(Cocksakie)Bウイルス応答);(3)神経崩壊性疾患、たとえば、アルツハイマー病、パーキンソン病および原発性側索硬化症など;(4) 慢性リンパ球性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病、プロリンパ球性(prolymphocytic)白血病、分化型リンパ性リンパ腫、感染性単核球症、ヒト免疫不全ウイルス;(5)癌化学療法に関連した副作用;(6)フリーラジカルおよび一酸化窒素の作用により媒介されると考えられるアテローム性動脈硬化症および糖尿病などの疾患;(7)細菌内毒素性敗血症および関連のショック;(8)疼痛;(9)1型過敏性アレルギー反応、たとえば喘息、花粉症、湿疹、蕁麻疹、食物アレルギーおよびアトピー性皮膚炎;(10)悪液質;および(11)新生組織形成、転移などを含む血管新生が含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物を用いる方法は、自己免疫疾患、MS、糖尿病(1型または2型)または喘息の治療において特に有用である。本発明の化合物は、上記の疾患を治療するために、適切な常法のいずれにおいて用いてもよい。このような治療方法、その投与濃度および必要条件は、以下に詳述される、当分野で既知のあるいは日常的な実験を用いて容易に決定し得る利用可能な方法および技術から当業者により選択されるであろう。
また本発明は、サイトカインにより媒介される細胞プロセスまたは細胞活性を阻害する方法を含み、該方法は、(a)サイトカイン反応性細胞を、請求項1に記載の化合物と接触させ;そして(b)サイトカインにより媒介される細胞プロセスまたは細胞活性が阻害されるのを測定することからなり、該活性は、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子、インターフェロン、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、形質転換成長因子、オンコスタチンM、白血病抑制因子および血小板活性化因子からなる群から選択されるサイトカインの分泌である。
さらに、本発明はT1またはT2細胞介在性反応を、そのような治療を必要とする哺乳動物において治療する方法を含む。この方法は、該哺乳動物に、請求項1に記載の本発明の化合物の治療的有効量を投与することからなり、該化合物はIL-12介在性細胞プロセスまたは活性を阻害し、ゆえに反応を阻害することができる。
本発明のさらに別の側面、態様および利点は、以下の詳細な説明において部分的に示されるが、本発明を実施または使用することから確認してもよい。本発明の目的および利点は、この記載されている説明および特許請求の範囲の全体で具体的に指摘される特徴および組み合わせにより実現、達成することもできる。前述の総括的な説明および後述の詳細な説明は単に例示および説明のために挙げたものであり、請求項に記載される本発明の範囲を限定するものとみなすべきでないことは理解されるであろう。
好ましい態様の詳細な説明
この説明において引用される全ての特許、特許出願および公報は、その全体が本明細書中に参照して組み込まれる。
本明細書中で用いられる「アシル」は、有機酸からヒドロキシル基を除去した後の残基により提供されるラジカル(基)を意味する。このようなアシル基の例には、アルカノイルおよびアロイル基が含まれるが、これらに限定されるものではない。低級アルカノイル基の例として、たとえば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、トリフルオロアセチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「アシルアミノ」は、N-置換アミド、すなわち、RC(O)-NHおよびRC(O)-NR'-を指す。非限定的な例はアセトアミドである。
「アシルオキシ」は、1〜約4個の炭素原子を意味する。適当な例としては、アルカノイルオキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「脂環式炭化水素」は、3個〜約10個の炭素原子、好ましくは3個〜約6個の炭素原子を有する環状の脂肪族基を意味する。脂環式基の適当な例として、シクロプロピル、シクロプロピレニル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2-シクロヘキセン-1-イレニル、シクロヘキセニルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「アルケニル」は、直鎖または分岐鎖いずれかの配置を有し、炭素鎖に沿った任意な安定位置に生じ得る不飽和の1またはそれ以上の炭素−炭素結合を有する炭化水素鎖を含むことが意図されている。たとえば、アルケニルは少なくとも1つの二重結合を有する不飽和のアシル炭化水素基を表す。そのような基は、約2〜約40個の炭素原子を含み、好ましくは約2〜約10個の炭素原子を含み、より好ましくは約2〜約6個の炭素原子を含む。適当なアルケニル基の例として、プロピレニル、ブテン-1-イル、イソブテニル、ペンテン-1-イル、2-2-メチルブテン-1-イル、3-メチルブテン-1-イル、ヘキセン-1-イル、ヘプテン-1-イルおよびオクテン-1-イルなどが挙げられるが、これらに限定しようとするものではない。
「アルコキシル」および「アルキルオキシ」は、オキシ基を含んだ直鎖または分岐鎖の基であり、1〜約10個の炭素原子からなるアルキル部分を各々有している。好ましいアルコキシル基は、1〜6個の炭素原子を有する「低級アルコキシル」基である。このような基の例には、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、ブトキシルおよびtert-ブトキシルが含まれる。
「アルコキシアルキル」は、アルキル基に結合した1またはそれ以上のアルコキシ基を有する、アルキル基であって、たとえばモノアルコキシアルキル基およびジアルコキシアルキル基を形成している。さらにこの「アルコキシ」基を、フッ素、塩素または臭素などのハロゲン原子のうち1個またはそれ以上を用いて置換してハロアルコキシ基を得ることもできる。より好ましいハロアルコキシ基は、1〜6個の炭素原子と1またはそれ以上のハロ基を有する「低級ハロアルコキシ」基である。このような基の例には、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、フルオロエトキシおよびフルオロプロポキシが非限定的に含まれる。さらに、「アルコキシカルボニル」は、本明細書中に定義されるように、酸素原子を介してカルボニル基に結合したアルコキシ基を含む基を意味する。より好ましいものは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル部分を持つ「低級アルコキシカルボニル」基である。このような低級アルコキシカルボニル(エステル)基の例には、置換または非置換メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニルおよびヘキシルオキシカルボニルが非限定的に含まれる。
「アルコキシカルボニル」は、本明細書中に定義されるように、酸素原子を介してカルボニル基に結合したアルコキシ基を含む基を意味する。より好ましいものは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル部分を持つ「低級アルコキシカルボニル」基である。このような低級アルコキシアルボニル(エステル)基の例には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニルおよびヘキシルオキシカルボニルが非限定的に含まれる。
「アルコキシカルボニルアルキレン」は、本明細書中に定義されるように、アルコキシカルボニル基で置換されたアルキレン基を包含する。より好ましいものは、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン部分を持つ「低級アルコキシカルボニルアルキレン」基である。このような低級アルコキシカルボニルアルキレン基の例には、置換または非置換メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチルおよびエトキシカルボニルエチルが非限定的に含まれる。
「アルコキシル」は、酸素架橋を介して結合した、示された数の炭素原子を有するアルキル基を表す。「アルコキシ」および「アルキルオキシ」は、オキシを含む直鎖または分岐鎖の基を包含し、1〜約10個の炭素原子からなるアルキル部分を各々有している。さらに好ましいアルコキシ基は、1〜6個の炭素原子を有する「低級アルコキシ」基である。このような基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびtert-ブトキシが含まれるが、これらに限定はされない。
「アルキル」または「低級アルキル」は、特定数の炭素原子を有する脂肪族飽和炭化水素の基(Radicals/groups)であり、分岐鎖と直鎖の両方を含む。特に、「アルキル」は、分岐または分岐していない飽和炭化水素鎖の1価の基を指しており、好ましくは1〜40個の炭素原子を有し、より好ましくは1〜10個の炭素原子を有し、さらに好ましくは1〜6個の炭素原子を有し、特に示さない限り、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、第2ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、2-エチルドデシル、テトラデシルなどである。「置換されたアルキル」は、1〜5個の置換基を有する、本明細書中に定義したアルキル基を指し、該置換基は、アルコキシル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシル、アミノアシル、アミノアシルオキシル、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシル、チオヘテロアリールオキシル、チオヘテロシクロオキシル、チオール、チオアルコキシル、置換チオアルコキシル、アリール、アリールオキシル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシル、ヘテロ環、ヘテロシクロオキシル、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-アリール、-SO2-ヘテロアリールおよび-NRaRb(式中、RaおよびRbは同じであるかまたは異なっていてもよく、水素、場合により置換されているアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ環基から選択される)からなる群から選択されるが、これらに限定されるものではない。
「アルキルアミノ」は、1または2個のアルキル基で置換されているアミノ基を指す。好ましいものは、アルキル部分が1〜6個の炭素原子を有する「低級N-アルキルアミノ」基である。適当な低級アルキルアミノは、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノなどの、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノであろう。
「アルキルアミノアルキル」は、アミノアルキル基に1またはそれ以上のアルキル基が結合した基を包含する。
「アルキルアミノカルボニル」は、アミノ窒素原子上で1またはそれ以上のアルキル基により置換されているアミノカルボニル基を示す。「N-アルキルアミノカルボニル」および「N,N-ジアルキルアミノカルボニル」基が好ましい。本明細書中に定義したように低級のアルキル部分を有する「低級N-アルキルアミノカルボニル」および「低級N,N-ジアルキルアミノカルボニル」基が、より好ましい。
「アルキルカルボニル」、「アリールカルボニル」および「アラルキルカルボニル」は、本明細書中で定義したように、酸素原子を介してカルボニル基に結合したアルキル、アリールおよびアラルキル基を有する基を含む。このような基の例には、非限定的に、置換または非置換メチルカルボニル、エチルカルボニル、フェニルカルボニルおよびベンジルカルボニルが含まれる。「アルキルカルボニル」は、カルボニル基に結合した、本明細書中に定義されるアルキル基を有する基を含む。このような基の例には、置換または非置換メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、ブチルカルボニルおよびペンチルカルボニルが含まれる。
「アルキルカルボニルアミノ」は、アルキルカルボニル基により置換されているアミノ基を包含する。より好ましいアルキルカルボニルアミノ基は、本明細書中に定義する低級アルキルカルボニル基がアミノ基に結合している「低級アルキルカルボニルアミノ」である。
「アルキレン」は、分岐または非分岐飽和炭化水素鎖の2価の基を表し、好ましくは1〜40個の炭素原子を有し、より好ましくは1〜10個の炭素原子を有し、さらに好ましくは1〜6個の炭素原子を有する。この用語は、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン異性体(たとえば、-CH2CH2CH2-およびCH(CH3)CH2-)などの基により例示される。「置換アルキレン」は、(1)アルコキシル、置換アルコキシル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシル、アミノアシル、アミノアシルオキシル、オキシアシルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシル、置換チオアルコキシル、アリール、アリールオキシル、チオアリールオキシル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシル、チオヘテロアリールオキシル、ヘテロ環、ヘテロシクロオキシル、チオヘテロシクロオキシル、ニトロおよび-NRaRb(式中、RaおよびRbは同じであるかまたは異なっていてもよく、水素、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ環から選択される)からなる群の一員から選択される1〜5個の置換基を有する、本明細書中に定義されるアルキレン基を指す。さらに、このような置換アルキレン基には、非限定的に、アルキレン基上の2つの置換基が結合して、1またはそれ以上のシクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環またはヘテロアリール基がアルキレン基に結合している形態となっているアルキレン基も含まれ;(2)酸素、硫黄およびNRa(式中、Raは、水素、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ環から選択される)、または、カルボニル、カルボキシエステル、カルボキシアミドおよびスルホニルから独立して選択される、1〜20個の原子が割り込んでいる、本明細書に定義されるアルキレン基を表すか、または(3)本明細書中に定義される1〜5個の置換基を有し、さらに本明細書中に定義される1〜20個の原子が割り込んでいるアルキレン基を表す。置換アルキレンの例としてはクロロメチレン(-CH(Cl)-)、アミノエチレン(-CH(NH2)-CH2-)、2-カルボキシプロピレン異性体(-CH2CH(CO2H)CH2-)、エトキシエチル(-CH2CH2O-CH2CH2-)、エチルメチルアミノエチル(-CH2CH2N(CH3)CH2CH2-)、1-エトキシ-2-(2-エトキシ-エトキシ)エタン(-CH2CH2O-CH2CH2-OCH2CH2-OCH2CH2-)などが挙げられる。
「アルキルスルフィニル」は、1〜約10個の炭素原子を有し、2価の-S(=O)-基に結合した、直鎖または分岐鎖アルキル基を含む基を包含する。より好ましいアルキルスルフィニル基は、1〜6個の炭素原子からなるアルキル基を有する「低級アルキルスルフィニル」基である。このような低級アルキルスルフィニル基の例には、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、ブチルスルフィニルおよびヘキシルスルフィニルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
「アルキルスルホニル」は、本明細書中に定義されるアルキル基がスルホニル基に結合したものを包含する。より好ましいアルキルスルホニル基は、1〜6個の炭素原子を有する「低級アルキルスルホニル」である。このような低級アルキルスルホニル基の例には、メチルスルホニル、エチルスルホニルおよびプロピルスルホニルが含まれるが、これらに限定されるものではない。「アルキルスルホニル」基をさらにフッ素、塩素または臭素などの1またはそれ以上のハロゲン原子で置換してハロアルキルスルホニル基を提供することもできる。
「アルキルスルホニル」は、上記で定義されたアルキル基がスルホニル基に結合したものを包含する。より好ましいアルキルスルホニル基は、1〜6個の炭素原子を有する「低級アルキルスルホニル」である。このような低級アルキルスルホニル基の例には、メチルスルホニル、エチルスルホニルおよびプロピルスルホニルが含まれる。「アルキルスルホニル」基をさらにフッ素、塩素または臭素などの1またはそれ以上のハロゲン原子で置換してハロアルキルスルホニル基を提供することもできる。
「アルキルチオ」は、2価の硫黄原子に結合した1〜約10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を含む基を包含する。より好ましいアルキルチオ基は、1〜6個の炭素原子からなるアルキル基を有する「低級アルキルチオ」基である。このような低級アルキルチオ基の例として、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオおよびヘキシルチオが挙げられる。
「アルキルチオ」は、2価の硫黄原子に結合した1〜約10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を含む基を包含する。より好ましいアルキルチオ基は、1〜6個の炭素原子からなるアルキル基を有する「低級アルキルチオ」基である。このような低級アルキルチオ基の例として、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオおよびヘキシルチオが挙げられる。
「アルキルチオアルキル」は、1〜約10個の炭素原子からなるアルキル基に2価の硫黄原子を介して結合したアルキルチオ基を含む基を包含する。より好ましいアルキルチオアルキル基は、1〜6個の炭素原子からなるアルキル基を有する「低級アルキルチオアルキル」基である。このような低級アルキルチオアルキル基には、非限定的にメチルチオメチルが含まれる。
「アルキルチオアルキレン」は、1〜約10個の炭素原子からなるアルキル基に2価の硫黄原子を介して結合したアルキルチオ基を含む基を包含する。より好ましいアルキルチオアルキレン基は、1〜6個の炭素原子からなるアルキル基を有する「低級アルキルチオアルキレン」基である。このような低級アルキルチオアルキレン基の例には、メチルチオメチルが含まれる。
「アルキニル」は、直鎖または分岐鎖のどちらかの配置を有し、炭素鎖におけるいずれかの安定な位置に1またはそれ以上の炭素−炭素三重結合が生じているであろう炭化水素鎖を含むことを意図しており、エチニル、プロピニルなどが含まれる。たとえば、アルキニルは、1またはそれ以上の三重結合を含むという点において不飽和なアシル炭化水素基を表し、このような基は、約2〜約40個の炭素原子を含み、好ましくは約2〜約10個の炭素原子を有し、より好ましくは2〜約6個の炭素原子を有する。適当なアルキニル基の非限定的な例には、エチニル、プロピニル、ブチン-1-イル、ブチン-2-イル、ペンチン-1-イル、ペンチン-2-イル、3-メチルブチン-1-イル、ヘキシン-1-イル、ヘキシン-2-イル、ヘキシン-3-イル、3,3-ジメチルブチン-1-イル基などが含まれる。
「アルコキシアルキル」は、アルキル基に結合した1またはそれ以上のアルコキシ基を有するアルキル基を包含し、このような基は、たとえばモノアルコキシアルキルおよびジアルコキシアルキル基を形成している。さらにこの「アルコキシ」基を、フッ素、塩素または臭素などのハロゲン原子のうち1つまたはそれ以上を用いて置換して「ハロアルコキシ」基を得ることもできる。
「アミノアルキル」は、アミノ基で置換されたアルキル基を包含している。より好ましいのは、「低級アミノアルキル」基である。このような基の例には、非限定的に、アミノメチル、アミノエチルなどが含まれる。
「アミノカルボニル」は、-C(=O)NH2の式で表されるアミド基を示す。
「アラルコキシ」は、酸素原子を介して他の基と結合しているアラルキル基を意味する。
「アラルコキシアルキル」は、酸素原子を介してアルキル基に結合しているアラルコシ基を意味する。
「アラルキル」は、たとえばベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニルエチルおよびジフェニルエチルなどの、アリール基で置換されたアルキル基を意味している。該アラルキル中のアリールは、さらにハロ、アルキル、アルコキシ、ハルコ(halko)アルキルおよびハロアルコキシで置換されていてもよい。好ましいものは、1〜6個の炭素原子を含む分岐または非分岐低級アルキル部分を有する「低級アラルキル」基である。例として、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニルエチルおよびジフェニルエチルが挙げられる。該アラルキル中のアリールを、さらにハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルおよびハロアルコキシで置換してもよい。
「アラルキルアミノ」は、窒素原子を介して他の基と結合したアラルキル基を包含している。
「アラルキルチオ」は、硫黄原子に結合したアラルキル基を包含している。
「アラルキルチオアルキル」は、硫黄原子を介してアルキル基と結合したアラルキルチオ基を包含している。
「芳香族炭化水素基」は、4〜約16個の炭素原子、好ましくは6〜約12個の炭素原子、より好ましくは6〜約10個の炭素原子を意味している。適当な芳香族炭化水素基の例には、非限定的にフェニル、ナフチル基などが含まれる。
「アロイル」は、本明細書中に定義されるカルボニル基を有するアリール基を包含している。アロイル基の例としては、ベンゾイル、ナフトイルなどが非限定的に含まれるが、該アロイルのアリールは場合により置換されていてもよい。
「アリール」は、5〜20個の炭素原子からなる不飽和の芳香族炭素環基を表し、1つの環(たとえばフェニル)または複数が縮合(融合)した環(たとえばナフチルまたはアントリル)を有する。「アリール」は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダンおよびビフェニルなどの芳香族基を包含する。アリール置換基についての定義により特に制約されていない場合は、該アリール基は、アシルオキシル、ヒドロキシル、チオール、アシル、アルキル、アルコキシル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリル、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシル、ヘテロ環、ヘテロシクロオキシル、アミノアシルオキシル、オキシアシルアミノ、チオアルコキシル、置換チオアルコキシル、チオアリールオキシル、チオヘテロアリールオキシル、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリール、-SO2-ヘテロアリール、トリハロメチル、NRaRb(式中、RaおよびRbは同じであるかまたは異なっていてもよく、水素、場合により置換されているアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ環から選択される)からなる群の一員から選択される1〜5個の置換基で、場合により置換されていてもよい。好ましいアリール置換基には、アルキル、アルコキシル、ハロ、シアノ、ニトロ、トリハロメチルおよびチオアルコキシ(即ち-S-アルキル)が含まれるが、これらに限定されるものではない。より好ましいアリールは6〜12員環アリールからなる。このような基の例としては、アシル、アルケノキシ、アルケニル、アルケニルアミノ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキル、アルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルチオ、アルキノキシ、アルキニル、アルキニルアミノ、アミノ、アミノアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アラルコキシ、アラルコキシカルボニル、アリール、アリールアミノ、アリールカルボニル、アリールカルボニルアミノ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アリールチオ、ビフェニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、シアノ、ホルミル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルキルスルフィニル、ハロアルキルスルホニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルカルボニル、ヘテロシクリルオキシカルボニル、ヘテロシクリルオキシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシル、インダン、ナフチル、ニトロ、ニトロアルキル、フェニルおよびテトラヒドロナフチルが含まれるが、これらに限定はされない。さらにアリール部分は、任意の置換可能な位置で、1またはそれ以上の置換基により置換してもよい。該置換基の適当な、非限定的な例には、アシル、アルケノキシ、アルケニル、アルケニルアミノ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキル、アルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、アルキルカルボニル,アルキルカルボニルアミノ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルチオ、アルキノキシ、アルキニル、アルキニルアミノ、アミノ、アミノアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アラルコキシ、アラルコキシカルボニル、アリール、アリールアミノ、アリールカルボニル、アリールカルボニルアミノ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アリールチオ、カルボキシ、カルボキシアルキル、シアノ、ホルミル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルキルスルフィニル,ハロアルキルスルホニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルカルボニル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシカルボニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシル、ニトロおよびニトロアルキルが含まれる。
「アリールアミノ」は、N-フェニルアミノ基などの、1または2個のアリール基で置換されたアミノ基を示す。「アリールアミノル(Arylaminol)」基は、その基のアリール環部分上でさらに置換されていてもよい。
「アリールオキシ」は、酸素原子を介して他の基に結合しているアリール基を包含する。
「アリールオキシアルキル」は、2価の酸素原子を介してアルキル基に結合したアリール基を有する基を包含する。
「ベンジル」および「フェニルメチル」は、交換可能である。
「炭素環」または「炭素環基」は、3〜7員の単環式または二環式、または7〜14員の二環式または三環式、または26員までの多環式の炭素環を意図しており、いずれの場合も飽和、部分的に不飽和または芳香族性であってよい。「置換炭素環」または「置換炭素環基」は、アルコキシル、置換アルコキシル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシル、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシル、チオヘテロアリールオキシル、チオヘテロシクロオキシル、チオール、チオアルコキシル、置換チオアルコキシル、アリール、アリールオキシル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシル、ヘテロ環、ヘテロシクロオキシル、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アリール、-SO2-ヘテロアリールおよびNRaRb基(式中、RaおよびRbは同じであるかまたは異なっていてもよく、水素、置換または非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ環から選択される)からなる群の一員から選択される1〜5個の置換基を有する炭素環基を示す。炭素環基の好ましい例には、アダマンチル、アントラセニル、ベンズアミジル、ベンジル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.1]ヘキサニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、ビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、ビシクロ[4.3.0]ノナニル、ビシクロ[4.4.0]デカニル、ビフェニル、ビシクロオクチル、シクロブタニル(シクロブチル)、シクロブテニル、シクロヘプタニル(シクロヘプチル)、シクロヘプテニル、シクロヘキサンジオニル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、シクロオクタニル、シクロペンタジエニル、シクロペンタンジオニル、シクロペンテニル、シクロペンチル、シクロプロピル、デカリニル、1,2-ジフェニルエタニル、インダニル、1-インダノニル、インデニル、ナフチル、ナフトラレニル、フェニル、レゾルシノニル、スチルベニル、テトラヒドロナフチル(テトラリン)、テトラリニル、テトラロニル、トリシクロドデカニルなどからなる群から選択される基が含まれるが、これらに限定されるものではない。
「カルボニル」は、単独で用いられるか、または、「アルコキシカルボニル」などの他の用語と共に用いられ、-(C=O)-を示す。
「カルボキシ」または「カルボキシル」は、単独で用いられるか、または「カルボキシアルキル」などの他の用語と共に用いられ、-CO2H-を示す。
「カルボキシアルキル」は、カルボキシ基で置換されたアルキル基を包含している。より好ましいものは、本明細書中に定義されるカルボキシ置換低級アルキル基を包含する「低級カルボキシアルキル」基である。このような低級カルボキシアルキル基の例には、カルボキシメチル、カルボキシエチルおよびカルボキシプロピルが含まれる。
本明細書中で用いられる「IL-12により媒介される細胞プロセスまたは細胞活性」または「IL-12介在性プロセスおよび活性」には、IL-12が開始する細胞プロセスおよび活性、たとえば休止T細胞およびNK細胞によるIFN-γ産生の直接刺激が含まれる。さらにこの用語は、たとえば、抗CD3惹起IFN-γ分泌の増大などの、進行中のプロセスおよび活性のIL-12による変調を含む。たとえば、ナイーブT細胞のTh1細胞への分化;Th1表現型の維持(たとえば、高IFN-γ産生、低IL-4産生);T細胞芽球の増殖;NK細胞およびCTL細胞障害活性の増強などの他の様々なIL-12介在性プロセスおよび活性は、この用語に包含されることが意図されている。さらに、Trinchieri, Annu. Rev. Immunol. 13: 251-76(1995)に例示されている。
「シクロアルケニル」は、3〜12個の炭素原子を有する、部分的に不飽和な炭素環基を包含している。より好ましいシクロアルケニル基は、4〜約8個の炭素原子を有する「低級シクロアルケニル」基である。このような基の例には、シクロブテニル、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルが含まれるが、これらに限定されない。
「シクロアルキル」は、3〜12個の炭素原子を有する部分的に不飽和な炭素環基を包含している。より好ましいシクロアルキル基は、3〜約8個の炭素原子を有する「低級シクロアルキル」基である。このような基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルおよびアダマンチルが含まれるが、これらに限定しようとするものではない。「ビシクロアルキル」は、飽和二環式基を含むことを意図しており、たとえば、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロナノン、[4.4.0]ビシクロデカン(デカリン)、[2.2.2]ビシクロオクタンなどが含まれるが、これらに限定はされない。
「シクロアルキルアルキレン」は、シクロアルキル基で置換されたアルキル基を包含する。より好ましいシクロアルキルアルキレン基は、「低級シクロアルキルアルキレン」であり、これは本明細書中に定義する低級シクロアルキル基で置換された低級アルキル基を包含している。このような基の例には、シクロプロピルメチレン、シクロブチルメチレン、シクロペンチルメチレンおよびシクロヘキシルメチレンが含まれる。
「サイトカイン介在性障害」または「サイトカイン調節性障害」は、サイトカイン自体が異常を制御することによるかもしくは別のサイトカイン、たとえば非限定的に、IL-1、IL-6またはIL-8を遊離させることによる、どちらかの方法でサイトカインが影響を与える任意の全ての障害および病態を表す。従って、たとえば、IL-12が主な構成要素であり、その産生または作用が炎症刺激に反応して悪化するまたは分泌される病態は、サイトカインにより媒介される異常であると考えられるであろう。
「サイトカイン調節性薬物」は、サイトカインレセプターおよび経路を非限定的に含む、サイトカインの生物学的活性を、増強、制限、限定、抑制、変調または緩和することによりサイトカイン活性を制御する薬物を意味する。しかし、サイトカイン調節性薬物は,通常、サイトカイン活性を調節し得るが、サイトカイン調節性薬物がいかに作用して、改変されたまたは異常なサイトカイン活性を特徴とする状態に影響を及ぼすかについて、いかなる具体的な作用機構も提示されていないことは、認められるべきである。
本明細書中で用いられる「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を表し;また「対イオン」は、塩化物、臭化物、水酸化物、アセテート、硫化物などの負に荷電した小さな化学種を表すために用いられる。
「ハロアルキル」は、特定の数の炭素原子を有し、1またはそれ以上のハロゲンで置換されている、分岐鎖および直鎖両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むことが意図されている。ハロアルキルは、1またはそれ以上のアルキル炭素原子が本明細書中で定義されるハロゲンで置換されている基を包含する。特にモノハロアルキル、ジハロアルキルおよびポリハロアルキル基が含まれる。モノハロアルキル基は、たとえばヨウ素、臭素、塩素またはフッ素原子のいずれかを基内に有していてもよい。ジハロアルキル基およびポリハロアルキル基は、2またはそれ以上の同じハロゲン原子または異なるハロ基の組み合わせを有していてもよい。「低級ハロアルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する基を包含している。ハロアルキル基の非限定的な例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチルおよびジクロロプロピルが含まれる。
「ハロスルホニル」は、スルホニル基に結合したハロ基を包含する。このようなハロスルホニル基の例としては、クロロスルホニルおよびブロモスルホニルが含まれる。
「ヘテロアリール」は不飽和ヘテロシクリル基を包含する。ヘテロアリール基の例として、1〜4個の窒素原子を有する不飽和3〜6員ヘテロ単環基を含み、たとえばピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(たとえば4H-1,2,4-トリアゾリル、1H-1,2,3-トリアゾリル、2H-1,2,3-トリアゾリルなど)、テトラゾリル(たとえば、1H-テトラゾリル、2H-テトラゾリルなど)など; 1〜5個の窒素原子を有する不飽和縮合ヘテロシクリル基、たとえば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル(たとえば、テトラゾロ[1,5-b]ピリダジニルなど)など; 酸素原子を有する不飽和3〜6員ヘテロ単環基、たとえばピラニル、フリルなど;硫黄原子を有する不飽和3〜6員へテロ単環基、たとえばチエニルなど;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を有する不飽和3〜6員ヘテロ単環、たとえばオキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル(たとえば1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリルなど)およびその他; 1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を有する不飽和縮合ヘテロシクリル基(たとえば、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサジアゾリルなど); 1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を有する不飽和3〜6員ヘテロ単環基、たとえばチアゾリル、チアジアゾリル(たとえば、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリルなど)など;1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を有する不飽和縮合ヘテロシクリル基(たとえば、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリルなど)などが含まれる。さらに「ヘテロアリールおよびヘテロシクリル」はヘテロシクリル基がアリール基と融合している基を包含する。このような融合二環基の例には、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンなどが含まれる。該ヘテロシクリル基は、1〜3個の置換基、たとえばアルキル、ヒドロキシル、ハロ、アルコキシ、オキソ、アミノおよびアルキルアミノを有していてもよい。
「ヘテロ環」または「ヘテロ環基」は、単環、多環式縮合環または共有結合した複数の環を有する飽和または不飽和の基であって、1〜40個の炭素原子および1〜10個のヘテロ環原子を含み、好ましくは窒素、硫黄、リンおよび/または酸素から選択される1〜4個のヘテロ環原子を含む。好ましくは、「ヘテロ環」または「ヘテロ環基」は、5〜7員の単環式または二環式、または7〜10員の二環式の安定なヘテロ環であって、飽和、部分的に不飽和または芳香族であってもよく、また、炭素原子と、窒素、酸素および硫黄(窒素および硫黄のヘテロ原子は場合により酸化されており、窒素のヘテロ原子は場合により四級化されていてもよい)からなる群の一員から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、上記で定義した任意のヘテロ環がベンゼン環と結合したあらゆる二環基を含む。ヘテロ環基は、得られる化合物が安定である限り、炭素上または窒素、硫黄、リンおよび/または酸素のヘテロ原子上で置換されていてもよい。
このようなヘテロ環基の適当な例として、非限定的に、アクリジニル、アクリドニル、アデニニル、アルキルピリジニル、アロキサニル、アロキサジニル、アントラセニル、アントラニリル、アントラキノニル、アントレニル、アスコルビル、アザアズレニル、アザベンズアントラセニル、アゼベンズアントレニル、アザベンゾナフテニル、アザベンゾフェンアントレニル、アザクリセニル、アザシクラジニル、アザインドリル、アザナフタセニル、アザナフタレニル、アザフェノキサジニル、アザピニル、アザプリニル、アザピレニル、アザトリフェニレニル、アゼピニル、アゼチジネジオニル、アゼチジノリル、アゼチジニル、アジノインドイル、アジノピロリル、アジニル、アジリジノニル、アジリジニル、アジリニル、アゾシニル、アゾロアジニル、アゾリル、バルビツール酸、ベンゾアクリジニル、ベンズアザピニル、ベンズアジニル、ベンズイミダゾールチオニル、ベンズイミダゾロニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾシノリニル、ベンゾジアゾシニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソラニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル(ベンゾフリル)、ベンゾフロキサニル、ベンゾナフチリジニル、ベンゾピラノニル(ベンゾピラニル)、ベンゾピリダジニル、ベンゾピロニル、ベンゾキノリニル、ベンゾキノリジニル、ベンゾチアジアジニル、ベンゾチアゼピニル、ベイゾチアジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエピニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゼピノニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾキサジジニル、ベンゾキサジニル、ベンゾキサゾリノニル、ベンゾキサゾリル、ベンジルイソキノリニル、β-カルボリニル、ビオチニル、ビピリジニル、ブテノリジル、ブチロラクトニル、カプロラクタミル、カルバゾリル、4a H-カルバゾリル、カルボリニル、カテキニル、クロマニル、クロメノピロニル、クロモノピラニル、クロミエニル、シノリニル、クマリニル、クマロニル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロキノロニル、デプシジニル、ジアザアントラセニル、ジアザフェナントレニル、ジアゼピニル、ジアジニル、ジアジリジノニル、ジアジリジニル、ジアジリニル、ジアゾシニル、ジベンズアゼピニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ジベンズオキサゼピニル、ジクロミエニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾチアジニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイソクマリニル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピリダジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリドニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロニル、ジヒドロチアジニル、ジヒドロチオピラニル、ジヒドロキシベンゼニル、ジメトキシベンゼニル、ジメチルキサンチニル、ジオキサジアジニル、ジオキサアンチレニル、ジオキサニル、ジオキセニル、ジオキセピニル、ジオキセタニル、ジオキシノニル、ジオキシノニル、ジオキシラニル、ジオキソラニル、ジオキソロニル、ジオキソリル、ジオキソピペラジニル、ジプリレニル、ジピリミドピラジニル、ジチアダゾリル、ジチアゾリル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジチエタニル、ジチオラニル、ジチオレニル、ジチオリル、エナントラクタミル、エピスルホニル、フラバニル、フラバニル、フラビニル、フラボニル、フルオラニル、フルオレシエニル、フランジオニル、フラノクロマニル、フラノニル、フラノキノリニル、フラニル(フリル)、フラザニル、フルフリル、フロピラニル、フロピリミジニル、フロピロニル、フロキサニル、グルタルイミジル、グリコシアミジニル、グアニニル、ヘテロアズレニル、ヘキサヒドロピラジノイソキノリニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ホモフタルイミジル、ヒダントイニル、ヒドロフラニル、ヒドロフルナノニル、ヒドロイミダゾリル、ヒドロインドリル、ヒドロピラニル、ヒドロピラジニル、ヒドロピラゾリル、ヒドロピリダジニル、ヒドロピリジニル、ヒドロピリミジニル、ヒドロピロリル、ヒドロキノリニル、ヒドロチオクロメニル、ヒドロチオフェニル、ヒドロトリアゾリル、ヒドロキシトリジニル、イミダゾールチオニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾロニル、イミダゾリル、イミダゾキナゾリル、イミダゾチアゾリル、インダゾールベンゾピラゾリル、インダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジジニル、インドリジニル、インドロニル、インドリル、3H-インドリル、インドキサゼニル、イノシニル、イサチニル、イサトゲニル、イソアロキサジニル、イソベンゾフランジオニル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソフラボニル、イソインドリニル(イソインドリル)、イソインドロベンズアゼピニル、イソキノリニル、イソキヌクリジニル、イソチオゾリル、イソキサゾリジニル、イソキサゾリノニル、イソキサゾリニル、イソキサゾロニル、イソキサゾリル、ラクタミル、ラクトニル、ルマジニル、マレイミジル、メチルベンズアミジル、メチルベンゾイレンウレアイル、メチルジヒドロウラシリル、メチルジオキソテトラヒドロプテリジニル、メチルプリニル、メチルチミニル、メチルチミニル、メチルウラシリル、メチルキサンチニル、モノアザベンゾナフテニル、モルホリニル(モルホリノ)、ナフタセニル、ナフタレニル、ナフトイミダゾリル、ナフトイミダゾピリジンジオニル、ナフトインドリジンジオニル、ナフトジヒドロピラニル、ナフトフラニル、ナフトチオフェニル、ナフチルピリジニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オクチルカルボキシアミドベンゼニル、オロチシル、オキサジアジニル、オキサジアゾリル、オキサチアニル、オキサチアジノニル、オキサチエタニル、オキサチイラニル、オキサチオラニル、オキサトリアゾリル、オキサジノニル、オキサジラニル、オキサジリジニル、オキサゾリジノニル、オキサゾリジニル、オキサゾリドニル、オキサゾリノニル、オキサゾリニル、オキサゾロニル、オキサゾロピリミジニル、オキサゾリル、オキセピニル、オキセタナノニル、オキセタノニル、オキセタニル、オキシインドリル、オキシラニル、オキソレニル、ペンタジニル、ペンタゾリル、ペルヒドロアゾロピリジニル、ペルヒドロシノリニル、ペルヒドロインドリル、ペルヒドロピロロアジニル、ペルヒドロピロロオキサジニル、ペルヒドロピロロチアジニル、ペルヒドロチアジノニル、ペリミジニル、ペトラジニル、フェナントラキノニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサンチニル、フェノキサジニル、フェノキサゾニル、フタラジニル、フタライドイソキノリニル、フタルイミジル、フタロニル、ピペラジンジオニル、ピペラジノジオニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ポリオキサジアゾリル、ポリキノキサリニル、プロリニル、プリレニル、プテリジニル、プテリニル、プリニル、ピラジニル、ピラノアジニル、ピラノアゾリル、ピラノニル、ピラノピラジニル、ピラノピランジオニル、ピラノピリジニル、ピラノキノリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリドニル、ピラゾリノニル、ピラゾリニル、ピラゾロベンゾジアゼピニル、ピラゾロニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニル、ピラゾロトリアジニル、ピラゾリル、ピレニル、ピリダジニル、ピリダゾニル、ピリジンチオニル、ピリジノナフタレニル、ピリジノピリジニル、ピリドコリニル、ピリドインドリル、ピリドピラジニル、ピリドピリジニル、ピリドピリミジニル、ピリドピロリル、ピリドキノリニル、ピリジル(ピリジニル)、ピリミジンチオニル、ピリミジニル、ピリミジオニル、ピリミドアゼピニル、ピリミドプテリジニル、ピロニル、ピロコリニル、ピロリジニル、2-ピロリジニル、ピロリニル、ピロリジジニル、ピロリジニル、ピロロベンゾジアゼピニル、ピロロジアジニル、ピロロニル、ピロロピリミジニル、ピロロキノロニル、ピロリル、2H-ピロリル、キナクリドニル、キナゾリジニル、キナゾリノニル、キナゾリニル、キノリニル、キノリジジニル、キノリジニル、4H-キノリジニル、キノロニル、キノニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、キヌクリジニル、ローダミニル、スピロクマラニル、スクシンイミジル、スルホラニル、スルホレニル、スルタミル、スルチニル、スルトニル、シドノニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロオキサゾリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピラジニル、テトラヒドロピリダジニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロキノキサリニル、テトラヒドロチアピラニル、テトラヒドロチアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラノニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラオキサニル、テトラゼピニル、テトラジニル、テトラゾリル、テトロニル、チアベンゼニル、チアクロマニル、チアデカリニル、チアジアジニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリル、チアジオキサジニル、チアナフテニル、チアントレニル、チアピラニル、チアピロニル、チアトリアジニル、チアトリアゾリル、チアゼピニル、チアゼチジニル、チアジニル、チアジリジニル、チアゾリジノニル、チアゾリジニル、チアゾリノニル、チアゾリニル、チアゾロベンズイミダゾリル、チアゾロピリジニル、チアゾリル、チエノプリジニル、チエノピリミジニル、チエノピロリル、チエノチオフェニル、チエニル、チエピニル、チエタニル、チイラニル、チオクロメニル、チオクマリニル、チオラニル、チオレニル、チオリル、チオフェニル、チオピラニル、チミニル、トリアザアントラセニル、トリアゼピノニル、トリアゼピニル、トリアジノインドリル、トリアジニル、トリアゾリンジオニル、トリアゾリニル、トリアゾロピリジニル、トリアゾロピリミジニル、トリアゾリル、トリキオキサニル、トリフェノジオキサジニル、トリフェノジチアジニル、トリチアジアゼピニル、トリチアニル、トリキソラニル、トリジニル、トロパニル、ウラシリル、キサンテニル、キサンチニル、キサントニル、キサントヒドロリル、キシリトリルなど、ならびにN-アルコキシ窒素を含んだヘテロ環基が含まれる。好ましいヘテロ環基には、非限定的に、アクリジニル、アジリジニル、アゾシニル、アゼピニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾジオキソラニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、カルバゾール、4aH-カルバゾール、クロマニル、クロメニル、シノリニル、デカヒドロキノリニル、ジオキソインドリル、フラザニル、フリル、フルフリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、モルホリニル、ナフタレニル、ナフチリジニル、ノルボルナニル、ノルピナリル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシラニル、ペリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピペリジル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピレニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリジル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、2-ピロリドニル、ピロロニル、ピロリル、2H-ピロリル、キナゾリニル、4H-キノリジニル、キノリニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、β-カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、2H-,6H-1,5,2-ジチアジニル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアジニル、キサンテニル、キサンチニルなどが含まれる。
ヘテロ環の置換基についての定義により制約されない限り、ヘテロ環基は1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基を用いて、場合により置換することができる。「置換ヘテロ環」の用語は、上記のヘテロ環基が、たとえば1またはそれ以上の、好ましくは1または2の、同じまたは異なる置換基で置換されていることを意味し、該置換基は、(ニ置換)アミノカルボキサミド、(単置換)アミノ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシアミノ、アルコキシル、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシル、アリール、アリールオキシル、C1〜C6アルキル、C1〜C7アシル、C1〜C7アシルオキシ、C1〜C7アルコキシ、カルボキシ、カルボキシル、カルボキシルアルキル、カルボキシメチル、シアノ、シクロアルケニル、シクロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシル、ヘテロ環、ヘテロシクロオキシル、ヒドロキシ、ヒドロキシアミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ケト、N-((C1〜C6アルキル)スルホニル)アミノ、N-(フェニルスルホニル)アミノ基、N-(C1〜C6アルキル)カルボキサミド、N,N-ジ(C1〜C6アルキル)、ニトロ、オキシアミノアシル、保護された(単置換)アミノ、保護されたアミノ、保護されたカルボキサミド、保護されたカルボキシ、保護されたカルボキシメチル、保護されたヒドロキシ、保護されたヒドロキシメチル、保護されたN-(C1〜C6アルキル)カルボキサミド、-SO、-SO2-アルキル、-SO2-アリール、-SO2-置換アルキル、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-置換アルキル、置換アルコキシル、置換シクロアルケニル、置換シクロアルキル、置換チオアルコキシル、チオアルコキシル、チオアリールオキシル、チオヘテロアリールオキシル、チオヘテロシクロオキシル、チオケト、チオール、トリフルオロメチルおよびNRaRb(式中、RaおよびRbは同じであるかまたは異なっていてもよく、水素、場合により置換されている:アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ環から選択される。)であってもよい。用語「アミノ置換ヘテロ環」は、少なくとも1個のアミノ基で置換されたヘテロ環であり、用語「置換されたアミノ置換ヘテロ環」は、置換ヘテロ環のための1またはそれ以上の上記に同定される置換基を用いて置換されているアミノ置換ヘテロ環である。
「ヘテロシクリルアルキレン」は、飽和、部分的に不飽和および不飽和ヘテロシクリル-置換アルキル基を包含する。より好ましいヘテロシクリルアルキレン基は、1〜6個の炭素原子およびヘテロシクリル基を有する「低級ヘテロシクリルアルキレン」基である。このような基の例には、ピロリジニルメチル、ピリジルメチル、キノリルメチル、チエニルメチル、フリルエチルおよびキノリルエチルが含まれる。該ヘテロアラルキル中のヘテロアリール基は、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルおよびハロアルコキシを用いて、場合により置換されていてもよい。
「ヒドリド」は、1個の水素原子(H)を示す。このヒドリド基を、たとえば酸素原子に結合させてヒドロキシル基を形成するかまたは、2つのヒドリド基を炭素原子に結合させてメチレン(-CH2-)基を形成することができる。
「ヒドロキシアルキル」は、1〜約10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基であって、その炭素原子のいずれが1またはそれ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよいアルキル基を包含する。より好ましいヒドロキシアルキル基は、1〜6個の炭素原子と1またはそれ以上のヒドロキシル基を有する「低級ヒドロキシアルキル」基である。このような基の例には、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドリキシブチルおよびヒドロキシヘキシルが含まれる。
「N-アリールアミノアルキル」および「N-アリール-N-アルキル-アミノアルキル」は、各々1つのアリール基または1つのアリールおよび1つのアルキル基で置換されているアミノ基であって、アルキル基に結合したアミノ基を有するものを示す。このような基の例には、非限定的に、N-フェニルアミノメチルおよびN-フェニル-N-メチルアミノメチルが含まれる。
「所望の」または「場合により」は、続いて説明される事象または状況が生じるかもしれないし、または生じないかもしれないということを意味しており、その説明は、非限定的に、該事象または状況が生じる場合と生じない場合を含んでいる。たとえば、場合により置換されているアルキルは、アルキル基が、置換アルキルの定義に列挙される基により置換されていてもよいし、または置換されていなくてもよいことを意味する。
「オキソ」は、通常、炭素原子に二重結合した酸素原子で置換されている、2個の付加的な炭素原子に結合した炭素原子であって、これによりケトン部分を形成する。
「薬学的に許容し得る誘導体」または「プロドラッグ」は、受容者への投与において、本発明の化合物を(直接または間接的に)提供することができる本発明の化合物のあらゆる薬学的に許容し得る塩、エステル、エステルの塩、または他の誘導体を意味する。該化合物を哺乳動物へ投与する場合、(たとえば、経口投与される化合物がさらに容易に血中に吸収されるようにすることにより)本発明の化合物のバイオアベイラビリティーを増大させる、または親種に比べて生物学的な区分(たとえば脳またはリンパ系)への親化合物の放出を増大させる誘導体およびプロドラッグが特に好ましい。プロドラッグは、対象哺乳動物に投与したときに、式Iまたは式IIで示される活性親薬物をインビボで放出するあらゆる担体と共有結合したものであると考えられる。好ましいプロドラッグには、非限定的に、水溶解性または消化管膜を通した能動輸送を増加させるような基を、化学式IまたはIIの構造に付加した誘導体が非限定的に含まれる。式Iまたは式IIで示される化合物のプロドラッグは、化合物に存在する官能基を修飾することにより製造され、その場合、日常的な実験操作で、またはインビボのどちらかで修飾は分割されて、親化合物を生じる。プロドラッグには、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリルまたはカルボキシル基がいずれかの基に結合していて、対象哺乳動物に投与したときに、該基が分割して遊離のヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、カルボキシル基の各々を生じる式IまたはIIで示される化合物が含まれる。プロドラッグの例には、非限定的に、式IまたはIIで示される化合物中のアルコールおよびアミン官能基のアセテート、ホルメートおよびベンゾエート誘導体が含まれる。
「薬学的に許容し得る塩」は、式IまたはIIで示される化合物の酸または塩基との塩を製造することにより、式IまたはIIで示される親化合物が修飾された、開示された化合物の誘導体である。薬学的に許容し得る塩の例には、アミン類などのような塩基性残基の無機酸塩または有機酸塩;カルボン酸類などのような酸性残基のアルカリ塩または有機塩などが非限定的に含まれる。式IまたはIIで示される化合物の薬学的に許容し得る塩には、たとえば無毒の無機酸または有機酸から形成される、化学式IまたはIIの化合物の通常の無毒性塩または第四アンモニウム塩が含まれる。特に、式Iで示される化合物の適当な薬学的に許容し得る酸付加塩は、無機酸から、または有機酸から製造することができる。たとえば、このような通常の無毒塩には、酢酸、2-アセトキシ安息香酸、2-ナフタレンスルホニル酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、ビスルフ酸、ブチル酸、ショウノウ酸、ショウノウスルホン酸、炭酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジクルコン酸、ドデシルスルファニル酸、エタンスルホニル酸、エタンジスルホン酸、フマル酸、グルコヘプタン酸、グルタミン酸、グリセロリン酸、グリコール酸、ヘミスルファン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ヒドロキシマレイン酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、シュウ酸、パルム酸、パモ酸、ペクチン酸、ペルスルファニル酸、フェニル酢酸、リン酸、ピバリン酸、プロピオネート、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、トシル酸、ウンデカノエート塩酸などの無機酸から誘導される塩が、非限定的に含まれる。
より好ましい金属塩には、適当なアルカリ金属(Ia群)塩、アルカリ土類金属(IIa群)塩および他の生理学的に許容し得る金属が含まれる。このような塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から製造することができる。好ましい有機塩は、第三アミンおよび第四アンモニウム塩から製造することができ、その一部には、トロメタミン、ジエチルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)およびプロカインが含まれる。これら塩の全ては、たとえば式IおよびIIの化合物を適当な酸または塩基と反応させることにより、対応する式IまたはIIの化合物から、常法により製造することができる。本発明の薬学的に許容し得る塩は、塩基または酸の部分を有する式IまたはIIの化合物から、通常の化学的方法により合成することができ、たとえば、遊離の塩基または酸をそれぞれ、適当な塩基または酸の化学量論的量と、それぞれ水中または有機溶媒中で、またはその2つの混合物(非水生媒体、たとえばエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルが好ましい)中で反応させることにより、または適当な溶媒中もしくは様々な組み合わせの溶媒中で遊離の塩基または酸を、望ましい塩形成を行う無機または有機酸または塩基の過剰量と反応させることにより行われる。適当な塩はRemington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p.1418 et al.に挙げられており、この全開示は本明細書中に参照して組み込まれる。
本発明の化合物の「薬学的に有効な」または「治療的有効」量は、本明細書中に定義されるような治療を必要とする哺乳動物に投与する際に、該治療を有効にするのに十分な量を表す。その量は、治療される対象および病状、対象の体重および年齢、病状の重篤度、投与法などによって変化するであろうが、当業者なら容易に決定することができる。
本明細書中で用いられる、「調節」または「調節性」は、増大、限定、制限、抑制、変調または緩和により制御することを意味する。このような調節には、カスケードまたはバイオフィードバック機構を通じて様々な生物学的機能に直接または間接的に影響を与え得る、サイトカインなどの生物学的薬物活性により生じる多面的効果、重複効果、相乗的効果またはアンタゴニスト効果が含まれる。
本明細書中で用いられる「安定な化合物」は、反応混合物からの有用な純度での単離および有効な治療薬への製剤化において有効に存続するために十分強固な化合物、すなわち、製造を可能にするに十分な安定性であって、本明細書中で詳説される目的(たとえば、哺乳動物への治療的もしくは予防的投与またはアフィニティークロマトグラフィー適用における使用)に有用であるよう十分な期間化合物の完全性が維持される安定性を有する化合物である。通常、そのような化合物は40℃以下の温度で、湿気がなく、他の化学的に反応性の状態ではない場合に、少なくとも1週間、安定である。「代謝において安定な化合物」とは、哺乳動物により経口摂取された場合に、生物学的利用能を保持している化合物を示す。
本明細書中で用いられる「置換/置換された」は、明示または暗示されている場合でも、さらに「場合により」が先行しているかまたは先行していないときにも、指示された原子(C、Nなど)上の1個またはそれ以上の水素原子が、指示された原子の通常の価数を越えず、置換により安定な化合物が得られることを条件として、示された群から選択された基と置き換えられることを意味する。たとえば、CH2がケト置換基(=O)で置換される場合には、その原子上の2個の水素原子が置き換えられる。置換基が結合する原子が示されずに、置換基が挙げられている場合には、該置換基におけるどの原子を介して該置換基を結合してもよいことに注意すべきである。たとえば、置換基がピペラジニル、ピペリジニルまたはテトラゾリルであり、特定されていない場合には、該ピペラジニル、ピペリジニル、テトラゾリル基は式IまたはIIの化合物の残りの部分、ならびに該化合物に結合したR2およびR3基に、該ピペラジニル、ピペリジニル、テトラゾイル基のどの原子を介して結合させてもよい。置換基および/または変動体の組み合わせは、該組み合わせが安定な化合物を結果として生じる場合にのみ許可される。さらに、ある構造において1を越える位置で、特定した基から選択される置換基により置換される場合は、該置換基は各位置で同じであっても異なっていても良い。通常、構造が場合により置換されていてもよい場合には、0〜15個の置換が好ましく、0〜5個の置換がより好ましく、そして0〜1個の置換が最も好ましい。
「置換アルキル」、「置換アルケニル」および「置換アルキニル」は、上記のアルキル、アルケニルおよびアルキニル基が1つまたはそれ以上の、好ましくは1つまたは2つの、ハロゲン、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、オキソ、保護されたオキソ、シクロヘキシル、ナフチル、アミノ、保護されたアミノ、(一置換)アミノ、保護された(一置換)アミノ、(二置換)アミノ、グアニジノ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、イミダゾリル、インドリル、ピロリジニル、C(1-7)アルコキシ、C(1-7)アシル、C(1-7)アシルオキシ、ニトロ、C(1-7)アルキルエステル、カルボキシ、保護されたカルボキシ、カルバモイル、カルボキサミド、保護されたカルボキサミド、N-(C(1-6)アルキル)カルボキサミド、保護されたN-(C(1-6)アルキル)カルボキサミド、N,N-ジ(C(1-6)アルキル)カルボキサミド、シアノ、メチルスルホニルアミノ、チオ、C(1-4)アルキルチオまたはC(1-4)アルキルスルホニル基により置換されていることを表す。置換アルキル基は、一度またはそれ以上、好ましくは一度または二度、同じまたは異なる置換基で置換されていてもよい。「置換アルキル」基の例には、2-オキソ-プロパ-1-イル、3-オキソ-ブタ-1-イル、シアノメチル、ニトロメチル、クロロメチル、ヒドロキシメチル、テトラヒドロピラニルオキシメチル、トリチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、アミノ、メチルアミノ、アミノメチル、ジメチルアミノ、カルボキシメチル、アリルオキシカルボニルメチル、アリルオキシカルボニルアミノメチル、メトキシメチル、エトキシメチル、t-ブトキシメチル、アセトキシメチル、クロロメチル、ブロモメチル、ヨードメチル、トリフルオロメチル、6-ヒドロキシヘキシル、2,4-ジクロロ(n-ブチル)、2-アミノプロピル、クロロエチル、ブロモエチル、フルオロエチル、ヨードエチル、クロロプロピル、ブロモプロピル、フルオロプロピル、ヨードプロピルなどが含まれる。「置換アルケニル」基の適当な例には、スチレニル、3-クロロ-プロペン-1-イル、3-クロロ-ブテン-1-イル、3-メトキシ-プロペン-2-イル、3-フェニル-ブテン-2-イル、1-シアノ-ブテン-3-イルなどが含まれる。幾何異性は重要ではなく、必要な置換アルケニルの全ての幾何異性体を用いることができる。「置換」アルキニル基の適当な例には、フェニルアセチレン-1-イル、1-フェニル-2-プロピン-1-イルなどが含まれる。
「置換フェニル」の適当な例には、1つまたはそれ以上の、好ましくは1つまたは2つの、次に示すものからなる群から選択される部分で置換されているフェニル基が含まれる:ハロゲン、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、シアノ、ニトロ、C(1-6)アルキル、C(1-7)アルコキシ、C(1-7)アシル、C(1-7)アシルオキシ、カルボキシ、保護されたカルボキシ、カルボキシメチル、保護されたカルボキシメチル、ヒドロキシメチル、保護されたヒドロキシメチル、アミノ、保護されたアミノ、(一置換)アミノ、保護された(一置換)アミノ、(二置換)アミノ、カルボキサミド、保護されたカルボキサミド、N-(C(1-6)アルキル)カルボキサミド、保護されたN-C(1-6)アルキル)カルボキサミド、N,N-ジ(C(1-6)アルキル)カルボキサミド、トリフルオロメチル、N-((C(1-6)アルキル)スルホニル)アミノ、N-(フェニルスルホニル)アミノまたはフェニル、置換または非置換、たとえば、ビフェニルが得られる基が含まれる。この例として、モノ-またはジ(ハロ)フェニル基、たとえば2、3または4-クロロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、2,5-ジクロロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、2、3または4-ブロモフェニル、3,4-ジブロモフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、2、3または4-フルオロフェニルなど; モノまたはジ(ヒドロキシ)フェニル基、たとえば2、3または4-ヒドロキシフェニル、2,4-ジヒドロキシフェニル、その保護された-ヒドロキシ誘導体など; ニトロフェニル基、たとえば2、3または4-ニトロフェニル; シアノフェニル基、たとえば2、3または4-シアノフェニル; モノ-またはジ(アルキル)フェニル基、たとえば2、3または4-メチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2、3または4-(イソ-プロピル)フェニル、2、3または4-エチルフェニル、2、3または4-(n-プロピル)フェニルなど; モノまたはジ(アルコキシル)フェニル基、たとえば、2,6-ジメトキシフェニル、2、3または4-メトキシフェニル、2、3または4-エトキシフェニル、2、3または4-(イソプロポキシ)フェニル、2、3または4-(t-ブトキシ)フェニル、3-エトキシ-4-メトキシフェニルなど; 2、3または4-トリフルオロメチルフェニル; モノ-またはジカルボキシフェニルまたは(保護されたカルボキシ)フェニル基、たとえば2、3または4-カルボキシフェニルまたは2,4-ジ(保護されたカルボキシ)フェニル; モノ-またはジ(ヒドロキシメチル)フェニルまたは(保護されたヒドロキシメチル)フェニル、たとえば2、3または4-(保護されたヒドロキシメチル)フェニルまたは3,4-ジ(ヒドロキシメチル)フェニル; モノ-またはジ(アミノメチル)フェニルまたは(保護されたアミノメチル)フェニル、たとえば2、3または4-(アミノメチル)フェニル、または2,4-(保護されたアミノメチル)フェニル;またはモノ-またはジ(N-(メチルスルホニルアミノ))フェニル、たとえば2、3または4-(N-(メチルスルホニルアミノ))フェニルが含まれる。さらに、「置換フェニル」の用語は、置換基が異なっている二置換フェニル基、たとえば、3-メチル-4-ヒドロキシフェニル、3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル、2-メトキシ-4-ブロモフェニル、4-エチル-2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシ-4-ニトロフェニル、2-ヒドロキシ-4-クロロフェニルなどを表す。
「スルファミル」、「アミノスルホニル」および「スルホンアミジル」は、-NH2O2S-を示す。
「スルホニル」は、単独で用いられても、またアルキルスルホニルなどの他の用語と結合して用いられても、各々、二価の基-SO2-を示す。
「治療」は、哺乳動物、特にヒトにおけるIL-12介在性疾患または状態のあらゆる治療を表し、次のものを、非限定的に含む:(i)疾患または状態が、その状態への傾向があり得るが、未だその状態について診断されていない対象において発生するのを予防する、従って、病理学的状態に対する予防的治療からなる治療;(ii)疾患または状態を阻害する、すなわちその発達を阻止すること;(iii)疾患または状態を緩和する、すなわち疾患または状態の抑制を生じさせること;または(iv)疾患または状態により生じる症状を緩和する、すなわち潜在する疾患または状態を扱うことなく炎症反応を緩和すること。
前述の非限定的定義を考慮の上で、本発明はプリン出発物質から得られる新規なクラスの三環化合物に関する。特に、本発明は、以下の式I:
[式中、R
1は場合により置換されている、水素、C
(1-20)アルキル、C
(1-20)アルケニル、C
(1-20)アルキニル、C
(1-20)ヒドロキシアルキル、C
(1-20)シアノアルキル、C
(1-20)アルコキシル基およびC
(1-20)アルコキシアルキル基からなる群の一員から選択され;
R
2およびR
3は、結合して場合により置換されたヘテロ環を形成し、R
2およびR
3の各々は、独立して、ハロ、チオ、オキソ、C
(1-20)アルキル、C
(1-20)ヒドロキシアルキル、C
(1-20)チオアルキル、C
(1-20)アルキルチオ、C
(1-20)アルキルアミノ、C
(1-20)アルキルアミノアルキル、C
(1-20)アミノアルキル、C
(1-20)アミノアルコキシアルケニル、C
(1-20)アミノアルコキシアルキニル、C
(1-20)ジアミノアルキル、C
(1-20)トリアミノアルキル、C
(1-20)テトラアミノアルキル、C
(1-20)アミノトリアルコキシアミノ、C
(1-20)アルキルアミド、C
(1-20)アルキルアミドアルキル、C
(1-20)アミドアルキル、C
(1-20)アセトアミドアルキル、C
(1-20)アルケニル、C
(1-20)アルキニル、C(3-8)アルコキシル、C(1-11)アルコキシアルキル基およびC
(1-20)ジアルコキシアルキルからなる群の一員から選択される。]
で示される三環式化合物、その薬学的に許容し得る誘導体(たとえば、そのラセミ混合物、分割された鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、塩および溶媒和物)又はプロドラッグを提供する。
好ましくは、R1はN-OH、アシルアミノ基、シアノ基、スルホ、スルホニル、スルフィニル、スルフヒドリル(メルカプト)、スルフェノ、スルファニリル、スルファミル、スルフアミノおよびホスフィノ、ホスフィニル、ホスホ、ホスホノ、および-NRaRb(式中、RaおよびRbは同じであるかまたは異なっていてもよく、各々は水素、所望により置換されている:アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ環基からなる群から選択される)からなる群の一員により置換されていてもよい。
好ましくは、R2およびR3は独立して、水素、ハロ、チオ、オキソ、C(1-10)アルキル、C(1-10)ヒドロキシアルキル、C(1-10)チオアルキル、C(1-10)アルキルチオ、C(1-10)アルキルアミノ、C(1-10)アルキルアミノアルキル、C(1-10)アミノアルキル、C(1-10)アミノアルコキシアルケニル、C(1-10)アミノアルコキシアルキニル、C(1-10)ジアミノアルキル、C(1-10)トリアミノアルキル、C(1-10)テトラアミノアルキル、C(1-10)アミノトリアルコキシアミノ、C(1-10)アルキルアミド、C(1-10)アルキルアミドアルキル、C(1-10)アミドアルキル、C(1-10)アセトアミドアルキル、C(1-10)アルケニル、C(1-10)アルキニル、C(1-10)アルコキシル、C(1-10)アルコキシアルキルおよびC(1-10)ジアルコキシアルキルからなる群の一員から選択してもよい。
特に、R2およびR3はメチル、エチル、オキソ、イソプロピル、n-プロピル、イソブチル、n-ブチル、t-ブチル、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシ-n-ブチル、2-メトキシエチル、4-メトキシ-n-ブチル、5-ヒドロキシヘキシル、2-ブロモプロピル、3-ジメチルアミノブチル、4-クロロペンチル、メチルアミノ、アミノメチルおよびメチルフェニルからなる群から選択してもよい。
好ましい態様において、R2およびR3は、場合により次に示す基からなる群の1またはそれ以上の基で場合により置換される:ヒドロキシ、メチル、カルボキシル、フリル、フルフリル、ビオチニル、フェニル、ナフチル、アミノ基、アミド基、カルバモイル基、シアノ基、スルホ、スルホニル、スルフィニル、スルフヒドリル、スルフェノ、スルファニリル、スルファミル、スルフアミノ、ホスフィノ、ホスフィニル、ホスホ、ホスホノ、N-OH、-Si(CH3)3、C(1-3)アルキル、C(1-3)ヒドロキシアルキル、C(1-3)チオアルキル、C(1-3)アルキルアミノ、ベンジルジヒドロシナモイル基、ベンゾイルジヒドロシナミド基、場合により置換されているヘテロ環基および場合により置換されている炭素環基。
好ましいヘテロ環基には、非限定的に、アクリジニル、アジリジニル、アゾシニル、アゼピニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾジオキソラニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、カルバゾール、4a H-カルバゾール、クロマニル、クロメニル、シノリニル、デカヒドロキノリニル、ジオキソインドリル、フラザニル、フリル、フルフリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、モルホリニル、ナフタレニル、ナフチリジニル、ノルボルナニル、ノルピナニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキラニル、ペリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピペリジル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピレニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリジル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、2-ピロリドニル、ピロロニル、ピロリル、2H-ピロリル、キナゾリニル、4H-キノリジニル、キノリニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、β-カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、、2H-,6H-1,5,2-ジチアジニル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チオフェニル、トリアジニル、キサンテニルおよびキサンチニルが含まれる。
好ましい炭素環基には、非限定的に、アダマンチル、アントラセニル、ベンズアミジル、ベンジル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.1]ヘキサニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、ビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、ビシクロ[4.3.0]ノナニル、ビシクロ[4.4.0]デカニル、ビフェニル、ビスシクロオクチル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロヘキサンジオニル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、シクロオクタニル、シクロペンタジエニル、シクロペンタンジオニル、シクロペンテニル、シクロペンチル、シクロプロピル、デカリニル、1,2-ジフェニルエタニル、インダニル、1-インダノニル、インデニル、ナフチル、ナフトラレニル、フェニル、レゾルシノリル、スチルベニル、テトラヒドロナフチル、テトラリニル、テトラロニルおよびトリシクロドデカニルが含まれる。
置換されるなら、ヘテロ環基または炭素環基は、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、SO2NH2、C(1-6)アルキル、C(1-6)ハロアルキル、C(1-8)アルコキシル、C(1-11)アルコキシアルキル、C(1-6)アルキルアミノおよびC(1-6)アミノアルキルからなる群のうち1またはそれ以上の基により置換される。
本発明の原則に従い、本明細書中で開示される新規治療用化合物は、1またはそれ以上の非対称に置換された炭素原子を有していてもよく、これにより該化合物はラセミ化合物、ラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして得られるかもしれない。各立体炭素はRまたはS配置であってもよい。オレフィン、C-N二重結合などの多くの幾何異性体が、本明細書中に記載される化合物に存在することもあり、このような安定な異性体の全ては本発明で意図されている。光学的に活性な形態を調製する方法は当分野でよく知られており、ラセミ体の分割によるまたは光学的に活性な出発物資からの合成による方法などがある。特定の立体化学または異性体形態が特に指示されていないなら、構造の全てのキラル、ジアステレオマー、ラセミ体および全ての幾何学的形態は本発明の範囲内に包含されることが意図されている。本発明の一部を形成する本発明の化合物の立体異性体は、可能な限りの方法において単一の鏡像異性体の形態にある反応物質を用いることにより、または単一の鏡像異性体の形態にある試薬または触媒の存在下で反応を行うことにより、または立体異性体混合物を常法を用いて分割することにより製造することができる。好ましい方法の一部には、微生物分割の使用、マンデル酸、ショウノウスルホン酸、酒石酸、乳酸などのキラル酸またはルシン、キナアルカロイドおよびそれらの誘導体などのキラル塩基により形成されるジアステレオマー塩の分割が含まれる。
一般式IまたはIIで示される化合物の様々な多形体は、本発明の一部を構成し、異なる条件下で本発明の化合物を結晶化させることにより製造してもよい。たとえば、再結晶のために通常の溶媒の異なるものまたはそれらの混合物の使用;異なる温度での結晶化;様々な冷却様式;結晶化中の非常に速い冷却から非常に遅い冷却への変動が挙げられる。多形体は、本発明の化合物を加熱または融解し、次いで徐々にまたは迅速に冷却することにより得ることもできる。多形体の存在は、固体プローブNMR分光法、IR分光法、示差走査熱量測定法、粉体X線回折または他の同様の技術により測定することができる。
本発明の化合物は、選択的生物学的特性を増大させるために、適当な官能基を付加することにより修飾してもよい。そのような修飾は当分野で知られており、非限定的に、特定の生物学的区画(たとえば血液、リンパ系、中枢神経系)への透過性を上昇させる、経口または静注バイオアベイラビリティーを上昇させる、溶解度を上昇させて注射による投与を可能にする、代謝を改変する、排出率を改変するなどの修飾が含まれる。さらに本発明は、式IおよびIIで示される化合物の互変異性体を含む。
さらに本発明は、本明細書中で開示される化合物のあらゆる塩基性窒素含有基を第四化合物化することを含む。塩基性窒素は、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチルなどの低級アルキルハロゲン化物;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミルを含む硫酸ジアルキル;塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルなどの長鎖ハロゲン化物;臭化ベンジルおよびフェネチルを含むハロゲン化アラルキルを非限定的に含む、当業者に知られている任意の試薬を用いて第四化合物化することができる。水または油に可溶性または分散性の生成物は、このような第四化合物化により得ることができる。
本発明の新規な三環化合物は、その構造的特徴に加え、異常なまたは改変されたサイトカイン活性を一部において特徴とし、ゆえに1またはそれ以上のサイトカイン調節性薬物による調節を受け易い、たとえば、病理、免疫反応および炎症反応を含む様々な状態において生じる1またはそれ以上のサイトカインの異常なまたは改変された発現を調節することができる。後述の実施例または文献に開示されるアッセイなどの日常のプロトコールまたはアッセイを用いる当業者または科学者なら、本明細書中で開示される化合物の有用性を容易に確認し得るであろう。
前述の一般的構造の説明/定義にとらわれずに、本発明に従うサイトカイン調節性薬物としての有用性が存在する本発明の好ましい化合物には、以下に示す化合物が含まれるが、これらに限定はされない。前述のように、各々の具体的な化合物にRまたはS鏡像異性体が例示されている場合、特に以下に示されていなくても、各々、対応するSまたはR鏡像異性体も意図されていることは理解されるであろう。
(使用方法)
さらに本発明は、たとえば炎症反応または抗炎症反応を有している哺乳動物においてサイトカインシグナリングを阻害する方法に関する。本発明の方法は、一般的に、本明細書中に記載する化合物の薬学的または治療的に有効な量を、1またはそれ以上のサイトカインが介在する疾患または状態に罹患している患者に投与することからなる。患者はヒト哺乳動物であってもよい。たとえば、Th1、T1、Th2またはT2細胞により媒介される病状の過程において有害な反応を示す場合に患者は治療を必要とするであろう。このような必要性は、医療分野の臨床医または研究者により決定され得る。ヒトへの治療に有用である他、さらにこれらの化合物は、哺乳類、げっ歯類などを含むコンパニオン・アニマル、外来動物および家畜の獣医学的治療に有用である。より好ましい動物には、馬、犬および猫が含まれる。
改変されたもしくは異常なサイトカイン活性を特徴とし、ゆえに本発明の化合物により治療可能であると考えられる、適した病状には、非限定的に次のものが含まれる:(1)炎症性疾患または障害、たとえば、関節炎、喘息、慢性の炎症性疾患、慢性腸炎、乾癬、敗血性ショック、敗血症、アレルギー性接触皮膚炎、強直性脊椎炎および成人呼吸窮迫症候群;(2)自己免疫疾患もしくは障害または他の病理-免疫原性(patho-immunogenic)疾患または反応、たとえばアレルギー反応またはアナフィラキシー;アレルギー性脳脊髄炎、筋萎縮性側索硬化症、水疱性類天疱瘡、小児脂肪便症、慢性活動性肝炎、慢性甲状腺炎、胃炎、グッドパスチャー症候群、移植片対宿主病(急性および/または慢性)、糸球体腎炎、溶血性貧血、免疫性血小板減少紫斑病、炎症性腸疾患(たとえば、クローン病および潰瘍性大腸炎)、特発性血小板減少性紫斑病(isopathic thrombocytopenic purpuRa)、若年性関節炎、狼瘡(たとえば全身性紅斑性狼瘡)、男性不妊(自己免疫)、多発性硬化症、重症筋無力症、好中球減少症、尋常性天疱瘡、寄生虫介在性免疫機能不全(たとえば、シャーガス病)、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、原発性抗リン脂質抗体症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性シェーグレン症候群、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、血小板減少症、シェルジェンス(Sjorgens)病、交感性眼炎、甲状腺疾患(たとえばグレーヴズ・ハシモト病)、1型(IDDM)および2型(NIDDM)糖尿病、ブドウ膜炎およびウイルス性心筋炎(コクサッキー(Cocksakie)Bウイルス応答);(3)神経崩壊性疾患、たとえば、アルツハイマー病、パーキンソン病および原発性側索硬化症など;(4)慢性リンパ球性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病、プロリンパ球性(prolymphocytic)白血病、分化型リンパ性リンパ腫、感染性単核球症、ヒト免疫不全ウイルス;(5)癌化学療法に関連した副作用;(6)フリーラジカルおよび一酸化窒素の作用により媒介されると考えられるアテローム性動脈硬化症および糖尿病などの疾患;(7)細菌内毒素性敗血症および関連のショック;(8)疼痛;(9)1型過敏性アレルギー反応、たとえば喘息、花粉症、湿疹、蕁麻疹、食物アレルギーおよびアトピー性皮膚炎;(10)悪液質;および(11)新生組織形成、転移などを含む血管新生など。本発明の化合物を用いる方法は、自己免疫疾患、MS、糖尿病(1型または2型)または喘息の治療において特に有用である。
さらに別の態様において、本発明はTh1またはTh2細胞介在性反応を治療する方法であって、そのような治療を必要とする哺乳動物において治療する方法に関し、該方法は、該哺乳動物に、IL-12またはIL-4介在性細胞プロセスまたは活性を阻害し、ゆえに反応を阻害し得る本発明の化合物の治療的有効量を投与することからなる。
別の好ましい態様において、本発明は1型または2型糖尿病を予防または治療する方法を含む。糖尿病は、著しい個人的費用および財務費用が患者およびその家族、ならびに社会にかかる、世界的に最も蔓延している慢性障害の1つである。糖尿病は、生理学的および解剖学的異常が広範に列挙されることを特徴とし、たとえば、グルコース処理の改変、高血圧、網膜症、異常な血小板活性、大、中および小血管を含む異常、および他の問題が糖尿病患者に生じる。糖尿病患者は、通常2つのカテゴリーに分けられる。ケトアシドーシスの予防のためにインスリンに依存している患者は、インスリン依存性糖尿病(IDDM)または1型糖尿病を有している。ケトアシドーシスを避けるためにインスリンに依存していない糖尿病患者は、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)または2型糖尿病を有している。NIDDMは、十分に生産されたインスリンが使用可能であるが、末梢組織におけるグルコース代謝およびインスリン介在性利用に欠陥が存在する成人において主に発生する糖尿病の形態である。明白なNIDDMは、3つの主な代謝異常:インスリン介在性グルコース処理への抵抗、栄養刺激性インスリン分泌の障害および肝臓によるグルコースの過剰生産を特徴とする。糖尿病を有する一部の患者について、遺伝的傾向の結果としてインスリンおよび/またはインスリンレセプターおよび/またはインスリン介在性信号伝達因子をコードする遺伝子の突然変異が起こり、ゆえに無能なインスリンおよび/またはインスリン介在性効果をもたらし、グルコースの利用または代謝を損なうことが示されている。
インスリン分泌は、おそらくインスリン抵抗性への埋め合わせとして早期に増大することが多いことが報告されている。NIDDMを実際に発症している患者は、そのような状態にあると考えられるが、これは患者の膵臓β細胞が、インスリン抵抗性を補償するのに十分なインスリン分泌を結果的に維持し損なうことを理由としている。β細胞の障害の原因となる機構は、同定されていないが、末梢インスリン抵抗によるβ細胞への慢性的な要求および/またはβ細胞の機能を損なう高血糖による影響に関係しているかもしれない。またβ細胞の障害は、「前糖尿病」の個体において、独立した先天的な欠陥としても生じるであろう。
さらに、肥満とインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)の間に関連性が存在することが示唆されている(Hotamisligil and Spiegelman,Diabetes 43:1271-1278 (1994a))。このように、本発明は肥満対象の体重を減少させて、NIDDMに関連した症状を予防または緩和するのに有用である。増大したTNF発現が、肥満個体の脂肪組織において検出されており、これらの個体においてNIDDMの出現に関与していることが示唆されている(Hotamisligil et al., J.Clin.Invest, 95:2409-2415 (1995))。しかしながら、TNFレセプターに結合する抗体を用いてTNF活性を中和しようとする試みによっては、ラット肥満/糖尿病モデルにおいて検討した際に顕著な体重減少は生じなかった(Hotamisligil et al., J.Clin.Invest, 94:1543-1549 (1994b))。該化合物は、少なくともそのサイトカイン調節活性のために、該化合物は、糖尿病および関連の肥満治療に特に有用である。さらに、NIDDMにおけるインスリン分泌不良は、脂肪酸代謝不良と関連があるかもしれない。本発明の化合物は、脂肪酸代謝の変調物質であり、ゆえにインスリン分泌およびグルコース耐性に影響を及ぼすことによりNIDDMの影響改善の役割を果たしている。従って、本発明は、式IまたはIIで示される新規な抗糖尿病化合物、それらの互変異性型、それらの誘導体、それらの立体異性体、それらの多形体、それらの薬学的に許容し得る塩、それらの薬学的に許容し得る溶媒和物およびそれらを含む薬学的に許容し得る組成物ならびに1型または2型糖尿病を予防または治療する方法であって、それらを必要とする被検体に式IまたはIIの化合物の治療的有効量を投与する工程を含む方法に関する。
さらに本発明は、サイトカインによる細胞活性を増強または阻害する物質(たとえば、たんぱく質、ペプチド、小分子)をスクリーニングする方法を包含する。好ましい態様において、本発明は、IL-12(Th1またはT1細胞分化)またはIL-4(Th2またはT2細胞分化)などのサイトカインにより媒介または調節される細胞プロセスまたは細胞活性を阻害する方法を含み、該方法は、(a)サイトカイン反応性細胞を、上記のように本発明の化合物と接触させ;そして(b)サイトカインにより媒介または調節される細胞プロセスまたは細胞活性が阻害されるのを測定することからなる。
また本発明の化合物は、サイトカイン介在性疾患を有するインビトロ系およびインビボ動物モデルなどの他の適用におけるサイトカイン介在性シグナリングの阻害に有用である。さらに、本発明はそれ自体が、サイトカインの細胞活性を増強または阻害する物質(たとえば、たんぱく質、ペプチド、小分子)をスクリーニングする方法を包含する。従って、本発明は、そのような適用において使用される、本明細書中に記載された本発明の化合物を含むキットを包含する。
医薬組成物および投与法
さらに本発明の範囲内には、本発明の活性な化合物を、1またはそれ以上の非毒性、薬学的に許容し得る担体および/または希釈剤および/またはアジュバント(本明細書中では集合的に「担体」物質と称する)および所望により他の活性成分と共に含む医薬組成物類が包含されている。本発明の化合物は、錠剤、カプセル剤(これらは各々、持続放出製剤または徐放製剤を含む)、丸薬、粉末剤、顆粒、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁液、シロップおよび乳剤などの経口投与形態で投与することができる。同様に、これらを静脈内投与(ボーラスまたは注入)、腹膜内投与、皮下投与または筋肉内投与の形態、医薬分野の当業者に周知であるあらゆる投与形態で投与することができる。
本発明の化合物は、活性薬物を哺乳動物の体内における薬物の作用部位と接触させるあらゆる方法により投与することができる。これらの化合物は、医薬と共に使用する場合に利用可能な常法により、個々の治療薬として、または当業者により容易に決定され得る治療薬との組み合わせにおいて投与することができる。これらの化合物は単独で投与し得るが、通常、選択された投与経路および通常の薬務に基づいて選択される医薬担体と共に投与される。適当な医薬担体は、Remington's Pharmaceutal Sciencesに記載されている。
本発明の化合物の投薬計画は、勿論、具体的な薬物の薬力学的特性およびその投与法および投与経路;受容者の種、年齢、性別、健康状態、医学的状態、体重;症状の性質および程度;伴われる処置の種類;処置の頻度:投与経路、患者の腎臓および肝臓機能および所望の効果などの既知の因子により異なる。通常の技能を有する医師または獣医師なら、その状態の進行を予防する、それに対抗するまたはそれを制止するために必要とされる薬物の有効量を容易に判断し、処方することができる。投与に適した投薬形態(医薬組成物)は、投与単位当たり約1ミリグラム〜約100ミリグラムの活性成分を含んでいてもよい。これらの医薬組成物において、活性成分は、通常、組成物の全重量に対して約0.5〜95%の重量で存在するであろう。一般的なガイダンスのために、各活性成分の一日経口投与量は、示される効果を得るために用いられる場合、体重1kg当たり約0.001〜1000mgの範囲にあり、好ましくは1日当たり体重1kg当たり約0.01〜約100mgの範囲であり、最も好ましくは約1.0〜20mg/kg/日の範囲であろう。静脈投与の場合、最も好ましい投与量は、一定速度の注入を行う間、約1〜約10mg/kg/分の範囲となろう。本発明の化合物は、1日に1回の投与でもよく、または、1日の全投与量を毎日、2、3または4回に分割して投与しても都合が良い。
本発明の化合物は、適切な経鼻投与用媒体の局所的使用による鼻腔内投与形態で投与することができ、または当業者に周知の経皮投与用の皮膚パッチの形態を用いて経皮投与することもできる。経皮デリバリーシステムの形態で投与するために、その投与法は、当然ながら、投薬計画の全体を通して断続的というよりも持続的となるであろう。
本発明の方法において、本発明の化合物は活性成分を形成することが可能であり、意図される投与形態(すなわち、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ剤など)に関して、通常の医薬業務と矛盾しないように、適当に選択された医薬用希釈剤、賦形剤または担体(本明細書中では集合的に担体物質と称する)との混合物の状態で投与されるのが一般的である。たとえば、錠剤またはカプセルの形態で経口投与するために、活性薬物成分は、経口用の、無毒で、薬学的に許容し得る、不活発な担体、たとえばラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトールなどと組み合わせることができ、また、液体の形態で経口投与する場合には、経口用薬物成分は、経口用の、無毒で、薬学的に許容し得る、不活性な担体、たとえばエタノール、グリセロール、水などと共に用いることができる。さらに、望まれるまたは必要とされる場合、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤を合わせて混合物にしてもよい。適切な結合剤としては、非限定的に、デンプン、ゼラチン、天然の糖類、たとえばグルコースまたはβ-ラクトース、トウモロコシ甘味料、天然または合成ゴム、たとえばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが含まれる。これらの投与形態で用いられる滑沢剤としては、非限定的に、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、非限定的に、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタン・ガムなどが含まれる。
本発明の化合物は、小型の単層小胞、大型の単層小胞および多層小胞などのリポソーム輸送系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成することができる。
本発明の化合物は、標的を定めることができる薬物担体としての可溶性ポリマーと結合させてもよい。このようなポリマーには、非限定的に、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノールまたはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリシジンが含まれる。さらに、本発明の化合物は、たとえばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸との共重合体、ポリεカプロラクトン、ポリヒドロキシブチル酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアシレートおよびヒドロゲルの架橋結合によるまたは両親媒性のブロック共重合体などの、薬物の制御放出を達成するに有用な生体分解性ポリマー類に結合させてもよい。
ゼラチンカプセルは、活性成分と、粉末担体、たとえばラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などを含んでいてもよい。同様の希釈剤を用いて圧縮錠剤を製造することができる。錠剤とカプセルの双方は、数時間にわたる薬物の連続的な放出をもたらす持続放出製品として製造することができる。圧縮された錠剤は、不快な味を隠し、空気から錠剤を保護するために、糖またはフィルムでコーティングすることができ、または、胃腸管で選択的に崩壊させるために、腸溶コーティングを施すこともできる。
経口投与のための液体の投薬形態では、患者の受容性を増大させるために着色成分および風味成分を含むことができる。
一般的に、水、適当な油、生理食塩水、デキストロース(グルコース)水溶液、関連の糖溶液およびグリコール、たとえばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールが非経口溶液の適当な担体である。非経口投与用の溶液は、好ましくは、活性成分の水溶性の塩、適当な安定化剤および必要なら、緩衝物質を含んでいるのが好ましい。亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸などの抗酸化剤の単独、または組み合わせは、適した安定化剤である。クエン酸およびその塩およびEDTAナトリウムも用いられる。さらに、非経口溶液は、保存剤、たとえば塩化ベンザルコニウム、メチル-またはプロピル-パラベンおよびクロロブタノールを含むこともできる。
本発明の化合物の投与に有用な薬学的投与形態は、以下のように示すことができるが、これらに限定しようとするものではない:
カプセル。通常の2ピースの硬ゼラチンカプセルに、粉末活性成分100mg、ラクトース150mg、セルロース50mgおよびステアリン酸マグネシウム6mgを充填することにより多数の単位のカプセルを調製する。
軟ゼラチンカプセル。大豆油、綿実油またはオリーブ油などの消化可能な油(digestable oil)中の有効成分の混合物を、調製し、容積移送式ポンプを用いてゼラチンに注入して、100mgの活性成分を含む軟カプセル剤を得る。カプセルを洗浄し、乾燥する。
錠剤。投薬単位が活性成分100mg、コロイド状二酸化シリコン0.2mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、微結晶セルロース275mg、デンプン11mgおよびラクトース98.8mgとなるように、常法により多数の錠剤を調製する。適当なコーティングを適用して、矯味改善や遅延吸収を強めたりすることができる。
注射液。注射による投与に適した非経口用組成物は、体積比10%のプロピレングリコール水溶液中で、重量比1.5%の活性成分を撹拌することにより調製する。この溶液を塩化ナトリウムで等張にし、滅菌する。
懸濁液。経口投与用の水性懸濁液は、5mL毎に、細粒活性成分100mg、カルボキシメチルセルロースナトリウム200mg、安息香酸ナトリウム5mg、1.0gのソルビトール溶液、U.S.P.、および0.025mLのバニリンを含むよう調製する。
本発明の化合物は、第二の治療薬、たとえばコルチコステロイド、鎮痛薬などと組み合わせて投与してもよい。本発明の化合物およびこのような第二の治療薬は、前述のように様々な投与経路により、いかなる投与形態で、別々に投与してもよく、または単一投薬単位における物理的組み合わせとして投与してもよい。本発明の化合物は、第二の治療薬と共に単一投薬単位として製剤化してもよい(すなわち、共に合わせて、1個のカプセル、錠剤、粉末剤、液剤などにする)。本発明の化合物および第二の治療薬が単一投薬単位に共に製剤化されない場合は、これらは原則的に同時に投与してもよく、または、任意の順序で、たとえば本発明の化合物を最初に投与し、次いで第二の薬物を投与してもよい。同時に投与されない場合は、本発明の化合物と第二の治療薬の投与は、約1時間未満の間隔で行うのが好ましく、約5〜30分未満の間隔で行うのがより好ましい。好ましい投与経路は経口である。本発明の化合物と第二の治療薬の両方を同じ経路(すなわち、たとえば両方とも経口)により投与するのが好ましいが、所望により、各々を異なる経路で、異なる投薬形態で投与してもよい(すなわち、たとえば組み合わせ製品の一成分は経口投与し、もう一方の成分は静脈内投与してもよい)。本発明の化合物は、部分的にまたは完全に他の通常の抗炎症薬,たとえばステロイド、シクロオキシゲナーゼ-2阻害物質、NSAID、DMARDS、免疫抑制剤、5-リポキシゲナーゼ阻害物質、LTB4アンタゴニスト、LTA4ヒドロラーゼ阻害物質などの代用となるであろう。
単独または第二の治療薬との組み合わせにおいて投与する場合の投与法は、前述のように、具体的な薬物の薬力学的特性ならびにその投与法および投与経路、受容者の年齢、健康状態および体重、症状の性質および程度、同時に行う処置の種類、処置の頻度および所望の効果などの様々な要因に依存して変動するであろう。第二の治療薬と組み合わせて投与される場合には、本発明の化合物の適切な投与法は、本発明の開示を携えた当分野の開業医により、容易に確定されるであろう。
患者の状態の改善において、必要ならば、本発明の化合物、組成物または組み合わせの維持量を投与してもよい。続いて、投与の量もしくは頻度、またはその両方を、症状の関数として、改善した状態が持続するレベルまで減少させてもよく、症状が望ましいレベルに緩和された場合には、治療を終了すべきである。しかし、患者は、任意の病状の再発があったなら長期的に断続的な治療を必要とするかもしれない。
合成
本発明の化合物は、以下の実施例に記載した好ましい方法を用いて、ならびに有機合成化学の分野で知られている合成法、または当業者により容易に認められ、容易に実施できるその変法により合成することができる。本明細書中で開示される様々な合成段階は代替順序で実施して、望ましい化合物を得てもよい。さらに、本明細書中に開示される合成の実施例は、本出願において開示され請求項に記載される化合物が合成され得るすべての方法の包括的なリストを構成することは意図していない。
当業者になら認め得るであろうが、以下の実施例に開示される好ましい合成計画は、本明細書中に開示され請求項に記載される化合物が合成され得るすべての方法の包括的なリストを構成することは意図していない。特定された物質および条件は、本発明の実施において重要であるが、特定されていない物質および条件は、本発明の利点実現の妨げにならない限り排除されないことは理解されるべきである。他の適切な方法および出発物質は、当業者に明白であろう。さらに、開示される様々な合成段階は、代替順序で実施し、望ましい化合物を得てもよい。
(実施例)
本発明は、以下の非限定的な実施例においてさらに説明される。実施例は説明のためにのみ挙げられており、本明細書中で列挙される物質、条件、工程のパラメーターなどに関して請求項に記載の発明を限定するものではない。
実施例1
(R)-7,8-ジヒドロ-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(CT-13430)および(R)-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-1,6,7,8-テトラヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-e]-プリン-2,4(3H)-ジオン(CT-30268)の合成
3-メチルキサンチン(7.9g、47.6mmol)および酢酸ナトリウム(7.81g、95.2mmol)の氷酢酸(120ml)懸濁液を攪拌しながら、臭素(9.14g、57.1mmol)を加えた。この混合液を65℃で2時間攪拌した。室温に冷却後、沈殿物を濾過し、酢酸(2x15ml)、水(3x50ml)で洗浄し、減圧下で乾燥して8-ブロモ-3-メチルキサンチン(10.5g、収率:90%)をベージュ色の粉末として得た。
8-ブロモ-3-メチルキサンチン(7.06g、28.8mmol)および炭酸カリウム(3.98g、28.8mmol)のジメチルホルムアミド(DMF)(150ml)懸濁液を攪拌しながら、クロロメチル エチルエーテル(2.72g、28.8mmol)を加えた。室温で一晩攪拌した後に、この反応混合液を氷冷水(650ml)中に注いだ。0℃〜5℃で1時間攪拌後、固体を濾過し、水(3x15ml)で洗浄し、減圧下で乾燥して8-ブロモ-7-エトキシメチル-3-メチルキサンチン(6.15g、収率:70%)を白色固体として得た。
8-ブロモ-7-エトキシメチル-3-メチルキサンチン(1.52g、5.0mmol)の無水ジメチルスルホキシド(20ml)懸濁液を攪拌しながら水素化ナトリウム(144mg、6.0mmol)を加えた。この混合液を室温で30分間攪拌し、次いで(R)-5-アセトキシ-1-クロロヘキサン(983mg、5.5mmol)を加え、混合液を70℃〜75℃で攪拌した。(R) 5-アセトキシ-1-クロロヘキサンは1997年5月13日にKlein,J.P., Leigh,A.J., Michnick,J., Kumar,A.M., Underiner,G.E.に発行されたU.S.Pat.No.5,629,423(この文献は本明細書中に参照して組み込まれる)に記載の方法に従い調製した。12時間後、この混合液を室温に冷却し、飽和塩化ナトリウム水溶液(100ml)で反応を停止させ、酢酸エチル(3x50ml)で抽出した。合わせた抽出液を水(2x25ml)、飽和塩化ナトリウム水溶液(25ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を蒸発させた後に、生成物をシリカゲル・フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチルで溶離)精製して、(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-8-ブロモ-7-エトキシメチル-3-メチルキサンチン(1.83g、収率:82%)をベージュ色の固体として得た。
(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-8-ブロモ-7-エトキシメチル-3-メチルキサンチン(4.45g、10.0mmol)、炭酸カリウム(2.76g、20.0mmol)およびエタノールアミン(1.22g、20.0mmol)のジメチルスルホキシド(30ml)混合液を80℃で2時間攪拌した。室温に冷却後、この反応混合液の反応を飽和塩化アンモニウム水溶液(100ml)により停止させ、酢酸エチル(3x25ml)で抽出した。合わせた抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下での濃縮により、(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-7-エトキシメチル-8-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-3-メチルキサンチン(3.95g、収率:93%)をベージュ色の粉末として得た。
(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-7-エトキシメチル-8-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-3-メチルキサンチン(3.95g、9.3mmol)および塩化チオニル(25ml)の混合液を室温で3時間攪拌した。減圧下で濃縮して未反応の塩化チオニルを除去した後に、エタノール(100ml)および1.0M塩化水素ジエチルエーテル(10.0ml)溶液を加えた。この混合液を75℃〜80℃で16時間攪拌した後に、減圧下で濃縮して、(R)-1-(5-ヒドロキシヘキシル)-8-(2-クロロエチルアミノ)-3-メチルキサンチン(2.2g、収率:69%)を白色粉末として得た。
(R)-8-(2-クロロエチルアミノ)-1-(5-ヒドロキシヘキシル)-3-メチルキサンチン(2.2g、6.4mmol)、トリエチルアミン(1.94g、19.2mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(0.39g、3.2mmol)のクロロホルム(50ml)混合液を攪拌しながら、0℃〜5℃で無水酢酸(1.30g、12.8mmol)を加えた。この混合液を室温に温め、一晩攪拌し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル-メタノール(7:1)で溶離)により精製し、(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-8-(2-クロロエチルアミノ)-3-メチルキサンチン(2.2g、収率:89%)を白色粉末として得た。
(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-8-(2-クロロエチルアミノ)-3-メチルキサンチン(2.2g、5.7mmol)および炭酸カリウム(1.57g、11.4mmol)のアセトニトリル(50ml)混合液を80℃で一晩攪拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣を水(50ml)で処理し、酢酸エチル(8x25ml)で抽出した。減圧下で濃縮後、残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル-メタノール(7:1)、次いで酢酸エチル-メタノール(2:1)で溶離)により精製し、(R)-3-(5-アセトキシヘキシル)-7,8-ジヒドロ-1,3-ジメチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(700mg、収率:35%)、続いて(R)-3-(5-アセトキシヘキシル)-1-メチル-1,6,7,8-テトラヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-e]-プリン-2,4(3H)-ジオン(200mg、収率:10%)を得た。
(R)-3-(5-アセトキシヘキシル)-7,8-ジヒドロ-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(700mg、2.0mmol)および1.0M塩化水素のジエチルエーテル(5ml、5.0mmol)溶液のメタノール(100ml)混合液を室温で一晩攪拌した。減圧下で濃縮後、残渣の固体を酢酸エチル(20ml)で処理し、室温で2時間攪拌した。濾過して、(R)-7,8-ジヒドロ-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(CT-13430)(400mg、収率:65%)を白色粉末として得た。
(R)-3-(5-アセトキシヘキシル)-1-メチル-1,6,7,8-テトラヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-e]-プリン-2,4(3H)-ジオン(100mg、0.286mmol)および1.0M塩化水素ジエチルエーテル(1ml、1.0mmol)溶液のメタノール(25ml)混合液を室温で一晩攪拌した。減圧下で濃縮後、残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル-メタノール-クロロホルム(4:2:1)で溶離)により精製し、(R)-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-1,6,7,8-テトラヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-e]-プリン-2,4(3H)-ジオン(CT-30268)(40mg、収率:46%)を白色粉末として得た。
実施例2
(R)-6,7-ジヒドロ-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-チアゾロ[2,3-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオン(CT-13421)の合成
(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-8-ブロモ-7-エトキシメチル-3-メチルキサンチン(CT13430に従い調製)(1.77g、4.0mmol)のエタノール(100ml)溶液を攪拌しながら、硫化ナトリウム(4.48g、80mmol)を加えた。この反応混合物を90℃で1時間攪拌した。減圧下で溶媒を蒸発させた後に、粗生成物をシリカゲル・フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル-メタノール(7:1)で溶離)により精製して(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-7-エトキシメチル-8-メルカプト-3-メチルキサンチンを得た。この生成物をメタノール(100ml)に溶解した。塩化水素のエーテル(1.0M、1.0ml)溶液を加え、室温で24時間攪拌した。減圧下で溶媒を蒸発させた後に、粗生成物をシリカゲル・フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル-メタノール(4:1)で溶離)により精製して(R)-7-エトキシメチル-1-(5-ヒドロキシヘキシル)-8-メルカプト-3-メチルキサンチン(0.61g、収率:51%)を白色固体として得た。
(R)-7-エトキシメチル-1-(5-ヒドロキシヘキシル)-8-メルカプト-3-メチルキサンチン(0.19g、0.533mmol)、炭酸カリウム(0.15g、10.7mmol)および1-ブロモ-2-クロロエタン(114mg、0.80mmol)のアセトニトリル(10ml)混合液を65℃で1.5時間攪拌した。減圧下濃縮後、残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル-ヘキサン(1:1)で溶離)により精製して(R)-7-エトキシメチル-8-(2-クロロエチルスルファニル)-1-(5-ヒドロキシヘキシル)-3-メチルキサンチン(150mg、収率:67%)を白色粉末として得た。
(R)-7-エトキシメチル-8-(2-クロロエチルスルファニル)-1-(5-ヒドロキシヘキシル)-3-メチルキサンチン(150mg、0.322mmol)のエタノール(9.0ml)中スラリーを攪拌しながら、濃塩酸(1.0ml)を加えた。80℃で3時間攪拌後、減圧下で濃縮して(R)-8-(2-クロロエチルスルファニル)-1-(5-ヒドロキシヘキシル)-3-メチルキサンチン(100mg、収率:86%)をベージュ色の粉末として得た。
(R)-8-(2-クロロエチルスルファニル)-1-(5-ヒドロキシヘキシル)-3-メチルキサンチン(76mg、0.21mmol)および炭酸カリウム(58mg、0.42mmol)のアセトニトリル(15ml)混合液を80℃で2時間攪拌した。減圧下で濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル-ヘキサン(1:1)で溶離)により精製して(R)-6,7-ジヒドロ-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-チアゾロ[2,3-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオン(CT 13421)(22mg、収率:32%)を白色粉末として得た。
実施例3
(R)-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-ピラジノ[2,1-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオン(CT-30099)の合成
8-ブロモ-3-メチルキサンチン(CT13430に従い調製)(12.25g、50.0mmol)および炭酸カリウム(6.91g、50.0mmol)のジメチルホルムアミド(400ml)懸濁液を攪拌しながら、臭化ベンジル(9.24g、54.0mmol)を加えた。12時間攪拌後、混合液
を冷水(680ml)中に注いだ。沈殿物を濾過し、水(3x50ml)、エーテル(3x50ml)で洗浄し、減圧下で乾燥して、7-ベンジル-8-ブロモ-3-メチルキサンチン(14.92g、収率:89%)を白色粉末として得た。
7-ベンジル-8-ブロモ-3-メチルキサンチン(10.06g、30.0mmol)の無水ジメチルスルホキシド懸濁液を攪拌しながら、水素化ナトリウム(864mg、36.0mmol)を加えた。30分間室温で攪拌した後、(R)-5-アセトキシ-1-クロロヘキサン(5.9g、33.0mmol)を加えた。70℃〜75℃で12時間攪拌した後に、この混合液を室温に冷却し、反応を水(600ml)で停止し、室温で4時間攪拌した。沈殿物を濾過し、(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-7-ベンジル-8-ブロモ-3-メチルキサンチン(12.31g、収率:86%)をベージュ色の粉末として得た。
(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-7-ベンジル-8-ブロモ-3-メチルキサンチン(9.55g、20.0mmol)の無水ジメチルスルホキシド溶液に、シアン化カリウム(1.43g、22.0mmol)を加えた。70℃〜80℃で4.5時間攪拌した後に、混合物を室温に冷却し、水(500ml)で反応を停止し、酢酸エチル(4x150ml)で抽出した。合わせた抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(45ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲル・フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル-ヘキサン(1:1)で溶離)により精製して(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-7-ベンジル-8-シアノ-3-メチルキサンチン(7.60g、収率:90%)をベージュ色の粉末として得た。
(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-7-ベンジル-8-シアノ-3-メチルキサンチン(850mg、2.0mmol)および10%パラジウム炭素(300mg)の氷酢酸(60ml)懸濁液を、パール(Parr)振盪器上で水素ガス(80 psi)を用いて3時間処理した。セライトのパッドで濾過した後に、減圧下で濾液を濃縮し、(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-8-アミノメチル-7-ベンジル-3-メチルキサンチンの酢酸塩を得た。
(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-8-アミノメチル-7-ベンジル-3-メチルキサンチンのクロロホルム(30ml)溶液を攪拌しながら、トリフルオロ無水酢酸 (1.0g、4.76mmol)で処理し、3時間攪拌した。減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲル・フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチルで溶離)により精製し、(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-7-ベンジル-3-メチル 8-(N-(トリフルオロアセトキシ)アミノメチル)キサンチン(1.0g、収率:95%)を白色粉末として得た。
(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-7-ベンジル-3-メチル-8-(N-(トリフルオロアセトキシ)アミノメチル)キサンチン(1.0g、1.9mmol)および10%パラジウム炭素(水50%、300mg)の氷酢酸(50ml)混合液を、パールの振盪器上で18時間、室温で水素ガス(80 psi)を用いて処理した。セライトのパッドで濾過後、濾液を減圧下で濃縮し、(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-3-メチル-8-(N-(トリフルオロアセトキシ)アミノメチル)キサンチン(700mg、収率:85%)を白色粉末として得た。
(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-3-メチル-8-(N-トリフルオロアセトキシ)アミノメチル)キサンチン(216mg、0.50mmol)、炭酸カリウム(83mg、0.60mmol)および2-ブロモ-クロロエタン(79mg、0.55mmol)の無水ジメチルホルムアミド(5.0ml)混合液を60℃で16時間攪拌した。室温に冷却後、この反応混合液を飽和塩化ナトリウム水溶液で処理し、酢酸エチル(4x10ml)で抽出した。合わせた抽出液を減圧下で濃縮し、残渣を2.0Mアンモニア・メタノール溶液(10ml)で処理した。室温で2時間攪拌後、溶媒および過剰な試薬を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル-2.0Mアンモニア・メタノール(7:1)で溶離)を用いて精製し、(R)-3-(5-アセトキシヘキシル)-1-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-ピラジノ[2,1-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオン(120mg、収率:66%)を淡褐色の油状物として得た。
(R)-3-(5-アセトキシヘキシル)-1-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-ピラジノ[2,1-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオン(80mg、0.22mmol)および1.0M塩化水素ジエチルエーテル(1.0 ml、1.0mmol)溶液のメタノール(20ml)混合液を室温で16時間攪拌した。減圧下で濃縮後、残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル-2.0 Mアンモニア・メタノール(3:1)で溶離)で精製し、(R)-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-ピラジノ[2,1-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオン(CT-30099)(60mg、収率:90%)を白色粉末として得た。
実施例4
(R)-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-ピリミド[2,1-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオン(CT-13431)の合成
10%水酸化ナトリウム水溶液(10ml)を3-メチルキサンチン(4.15g)のメタノール(25ml)懸濁液に加え、この混合液を70℃で1時間攪拌した。臭化ベンジル(4.275g、2.97ml)を70℃で滴下により加え、この混合液を70℃〜80℃でさらに5時間攪拌した。室温に冷却後、この混合液を水(50ml)で処理した。沈殿物を濾過し、1N水酸化ナトリウム水溶液(50ml)に溶解し、濃塩酸を用いてこの溶液をpH4〜5の酸性にした。沈殿物を濾過し、水(3x20ml)で洗浄して7-ベンジル-3-メチルキサンチン(4.45g)を得た。
7-ベンジル-3-メチルキサンチン(11.1g、43.2mmol)のジメチル スルホキシド(100ml)懸濁液に攪拌しながら、95%水素化ナトリウム(1.24g、52mmol)を一度に加えた。30分間攪拌した後に、(R)-5-アセトキシ-1-ブロモヘキサン(8.1g、45.3mmol)をそのまま加えた。(R)-5-アセトキシ-1-ブロモヘキサンは、2000年6月13日にKlein,J.P.、Kumar,A.M.およびWoodson,Pに発行された米国特許番号6,075,029(この内容は本明細書中に参照して組み込まれる)に記載の方法に従い調製した。80℃で16時間攪拌後、室温に冷却し、反応液に水(350ml)を加えることにより反応停止させ、酢酸エチル(5x50ml)で抽出した。合わせた抽出液を飽和炭酸ナトリウム溶液(50ml)、飽和塩化ナトリウム水溶液(50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を蒸発させることにより残渣が得られ、これをシリカゲル・フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチルで溶離)により精製して(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-7-ベンジル-3-メチルキサンチン(13.0g、収率:76%)を得た。
(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-7-ベンジル-3-メチルキサンチン(13.0g、32.6mmol)および10%パラジウム炭素(水50%、3.6g)の氷酢酸(160ml)混合液をパール振盪器上で水素ガス(50psi)により16時間処理した。セライトのパッドで濾過後、濾液を減圧下で濃縮して、(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-3-メチルキサンチン(9.6g、収率:96%)を白色固体として得た。
(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-3-メチルキサンチン(9.3g、30.2mmol)および酢酸ナトリウム(4.92g、60.0mmol)の酢酸(200ml)懸濁液を攪拌しながら60℃で臭素(5.76g、36.0mmol)を滴下して加えた。60℃でさらに2時間攪拌した後に、この反応混合液を減圧下で濃縮した。残渣を水(100ml)で処理し、室温で1時間攪拌した。濾過後、固体を水(3x15ml)で洗浄し、減圧下で乾燥して(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-8-ブロモ-3-メチルキサンチン(8.8g、収率:75%)をベージュ色の粉末として得た。
3-アミノ-1-プロパノール(7.5g、100mmol)およびトリエチルアミン(12.1g、120mmol)のメタノール(150ml)溶液を攪拌しながら室温で、ジ-tert-ブチル-ジカルボネート(24.4g、112mmol)を加えた。この混合液を室温で16時間攪拌し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル-ヘキサン(1:1)で溶離)により精製して3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-プロパノール(12.8g、収率:80%)を無色油状物として得た。
(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-8-ブロモ-3-メチルキサンチン(5.10g、13.2mmol)、トリフェニルホスフィン(5.24g、20.0mmol)および3-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-プロパノール(3.2g、20.0mmol)の無水1,2-diクロロエタン(100ml)懸濁液を室温で攪拌しながら、ジエチルアゾジカルボキシレート(3.48g、20.0mmol)を滴下により加えた。この混合液を室温で一晩攪拌し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル-ヘキサン(1:1)で溶離)により精製し、(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-8-ブロモ-7-(2-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロピル)-3-メチルキサンチン(6.10g、収率:85%)をベージュ色の油状物として得た。
(R)-1-(5-アセトキシヘキシル)-8-ブロモ-7-(2-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)エチル)-3-メチルキサンチン(6.10g、11.2mmol)をトリフルオロ酢酸(50ml)およびジクロロメタン(50ml)の溶液に加え、室温で3時間攪拌した。減圧下で濃縮して油状物を得て、それにアセトニトリル(30ml)、続いて炭酸カリウム(13.8g、100mmol)を加えた。この混合物を65℃で3時間攪拌し、濾過して固体を除去した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル-メタノール(4:1))により精製し、(R)-3-(5-アセトキシヘキシル)-1-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-ピリミド[2,1-f]プリン-2,4(1H、3H)-ジオン(3.58g、収率:88%)を白色粉末として得た。
(R)-3-(5-アセトキシヘキシル)-1-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-ピリミド[2,1-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオン(100mg、0.276mmol)および1.0M塩化水素・ジエチルエーテル(1.0ml、1.0mmol)溶液のメタノール(15ml)混合液を70℃で3時間攪拌した。減圧下で濃縮して(R)-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-ピリミド[2,1-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオン(CT-13431)(71mg、収率:80%)を白色粉末として得た。
実施例5
(R)-3-(5-シアノヘキシル)-1-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-ピリミド[2,1-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオン(CT-30146)の合成
(S)-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-ピリミド[2,1-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオンは、CT-13431(実施例4)の合成において記載された方法に従ったが、(R)-5-アセトキシ-1-クロロヘキサンの代わりに(S)-5-アセトキシ-1-クロロヘキサンを用いた。この合成は、1997年5月13日にKlein,J.P.、Leigh,A.J.、Michnick,J.、Kumar,A.M.、Underiner,G.E.に発行されたU.S. Pat.No.5,629,423に開示されている。
(S)-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-ピリミド[2,1-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオン(100mg、0.311mmol)およびp-ジメチルアミノピリジン(98mg、0.8mmol)のクロロホルム混合液を攪拌しながら、無水メタンスルホン酸(87mg、0.50mmol)を加えた。室温で16時間攪拌した後に、この反応混合液をメタノール(1.0ml)で処理し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(酢酸エチルで溶離)により精製し、(S)-3-(5-メタンスルホニルオキシヘキシル)-1-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-ピリミド[2,1-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオン(100mg、収率:80%)を白色粉末として得た。
(S)-3-(5-メタンスルホニルオキシヘキシル)-1-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-ピリミド[2,1-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオン(100mg、0.25mmol)およびシアン化カリウム(81mg、1.25mmol)のジメチルスルホキシド(3ml)混合液を60℃で16時間攪拌した。室温に冷却後、この反応混合液を1.0M塩化アンモニウム水溶液で処理し、酢酸エチル(5x5ml)で抽出した。合わせた抽出液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル-メタノール-クロロホルム(3:1:1)で溶離)により精製して(R)-3-(5-シアノヘキシル)-1-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-ピリミド[2,1-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオン(CT-30146)(40mg、収率:48%)を白色粉末として得た。
実施例6
(R)-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-6,7-ジヒドロ-2,4-ジオキソ-8-N-アセチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン(CT-30260)の合成
(R)-7,8-ジヒドロ-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(CT-13430)(200mg、0.65mmol)およびイミダゾール(68mg、1.0mmol)のジメチルホルムアミド(1ml)溶液を攪拌しながら、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(127mg、1.30mmol)を加えた。室温で16時間攪拌した後に、この反応混合物を水で処理し、酢酸エチル(2x15ml)で抽出した。合わせた抽出物を水(2x5ml)、飽和塩化ナトリウム水溶液(5ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で濃縮して(R)-7,8-ジヒドロ-1-メチル-3-(5-tert-ブチルジメチルシリルオキシヘキシル)-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(280mg、収率:100%)を白色粉末として得た。
(R)-7,8-ジヒドロ-1-メチル-3-(5-tert-ブチルジメチルシリルオキシヘキシル)-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(280mg、0.65mmol)およびp-ジメチルアミノピリジン(160mg、1.30mmol)のジクロロメタン(10ml)混合液を攪拌しながら、無水酢酸(100mg、0.98mmol)を加えた。室温で2時間攪拌した後、この反応混合物をメタノールで処理した。減圧下で濃縮後、残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(酢酸エチルで溶離)により精製して(R)-8-アセチル-7,8-ジヒドロ-1-メチル-3-(5-tert-ブチルジメチルシリルオキシヘキシル)-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(200mg、収率:67%)を白色粉末として得た。
(R)-8-アセチル-7,8-ジヒドロ-1-メチル-3-(5-tert-ブチルジメチルシリルオキシヘキシル)-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(200mg、0.43mmol)のメタノール(20ml)溶液を攪拌しながら、1.0M塩化水素のジエチルエーテル(0.4 ml、0.40mmol)溶液を加えた。室温で30分間攪拌した後、この反応混合物をトリエチルアミン(0.1ml)で処理した。減圧下で濃縮して得られた白色固体を水(20ml)で処理し、1時間攪拌した。この固体を濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して(R)-8-アセチル-7,8-ジヒドロ-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(CT-30260)(135mg、収率:90%)を白色粉末として得た。
実施例7
CT-30261の合成
CT-30261は、CT-30260の合成において記載された方法に従ったが、(R)-5-アセトキシ-1-クロロヘキサンの代わりに(S)-5-アセトキシ-1-クロロヘキサンを用いて製造した。
(S)-8-アセチル-7,8-ジヒドロ-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(500mg、1.28mmol)およびp-ジメチルアミノピリジン(625mg、5.12mmol)のジクロロメタン溶液を攪拌しながら無水メタンスルホン酸(445mg、2.56mmol)を加えた。室温で16時間攪拌した後に、この反応混合液を水で処理し、酢酸エチル(3x20ml)で抽出した。合わせた抽出液を0.5M塩酸、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で濃縮して(S)-8-アセチル-7,8-ジヒドロ-3-(5-メタンスルホニルオキシヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(560mg、収率:100%)を油状物として得た。
(S)-8-アセチル-7,8-ジヒドロ-3-(5-メタンスルホニルオキシヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(560mg、1.28mmol)およびアジ化ナトリウム(416mg、6.4mmol)のジメチルスルホキシド(5ml)混合液を65℃で7時間攪拌した。室温に冷却後、この反応混合物を水で処理した。1時間攪拌後、この固体を濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して(R)-8-アセチル-3-(5-アジドヘキシル)-7,8-ジヒドロ-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(395mg、収率:84%)を白色粉末として得た。
(R)-8-アセチル-3-(5-アジドヘキシル)-7,8-ジヒドロ-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(200mg、0.534mmol)および10%パラジウム炭素(水50%、150mg)のエタノール(50ml)およびメタノール(10ml)溶液の混合液をパールの振盪器上で水素ガス(50 psi)により室温で18時間処理した。セライトのパッドで濾過後、濾液を減圧下で濃縮して(R)-8-アセチル-3-(5-アミノヘキシル)-7,8-ジヒドロ-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオンを白色粉末として得た。
(R)-8-アセチル-3-(5-アミノヘキシル)-7,8-ジヒドロ-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオンのメタノール(20ml)溶液を攪拌しながら、ホルムアルデヒド(formadehyide)(水中37%、0.5ml)、次いで水素化シアノホウ素ナ
トリウム(49mg、0.75mmol)により処理した。室温で1時間攪拌した後に、この反応混合液を減圧下で濃縮した。残渣をメタノール(10ml)に溶解し、これに37%水酸化アンモニウム水溶液(10ml)を加えた。室温で3時間攪拌した後に、この混合液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(メタノール-ジクロロメタン-37%水酸化アンモニウム水溶液(10:2:1)で溶離)により精製し、(R)-8-アセチル-7,8-ジヒドロ-3-(5-(N,N-ジメチルアミノ)ヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(CT-30261)(84mg、収率:42%)を白色粉末として得た。
実施例8
(R)-7,8-ジヒドロ-1,8-ジメチル-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(CT-31878)の合成
(R)-3-(5-アセトキシヘキシル)-7,8-ジヒドロ-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(3.5g、10.0mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(10.32g、80mmol)のクロロホルム(100ml)溶液を攪拌しながらクロロメチルエチルエーテル(3.78g、40mmol)を加えた。室温で16時間攪拌した後に、この反応混合液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(酢酸エチルで溶離)により精製して(R)-3-(5-アセトキシヘキシル)-7,8-ジヒドロ-8-エトキシメチル-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(2.0g、収率:49%)を得た。
(R)-3-(5-アセトキシヘキシル)-7,8-ジヒドロ-8-エトキシメチル-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(100mg、0.245mmol)および炭酸カリウム(51mg、0.368mmol)のメタノール(12ml)混合液を室温で16時間攪拌した。減圧下で濃縮後、残渣を1.0M塩化アンモニウム水溶液(10ml)で処理し、1時間攪拌した。この固体を濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して(R)-7,8-ジヒドロ-8-エトキシメチル-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(60mg、収率:67%)を白色粉末として得た。
(R)-7,8-ジヒドロ-8-エトキシメチル-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(60mg、0.164mmol)および10%パラジウム炭素(水50%、100mg)の酢酸(25ml)混合液をパールの振盪器上、室温で18時間、水素ガス(50psi)で処理した。セライトのパッドで濾過した後に、濾液を減圧下で濃縮して(R)-7,8-ジヒドロ-1,8-ジメチル-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(CT-31878)を白色粉末として得た。
実施例9
(R)-3-(5-シアノヘキシル)-7,8-ジヒドロ-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(CT-30255)の合成
(S)-7,8-ジヒドロ-8-エトキシメチル-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオンは、(R)-7,8-ジヒドロ-8-エトキシメチル-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオンの合成について記載した方法に従ったが、(R)-5-アセトキシ-1-クロロヘキサンの代わりに(S)-5-アセトキシ-1-クロロヘキサンを用いて調製した。
(S)-7,8-ジヒドロ-8-エトキシメチル-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(140mg、0.383mmol)およびp-ジメチルアミノピリジン(102mg、0.834mmol)のクロロホルム混合液を攪拌しながら、無水メタンスルホン酸(109mg、0.626mmol)を加えた。室温で16時間攪拌した後に、この反応混合液をメタノール(1ml)で処理した。減圧下で濃縮後、残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(酢酸エチルで溶離)により精製して(S)-7,8-ジヒドロ-8-エトキシメチル-3-(5-メタンスルホニルオキシヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(160mg、収率:94%)を白色粉末として得た。
(S)-7,8-ジヒドロ-8-エトキシメチル-3-(5-メタンスルホニルオキシヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(160mg、0.361mmol)およびシアン化カリウム(156mg、2.4mmol)のジメチルスルホキシド(2ml)混合液を60℃で16時間攪拌した。室温に冷却後、この反応混合液を1.0M塩化アンモニウム水溶液で処理し、酢酸エチル(4x10ml)で抽出した。合わせた抽出液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で濃縮した後に、残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(酢酸エチルで溶離)により精製して(R)-3-(5-シアノヘキシル)-7,8-ジヒドロ-8-エトキシメチル-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(100mg)を得た。
(R)-3-(5-シアノヘキシル)-7,8-ジヒドロ-8-エトキシメチル-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオンおよび濃塩酸(1.0ml)およびエタノール(5ml)の混合液を60℃で12時間攪拌した。この反応混合液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲル・カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル-メタノール(3:1)で溶離)により精製して(R)-3-(5-シアノヘキシル)-7,8-ジヒドロ-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(CT-30255)(61mg、収率;50%)を白色粉末として得た。
実施例10
IL-12シグナリングへの効果
この実施例は、IL-12シグナリングをブロックすることによりインビトロでのTh1分化を抑制する、本発明の化合物の能力を示すものである。各化合物[AからY]を、LeGross et al, J.Exp.Med., 172:921-929 (1990)に記載のIL-12依存性インビトロT-ヘルパー細胞分化アッセイにおいて試験した。組換えIL-12を用いてTh1分化を誘発した。脾臓T細胞は、RA3-3A1/6.1(抗-B220)、J11dおよびMAR18.5(抗-ラットκ鎖)抗体を用いて精製し、磁気ビーズ分離によりB細胞を枯渇させた(Coon et al., J.Immuno., 163:6567-6574 (1989)に開示)。脾臓T細胞の刺激は5x105/mlで、不溶性抗-CD3のみ(145-2C11、Pharmingen, San Diego, CA)を用いて、または、抗-CD3および5U/mlのIL-12を用いて、本発明の化合物の各々と共に、および該化合物不在で行った。7日後、等しい数の生存細胞を、抗CD3を用いて、本発明の化合物を用いずに24時間、再刺激し、その上清を集めてIFN-γ産生についてアッセイした。IFN-γおよびIL-4のレベルは、IFN-γおよびIL-4に特異的なELISA試験により測定した。その結果を以下の表1に示す。
Th1分化は、抗CD3刺激T細胞を外因性IL-12の存在下で培養することにより誘導された。これらの条件下で、Th1分化は、T細胞が抗CD3単独で刺激された場合と比較して常に増強されていた。T細胞活性化中の試験化合物の存在により、外因性IL-12の添加により増強されたTh1分化が阻害されることが観察された。「IC50μM」の欄の値は、抗CD3のみを用いた二次的刺激によるIFN-γ産生により定義されるIL-12誘導性Th1分化の阻害を測定することにより決定された。どの化合物も培養一週間後にはT細胞の生存能または再生に影響を与えなかった。
実施例11
IL-4シグナリングへの効果
(R)-7,8-ジヒドロ-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-1H-イミダゾ[2,1-f]-プリン-2,4(3H,6H)-ジオン(CT-13430)(実施例1を参照)および(R)-3-(5-ヒドロキシヘキシル)-1-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-ピリミド[2,1-f]プリン-2,4(1H,3H)-ジオン(CT-13431)(実施例4を参照)を試験して、該化合物で処理後に、基準となるT2エフェクターサイトカインであるIL-4の相対的分泌不能性により判定される、T0細胞からT2エフェクターへの分化をブロックする能力を測定した。実施例10のT1分化アッセイ(T0細胞は、IL-12の存在下のポリクローナル刺激により誘導されてT1エフェクターになった)と類似の一連の実験において、上記化合物は、T2分化に影響を与えるIL-4存在下でT0細胞が刺激されるT2分化アッセイにおいて有効であった。得られたエフェクター細胞は、IL-4産生不足であることが観察されたが、活性化の兆候を示し、正常に増殖した。CT13430およびCT13431は各々、T2/IC50(uM)値が14(9)および13(9)であった。
当業者なら、特に本明細書中に開示される本発明の具体的な態様と同等のものを多く認めるであろうし、または通常の実験範囲内で確かめることができるであろう。そのような同等のものは、特許請求の範囲に包含されることが意図されている。