JP4275786B2 - 電子顕微鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型電子顕微鏡に関し、特に試料の高さの測長及び画像表示機能を有する透過型電子顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
透過型電子顕微鏡は、試料の内部を透過した電子線を結像させて2次元画像を形成するもので、試料の内部構造を観察するのに利用される。また、透過波と回折波を用いて格子像を観察するのにも利用される。従来の透過型電子顕微鏡は2次元画像を用いて観察記録を行うため、高さ方向の情報は欠如していた。また高さが異なる試料の高さの分布は、ある程度は等厚干渉縞で知ることはできるが定量的な測定はできなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
透過型電子顕微鏡像では試料の高さ方向(光軸方向)の測長は出来なかった。これは透過型電子顕微鏡像は2次元画像であるため、濃淡の違いはあっても高さ方向の情報は得られないためである。
本発明は、このような透過型電子顕微鏡の現状に鑑み、透過型電子顕微鏡における観察像を用いて試料の高さ方向の測長を行い、試料の高さ位置情報を含む画像表示あるいは所望の試料高さ位置における画像表示を行うことのできる透過型電子顕微鏡を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の一例の透過型電子顕微鏡は、照射電子線を偏向するコイルと、対物レンズと、対物レンズの励磁電源及びその制御部と、透過像を撮影・記録するカメラ機構と、異なった電子線の傾斜角における夫々の画像より透過像の移動量又は透過像の一部の像の移動量を計算する手段と、計算された移動量より試料の高さを計算する手段と、試料位置毎の画像を抽出する手段とを備える。
【0005】
図2に示す試料断面図を用いて、上記した構成を有する透過型電子顕微鏡の動作を説明する。照射電子線を傾斜角ゼロで試料に照射し、試料の支持膜47に対物レンズの焦点が合っている透過像をM×Nの画素数で記憶装置にf1(m,n)として記録する。次に、照射電子線を傾斜角αで試料に照射した透過像をM×Nの画素数で記憶装置にf2(m,n)として記録する。但し、どちらも自然画像とし、m=0,1,2,…,M−1;n=0,1,2,…,N−1である。
【0006】
透過像f1(m,n),f2(m,n)の離散フーリエ画像F1(m,n),F2(m,n)はそれぞれ次の〔数1〕、〔数2〕で定義される。ここで、u=0,1,2,…,M−1;v=0,1,2,…,N−1であり、A(u,v),B(u,v)は振幅スペクトル、θ(u,v),φ(u,v)は位相スペクトルである。
【0007】
【数1】
Figure 0004275786
【0008】
【数2】
Figure 0004275786
位相相関では、2つの画像間で像の平行移動があった場合には相関のピークの位置が移動量だけずれる。以下に移動量の導出方法を説明する。まず、原画像f2(m,n)がm方向にr′だけ移動したとして、f4(m,n)=f2(m+r',n)とする。前記〔数2〕を〔数3〕のように変形する。
【0009】
【数3】
Figure 0004275786
振幅スペクトルB(u,v)を定数とすることにより、画像のコントラストに依存しない位相画像となる。f4の位相画像F'4 (u,v)は、次の〔数4〕となる。
【0010】
【数4】
Figure 0004275786
位相画像F'1(u,v)にF'2(u,v)の複素共役を乗ずることによって、次の〔数5〕で表される合成画像H14(u,v)が得られる。
【0011】
【数5】
Figure 0004275786
相関強度画像G14(r,s)は、合成画像H14(u,v)を逆フーリエ変換することによって次の〔数6〕となる。
【0012】
【数6】
Figure 0004275786
【0013】
上記〔数6〕より、2つの画像間でm方向に位置ずれ量r′が存在する場合、相関強度画像のピークの位置は−r′だけずれる。例えば、図3に示すように、2つの画像61,62間でm方向に2pixelのずれがあると、合成位相画像63は2周期の波になる。これを逆フーリエ変換すると相関強度画像64となり、中心から2pixelずれた位置にピーク65が発生する。図2に断面を示すような試料では、支持膜47に焦点が合っていれば、高さ方向に試料位置ずれのない試料は、照射電子線を傾斜したときの透過像と傾斜してないときの透過像で相関計算した場合、相関強度画像の中心にピークが発生する。
【0014】
次に、高さ方向にΔzの試料位置ずれがある試料は、相関強度画像の中心よりΔG(pixel)の位置にピークが発生する。このΔG(pixel)は検出器の受光面での移動量に相当し、ΔGを試料面上の移動量Δxに変換する。検出器の受光面の径L、受光面上での透過型電子顕微鏡の倍率M、検出器の受光面の画素数LmとするとΔxは、次の〔数7〕で計算される。
【0015】
【数7】
Figure 0004275786
Δxは、2つ画像間の試料面上での移動量となる。但し、これには球面収差による像の移動量δが入っており、試料の高さに起因して生じる移動量は、Δxからδを引いたものである。試料面上でのδは、球面収差Csと偏向角αにより次の〔数8〕のように表される。
【0016】
【数8】
Figure 0004275786
以上より、試料の高さに起因して生ずる像の移動量ΔXtは〔数9〕で表される。
【0017】
【数9】
Figure 0004275786
ここで、像の移動量ΔXtと試料の高さ位置Δzの間には、次の〔数10〕の関係がある。この関係を用いることにより、像の移動量ΔXtから試料の高さΔzを計算することができる。
【0018】
【数10】
Figure 0004275786
【0019】
次に、試料の高さΔzの位置に焦点を合わす場合には、Δzをデフォーカス量として対物電流補正値ΔIを計算する。ΔzとΔIの間には、Cを定数として次の〔数11〕の関係がある。従って、〔数11〕の関係で求まる対物電流補正値ΔIを対物電流値に加算することで、試料の高さ位置Δzに焦点を合わせることができる。
【0020】
【数11】
Figure 0004275786
同様に試料の支持膜に焦点を合わすときは、支持膜のみの画像領域を切り取り、上記方法を用いてΔzを計算し、補正する対物電流値ΔI算出して焦点を合わすこともできる。
【0021】
すなわち、本発明による透過型電子顕微鏡は、照射電子線を傾斜する偏向コイルと、試料透過像を撮像する撮像手段と、異なる電子線傾斜角における2つの試料透過像の間の移動量を求める手段と、前記移動量より試料の高さを計算する手段とを備えることを特徴とする。ここで2つの試料透過像の間の移動量を求めるにあたって、試料透過像の一部分の移動量を求めてもよい。その場合には、移動量を求めた試料の一部分の高さが計算される。
【0022】
本発明による透過型電子顕微鏡は、また、光軸に対して試料を傾斜する機構と、試料透過像を撮像する撮像手段と、異なる試料傾斜角における2つの試料透過像の間の移動量を求める手段と、前記移動量より試料の高さを計算する手段とを備えることを特徴とする。
2つの試料透過像間の移動量は、2つの試料透過像を各々フーリエ変換した画像より得られる位相相関のピーク位置に基づいて求める。また、2つの試料透過像間の移動量は、2つの試料透過像を各々フーリエ変換し、フーリエ変換後の位相成分のデータを差し引きして得た合成位相画像を逆フーリエ変換して求めた相関強度画像のピーク位置から求めることができる。
【0023】
本発明による透過型電子顕微鏡は、試料の高さを、数字や色によって表示する機能を有することができる。また、試料の高さ毎に画像の色を変えて表示する機能を有することができる。
本発明による透過型電子顕微鏡は、また、試料の高さを入力する手段と、入力した試料の高さでの画像を表示する手段とを備えることができる。あるいは、試料の高さを入力する手段と、入力した試料の高さに対物レンズの焦点を合わせる手段とを備えることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明による透過型電子顕微鏡の一例の概略機能ブロック図である。なお、偏向コイルの段数は問わないが、ここでは一般的な2段の偏向コイルを用いた場合について述べる。
【0025】
電子銃1から放出されて加速された電子線は第1照射レンズ2及び第2照射レンズ3によって集束され、第1偏向コイル4及び第2偏向コイル5で偏向され、試料機構45に保持された試料に照射され、対物レンズ6で結像される。試料を透過した電子線は、第1中間レンズ7及び第2中間レンズ8によって拡大された後、第1投射レンズ9及び第2投射レンズ10で更に拡大されてシンチレータ33上に試料の透過像が形成される。シンチレータ33で光像に変換された試料の透過電子像は、TVカメラ(撮像装置)11によって撮像される。TVカメラ11からの映像信号はTVカメラ制御部43、画像取り込みインターフェース44を介してマイクロプロセッサ30に取り込まれ、処理された後、CRTコントローラ34で制御されるCRT35に表示される。マイクロプロセッサ30は、DAC21〜29を介して、電子顕微鏡の各レンズ2〜10に給電する励磁電源12〜20を制御する。また、マイクロプロセッサ30には、バスを介してハードディスク等の記憶装置31、演算装置32、倍率切替用ロータリーエンコーダ39、入力用ロータリーエンコーダ40、キーボード38、RAM41、ROM42等が接続されている。ロータリーエンコーダ39,40はI/Fを介してバスに接続されている。
【0026】
次に、図4のフローチャートを参照して、図1に示した透過型電子顕微鏡を用いて試料の高さ情報を獲得する方法の一例、及びその高さ位置に対物レンズの焦点を合わせる方法の一例について説明する。
まず、ステップ11においては、倍率Mを入力するため、倍率切替用ロータリーエンコーダ39を回して発生したパルス波をI/F36に入力してデジタル信号に変換する。マイクロプロセッサ30は、I/F36から入力されたデジタル信号を、ROM42に予め設定されている倍率表示データを参照して該当する倍率をCRTコントローラ34を用いてCRT35上に表示させる。同時に、ROM42に予め記憶している第1照射レンズ2、第2照射レンズ3、対物レンズ6、第1中間レンズ7、第2中間レンズ8、第1投射レンズ9、第2投射レンズ10のレンズデータを各DAC21,22,25〜29に出力してレンズ系のデータをアナログ信号に変換する。各DAC21,22,25〜29は励磁電源12,13,16〜20にアナログ信号を出力して、各レンズ系2,3,6〜10のレンズコイルに電流を出力させる。
【0027】
次のステップ12においては、TVカメラ制御部43を用いてシンチレータ33に投射された透過電子像をTVカメラ11で取込み、画像取込みインターフェース44より記憶装置31に拡大像を透過像1として名前を付けて記憶させる。次に、CRTコントローラ34に画像データを出力してCRT35上に画像表示を行う。
【0028】
次に、ステップ13に進み、図5に示すように、CRT35に表示された画像上で試料の支持膜47にあたる領域48を指定する。この領域48は任意の位置でかつ任意の画素でかまわないが、高速フーリエ変換(FFT)で計算を行うため、一般的な画素数である64×64、128×128、256×256画素が選択できるようにするのが好ましい。ここでは、支持膜47のみ領域指定するため64×64の画素数を設定する。
【0029】
図6は、対物レンズの焦点が試料面にあっている場合と合っていない場合のレイダイヤグラムを示したものである。図6(a)は対物レンズ6の焦点が試料面55に合っている場合を表し、この場合には、照射電子線52を傾斜角ゼロで試料に照射したときと、照射角αで試料に照射したときとで、対物レンズ50によって像面51で観察される試料の透過電子線像は移動しない。しかし、対物レンズ6の焦点が試料面55に合っていない場合には、図6(b)に示すように、試料の透過電子線像は像面51から離れた仮想像面53に結像することになるため、試料に照射する電子線52を傾斜角ゼロの状態から傾斜角αに傾斜すると、像面51で観察される試料の透過電子線像はΔXtだけ移動する。この像の移動量ΔXtを測定すると、焦点位置54からのデフォーカス量Δfを計算することができる。
【0030】
すなわち、図1の例に即して言うと、対物レンズの焦点が支持膜47に合っていない場合、試料に照射する電子線の傾斜を行うとTVカメラ11で撮像される試料の透過電子線像は移動する。そして、像の移動量からデフォーカス量Δfが計算できる。従って、このデフォーカス量Δfを対物レンズの補正電流値ΔIに変換し、対物レンズの電流値に補正を加えることにより正焦点とすることができる。
【0031】
そこで、図4のステップ14においては、図7に示すように、2段の偏向コイル4,5により電子線を傾斜して偏向角αとなる偏向データを、ROM42からDAC23,24に出力して偏向コイルデータをアナログ信号に変換する。DAC23,24より励磁電源14,15にアナログ信号を出力して偏向コイル4,5に電流を出力させることで、傾斜角αで試料に電子線を照射する。このときの試料透過電子線像をTVカメラ制御部43を用いてTVカメラ11から取り込み、画像取込みインターフェース44からRAM41に透過像2として一時的に記憶させる。
【0032】
ステップ15においては、演算装置32で透過像1と透過像2の像移動量を計算する。移動量がゼロでない場合には、ステップ16からステップ17に進み、移動量よりデフォーカス量を計算し、それを正焦点に必要な対物レンズの補正電流値ΔIに変換する。続くステップ18において、補正電流値ΔIをDAC25に出力してレンズデータをアナログ信号に変換する。DAC25より励磁電源16にアナログ信号を出力して対物レンズ6のレンズコイルに電流を出力させる。次に、ステップ14に戻って、再度、電子線を傾斜した透過像をRAM42に透過像2として記憶する。ステップ15で透過像1と透過像2の移動量を計算し、移動量が0とならない場合は、再びステップ16からステップ18の処理を行って対物レンズの電流補正を行い、正焦点となるように制御した後、ステップ19に進み、支持膜に焦点を合わせた透過像をTVカメラ11で取り込み、透過像3として記憶装置31に記憶する。
【0033】
図8は、対物レンズの焦点が試料面に合っている場合に、試料面とその上方の試料位置を結像する電子線のレイダイヤグラムを示したものである。図8(a)は試料面55の結像状態を表し、図8(b)は試料面55の上方の試料位置Δzの結像状態を表す。
図8(a)の場合には、前述のように、照射電子線52を傾斜角ゼロで試料に照射したときと、照射角αで試料に照射したときとで、像面51で観察される像に移動は生じない。しかし、図8(b)に示すように、試料面55の上方の試料位置Δzは、対物レンズ50によって観察像面51とは異なる仮想像面53に結像されることになるため、試料に照射する電子線52を傾斜角ゼロの状態から傾斜角αに傾斜すると、像面51で観察される試料の透過電子線像はΔXtだけ移動する。この像の移動量ΔXtを測定すると、前記〔数10〕により試料の高さ位置Δzを計算することができる。
【0034】
本発明では、図8(b)に図示した関係を利用して試料46の高さを測定する。そのために、ステップ20において、CRT35に表示された透過像3の中で試料46に相関する領域を、図5に示すように領域49のように設定する。このとき試料46を指定するための画素数は256×256に設定する。この画素領域より試料が大きい場合は倍率を下げる。倍率を変える際には、ロータリーエンコーダ39あるいはキーボード38を用いて倍率入力を行い、再度支持膜47の焦点合わせを行う。
【0035】
次に、ステップ21に進み、偏向コイル4,5を制御して試料46に照射する電子線を角度αだけ傾斜させ、そのときの試料透過電子線像(図9参照)を透過像4としてRAM42に記憶させる。次のステップ22では、演算装置32で透過像3と透過像4の像移動量を計算し、続くステップ23において移動量より試料の高さ位置Δzを計算する。この計算結果をCRTコントローラ34に出力して、CRT35の表示画面内に高さ位置Δzを数値表示することもできる。
【0036】
次のステップ24においては、試料位置Δz(この例の場合は、試料46の上面)に焦点を合わせるために、先に求められた高さ位置Δzをデフォーカス量として対物レンズ電流の補正値ΔIを計算する。そして、その補正電流値ΔIをDAC25に出力して、レンズデータをアナログ信号に変換する。アナログ信号に変換されたレンズデータはDAC25より励磁電源16に出力され、対物レンズ6のレンズコイルに流す電流を変化させて試料の高さ位置Δzに焦点を合わせる。こうして、試料の高さ位置Δzに焦点が合った試料像をTVカメラ11で撮像し、CRT35に表示することができる。
【0037】
次に、図10のフローチャートを参照して、試料に照射する電子線を傾斜させる前後で撮像した2枚の試料透過像をフーリエ変換した画像の位相相関強度をもとに、試料の高さ情報を取得する方法の一例について説明する。ここでは、図11に示すように複数(図示した例の場合は3つ)の異なる高さ位置71,72,73を有する試料70の透過像を処理して、高さ情報を含む試料画像を表示する方法を例にとって説明する。
【0038】
まず、ステップ31で倍率Mを入力し、前述のように透過型電子顕微鏡の各レンズ系2,3,6〜10のレンズコイルに流す電流をその倍率にあったように設定する。その後のステップ32〜ステップ38の処理では、支持膜47に焦点が合うように対物レンズの電流値を設定する。
そのために、ステップ32において、TVカメラ制御部43を用いてシンチレータ33に投射された試料の透過電子像をTVカメラ11で取込み、画像取込みインターフェース44より記憶装置31に拡大像を透過像1として名前を付けて記憶させるとともに、CRT35上に画像表示を行う。次のステップ33では、図5で説明したのと同様にして、CRT35に表示された画像上で試料の支持膜47にあたる領域48を指定する。次にステップ34において、偏向コイル4,5より偏向角αとなるように照射電子線を傾斜させ、このときの試料透過電子線像をRAM41に透過像2として一時的に記憶させる。
【0039】
次のステップ35では、透過像1をフーリエ変換したフーリエ画像の位相画像に、透過像2をフーリエ変換したフーリエ画像の位相画像の複素共役を乗じて得られる合成位相画像を逆フーリエ変換して、2つの位相画像の相関強度を計算する。ステップ36では、相関強度画像のピークが相関強度画像の中心にあるかどうかを判定する。対物レンズ6の焦点が支持膜47に合っていれば、ピークは相関強度画像の中心に現れ、合っていなければ相関強度画像の中心から外れた位置にピークが現れる。ピークが相関強度画像の中心にない場合には、ステップ37に進み、ピークの中心からのずれ量に基づいてデフォーカス量を計算し、それを対物レンズ6の補正電流値に変換する。次に、ステップ38で補正電流値をレンズ制御部に出力して対物レンズのコイル電流値を変化させ、ステップ34に戻る。
【0040】
こうして対物レンズ6の焦点を支持膜47に合わせたのちステップ39に進み、試料を照射する電子線の照射角度をゼロに戻した状態で支持膜47に焦点が合った状態で試料の透過電子像を取り込み、透過像3として記憶する。次に、ステップ40において試料の領域指定を行う。試料の領域指定は、CRT35に表示された透過像3の中で試料46に相関する領域を、図5で説明したのと同様にして指定する。このとき試料像の全体を指定してもよいし、試料像の中で関心のある部分のみを指定してもよい。次のステップ41では、偏向コイル4,5を用いて電子線を傾斜角αだけ傾斜させ、TVカメラ11で撮像された試料の電子線透過像をRAM41に透過像4として記憶させる。
【0041】
次のステップ42では、図12に示すように、演算装置32で透過像3(81)と透過像4(82)を各々フーリエ変換し、フーリエ変換後の位相成分のデータを差し引きして合成位相画像83を得、その合成位相画像83を逆フーリエ変換することで相関強度画像84を発生する。この相関強度画像84は、必要ならCRTコントローラ27に出力してCRT35上に画像表示する。この時、図12に示すように、高さが異なる位置を有する試料70は、試料に照射する電子線を傾斜させた透過像4(82)における像移動量が試料の高さ位置毎に異なるため、相関強度画像84には各移動量に対応するA,B,Cの3つのピークが生じる。
【0042】
次のステップ43においては、相関強度画像84に発生したピークを分離し、各ピークに対応する画像を得る。この処理は、図13に模式的に示すようにして行われる。まず、相関強度画像84に現れたA,B,CのピークのうちB,Cのピークをマスクしてフーリエ変換して振幅成分を加算して逆フーリエ変換を行うと、ピークAに相当する距離だけ移動した画像86aが計算できる。同様に、相関強度画像84に発生したピークBに相当する画像86b、ピークCに相当する画像86cを得る。
【0043】
そして、次のステップ44では、ピークA,B,Cに相当する画像にそれぞれ異なる色を割り当て、異なる色で着色された複数の部分画像86a,86b,86cを図14に示すように重ね合わせる。重ね合わせた画像87は、図15に示すように、試料位置の高さの表示88とともにCRT35に表示される。このように、相関強度画像84に現れたピークA,B,Cに各々対応する画像をグラフィック表示により表示色を変えて量ねて表示することにより、試料の高さ位置分布が分かる画像表示ができる。この試料位置毎の画像をCRT35上に画像表示を行ったり記憶装置31に画像の記憶を行うこともできる。
【0044】
図15の表示例では、試料の高さが3段階で色の種類もわずかに3種類であるため、全ての表示色と高さの数値とを一対一に対応づけて表示したが、表示色と高さの対応関係の表示は、例えば図16に示すように、表示色の色調あるいは濃淡を小さなステップで連続的に変化させて表示色例として表示し、その横に代表的な高さのみを対応させて示すような表示89であってもよい。
【0045】
図17は、相関強度画像84の各ピークA,B,Cを分離して得られた画像86a,86b,86cを重ね合わせずに、別々に表示する表示例を示す。この場合にも、同時に各画像86a,86b,86cの高さ位置を数値表示する表示部90を設けるのが望ましい。このような表示法によると、固有の高さを有する試料の判別が行え、更に観察視野における分布を容易に知ることができる。
【0046】
また、本発明の透過電子顕微鏡によると、最初に試料支持膜47に対物レンズ6の焦点を合わせておき、その後ロータリーエンコーダ40やキーボード38から試料の高さの入力を行うことで、その高さを対物レンズの補正電流値に変換し、対物レンズの電流値に補正を加えることにより、所望の試料高さ位置に正確に焦点を合わせることができる。そのとき得られた透過像を表示することで、入力した試料高さ位置における試料の画像が表示される。
【0047】
ここでは、偏向コイル4,5を用いて試料に照射される電子線を傾斜させ、そのとき像面で移動する試料透過電子線像の移動量を測定して高さ方向の試料位置Δzを測長した。しかし、電子顕微鏡に備わっている試料傾斜機構45を用いて試料を光軸に対して角度αだけ傾斜させたときの像移動量を測定しても同様に高さ方向の測長を行うことができる。この場合には、球面収差による像移動量δを考慮する必要はない。
【0048】
対物レンズの焦点を試料支持膜に合わせた状態で、試料を角度αだけ傾斜させたときに電子顕微鏡の像面で観察される試料像がΔxだけ移動したとすると、その移動した試料像の試料支持膜からの高さΔzは、次の〔数12〕で計算される。
【0049】
【数12】
Figure 0004275786
【0050】
以上説明したように、本発明の透過型電子顕微鏡を用いることで、次に挙げるような機能を実現することができる。
(1)試料位置毎の高さ(光軸方向)を測定することができる。
(2)試料の異なる高さ(光軸方向)毎の画像を抽出することができる。
(3)所定の試料位置の高さ(光軸方向)で焦点合わせができる。
(4)試料の高さ(光軸方向)分布のグラフィック表示が行える。
【0051】
【発明の効果】
本発明によると、電子顕微鏡の光軸方向の測長、試料位置毎の画像の抽出、所定の試料位置での焦点合わせが可能となり、透過型電子顕微鏡における観察性・操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による透過型電子顕微鏡の一例の概略機能ブロック図。
【図2】試料の断面模式図。
【図3】画像相関の例を示す説明図。
【図4】透過型電子顕微鏡を用いて試料の高さ情報を獲得する方法の一例を説明するフローチャート
【図5】照射電子線を傾斜しない時の試料透過電子線像の模式図。
【図6】透過型電子顕微鏡のレイダイアグラムを示す図。
【図7】2段の偏向コイルによって電子線を傾斜する方法の説明図。
【図8】透過型電子顕微鏡のレイダイアグラムを示す図。
【図9】試料に照射する電子線を傾斜した時の試料透過電子線像の模式図。
【図10】2枚の試料透過像の位相相関強度をもとに試料の高さ情報を取得する方法の一例を説明するフローチャート。
【図11】複数の高さ位置を有する試料の断面模式図。
【図12】画像相関の例を示す説明図。
【図13】相関強度画像のピーク毎に画像を抽出する方法の説明図。
【図14】異なる高さ位置毎の透過像を重ね合わせて表示する方法の説明図。
【図15】本発明による試料透過画像の表示例を示す図。
【図16】表示色と高さの対応関係の表示例を示す図。
【図17】本発明による試料透過画像の他の表示例を示す図。
【符号の説明】
1:電子銃、2:第1照射レンズ、3:第2照射レンズ、4:第1偏向コイル、5:第2偏向コイル、6:対物レンズ、7、第1中間レンズ、8:第2中間レンズ、9:第1投射レンズ、10:第2投射レンズ、11:TVカメラ、12〜20:励磁電源、21〜29:DAC、30:マイクロプロッセサ、31:記憶装置、32:演算装置、33:シンチレータ、34:CRTコントローラ、35:CRT、36〜37:I/F、38:キーボード、39:倍率切替用ロータリーエンコーダ、40:入力用ロータリーエンコーダ、41:RAM、42:ROM、43:TVカメラ制御部、44:画像取込みインターフェース、45:試料傾斜機構、46:試料、47:試料支持膜、48〜49:相関領域、49:試料面、50:対物レンズ、51:像面、52電子線、53:仮想像面、54:焦点位置、55:試料面、63:合成位相画像、64:相関強度画像、65:ピーク、70:試料、71,72,73:異なる高さ位置、81:透過像3、82:透過像4、83:合成位相画像、84:相関強度画像、85a:ピークAに相当する相関強度画像、85b:ピークBに相当する相関強度画像、85c:ピークCに相当する相関強度画像、86a:ピークAに相当する画像、86b:ピークBに相当する画像、86c:ピークCに相当する画像、87:重ね合わせた画像、88:試料の高さ位置の表示、89:表示色と高さの対応関係の表示例、90:高さ表示部

Claims (8)

  1. 対物レンズと、
    照射電子線を傾斜する偏向コイルと、
    試料透過像を撮像する撮像手段と、
    試料の支持膜に焦点が合うように前記対物レンズを設定した状態で前記撮像手段により前記支持膜と当該支持膜上に配置された試料を含む領域を撮像した第1の試料透過像と、その後、前記対物レンズの設定を維持したまま前記偏向コイルによって照射電子線を傾斜させた状態で、前記領域を前記撮像手段により撮像した第2の試料透過像との間における前記試料の移動量を求める手段と、
    前記試料の移動量と前記照射電子線の傾斜角より前記試料の高さを計算する手段と
    を備えることを特徴とする透過型電子顕微鏡。
  2. 対物レンズと、
    光軸に対して試料を傾斜する試料傾斜機構と、
    試料透過像を撮像する撮像手段と、
    試料の支持膜に焦点が合うように前記対物レンズを設定した状態で前記撮像手段により前記支持膜と当該支持膜上に配置された試料を含む領域を撮像した第1の試料透過像と、その後、前記対物レンズの設定を維持したまま前記試料傾斜機構により試料を傾斜させた状態で、前記領域を前記撮像手段により撮像した第2の試料透過像との間における前記試料の移動量を求める手段と、
    前記試料の移動量と試料の傾斜角より前記試料の高さを計算する手段と
    を備えることを特徴とする透過型電子顕微鏡。
  3. 請求項1又は2記載の透過型電子顕微鏡において、前記2つの試料透過像間の移動量は、前記2つの試料透過像を各々フーリエ変換した画像より得られる位相相関のピーク位置に基づいて求めることを特徴とする透過型電子顕微鏡。
  4. 請求項1又は2記載の透過型電子顕微鏡において、前記2つの試料透過像間の移動量は、前記2つの試料透過像を各々フーリエ変換し、フーリエ変換後の位相成分のデータを差し引きして得た合成位相画像を逆フーリエ変換して求めた相関強度画像のピーク位置から求めることを特徴とする透過型電子顕微鏡。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の透過型電子顕微鏡において、試料の高さを表示する機能を有することを特徴とする透過型電子顕微鏡。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項記載の透過型電子顕微鏡において、試料の高さ毎に画像の色を変えて表示する機能を有することを特徴とする透過型電子顕微鏡。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項記載の透過型電子顕微鏡において、試料の高さを入力する手段と、入力した試料の高さでの画像を表示する手段とを備えることを特徴とする透過型電子顕微鏡。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項記載の透過型電子顕微鏡において、試料の高さを入力する手段と、入力した試料の高さに対物レンズの焦点を合わせる手段とを備えることを特徴とする透過型電子顕微鏡。
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